遍く世界の片隅で
ダスティは酒場でグラスを傾けていた。
彼の背後では仕事を終えたギルドメンバーが飲めや歌えやで踊り狂っている。
雑な作りのこの酒場兼ギルドの建物は、所々にガタがきており多少な振動でも充分店全体が揺れる。…つまり今かなり揺れているということだ。
ハァと溜め息を吐く。
このギルドに来てから3年が経つが、未だにここの雰囲気に馴染めずにいる。ワイワイガヤガヤ依頼に向かうのも、仕事の後にああして騒ぐのも正直苦手だ。だから、俺は依頼に行くときは1人が多い。というよりはほぼ1人だ。おかげでギルド内には未だに友と呼べる者はいない。
もっとも、長い間北方の帝国と公国の戦場で傭兵をしてきた俺にとってはこのギルドにおけるS級の依頼までなら1人でも充分こなせるから何ら問題はないのだが。
ダスティはまたグラスを傾ける。そして少し顔を顰めた。
「…やはりまだこの酒は早かったか。」
「あらダスティ、リナさんはあっちでグイグイ呑んでるわよ？」
カウンターでグラスを布巾で拭きながらレナが話しかけてきた。
促されるままにカウンターの端を見ると、右眼に眼帯をした筋肉質の女性が樽でダスティのと同じ酒を呑んでいた。
「…あれは化け物だよ。」
「こら！レディにそんなこと言っちゃダメでしょ！」
…全身に古傷の刻まれたムキムキ眼帯女のどこがレディなのだろうか？
至って常識的な疑問を込めた目で人差し指を立てて『めっ！』と言わんばかりのレナを見つめる。
レナ・アルビーノ。煌めく金髪を風にたなびかせているロングヘアの彼女は、このギルドの長、エンキ・アルビーノの一人娘だ。
筋骨隆々のギルド長の娘とは思えないほど可憐なこの美少女はギルド内では半ばアイドルと化しているうちの看板娘だ。
「…て、そんなことより！ダスティに急な頼みがあるんだった！」
頼み？
いそいそと後ろの棚から一枚の古びた羊皮紙を取り出し、カウンターにドンと叩きつけた。
「仕事よ！」
「…とりあえず来てみたものの。…ここ本当に人住んでるのか？」
廃墟と化した村の入り口にダスティはいた。
レナが提示してきた羊皮紙には『我々の村に迫る王国軍を止めて欲しい』との事だったが…
「…俺が間に合わなかったという事か？」
いや、それにしては時を感じさせる荒廃の仕方だな。おそらく人が居なくなってから10年以上は経過している。
レナによればこの依頼用紙は、昨夜突然訪ねてきたボロ絹を纏った老人から手渡された物だと言っていた。その老人は羊皮紙を手渡すと直ぐに立ち去ってしまったらしい。
「…あらためて思い返すと随分不明点の多い依頼だ。」
溜め息を吐いたダスティは、先ずこの廃墟と化した村を探索することにした。
煉瓦造りの家々はかなりの損傷だった。屋根は崩れ、壁も崩壊している。中の家具は荒らされた様に散らかっていた。
この村で戦闘があったのは間違いないようだ。もっとも、戦闘ではなく一方的な虐殺が行われた可能性もあるが。
「とりあえず、あの家から探っていくか。」
手近の家から一軒ずつ探っていくのが得策だろう。依頼には間に合わなかったのだから、せめてちゃんとした事実だけでも調査して届けなければあの老人も報われん。
家の中は相変わらず散らかっており、様々な家具が散乱していた。…奥には人骨と見られるものも三体分見受けられた。うち2人は成人であり、各部位の欠損も見られた。
そして、もう1人は他の2人より小ぶりで子供の骨であるのは明白だった。
「…子供まで…酷い事をする。」
子供の骨の傍には、その子のものと見られる星型の髪飾りが転がっていた。
ダスティは徐にそれを拾い上げた。
「………くそっ。」
髪飾りを眺めていたダスティは遣る瀬無い気持ちでいっぱいになった。
依頼を受けた時既にこの村は廃墟となっていた。間に合うはずもない。そんなことはわかっている、そういう問題ではないのだ。ダスティにとっては。
「…俺は結局、何も守れないのか？」
過去を引きずってはいけないことはわかっている。だが、頭で理解していても心が、それを許さない。忘れてはならないと、背負い続けろと告げている。
ダスティもそれを受け入れていた。否、彼自身がそうしていたのだ。
「…逃れるつもりはないさ。一生背負って生きてやる。それが俺の義務だから…」
髪飾りを握る手に力が込もる。
ダスティが髪飾りを握りながら焦燥感に浸っていると、不意に背後から声がかけられた。
「…ダスティ？」
「っ！？誰だ！！」
俺の名を知っている？
驚いたダスティは咄嗟に抜剣し、素早く振り返る。この動きも傭兵時代に夜襲や奇襲を受けまくって身についた技能なのだが。
「ひっ！？ごめんなさい！！」
突然怒鳴られた彼女は驚いて咄嗟に謝る。そして、向けられた剣に過剰なまでの恐怖の眼差しを向けていた。
怯える彼女を見て、声の主が少女と知ったダスティは慌てて剣をしまい、謝罪を述べる。
「あ、すまない！まさか君のような少女がこの廃墟にいるとは思わなくて…」
途中で言葉を詰まらせたダスティは、この少女に見覚えがあることに気づく。
たなびく長髪に切れ長の目、色は変わっているが間違いなくあの頃と変わらぬドレスを纏った幼馴染みの彼女がそこにいた。
「レイン…」
「あ…やっぱり。ダスティだったのね。…もう、いきなり大声出すから驚いたわよ。」
生まれ故郷の村で、昔からよく遊んでいた1人の少女。裕福な家の娘でありながら男の子である俺と夕方まで野原で駆け回っていたお転婆娘。13の時に俺は父の仕事の関係で村を離れる事になり、そのあとも各地を転々とするうちに一度も村には帰れなかったのだが。
当時そのままの姿のレインに困惑するダスティ。それを見て彼女はクスッと笑う。
「この姿に驚いてるのね。そうよ、私あの頃と変わってないの。」
「…どういうことだ。」
不可思議な状況にダスティは警戒心を顕にしながら尋ねた。
すると彼女は驚くべきことを口にした。
「だって私、もう死んでるもの。」
このあと彼女から聞いたのは、俺が村を出た後の村の顛末と彼女が死ぬまでの経緯だ。
今から12年前、俺が13歳で村を出て行ったすぐ後、村は隣国のテスタリア王国の軍によって侵略を受けた。レイン一家はなんとか村を脱出したが、途中で数人の兵に囲まれてしまいなんとか逃げきるも、その際にレインの父が負傷し近くの村に逃げ込んだ。
傷の療養の為に1年程暮らしていた。しかし、その平穏も長くは続かず村の制圧を終えた王国軍が更に南進すべくレイン達の暮らす村にも侵略を開始する。
突然の侵攻になす術もなく蹂躙される村人たち。…その情景を語るレインはとても苦しそうで、思わず制止してしまった。まあ、語らせるまでもなく惨たらしいものだったのは想像がつく。伊達に傭兵をしていた訳ではない、戦場の残酷さは充分に理解しているつもりだ。
家の中に突然押し入ってきた兵達に両親は惨殺され、レイン自身も捕まり犯されかけたが、その時男の腕に噛みつき逃げ出そうとした。だが、激昂した男に斬り殺された。…との事だった。
「…それで気がついたらこの姿になってた。目が覚めた時、目の前に血塗れで冷たくなった両親が倒れてたから自分が死んじゃった…ってのは分かったけど、この姿が何なのか、自分は何になってしまったのかは結局分からなくて…」
笑顔を浮かべながらもどこか哀しみをはらんだ声で語るレインの姿は、ダスティには寂しげに見えた。
あの頃と変わらぬ彼女が今、目の前にいる。その事にまだ慣れないダスティは、もう一つ不可思議な感情が己の内に湧き上がってくるのを感じた。
青白い顔に真っ白な髪、以前とは雰囲気も少し変わった気がする。時折見せる人を嘲笑うかのような笑みと、なにより、情欲を唆るなんとも言えぬカラダ。あの頃から年齢経過は止まっている筈なのに、昔とは比べ物にならない程に妖艶な魅力を醸し出している。
そこまで考えて、今自分の股間が怒張しそそり立っている事に気づく。
「…ダスティ、私で興奮…してるの？」
いつから見ていたのかレインが、ズボンを押し上げ膨れ上がらせている股間部を興味津々に見ていた。その目は酔ったように虚ろで、顔も上気して…
「って、どこ見てるんだレインっ！！？」
「うひゃっ！？ご、ごごごめんなさい！！これは、えっと…別に興味があったとかじゃなくて…！…えっと。」
ダスティが慌てて股間を手で隠した事で、己の痴態に気付いたレインは顔を真っ赤にしながら両手をブンブン振って必死に弁解をした。
「ハッ！！まさかお前、俺を…襲う気なのか？」
「ちっがーーーう！！違うから！そういうアレじゃないって、ホントに！！」
激しく動揺するレインに疑いの視線を送るダスティだったが、やがて溜め息を吐くと警戒を解いて本題に戻った。
「…ところで、お前の今の姿についてだが。」
「あ…うん。最初は幽霊になっちゃったのかと思ったんだけど、実体化すれば普通に物にも触れるし、タンスの角に小指ぶつけた時もすごく痛かったから多分、普通の幽霊じゃないのは分かったの。」
症状の詳細を聞いたダスティは顎に手を当て少し考えてから、真剣な眼差しでレインに向き直った。
「ふむ…話を聞く限りでは、恐らくお前は魔物になったのだろう。」
「ま、魔物…」
魔物と聞いて少し不安そうな素振りで俯くレインだったが、直ぐにまた明るい笑顔になって口を開いた。
「…なーんだ、私、魔物になっちゃっただけだったんだね！ふむふむ、そっかそっか…」
あっけらかんとした態度で、さっきのダスティ顎に手を当てる仕草を真似しつつ納得した様に振る舞うレインの本心に、ダスティは気付いていた。
幼い頃を共に過ごした仲だ、相手の嘘に気付けないほど安い関係だったわけじゃない。第一、いきなり自分が魔物だと言われて平静でいられるはずがない。
無理して明るく振る舞うかつての幼馴染みにダスティは無性にある感情が湧き上がってくるのが分かった。
彼女を守りたい。
既に死者となった彼女だが、この世に再び魔物として再誕した。それはもはや死者ではなく、一つの生命と言っても間違いではないはずだ。
考察する間も溢れんばかりに沸き起こるその感情の奔流に耐えられなくなったダスティは無意識的にレインを押し倒していた。
「きゃあっ！？ちょ、ダスティ！？」
突然押し倒されたレインは訳が分からず困惑した表情を向けてくる。これから何をされるのかという恐怖と、ダスティに触れられているという事象に対する興奮とが混在したなんとも言えぬ面持ちの彼女を見たダスティの心は更に昂った。
そして、胸元に手を掛け…た所で彼女の肩が震えていることに気付いた。
「！レイン、お前…」
「あ…」
小刻みにふるふると震えながら目尻に僅かに涙を浮かべる彼女を見てようやく自分のしている事に気付いたダスティは慌てて身体を引く。
「ご、ごめん！！あの話を聞いた後で、俺はなんてことを…」
ガシッ！
「…違うの。怖いんじゃなくて、嬉しいの！…私、ずっと…ずっとダスティの事が好きだったんだから！」
「レイン…」
突然の告白に、驚きのあまり返答も出来ずに暫しフリーズしてしまう。その隙にすかさずレインは唇を重ねてきた。
「んむっ！？」
「んちゅ、んん…！」
身体ごと抱き寄せ必死に想いを伝えるように唇を重ねてくるレイン。繰り返される激しい口淫になす術もなくダスティは、口から全身を伝わる快楽に身を委ねるしかなかった。
暫く口内を貪ったレインは「ぷはっ！」っと顔を離しトロンとした瞳でダスティを見つめた。
「…よかった、貴方にファーストキスをあげられて。貴方のためにずっと取って置いたんだよ。」
虚ろな瞳で微笑みかける彼女は今までで見た事がない程妖艶で、魅力的だった。
彼女の微笑みに理性を吹き飛ばされたダスティはすぐさまレインの胸を覆う衣服を破り捨て、露わになった青白くも整った乳房を無我夢中で貪った。
「あん！そんな…がっつかないで…！乳首取れちゃうよぉ…」
そんな呟きは今のダスティに届くはずもなく、レインの胸を心ゆくまで堪能したダスティは次に彼女の秘部を求めてスカートをかき分ける。
「！！」
そこに下着は無く、ぐちょぐちょに濡れそぼった割れ目が丸出しになっていた。
この情景に更に興奮したダスティは一心不乱にレインの秘部を舐め回した。
「んあ！ん、はぁ…」
その間、レインは何度も絶頂を迎えた。
秘部をびしょびしょになるまで舐め回したダスティは、遂にズボンから怒張した肉棒を取り出しレインの秘部に当てがった。
「え？あ、ま、待って…！」
ズブッ！！
「んひぃぃぃぃ！！！？」
ブチブチと処女膜が破れる音がするが、レインには殆ど痛みは感じられなかった。そしてもちろんダスティにその音が届いているはずもなく根元まで捩じ込もうと更に腰を押し進める。
「ちょ、もうこれ以上は…む、りぃぃぃ！！」
問答無用でダスティは腰を押し進める。そして子宮をこじ開けたところでようやく根元まで差し込む事に成功した。
子宮口までこじ開けられたレインは全身を電撃の様に駆け巡る快楽によって失神寸前になっていた。
正常位の状態でダスティは激しく腰を前後させ始めた。それと共に子宮まで入りかけた肉棒が出し入れされその度にダスティ、レインの双方に凄まじい快楽が迸った。
やがて、更によく出し入れ出来る様にレインに覆い被さる形で腰を打ち付け始めた。
上から打ち付けられる形になったレインは、常に最奥を突かれる刺激で何度も意識を飛ばしていた。
「っ！ふっ、ふっ、ふっ！！」
「！出るの！？中で出して！奥に、奥に種付けして！貴方の精液でマーキングして！！」
「！！！！」
ビュクン！！
「あぁ！！キタっ！中に熱いの注がれてるぅ！」
一度、激しく腰を打ち付けたダスティはビクビクと身体を震わせながらレインの子宮に直接精液を注ぎ込んでいた。
「あ…ぁ…はぁ、ぁ！」
一頻りの射精を終えたダスティはその場に力無く倒れ込んだ。レインも秘部から大量の精液を溢れさせながら失神していた。
ダスティはベットに腰掛けていた。横にはレインが腕を絡ませながら寄り添っていた。
ダスティは不意に声をかけた。
「レイン…」
「ん？」
レインをチラリと見て、少しためらう。そして意を決して口にする。
「…もし君がよかったら、その…俺と……一緒に、来ないか？」
「…え？」
突然の言葉にレインはポカンと口を開けている。
「今俺、大きな街のギルドに所属しててさ、依頼もかなり高額なのが多いし家にも金が有り余ってる。だから、十分お前を養っていけると思うんだ。…あ、あと、それにこんな廃墟で1人ってのも危ないし…！それに…えっと。」
頬を赤らめながら、必死に言うダスティを見てレインは思わず、クスリと笑ってしまった。
「な、なにかおかしかったか？」
「ふふ…いいえ。そうね、か弱い女の子が1人で廃墟にいるなんて危ないですものね。」
「お、おう。だから…俺んちに、来いよ。飯ぐらい食わせてやれるからよ…」
みるみる赤くなるダスティを見てクスクスと笑いながらレインは「是非お願いするわ。」と満面の笑みで返した。
それを見てますます顔を赤くしながら、ダスティは「おう…任せとけ。」と呟くような声で答えた。
翌日、残りの調査を手早く済ませたダスティはレインと共に街へと帰還した。
酒場に入った途端、全員の視線が俺たちへと注がれた。
「だ、ダスティお前…」
「お、女の子…？」
どうやら普段無口な俺が女子と一緒にいるのが不思議らしく、珍しいと言わんばかりの視線を向けてくる。
「だ、ダスティ…あんたその子、誰よ？」
中でも一番驚いていたのはレナだった。人を指差しながら信じられないといった顔で口をパクパクさせている。
「…調査中に知り合った…まあ、俺の嫁だ。」
その言葉が放たれて遂に、ギルドの全員が固まった。
「…」
「…」
…気まずい。何か、紹介の仕方を間違えたか？いや、皆が驚き過ぎなのだ。まったく失礼にも程がある。俺だって男なのだ。女性に興味がないわけないだろう。…いや、それにしても驚き過ぎだろ。誰か、何かしゃべってくれ。…でなければ俺がこれ以上この空気に耐えるのは難しそうだ。
するとー
「ぶははははは…！！！！」
突然、リナが馬鹿笑いを始めた。俺を含めた全員が呆気に取られていると、リナはおもむろに立ち上がってズンズンと歩み寄ってきた。
そしてズイッと手を差し出した。
「ダスティを選ぶたぁ物好きな娘だ。まあ、これからよろしく頼むわ。あたしはリナ。あんたは？」
「あ…レイン、です。」
恥ずかしながらも、はにかんだ笑顔で手を取る。それをぎゅっと握り締めたリナは快活な笑顔で「よろしく！！」と言った。
「…それで？わざわざこの子をここに連れてきたって事は仕事絡みなんだろ？」
「…話がはやくて助かる。レナ、例の一件についてこの子を交えて報告したい事がある。」
「え？…あ、うん。分かったわ！」
未だ呆気に取られていたレナは急いで客室を片付けて2人を招いた。
俺がリナにふと目をやると「おう、じゃまた後でな！」と手を振って酒樽の方へと去っていった。
「…あいつ、普段テキトーな癖にこういう時だけ気がきくんだよな。」
…普段が普段だからか。まあ、なんにせよいざという時に頼れるところは姉御と呼ぶに値するのかも知れんが。
客室に移った俺たちは事のあらましをレナに報告した。もちろん調査書も提出した。
「…なるほどね。貴方が着く10年も前に既に襲撃されてたのね。…そして、その時亡くなった少女が魔物となって転生したのがその子、ってわけね。」
「概ね間違いない。」
「あの…でも、私自分の種族も分からなくて。」
まだ、恥ずかしいのかレインはもじもじしながら上目遣いにレナに尋ねる。…どうやら長年の廃墟暮らしですっかり人見知りになってしまったようだ。
「うーん…話を聞く限りゴースト系なのは間違いないわね。でも、その中のどれなのかは…正直分かりかねるわ、ごめんなさい。その辺は専門家か他の魔物に直接聞くしかないわね。」
「…そうですか。」
しゅんと項垂れるレイン。やはり種族を知っておかないと生活で不自由な事もあるのだろうか？己の正体を知るのもそれなりに重要な事なのかも知れない。
「…まあ、お前がどんな魔物であれ、俺は変わらずお前を愛してるけどな。」
「なっ…！？ダスティ、何言って…！！」
「…あらあら、普段味気ないくせにそういう恥ずかしい事は平気で言えちゃうんだ。」
心なしかジト目で見つめてくるレナ。怒っているというより、あれは呆れているのだろうか。
隣では…こちらもジト目でレインがこちらを見ていた。…こっちは怒ってるようだ。
「…なんか、昨日と立場逆転してるんだけど。」
「ははは…まあ、そういうこともあるさ。」
「うー！なんか納得できない！」
ポカポカと叩いてくるレインを微笑ましく眺めていると、またもレナが驚いた顔をしていた。
「…今日はよく驚く日だな。今度はなんだよ。」
「いや、まったく私もそう思うわよ。…それにしたって貴方が笑うなんてね。てっきり笑い方も忘れちゃった人なのかと思ってた。」
「…どんな鉄仮面だと思ってたんだよ。俺だって嬉しい時は微笑むさ。」
レインの頭を撫でながら、口を尖らせて抗議する。
それを見て、今度はレナが微笑みながら「よかった…」と言った。
「…！」
不意にも俺はかすかにドキッとしてしまった。いや、あれは誰だって反応してしまう。反則だ。しかも、本人は自覚無しだっていうんだから怖い。
「…今、ときめいたでしょ？」
心の読んだかのようにレインがジト目のまま抗議の視線を送ってくる。
「は、はぁ！？な、何言ってんだよ！そんなわけないだろ。」
「いいや！ときめいたね！今のはときめいてたね！」
「そんなわけねぇだろ…俺は、お前でしかときめかねぇよ。」
「ふん！甘い言葉で誤魔化したってだめだよーだ！同じ手は通用しないよ！」
…くっ！さすがに今のは無理があったか。いや、正直ドキッとはしたけど。それはあくまで生理現象的な意味であって、心から惹かれるのはお前だけだって…って今言っても絶対信じないよな。
「…やっぱ私じゃ敵わない、か。」
イチャつく2人を眺めながらレナは残念そうに呟いた。
「…で、ここが俺んちだ。」
「へぇ…」
町はずれにある二階建ての一軒家。男の一人暮らしとしちゃあなかなか豪華な造りのこの家は俺がギルドに入ってから住んでいる。我が家と呼ぶのに慣れてきた頃合いだ。
傭兵時代は各地を転々としていたため安住する事はなかった。だから、我が家と呼べる家に住むのは幼少期以来だ。
「なかなか大きいだろ？」
「そうね、思っていたよりずっと大きい。」
「………ここなら1人2人増えても問題ないよな。」
「！…そうね。」
横目でレインを見る。彼女もこちらを見つめている。
「…」
正面からしっかり彼女の目を見つめ直す。彼女もまた真っ直ぐにこちらを見つめる。
そしてー
「…ん。」
優しく唇を触れさせる。
「んぅ…んむ！」
物足りなかったのか、レインは口を舌で強引にこじ開けて口内に滑り込ませてくる。舌同士を絡ませあい貪るように熱いキスを求めてくる。
「！んぁっ！…ハァハァ。」
俺は強引に唇を離す。レインは困惑した顔でこちらを見つめてくる。
「…続きは、俺のベットで…いい、かな？」
…こんな台詞を言う日がくるとは正直思わなかった。恥ずかしさで顔が焼けそうになりながらなんとか言葉にする。
それを聞いたレインはパァと明るい笑顔に変わり「うん！」と腕に抱きついてきた。
その笑顔を見て、自然に俺も笑顔になっていた。
とにかく嬉しかった。
彼女の種族とか、人間だとか幽霊だとかはホントにどうでもよくて、とにかく俺はずっと前から好きだった女の子に会えてその娘と相思相愛になれた。
今はそれがたまらなく嬉しかった。
だからこんな恥ずかしい事も平気で言えるのだろう。
「一生幸せにするからな。愛してる。」
「私も…愛してる。死んでからもずっとずっと、一緒だよ！」
突然、彼女の下半身が青い炎に包まれ、それが円形の籠に形を変えていく。
ガシャン、という音と共に俺は彼女の”下半身”に囚われてしまった。
「れ、レイン！これは一体！？」
「…私、やっと分かったの。
これが私。
愛しい貴方を失わないように私の中に閉じ込めるの。
愛しい貴方を永遠に繋ぎとめる為に、この籠は出来たの。」
「…そうか。それにしてもこの中、燃えてるのに全然熱くないのな。」
「当たり前よ。大切な貴方を傷付けないように出来てるんだもの、むしろ心地いいはずよ。」
確かに。
言われた通りこの中は心地いい。炎も心地よい暖かみを与えてくれる。
「全部、貴方に合わせて出来てるのよ？」
「それはスゴイな…でも。」
「…？」
ゆっくりとレインの頬に両手を当てる。当たった瞬間ピクッとわずかに震え微かに頬の赤みが増した気がした。
「例えこの籠が無くても、俺がお前を離さない。」
「！！」
両手をまわし優しく彼女の華奢な身体を抱きしめる。
「だから安心しろ。俺は永遠にお前と一緒だ。」
「あ…」
炎の温度が上がる。少し熱いがそれでも心地いい火に変わりはない。
さらに彼女の身体の温度も上がった気がした。
「…ありがとう。」
「…うん。…俺も、ありがとう。」
好きと言ってくれた。愛してると言ってくれた。確かにそれに対しても感謝している、むしろ感謝しきれないくらいに。
でも、それ以前にー
「生きててくれて…ありがとう。」
「…ばか、もう死んでるんだって。いったじゃん…」
顔が見えなくてよく分からないが、震えた声からして、たぶん泣いているのだろう。力強くこちらの胸に顔を埋めている。
「…俺の胸板じゃ痛いんじやないか？」
「…うん、硬い。でもいい。」
「そうか…」
温かい炎に包まれた籠の中で俺たちは暫くの間抱き合っていた。
彼の背後では仕事を終えたギルドメンバーが飲めや歌えやで踊り狂っている。
雑な作りのこの酒場兼ギルドの建物は、所々にガタがきており多少な振動でも充分店全体が揺れる。…つまり今かなり揺れているということだ。
ハァと溜め息を吐く。
このギルドに来てから3年が経つが、未だにここの雰囲気に馴染めずにいる。ワイワイガヤガヤ依頼に向かうのも、仕事の後にああして騒ぐのも正直苦手だ。だから、俺は依頼に行くときは1人が多い。というよりはほぼ1人だ。おかげでギルド内には未だに友と呼べる者はいない。
もっとも、長い間北方の帝国と公国の戦場で傭兵をしてきた俺にとってはこのギルドにおけるS級の依頼までなら1人でも充分こなせるから何ら問題はないのだが。
ダスティはまたグラスを傾ける。そして少し顔を顰めた。
「…やはりまだこの酒は早かったか。」
「あらダスティ、リナさんはあっちでグイグイ呑んでるわよ？」
カウンターでグラスを布巾で拭きながらレナが話しかけてきた。
促されるままにカウンターの端を見ると、右眼に眼帯をした筋肉質の女性が樽でダスティのと同じ酒を呑んでいた。
「…あれは化け物だよ。」
「こら！レディにそんなこと言っちゃダメでしょ！」
…全身に古傷の刻まれたムキムキ眼帯女のどこがレディなのだろうか？
至って常識的な疑問を込めた目で人差し指を立てて『めっ！』と言わんばかりのレナを見つめる。
レナ・アルビーノ。煌めく金髪を風にたなびかせているロングヘアの彼女は、このギルドの長、エンキ・アルビーノの一人娘だ。
筋骨隆々のギルド長の娘とは思えないほど可憐なこの美少女はギルド内では半ばアイドルと化しているうちの看板娘だ。
「…て、そんなことより！ダスティに急な頼みがあるんだった！」
頼み？
いそいそと後ろの棚から一枚の古びた羊皮紙を取り出し、カウンターにドンと叩きつけた。
「仕事よ！」
「…とりあえず来てみたものの。…ここ本当に人住んでるのか？」
廃墟と化した村の入り口にダスティはいた。
レナが提示してきた羊皮紙には『我々の村に迫る王国軍を止めて欲しい』との事だったが…
「…俺が間に合わなかったという事か？」
いや、それにしては時を感じさせる荒廃の仕方だな。おそらく人が居なくなってから10年以上は経過している。
レナによればこの依頼用紙は、昨夜突然訪ねてきたボロ絹を纏った老人から手渡された物だと言っていた。その老人は羊皮紙を手渡すと直ぐに立ち去ってしまったらしい。
「…あらためて思い返すと随分不明点の多い依頼だ。」
溜め息を吐いたダスティは、先ずこの廃墟と化した村を探索することにした。
煉瓦造りの家々はかなりの損傷だった。屋根は崩れ、壁も崩壊している。中の家具は荒らされた様に散らかっていた。
この村で戦闘があったのは間違いないようだ。もっとも、戦闘ではなく一方的な虐殺が行われた可能性もあるが。
「とりあえず、あの家から探っていくか。」
手近の家から一軒ずつ探っていくのが得策だろう。依頼には間に合わなかったのだから、せめてちゃんとした事実だけでも調査して届けなければあの老人も報われん。
家の中は相変わらず散らかっており、様々な家具が散乱していた。…奥には人骨と見られるものも三体分見受けられた。うち2人は成人であり、各部位の欠損も見られた。
そして、もう1人は他の2人より小ぶりで子供の骨であるのは明白だった。
「…子供まで…酷い事をする。」
子供の骨の傍には、その子のものと見られる星型の髪飾りが転がっていた。
ダスティは徐にそれを拾い上げた。
「………くそっ。」
髪飾りを眺めていたダスティは遣る瀬無い気持ちでいっぱいになった。
依頼を受けた時既にこの村は廃墟となっていた。間に合うはずもない。そんなことはわかっている、そういう問題ではないのだ。ダスティにとっては。
「…俺は結局、何も守れないのか？」
過去を引きずってはいけないことはわかっている。だが、頭で理解していても心が、それを許さない。忘れてはならないと、背負い続けろと告げている。
ダスティもそれを受け入れていた。否、彼自身がそうしていたのだ。
「…逃れるつもりはないさ。一生背負って生きてやる。それが俺の義務だから…」
髪飾りを握る手に力が込もる。
ダスティが髪飾りを握りながら焦燥感に浸っていると、不意に背後から声がかけられた。
「…ダスティ？」
「っ！？誰だ！！」
俺の名を知っている？
驚いたダスティは咄嗟に抜剣し、素早く振り返る。この動きも傭兵時代に夜襲や奇襲を受けまくって身についた技能なのだが。
「ひっ！？ごめんなさい！！」
突然怒鳴られた彼女は驚いて咄嗟に謝る。そして、向けられた剣に過剰なまでの恐怖の眼差しを向けていた。
怯える彼女を見て、声の主が少女と知ったダスティは慌てて剣をしまい、謝罪を述べる。
「あ、すまない！まさか君のような少女がこの廃墟にいるとは思わなくて…」
途中で言葉を詰まらせたダスティは、この少女に見覚えがあることに気づく。
たなびく長髪に切れ長の目、色は変わっているが間違いなくあの頃と変わらぬドレスを纏った幼馴染みの彼女がそこにいた。
「レイン…」
「あ…やっぱり。ダスティだったのね。…もう、いきなり大声出すから驚いたわよ。」
生まれ故郷の村で、昔からよく遊んでいた1人の少女。裕福な家の娘でありながら男の子である俺と夕方まで野原で駆け回っていたお転婆娘。13の時に俺は父の仕事の関係で村を離れる事になり、そのあとも各地を転々とするうちに一度も村には帰れなかったのだが。
当時そのままの姿のレインに困惑するダスティ。それを見て彼女はクスッと笑う。
「この姿に驚いてるのね。そうよ、私あの頃と変わってないの。」
「…どういうことだ。」
不可思議な状況にダスティは警戒心を顕にしながら尋ねた。
すると彼女は驚くべきことを口にした。
「だって私、もう死んでるもの。」
このあと彼女から聞いたのは、俺が村を出た後の村の顛末と彼女が死ぬまでの経緯だ。
今から12年前、俺が13歳で村を出て行ったすぐ後、村は隣国のテスタリア王国の軍によって侵略を受けた。レイン一家はなんとか村を脱出したが、途中で数人の兵に囲まれてしまいなんとか逃げきるも、その際にレインの父が負傷し近くの村に逃げ込んだ。
傷の療養の為に1年程暮らしていた。しかし、その平穏も長くは続かず村の制圧を終えた王国軍が更に南進すべくレイン達の暮らす村にも侵略を開始する。
突然の侵攻になす術もなく蹂躙される村人たち。…その情景を語るレインはとても苦しそうで、思わず制止してしまった。まあ、語らせるまでもなく惨たらしいものだったのは想像がつく。伊達に傭兵をしていた訳ではない、戦場の残酷さは充分に理解しているつもりだ。
家の中に突然押し入ってきた兵達に両親は惨殺され、レイン自身も捕まり犯されかけたが、その時男の腕に噛みつき逃げ出そうとした。だが、激昂した男に斬り殺された。…との事だった。
「…それで気がついたらこの姿になってた。目が覚めた時、目の前に血塗れで冷たくなった両親が倒れてたから自分が死んじゃった…ってのは分かったけど、この姿が何なのか、自分は何になってしまったのかは結局分からなくて…」
笑顔を浮かべながらもどこか哀しみをはらんだ声で語るレインの姿は、ダスティには寂しげに見えた。
あの頃と変わらぬ彼女が今、目の前にいる。その事にまだ慣れないダスティは、もう一つ不可思議な感情が己の内に湧き上がってくるのを感じた。
青白い顔に真っ白な髪、以前とは雰囲気も少し変わった気がする。時折見せる人を嘲笑うかのような笑みと、なにより、情欲を唆るなんとも言えぬカラダ。あの頃から年齢経過は止まっている筈なのに、昔とは比べ物にならない程に妖艶な魅力を醸し出している。
そこまで考えて、今自分の股間が怒張しそそり立っている事に気づく。
「…ダスティ、私で興奮…してるの？」
いつから見ていたのかレインが、ズボンを押し上げ膨れ上がらせている股間部を興味津々に見ていた。その目は酔ったように虚ろで、顔も上気して…
「って、どこ見てるんだレインっ！！？」
「うひゃっ！？ご、ごごごめんなさい！！これは、えっと…別に興味があったとかじゃなくて…！…えっと。」
ダスティが慌てて股間を手で隠した事で、己の痴態に気付いたレインは顔を真っ赤にしながら両手をブンブン振って必死に弁解をした。
「ハッ！！まさかお前、俺を…襲う気なのか？」
「ちっがーーーう！！違うから！そういうアレじゃないって、ホントに！！」
激しく動揺するレインに疑いの視線を送るダスティだったが、やがて溜め息を吐くと警戒を解いて本題に戻った。
「…ところで、お前の今の姿についてだが。」
「あ…うん。最初は幽霊になっちゃったのかと思ったんだけど、実体化すれば普通に物にも触れるし、タンスの角に小指ぶつけた時もすごく痛かったから多分、普通の幽霊じゃないのは分かったの。」
症状の詳細を聞いたダスティは顎に手を当て少し考えてから、真剣な眼差しでレインに向き直った。
「ふむ…話を聞く限りでは、恐らくお前は魔物になったのだろう。」
「ま、魔物…」
魔物と聞いて少し不安そうな素振りで俯くレインだったが、直ぐにまた明るい笑顔になって口を開いた。
「…なーんだ、私、魔物になっちゃっただけだったんだね！ふむふむ、そっかそっか…」
あっけらかんとした態度で、さっきのダスティ顎に手を当てる仕草を真似しつつ納得した様に振る舞うレインの本心に、ダスティは気付いていた。
幼い頃を共に過ごした仲だ、相手の嘘に気付けないほど安い関係だったわけじゃない。第一、いきなり自分が魔物だと言われて平静でいられるはずがない。
無理して明るく振る舞うかつての幼馴染みにダスティは無性にある感情が湧き上がってくるのが分かった。
彼女を守りたい。
既に死者となった彼女だが、この世に再び魔物として再誕した。それはもはや死者ではなく、一つの生命と言っても間違いではないはずだ。
考察する間も溢れんばかりに沸き起こるその感情の奔流に耐えられなくなったダスティは無意識的にレインを押し倒していた。
「きゃあっ！？ちょ、ダスティ！？」
突然押し倒されたレインは訳が分からず困惑した表情を向けてくる。これから何をされるのかという恐怖と、ダスティに触れられているという事象に対する興奮とが混在したなんとも言えぬ面持ちの彼女を見たダスティの心は更に昂った。
そして、胸元に手を掛け…た所で彼女の肩が震えていることに気付いた。
「！レイン、お前…」
「あ…」
小刻みにふるふると震えながら目尻に僅かに涙を浮かべる彼女を見てようやく自分のしている事に気付いたダスティは慌てて身体を引く。
「ご、ごめん！！あの話を聞いた後で、俺はなんてことを…」
ガシッ！
「…違うの。怖いんじゃなくて、嬉しいの！…私、ずっと…ずっとダスティの事が好きだったんだから！」
「レイン…」
突然の告白に、驚きのあまり返答も出来ずに暫しフリーズしてしまう。その隙にすかさずレインは唇を重ねてきた。
「んむっ！？」
「んちゅ、んん…！」
身体ごと抱き寄せ必死に想いを伝えるように唇を重ねてくるレイン。繰り返される激しい口淫になす術もなくダスティは、口から全身を伝わる快楽に身を委ねるしかなかった。
暫く口内を貪ったレインは「ぷはっ！」っと顔を離しトロンとした瞳でダスティを見つめた。
「…よかった、貴方にファーストキスをあげられて。貴方のためにずっと取って置いたんだよ。」
虚ろな瞳で微笑みかける彼女は今までで見た事がない程妖艶で、魅力的だった。
彼女の微笑みに理性を吹き飛ばされたダスティはすぐさまレインの胸を覆う衣服を破り捨て、露わになった青白くも整った乳房を無我夢中で貪った。
「あん！そんな…がっつかないで…！乳首取れちゃうよぉ…」
そんな呟きは今のダスティに届くはずもなく、レインの胸を心ゆくまで堪能したダスティは次に彼女の秘部を求めてスカートをかき分ける。
「！！」
そこに下着は無く、ぐちょぐちょに濡れそぼった割れ目が丸出しになっていた。
この情景に更に興奮したダスティは一心不乱にレインの秘部を舐め回した。
「んあ！ん、はぁ…」
その間、レインは何度も絶頂を迎えた。
秘部をびしょびしょになるまで舐め回したダスティは、遂にズボンから怒張した肉棒を取り出しレインの秘部に当てがった。
「え？あ、ま、待って…！」
ズブッ！！
「んひぃぃぃぃ！！！？」
ブチブチと処女膜が破れる音がするが、レインには殆ど痛みは感じられなかった。そしてもちろんダスティにその音が届いているはずもなく根元まで捩じ込もうと更に腰を押し進める。
「ちょ、もうこれ以上は…む、りぃぃぃ！！」
問答無用でダスティは腰を押し進める。そして子宮をこじ開けたところでようやく根元まで差し込む事に成功した。
子宮口までこじ開けられたレインは全身を電撃の様に駆け巡る快楽によって失神寸前になっていた。
正常位の状態でダスティは激しく腰を前後させ始めた。それと共に子宮まで入りかけた肉棒が出し入れされその度にダスティ、レインの双方に凄まじい快楽が迸った。
やがて、更によく出し入れ出来る様にレインに覆い被さる形で腰を打ち付け始めた。
上から打ち付けられる形になったレインは、常に最奥を突かれる刺激で何度も意識を飛ばしていた。
「っ！ふっ、ふっ、ふっ！！」
「！出るの！？中で出して！奥に、奥に種付けして！貴方の精液でマーキングして！！」
「！！！！」
ビュクン！！
「あぁ！！キタっ！中に熱いの注がれてるぅ！」
一度、激しく腰を打ち付けたダスティはビクビクと身体を震わせながらレインの子宮に直接精液を注ぎ込んでいた。
「あ…ぁ…はぁ、ぁ！」
一頻りの射精を終えたダスティはその場に力無く倒れ込んだ。レインも秘部から大量の精液を溢れさせながら失神していた。
ダスティはベットに腰掛けていた。横にはレインが腕を絡ませながら寄り添っていた。
ダスティは不意に声をかけた。
「レイン…」
「ん？」
レインをチラリと見て、少しためらう。そして意を決して口にする。
「…もし君がよかったら、その…俺と……一緒に、来ないか？」
「…え？」
突然の言葉にレインはポカンと口を開けている。
「今俺、大きな街のギルドに所属しててさ、依頼もかなり高額なのが多いし家にも金が有り余ってる。だから、十分お前を養っていけると思うんだ。…あ、あと、それにこんな廃墟で1人ってのも危ないし…！それに…えっと。」
頬を赤らめながら、必死に言うダスティを見てレインは思わず、クスリと笑ってしまった。
「な、なにかおかしかったか？」
「ふふ…いいえ。そうね、か弱い女の子が1人で廃墟にいるなんて危ないですものね。」
「お、おう。だから…俺んちに、来いよ。飯ぐらい食わせてやれるからよ…」
みるみる赤くなるダスティを見てクスクスと笑いながらレインは「是非お願いするわ。」と満面の笑みで返した。
それを見てますます顔を赤くしながら、ダスティは「おう…任せとけ。」と呟くような声で答えた。
翌日、残りの調査を手早く済ませたダスティはレインと共に街へと帰還した。
酒場に入った途端、全員の視線が俺たちへと注がれた。
「だ、ダスティお前…」
「お、女の子…？」
どうやら普段無口な俺が女子と一緒にいるのが不思議らしく、珍しいと言わんばかりの視線を向けてくる。
「だ、ダスティ…あんたその子、誰よ？」
中でも一番驚いていたのはレナだった。人を指差しながら信じられないといった顔で口をパクパクさせている。
「…調査中に知り合った…まあ、俺の嫁だ。」
その言葉が放たれて遂に、ギルドの全員が固まった。
「…」
「…」
…気まずい。何か、紹介の仕方を間違えたか？いや、皆が驚き過ぎなのだ。まったく失礼にも程がある。俺だって男なのだ。女性に興味がないわけないだろう。…いや、それにしても驚き過ぎだろ。誰か、何かしゃべってくれ。…でなければ俺がこれ以上この空気に耐えるのは難しそうだ。
するとー
「ぶははははは…！！！！」
突然、リナが馬鹿笑いを始めた。俺を含めた全員が呆気に取られていると、リナはおもむろに立ち上がってズンズンと歩み寄ってきた。
そしてズイッと手を差し出した。
「ダスティを選ぶたぁ物好きな娘だ。まあ、これからよろしく頼むわ。あたしはリナ。あんたは？」
「あ…レイン、です。」
恥ずかしながらも、はにかんだ笑顔で手を取る。それをぎゅっと握り締めたリナは快活な笑顔で「よろしく！！」と言った。
「…それで？わざわざこの子をここに連れてきたって事は仕事絡みなんだろ？」
「…話がはやくて助かる。レナ、例の一件についてこの子を交えて報告したい事がある。」
「え？…あ、うん。分かったわ！」
未だ呆気に取られていたレナは急いで客室を片付けて2人を招いた。
俺がリナにふと目をやると「おう、じゃまた後でな！」と手を振って酒樽の方へと去っていった。
「…あいつ、普段テキトーな癖にこういう時だけ気がきくんだよな。」
…普段が普段だからか。まあ、なんにせよいざという時に頼れるところは姉御と呼ぶに値するのかも知れんが。
客室に移った俺たちは事のあらましをレナに報告した。もちろん調査書も提出した。
「…なるほどね。貴方が着く10年も前に既に襲撃されてたのね。…そして、その時亡くなった少女が魔物となって転生したのがその子、ってわけね。」
「概ね間違いない。」
「あの…でも、私自分の種族も分からなくて。」
まだ、恥ずかしいのかレインはもじもじしながら上目遣いにレナに尋ねる。…どうやら長年の廃墟暮らしですっかり人見知りになってしまったようだ。
「うーん…話を聞く限りゴースト系なのは間違いないわね。でも、その中のどれなのかは…正直分かりかねるわ、ごめんなさい。その辺は専門家か他の魔物に直接聞くしかないわね。」
「…そうですか。」
しゅんと項垂れるレイン。やはり種族を知っておかないと生活で不自由な事もあるのだろうか？己の正体を知るのもそれなりに重要な事なのかも知れない。
「…まあ、お前がどんな魔物であれ、俺は変わらずお前を愛してるけどな。」
「なっ…！？ダスティ、何言って…！！」
「…あらあら、普段味気ないくせにそういう恥ずかしい事は平気で言えちゃうんだ。」
心なしかジト目で見つめてくるレナ。怒っているというより、あれは呆れているのだろうか。
隣では…こちらもジト目でレインがこちらを見ていた。…こっちは怒ってるようだ。
「…なんか、昨日と立場逆転してるんだけど。」
「ははは…まあ、そういうこともあるさ。」
「うー！なんか納得できない！」
ポカポカと叩いてくるレインを微笑ましく眺めていると、またもレナが驚いた顔をしていた。
「…今日はよく驚く日だな。今度はなんだよ。」
「いや、まったく私もそう思うわよ。…それにしたって貴方が笑うなんてね。てっきり笑い方も忘れちゃった人なのかと思ってた。」
「…どんな鉄仮面だと思ってたんだよ。俺だって嬉しい時は微笑むさ。」
レインの頭を撫でながら、口を尖らせて抗議する。
それを見て、今度はレナが微笑みながら「よかった…」と言った。
「…！」
不意にも俺はかすかにドキッとしてしまった。いや、あれは誰だって反応してしまう。反則だ。しかも、本人は自覚無しだっていうんだから怖い。
「…今、ときめいたでしょ？」
心の読んだかのようにレインがジト目のまま抗議の視線を送ってくる。
「は、はぁ！？な、何言ってんだよ！そんなわけないだろ。」
「いいや！ときめいたね！今のはときめいてたね！」
「そんなわけねぇだろ…俺は、お前でしかときめかねぇよ。」
「ふん！甘い言葉で誤魔化したってだめだよーだ！同じ手は通用しないよ！」
…くっ！さすがに今のは無理があったか。いや、正直ドキッとはしたけど。それはあくまで生理現象的な意味であって、心から惹かれるのはお前だけだって…って今言っても絶対信じないよな。
「…やっぱ私じゃ敵わない、か。」
イチャつく2人を眺めながらレナは残念そうに呟いた。
「…で、ここが俺んちだ。」
「へぇ…」
町はずれにある二階建ての一軒家。男の一人暮らしとしちゃあなかなか豪華な造りのこの家は俺がギルドに入ってから住んでいる。我が家と呼ぶのに慣れてきた頃合いだ。
傭兵時代は各地を転々としていたため安住する事はなかった。だから、我が家と呼べる家に住むのは幼少期以来だ。
「なかなか大きいだろ？」
「そうね、思っていたよりずっと大きい。」
「………ここなら1人2人増えても問題ないよな。」
「！…そうね。」
横目でレインを見る。彼女もこちらを見つめている。
「…」
正面からしっかり彼女の目を見つめ直す。彼女もまた真っ直ぐにこちらを見つめる。
そしてー
「…ん。」
優しく唇を触れさせる。
「んぅ…んむ！」
物足りなかったのか、レインは口を舌で強引にこじ開けて口内に滑り込ませてくる。舌同士を絡ませあい貪るように熱いキスを求めてくる。
「！んぁっ！…ハァハァ。」
俺は強引に唇を離す。レインは困惑した顔でこちらを見つめてくる。
「…続きは、俺のベットで…いい、かな？」
…こんな台詞を言う日がくるとは正直思わなかった。恥ずかしさで顔が焼けそうになりながらなんとか言葉にする。
それを聞いたレインはパァと明るい笑顔に変わり「うん！」と腕に抱きついてきた。
その笑顔を見て、自然に俺も笑顔になっていた。
とにかく嬉しかった。
彼女の種族とか、人間だとか幽霊だとかはホントにどうでもよくて、とにかく俺はずっと前から好きだった女の子に会えてその娘と相思相愛になれた。
今はそれがたまらなく嬉しかった。
だからこんな恥ずかしい事も平気で言えるのだろう。
「一生幸せにするからな。愛してる。」
「私も…愛してる。死んでからもずっとずっと、一緒だよ！」
突然、彼女の下半身が青い炎に包まれ、それが円形の籠に形を変えていく。
ガシャン、という音と共に俺は彼女の”下半身”に囚われてしまった。
「れ、レイン！これは一体！？」
「…私、やっと分かったの。
これが私。
愛しい貴方を失わないように私の中に閉じ込めるの。
愛しい貴方を永遠に繋ぎとめる為に、この籠は出来たの。」
「…そうか。それにしてもこの中、燃えてるのに全然熱くないのな。」
「当たり前よ。大切な貴方を傷付けないように出来てるんだもの、むしろ心地いいはずよ。」
確かに。
言われた通りこの中は心地いい。炎も心地よい暖かみを与えてくれる。
「全部、貴方に合わせて出来てるのよ？」
「それはスゴイな…でも。」
「…？」
ゆっくりとレインの頬に両手を当てる。当たった瞬間ピクッとわずかに震え微かに頬の赤みが増した気がした。
「例えこの籠が無くても、俺がお前を離さない。」
「！！」
両手をまわし優しく彼女の華奢な身体を抱きしめる。
「だから安心しろ。俺は永遠にお前と一緒だ。」
「あ…」
炎の温度が上がる。少し熱いがそれでも心地いい火に変わりはない。
さらに彼女の身体の温度も上がった気がした。
「…ありがとう。」
「…うん。…俺も、ありがとう。」
好きと言ってくれた。愛してると言ってくれた。確かにそれに対しても感謝している、むしろ感謝しきれないくらいに。
でも、それ以前にー
「生きててくれて…ありがとう。」
「…ばか、もう死んでるんだって。いったじゃん…」
顔が見えなくてよく分からないが、震えた声からして、たぶん泣いているのだろう。力強くこちらの胸に顔を埋めている。
「…俺の胸板じゃ痛いんじやないか？」
「…うん、硬い。でもいい。」
「そうか…」
温かい炎に包まれた籠の中で俺たちは暫くの間抱き合っていた。
15/11/16 17:17更新 / King Arthur