決してデートスポットではありません(後編)
「…リウム?どうだ?」
「………………」
リウムの意識がなくなってから、およそ半日。ベッドで眠るリウムからは、まだ目を覚ます兆しは見られない。
「……ん………」
リウムは苦しそうに眉をひそめ、顔を背ける。悪い夢でも見ているのだろうか?その顔には悲痛の表情が見て取れた。リウムの動きに応じてつつ…と、額に浮かんだ脂汗が、赤く染まった頬を伝っていく。
リッチという種族の関係で、元から死人のように青ざめた肌を持つリウムだが、今日はその域を大きく外れていた。体はさらに青白く、首から上だけは酷く熱を持っていて、赤くなっていた。ハアハと吐き出される息も熱く、その息をすることさえ、苦しげだった。
「…リウム」
額の汗を拭き、濡れたタオルをかぶせてやる。
悔しかった。
自分の目の前で、自分が最も大切にすると誓った相手が、苦しんでいる。それなのに、俺にできることはこれだけだということに、やり場のない怒りがこみ上げる。
……告白だってしていなかったのに。先程そのことを考えていただけに、余計胸が締め付けられる。
「急に……どうして?」
こればっかりはまるで見当がつかない。リウムの研究の手伝いをしている最中は、わからないことはリウムに聞けば、適格な答えが返ってきた。しかし、今はそのリウムが床に伏している状態だ。聞けるわけがない。
ぎゅっ
今の俺には、こうやってリウムの手を握り、そばに寄り添ってやるのが精一杯だ。
「……クソッ」
畜生!畜生!心の中で悪態をつく。泣きそうだ。自分の無力さに情けなくなる。リウムのいない俺なんてこんなもんか。空いている手をギュッと、強く握りしめる。
その時、その手に何かが触れた。
「………ルー?」
「!?リウムっ!」
リウムだ。リウムの手が、俺の拳を包んでいた。小さくて、冷たくて、今にも折れそうな手だった。その手が俺をその手が俺をつかんでいる。なんて冷たいんだ!本当に死人にでもなってしまったような、ぞっとする冷たさだ。
「…リウム?」
「…………」
リウムはなにも言わなかった。微かに唇を震わせ、俺を見上げるだけ。そして俺に微笑みかける。その間も握った手は離さない。弱々しい細腕からは想像もできないほど、ぎゅっと、握ってくる。
「リウム」
握った手に、俺の空いた手を被せ、リウムの手をつつみこむ。
「大丈夫、な?」
リウムから、返事はない。代わりにその小さな頭がこくりと傾けられた。
「俺が何とかしてやる」
「………………」
「だから、もう少し頑張れ」
優しく頭を撫でてやる。手でも何処でもいい。少しでもリウムに触れていたかった。
リウムは気持ち良さそうに目を細める。俺は、リウムが再び眠り込むまで、頭を撫でていた。
………………
さて、どうする?このままだとリウムが危ない。魔物であるリウムが、病気などにかかるはずがない。これは恐らく精神的なものだ。例えば…呪いみたいな。
「でも、そんなはずはない」
生前から、リウムはほとんど外に出ることなく生活してきたらしい。そんなリウムが誰かから怒りを買うことがあるのか?絶対無いと言ってしまっていいだろう。
「じゃあ、誰が?」
研究仲間か?それも有り得ないだろうな。彼らが行方不明になってから、もうかなりの時間が経過している。未だに生きていたとしても、相当なシジババになっちまってる。
そんな状態で呪いを持続させるなんて、生粋の魔女なんかじゃないと難しい…と思う…多分。リウムから聞いた話が正しいとするなら、だけど。
「打つ手なし……か」
もう既に手詰まり状態だ。こんなことになるなら、リウムからもっと医学を勉強しておけばよかった。後悔と無力感で、体が重くなる。どうしたらいいんだ?
「……あっつ……」
気がつくと、体中が汗でベトベトだ。昨日リウムが倒れてから今まで、風呂に入っていなかった。
「……入るか」
もう少し落ち着いて考えよう。そう思った俺は、頭を冷やすのも兼ねて水汲み場へ向かった。
………………
バシャッと冷水を頭からかぶる。地下水の冷たさは今もまだなれることはなく、水をかぶった俺の体は、自分の意志に逆らうようにがたがたと震えだした。ここは水汲み場兼シャワールーム。シャワールームといっても豪華なんてものからは程遠い。もう使われなくなった古い井戸に横穴を通して、水を取り込んでいるのだ。ただでさえひんやりとした空間が、水のおかげで余計に寒々しさを感じる。
バシャッ
「……ッツ!!」
もう一度、桶に水を貯め、かぶる。冷たいというよりも痛い、に近いな。ジパ
ングとかいう島国には流水に打たれることで精神を鍛える訓練があるとか聞いたことがある。……実に納得がいった。これはすごい。
「………っはあ…っはあ…」
どこを見るわけでもなく、ただなんとなく周りを見渡す。薄暗い天井が見えた。灯りの後ろの暗がりが見えた。お化けなんて、この魔物が出る世界で怖いはずがない。それでも、気になってしまう。つい暗がりに注意を向けてしま
う。
「怖い……な」
一人だからだ。すぐにわかった。今日の俺と昨日の俺との違い。リウムがいるかいないか。二人か一人か。それだけだからだ。
「ずっとリウムはこうだったのか」
俺が来るまで、ずっと。そして、リウムは再び一人ぼっちになりかけている。こんな気持ち、リウムには持って欲しくない。
「リウム……!」
愛する者の名前を呼び、立ち上がる。なんとしてもリウムを助け出す。心に決めた。総思いを決め、振り返った俺に見えたのは、あの光だった。
俺を包む赤い光。冷えきったこの水汲み場にいるはずなのに、光を浴びていると震えが止まってくる。暖かい。
「……あのロケットか!」
脱衣所に飛び込み、服のポケットを探る。赤く発光するロケットが姿を現した。光るロケットに触れていると、荒い息が落ち着いてくる。誰かがそばにいる。そんな温かみを一層感じた。
『…………』
「……?なんだ?」
『……ルー……』
「呼んで…る」
ロケットの中から、声がする。聞きなれたあの声。
「リウム!?」
『あけ……て』
急いでその留め金に手をかけた。昨日はビクともしなかったその留め金は俺の手にかかった瞬間、カチンと小さい音をたて、勢いよく開いた。
次の瞬間、ボッという音ともに、赤い光がロケットの中から飛び出してきた。思わずロケットを手放してしまった。
光は次第に形をつくり、人のシルエットになった。よく知る少女の姿に。
『あり……がと…』
「リウ……ム?」
リウムの姿をした光を、俺は抱きしめようと近づいた。しかし、光はすっと俺
をよける。諦めずに触れようとするが、またよけられる。
「どうしたんだよ!?リウム!」
光は俺に向けて微笑みかけてくる。
『…それは、私の本体にしてあげて』
「ほん……たい?」
光は頷き、ドアの向こうに消えていった。
「……っリウム!!」
俺はすぐさま部屋を飛び出し、光のあとを追った。
………………
俺がリウムの部屋についた時、光はリウムの枕元にいた。
『…ルー』
「リウム……なのか?」
『……ん』
光は頷き、寝ているリウムの額に手を置いた。
『…ルーの気持ち、伝わってきた』
そのまま光は語る。
『……昨日、ルーが言ってくれたの、うれしかった』
ゆっくりと、言い聞かせるように。
『……ありがと……ルー』
光はその言葉を最後に、リウムの中に引き込まれていった。
「……ん……」
それと同時に、リウムの肌の赤みが次第に収まり、うっすらと目を開いた。
「リウムッ!!」
「……ひゅっ!?」
俺はベッドに飛び上がり、リウムを抱きしめた。その肌にはさっきまでの病的な冷たさはなく、光に包まれたような暖かさがあった。
「よかった……よかったよ……リウム」
「………ん」
リウムも俺に答え、背中に手を伸ばした。
「ありがと……」
そして、自分の唇を俺の唇にかぶせてきた。
「……んんっ」
「……っつ」
「…………ん♥」
「…………っつ!!」
はなさないっ!息が止まるっ!!
「…………ぷはっ」
「……はぁっ、ぜえっ!」
死ぬかと思った……。
「ちょっ……リウム……まっ……」
「…………♥」
なんか……目が座っている。熱は収まったはずなのにその口からは熱っぽい吐
息が漏れている。
「………………♥♥」
リウムの目線がつい、と下に落ちた。その目が捉えているのは……俺のムスコ?
「おいまてリウム!何する気だ!?」
「………………立派♥」
「なにがっ!?」
かぷっ
妙に可愛らしい音が聞こえた。次の瞬間には、俺のモノはリウムの口に収まっていた。
「ちゅびっ……ぬちゅ……大ひい……♥」
「ちょ……やめ……うああ」
そのままリウムの舌は俺の物を舐め回す。
「ちゅっ……じゅじゅっ……んふぁ♥……」
「ぐっ……これは、や……やばいっ!!」
今まで感じたことのない快感に、一気に限界までもっていかれてしまった。
リウムは根元までくわえ込み、舌の全面で俺の先端部分を刺激してくる。
「じゅじゅじゅ……じゅるるるるっ……」
「リウムッ……で、出るっ!!」
「……ずずずずっ!!」
最後の仕上げとばかりにリウムは俺の物を思い切り吸い上げる俺はたまらず射精する。
「くあああああああっ」
「……んんんんっ」
リウムは俺の精子を口に含みコクンコクンと喉を鳴らして飲み込んだ。口に付いた残りを指で拭って綺麗に舐めとる。
「リウム……」
「………………」
今度もリウムは返事をしなかった。その代わり、じっと俺を見上げてくる。悩ましげに俺に何かを訴えかけてくる。何かはもはや考えるまでもないな。
そっと口づけをし、びしょねれの秘部に手を添える。
「……ん♥」
つぷぷ……秘部に置いた手は、力を加えていないのに自然に中に吸い込めれていくほど柔くなっていた。
「……なあ、リウム」
「………ん?」
「……好きだ」
「………ん」
言えた。やっとだ。リウムは満足そうに頷き、微笑む。
「……私も……大好き」
「…ありがとう」
俺は手を離し、とどめなく液を出すそこに、俺のモノをあてがった。
「入れるぞ」
「………はやく♥」
もうリウムの方は待ちきれない、といった風だった。俺は一気に奥まで、俺のモノを突き立てた。
「んふあああぁぁぁっっ!!」
間髪いれずに、前後に動き始める。
「ああっ♥……んあぁっ♥……んううっ♥」
「いい……すごく気持ちいいよ、リウム!」
「んんっ……うれ…ひいっ、よ…♥」
早くもリウムの口調が怪しくなる。もう顔はふやけて溶けてしまいそうになっている。リウムの中も、これまでにないほどは激く俺のモノを刺激し、包み込んでくる。
「だすっ……出すぞっ!」
「……んんっ、いっひょ……にっ!」
今日二度目の射精。思い切り吹き出す。
「く、ううううううう!!」
「あ、あああっ……はいっへ…ひた……♥」
もうまともに言葉も話せないほどの絶頂を迎えるリウム。その顔は、実に幸せそうだった。
「ん……はあっ……はあ……」
まだその余韻の残るリウムに、俺は話しかける。
「……なあ、リウム」
「………ん?」
「結婚しよう」
「………ん♥」
あの微笑みを浮かべ、リウムはこくりと頷いた。
………………
「ふえっくしょん!!」
「……大丈夫?」
「ああ、だいじょ…ふぇっくし!」
「……寝てて」
「そもそも起き上がれねえよ」
次の日、俺は風邪をひいていた。当然だ。冷水をかぶって、そのまま体も拭かずに走り回り、挙句リウムとヤったのだ。そりゃあ体調だって崩すだろう。おかげで今は立場が逆転。リウムに看病してもらっている状況だ。それだけなら別にいいんだけど。
「なあ、なんで縛るんだ?」
「…………」
「こっち見なさい」
「…………」
リウムは答えない。そう、俺は今、何時ぞやのようにベッドに固定されている。なんでか?知るかよ。起きたらこうなってたんだ。
「……ご飯」
リウムがお粥の入ったお椀を持って現れた。俺の脇に座りスプーンでお粥をすくい取る。
「……ふー」
息をかけて冷まし、そのまま俺の口元に持ってきた。
「……あーん」
「…はふっ」
「…………よし」
小さくガッツポーズを決めるリウム。そんなにやりたかったのか?リウムは再び、お粥を冷ましながら、話し始める。
「……あのロケットには、私の魂が入っていたの」
リウムが俺に話したのは、こんなことだった。
リウムが魔物になった時、リウムの魂はリウムの元を離れ、あのロケットに閉じ込められた。どうしてそうなったかは覚えていないそうだ。ただ、本当にリウムが愛し、リウムを愛する人物が現れた時のみ、開くようになるということだけは覚えていた。そしてリウムは俺と出会った。相思相愛となったものの、お互い告白をしていなかったため、ロケットを開けられるようにならなかったのだ。体では繋がったのに、心で完全に繋がりきれていないという矛盾が、今回の体調不良の原因だった。ロケットを俺が持ち歩き、俺の気持ちをリウムの魂が感じ取ることで、ようやく開くようになったらしい。
「……ルーは二度も私を助けてくれた」
と、リウムは言った。
「……それに、好きって、言ってくれた」
うれしいな、とつぶやく。
「…ずっと一緒にいてね?」
もじもじとした仕草がなんともキュート!可愛さは健在だね!
「いつでも一緒だ。だから……」
縄をほどいて。
やだ。
アイコンタクト失敗!いや、通じたけど!これが愛のなせる技か!すげえな、愛。
「何のために縛るんだ!もうあーんはやったろ!?」
その瞬間、リウムの目つきが変わる。……なんというか、ギラッ!ていうか、ムラッ!みたいな?
「……ルーは動かなくてもいいから」
「だからそもそも動けねーんだって!」
いそいそと俺にまたがり始めるリウムに、首だけでつっこむ。ちなみにリウム、ここまで全裸です。すっぽんぽん。白く、ツヤのあるきめ細やかな肌。おっぱい大きいなあ。
どうやら、肉体と魂が一体化したことによってより欲求が強くなったらしい。
なんというか、心から俺を迎え入れてくれたということなんだろうけども……
「……私がヤってあげる」
「…な、ナニをですか?」
「……れろれろ」
「うひいいっ!?」
首筋に何かが這うような感覚がする。し、舌?リウムが俺の首を舐めている。やべえ、すごいぞわぞわする。
「……れろー」
「おあああぁぁ……」
「……ルー、かわいひ♥」
「おい……やめ…っ」
抵抗しようにも、せいぜい首を動かすのがやっとだ。どうしようもない。
「……もうこんなに♥」
「!?」
見ると、俺のアレが有頂天!元気いっぱいにそそり立つ!
……なんでだ!?特に意識してないぞ?
「……まさかさっきのお粥……?」
「……特別製」
す、と親指を立てるリウム。
「畜生やっぱりか!!」
なんか混ぜてたな!?どうりでなんか暑いと思ったら!
リウムは俺を抱きしめる。離さないぞ、とでも言うように。
リウムの手も俺のを握り締める。離さないぞ、とでも言うように。
「……ずっと一緒♥」
「……ああ」
ぎゅうっ ぎゅっ 「ぎゃー」
最初の「ぎゅうっ」でリウムが俺を抱きしめ、「ぎゅっ」で俺のムスコを抱きしめ、その突然の刺激に俺が「ぎゃー」
「……まだ出しちゃダメ」
「……ああ」
すっかり……というか少々行き過ぎるくらい元気になったリウムとの一日は、まだ始まったばかりである。
「ちょ…リウム……やすませ……て……」
「……ほら、まだまだ♥」
俺、インキュバスになる前にミイラになりそうです……
「………………」
リウムの意識がなくなってから、およそ半日。ベッドで眠るリウムからは、まだ目を覚ます兆しは見られない。
「……ん………」
リウムは苦しそうに眉をひそめ、顔を背ける。悪い夢でも見ているのだろうか?その顔には悲痛の表情が見て取れた。リウムの動きに応じてつつ…と、額に浮かんだ脂汗が、赤く染まった頬を伝っていく。
リッチという種族の関係で、元から死人のように青ざめた肌を持つリウムだが、今日はその域を大きく外れていた。体はさらに青白く、首から上だけは酷く熱を持っていて、赤くなっていた。ハアハと吐き出される息も熱く、その息をすることさえ、苦しげだった。
「…リウム」
額の汗を拭き、濡れたタオルをかぶせてやる。
悔しかった。
自分の目の前で、自分が最も大切にすると誓った相手が、苦しんでいる。それなのに、俺にできることはこれだけだということに、やり場のない怒りがこみ上げる。
……告白だってしていなかったのに。先程そのことを考えていただけに、余計胸が締め付けられる。
「急に……どうして?」
こればっかりはまるで見当がつかない。リウムの研究の手伝いをしている最中は、わからないことはリウムに聞けば、適格な答えが返ってきた。しかし、今はそのリウムが床に伏している状態だ。聞けるわけがない。
ぎゅっ
今の俺には、こうやってリウムの手を握り、そばに寄り添ってやるのが精一杯だ。
「……クソッ」
畜生!畜生!心の中で悪態をつく。泣きそうだ。自分の無力さに情けなくなる。リウムのいない俺なんてこんなもんか。空いている手をギュッと、強く握りしめる。
その時、その手に何かが触れた。
「………ルー?」
「!?リウムっ!」
リウムだ。リウムの手が、俺の拳を包んでいた。小さくて、冷たくて、今にも折れそうな手だった。その手が俺をその手が俺をつかんでいる。なんて冷たいんだ!本当に死人にでもなってしまったような、ぞっとする冷たさだ。
「…リウム?」
「…………」
リウムはなにも言わなかった。微かに唇を震わせ、俺を見上げるだけ。そして俺に微笑みかける。その間も握った手は離さない。弱々しい細腕からは想像もできないほど、ぎゅっと、握ってくる。
「リウム」
握った手に、俺の空いた手を被せ、リウムの手をつつみこむ。
「大丈夫、な?」
リウムから、返事はない。代わりにその小さな頭がこくりと傾けられた。
「俺が何とかしてやる」
「………………」
「だから、もう少し頑張れ」
優しく頭を撫でてやる。手でも何処でもいい。少しでもリウムに触れていたかった。
リウムは気持ち良さそうに目を細める。俺は、リウムが再び眠り込むまで、頭を撫でていた。
………………
さて、どうする?このままだとリウムが危ない。魔物であるリウムが、病気などにかかるはずがない。これは恐らく精神的なものだ。例えば…呪いみたいな。
「でも、そんなはずはない」
生前から、リウムはほとんど外に出ることなく生活してきたらしい。そんなリウムが誰かから怒りを買うことがあるのか?絶対無いと言ってしまっていいだろう。
「じゃあ、誰が?」
研究仲間か?それも有り得ないだろうな。彼らが行方不明になってから、もうかなりの時間が経過している。未だに生きていたとしても、相当なシジババになっちまってる。
そんな状態で呪いを持続させるなんて、生粋の魔女なんかじゃないと難しい…と思う…多分。リウムから聞いた話が正しいとするなら、だけど。
「打つ手なし……か」
もう既に手詰まり状態だ。こんなことになるなら、リウムからもっと医学を勉強しておけばよかった。後悔と無力感で、体が重くなる。どうしたらいいんだ?
「……あっつ……」
気がつくと、体中が汗でベトベトだ。昨日リウムが倒れてから今まで、風呂に入っていなかった。
「……入るか」
もう少し落ち着いて考えよう。そう思った俺は、頭を冷やすのも兼ねて水汲み場へ向かった。
………………
バシャッと冷水を頭からかぶる。地下水の冷たさは今もまだなれることはなく、水をかぶった俺の体は、自分の意志に逆らうようにがたがたと震えだした。ここは水汲み場兼シャワールーム。シャワールームといっても豪華なんてものからは程遠い。もう使われなくなった古い井戸に横穴を通して、水を取り込んでいるのだ。ただでさえひんやりとした空間が、水のおかげで余計に寒々しさを感じる。
バシャッ
「……ッツ!!」
もう一度、桶に水を貯め、かぶる。冷たいというよりも痛い、に近いな。ジパ
ングとかいう島国には流水に打たれることで精神を鍛える訓練があるとか聞いたことがある。……実に納得がいった。これはすごい。
「………っはあ…っはあ…」
どこを見るわけでもなく、ただなんとなく周りを見渡す。薄暗い天井が見えた。灯りの後ろの暗がりが見えた。お化けなんて、この魔物が出る世界で怖いはずがない。それでも、気になってしまう。つい暗がりに注意を向けてしま
う。
「怖い……な」
一人だからだ。すぐにわかった。今日の俺と昨日の俺との違い。リウムがいるかいないか。二人か一人か。それだけだからだ。
「ずっとリウムはこうだったのか」
俺が来るまで、ずっと。そして、リウムは再び一人ぼっちになりかけている。こんな気持ち、リウムには持って欲しくない。
「リウム……!」
愛する者の名前を呼び、立ち上がる。なんとしてもリウムを助け出す。心に決めた。総思いを決め、振り返った俺に見えたのは、あの光だった。
俺を包む赤い光。冷えきったこの水汲み場にいるはずなのに、光を浴びていると震えが止まってくる。暖かい。
「……あのロケットか!」
脱衣所に飛び込み、服のポケットを探る。赤く発光するロケットが姿を現した。光るロケットに触れていると、荒い息が落ち着いてくる。誰かがそばにいる。そんな温かみを一層感じた。
『…………』
「……?なんだ?」
『……ルー……』
「呼んで…る」
ロケットの中から、声がする。聞きなれたあの声。
「リウム!?」
『あけ……て』
急いでその留め金に手をかけた。昨日はビクともしなかったその留め金は俺の手にかかった瞬間、カチンと小さい音をたて、勢いよく開いた。
次の瞬間、ボッという音ともに、赤い光がロケットの中から飛び出してきた。思わずロケットを手放してしまった。
光は次第に形をつくり、人のシルエットになった。よく知る少女の姿に。
『あり……がと…』
「リウ……ム?」
リウムの姿をした光を、俺は抱きしめようと近づいた。しかし、光はすっと俺
をよける。諦めずに触れようとするが、またよけられる。
「どうしたんだよ!?リウム!」
光は俺に向けて微笑みかけてくる。
『…それは、私の本体にしてあげて』
「ほん……たい?」
光は頷き、ドアの向こうに消えていった。
「……っリウム!!」
俺はすぐさま部屋を飛び出し、光のあとを追った。
………………
俺がリウムの部屋についた時、光はリウムの枕元にいた。
『…ルー』
「リウム……なのか?」
『……ん』
光は頷き、寝ているリウムの額に手を置いた。
『…ルーの気持ち、伝わってきた』
そのまま光は語る。
『……昨日、ルーが言ってくれたの、うれしかった』
ゆっくりと、言い聞かせるように。
『……ありがと……ルー』
光はその言葉を最後に、リウムの中に引き込まれていった。
「……ん……」
それと同時に、リウムの肌の赤みが次第に収まり、うっすらと目を開いた。
「リウムッ!!」
「……ひゅっ!?」
俺はベッドに飛び上がり、リウムを抱きしめた。その肌にはさっきまでの病的な冷たさはなく、光に包まれたような暖かさがあった。
「よかった……よかったよ……リウム」
「………ん」
リウムも俺に答え、背中に手を伸ばした。
「ありがと……」
そして、自分の唇を俺の唇にかぶせてきた。
「……んんっ」
「……っつ」
「…………ん♥」
「…………っつ!!」
はなさないっ!息が止まるっ!!
「…………ぷはっ」
「……はぁっ、ぜえっ!」
死ぬかと思った……。
「ちょっ……リウム……まっ……」
「…………♥」
なんか……目が座っている。熱は収まったはずなのにその口からは熱っぽい吐
息が漏れている。
「………………♥♥」
リウムの目線がつい、と下に落ちた。その目が捉えているのは……俺のムスコ?
「おいまてリウム!何する気だ!?」
「………………立派♥」
「なにがっ!?」
かぷっ
妙に可愛らしい音が聞こえた。次の瞬間には、俺のモノはリウムの口に収まっていた。
「ちゅびっ……ぬちゅ……大ひい……♥」
「ちょ……やめ……うああ」
そのままリウムの舌は俺の物を舐め回す。
「ちゅっ……じゅじゅっ……んふぁ♥……」
「ぐっ……これは、や……やばいっ!!」
今まで感じたことのない快感に、一気に限界までもっていかれてしまった。
リウムは根元までくわえ込み、舌の全面で俺の先端部分を刺激してくる。
「じゅじゅじゅ……じゅるるるるっ……」
「リウムッ……で、出るっ!!」
「……ずずずずっ!!」
最後の仕上げとばかりにリウムは俺の物を思い切り吸い上げる俺はたまらず射精する。
「くあああああああっ」
「……んんんんっ」
リウムは俺の精子を口に含みコクンコクンと喉を鳴らして飲み込んだ。口に付いた残りを指で拭って綺麗に舐めとる。
「リウム……」
「………………」
今度もリウムは返事をしなかった。その代わり、じっと俺を見上げてくる。悩ましげに俺に何かを訴えかけてくる。何かはもはや考えるまでもないな。
そっと口づけをし、びしょねれの秘部に手を添える。
「……ん♥」
つぷぷ……秘部に置いた手は、力を加えていないのに自然に中に吸い込めれていくほど柔くなっていた。
「……なあ、リウム」
「………ん?」
「……好きだ」
「………ん」
言えた。やっとだ。リウムは満足そうに頷き、微笑む。
「……私も……大好き」
「…ありがとう」
俺は手を離し、とどめなく液を出すそこに、俺のモノをあてがった。
「入れるぞ」
「………はやく♥」
もうリウムの方は待ちきれない、といった風だった。俺は一気に奥まで、俺のモノを突き立てた。
「んふあああぁぁぁっっ!!」
間髪いれずに、前後に動き始める。
「ああっ♥……んあぁっ♥……んううっ♥」
「いい……すごく気持ちいいよ、リウム!」
「んんっ……うれ…ひいっ、よ…♥」
早くもリウムの口調が怪しくなる。もう顔はふやけて溶けてしまいそうになっている。リウムの中も、これまでにないほどは激く俺のモノを刺激し、包み込んでくる。
「だすっ……出すぞっ!」
「……んんっ、いっひょ……にっ!」
今日二度目の射精。思い切り吹き出す。
「く、ううううううう!!」
「あ、あああっ……はいっへ…ひた……♥」
もうまともに言葉も話せないほどの絶頂を迎えるリウム。その顔は、実に幸せそうだった。
「ん……はあっ……はあ……」
まだその余韻の残るリウムに、俺は話しかける。
「……なあ、リウム」
「………ん?」
「結婚しよう」
「………ん♥」
あの微笑みを浮かべ、リウムはこくりと頷いた。
………………
「ふえっくしょん!!」
「……大丈夫?」
「ああ、だいじょ…ふぇっくし!」
「……寝てて」
「そもそも起き上がれねえよ」
次の日、俺は風邪をひいていた。当然だ。冷水をかぶって、そのまま体も拭かずに走り回り、挙句リウムとヤったのだ。そりゃあ体調だって崩すだろう。おかげで今は立場が逆転。リウムに看病してもらっている状況だ。それだけなら別にいいんだけど。
「なあ、なんで縛るんだ?」
「…………」
「こっち見なさい」
「…………」
リウムは答えない。そう、俺は今、何時ぞやのようにベッドに固定されている。なんでか?知るかよ。起きたらこうなってたんだ。
「……ご飯」
リウムがお粥の入ったお椀を持って現れた。俺の脇に座りスプーンでお粥をすくい取る。
「……ふー」
息をかけて冷まし、そのまま俺の口元に持ってきた。
「……あーん」
「…はふっ」
「…………よし」
小さくガッツポーズを決めるリウム。そんなにやりたかったのか?リウムは再び、お粥を冷ましながら、話し始める。
「……あのロケットには、私の魂が入っていたの」
リウムが俺に話したのは、こんなことだった。
リウムが魔物になった時、リウムの魂はリウムの元を離れ、あのロケットに閉じ込められた。どうしてそうなったかは覚えていないそうだ。ただ、本当にリウムが愛し、リウムを愛する人物が現れた時のみ、開くようになるということだけは覚えていた。そしてリウムは俺と出会った。相思相愛となったものの、お互い告白をしていなかったため、ロケットを開けられるようにならなかったのだ。体では繋がったのに、心で完全に繋がりきれていないという矛盾が、今回の体調不良の原因だった。ロケットを俺が持ち歩き、俺の気持ちをリウムの魂が感じ取ることで、ようやく開くようになったらしい。
「……ルーは二度も私を助けてくれた」
と、リウムは言った。
「……それに、好きって、言ってくれた」
うれしいな、とつぶやく。
「…ずっと一緒にいてね?」
もじもじとした仕草がなんともキュート!可愛さは健在だね!
「いつでも一緒だ。だから……」
縄をほどいて。
やだ。
アイコンタクト失敗!いや、通じたけど!これが愛のなせる技か!すげえな、愛。
「何のために縛るんだ!もうあーんはやったろ!?」
その瞬間、リウムの目つきが変わる。……なんというか、ギラッ!ていうか、ムラッ!みたいな?
「……ルーは動かなくてもいいから」
「だからそもそも動けねーんだって!」
いそいそと俺にまたがり始めるリウムに、首だけでつっこむ。ちなみにリウム、ここまで全裸です。すっぽんぽん。白く、ツヤのあるきめ細やかな肌。おっぱい大きいなあ。
どうやら、肉体と魂が一体化したことによってより欲求が強くなったらしい。
なんというか、心から俺を迎え入れてくれたということなんだろうけども……
「……私がヤってあげる」
「…な、ナニをですか?」
「……れろれろ」
「うひいいっ!?」
首筋に何かが這うような感覚がする。し、舌?リウムが俺の首を舐めている。やべえ、すごいぞわぞわする。
「……れろー」
「おあああぁぁ……」
「……ルー、かわいひ♥」
「おい……やめ…っ」
抵抗しようにも、せいぜい首を動かすのがやっとだ。どうしようもない。
「……もうこんなに♥」
「!?」
見ると、俺のアレが有頂天!元気いっぱいにそそり立つ!
……なんでだ!?特に意識してないぞ?
「……まさかさっきのお粥……?」
「……特別製」
す、と親指を立てるリウム。
「畜生やっぱりか!!」
なんか混ぜてたな!?どうりでなんか暑いと思ったら!
リウムは俺を抱きしめる。離さないぞ、とでも言うように。
リウムの手も俺のを握り締める。離さないぞ、とでも言うように。
「……ずっと一緒♥」
「……ああ」
ぎゅうっ ぎゅっ 「ぎゃー」
最初の「ぎゅうっ」でリウムが俺を抱きしめ、「ぎゅっ」で俺のムスコを抱きしめ、その突然の刺激に俺が「ぎゃー」
「……まだ出しちゃダメ」
「……ああ」
すっかり……というか少々行き過ぎるくらい元気になったリウムとの一日は、まだ始まったばかりである。
「ちょ…リウム……やすませ……て……」
「……ほら、まだまだ♥」
俺、インキュバスになる前にミイラになりそうです……
13/09/07 12:26更新 / 山茶花永
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