蚊取り線香
「…これは、確信犯だな。」
俺、千堂 衷虎(せんどう うちとら)は現在、人生最大の危機に瀕していた。
「…ふっふっふ〜。私の針を受けたわね?ね?…それじゃあ、貴方はもう私から逃げられないわ。」
俺の目の前にいるのは、宙に浮いた(文字通り。)半人半虫の少女。
…いや、自分でも何を言ってるのかよくわからないが、これは紛れもない事実。文面通りの状況が俺の目の前で展開されているのだ。
時刻は19時を回ったところ。未だ駅周辺は人通りが多いが、こんな民家と民家の間にある細い路地には人気なんかない。そんな中でこいつは突然、背後から襲いかかってきた。そして、一瞬首筋を何かで刺されたような感覚に見舞われた後、こいつは目の前にふよふよと飛んできた。
「…とりあえず聞いておこう、お前は…なんだ?」
突然、目に見える形で現れた非日常に俺は、羽とか白黒のシマシマ模様の手足とか他諸々を含めて質問する。開口一言目が日本語だったので少なくとも言葉は通じる相手なのだろうが…。…いかんせん、こいつが何なのかが分からない。
「そうねぇ……強いて言うなら、貴方のお嫁さん。…かしら?」
……。
「……。」
「…ち、ちょっと!何か反応しなさいよ!!なんか私がイタイ奴みたいじゃない…。」
…あながち間違いではないのでは?
「お、おほん!…それじゃあ、気を取り直して。」
咳払いを一つして、なんとかリズムを自分に戻そうとする目の前の“何か”。
改めて自信たっぷりの笑顔でこちらを指差す。
「あなた!私の夫になりなさい!!」
「断る。」
「そ、即答!?」
当たり前だ。突然現れて求婚されて「はい!不束者ですがよろしくお願いします!」とはならんだろ。
「そんな…!私のシナリオだと、『はい!不束者ですがよろしくお願いします!』って言うはずだったのに…。」
…おい、本気でそう思ってたのか。
出会って数分も経っていないが、すでにこいつの人となりというか性格がなんとなく分かってきてしまった俺だが、今一番の疑問にまだ答えてもらっていない。
「…それで?お前は何なんだ?あいにく俺は出会い頭に求婚してくる幻想生物に心当たりはないのだが。」
思わず頭を掻きながらぶっきらぼうに質問を繰り返してしまう俺。
アドリブに対応できない性格らしく、すでにあたふたしている目の前のヤツはなんとか俺の質問に答えた。
「わ、私の名前はメリア。種族はヴァンプモスキートよ!!」
ヴァンプ?モスキート????
期待していた返答とはかなりかけ離れた答えに俺は脳内に大量のはてなマークを浮かべてしまう。
「魔物娘…って聞いたことない?」
「魔物?娘…?」
悪いが今まで生きてきたなかで一度も聞いたことがない単語だ。まず、魔物なのか娘なのかをハッキリさせて欲しい。
「え…と、とりあえずお前は魔物なんだな?」
「ええ、そうよ!巷じゃ『昆虫界の吸血鬼』なんて呼ばれてるんだから!」
さも自慢気に胸を張りながらメリア、と名乗る少女?というか魔物。
「それって、蚊の事なんじゃ…。」
「蚊じゃないわよ!ヴァンプモスキート!!…まったく、この世界じゃまだ個体数が少ないのかしら?」
蚊みたいな形をしているくせに一緒にはされたくないのか、ぷんぷんと怒り出すメリア。
というか、“この世界”とはどういう意味だ?
「…まさか、異世界から来ました、なんていうベタな設定じゃないよな?」
「は?当然、異世界から来たに決まってんじゃない。こんな人間以外に目新しい生き物がいない退屈な世界に、私みたいなプリチーなヴァンプモスキートがいるわけないでしょ。」
退屈で悪かったな。
「そんで、その異世界から来た魔物さんが、極一般的な男子高校生たる俺に何の用だ?」
「…はぁ、あんたもたいがい人の話を聞いてないのね。…だーかーら、私が貴方を旦那として貰ってやるって言ってんでしょ。」
な、なんて上から目線なんだ…!こんな高圧的な告白は初めて見た気がする。
「だから、俺もさっき断ったろ?…ほら、用が済んだならとっとと元の世界に帰れよ。」
「な、なによその言い方!さっきだって魔物を見慣れてない貴方を驚かそうと思って出てきたのに、全然驚かないし。
…もう少し、優しくしてくれたっていいじゃない。私だって1人でこの世界に来て寂しかったんだから。」
なんだかしゅんとして俯きがちにむくれてしまう。その姿に、不本意ながらちょっと可愛いとか思ってしまった。
そしてちょっと可哀想かも、と心の片隅で思ってしまった俺はつい、言ってしまった。
「…あー、まあ、そのなんだ?もし…もし宿とかないってんなら、俺ん宅に来ても…いい、かな?」
おいおい正気か、俺!?相手は得体の知れない虫女だぞ?!いくら美少女だからって…いや、ほんと超絶好みのタイプだからって。
「え…?ほ、ほんと?ほんとに泊めてくれるの?」
…ほら、食いついちゃったよ。俺はもう知らんぞ(理性君の発言)。
「まあ…今、親は海外出張中だから家には俺一人だからな。食料も2人分ならあるし。」
「嬉しい…!…ハッ!ち、違うわよ!?貴方がそこまで言うから仕方なく泊まってあげるんだからね!?嬉しいとか思ってないから!」
…ベタなツンデレかお前は。
「…まあ、嫌いじゃねぇけどな、そういうベタなやつ。」
なし崩し的に俺宅に泊めるハメになってしまったが、決まってしまったことは仕方がない。うん、仕方ないから泊めてやる。
「ただいま、っと。」
誰もいないのに挨拶をして俺は靴を脱いで家に上がる。いや、特に意味はないんだが、道中に“こいつ”とは一言も喋らずに無言できたものだから、とりあえず会話のきっかけでも掴めないかと言ってみた次第である。…今思うと、仄かに朱の差した顔で物欲しそうにもぞもぞしていたような気もするが、おそらく気のせいだろう。うん、多分気のせい。
「お、お邪魔します…。」
そう言って恐る恐る家へと飛んで入ってくるメリア。
「なんだよ、緊張してんのか?」
「!ち、違うわよ!…ただ、男の人の家に入るのとか初めてだから…少し抵抗があっただけ。」
ほほう、抵抗ねぇ。出会っていきなり嫁とか夫とか言ってた割には初心なんだな。…まあ、今までの言動でなんとなく予想できたけど。
「俺の部屋は上だから。」
「あ、うん、わかった。」
スタスタと階段を登って、右手にある扉のノブに手をかける。…ていうか、後ろでブンブンうるさいのは、まさか飛んでるからではあるまいな?
もしかしてと思いチラリと振り返る俺。
「な、なによ。」
「…家なんだから、別に飛ばなくてもいいと思うぞ?」
羽音が五月蝿いから。
「っ!」
何の気なしに放った俺の言葉に、何故かメリアは顔を赤らめてモジモジし始める。
「あ…でも…男の人の家に足を付けるなんて…。」
おいおい…あれだけ嫁とかなんとか言っておいて、随分初心な奴だな。
俺は、少し面倒くさそうに頭を掻いた後、ふとあることに気づいた。
「あ、そういえば客用のスリッパがあったな…すまん、すっかり忘れていた。」
「え、あう…?」
「今、取ってくるから、ちょっと待っててくれ。」
そりゃそうだよな、家に招いておいてスリッパも用意しないなんて鈍感にもほどがある。
さっきまでの自分に反省しながら俺は、上履き用の棚を漁る。運良く最前列に並べられていたこともありすぐにスリッパを見つけることができた。
それを握りしめて俺は急ぎ足で階段を駆け上る。そしてー
「おーい、スリッパ取ってきたぞ…って、えぇ!?」
スリッパ片手にメリアに声を掛けた俺は、目の前に広がる光景に思わずフリーズしてしまった。
「あ…んぅ!…はぁ…はぁ…!」
そこには、自分の太ももに手をあてがってM字開脚するメリアの姿があった。
「な、何やってんだお前ぇぇぇ!?」
「ご、ごめんなさい!…でも…でも!もう我慢できないの!!お願い!!…貴方の精液……私にちょうらぁい。」
とろけきった顔でそうせがまれては、否が応でも下半身が反応してしまうというもの。俺の息子は一瞬にして最高潮に怒張してしまった。
「はふっ…はぁ…ぁ…!」
しきりに自分の右人差し指をしゃぶるメリア。その顔はこれ以上ないほどに緩みきっていて、どこか困り果てたようにも見える。
空いている左手は休むことなく自らの秘部を出入りしており、ねちょねちょとした粘液で濡れ切っていた。
滴る愛液を気にする余裕もないのか、半垂れ流し状態の粘液が床に小さな水溜まりを作り出していた。…いや、ちょっとじゃなくてかなり大きく。
「お、おい!しっかりしろ!今、水と濡らしたタオルを持ってきてやるから…」
急いで取りにいこうと振り返りつつそこまで告げた俺は、身体を電撃のように走った疼きに動きを止めてしまった。疼きは急速にその勢いを増していき、ものの数秒で視線をメリアの蕩けきった淫らな秘部に釘付けにしてしまう。
「な…!?なん…だ?これは…!!」
俺の身体はどうしてしまったのだろう?内から溢れ出る肉欲に理性が耐えられない!?…こ、これじゃあ、まるでー
「はっ…!はっ…!」
…目の前のあいつみたいじゃないか?
「うぐっ!?」
性欲を自覚した俺の身体に、更なる電流が走り抜ける。頭のてっぺんから身体の全てを通り抜けてつま先まで駆け抜ける情動に、思わずメリアへと襲いかかりそうになる。
「だ…だめだ…!…夜道で出会った少女を連れ込んで、あまつさえ陵辱するなど…!…俺の流儀に反する!!!!」
「っ!…あ、あなた…。」
俺はなんとか自らが信条とするものを必死に思い浮かべて情動を封じ込める。
そして、息も整える余裕も無いまま俺は肉欲に乱れるメリアの目をなんとか真っ直ぐ見つめることに成功する。
「…なんの…呪いかしらんが!…ま、負けるな、メリア!!……この千堂衷虎、決して無防備な女子を手にかけることはしない…!!…安心、して…リラックス、しろ…!!」
「うち…とら…。…それが…貴方の名前、なのね。……それじゃあ、改めてお願い衷虎。…その逞しいおちん○んを、私の膣内に…入れて♥?」
…っ!!!!
だ、だめだ!!ここで負けたら、俺はきっと後悔する。…だから……だから負けるな、俺!!!!
「うおぉぉぉぉ!!!!」
喉がはち切れんばかりの咆哮、この際、近所迷惑とかは後回しにした上で俺は精一杯の気力を持って咆哮し、そしてー
「うち…とー」
ガバッ!
メリアへと覆いかぶさった。
「はぁ!はぁ!はぁ!…メリアッ!!」
両肩をがっしりと掴んで逃がさないように抑えた上で俺は無我夢中でメリアの控えめな乳房にぷっくりと突起した乳首にむしゃぶりついた。
「んあぁ!?…嬉しい…はっ…うちとらが、私の乳首を…ちゅうちゅう吸ってるぅぅ!!」
プシャー!という音ともにメリアの秘部から絶頂の潮が吹かれる。溢れ出た液体は覆い被さっていた俺の股間を集中砲火で濡らし、俺も布越しとはいえ外部から生暖かい温もりを性器に浴びせかけられ一際の快楽に身を震わせる。
その後もメリアの乳房を貪る俺を、彼女は優しく頭を撫でながら抱きしめてくれた。
「あん!ちょ、ちょっと待ってうちとら!」
しかし、急にグイと引き剥がされてしまう。
突然の拒絶に俺は泣きそうな顔でメリアを見つめてしまう。
「あ…そんな顔しないで。どうせなら一緒に感じたくて…私。だから…。」
クパァと自分の人差し指と中指で秘部を広げ、まるで見せつけるかのように脚を開くメリア。その光景に、肉欲で破裂しそうな俺は食い入るような視線を送ってしまう。
「私の…中に……い・れ・て♥?」
「メリアァァァァァ!!!!」
「きゃん!?」
言われるまでもなく、俺はそのつもりだった。再びメリアへと襲いかかった俺は遠慮躊躇の類の一切をかなぐり捨てて、怒張しきって破裂寸前の男性器をメリアの濡れそぼった秘部に突き込んだ。
「っあはぁぁぁん!!!?」
突き入れた瞬間に肉棒から伝わってきたのは、薄い何かが破れる感覚。だが、俺はその正体には一切関心を向けることなくただひたすらに腰を振り続けた。
「いっ…!ぅん!…ぁ…っ!…はぁ…はぁ…!」
「メリア…メリア…メリアッ!!」
容赦のない突き、それはもはや陵辱以外の何物でもなく、つい数分前までの信条とやらも理性と共に弾け飛んでいるのがわかる。
もう幾度目の突きかも分からなくなってきた頃、俺はふと性器のの接合部へと目を向けた。
「…っ!!メ、メリア!お前…!?」
そこにあった“赤い染み”に俺の理性は、一瞬のうちに帰還を果たした。
突然性交を止め、驚いた顔で見つめる俺に、何を見たのか察したメリアはそれでも緩みきった微笑みを見せた。
「うん…私、処女よ。貴方に貰って欲しくて、ずっと守ってきたの。」
「そ、そういうことじゃなくて!その…い、痛くないのか?もし痛かったなら謝る。……ほんとにすまん!!」
そう言って頭を下げつつ性器を引き抜こうとした俺の腰を、メリアの縞模様の両足がガッシリとホールドした。
「抜かないで!!…もう少し……貴方の精液を受け止めるまで…お願い。」
必死の懇願。緩みつつも必死の形相でメリアは俺にお願いしてきた。
「…!!」
快楽に潤んだ瞳、それが悲しみに移り変わろうとしているのが手に取るように分かる。…今なら、彼女が何を考え、何を感じ、そして何を望んでいるのかさえハッキリと理解することができた。
「…分かった。…俺で良ければ、何度でも相手をする。……いや、どうか相手をさせて欲しい!!」
「うちとらぁ♥…うん!約束よ!…それじゃあ…はい。」
両手を伸ばすメリア。俺はその間に身体を埋めていく。すると、徐々に広げられた腕が狭まっていき、気づくと俺の身体を抱きしめるように腕を絡めていた。
それに歓喜と、さらなる性欲を掻き立てられた俺は激しいピストンを再開する。
「あっ!あっ!あぁ!!いいっ、いいよぉ、うちとらぁぁぁ!!」
淫らに乱れる彼女に俺は身体の内から込み上げる、性欲の根源に気がついた。
喜びに満ちた笑顔のメリアは、ラストスパートをかけるべく膣内を一際強く締め上げた。
「うぁ…そんなに締め上げたらっ!…いくぞ!もうっ…で、出る!!」
「出してぇ!うちとらの、しぇーえきぃ!!はっ!はっ!!わたしにぃ…出してぇぇぇ!!!!」
「くぁあぁぁぁ…!!!!」
断末魔ともとれる叫び声を発し俺は滾る欲望をメリアの膣内にぶちまけた。と同時にメリアも達したようで身体を仰け反らせピクピクと痙攣を起こしている。
「ぁ…ぁあ…ぁ…!」
ガクガクと揺れる細くも人間とは違う両脚。性器の交わる秘所からはぼたぼたと精液が滴り落ち、メリアの絶頂によって潮が滝のように流れ出ていた。
「はぁ…!はぁ…!…うち、とら…。」
「はぁっ!はぁっ!はぁっ!…。」
暫しの痙攣の後、精巣にあった精液を全てメリアの膣内に吐き出した俺は、倒れるように覆い被さっていたメリアから身体を離した。
額には玉のような汗、身体中からも大量の汗が吹き出ていた。
「メリア……俺は…。」
喜びとも哀しみともとれない複雑な表情のまま俺は絞り出すような声で口を開いた。そして、それより先を口にする前にメリアの唇が彼の口を塞いだ。
「ん…。…その先はダメ、貴方は正しいことをしたんだから。…気負う必要は、ないのよ?」
優しく、母が幼子を諭すような声色。そこに会った時のようなとげとげしさは微塵も感じられず、ただ、俺は彼女から俺と同じ充足感を得られているということだけはなんとなく感じ取れた。
それでも、俺は言わずにはいられなかった。
「すまない……あれだけ偉そうなことを言っておきながら、結局俺はお前を…陵辱してしまった。…謝ってすまされることではないが、言わせて欲しい。…本当にすまなかった。」
俺の言葉に、メリアは予想通りといった様子でやれやれと肩をすくめた。
「馬鹿ね…別に貴方が陵辱したんじゃないのに。」
「?それはどういう…」
困惑した様子の俺に妖艶な笑みを向け、メリアはチラリと自らの犬歯を見せた。
それを指差し、メリアは俺の質問に答えた。
「私が、貴方を犯したの。…ほら、見えるでしょ?この鋭い牙が。…あの時、あの路地で私は最初にあなたから血を吸ったの。…そして、代わりに毒を注入した。」
「毒…!?」
「ああ、勘違いしないで。毒と言っても健康を害するようなものじゃないから。…寧ろその逆というか、貴方の精力を数倍増しにする、媚薬のようなものと思ってもらえればいいわ。」
び…やく?
「…それは惚れ薬、とかいうやつ?」
「んー…ちょっと違うかも。まあ、確かにその効能もあるだろうけど、本質としては性欲の向上が主ね。」
「…そうか。」
メリアの言葉に、俺は安堵の溜息を漏らした。
「…ちょっと、なんでため息吐くのよ?」
溜息を不満の表れと感じたのか、メリアは不機嫌そうに訪ねてきた。
…なんだかツンツンが徐々に戻ってきた気がする。…ちょっと嬉しい。
「いや、なに、少し嬉しくてね。」
「何が?」
「うーん…ちょっと、恥ずかしいからあまり言いたくないのだが。」
「だめ、ちゃんといいなさい。」
バツが悪そうに顔を背ける俺に、しかしメリアは逃すまいと俺の視線に入り込んで問いただす。
「…あー、いやなんだ。俺のこの恋心が、偽りでないと分かったのが…まあ、その、少し、嬉しかったんだ。うん。それだけ。」
顔から火が出そうだ。まさかこんな台詞を自分がいうことになるとは思ってもいなかっただけに、率直に伝えることが気恥ずかしい。
伏し目がちで答えた俺を、メリアはポカーンとした顔で見つめてくる。
「な、なに…?」
「……か、可愛い。」
はい…?
呆気にとられた顔のまま、メリアは虚ろな声で呟いた。
突然の『可愛い』発言に俺も呆気にとられただ口を開けて彼女の、紅い瞳を見つめるしかなかった。
そんな俺の視線にようやく気付いてか慌てて顔を逸らしたメリアは急いで先の発言を撤回する。
「っ!ち、違うわよ!?別に、急に可愛いこと言い出した貴方に見惚れたりとか、ギャップ萌えしたりなんかしてないんだから!!」
…射精の後の不明瞭な頭にも分かりやすく実に丁寧に心境を述べてくれるメリア。うん、やっぱり可愛いなこの子は。そんな可愛いことされたらー
「だ、だから変な勘違いしないでよねっ…て何してんのよあんた!?」
…抱きしめたくなるに決まってる。
俺は柔らかく包み込むようにメリアを抱き寄せた。
頭を俺の胸の辺りに押し当てられながらメリアは必死にもがいている。…否、その振りをしている、かな?
頬が緩みきっているのが俺の視界にもバッチリと写っているのだから。
「や!ちょって、いきなり何すんのよ!…まったく、急にこんなことするなんて反則よ…。」
やがて、抵抗(表面上の)も無くなり成されるがままにメリアは俺の胸に顔を埋める。
…あぁ、なんだろうこの幸せな感覚は。久しく、いや、初めて味わうこの感覚はさっきの性行為のような一時の快楽と違って…こう、なにか安らぐような心地いい思いが心を満たしてくれる。
「暖かいな…メリアは。」
「……ばか。あんたも充分ほかほかしてるわよ。」
ぶっきらぼうながらも、俺と感覚を共有しているのが伝わってくる。
俺はそのことに充実感のような心地よさを感じながら、吸い込まれるように眠りへと落ちていった。
燦々と照りつける太陽が俺の頬を熱くする。
「んぁ…?もう…朝か?」
開かれたカーテン、障害物を無くした太陽光が窓をすり抜けて俺の顔に激しく照りつける。
朝特有の気怠さに塗れた覚醒。しかし、今日の目覚めはいつもほど疲れを感じさせなかった。
「よっ…と。」
俺は不思議に思いつつも、これを好機と一気に立ち上がり小さく伸びをする。
「ん?…なんかやけに肌寒いが…。」
心地よい覚醒とはいえ、未だぼやける視界のままふと、眼下に過った何かの塊に目を向けた。
「んんー?…これは…俺のパンツ?」
塊に見えたそれは脱ぎ散らかされた俺の衣類一式で、そこでやっと俺は昨晩の出来事を思い出した。
「はっ!そういえばメリア!あいつはどこだ!?」
辺りを見回すが姿は見えない。どうやら部屋にはいないようだが。
「ま、まさか……ほんとに帰っちゃった、のか?」
そんな、考えたくない可能性が頭に過った俺は真っ裸のまま部屋を飛び出した。
トントントン…
階段を駆けおりる俺に、台所からなにやら音が聞こえてきた。
しかし、それが何の音かすら今の俺にはどうでもよく、とりあえず音のする所へと俺は飛び出した。
「メリアッ!!」
「ひゃぁ!?…き、急に大声出さないでよ!びっくりしたでしょー」
台所には包丁片手に朝ごはんを作るメリアの姿があった。
たったそれだけのことに俺はホッと胸を撫で下ろし安堵の笑顔のままメリアへと近寄っていく。
だが、妙なことにメリアは最初の姿勢のまま固まったままでその視線は俺の下半身の一点から微動だにしなかった。
「?メリア?どうしたんだ?何かおかしなものでも…」
「おかしいも何も、貴方……朝っぱらからなんて格好してるのよぉぉぉ!!」
ぶん、と投げられた包丁は俺の真横をすり抜けて背後の柱へと突き刺さる。
「おわぁ!?何すんだよ!?」
「それはこっちの台詞よ!!…何であんた、裸のままなのよぉ!?」
顔を真っ赤にしながら両手で目を塞ぐメリアの必死の叫びに、俺は現在の自分の姿を思い出した。
「あ…そういえば起きた時のまんまだった。す、すまん!いま着替えてくるから!」
「あ、当たり前でしょ!?分かったから早くいきなさいよ、ばかぁ!!」
俺は慌てて部屋へと戻り、脱ぎ散らかされた服を着て、恐る恐る階段を降りてキッチンを覗く。
「…。」
「……なにこそこそ見てんのよ。別にもう怒ってないから入ってきなさいよ。」
「お、おじゃまします…。」
あっさり見つかっていた俺は、後姿のまま許しを与えてくれたメリアの言葉に従ってキッチンへと歩み入る。
「な、なぁ…やっぱそれって…朝ごはん?」
「…悪い?」
「い、いや悪くないけど…その、そこまでしてもらうとなんか悪い気がして。」
一晩泊めたのは事実だが、あの後すぐに眠ってしまった俺はメリアに飯も風呂にも入れてやらずじまいだった。そんな俺にご飯まで作ってくれるのかこの子は。
「あんた、いつも朝ごはん食べていかないでしょ?…だから今日くらいはしっかり食べていきなさい。」
「…ああ、そう言われたら食べていかないわけにはいかないな。うん、ありがたくもらうとするよ。」
ん?いや、まて。なぜこいつがそのことを知っている?俺とは昨日か初対面のはずだが。
ちょっとした疑問におれが考え込んでいると、目の前にいつの間にか出来上がっていた料理を手にしたメリアが不機嫌そうな顔でこちらを見上げていた。
「ほ、ほら、もうご飯できたからそこどいてちょうだい。」
「あ、すまん!」
急いで俺が退くと、メリアは「…ふん!」と言って黙々と料理を乗せた皿をテーブルに並べていく。
そして、全て並べ終わるとちょこんと目の前の椅子に腰掛けた。
「……なにボーと突っ立ってんのよ?早く座りなさいよ。」
「お!?おう…。」
呆然と、テーブルの上の豪勢な料理の数々を見ていた俺はメリアの一言で我に返り慌ててメリアの向かいの席に座る。
「…た、食べていい?」
「当たり前でしょ、誰のために作ったと思ってんの?」
「そ、それでは…いただきます。」
手を合わせ、挨拶を済ませたあと、俺は恐る恐る、橋を目の前の料理に伸ばした。
そして、掴んだそれをこれまた恐る恐る口へと運んでー
「は、早く食べなさいよ!!」
ぱくり。もぐもぐ…
「…もぐもぐ。」
「…(ドキドキ」
「…。」
「…ど、どう?」
「…うん、美味すぎる。」
…なんというか、そこらのレストランより美味しいかもしれん。というか、こんなに豪華の食事を朝からいただいてしまってよいのだろうか?…俺の家には食材となるものがほとんど皆無だったことを考えると、おそらくこれらはメリアが持ち込んだもので作られたはずだ。
果てして、そこまでしてもらうほど俺は彼女に恩を売っていただろうか?
「…はぐっ!もぐもぐ!」
だが、今はそんなことを考える時間も惜しい。とにかく目の前の料理が美味すぎて箸が止まらないのだ。
「そ、そんなに美味しいの…?…う、嬉しい。」
夢中で料理を食べる俺を見て頬を朱に染めたメリアはちょっぴり笑顔になる。
「もぐもぐ…。」
「…。」
「もぐもぐ…。」
「…うちとら?」
「もぐもぐ…。」
「ちょ、ちょっと、そんなにがっつくと喉に詰まらせるわよ…」
「むぐっ!?」
「ほら!言わんこっちゃない。…はいはい、大丈夫?」
苦しさにもがく俺に、メリアはやれやれと俺の側まで来て背中をさすってくれた。そして渡してくれた水を一気に飲み干した俺はふぅ、と一息つく。
「…はぁ、ありがとうメリア。ちょっと夢中になり過ぎたよ。」
「別に感謝されるほどのことでもないし…それより、そんなに私の料理が美味しかったの?」
そっぽ向いたままぶっきらぼうに告げてくるメリア。なんと可愛いのだろう。そのツーンとした顔の中に潜む僅かなデレの気配に俺は心躍らせる。そして、そのデレを見るために俺は満面の笑みで正直に答えた。
「ああ、俺が今まで食べたなかで最高のご馳走だよ。。ありがとう、メリア。」
俺の言葉に、メリアの顔がパァ、と明るくなりその弾けるような笑顔が俺の心を癒していく。
「…うん!」
満面の笑み。俺のものとは比べものにならないほどに快活で魅力的な笑み。その笑顔に俄然食欲が湧いてきた俺は、ニコニコのメリアに目守られながら彼女の料理を平らげた。
「ふぅ…ごちそうさま。……お、まだ時間が大分あるようだ。」
時刻は現在6:30。学校までは歩いて30分なのでまだかなりの空き時間がある。
「それならお風呂、入る?今入ればちょうどいい熱さのはずよ。」
…完璧だな、この子。
「あ、ありがとう。…昨日の入れなかったから、丁度、ひとっ風呂浴びたいと思ってたところだったんだ。じゃあ、早速入ってくるよ。」
そう言って立ち上がった俺の服の袖をメリアは慌てて掴む。
「ん?」
「あ、待って…え、とね。そのぉ…もし、もし良かったらさ?い、一緒に…入りたいかも。なんて…。」
な、な、な、なんですとぉーーー!!!?
「…。」
「…だめ、かな?」
…やめろ。そんな悲しそうな顔で俺を見るな!その上目遣いは反則だぞ!?…まあ、別に断るつもりもないんだけどさ。
「いいや、寧ろ大歓迎です!」
グッと親指を立てる俺。…浅ましいだと?ハッ!そんなものはこの子の笑顔の前では石ころほどの価値もない!!
「ほ、ほんと!?やったー!!」
万歳しながら喜び飛び跳ねるメリア。いや、もうこの際メリアちゃんと呼ぼう。うん、その方が可愛いし。
衣服を脱ぎ、風呂場へと入る俺たち。
「あれ?同時に入るの?」
「う、うん…その…背中流してあげようかと思って。」
…おおう、なんとサービス精神旺盛な子だ。そんなことされたら俺の精神が爆裂しそうだが、ここはとりあえず欲望の赴くままに従おう。
「そっか、それじゃあたのむよ。」
俺は風呂場にある小さなプラ製の椅子に腰掛け、その背後に全裸となったメリアが立つ。…なんと、夢のような光景だろうか?生まれたままの姿で美少女と風呂場に2人きりだなんて。
「…じ、じゃあ頭から洗うわよ?」
まだ少し緊張しているのかたどたどしい口調とおぼつかない手つき、シャワーで俺の頭を濡らすその手もやはり慣れていない。
充分にお湯を当てたメリアはその小さな手できゅっとお湯を止める。そして適量のメ○ットシャンプーを手に取ると。
「い、いくわよ…?」
「お、おう…」
少し不安になるような口調で俺にシャンプーの開始を告げた。…だ、大丈夫だろうか?
「…。」
「…。」
…なんだ。ちゃんと洗えるじゃないか。先ほどの不安を払拭するかのように、メリアの頭皮マッサージは完璧だった。そのあまりの心地よさに自然と笑みが溢れる。
「どう、かしら?…気持ちいい?」
「ん…すっごい気持ちいい。」
「そう…よかった。」
しばらく極上のマッサージを堪能していると、おもむろにメリアがシャワーを手に取った。
「じゃ、流すわね?」
「おう、頼む。」
シャー。
…ああ、夢心地とはこういう状態のことを言うのだろうな。優しい手つきでシャンプーを洗い流すメリア。この、時折頭皮に触れてくる柔らかい指の感覚がどうにもたまらん!!
「はい、じゃあ次は…」
「身体を頼む。」
即答。
「え、リンスは?」
「いやぁ、男の俺には必要ないものだ。というわけで身体、頼む。」
「ダメよ。じゃ、リンスね。」
えぇ〜。
心の中で密かに落胆の声を漏らす。…まあ、楽しみが先に伸びただけだから一向に構わんのだが。
「ん…」
これまた優しい手つきでリンスを塗り込んでいくメリア。髪はもちろん頭皮にまで丹念にリンスをやっていく。
…うーむ、極楽だ。いや、風呂桶に浸かる前に言ってしまうのもなんだが、本当に、心の底から俺は昇天してしまいそうな気分だった。
「あ、ちょっと動かないでよ。リンス、目に入るわよ?」
「う、すまん…。」
いかん、ぽわぽわし過ぎて身体から自然と力が抜けていたようだ。
「……はい、じゃ、流すわよ。」
シャー。
…。
……うーん、いい。実にいい。この世話されてる感じがどうにも堪らない。
幼い頃から両親があまり家にいなかったこともあって、身の回りのことはもちろん家事も大抵のことは自分でやってきた。
そんな俺が、今、女の子に。しかも美少女に頭を洗ってもらっているのだ。これが幸福でないはずがない!
「…っと、じゃあそろそろ身体洗うわね。」
おっと、もう洗うのか。喜びに浸りすぎて時が経つのも早く感じるな。
「…あ、じゃあ、そこにあるスポンジを使って。」
俺は左手に見える黄色いスポンジを指差しそう言った。
メリアはそれを手に取るとメ○ットシャンプーとリンスが並ぶ列に置かれたボ○ィウォッシュを適量抽出する。
それをスポンジごともみもみと…
…ああ、俺もあのスポンジのようにもみもみされたい!
「…。」
気がつくと、メリアが不快そうな顔で俺をジッと見ていた。
「な、なにかな?」
「貴方、今、いやらしい顔してた。」
「っ!!いやいやいや!そんなこと考えてないぞ!?断じて考えてない!!…というか、身を清めるべき風呂場で邪な考えを起こすはずがないだろうが…。」
我ながら苦しい言い訳。いや分かってる。自分でも苦しいのは分かってるんだ!
でも、そんな俺の予想を外れてメリアはなんだか納得したように「そう…?じゃ、いいわ。」と俺の背中をスポンジでゴシゴシと洗い始めた。
…やはりこいつはバカなのだろうか?…だが、そこがいい。ちょっと天然なツンデレとか俺の大好物ですから。
「んっ…しょ。…ん、しょ。」
「…。」
俺の背中をこするたび彼女の口から自然に漏れてくる声。未だ眠気が覚めていないのか、それともこれまでの彼女との出来事がそう思わせるのか、俺はこの声をいやらしいと感じてしまっていた。
…いや、待て待て。ただ身体を洗ってもらっているだけなんだ。いやらしい要素なんて一つもない。
…そうだよ、最近のラノベとかだと当たり前になってきてるじゃないか。メインヒロイン以外とお風呂に入ったり洗ってもらったりするのって。
そうか、時代はすでにそこまで進んでいたんだ。女子と入浴=いやらしい、という俺の考えこそが時代遅れだったのだな。うん納得。
「…うちとら。」
「ん?」
不意にメリアが声をかけてくる。さっきまで俺の背中を洗っていた手はピタリと止まって、顔も俯きがちだ。
…なんだろう?遂に俺がいやらしい気持ちでいたのがバレてしまったのだろうか。
俺がビクビクしながら待っていると…
「その…前に行って洗っても…いいかしら?」
「…へ?」
なんだ、そんなこと。
「当然、構わな…あ、いや!…うん、いいよ。」
危うく、心の声をそのまま出してしまうところだった。ていうか半分出てた。でも、そこは天然のメリア、気づかないまま俺の前へとやってきた。
「っ!!」
…だが、そこでハプニングが起こった。
「え…なに?なんで、固まってるの?」
俺の前に来た途端にメリアが固まった。…視線は、さっき台所で注がれたあの場所。そこで俺は全てを察した。
「…。」
「…ごめん、これは生理現象なんだ。許してくれ。」
メリアの凝視する先、怒張した人類最古の塔が猛々しくそそり立っていた。
「…。」
わなわな。
「め、メリア?…怒って、る?」
…まずい。これはまずい。今迄の態度からなんだかんだで許してくれていたメリアが本気でわなわなしている。
「…。」
…俺の失態である。いや、認識が甘かったのだ。いくらツンデレとはいえ、いきなり、しかも風呂場で、洗ってもらっている身でチ○ポを見せつけるべきではなかった。
彼女とて女の子なのだ。場面によっては性器を恐怖に感じることだってある。ちょっと考えればわかることだ。
それが分からなかったから、俺はこれから捨てられるのだ。
「…。」
うむ、覚悟は決めた。こうなればー
「す、すす…すいませんでし「はむっ!!」
…。
「…え?」
「はむはむ…じゅる、じゅぽっ!」
え。
「え…。」
ええぇぇぇぇ!!!?
なに?何が起こったの!?
「じゅぢゅ…じゅっ…むぁ…あむ…んぐ…。」
「め、め、メ…?」
俺の驚きは必然である。だって俺が平謝りしようとした途端、メリアは俺の性器にムシャぶりついてきたのだから。
だから、俺はただ、射精まで彼女のなすがままにされるのみだった。
「ん…!ん…!ん…!」
「あ!で、出る!!口を…!離して、メリアッ…!?」
俺の最後の忠告虚しく、メリアの口内で蹂躙された性器は彼女の口いっぱいに精液をぶちまけた。
「んぐっ!?ん…!…ごくごく。」
の、飲んだ!?
「メリア…!…はぁ…はぁ…!大丈夫…か!?」
俺の精液を全て飲み干したあと、メリアはぷはっ、と性器から口を離し伏し目がちに俺を見上げた。その眉は八の字を描いている。
「…出すなら…言いなさいよ…ね。」
「??え…?怒ってないの…?」
予想に反するメリアの言葉に俺は拍子抜けしてしまう。
「?…何で怒るのよ?女の子に身体洗われてち○ぽ立っちゃうのは健全な男なら当たり前でしょ。…それに、そのために一緒に入ったんだし。」
「え?」
「あ!いや!なんでもないわよ!!ただ、貴方は私に任せておけばいいの。わかった!?」
「は…はい…?」
「疑問系…?」
「いや、分かりました!万事、メリア様にお任せいたします!!」
「うん、よろしい。」
そう言って、無い胸を張るメリア。
…なんだか、高圧的だったが、どこか頼り甲斐がありそうな感じ。妙なことだらけだが、とりあえず任せておくのが無難だろう。…先の一件、というか失態もあるわけだし。
「…じゃあ、そこに仰向けになって。」
腰に手を当てたメリアが命令する。
「……なんで?」
当然、俺は意図を知りたくなる。
「いいから横になる!!」
「は、はいぃ!!」
だが、あっさり折れる。…いや、だってなんだか怖いし。
さっき、怒るどころか一発抜いてくれたことが奇妙すぎてまともな思考が保てない俺は言われるがままに身体を横にする。
すると、ひんやりとしたタイルの感触が背中全体に伝わり少し身震いしてしまう。
「あ、あのーメリアさん?これから何をなさるおつもりで…」
「だまってなさい!…今から入れるから。」
叱責され、おとなしく横になっていた俺はなにやら股間が暖かいものに包まれていくことに気がつく。
「?メリア、何をしてー」
…って入れてる!?挿入してる!!
身を起こし先ず目に入ったのは、俺のそそり立つ性器を自らの膣に埋めていくメリアの姿だった。
「お、おい!風呂場でする気か!?」
「ん…はぁ!…誰のせいでこんなにも発情してると思ってるのよ?」
俺の言葉など御構い無しに根元までチ○ポを膣内に押し込んだメリアは、麗しい吐息を漏らしながら俺を睨みつける。といっても、そこに嫌悪の類は感じられず寧ろ求めているかのように感じた。
「ぐぉ!?こ、これは…昨日よりさらに締め付けが!?」
「はぁ…はぁ…あ、あたしだって…我慢してたのに…それなのに、あんたはぁ!」
虚ろな瞳、発情しきった身体から漏れる甘い吐息。その全てが魅力的で、俺は怒られているにも関わらず欲情を募らせていた。
「す、すまん…!…でもあれは本当に、どうしようもなくって…お前が…あんまりにも可愛いから…!」
「!!ばかぁ…そんな恥ずかしいこと、言うなぁ…!」
ゆっくりと、舐めるような動きから徐々に腰を叩きつけるような激しいピストンへと移行する。
その度にメリアの口から漏れる淫声は、より大きく、淫らになっていき俺の脳を快楽で麻痺させていく。
「メリア!だめだ!もう出てしまう!!…こ、今度こそ外に!!」
「ダメ!そんなの許さない!!あなたの精子は全部私のなの!誰にもあげないんだからぁ!!」
そ、そんなこと言ってる場合か!?このままでは妊娠してしまうかもしれん!…そんなことになったら、この子の親になんと言ったらいいのか!?
…いやいや、そもそもこの子が人間の精液で孕むのかは分からない。それに親だって…!ああ、でも!!こんな…こんな少女に!!俺は!!
「ぐっ!出る…!」
「っ!!ふあぁぁぁぁ!!!?」
理性と共に弾けとぶ精液。大量に吐き出されたそれはメリアの膣内を一瞬にして満たし溢れた白濁は性器の接合部から漏れ出ている。
「はぁ…はぁ…はぁ…!…うちとらの…精子。私を…孕まし…て。」
「メリ…ア…!」
がばっ!射精後の虚ろな頭を叩き起こして俺はメリアを抱き締める。
「ひゃあ!?な、なに!?」
「こ、今度は…俺が洗ってやるよ。」
悪どい笑み。メリアは不安そうにおろおろしている。
…ふふふ、俺だってこれでも我慢してた方なんだぜ?
「!ちょ、おっぱい!触らないで!今揉まれたら、私…!」
「ククク…!それそれ…イッてしまえ!」
「うぁ…!?乳首ぃ!だめぇ!!」
背後に回り込んだ俺はメリアの乳房を遠慮なく揉みしだく。ひもじそうに直立している乳首も時折弄ってやる。そうすると、身体に付いていた泡がローションのような役割を果たして実に滑らかな愛撫を可能としてくれる。
ぬるぬるとした感触を持ったことで、柔らかく白い肌のメリアの身体がより一層いやらしく見える。
「そろそろ…下も世話してやるか。」
「あ!だ、だめぇ!!」
片手で胸を弄びながら、もう片方の手でメリアの物欲しそうにしていた秘部を弄る。
くちゅくちゅと音を立てて指を出し入れする。こする。
「ひぅ…!うちとらぁ!」
こちらを振り向く余裕が出てきたメリアに、俺はクリを摘むことで答えてやる。
「ひゃぁぁぁ!?」
「…ほら、そろそろイきそうなんだろ?…いいぞ、遠慮なくイッて
しまえ!!」
愛撫する手つきが早まる。そして激しくなる。それに合わせてメリアの絶頂への高まりが大きくなっていく。そしてー
「イッ…くぅぅぅ!!!!」
豪快に潮を吹き上げた。放尿にも見えるその絶頂に足腰をガクガクさせながら顔をとろけさせている。
「あ…ぁぁ…ぁ!」
やがて、絶頂感が治ったメリアは腰を抜かしてしまう。その身体を俺は慌てて抱きとめる。
「はぁ!はぁ!…うち…とら。」
「メリア…。」
俺の腕の中に収まるほどに小さい身体。そしてそんな幼さとはかけ離れた上気した顔。甘く誘うような声に俺は思わず顔を近づける。それに応えるようにメリアも目を閉じて唇を差し出す。
「ん…。」
「んむ…。」
そして俺たちは口付けを交わした。
「ふぃ〜…癒されるわ〜。」
「…うん、ほかほかするね。」
お互いに身体を洗い合った俺たちは仲良く入浴する。幸い、この家の風呂は2人で入っても余裕が生まれるくらいは大きいものだったのだが、メリアは「うちとらとくっ付いてないとやだ!!」といつので、現在俺は彼女を伸ばした脚の上に乗せる形で入浴させている。
性交の興奮も収まり、2人で朝風呂の心地よさを堪能していると。
「…ねぇ、うちとら。」
「ん?」
囁くような声でメリアが話しかけてきた。
「…あの、さ。もしも…よかったらなんだけど。…私と…その、付き合って…くれないかな?」
「…。」
俺は呆気にとられた。いや、当然拒否する意味ではない。そのあまりの今更感に呆れてしまったのだ。
すると、メリアは不安そうにこちらに振り向いてきた。
「だ…だめ。かな?」
「…はぁ、そんなこと聞くまでもないだろ。」
面倒そうに頭を掻いた俺の態度に、一瞬しゅんとなるメリア。その頭に俺は優しく手を乗せた。
「…俺と婚約してくれ、メリア。」
「え…!そ、それじゃあ!!」
一転して笑顔になったメリアはこちらへと身体ごと振り向いた。
「ああ、俺もお前と一緒にいたい。…そんで?俺のプロポーズに対しての答えは?」
「うん!うん!!もちろんOKよ!」
「そっか…でも、まあ今俺、高校生だからちゃんと卒業して、就職してからになっちゃうけど…いいかな?」
「その前に大学でしょ?」
「え…そんなに待ってくれるのか?」
「あったりまえじゃない!今までどれだけ待ってきたと思ってるのよ?」
…ん?
「ちょっとまて。今まで?待ってきた?…その、どういう意味だ?」
「あ。…えーと、ですね。」
しまった、という顔になったメリアはバツが悪そうに頭を掻きながらこれまでの経緯を初めて語ってくれた。
まず、彼女がこの世界に来たのは1年前で、その時にすでに俺の存在を知っていたという。そして、信じがたいことに彼女は俺に一目惚れしてしまい、なんとか俺を手に入れようと考えたが奥手過ぎて今迄声もかけられなかったらしい。
「…ツンデレすぎるだろ。お前。」
「し、仕方ないじゃない!これまでまともに男の人と話したことだってなかったんだから!!」
…それが、昨晩勇気を出して声をかけようとしたが、勢い余って噛み付いてしまったらしい。そんで、血も吸ってしまったんで俺同様に互いの身体を激しく求める衝動に駆られてしまったのだとか。
「…なるほど。それでお前自身もあんなに淫猥だったわけだ。」
「う、うるさいわね!私だってあんなになると思ってなかったんだもん!」
…まあ、でもそれに感謝すべきかな?
「…なに、ニヤついてるのよ。」
「ふふ…なんでもない。」
「なんでもなくない!ちゃんと言いなさいよ!…も、もしかして他の女の子のこと考えてる?」
「ばーか。そんなわけないだろ。…俺にはもう、お前以外眼中にないよ。」
我ながらなんとキザなセリフ!俺、今人生で初めて自分がかっこいいと思った!
と、そんな様子で脳内ではしゃいでいると、メリアは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「なんだ?恥ずかしいのか?…まったく、だれがそうさせたと思ってるんだよ。」
「うう…!でも…あんな事言われたら私ー」
がばっ!
「うおっ!?」
「貴方のこと、もっと好きになっちゃうじゃない!!ばかぁぁぁ!!」
「はは…よしよし。」
いきなり抱きついてきたのは驚いたが、とりあえず頭を撫でてやる。メリアの方も心地よさそうに頬を緩ませている。
…まったく、拾ってきた猫以上に可愛いなお前は。
「うーん。うちとら〜。」
「…ツンデレの高低差が激しいよな、お前って。」
素朴な疑問を投げかけつつ、俺はふと現在時刻を知るべく風呂場にある時計に目を向ける。
「ああ…まだ8時か………ん?8?」
デジタル時計に映し出せれているのは8:30という数字。
「のわぁぁぁぁ!!!?遅刻だぁぁ!!」
「うひゃぁぁぁ!!!?」
いきなり立ち上がった俺にメリアは腰を抜かしてしまう。
「な、ど、どうしたのよ!?」
「遅刻だ!遅刻してしまう!!」
尻もちついたメリアを気にかける余裕もなく俺は風呂場を飛び出して身体を適当にタオルで拭いていく。
そんな俺の様子を心配して、メリアが風呂場からひょっこり顔を出す。
「だ、大丈夫?手伝うことある?」
「いや、大丈夫、心配しなくていいよ。…ただ、俺が全速力で駆け抜けるのみさ。」
気が動転してまともな思考ができない俺は、自分でも意味不明な台詞を吐きながら玄関へと駆ける。そして、傍に掛けてあった制服に急いで着替える。
そして靴もちゃんと履けていない状態で玄関を開け放った。
「そ、それじゃメリア!いってきます!!!!」
心配そうなメリアにとりあえず挨拶した俺は駆け足で高校へと向かった。
「まったく…忙しないんだから。」
自宅に1人残されたメリアは、やれやれと苦笑した。
「…よし!それじゃあ、まずは掃除、洗濯を済ませちゃうか。」
ぱん、と両手で頬を叩いて気合を入れ直したメリアは洗面所の方へと消えていった。
「はぁ…はぁ…はぁ…!!」
俺は走る。とにかく走る。なんでかって?そんなもの決まってるだろ!!遅刻しないためだ!!
学校への道のりもすでに半ば!この調子ならギリギリ間に合う。
太陽はすでにその猛威を振るっていた。その余波がこの並木道にも降り注いでくる。
「朝からやる気なくすなぁ…まあ、今日はなんだか心地よく感じるけど。」
木漏れ日は駆ける俺の背を優しく照らしほんのり温める。
「…そういや、今日からは家に帰っても1人じゃないんだよな。」
そう思うとなんだか心がぽかぽかしてくる。我ながら孤独に飽いていたのか、家で待ってくれている人がいると考えただけで妙に心躍るものを感じる。
「…それに、待ってるのは俺の未来の嫁さんなんだよなぁ。」
…まだ実感が湧かないが、彼女は確かに待ってくれると言っていた。たとえそれが虚言でも俺は歓喜しただろう。…でも、あの声は確かに俺を待つと言ってくれていた。なぜだかは分からないがそう確信できる。
ならば、俺が今考えるべきはー
「…とにかく卒業して、いい大学にいって、ちゃんと…あいつを養って余りあるくらいの稼ぎができる会社に就職する。」
それだけだ。
どうかそれまで彼女に愛想尽かされないように頑張らないとな。…夜の営みとか色々と。
俺はふと空を見上げる。
そこにはいつもとさして変わらない空と、忌々しくも俺を祝福するかのように輝く太陽。
それら全てに向けて俺は誓う。
「…いつか、絶対にメリアに釣り合うくらいの男になってみせる!!」
力強く誓った俺の目の前にはいつの間にか、学校の校門が見えていた。
俺、千堂 衷虎(せんどう うちとら)は現在、人生最大の危機に瀕していた。
「…ふっふっふ〜。私の針を受けたわね?ね?…それじゃあ、貴方はもう私から逃げられないわ。」
俺の目の前にいるのは、宙に浮いた(文字通り。)半人半虫の少女。
…いや、自分でも何を言ってるのかよくわからないが、これは紛れもない事実。文面通りの状況が俺の目の前で展開されているのだ。
時刻は19時を回ったところ。未だ駅周辺は人通りが多いが、こんな民家と民家の間にある細い路地には人気なんかない。そんな中でこいつは突然、背後から襲いかかってきた。そして、一瞬首筋を何かで刺されたような感覚に見舞われた後、こいつは目の前にふよふよと飛んできた。
「…とりあえず聞いておこう、お前は…なんだ?」
突然、目に見える形で現れた非日常に俺は、羽とか白黒のシマシマ模様の手足とか他諸々を含めて質問する。開口一言目が日本語だったので少なくとも言葉は通じる相手なのだろうが…。…いかんせん、こいつが何なのかが分からない。
「そうねぇ……強いて言うなら、貴方のお嫁さん。…かしら?」
……。
「……。」
「…ち、ちょっと!何か反応しなさいよ!!なんか私がイタイ奴みたいじゃない…。」
…あながち間違いではないのでは?
「お、おほん!…それじゃあ、気を取り直して。」
咳払いを一つして、なんとかリズムを自分に戻そうとする目の前の“何か”。
改めて自信たっぷりの笑顔でこちらを指差す。
「あなた!私の夫になりなさい!!」
「断る。」
「そ、即答!?」
当たり前だ。突然現れて求婚されて「はい!不束者ですがよろしくお願いします!」とはならんだろ。
「そんな…!私のシナリオだと、『はい!不束者ですがよろしくお願いします!』って言うはずだったのに…。」
…おい、本気でそう思ってたのか。
出会って数分も経っていないが、すでにこいつの人となりというか性格がなんとなく分かってきてしまった俺だが、今一番の疑問にまだ答えてもらっていない。
「…それで?お前は何なんだ?あいにく俺は出会い頭に求婚してくる幻想生物に心当たりはないのだが。」
思わず頭を掻きながらぶっきらぼうに質問を繰り返してしまう俺。
アドリブに対応できない性格らしく、すでにあたふたしている目の前のヤツはなんとか俺の質問に答えた。
「わ、私の名前はメリア。種族はヴァンプモスキートよ!!」
ヴァンプ?モスキート????
期待していた返答とはかなりかけ離れた答えに俺は脳内に大量のはてなマークを浮かべてしまう。
「魔物娘…って聞いたことない?」
「魔物?娘…?」
悪いが今まで生きてきたなかで一度も聞いたことがない単語だ。まず、魔物なのか娘なのかをハッキリさせて欲しい。
「え…と、とりあえずお前は魔物なんだな?」
「ええ、そうよ!巷じゃ『昆虫界の吸血鬼』なんて呼ばれてるんだから!」
さも自慢気に胸を張りながらメリア、と名乗る少女?というか魔物。
「それって、蚊の事なんじゃ…。」
「蚊じゃないわよ!ヴァンプモスキート!!…まったく、この世界じゃまだ個体数が少ないのかしら?」
蚊みたいな形をしているくせに一緒にはされたくないのか、ぷんぷんと怒り出すメリア。
というか、“この世界”とはどういう意味だ?
「…まさか、異世界から来ました、なんていうベタな設定じゃないよな?」
「は?当然、異世界から来たに決まってんじゃない。こんな人間以外に目新しい生き物がいない退屈な世界に、私みたいなプリチーなヴァンプモスキートがいるわけないでしょ。」
退屈で悪かったな。
「そんで、その異世界から来た魔物さんが、極一般的な男子高校生たる俺に何の用だ?」
「…はぁ、あんたもたいがい人の話を聞いてないのね。…だーかーら、私が貴方を旦那として貰ってやるって言ってんでしょ。」
な、なんて上から目線なんだ…!こんな高圧的な告白は初めて見た気がする。
「だから、俺もさっき断ったろ?…ほら、用が済んだならとっとと元の世界に帰れよ。」
「な、なによその言い方!さっきだって魔物を見慣れてない貴方を驚かそうと思って出てきたのに、全然驚かないし。
…もう少し、優しくしてくれたっていいじゃない。私だって1人でこの世界に来て寂しかったんだから。」
なんだかしゅんとして俯きがちにむくれてしまう。その姿に、不本意ながらちょっと可愛いとか思ってしまった。
そしてちょっと可哀想かも、と心の片隅で思ってしまった俺はつい、言ってしまった。
「…あー、まあ、そのなんだ?もし…もし宿とかないってんなら、俺ん宅に来ても…いい、かな?」
おいおい正気か、俺!?相手は得体の知れない虫女だぞ?!いくら美少女だからって…いや、ほんと超絶好みのタイプだからって。
「え…?ほ、ほんと?ほんとに泊めてくれるの?」
…ほら、食いついちゃったよ。俺はもう知らんぞ(理性君の発言)。
「まあ…今、親は海外出張中だから家には俺一人だからな。食料も2人分ならあるし。」
「嬉しい…!…ハッ!ち、違うわよ!?貴方がそこまで言うから仕方なく泊まってあげるんだからね!?嬉しいとか思ってないから!」
…ベタなツンデレかお前は。
「…まあ、嫌いじゃねぇけどな、そういうベタなやつ。」
なし崩し的に俺宅に泊めるハメになってしまったが、決まってしまったことは仕方がない。うん、仕方ないから泊めてやる。
「ただいま、っと。」
誰もいないのに挨拶をして俺は靴を脱いで家に上がる。いや、特に意味はないんだが、道中に“こいつ”とは一言も喋らずに無言できたものだから、とりあえず会話のきっかけでも掴めないかと言ってみた次第である。…今思うと、仄かに朱の差した顔で物欲しそうにもぞもぞしていたような気もするが、おそらく気のせいだろう。うん、多分気のせい。
「お、お邪魔します…。」
そう言って恐る恐る家へと飛んで入ってくるメリア。
「なんだよ、緊張してんのか?」
「!ち、違うわよ!…ただ、男の人の家に入るのとか初めてだから…少し抵抗があっただけ。」
ほほう、抵抗ねぇ。出会っていきなり嫁とか夫とか言ってた割には初心なんだな。…まあ、今までの言動でなんとなく予想できたけど。
「俺の部屋は上だから。」
「あ、うん、わかった。」
スタスタと階段を登って、右手にある扉のノブに手をかける。…ていうか、後ろでブンブンうるさいのは、まさか飛んでるからではあるまいな?
もしかしてと思いチラリと振り返る俺。
「な、なによ。」
「…家なんだから、別に飛ばなくてもいいと思うぞ?」
羽音が五月蝿いから。
「っ!」
何の気なしに放った俺の言葉に、何故かメリアは顔を赤らめてモジモジし始める。
「あ…でも…男の人の家に足を付けるなんて…。」
おいおい…あれだけ嫁とかなんとか言っておいて、随分初心な奴だな。
俺は、少し面倒くさそうに頭を掻いた後、ふとあることに気づいた。
「あ、そういえば客用のスリッパがあったな…すまん、すっかり忘れていた。」
「え、あう…?」
「今、取ってくるから、ちょっと待っててくれ。」
そりゃそうだよな、家に招いておいてスリッパも用意しないなんて鈍感にもほどがある。
さっきまでの自分に反省しながら俺は、上履き用の棚を漁る。運良く最前列に並べられていたこともありすぐにスリッパを見つけることができた。
それを握りしめて俺は急ぎ足で階段を駆け上る。そしてー
「おーい、スリッパ取ってきたぞ…って、えぇ!?」
スリッパ片手にメリアに声を掛けた俺は、目の前に広がる光景に思わずフリーズしてしまった。
「あ…んぅ!…はぁ…はぁ…!」
そこには、自分の太ももに手をあてがってM字開脚するメリアの姿があった。
「な、何やってんだお前ぇぇぇ!?」
「ご、ごめんなさい!…でも…でも!もう我慢できないの!!お願い!!…貴方の精液……私にちょうらぁい。」
とろけきった顔でそうせがまれては、否が応でも下半身が反応してしまうというもの。俺の息子は一瞬にして最高潮に怒張してしまった。
「はふっ…はぁ…ぁ…!」
しきりに自分の右人差し指をしゃぶるメリア。その顔はこれ以上ないほどに緩みきっていて、どこか困り果てたようにも見える。
空いている左手は休むことなく自らの秘部を出入りしており、ねちょねちょとした粘液で濡れ切っていた。
滴る愛液を気にする余裕もないのか、半垂れ流し状態の粘液が床に小さな水溜まりを作り出していた。…いや、ちょっとじゃなくてかなり大きく。
「お、おい!しっかりしろ!今、水と濡らしたタオルを持ってきてやるから…」
急いで取りにいこうと振り返りつつそこまで告げた俺は、身体を電撃のように走った疼きに動きを止めてしまった。疼きは急速にその勢いを増していき、ものの数秒で視線をメリアの蕩けきった淫らな秘部に釘付けにしてしまう。
「な…!?なん…だ?これは…!!」
俺の身体はどうしてしまったのだろう?内から溢れ出る肉欲に理性が耐えられない!?…こ、これじゃあ、まるでー
「はっ…!はっ…!」
…目の前のあいつみたいじゃないか?
「うぐっ!?」
性欲を自覚した俺の身体に、更なる電流が走り抜ける。頭のてっぺんから身体の全てを通り抜けてつま先まで駆け抜ける情動に、思わずメリアへと襲いかかりそうになる。
「だ…だめだ…!…夜道で出会った少女を連れ込んで、あまつさえ陵辱するなど…!…俺の流儀に反する!!!!」
「っ!…あ、あなた…。」
俺はなんとか自らが信条とするものを必死に思い浮かべて情動を封じ込める。
そして、息も整える余裕も無いまま俺は肉欲に乱れるメリアの目をなんとか真っ直ぐ見つめることに成功する。
「…なんの…呪いかしらんが!…ま、負けるな、メリア!!……この千堂衷虎、決して無防備な女子を手にかけることはしない…!!…安心、して…リラックス、しろ…!!」
「うち…とら…。…それが…貴方の名前、なのね。……それじゃあ、改めてお願い衷虎。…その逞しいおちん○んを、私の膣内に…入れて♥?」
…っ!!!!
だ、だめだ!!ここで負けたら、俺はきっと後悔する。…だから……だから負けるな、俺!!!!
「うおぉぉぉぉ!!!!」
喉がはち切れんばかりの咆哮、この際、近所迷惑とかは後回しにした上で俺は精一杯の気力を持って咆哮し、そしてー
「うち…とー」
ガバッ!
メリアへと覆いかぶさった。
「はぁ!はぁ!はぁ!…メリアッ!!」
両肩をがっしりと掴んで逃がさないように抑えた上で俺は無我夢中でメリアの控えめな乳房にぷっくりと突起した乳首にむしゃぶりついた。
「んあぁ!?…嬉しい…はっ…うちとらが、私の乳首を…ちゅうちゅう吸ってるぅぅ!!」
プシャー!という音ともにメリアの秘部から絶頂の潮が吹かれる。溢れ出た液体は覆い被さっていた俺の股間を集中砲火で濡らし、俺も布越しとはいえ外部から生暖かい温もりを性器に浴びせかけられ一際の快楽に身を震わせる。
その後もメリアの乳房を貪る俺を、彼女は優しく頭を撫でながら抱きしめてくれた。
「あん!ちょ、ちょっと待ってうちとら!」
しかし、急にグイと引き剥がされてしまう。
突然の拒絶に俺は泣きそうな顔でメリアを見つめてしまう。
「あ…そんな顔しないで。どうせなら一緒に感じたくて…私。だから…。」
クパァと自分の人差し指と中指で秘部を広げ、まるで見せつけるかのように脚を開くメリア。その光景に、肉欲で破裂しそうな俺は食い入るような視線を送ってしまう。
「私の…中に……い・れ・て♥?」
「メリアァァァァァ!!!!」
「きゃん!?」
言われるまでもなく、俺はそのつもりだった。再びメリアへと襲いかかった俺は遠慮躊躇の類の一切をかなぐり捨てて、怒張しきって破裂寸前の男性器をメリアの濡れそぼった秘部に突き込んだ。
「っあはぁぁぁん!!!?」
突き入れた瞬間に肉棒から伝わってきたのは、薄い何かが破れる感覚。だが、俺はその正体には一切関心を向けることなくただひたすらに腰を振り続けた。
「いっ…!ぅん!…ぁ…っ!…はぁ…はぁ…!」
「メリア…メリア…メリアッ!!」
容赦のない突き、それはもはや陵辱以外の何物でもなく、つい数分前までの信条とやらも理性と共に弾け飛んでいるのがわかる。
もう幾度目の突きかも分からなくなってきた頃、俺はふと性器のの接合部へと目を向けた。
「…っ!!メ、メリア!お前…!?」
そこにあった“赤い染み”に俺の理性は、一瞬のうちに帰還を果たした。
突然性交を止め、驚いた顔で見つめる俺に、何を見たのか察したメリアはそれでも緩みきった微笑みを見せた。
「うん…私、処女よ。貴方に貰って欲しくて、ずっと守ってきたの。」
「そ、そういうことじゃなくて!その…い、痛くないのか?もし痛かったなら謝る。……ほんとにすまん!!」
そう言って頭を下げつつ性器を引き抜こうとした俺の腰を、メリアの縞模様の両足がガッシリとホールドした。
「抜かないで!!…もう少し……貴方の精液を受け止めるまで…お願い。」
必死の懇願。緩みつつも必死の形相でメリアは俺にお願いしてきた。
「…!!」
快楽に潤んだ瞳、それが悲しみに移り変わろうとしているのが手に取るように分かる。…今なら、彼女が何を考え、何を感じ、そして何を望んでいるのかさえハッキリと理解することができた。
「…分かった。…俺で良ければ、何度でも相手をする。……いや、どうか相手をさせて欲しい!!」
「うちとらぁ♥…うん!約束よ!…それじゃあ…はい。」
両手を伸ばすメリア。俺はその間に身体を埋めていく。すると、徐々に広げられた腕が狭まっていき、気づくと俺の身体を抱きしめるように腕を絡めていた。
それに歓喜と、さらなる性欲を掻き立てられた俺は激しいピストンを再開する。
「あっ!あっ!あぁ!!いいっ、いいよぉ、うちとらぁぁぁ!!」
淫らに乱れる彼女に俺は身体の内から込み上げる、性欲の根源に気がついた。
喜びに満ちた笑顔のメリアは、ラストスパートをかけるべく膣内を一際強く締め上げた。
「うぁ…そんなに締め上げたらっ!…いくぞ!もうっ…で、出る!!」
「出してぇ!うちとらの、しぇーえきぃ!!はっ!はっ!!わたしにぃ…出してぇぇぇ!!!!」
「くぁあぁぁぁ…!!!!」
断末魔ともとれる叫び声を発し俺は滾る欲望をメリアの膣内にぶちまけた。と同時にメリアも達したようで身体を仰け反らせピクピクと痙攣を起こしている。
「ぁ…ぁあ…ぁ…!」
ガクガクと揺れる細くも人間とは違う両脚。性器の交わる秘所からはぼたぼたと精液が滴り落ち、メリアの絶頂によって潮が滝のように流れ出ていた。
「はぁ…!はぁ…!…うち、とら…。」
「はぁっ!はぁっ!はぁっ!…。」
暫しの痙攣の後、精巣にあった精液を全てメリアの膣内に吐き出した俺は、倒れるように覆い被さっていたメリアから身体を離した。
額には玉のような汗、身体中からも大量の汗が吹き出ていた。
「メリア……俺は…。」
喜びとも哀しみともとれない複雑な表情のまま俺は絞り出すような声で口を開いた。そして、それより先を口にする前にメリアの唇が彼の口を塞いだ。
「ん…。…その先はダメ、貴方は正しいことをしたんだから。…気負う必要は、ないのよ?」
優しく、母が幼子を諭すような声色。そこに会った時のようなとげとげしさは微塵も感じられず、ただ、俺は彼女から俺と同じ充足感を得られているということだけはなんとなく感じ取れた。
それでも、俺は言わずにはいられなかった。
「すまない……あれだけ偉そうなことを言っておきながら、結局俺はお前を…陵辱してしまった。…謝ってすまされることではないが、言わせて欲しい。…本当にすまなかった。」
俺の言葉に、メリアは予想通りといった様子でやれやれと肩をすくめた。
「馬鹿ね…別に貴方が陵辱したんじゃないのに。」
「?それはどういう…」
困惑した様子の俺に妖艶な笑みを向け、メリアはチラリと自らの犬歯を見せた。
それを指差し、メリアは俺の質問に答えた。
「私が、貴方を犯したの。…ほら、見えるでしょ?この鋭い牙が。…あの時、あの路地で私は最初にあなたから血を吸ったの。…そして、代わりに毒を注入した。」
「毒…!?」
「ああ、勘違いしないで。毒と言っても健康を害するようなものじゃないから。…寧ろその逆というか、貴方の精力を数倍増しにする、媚薬のようなものと思ってもらえればいいわ。」
び…やく?
「…それは惚れ薬、とかいうやつ?」
「んー…ちょっと違うかも。まあ、確かにその効能もあるだろうけど、本質としては性欲の向上が主ね。」
「…そうか。」
メリアの言葉に、俺は安堵の溜息を漏らした。
「…ちょっと、なんでため息吐くのよ?」
溜息を不満の表れと感じたのか、メリアは不機嫌そうに訪ねてきた。
…なんだかツンツンが徐々に戻ってきた気がする。…ちょっと嬉しい。
「いや、なに、少し嬉しくてね。」
「何が?」
「うーん…ちょっと、恥ずかしいからあまり言いたくないのだが。」
「だめ、ちゃんといいなさい。」
バツが悪そうに顔を背ける俺に、しかしメリアは逃すまいと俺の視線に入り込んで問いただす。
「…あー、いやなんだ。俺のこの恋心が、偽りでないと分かったのが…まあ、その、少し、嬉しかったんだ。うん。それだけ。」
顔から火が出そうだ。まさかこんな台詞を自分がいうことになるとは思ってもいなかっただけに、率直に伝えることが気恥ずかしい。
伏し目がちで答えた俺を、メリアはポカーンとした顔で見つめてくる。
「な、なに…?」
「……か、可愛い。」
はい…?
呆気にとられた顔のまま、メリアは虚ろな声で呟いた。
突然の『可愛い』発言に俺も呆気にとられただ口を開けて彼女の、紅い瞳を見つめるしかなかった。
そんな俺の視線にようやく気付いてか慌てて顔を逸らしたメリアは急いで先の発言を撤回する。
「っ!ち、違うわよ!?別に、急に可愛いこと言い出した貴方に見惚れたりとか、ギャップ萌えしたりなんかしてないんだから!!」
…射精の後の不明瞭な頭にも分かりやすく実に丁寧に心境を述べてくれるメリア。うん、やっぱり可愛いなこの子は。そんな可愛いことされたらー
「だ、だから変な勘違いしないでよねっ…て何してんのよあんた!?」
…抱きしめたくなるに決まってる。
俺は柔らかく包み込むようにメリアを抱き寄せた。
頭を俺の胸の辺りに押し当てられながらメリアは必死にもがいている。…否、その振りをしている、かな?
頬が緩みきっているのが俺の視界にもバッチリと写っているのだから。
「や!ちょって、いきなり何すんのよ!…まったく、急にこんなことするなんて反則よ…。」
やがて、抵抗(表面上の)も無くなり成されるがままにメリアは俺の胸に顔を埋める。
…あぁ、なんだろうこの幸せな感覚は。久しく、いや、初めて味わうこの感覚はさっきの性行為のような一時の快楽と違って…こう、なにか安らぐような心地いい思いが心を満たしてくれる。
「暖かいな…メリアは。」
「……ばか。あんたも充分ほかほかしてるわよ。」
ぶっきらぼうながらも、俺と感覚を共有しているのが伝わってくる。
俺はそのことに充実感のような心地よさを感じながら、吸い込まれるように眠りへと落ちていった。
燦々と照りつける太陽が俺の頬を熱くする。
「んぁ…?もう…朝か?」
開かれたカーテン、障害物を無くした太陽光が窓をすり抜けて俺の顔に激しく照りつける。
朝特有の気怠さに塗れた覚醒。しかし、今日の目覚めはいつもほど疲れを感じさせなかった。
「よっ…と。」
俺は不思議に思いつつも、これを好機と一気に立ち上がり小さく伸びをする。
「ん?…なんかやけに肌寒いが…。」
心地よい覚醒とはいえ、未だぼやける視界のままふと、眼下に過った何かの塊に目を向けた。
「んんー?…これは…俺のパンツ?」
塊に見えたそれは脱ぎ散らかされた俺の衣類一式で、そこでやっと俺は昨晩の出来事を思い出した。
「はっ!そういえばメリア!あいつはどこだ!?」
辺りを見回すが姿は見えない。どうやら部屋にはいないようだが。
「ま、まさか……ほんとに帰っちゃった、のか?」
そんな、考えたくない可能性が頭に過った俺は真っ裸のまま部屋を飛び出した。
トントントン…
階段を駆けおりる俺に、台所からなにやら音が聞こえてきた。
しかし、それが何の音かすら今の俺にはどうでもよく、とりあえず音のする所へと俺は飛び出した。
「メリアッ!!」
「ひゃぁ!?…き、急に大声出さないでよ!びっくりしたでしょー」
台所には包丁片手に朝ごはんを作るメリアの姿があった。
たったそれだけのことに俺はホッと胸を撫で下ろし安堵の笑顔のままメリアへと近寄っていく。
だが、妙なことにメリアは最初の姿勢のまま固まったままでその視線は俺の下半身の一点から微動だにしなかった。
「?メリア?どうしたんだ?何かおかしなものでも…」
「おかしいも何も、貴方……朝っぱらからなんて格好してるのよぉぉぉ!!」
ぶん、と投げられた包丁は俺の真横をすり抜けて背後の柱へと突き刺さる。
「おわぁ!?何すんだよ!?」
「それはこっちの台詞よ!!…何であんた、裸のままなのよぉ!?」
顔を真っ赤にしながら両手で目を塞ぐメリアの必死の叫びに、俺は現在の自分の姿を思い出した。
「あ…そういえば起きた時のまんまだった。す、すまん!いま着替えてくるから!」
「あ、当たり前でしょ!?分かったから早くいきなさいよ、ばかぁ!!」
俺は慌てて部屋へと戻り、脱ぎ散らかされた服を着て、恐る恐る階段を降りてキッチンを覗く。
「…。」
「……なにこそこそ見てんのよ。別にもう怒ってないから入ってきなさいよ。」
「お、おじゃまします…。」
あっさり見つかっていた俺は、後姿のまま許しを与えてくれたメリアの言葉に従ってキッチンへと歩み入る。
「な、なぁ…やっぱそれって…朝ごはん?」
「…悪い?」
「い、いや悪くないけど…その、そこまでしてもらうとなんか悪い気がして。」
一晩泊めたのは事実だが、あの後すぐに眠ってしまった俺はメリアに飯も風呂にも入れてやらずじまいだった。そんな俺にご飯まで作ってくれるのかこの子は。
「あんた、いつも朝ごはん食べていかないでしょ?…だから今日くらいはしっかり食べていきなさい。」
「…ああ、そう言われたら食べていかないわけにはいかないな。うん、ありがたくもらうとするよ。」
ん?いや、まて。なぜこいつがそのことを知っている?俺とは昨日か初対面のはずだが。
ちょっとした疑問におれが考え込んでいると、目の前にいつの間にか出来上がっていた料理を手にしたメリアが不機嫌そうな顔でこちらを見上げていた。
「ほ、ほら、もうご飯できたからそこどいてちょうだい。」
「あ、すまん!」
急いで俺が退くと、メリアは「…ふん!」と言って黙々と料理を乗せた皿をテーブルに並べていく。
そして、全て並べ終わるとちょこんと目の前の椅子に腰掛けた。
「……なにボーと突っ立ってんのよ?早く座りなさいよ。」
「お!?おう…。」
呆然と、テーブルの上の豪勢な料理の数々を見ていた俺はメリアの一言で我に返り慌ててメリアの向かいの席に座る。
「…た、食べていい?」
「当たり前でしょ、誰のために作ったと思ってんの?」
「そ、それでは…いただきます。」
手を合わせ、挨拶を済ませたあと、俺は恐る恐る、橋を目の前の料理に伸ばした。
そして、掴んだそれをこれまた恐る恐る口へと運んでー
「は、早く食べなさいよ!!」
ぱくり。もぐもぐ…
「…もぐもぐ。」
「…(ドキドキ」
「…。」
「…ど、どう?」
「…うん、美味すぎる。」
…なんというか、そこらのレストランより美味しいかもしれん。というか、こんなに豪華の食事を朝からいただいてしまってよいのだろうか?…俺の家には食材となるものがほとんど皆無だったことを考えると、おそらくこれらはメリアが持ち込んだもので作られたはずだ。
果てして、そこまでしてもらうほど俺は彼女に恩を売っていただろうか?
「…はぐっ!もぐもぐ!」
だが、今はそんなことを考える時間も惜しい。とにかく目の前の料理が美味すぎて箸が止まらないのだ。
「そ、そんなに美味しいの…?…う、嬉しい。」
夢中で料理を食べる俺を見て頬を朱に染めたメリアはちょっぴり笑顔になる。
「もぐもぐ…。」
「…。」
「もぐもぐ…。」
「…うちとら?」
「もぐもぐ…。」
「ちょ、ちょっと、そんなにがっつくと喉に詰まらせるわよ…」
「むぐっ!?」
「ほら!言わんこっちゃない。…はいはい、大丈夫?」
苦しさにもがく俺に、メリアはやれやれと俺の側まで来て背中をさすってくれた。そして渡してくれた水を一気に飲み干した俺はふぅ、と一息つく。
「…はぁ、ありがとうメリア。ちょっと夢中になり過ぎたよ。」
「別に感謝されるほどのことでもないし…それより、そんなに私の料理が美味しかったの?」
そっぽ向いたままぶっきらぼうに告げてくるメリア。なんと可愛いのだろう。そのツーンとした顔の中に潜む僅かなデレの気配に俺は心躍らせる。そして、そのデレを見るために俺は満面の笑みで正直に答えた。
「ああ、俺が今まで食べたなかで最高のご馳走だよ。。ありがとう、メリア。」
俺の言葉に、メリアの顔がパァ、と明るくなりその弾けるような笑顔が俺の心を癒していく。
「…うん!」
満面の笑み。俺のものとは比べものにならないほどに快活で魅力的な笑み。その笑顔に俄然食欲が湧いてきた俺は、ニコニコのメリアに目守られながら彼女の料理を平らげた。
「ふぅ…ごちそうさま。……お、まだ時間が大分あるようだ。」
時刻は現在6:30。学校までは歩いて30分なのでまだかなりの空き時間がある。
「それならお風呂、入る?今入ればちょうどいい熱さのはずよ。」
…完璧だな、この子。
「あ、ありがとう。…昨日の入れなかったから、丁度、ひとっ風呂浴びたいと思ってたところだったんだ。じゃあ、早速入ってくるよ。」
そう言って立ち上がった俺の服の袖をメリアは慌てて掴む。
「ん?」
「あ、待って…え、とね。そのぉ…もし、もし良かったらさ?い、一緒に…入りたいかも。なんて…。」
な、な、な、なんですとぉーーー!!!?
「…。」
「…だめ、かな?」
…やめろ。そんな悲しそうな顔で俺を見るな!その上目遣いは反則だぞ!?…まあ、別に断るつもりもないんだけどさ。
「いいや、寧ろ大歓迎です!」
グッと親指を立てる俺。…浅ましいだと?ハッ!そんなものはこの子の笑顔の前では石ころほどの価値もない!!
「ほ、ほんと!?やったー!!」
万歳しながら喜び飛び跳ねるメリア。いや、もうこの際メリアちゃんと呼ぼう。うん、その方が可愛いし。
衣服を脱ぎ、風呂場へと入る俺たち。
「あれ?同時に入るの?」
「う、うん…その…背中流してあげようかと思って。」
…おおう、なんとサービス精神旺盛な子だ。そんなことされたら俺の精神が爆裂しそうだが、ここはとりあえず欲望の赴くままに従おう。
「そっか、それじゃあたのむよ。」
俺は風呂場にある小さなプラ製の椅子に腰掛け、その背後に全裸となったメリアが立つ。…なんと、夢のような光景だろうか?生まれたままの姿で美少女と風呂場に2人きりだなんて。
「…じ、じゃあ頭から洗うわよ?」
まだ少し緊張しているのかたどたどしい口調とおぼつかない手つき、シャワーで俺の頭を濡らすその手もやはり慣れていない。
充分にお湯を当てたメリアはその小さな手できゅっとお湯を止める。そして適量のメ○ットシャンプーを手に取ると。
「い、いくわよ…?」
「お、おう…」
少し不安になるような口調で俺にシャンプーの開始を告げた。…だ、大丈夫だろうか?
「…。」
「…。」
…なんだ。ちゃんと洗えるじゃないか。先ほどの不安を払拭するかのように、メリアの頭皮マッサージは完璧だった。そのあまりの心地よさに自然と笑みが溢れる。
「どう、かしら?…気持ちいい?」
「ん…すっごい気持ちいい。」
「そう…よかった。」
しばらく極上のマッサージを堪能していると、おもむろにメリアがシャワーを手に取った。
「じゃ、流すわね?」
「おう、頼む。」
シャー。
…ああ、夢心地とはこういう状態のことを言うのだろうな。優しい手つきでシャンプーを洗い流すメリア。この、時折頭皮に触れてくる柔らかい指の感覚がどうにもたまらん!!
「はい、じゃあ次は…」
「身体を頼む。」
即答。
「え、リンスは?」
「いやぁ、男の俺には必要ないものだ。というわけで身体、頼む。」
「ダメよ。じゃ、リンスね。」
えぇ〜。
心の中で密かに落胆の声を漏らす。…まあ、楽しみが先に伸びただけだから一向に構わんのだが。
「ん…」
これまた優しい手つきでリンスを塗り込んでいくメリア。髪はもちろん頭皮にまで丹念にリンスをやっていく。
…うーむ、極楽だ。いや、風呂桶に浸かる前に言ってしまうのもなんだが、本当に、心の底から俺は昇天してしまいそうな気分だった。
「あ、ちょっと動かないでよ。リンス、目に入るわよ?」
「う、すまん…。」
いかん、ぽわぽわし過ぎて身体から自然と力が抜けていたようだ。
「……はい、じゃ、流すわよ。」
シャー。
…。
……うーん、いい。実にいい。この世話されてる感じがどうにも堪らない。
幼い頃から両親があまり家にいなかったこともあって、身の回りのことはもちろん家事も大抵のことは自分でやってきた。
そんな俺が、今、女の子に。しかも美少女に頭を洗ってもらっているのだ。これが幸福でないはずがない!
「…っと、じゃあそろそろ身体洗うわね。」
おっと、もう洗うのか。喜びに浸りすぎて時が経つのも早く感じるな。
「…あ、じゃあ、そこにあるスポンジを使って。」
俺は左手に見える黄色いスポンジを指差しそう言った。
メリアはそれを手に取るとメ○ットシャンプーとリンスが並ぶ列に置かれたボ○ィウォッシュを適量抽出する。
それをスポンジごともみもみと…
…ああ、俺もあのスポンジのようにもみもみされたい!
「…。」
気がつくと、メリアが不快そうな顔で俺をジッと見ていた。
「な、なにかな?」
「貴方、今、いやらしい顔してた。」
「っ!!いやいやいや!そんなこと考えてないぞ!?断じて考えてない!!…というか、身を清めるべき風呂場で邪な考えを起こすはずがないだろうが…。」
我ながら苦しい言い訳。いや分かってる。自分でも苦しいのは分かってるんだ!
でも、そんな俺の予想を外れてメリアはなんだか納得したように「そう…?じゃ、いいわ。」と俺の背中をスポンジでゴシゴシと洗い始めた。
…やはりこいつはバカなのだろうか?…だが、そこがいい。ちょっと天然なツンデレとか俺の大好物ですから。
「んっ…しょ。…ん、しょ。」
「…。」
俺の背中をこするたび彼女の口から自然に漏れてくる声。未だ眠気が覚めていないのか、それともこれまでの彼女との出来事がそう思わせるのか、俺はこの声をいやらしいと感じてしまっていた。
…いや、待て待て。ただ身体を洗ってもらっているだけなんだ。いやらしい要素なんて一つもない。
…そうだよ、最近のラノベとかだと当たり前になってきてるじゃないか。メインヒロイン以外とお風呂に入ったり洗ってもらったりするのって。
そうか、時代はすでにそこまで進んでいたんだ。女子と入浴=いやらしい、という俺の考えこそが時代遅れだったのだな。うん納得。
「…うちとら。」
「ん?」
不意にメリアが声をかけてくる。さっきまで俺の背中を洗っていた手はピタリと止まって、顔も俯きがちだ。
…なんだろう?遂に俺がいやらしい気持ちでいたのがバレてしまったのだろうか。
俺がビクビクしながら待っていると…
「その…前に行って洗っても…いいかしら?」
「…へ?」
なんだ、そんなこと。
「当然、構わな…あ、いや!…うん、いいよ。」
危うく、心の声をそのまま出してしまうところだった。ていうか半分出てた。でも、そこは天然のメリア、気づかないまま俺の前へとやってきた。
「っ!!」
…だが、そこでハプニングが起こった。
「え…なに?なんで、固まってるの?」
俺の前に来た途端にメリアが固まった。…視線は、さっき台所で注がれたあの場所。そこで俺は全てを察した。
「…。」
「…ごめん、これは生理現象なんだ。許してくれ。」
メリアの凝視する先、怒張した人類最古の塔が猛々しくそそり立っていた。
「…。」
わなわな。
「め、メリア?…怒って、る?」
…まずい。これはまずい。今迄の態度からなんだかんだで許してくれていたメリアが本気でわなわなしている。
「…。」
…俺の失態である。いや、認識が甘かったのだ。いくらツンデレとはいえ、いきなり、しかも風呂場で、洗ってもらっている身でチ○ポを見せつけるべきではなかった。
彼女とて女の子なのだ。場面によっては性器を恐怖に感じることだってある。ちょっと考えればわかることだ。
それが分からなかったから、俺はこれから捨てられるのだ。
「…。」
うむ、覚悟は決めた。こうなればー
「す、すす…すいませんでし「はむっ!!」
…。
「…え?」
「はむはむ…じゅる、じゅぽっ!」
え。
「え…。」
ええぇぇぇぇ!!!?
なに?何が起こったの!?
「じゅぢゅ…じゅっ…むぁ…あむ…んぐ…。」
「め、め、メ…?」
俺の驚きは必然である。だって俺が平謝りしようとした途端、メリアは俺の性器にムシャぶりついてきたのだから。
だから、俺はただ、射精まで彼女のなすがままにされるのみだった。
「ん…!ん…!ん…!」
「あ!で、出る!!口を…!離して、メリアッ…!?」
俺の最後の忠告虚しく、メリアの口内で蹂躙された性器は彼女の口いっぱいに精液をぶちまけた。
「んぐっ!?ん…!…ごくごく。」
の、飲んだ!?
「メリア…!…はぁ…はぁ…!大丈夫…か!?」
俺の精液を全て飲み干したあと、メリアはぷはっ、と性器から口を離し伏し目がちに俺を見上げた。その眉は八の字を描いている。
「…出すなら…言いなさいよ…ね。」
「??え…?怒ってないの…?」
予想に反するメリアの言葉に俺は拍子抜けしてしまう。
「?…何で怒るのよ?女の子に身体洗われてち○ぽ立っちゃうのは健全な男なら当たり前でしょ。…それに、そのために一緒に入ったんだし。」
「え?」
「あ!いや!なんでもないわよ!!ただ、貴方は私に任せておけばいいの。わかった!?」
「は…はい…?」
「疑問系…?」
「いや、分かりました!万事、メリア様にお任せいたします!!」
「うん、よろしい。」
そう言って、無い胸を張るメリア。
…なんだか、高圧的だったが、どこか頼り甲斐がありそうな感じ。妙なことだらけだが、とりあえず任せておくのが無難だろう。…先の一件、というか失態もあるわけだし。
「…じゃあ、そこに仰向けになって。」
腰に手を当てたメリアが命令する。
「……なんで?」
当然、俺は意図を知りたくなる。
「いいから横になる!!」
「は、はいぃ!!」
だが、あっさり折れる。…いや、だってなんだか怖いし。
さっき、怒るどころか一発抜いてくれたことが奇妙すぎてまともな思考が保てない俺は言われるがままに身体を横にする。
すると、ひんやりとしたタイルの感触が背中全体に伝わり少し身震いしてしまう。
「あ、あのーメリアさん?これから何をなさるおつもりで…」
「だまってなさい!…今から入れるから。」
叱責され、おとなしく横になっていた俺はなにやら股間が暖かいものに包まれていくことに気がつく。
「?メリア、何をしてー」
…って入れてる!?挿入してる!!
身を起こし先ず目に入ったのは、俺のそそり立つ性器を自らの膣に埋めていくメリアの姿だった。
「お、おい!風呂場でする気か!?」
「ん…はぁ!…誰のせいでこんなにも発情してると思ってるのよ?」
俺の言葉など御構い無しに根元までチ○ポを膣内に押し込んだメリアは、麗しい吐息を漏らしながら俺を睨みつける。といっても、そこに嫌悪の類は感じられず寧ろ求めているかのように感じた。
「ぐぉ!?こ、これは…昨日よりさらに締め付けが!?」
「はぁ…はぁ…あ、あたしだって…我慢してたのに…それなのに、あんたはぁ!」
虚ろな瞳、発情しきった身体から漏れる甘い吐息。その全てが魅力的で、俺は怒られているにも関わらず欲情を募らせていた。
「す、すまん…!…でもあれは本当に、どうしようもなくって…お前が…あんまりにも可愛いから…!」
「!!ばかぁ…そんな恥ずかしいこと、言うなぁ…!」
ゆっくりと、舐めるような動きから徐々に腰を叩きつけるような激しいピストンへと移行する。
その度にメリアの口から漏れる淫声は、より大きく、淫らになっていき俺の脳を快楽で麻痺させていく。
「メリア!だめだ!もう出てしまう!!…こ、今度こそ外に!!」
「ダメ!そんなの許さない!!あなたの精子は全部私のなの!誰にもあげないんだからぁ!!」
そ、そんなこと言ってる場合か!?このままでは妊娠してしまうかもしれん!…そんなことになったら、この子の親になんと言ったらいいのか!?
…いやいや、そもそもこの子が人間の精液で孕むのかは分からない。それに親だって…!ああ、でも!!こんな…こんな少女に!!俺は!!
「ぐっ!出る…!」
「っ!!ふあぁぁぁぁ!!!?」
理性と共に弾けとぶ精液。大量に吐き出されたそれはメリアの膣内を一瞬にして満たし溢れた白濁は性器の接合部から漏れ出ている。
「はぁ…はぁ…はぁ…!…うちとらの…精子。私を…孕まし…て。」
「メリ…ア…!」
がばっ!射精後の虚ろな頭を叩き起こして俺はメリアを抱き締める。
「ひゃあ!?な、なに!?」
「こ、今度は…俺が洗ってやるよ。」
悪どい笑み。メリアは不安そうにおろおろしている。
…ふふふ、俺だってこれでも我慢してた方なんだぜ?
「!ちょ、おっぱい!触らないで!今揉まれたら、私…!」
「ククク…!それそれ…イッてしまえ!」
「うぁ…!?乳首ぃ!だめぇ!!」
背後に回り込んだ俺はメリアの乳房を遠慮なく揉みしだく。ひもじそうに直立している乳首も時折弄ってやる。そうすると、身体に付いていた泡がローションのような役割を果たして実に滑らかな愛撫を可能としてくれる。
ぬるぬるとした感触を持ったことで、柔らかく白い肌のメリアの身体がより一層いやらしく見える。
「そろそろ…下も世話してやるか。」
「あ!だ、だめぇ!!」
片手で胸を弄びながら、もう片方の手でメリアの物欲しそうにしていた秘部を弄る。
くちゅくちゅと音を立てて指を出し入れする。こする。
「ひぅ…!うちとらぁ!」
こちらを振り向く余裕が出てきたメリアに、俺はクリを摘むことで答えてやる。
「ひゃぁぁぁ!?」
「…ほら、そろそろイきそうなんだろ?…いいぞ、遠慮なくイッて
しまえ!!」
愛撫する手つきが早まる。そして激しくなる。それに合わせてメリアの絶頂への高まりが大きくなっていく。そしてー
「イッ…くぅぅぅ!!!!」
豪快に潮を吹き上げた。放尿にも見えるその絶頂に足腰をガクガクさせながら顔をとろけさせている。
「あ…ぁぁ…ぁ!」
やがて、絶頂感が治ったメリアは腰を抜かしてしまう。その身体を俺は慌てて抱きとめる。
「はぁ!はぁ!…うち…とら。」
「メリア…。」
俺の腕の中に収まるほどに小さい身体。そしてそんな幼さとはかけ離れた上気した顔。甘く誘うような声に俺は思わず顔を近づける。それに応えるようにメリアも目を閉じて唇を差し出す。
「ん…。」
「んむ…。」
そして俺たちは口付けを交わした。
「ふぃ〜…癒されるわ〜。」
「…うん、ほかほかするね。」
お互いに身体を洗い合った俺たちは仲良く入浴する。幸い、この家の風呂は2人で入っても余裕が生まれるくらいは大きいものだったのだが、メリアは「うちとらとくっ付いてないとやだ!!」といつので、現在俺は彼女を伸ばした脚の上に乗せる形で入浴させている。
性交の興奮も収まり、2人で朝風呂の心地よさを堪能していると。
「…ねぇ、うちとら。」
「ん?」
囁くような声でメリアが話しかけてきた。
「…あの、さ。もしも…よかったらなんだけど。…私と…その、付き合って…くれないかな?」
「…。」
俺は呆気にとられた。いや、当然拒否する意味ではない。そのあまりの今更感に呆れてしまったのだ。
すると、メリアは不安そうにこちらに振り向いてきた。
「だ…だめ。かな?」
「…はぁ、そんなこと聞くまでもないだろ。」
面倒そうに頭を掻いた俺の態度に、一瞬しゅんとなるメリア。その頭に俺は優しく手を乗せた。
「…俺と婚約してくれ、メリア。」
「え…!そ、それじゃあ!!」
一転して笑顔になったメリアはこちらへと身体ごと振り向いた。
「ああ、俺もお前と一緒にいたい。…そんで?俺のプロポーズに対しての答えは?」
「うん!うん!!もちろんOKよ!」
「そっか…でも、まあ今俺、高校生だからちゃんと卒業して、就職してからになっちゃうけど…いいかな?」
「その前に大学でしょ?」
「え…そんなに待ってくれるのか?」
「あったりまえじゃない!今までどれだけ待ってきたと思ってるのよ?」
…ん?
「ちょっとまて。今まで?待ってきた?…その、どういう意味だ?」
「あ。…えーと、ですね。」
しまった、という顔になったメリアはバツが悪そうに頭を掻きながらこれまでの経緯を初めて語ってくれた。
まず、彼女がこの世界に来たのは1年前で、その時にすでに俺の存在を知っていたという。そして、信じがたいことに彼女は俺に一目惚れしてしまい、なんとか俺を手に入れようと考えたが奥手過ぎて今迄声もかけられなかったらしい。
「…ツンデレすぎるだろ。お前。」
「し、仕方ないじゃない!これまでまともに男の人と話したことだってなかったんだから!!」
…それが、昨晩勇気を出して声をかけようとしたが、勢い余って噛み付いてしまったらしい。そんで、血も吸ってしまったんで俺同様に互いの身体を激しく求める衝動に駆られてしまったのだとか。
「…なるほど。それでお前自身もあんなに淫猥だったわけだ。」
「う、うるさいわね!私だってあんなになると思ってなかったんだもん!」
…まあ、でもそれに感謝すべきかな?
「…なに、ニヤついてるのよ。」
「ふふ…なんでもない。」
「なんでもなくない!ちゃんと言いなさいよ!…も、もしかして他の女の子のこと考えてる?」
「ばーか。そんなわけないだろ。…俺にはもう、お前以外眼中にないよ。」
我ながらなんとキザなセリフ!俺、今人生で初めて自分がかっこいいと思った!
と、そんな様子で脳内ではしゃいでいると、メリアは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「なんだ?恥ずかしいのか?…まったく、だれがそうさせたと思ってるんだよ。」
「うう…!でも…あんな事言われたら私ー」
がばっ!
「うおっ!?」
「貴方のこと、もっと好きになっちゃうじゃない!!ばかぁぁぁ!!」
「はは…よしよし。」
いきなり抱きついてきたのは驚いたが、とりあえず頭を撫でてやる。メリアの方も心地よさそうに頬を緩ませている。
…まったく、拾ってきた猫以上に可愛いなお前は。
「うーん。うちとら〜。」
「…ツンデレの高低差が激しいよな、お前って。」
素朴な疑問を投げかけつつ、俺はふと現在時刻を知るべく風呂場にある時計に目を向ける。
「ああ…まだ8時か………ん?8?」
デジタル時計に映し出せれているのは8:30という数字。
「のわぁぁぁぁ!!!?遅刻だぁぁ!!」
「うひゃぁぁぁ!!!?」
いきなり立ち上がった俺にメリアは腰を抜かしてしまう。
「な、ど、どうしたのよ!?」
「遅刻だ!遅刻してしまう!!」
尻もちついたメリアを気にかける余裕もなく俺は風呂場を飛び出して身体を適当にタオルで拭いていく。
そんな俺の様子を心配して、メリアが風呂場からひょっこり顔を出す。
「だ、大丈夫?手伝うことある?」
「いや、大丈夫、心配しなくていいよ。…ただ、俺が全速力で駆け抜けるのみさ。」
気が動転してまともな思考ができない俺は、自分でも意味不明な台詞を吐きながら玄関へと駆ける。そして、傍に掛けてあった制服に急いで着替える。
そして靴もちゃんと履けていない状態で玄関を開け放った。
「そ、それじゃメリア!いってきます!!!!」
心配そうなメリアにとりあえず挨拶した俺は駆け足で高校へと向かった。
「まったく…忙しないんだから。」
自宅に1人残されたメリアは、やれやれと苦笑した。
「…よし!それじゃあ、まずは掃除、洗濯を済ませちゃうか。」
ぱん、と両手で頬を叩いて気合を入れ直したメリアは洗面所の方へと消えていった。
「はぁ…はぁ…はぁ…!!」
俺は走る。とにかく走る。なんでかって?そんなもの決まってるだろ!!遅刻しないためだ!!
学校への道のりもすでに半ば!この調子ならギリギリ間に合う。
太陽はすでにその猛威を振るっていた。その余波がこの並木道にも降り注いでくる。
「朝からやる気なくすなぁ…まあ、今日はなんだか心地よく感じるけど。」
木漏れ日は駆ける俺の背を優しく照らしほんのり温める。
「…そういや、今日からは家に帰っても1人じゃないんだよな。」
そう思うとなんだか心がぽかぽかしてくる。我ながら孤独に飽いていたのか、家で待ってくれている人がいると考えただけで妙に心躍るものを感じる。
「…それに、待ってるのは俺の未来の嫁さんなんだよなぁ。」
…まだ実感が湧かないが、彼女は確かに待ってくれると言っていた。たとえそれが虚言でも俺は歓喜しただろう。…でも、あの声は確かに俺を待つと言ってくれていた。なぜだかは分からないがそう確信できる。
ならば、俺が今考えるべきはー
「…とにかく卒業して、いい大学にいって、ちゃんと…あいつを養って余りあるくらいの稼ぎができる会社に就職する。」
それだけだ。
どうかそれまで彼女に愛想尽かされないように頑張らないとな。…夜の営みとか色々と。
俺はふと空を見上げる。
そこにはいつもとさして変わらない空と、忌々しくも俺を祝福するかのように輝く太陽。
それら全てに向けて俺は誓う。
「…いつか、絶対にメリアに釣り合うくらいの男になってみせる!!」
力強く誓った俺の目の前にはいつの間にか、学校の校門が見えていた。
15/11/08 15:21更新 / King Arthur