ミズカマキリ
僕は、その日、海に居た。
ただただ広く青い海、空の蒼と混ざって無限に広がるその蒼碧の世界を・・・。
僕は、周囲から浮いていた、虐めにも合わないし、喧嘩もしなかった、でも、親友と呼べる友達も居ないし、恋人も居ない、両親は離婚調停中で裁判をして、僕は、母方の祖父の家に預けられていた。
僕は、悲しいとか、寂しいと言う感情を持つ事が無かった。
誰かの事で感情を持ったり、心が動いたりする事が無かった、だから感動と言うモノを感じた事が、無かった。
だからなのかな、誰にも僕の事は目に映らないようだ。
目の前で楽しそうに友達と遊ぶ小さい子供達、手を繋いで海岸線を歩く母子、時々談笑して楽しそうに横切る恋人達、酔っ払って大の字になって寝るサラリーマン、それだけじゃない、僕の隣で絵を描いていたリャナンシー、雨の日に陸に上がって来たぬれおなご、日焼けをしに来たミノタウラス、子供達に混ざって遊ぶアリスとピクシー、面積の少ない水着を着て男を漁るサキュバス・・・。
誰も僕の目の前を通っても声は掛けない。
僕は、何時も、一人だった。
あの日までは…。
その日も何時ものように海を眺めていた、白い波が生まれる紺碧の水面を。
ザバッ!
ザブザブと音を立てて無表情のまま上がって来たのはサハギン・・・、ではなく海に居る筈の無いマンティス、しかも彼女は乳首と股間をテープで隠すだけでほぼ全裸だった。
パシャ、パシャ、トス、トス、トス・・・。
髪から滴り落ちる海水が入らないように半開きの目には獲物を狙う捕食者の意志を宿し、無表情で真直ぐ歩み寄って来るその態度には確固たる意志を滲ませながらそのマンティスは僕の目の前に進んで来た。
「・・・。」
「・・・。」
無言で互いを見詰めるが、僕は、ぼんやりと眺めているだけ、マンティスは猛禽類のように鋭く僕の動向を探っているようだった。
不意に僕の身体が宙に浮く、マンティスが自分の肩に僕の腰を乗せそのまま担いだからだ、目の前には紺碧の海は無く白い砂浜と形の良いマンティスのお尻だけ視得た。
トストストストストス、パシャパシャパシャ、ザブザブザブザブ・・・。
マンティスは僕を背負ったまま海に入りそして泳ぎだした、僕が居た海岸をぼんやり眺めながら僕は彼女に担がれる形で沖合いに出て少し離れた岸壁の亀裂で出来た横穴まで運ばれた。
ドサッ
僕は少し滑らかな岩肌に無造作に放り投げられた、そしてマンティスは自分の股間の前張りを剥がすと同じ様に無造作に僕のズボンを脱がし、下半身を露出させた。
獲物を見下す目のマンティスと、見下す存在をただ見上げるだけの僕の瞳が重なる。
大の字に開いた僕の足を跨いで、マンティスはM字開脚に成ると無駄の無い動きで自分の股間に僕の少し勃起した包茎を宛がい・・・。
「「ウッ!ツゥッ!」」
一気に彼女が腰を下ろした途端彼女と同時に僕は唸った、鈴口に強烈な痛みが生じ感覚が麻痺する、痛みで閉じた目を薄っすらと開けるとマンティスも目に涙を浮かべながら身動ぎせずフゥフゥと息を整えていた。
その様子を見上げる僕に気が付くと彼女は身体を起こし上下に腰を動かし始めた、亀頭からの鋭い痛みも何故か彼女のマンコから垂れ流れる幾筋の血を見ていると『耐えないと』と思い、締め上げられる逸物に意識を集中する。
「フッフッフゥッフクゥッ!ふぅんっ!ふんふぁっ!ふぁっ!んふっ!」
冷淡に見詰めながら単調な上下運動を繰り返していた彼女の表情が不意に変わり始めた、見下していた目は徐々に左右に泳がし、口は声を抑えようとしているが腰が下がり僕のペニスが彼女の子宮の口にキスをする度に甘い吐息を口から漏らす。
「ふやっ!なにっ?なに?コレッ?わからっないっ!ふやぁぁっ」
少しふくよかな胸の下でおなかを守るように腕組みする彼女の姿はもう獲物を狙う猛禽類ではなく、一人の恋する少女の戸惑う姿そのものだった。
その表情を見た時・・・、いや多分挿入した時から僕は何かが変わっていた、何故なら彼女が腰を動かさなくても彼女は上下に動いている、そう僕が彼女を下から突き上げていた。
「んっ!あっ!んふっ!ふぁっ!あ!ああっ!んあっ!あなたっ!」
『あなた』と言われた瞬間、彼女を『俺の女』と直感的に認識し俺は仰向けの状態で彼女の手の平を自分の手の平で包んで指を絡めるようにして握った。
「あああっ!コレッ!なんだっ!ママッ!あたしっ!解ったよっ!ああっ!あなたっ!大好きッ!ンンッ!」
「僕が待っていたのはっはぁっ!『君』っ!だったんだっ!ぅっ!おあっ!俺もっ!大好きだっ!ンッ!!」
俺は待っていたんだ、学校の先生でもなく同級生や友達でもなく視も知らない親類でもなく、ましてや金の為に親権を争っている両親なんかではなく・・・、心の其処から【愛しい】と思える女(ひと)を。
そして、今俺達は出会った互いを【愛しい】と言える片割れを、その【愛しい】存在と触れ合える喜びを分かち合っている。
言葉では無く思いと行為で気持ちを伝え合う、俺達はその激しい交わりの中で始めてのキスをした想いの全てを唇と舌と吐息に乗せて。
「んっ!ぅむんっ!んふっ!ふちゅっ!んっ!んっ!ちゅっ!レちゅっ!ぷあっ!ママもっ!こうだったんだっ!こんあにっ!きもちいいっっ!!あっ!」
何かを確かめるようにぬちゃぬちゃと腰を動かす彼女の動きがもどかしくて、俺は上半身の力で彼女を強引に後ろへ押し倒した、その瞬間彼女と目が合った、脅えたような期待するような羞恥に満ちているが全てを受け入れる表情で俺を上目使いに見上げていた。
そんな無防備で愛しい姿を視て、『自分のモノの証』を刻む事しか考えられない程今の俺は理性が無くなっていた。
「ああああっ!ああっ!あっ!あっ!あああっ!はげしっ!きてっ!もっとっ!もっとおぉぉぉおおおぉぉぉぉ!!!」
「うっうっうぐっううっ!うぐっ!ひっく!うっ!うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!」
俺は何時の間にか彼女を犯しながら泣いていた、悔しさと悲しみと喜びと愛しさと・・・、表現出来ない様々が感情が綯い交ぜに成って泣いていた。
ソッと頭を抱き締められた、俺の頭を包む両の腕は誰よりも優しく包み、自然と彼女と唇を合わせ俺の鈴口と彼女の子宮口もソレに習う様に深くキスをした。
ドビュッー!ドビュッ!ドビュッ!ドブッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッドクッドクッ・・・、ドクン・・・。
キスをした途端、今迄張り詰めていたモノの全てを吐き出すように彼女の子宮の奥に向って何度も射精した、ソレはあたかも孤独だった俺の心を彼女の胎内で温めて貰いたいかのように・・・。
「僕はクラスで『無視』されていたんだ・・・。」
行為の後、急に恥ずかしくなって僕は岩場の隅で顔を真っ赤にして小さく体育館座りしていると彼女・・・、海並(うなみ)と名乗ったマンティスが優しく僕を包むように抱き締める。
ポツリポツリと僕は自分の事を・・・、学校の事や近所の事、両親と住んでいた場所の事と今住んでいる母の実家の事そして両親の離婚の事。
悔しかった、僕の口から出る言葉は僕を馬鹿にして見下して居ない物のように振舞う人達の話ばかりで、ボロボロと涙が止め処無く頬を伝う、悔しい気持ちとこんな惨めな話しか出来ない自分が恥ずかしくて。
ソッと海並が僕の頬の涙を飲む様にキスをする、そして僕を見詰めて一言。
「私が居るよ、今迄どんなに辛くても今は・・・、私が総十(そうと)の居るよ」
その一言で僕は救われそして、彼女の胸の中で号泣した優しい彼女の身体と心に包まれながら。
次の日僕は決意した、その決意を告げる為に祖父の家に向った。
その後の事は驚く程トントン拍子に話が進んだ何故なら・・・、御祖母ちゃんがネレイスだったからだ。
五年前の大豪雨の時に波に攫われてそのままネレイスとして生まれ変ったが、世間体も合って普段は奥座敷で病人の振りをして誤魔化していたそうだ。
で、どうもお母さんの評判が余り良くない事を聴き、更に離婚話が持ち上がって僕が家で孤立しているのではないかと気にしてくれていたらしい、其処でお父さんと相談して僕を一時的に祖父の家で預かると言う形を取ったとの事だ。
そして、どうも色々な魔物娘達が僕の周りに来たのは祖母の差し金だったらしい、全く生きる気力を失くして絶望していた僕を見兼ねてネレイスに成ってから新たに構築した『井戸端会議網』を駆使して八方手を尽くしてくれたようだった・・・、ただ元々この海に居た海並と僕がくっ付いてしまったので事実上、不発だったようだが。
「ほんと呆れたわ・・・、レヴェアちゃんとミノーネちゃんからは『あんな目をした子は襲えない』なんて言われちゃったしね・・・」
心底呆れたと言う顔で眉間に皺を作りながら深い溜め息を吐く祖母・・・、ネレイスとなった御陰で祖父曰く『若い頃と全く変わらん』そうだ、因みにレヴェアと言うのがサキュバスでミノーネと言うのがミノタウラスらしい。
「しかし・・・、『変わり者の水難(みずなんぎ)家』の御嬢ちゃんとくっ付くとはね」
言葉とは裏腹に、ニヤニヤ笑いながら僕達を見詰める目は優しい記憶に有る祖母の目だった。
どうも海並の家・・・、水難家はこの辺りでは有名な家で代々海に住むマンティスとしてこの地域で生きて着たらしい。
魔界からジパングに移り住んだ際に御告げで『山では災難に合うので海に住めは災いから逃れられる』と聴き、それ以来この辺り一帯に住みだしたようだ。
そんな話を海並は無表情な顔で聴きながらも触覚が僕の方をせわしなく向き、ソレを視ているだけで何とも言えない暖かい気持ちに成る僕が居る。
一通りそんな話をしてからの祖母の動きは速かった、親類一同を集めて親類会議を開き、母の心を完全に折って僕は遠い親戚に当る『白山の伯父さん』の家に養子として行く事に成り住所は祖父の家に成った。
最後まで『お金が〜』と言い続けた母を見て、祖母が少し悲しそうに『あんな子に育ててしまったかね・・・』と一言漏らしたのが本当に悲しそうだった。
祖母は僕に言った『魔物娘は心に酷い傷を負った人間を放っては置かないよ、誰もアンタを視ていなかったんじゃない、アンタが外の世界を否定していただけだからね』と。
僕は今その言葉を実感する、海並の御陰で・・・。
そして、彼女と出会って二年目の夏が来た。
「総十どうかな?この水着?」
上目遣いでモジモジとしている様は俺にしか見せない可愛い姿だ、俺達は祖母の家を出て、海並が住んでいた岩場で今は暮らしている。
「ああ、似合っているよ海並」
頭を一撫でしてパレオを着た彼女を引き寄せてキスをする、今ではすっかり筋肉が付いて浅黒くなった俺の両手の中で彼女は微笑む。
二年前までは青白くひょろひょろだった俺だが、最近では地元の漁師から『波の総統』なんて言われる素潜り漁師に成っていた。
「御婆様から頂いたの、あなたが気に入ってくれて嬉しい!」
キラキラ輝く彼女の瞳が、俺達の未来を照らしているようだった。
「おいおい、あまり身体を押し付けるとお腹の子に響くぞ?」
「大丈夫よ、魔物の子は丈夫だから!早くこの子にも教えてあげたい、『気持ち良い事』が悪い事ぢゃないって事を・・・」
そう言って目を細めて自分の懐妊した腹を撫でる姿は、『聖母』その物だと俺は思った。
ただただ広く青い海、空の蒼と混ざって無限に広がるその蒼碧の世界を・・・。
僕は、周囲から浮いていた、虐めにも合わないし、喧嘩もしなかった、でも、親友と呼べる友達も居ないし、恋人も居ない、両親は離婚調停中で裁判をして、僕は、母方の祖父の家に預けられていた。
僕は、悲しいとか、寂しいと言う感情を持つ事が無かった。
誰かの事で感情を持ったり、心が動いたりする事が無かった、だから感動と言うモノを感じた事が、無かった。
だからなのかな、誰にも僕の事は目に映らないようだ。
目の前で楽しそうに友達と遊ぶ小さい子供達、手を繋いで海岸線を歩く母子、時々談笑して楽しそうに横切る恋人達、酔っ払って大の字になって寝るサラリーマン、それだけじゃない、僕の隣で絵を描いていたリャナンシー、雨の日に陸に上がって来たぬれおなご、日焼けをしに来たミノタウラス、子供達に混ざって遊ぶアリスとピクシー、面積の少ない水着を着て男を漁るサキュバス・・・。
誰も僕の目の前を通っても声は掛けない。
僕は、何時も、一人だった。
あの日までは…。
その日も何時ものように海を眺めていた、白い波が生まれる紺碧の水面を。
ザバッ!
ザブザブと音を立てて無表情のまま上がって来たのはサハギン・・・、ではなく海に居る筈の無いマンティス、しかも彼女は乳首と股間をテープで隠すだけでほぼ全裸だった。
パシャ、パシャ、トス、トス、トス・・・。
髪から滴り落ちる海水が入らないように半開きの目には獲物を狙う捕食者の意志を宿し、無表情で真直ぐ歩み寄って来るその態度には確固たる意志を滲ませながらそのマンティスは僕の目の前に進んで来た。
「・・・。」
「・・・。」
無言で互いを見詰めるが、僕は、ぼんやりと眺めているだけ、マンティスは猛禽類のように鋭く僕の動向を探っているようだった。
不意に僕の身体が宙に浮く、マンティスが自分の肩に僕の腰を乗せそのまま担いだからだ、目の前には紺碧の海は無く白い砂浜と形の良いマンティスのお尻だけ視得た。
トストストストストス、パシャパシャパシャ、ザブザブザブザブ・・・。
マンティスは僕を背負ったまま海に入りそして泳ぎだした、僕が居た海岸をぼんやり眺めながら僕は彼女に担がれる形で沖合いに出て少し離れた岸壁の亀裂で出来た横穴まで運ばれた。
ドサッ
僕は少し滑らかな岩肌に無造作に放り投げられた、そしてマンティスは自分の股間の前張りを剥がすと同じ様に無造作に僕のズボンを脱がし、下半身を露出させた。
獲物を見下す目のマンティスと、見下す存在をただ見上げるだけの僕の瞳が重なる。
大の字に開いた僕の足を跨いで、マンティスはM字開脚に成ると無駄の無い動きで自分の股間に僕の少し勃起した包茎を宛がい・・・。
「「ウッ!ツゥッ!」」
一気に彼女が腰を下ろした途端彼女と同時に僕は唸った、鈴口に強烈な痛みが生じ感覚が麻痺する、痛みで閉じた目を薄っすらと開けるとマンティスも目に涙を浮かべながら身動ぎせずフゥフゥと息を整えていた。
その様子を見上げる僕に気が付くと彼女は身体を起こし上下に腰を動かし始めた、亀頭からの鋭い痛みも何故か彼女のマンコから垂れ流れる幾筋の血を見ていると『耐えないと』と思い、締め上げられる逸物に意識を集中する。
「フッフッフゥッフクゥッ!ふぅんっ!ふんふぁっ!ふぁっ!んふっ!」
冷淡に見詰めながら単調な上下運動を繰り返していた彼女の表情が不意に変わり始めた、見下していた目は徐々に左右に泳がし、口は声を抑えようとしているが腰が下がり僕のペニスが彼女の子宮の口にキスをする度に甘い吐息を口から漏らす。
「ふやっ!なにっ?なに?コレッ?わからっないっ!ふやぁぁっ」
少しふくよかな胸の下でおなかを守るように腕組みする彼女の姿はもう獲物を狙う猛禽類ではなく、一人の恋する少女の戸惑う姿そのものだった。
その表情を見た時・・・、いや多分挿入した時から僕は何かが変わっていた、何故なら彼女が腰を動かさなくても彼女は上下に動いている、そう僕が彼女を下から突き上げていた。
「んっ!あっ!んふっ!ふぁっ!あ!ああっ!んあっ!あなたっ!」
『あなた』と言われた瞬間、彼女を『俺の女』と直感的に認識し俺は仰向けの状態で彼女の手の平を自分の手の平で包んで指を絡めるようにして握った。
「あああっ!コレッ!なんだっ!ママッ!あたしっ!解ったよっ!ああっ!あなたっ!大好きッ!ンンッ!」
「僕が待っていたのはっはぁっ!『君』っ!だったんだっ!ぅっ!おあっ!俺もっ!大好きだっ!ンッ!!」
俺は待っていたんだ、学校の先生でもなく同級生や友達でもなく視も知らない親類でもなく、ましてや金の為に親権を争っている両親なんかではなく・・・、心の其処から【愛しい】と思える女(ひと)を。
そして、今俺達は出会った互いを【愛しい】と言える片割れを、その【愛しい】存在と触れ合える喜びを分かち合っている。
言葉では無く思いと行為で気持ちを伝え合う、俺達はその激しい交わりの中で始めてのキスをした想いの全てを唇と舌と吐息に乗せて。
「んっ!ぅむんっ!んふっ!ふちゅっ!んっ!んっ!ちゅっ!レちゅっ!ぷあっ!ママもっ!こうだったんだっ!こんあにっ!きもちいいっっ!!あっ!」
何かを確かめるようにぬちゃぬちゃと腰を動かす彼女の動きがもどかしくて、俺は上半身の力で彼女を強引に後ろへ押し倒した、その瞬間彼女と目が合った、脅えたような期待するような羞恥に満ちているが全てを受け入れる表情で俺を上目使いに見上げていた。
そんな無防備で愛しい姿を視て、『自分のモノの証』を刻む事しか考えられない程今の俺は理性が無くなっていた。
「ああああっ!ああっ!あっ!あっ!あああっ!はげしっ!きてっ!もっとっ!もっとおぉぉぉおおおぉぉぉぉ!!!」
「うっうっうぐっううっ!うぐっ!ひっく!うっ!うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!」
俺は何時の間にか彼女を犯しながら泣いていた、悔しさと悲しみと喜びと愛しさと・・・、表現出来ない様々が感情が綯い交ぜに成って泣いていた。
ソッと頭を抱き締められた、俺の頭を包む両の腕は誰よりも優しく包み、自然と彼女と唇を合わせ俺の鈴口と彼女の子宮口もソレに習う様に深くキスをした。
ドビュッー!ドビュッ!ドビュッ!ドブッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッドクッドクッ・・・、ドクン・・・。
キスをした途端、今迄張り詰めていたモノの全てを吐き出すように彼女の子宮の奥に向って何度も射精した、ソレはあたかも孤独だった俺の心を彼女の胎内で温めて貰いたいかのように・・・。
「僕はクラスで『無視』されていたんだ・・・。」
行為の後、急に恥ずかしくなって僕は岩場の隅で顔を真っ赤にして小さく体育館座りしていると彼女・・・、海並(うなみ)と名乗ったマンティスが優しく僕を包むように抱き締める。
ポツリポツリと僕は自分の事を・・・、学校の事や近所の事、両親と住んでいた場所の事と今住んでいる母の実家の事そして両親の離婚の事。
悔しかった、僕の口から出る言葉は僕を馬鹿にして見下して居ない物のように振舞う人達の話ばかりで、ボロボロと涙が止め処無く頬を伝う、悔しい気持ちとこんな惨めな話しか出来ない自分が恥ずかしくて。
ソッと海並が僕の頬の涙を飲む様にキスをする、そして僕を見詰めて一言。
「私が居るよ、今迄どんなに辛くても今は・・・、私が総十(そうと)の居るよ」
その一言で僕は救われそして、彼女の胸の中で号泣した優しい彼女の身体と心に包まれながら。
次の日僕は決意した、その決意を告げる為に祖父の家に向った。
その後の事は驚く程トントン拍子に話が進んだ何故なら・・・、御祖母ちゃんがネレイスだったからだ。
五年前の大豪雨の時に波に攫われてそのままネレイスとして生まれ変ったが、世間体も合って普段は奥座敷で病人の振りをして誤魔化していたそうだ。
で、どうもお母さんの評判が余り良くない事を聴き、更に離婚話が持ち上がって僕が家で孤立しているのではないかと気にしてくれていたらしい、其処でお父さんと相談して僕を一時的に祖父の家で預かると言う形を取ったとの事だ。
そして、どうも色々な魔物娘達が僕の周りに来たのは祖母の差し金だったらしい、全く生きる気力を失くして絶望していた僕を見兼ねてネレイスに成ってから新たに構築した『井戸端会議網』を駆使して八方手を尽くしてくれたようだった・・・、ただ元々この海に居た海並と僕がくっ付いてしまったので事実上、不発だったようだが。
「ほんと呆れたわ・・・、レヴェアちゃんとミノーネちゃんからは『あんな目をした子は襲えない』なんて言われちゃったしね・・・」
心底呆れたと言う顔で眉間に皺を作りながら深い溜め息を吐く祖母・・・、ネレイスとなった御陰で祖父曰く『若い頃と全く変わらん』そうだ、因みにレヴェアと言うのがサキュバスでミノーネと言うのがミノタウラスらしい。
「しかし・・・、『変わり者の水難(みずなんぎ)家』の御嬢ちゃんとくっ付くとはね」
言葉とは裏腹に、ニヤニヤ笑いながら僕達を見詰める目は優しい記憶に有る祖母の目だった。
どうも海並の家・・・、水難家はこの辺りでは有名な家で代々海に住むマンティスとしてこの地域で生きて着たらしい。
魔界からジパングに移り住んだ際に御告げで『山では災難に合うので海に住めは災いから逃れられる』と聴き、それ以来この辺り一帯に住みだしたようだ。
そんな話を海並は無表情な顔で聴きながらも触覚が僕の方をせわしなく向き、ソレを視ているだけで何とも言えない暖かい気持ちに成る僕が居る。
一通りそんな話をしてからの祖母の動きは速かった、親類一同を集めて親類会議を開き、母の心を完全に折って僕は遠い親戚に当る『白山の伯父さん』の家に養子として行く事に成り住所は祖父の家に成った。
最後まで『お金が〜』と言い続けた母を見て、祖母が少し悲しそうに『あんな子に育ててしまったかね・・・』と一言漏らしたのが本当に悲しそうだった。
祖母は僕に言った『魔物娘は心に酷い傷を負った人間を放っては置かないよ、誰もアンタを視ていなかったんじゃない、アンタが外の世界を否定していただけだからね』と。
僕は今その言葉を実感する、海並の御陰で・・・。
そして、彼女と出会って二年目の夏が来た。
「総十どうかな?この水着?」
上目遣いでモジモジとしている様は俺にしか見せない可愛い姿だ、俺達は祖母の家を出て、海並が住んでいた岩場で今は暮らしている。
「ああ、似合っているよ海並」
頭を一撫でしてパレオを着た彼女を引き寄せてキスをする、今ではすっかり筋肉が付いて浅黒くなった俺の両手の中で彼女は微笑む。
二年前までは青白くひょろひょろだった俺だが、最近では地元の漁師から『波の総統』なんて言われる素潜り漁師に成っていた。
「御婆様から頂いたの、あなたが気に入ってくれて嬉しい!」
キラキラ輝く彼女の瞳が、俺達の未来を照らしているようだった。
「おいおい、あまり身体を押し付けるとお腹の子に響くぞ?」
「大丈夫よ、魔物の子は丈夫だから!早くこの子にも教えてあげたい、『気持ち良い事』が悪い事ぢゃないって事を・・・」
そう言って目を細めて自分の懐妊した腹を撫でる姿は、『聖母』その物だと俺は思った。
12/09/22 23:50更新 / 禍皇