マーシャーク保護観察日誌【検閲済み】 |
■■月 14日 ■曜日
二週間前に理不尽なクレーマーのせいで解雇された俺だが、今朝友人の■■が辛気臭い神妙なツラを見せに来た。 チクショウ、何が「You're fired!」だ。大統領かよ。 一昨日のポーカーのイカサマにキレてなければいいが、と思っていたが別件らしい。 なにやら「まものむすめ」だという生物の保護をやってくれ、と頼んできた。 確かに俺の趣味としてペットの飼育はしているが、まものむすめ、とやらまではできん、と突っぱねた。 だがジャパニーズのドゲザまでやるほど、■■は差し迫っているようだった。 友人の頼みだし、「話だけ聞く」と耳を傾けてあげた。 どうやらまものむすめに関する機関からの依頼らしい。 数ヶ月間の間、そのまものむすめってやつを保護観察、毎週土曜日にレポートを提出せよ、とのことだ。 続けて■■は報酬金の見積もり書までご丁寧に俺に差し出した。 その金額を見て、目玉が本当に飛び出るところだった。 俺の勤め先(だった)のウン十年分じゃねえか。 こんなウマい話はねえ。やってやる、と鼻息荒立てて(■■曰く)、承諾した。 たかが数ヶ月間。生き物飼育して老後も気楽にやれるってなら上等だ。 ■■は俺にこのノートを手渡した。これに日誌を書けとのことらしい。 「また翌日会おう」と、にこやかに■■が笑って帰っていった。 明日にまものむすめとやらの現物が来るのだろうか。 ■■月 15日 ■曜日 魔物娘とやらがやって来た。・・・・・。 水族館顔負けのやたらでかい水槽と共に。 俺が独身でよかったな■■。既婚だったら妻と子供にシバかれてたぜ。 おまけにその水槽のガラスのラベルにはUL752のレベル6と書かれていた。 後々調べたところ防弾ガラスの規格とわかったのだが、これは割愛しよう。 水槽と共にトラックの荷台から下ろされた魔物娘がお見えになった。 ・・・・・。 「魔物」「娘」というのだから嫌な予感はした。 髪の毛とおっかない目つき、胸部とか腕以外は本当にサメそのものだった。 「マーシャーク」というマーメイド族魚類型の魔物娘らしい。 見るまでもなく凶暴らしく、荷台から下ろす工程で「機関」の作業員に噛み付きやがった。 しかも■■と付き添いの「機関」の男が言うには、鎖すら噛み千切るとか。 その事故で2,3人が犠牲になったとか。昨日の俺をぶん殴ってやりたかった。 どうにか搬入作業や水槽の水入れ、手続き等で一日が終わった。 ■■月 16日 ■曜日 今後使うことがない、と思っていた自宅2階の部屋一つが、 防弾ガラスの水槽と海水、あと観察用の機材で囲まれた。 この辺の水道代やマーシャークのエサ代等の費用は「機関」持ちらしい。 ここまでの好待遇、破格の報酬に、あの神妙な■■の顔。 俺が察するに、■■はこのバケモンの世話の代行を探していたとみる。 無職となった俺に白羽の矢が立った、と考えるべきかもな。まあいいか。 しばらくの我慢と考えよう。 朝、昼、夜に定期的にエサの魚類を投げ込み、観察一日目は難なく完了した。 ・・・・やたらガラスに突進してゴンゴンうるさかった以外は。 ■■月 18日 ■曜日 二日目も順調で三日目も、と思った矢先にトラブルだ。 タックルをし続けたマーシャークが水槽にとうとうヒビをつけやがった、冗談だろ。 すぐさま俺は■■に電話した。ヤツが言うには翌日になるそうだ。 追記: あんだけタックルしているが、お隣さん二軒からは苦情がない。 簡易ながらも遮音施工(もちろん「機関」の金)までしてもらったのが役に立った。 ■■月 19日 ■曜日 「機関」のガラス取替えも午前中に終わり、午後からは通常の保護観察だ。 もっと強固な防弾ガラスにしてもらった。これで安心だろう。 夜にアザラシの肉を放り込んで ※今日の文章はここで途切れている。※ ■■月 20日 ■曜日 チクショウ。あのメスなんだってんだ。 なにやらいつもより増して暴れてるかと思いきや、ワナかよ。 近づいた俺を水槽の中に引きずり込もうとして、俺の右腕を噛みやがった。 「機関」の男が教えてくれた通り鼻を殴らなきゃあの世行きだった。 痛みのわりには疼きに近いようだが、ヒリヒリしやがる。 おまけに昨日は自慰をしようとしたが、する気がなくなった。 さすがに今日ばかりは反撃が功を成したか、いつもよりは大人しい。 ガンガンタックルするのは変わりないが。 追記: なんだかんだでやかましいし、鬱陶しいが、どこか可愛い気がしてきた。 ・・・だがサメ女だ。サメ映画に出てくるB級ヒロインのほうがマシかもな。 ■■月 21日 ■曜日 昨日の追記にあんなことを書くんじゃなかった! なんだよアイツ、ますます獰猛になってやがる! 初週から文句まみれのレポートになるかもしれん、くそっ! また水槽にヒビが入りやがったし、今度はどこの国かわからん言葉で喚きやがる。 サメ語の翻訳者なんてこの世に居ねぇんだぞ、明日「機関」に電話して中止を要請してやる。 今日は夜だけエサを抜いてやった。いい気味だ。 追記: エサを抜くんじゃなかったかな。 やたら暴れているし、やはりやりにいくか・・・ この追記を書き終わったらにしよう。 ■■月 22日 ■曜日 ※ここから筆跡のクセが変わっている・・・。※ 被検体:E4545(以後、E) 実験内容:獰猛な魔物娘「マーシャーク」との日常的接触 実験結果:成功 被検体状態:瀕死 詳細: 21日未明、マーシャークは水槽にエサを投入しようとしたEとの性的接触を図った模様。 設置した隠しカメラの映像によると、マーシャークは過去の実験データ通り、経口接触(いわゆる噛み付き)による魔力飛沫を出しつつ、Eを水槽へ引きずり込む。 その後、身動きがとれないEの一方的な抱擁(巻きつき型とする)の後、Eの衣類を腕で引き裂き、鮫肌を擦りつけEの疼きを促す。 その後、Eの性器がマーシャークの性器に挿入され、密着しての性交が行われたもよう。 マーシャークは平均34秒ごとに水面に浮き、Eの窒息を防いだ(この状態も密着から解放しなかった)。 性器挿入から2分後、Eが痙攣を起こし初の射精(と思われる行動)。 その後、平均4〜5分ごとにEは射精し、性交から約1時間半後に解放された。 Eの詳細な容態及び処理は追って知らせる。 ■■■■■財団 職員 ※日誌はここで途切れている・・・。※ |
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