白蛇の恩返し?
昔々あるところに一人の男がおったそうな。この男、とても人が良く困っている人が居れば、泥だらけになるのも構わず助け、疲れている人が居ればその人の分まで仕事をして、騙さているのを承知で金を渡すものだから周りのものからは、「カモの次郎」と呼ばれていたそうな。一人で暮らす家は傾き、障子は破れ、着るものも擦り切れ、草鞋すら履いておらず、それでも日々精を出して働いていたそうな。ある日次郎が、釣りをしていると子供たちが河原で騒いでおる。気になって見に行ってみると、一匹の白蛇が子供たちに棒で弄られておった。それを見た次郎は、すぐにやめるようにと声をかけると釣った魚全部渡せばやめると言う。すると次郎は釣り上げた魚を全部渡して白蛇を助け逃がしてあげたそうな。さて、その晩次郎の家の戸を叩くものが現れたそうな。誰だい?と声をかけながら戸を開けると一人の美しい女性が、立っておる。その女性が言うには、自分は昼間助けてもらった白蛇で恩返しをするために参りました、どうか私をそばに置いてくださいと言う。話を聞いた次郎は好きなだけいるがいいとその申し出を受けたそうな。それから次郎のもとには、とんとん拍子に良い話が舞い込み、日々の暮らしは良くなっていったそうな。それでも次郎の人の良さは変わらなかったので、周りのものは自分たちのおこないを恥じ入り、次郎のことを「次郎長者」と呼んで子供たちに次郎みたいな正直者になるんだぞと、語り伝えたそうな。
「ふう・・・・昔にはこんな素晴らしい人間が居たのですね。」
読み終えた本を傍らの机に置き、私こと白蛇の白羅は目を閉じる。
(今回の本は、当たりですね。)
そんな事を思いつつ、部屋の本棚にその本を置く。それから本棚を眺める。目の前にある本棚には、全体の半分ほどが埋まっている。内容は私たち魔物娘が素敵な人と幸せに暮らすものばかりだ。なかでも私の種族である蛇が出てくる話がお気に入りだ。反対に退治される話は嫌いだ、目に入れたくもない、見つけたら即破り捨てる!と、公言している。
「だからって図書館出入り禁止はないと思うんだけど」
「そりゃそうだろう。」
すぐ返ってきた返事に白羅は、ムっとすると声の相手に目を向けて、
「当たり前でしょ。どこの世界に自分の仲間が傷つくのを喜ぶ人がいるの?退治されるなんてもってのほかよ!」
「でもさ、ただのお話だろ?そんな目くじらたてること・・・・」
「だからよ!!」
バンバンと机を叩いて声の相手博人に詰め寄る。
「貴方も恋人が傷ついたり、退治されたらヤになるでしょ?それと同じよ!」
「ま、たしかにそうだな。」
「でしょ。」
「と、言ってもな・・・・」
「な、何よ?なに、そのジト目は?」
「本屋見かけるたびに入って気に入らない本があるたびにその場で破るは、暴れだすは、挙句の果て町の書店全てに入店拒否を受けたのはどこの誰ですかね?」
博人の言葉に白羅は、思わず目をそらす。事実なのだから仕方がない。たまたまそばにいて暴れる白羅を博人が難とか取り押さえなければ、記念すべき五十店目になるところだった。
「ま、そのおかげでこんな美人と出会えたんだからいいでしょ。料理上手、家事万能、床上手のまさに良妻賢母なこの私と。」
「自分で言うかね・・・・」
その言葉にため息をつき、目の前に積まれた被害請求のヤマに博人は手をのばすのだった。
「何、この話は!神様のくせに!他人に退治させて、自分の盾に張り付けるなんて!ゆるせないわね!!」
「はー、胃が痛い・・・・」
「ふう・・・・昔にはこんな素晴らしい人間が居たのですね。」
読み終えた本を傍らの机に置き、私こと白蛇の白羅は目を閉じる。
(今回の本は、当たりですね。)
そんな事を思いつつ、部屋の本棚にその本を置く。それから本棚を眺める。目の前にある本棚には、全体の半分ほどが埋まっている。内容は私たち魔物娘が素敵な人と幸せに暮らすものばかりだ。なかでも私の種族である蛇が出てくる話がお気に入りだ。反対に退治される話は嫌いだ、目に入れたくもない、見つけたら即破り捨てる!と、公言している。
「だからって図書館出入り禁止はないと思うんだけど」
「そりゃそうだろう。」
すぐ返ってきた返事に白羅は、ムっとすると声の相手に目を向けて、
「当たり前でしょ。どこの世界に自分の仲間が傷つくのを喜ぶ人がいるの?退治されるなんてもってのほかよ!」
「でもさ、ただのお話だろ?そんな目くじらたてること・・・・」
「だからよ!!」
バンバンと机を叩いて声の相手博人に詰め寄る。
「貴方も恋人が傷ついたり、退治されたらヤになるでしょ?それと同じよ!」
「ま、たしかにそうだな。」
「でしょ。」
「と、言ってもな・・・・」
「な、何よ?なに、そのジト目は?」
「本屋見かけるたびに入って気に入らない本があるたびにその場で破るは、暴れだすは、挙句の果て町の書店全てに入店拒否を受けたのはどこの誰ですかね?」
博人の言葉に白羅は、思わず目をそらす。事実なのだから仕方がない。たまたまそばにいて暴れる白羅を博人が難とか取り押さえなければ、記念すべき五十店目になるところだった。
「ま、そのおかげでこんな美人と出会えたんだからいいでしょ。料理上手、家事万能、床上手のまさに良妻賢母なこの私と。」
「自分で言うかね・・・・」
その言葉にため息をつき、目の前に積まれた被害請求のヤマに博人は手をのばすのだった。
「何、この話は!神様のくせに!他人に退治させて、自分の盾に張り付けるなんて!ゆるせないわね!!」
「はー、胃が痛い・・・・」
11/10/06 20:15更新 / 名無しの旅人