決してラブホではありません
気がつくと、俺は混沌の中にいた。なにか気持ちの悪い生き物の腹の中にいるような感覚。
目蓋は痙攣し、うまく開けられない。体内の関節という関節が、固定されたかのように動かない。嫌な汗で体中がじっとりと濡れる。それなのに口の中だけは真夏の地面のようにカラカラに乾いている。その口からは奇怪な呻きが漏れるだけで、まともな言葉は一つとして出て来ない。
恐怖。それだけが俺を満たし、包み込む。
熱い!手に、足に、突き刺すように、いたぶるように痛みが走る。
視界を奪われているせいか、より感覚が鋭くなり、俺を苦しめる。
ドスン
急に、腹のあたりに鈍い痛みが走る。『なにか』が俺にのしかかってきたようだ。痛い。怖い。叫びたいのに、口はパクパクと虚しく動くだけだ。『なにか』はそのまま俺を押しつぶそうとのしかかる。俺の呼吸は乱れ、震えた。
死
漠然としか感じたことのなかったそれが、今目の前にある。
嫌だ!死にたくない!
「…………リウムっ!!」
最後の言葉は、不思議と口から出た。あれほど言葉を押さえ込んでいた喉も、その名前だけはすんなりと通してくれた。
だが、そこまでだった。俺は混沌のさらに奥に、精神を沈めていった。
「…………ハッ」
そこで、目が覚めた。
視界が開ける。手足にいつものような感覚が戻ってくる。だが、動かない。
俺はベッドに縛り付けられていた。
そしてもう一つ。俺の上にうずくまっている黒い塊。
リウムが俺に覆いかぶさって寝ていた。……何故か真っ赤なロウソクを持って。
「リイイウウムウウウウウウ!!」
「ひゃうっ!?」
先程息も絶え絶えに言ったその少女の名前を、今度は全力で叫ぶことになった。
………………
状況を説明しよう。
昨日、俺は自分の顔を殴って気絶した。そこまでは俺も覚えている。
リウムは意識を失った俺を抱えてベッドへ運んだ。そこまではいい。実に素晴らしい行動だと思いますよ?これでも男ですから、そのまま放置されたって全く問題なかったのです。
それなのにわざわざベッドに寝かせてくれるなんて……天使ですか?実は天使だったんですか?と疑いを抱くほどの聖人っぷり。見た目はもう十分に天使でしたけど!
…しかし問題はここからだ。何を考えたかこの娘は俺を縄でベッドに固定しやがった。
おまけに、寝ているのをいいことに俺の体にロウソクをぽたぽた。
挙句に途中で疲れてそのまま寝てしまったそうだ。
……おかしいよね?助手として働くのは承諾したけど、実験台になるなんて言った覚えはねえ!
「とりあえず、俺を縛った理由をお教え願おうか?」
「……はい」
ちなみに、リウムは現在俺の目の前で正座している。昨日と同じボロボロのマントに身を包み、ちょこんと座るその姿。かなり小柄なその体躯がさらに小さく見える。
超可愛いです、はい。少々不安げに俺を見上げるそのジト目がさらに可愛さに拍車をかけている。ソファに座っている俺からすると、飼い主に躾けられる猫、といったところか。
今が叱っている状況でなければ、俺はまた気絶しなくてはいけなかっただろうな!
「じゃあ、説明をどうぞ」
「…ルーは自分の顔を殴ってた」
「そうだな」
俺とリウム、二人を守るためだ。仕方がなかった。
「……だから、マゾなのかなって」
「………ワンモア」
「……?」
「もっかい、言ってみ?」
言葉の意味が分からずに、こてんと首をかしげるリウム。畜生!可愛いじゃねえか!
「…ルーは、痛いのを気持ちいいのにできる人なのかなって」
言い直してくれたみたいだけど、わかりやすさ二割増し、気持ち悪さ五割増しだ。
「…だから、手伝ってくれるお礼に」
「縛ってロウソクを垂らした?」
「……(コクン)」
…………そっかー
「……でも、まちがって……た?」
「………」
「……ごめん…なさい」
次第に語尾が小さくなる。しゅんと縮こまった肩が余計に小さくなる。
リウムはリウムで、感謝を伝えてくれていたのか。
大いなる勘違いのもとで、だが。
「…そのせいで……ルーが痛い思いをした」
そんなことはない……とは言えなかった。正直に言って、痛かった。使った縄がボロボロだったせいもあって、縛られた腕はあとが残ってまだヒリヒリとしていたし、ロウソクを垂らされた腕も少し腫れていた。いくらお礼といっても初対面の相手にできることじゃない。勘違いとはいえ、ふざけている様子はなく、むしろ必死とも見える雰囲気だ。なぜこんなに手の込んだことをするんだ?
「……もうこんなことはしない…から」
「…………」
黙ってリウムの言葉を聞く。その言葉の端は震えていた。
「……だから…」
最後の一言は言葉にならず、口を動かすだけだった。
でも、不思議と俺の耳には届いた。
いかないで
「…………」
やっとわかった。リウムの俺に対する『お礼』の真意。それは孤独への恐怖。
正確な年月は聞いていなかったが、リウムがリッチとして生まれ変わってから、彼女は一人で生きてきた。誰かの姿を見ることも、見せることもなく。そんな中での、俺の存在。それは、俺の思っている以上に大きなものであったようだ。
「………一人はもう嫌」
絞り出すようにリウムはしゃべる。
黒く冷たい床に一滴、二滴と雫が落ちた。
「……フー」
…まったく
バサッ
「ひゅっ!?」
リウムのかぶっていたフードをはぐ。驚いて俺を見上げるリウムの顔には、涙の跡が二本。そのままの体制で、あらわになった髪をぐしぐしと撫でる。
「……!?………??」
ぐしぐし
「………??」
ぐしぐし
「…………ど…どし…たの?」
「いや……」
やばい。慰めるつもりだったのに、楽しくなってきた。
突然の撫で回しに戸惑うリウム。おろおろと手を上げたり下げたりするだけでどうすることもできていない。俺を見上げる赤らんだ瞳には、俺の行動への疑問符が浮かんでいた。
「あのな」
「………?」
少々名残惜しかったが、撫でる手を止め、リウムの両肩を支える。
「俺はリウムの助けがしたかったから、助手になることを承諾した」
「……(コクッ)」
「それに対して、リウムは勘違いとはいえ、お礼をしようとしてくれたんだ」
「……ん」
「そんな相手に、感謝こそすれど嫌ったりするはず、ないだろ?」
わしゃっと最後に強めの一撫で。若干、いやかなりこじつけっぽかったたけど、これくらい言えば納得してくれるだろ……
ビュッ
ゴッ
「ゲフッ」
ギュッ
最初の「ビュッ」でリウムが床を蹴って、「ゴッ」でリウムの頭が俺のみぞおちにクリーンヒット、最後の「ギュッ」でリウムが俺を抱きしめた。「ゲフッ」は言うまでもない。俺ののどから出た。いてえ。
「……あり………がと」
俺の胸に顔をうずめ、震える声でつぶやく。
「いいんだ。被害者の俺がいいって言っているんだから、もういいんだ」
「……うん」
俺を見上げ、リウムはふ、と微笑む。昨日と同じ。いや、それ以上の……美しさだった。
涙で濡れた瞳や、うっすらと水分を含んだ唇が、今目の前にある。髪の毛の先から漏れる、かすかな香水が鼻をくすぐった。
「………お礼……させて?」
そう言って、俺の視界がリウムの顔で覆われる。唇が、重なった。
「……んんっ」
「…………」
そのまま、はなさない。今のリウムなら、ただの人間である俺にでも、すぐにひきはなせるだろう。だが、俺は止めない。おそらくリウムが考えていることを、俺も考えているから。
「んちゅ…んん、ちゅ……♥」
「……ん…ちゅっ………ぷぁ……」
唇を離し、見つめ合う。
「……ルー」
「…ん?」
「……お願い……きて…?」
「…ん」
ソファに、ゆっくりとリウムを横にさせる。そのまま、来ていたローブを脱がせてしまう。
「……あ♥…」
あった時からずっと隠されていた、その肢体が露になる。
青白くも、しみ一つないさらさらとした肌。
…………さらわれた時とか、今朝とか、さっきとか、薄々分かってたけど……大きいな。
こじんまりとした裸体にしては大きめのそれらを、両手で優しく包み、なでる。
「…あっ♥……ふぁっ…」
「やったことないから……どうなるかわからんぞ?」
「んっ……だいじょ…んんっ……ぶ…」
リウムの大きな双丘の上の、赤く充血した突起。俺が揉むたび、摘むたび、その硬さを増しているように感じる。
「……んん………ふぁ…っ」
リウムの熱い吐息が、俺の頬にかかる。だいぶ息が荒れているな…
手を止め、リウムの頬に手を添える。
「無理…するなよ?」
大丈夫。と言って、リウムは俺の手をつかむ。
「……だから…止めないで」
「…えっ」
「……わたし、ルーに……されて……」
うれしい
耳元で、ささやかれた。
熱い息の中に混じって、何か、理性を壊しかねない何かが俺の体に入ってきた。
「リウムっ!!」
「…ふうっ?」
思わず唇を奪う。
「ううん……ちゅ…ん、ん♥」
「ちゅっ…ん……れろ…」
「……ぷあっ………ひろ……い」
「…すまん、つい」
口では不満そうなリウムだが、その呂律は既に回らなくなっていた。
「入れても?」
そう聞いて、俺は彼女の下半身に手を添える。
女性と男性で決定的に異なる部位。その小さな割れ目からは、すくいきれないほどの液体が流れ落ちてきていた。
「……いい…よ」
す、と、両腕を俺の後ろに回してくる。
「……よし」
覚悟は、決めた。
秘部に手を当て、小さくなぞる。
「……ん……んふぁ…あ………」
それだけでもリウムの体は反応し、小刻みに震える。
「いくぞ」
俺はそっと秘部に俺のモノをあて、ゆっくりと押し込んだ。
「ん、んふわあああ…ああ……あ♥」
「く……きつ…い…」
慎重に奥へと進める。と、コツンと何かに当たった。
「んああっ」
その瞬間。リウムの体がピクン!と軽くはねた。
「お、おいだいじょ…!」
俺の言葉を遮って、首を横に振るリウム。
「……わたし…は、だいじょうぶ」
そしてにこ、と笑いかける。可愛さと、美しさと……色っぽさを織り交ぜたような笑。
腰が勝手に動き出す。いや、勝手に、ではない。本能から、俺は彼女を欲している。
そう確信した。
ずっ、ずっ、と腰を振る。もうなにか考える暇はなかった。ただひたすらに、リウムとつながっていたい。それだけだった。
「リウムっ……もう…でるっ!」
「……あっ…いい……よ…そのままで……っ♥」
「リウ…ム、リウム!」
「んあぁっ……ルー!」
限界に達し、俺はリウムの中に思い切り吹き出した。
「く、うあああぁぁぁっ!!」
「ああああぁぁぁぁ……♥♥」
同時にリウムも達し、小柄な体が大きくのけぞる。俺はつながったまま、その体をぎゅっと抱きしめた。
「……ルー………これからも…」
「ああ、一緒だよ」
「……ありがと♥」
そう言って、リウムは俺に唇を重ねてきた。俺もそれに応じる。
長い接吻のあと、リウムは俺にささやく。
「……もういっかい…ね?」
そんな可愛らしい上目遣いされて……断れるわけないじゃん…
俺たちは、お互いが疲れ果てて寝てしまうまで、交わり続けた。
目蓋は痙攣し、うまく開けられない。体内の関節という関節が、固定されたかのように動かない。嫌な汗で体中がじっとりと濡れる。それなのに口の中だけは真夏の地面のようにカラカラに乾いている。その口からは奇怪な呻きが漏れるだけで、まともな言葉は一つとして出て来ない。
恐怖。それだけが俺を満たし、包み込む。
熱い!手に、足に、突き刺すように、いたぶるように痛みが走る。
視界を奪われているせいか、より感覚が鋭くなり、俺を苦しめる。
ドスン
急に、腹のあたりに鈍い痛みが走る。『なにか』が俺にのしかかってきたようだ。痛い。怖い。叫びたいのに、口はパクパクと虚しく動くだけだ。『なにか』はそのまま俺を押しつぶそうとのしかかる。俺の呼吸は乱れ、震えた。
死
漠然としか感じたことのなかったそれが、今目の前にある。
嫌だ!死にたくない!
「…………リウムっ!!」
最後の言葉は、不思議と口から出た。あれほど言葉を押さえ込んでいた喉も、その名前だけはすんなりと通してくれた。
だが、そこまでだった。俺は混沌のさらに奥に、精神を沈めていった。
「…………ハッ」
そこで、目が覚めた。
視界が開ける。手足にいつものような感覚が戻ってくる。だが、動かない。
俺はベッドに縛り付けられていた。
そしてもう一つ。俺の上にうずくまっている黒い塊。
リウムが俺に覆いかぶさって寝ていた。……何故か真っ赤なロウソクを持って。
「リイイウウムウウウウウウ!!」
「ひゃうっ!?」
先程息も絶え絶えに言ったその少女の名前を、今度は全力で叫ぶことになった。
………………
状況を説明しよう。
昨日、俺は自分の顔を殴って気絶した。そこまでは俺も覚えている。
リウムは意識を失った俺を抱えてベッドへ運んだ。そこまではいい。実に素晴らしい行動だと思いますよ?これでも男ですから、そのまま放置されたって全く問題なかったのです。
それなのにわざわざベッドに寝かせてくれるなんて……天使ですか?実は天使だったんですか?と疑いを抱くほどの聖人っぷり。見た目はもう十分に天使でしたけど!
…しかし問題はここからだ。何を考えたかこの娘は俺を縄でベッドに固定しやがった。
おまけに、寝ているのをいいことに俺の体にロウソクをぽたぽた。
挙句に途中で疲れてそのまま寝てしまったそうだ。
……おかしいよね?助手として働くのは承諾したけど、実験台になるなんて言った覚えはねえ!
「とりあえず、俺を縛った理由をお教え願おうか?」
「……はい」
ちなみに、リウムは現在俺の目の前で正座している。昨日と同じボロボロのマントに身を包み、ちょこんと座るその姿。かなり小柄なその体躯がさらに小さく見える。
超可愛いです、はい。少々不安げに俺を見上げるそのジト目がさらに可愛さに拍車をかけている。ソファに座っている俺からすると、飼い主に躾けられる猫、といったところか。
今が叱っている状況でなければ、俺はまた気絶しなくてはいけなかっただろうな!
「じゃあ、説明をどうぞ」
「…ルーは自分の顔を殴ってた」
「そうだな」
俺とリウム、二人を守るためだ。仕方がなかった。
「……だから、マゾなのかなって」
「………ワンモア」
「……?」
「もっかい、言ってみ?」
言葉の意味が分からずに、こてんと首をかしげるリウム。畜生!可愛いじゃねえか!
「…ルーは、痛いのを気持ちいいのにできる人なのかなって」
言い直してくれたみたいだけど、わかりやすさ二割増し、気持ち悪さ五割増しだ。
「…だから、手伝ってくれるお礼に」
「縛ってロウソクを垂らした?」
「……(コクン)」
…………そっかー
「……でも、まちがって……た?」
「………」
「……ごめん…なさい」
次第に語尾が小さくなる。しゅんと縮こまった肩が余計に小さくなる。
リウムはリウムで、感謝を伝えてくれていたのか。
大いなる勘違いのもとで、だが。
「…そのせいで……ルーが痛い思いをした」
そんなことはない……とは言えなかった。正直に言って、痛かった。使った縄がボロボロだったせいもあって、縛られた腕はあとが残ってまだヒリヒリとしていたし、ロウソクを垂らされた腕も少し腫れていた。いくらお礼といっても初対面の相手にできることじゃない。勘違いとはいえ、ふざけている様子はなく、むしろ必死とも見える雰囲気だ。なぜこんなに手の込んだことをするんだ?
「……もうこんなことはしない…から」
「…………」
黙ってリウムの言葉を聞く。その言葉の端は震えていた。
「……だから…」
最後の一言は言葉にならず、口を動かすだけだった。
でも、不思議と俺の耳には届いた。
いかないで
「…………」
やっとわかった。リウムの俺に対する『お礼』の真意。それは孤独への恐怖。
正確な年月は聞いていなかったが、リウムがリッチとして生まれ変わってから、彼女は一人で生きてきた。誰かの姿を見ることも、見せることもなく。そんな中での、俺の存在。それは、俺の思っている以上に大きなものであったようだ。
「………一人はもう嫌」
絞り出すようにリウムはしゃべる。
黒く冷たい床に一滴、二滴と雫が落ちた。
「……フー」
…まったく
バサッ
「ひゅっ!?」
リウムのかぶっていたフードをはぐ。驚いて俺を見上げるリウムの顔には、涙の跡が二本。そのままの体制で、あらわになった髪をぐしぐしと撫でる。
「……!?………??」
ぐしぐし
「………??」
ぐしぐし
「…………ど…どし…たの?」
「いや……」
やばい。慰めるつもりだったのに、楽しくなってきた。
突然の撫で回しに戸惑うリウム。おろおろと手を上げたり下げたりするだけでどうすることもできていない。俺を見上げる赤らんだ瞳には、俺の行動への疑問符が浮かんでいた。
「あのな」
「………?」
少々名残惜しかったが、撫でる手を止め、リウムの両肩を支える。
「俺はリウムの助けがしたかったから、助手になることを承諾した」
「……(コクッ)」
「それに対して、リウムは勘違いとはいえ、お礼をしようとしてくれたんだ」
「……ん」
「そんな相手に、感謝こそすれど嫌ったりするはず、ないだろ?」
わしゃっと最後に強めの一撫で。若干、いやかなりこじつけっぽかったたけど、これくらい言えば納得してくれるだろ……
ビュッ
ゴッ
「ゲフッ」
ギュッ
最初の「ビュッ」でリウムが床を蹴って、「ゴッ」でリウムの頭が俺のみぞおちにクリーンヒット、最後の「ギュッ」でリウムが俺を抱きしめた。「ゲフッ」は言うまでもない。俺ののどから出た。いてえ。
「……あり………がと」
俺の胸に顔をうずめ、震える声でつぶやく。
「いいんだ。被害者の俺がいいって言っているんだから、もういいんだ」
「……うん」
俺を見上げ、リウムはふ、と微笑む。昨日と同じ。いや、それ以上の……美しさだった。
涙で濡れた瞳や、うっすらと水分を含んだ唇が、今目の前にある。髪の毛の先から漏れる、かすかな香水が鼻をくすぐった。
「………お礼……させて?」
そう言って、俺の視界がリウムの顔で覆われる。唇が、重なった。
「……んんっ」
「…………」
そのまま、はなさない。今のリウムなら、ただの人間である俺にでも、すぐにひきはなせるだろう。だが、俺は止めない。おそらくリウムが考えていることを、俺も考えているから。
「んちゅ…んん、ちゅ……♥」
「……ん…ちゅっ………ぷぁ……」
唇を離し、見つめ合う。
「……ルー」
「…ん?」
「……お願い……きて…?」
「…ん」
ソファに、ゆっくりとリウムを横にさせる。そのまま、来ていたローブを脱がせてしまう。
「……あ♥…」
あった時からずっと隠されていた、その肢体が露になる。
青白くも、しみ一つないさらさらとした肌。
…………さらわれた時とか、今朝とか、さっきとか、薄々分かってたけど……大きいな。
こじんまりとした裸体にしては大きめのそれらを、両手で優しく包み、なでる。
「…あっ♥……ふぁっ…」
「やったことないから……どうなるかわからんぞ?」
「んっ……だいじょ…んんっ……ぶ…」
リウムの大きな双丘の上の、赤く充血した突起。俺が揉むたび、摘むたび、その硬さを増しているように感じる。
「……んん………ふぁ…っ」
リウムの熱い吐息が、俺の頬にかかる。だいぶ息が荒れているな…
手を止め、リウムの頬に手を添える。
「無理…するなよ?」
大丈夫。と言って、リウムは俺の手をつかむ。
「……だから…止めないで」
「…えっ」
「……わたし、ルーに……されて……」
うれしい
耳元で、ささやかれた。
熱い息の中に混じって、何か、理性を壊しかねない何かが俺の体に入ってきた。
「リウムっ!!」
「…ふうっ?」
思わず唇を奪う。
「ううん……ちゅ…ん、ん♥」
「ちゅっ…ん……れろ…」
「……ぷあっ………ひろ……い」
「…すまん、つい」
口では不満そうなリウムだが、その呂律は既に回らなくなっていた。
「入れても?」
そう聞いて、俺は彼女の下半身に手を添える。
女性と男性で決定的に異なる部位。その小さな割れ目からは、すくいきれないほどの液体が流れ落ちてきていた。
「……いい…よ」
す、と、両腕を俺の後ろに回してくる。
「……よし」
覚悟は、決めた。
秘部に手を当て、小さくなぞる。
「……ん……んふぁ…あ………」
それだけでもリウムの体は反応し、小刻みに震える。
「いくぞ」
俺はそっと秘部に俺のモノをあて、ゆっくりと押し込んだ。
「ん、んふわあああ…ああ……あ♥」
「く……きつ…い…」
慎重に奥へと進める。と、コツンと何かに当たった。
「んああっ」
その瞬間。リウムの体がピクン!と軽くはねた。
「お、おいだいじょ…!」
俺の言葉を遮って、首を横に振るリウム。
「……わたし…は、だいじょうぶ」
そしてにこ、と笑いかける。可愛さと、美しさと……色っぽさを織り交ぜたような笑。
腰が勝手に動き出す。いや、勝手に、ではない。本能から、俺は彼女を欲している。
そう確信した。
ずっ、ずっ、と腰を振る。もうなにか考える暇はなかった。ただひたすらに、リウムとつながっていたい。それだけだった。
「リウムっ……もう…でるっ!」
「……あっ…いい……よ…そのままで……っ♥」
「リウ…ム、リウム!」
「んあぁっ……ルー!」
限界に達し、俺はリウムの中に思い切り吹き出した。
「く、うあああぁぁぁっ!!」
「ああああぁぁぁぁ……♥♥」
同時にリウムも達し、小柄な体が大きくのけぞる。俺はつながったまま、その体をぎゅっと抱きしめた。
「……ルー………これからも…」
「ああ、一緒だよ」
「……ありがと♥」
そう言って、リウムは俺に唇を重ねてきた。俺もそれに応じる。
長い接吻のあと、リウムは俺にささやく。
「……もういっかい…ね?」
そんな可愛らしい上目遣いされて……断れるわけないじゃん…
俺たちは、お互いが疲れ果てて寝てしまうまで、交わり続けた。
13/08/27 18:55更新 / 山茶花永
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