- *はるか昔の記実*終わりの始まり* -
これは昔の話だったかもしれない。我が国の歴史はとても深く変化してきました。
その昔には旧魔物時代という時代もある程です。
その時代では魔物は魔の者らしく振る舞い
弱肉強食による殺戮と略奪を行っていました。
人々は魔物を忌み嫌っていたが
人外の存在に人間が適うはずもなかったのです。
人々はとても不安な日々を過ごしていたが
稀にこの世界の神様 - 主神様 - の加護を受けた者
すなわち神に選ばれた人間が現れ
神聖な力で魔物を退けてくれたそうです。
神に選ばれ加護を受けた人間を - 勇者 - とし
人々は称え、それを後世に語り継ぐ事にしました。
後世に語り継ぐと共に世界には
勇者の資質を持つ人間が増えたのです。
そして、ある勇者と魔族の中の異端者が
その時代の魔王を討ち取ったという話です。
それから世界は、変化を始めました。
魔族の異端者といわれた1人の淫魔が
魔族の王の座に着いたところから変わりました。
殺戮は愛好へ、略奪は援助へ
醜悪な魔物は艶美な魔物娘へと移りました。
それから魔物は人々へ友好な存在となり
人間の中でも魔物を受け入れる動きもあったのです。
ですが、根付いた不安と不審、絶望は消えず
それでも神にすがりつく人間たちがいたのです。
彼らが作りだしたのが神を信仰する組織
魔の者を悪と断定し処断する - 教団 - を。
今の世界の国と人間は2つに分類されます。
魔物に心を許し共存を決意した親魔物派。
魔物を受け入れられず拒絶する反魔物派。
これは、この世界を。
人間が魔物に振り回される世界を
ひっくり返そうと考えた1人の学生の計略です。
〜*〜*〜*〜
教団国家の一つでもある教都。
この国には少しの信仰者と騎士団があり
そこまで広くはないが豊かな国だと言えます。
その周辺には貧しくも身を寄せ暮らす人間
スラム街を必死に生きる人々も存在しています。
教団はそういった所からであっても
勇者の資質を持った人間を勧誘しに向かいます。
むしろ、そういう屑の掃き溜めの様な場所に
才能を秘めた人間が紛れ込む事があるのです。
特別希少な人材ではあるが現在教都には
その変わり種が10人かそれ以上はいるのです。
そして、今日もここに1人の青年が。
〜*〜*〜*〜
"はぁ。。。今日も食べ物は無い…か。"
スラムの汚れた路地裏で青年が肩を落とす
病的に白い肌、黒い瞳、黒い髪の毛。
その日も - アデル - は空腹に負けていました。
"くそッ。。これじゃあ本当に死ぬぞ…?
僕は…。僕は。このまま終わるのだろうか…。
だったら、なおさら此処の人達と同じには…。。
同じに…。。なりたく…ない。。」
アデルはこの最低最悪な状況にあっても
決して誰かに迷惑をかける事をしなかったのです。
「せめて、仕事があれば…なぁ…。。"
スラムの世界で出来る事は限られてしまう
スリ、盗み、運び、騙し、脅し、詐欺、暴力
アデルはそれらを全て断っている
ここへは売られてきたといいますのに。
彼が何処の生まれでどういう家族構成か
知る由もなければ、知る機会もないでしょう。
"僕は。また明日。生きられるかな。。"
〜*〜*〜*〜
がしゃりがしゃりと音が聞こえる。
鉄の擦れ合う音がたくさん聞こえる
おそらく騎士様たちが来たのでしょう。
「あいつか?」
「おそらくな」
「確認する」
「特徴は」
「白い肌」
「黒い髪の毛」
「そして」
「黒い…瞳」
「おそらく…あたりたな」
腹が減った…。もう今日は動けない。
明日、朝一番で水溜まりの水でも口に入れよう。
何か…話し声が聞こえるきがするな。
でも、いいや。。
「よし、運ぶぞ」
「「「はッ!!了解!!!」」」
〜*〜*〜*〜
今、僕はきっと夢を見ている。
僕は何かの研究施設らしき所で実験されている。
「大司教、上手く出来そうですよ」
「・・・。それはなにより。」
僕を近くで見つめる2人と
その後ろで見学している10人の人影。
「みなさん、彼が■■ですよ」
「皆、拍手を」
僕は何かの実験を施されてしまい
その何かはよくわからずも成功したようだ。
辺りからはパチパチパチと乾いた音が響く。
〜*〜*〜*〜
"ここね。ようやく入れたわ
なんて厄介な魔術をかけているのかしら"
教都において、あってはならない存在
魔王の娘が1人、リリムが入り込みました。
"ここであんな研究をしているのね
犠牲が一つでも減らせるようにしなきゃよね"
この日 - ノエル - はとても気を張っていました。
数ある教団国家の中で、唯一音沙汰の無い国
何も無いと他のリリムが高を括る中で
何故かノエルはこの教都が気になっていました。
"誰も気にとめないのね…。
だけども何かがおかしい気がするわ…。
そういえば、教都から各国へ宛てた
特別な手紙が運ばれるらしいわねぇ…。。
その内の一つを釣ってみましょうか。"
そして、ノエルは見てしまったのです。
"これが…本当に…。?。"
〜*〜*〜*〜
今日はこの近くに教都の騎士が来るのね
一体何が目的なのかし…ら…あら?
「よし、運ぶぞ」
「「「はッ!!了解!!」」」
これ、マズいんじゃないかしら。
人が1人運ばれていくわ。
入り込む機会があるのならば
きっと、今なのかしらね。
ノエルはそっと騎士たちを追いかけ
彼のことを、心配する。
〜*〜*〜*〜
"さて、ようやく入れたのはいいけれど
これはどうしたらいいのかしらねぇ。"
中央には青年とと2人の信徒がいる
そして、それを囲むように10人の気配がする
"ただ…。本当におかしい、おかしいわ
ここには人間の男しかいないはずなのに。
いえ、あの計画が本当だとすれば
私たちの勘が働かないのも納得かしらね"
「さて、諸君。気付いているか?
この場に相応しくない招待客をね」
「おやおやぁ?いますか?
そんな無粋な事をする方が…
あァ、人間じゃない方ですかね」
刹那、10人分の殺気がノエルへ刺さる
ノエルは入れ替わるように転移魔法を使う。
中央に移動したノエルは対峙する。
「念の為、聞こうか
魔物風情が何しにきた?」
「大司教サマ。合図はまだですよ
ボクは研究者なので避難がいるので」
"とりあえず、彼を頂くわ"
ぱちっとノエルが指を鳴らすと
アデルの拘束が解け自由の身になる。
"僕は…。一体…?"
"まずは、逃げるわね?"
「ワタシは逃がすと言ったか?」
「大司教、アイツ転移を」
"それでは、みなさまごきげんよう"
〜*〜*〜*〜
「逃げられてしまいましたねェ」
「彼を連れ戻せ」
「だ、そうですよ。
聞いていますか?石ころのみなさん」
静観していた影はそれぞれ口走る。
"オイラにゃあ、何もできやせんぜぇ?ククッ"
"やれやれ、自分はめんどうなんだが"
"余は行くぞ。我がチカラにて奴らを…ブツブツ"
"はいはい、ほなワイの出番でもありますなぁ"
"俺は魔物の動きを見て回るとするかね"
"貴様ら、このオレに手間をかけさせるなよ"
"僕は今回も自由にさせてもらうから〜"
"くだらん。"
"ボク?は…全部…消セば…イイ?"
"私が指揮を取りましょう、いつも通りね"
「やれやれ大丈夫なんですかね
まぁ、アナタ方の最終調整は完璧ですよ」
「お前たち、それぞれの地へ赴き
先程の最後の石 ■■ を連れ戻せ」
その言葉を最後に10人の影は散りました。
〜*〜*〜*〜
"とりあえず、撒いたかしら
だけども油断はできないわねぇ"
"君は…僕を助けてくれたの…?"
"一応、そういう事になるわね
それから、君じゃあなくてノエルよ"
"あっ!ごめんね、ノエル。
僕はアデルっていうんだ、よろしく。"
"よろしくね、アデル
ところで、その手に付けてるのは何かしら"
"手…?えっ?、えぇっ"
"どうやら本当にマズいわね"
アデルの右手には指輪がありました。
その指輪は、まるでこれから見る事になる
絶望を織り込んだような綺麗な黒い石ころでした。
【作者より。】
ひとまず、読んで頂きありがとうございます。
キャラクターをどう出していくか
どうやって話を進めていくのか
伏線はどうするべきか、悩んでます。
まぁ、どうか期待せずにお読みくださいませ。