第2話
「うむ、中々良い紅茶だな。それで、わざわざ人払いの結界まで張ってあるこのカフェに入ってする話とは一体?」
シャーラは機嫌が良さそうに紅茶をすすり老婆に話しかける
「結界に気付きましたか、流石ですね。…まずは私の紹介からさせて頂きますね」
そう言い放った矢先に老婆はボンっと煙を出し、本来の姿であろう7尾の妖狐に姿を変えた。
「ん〜〜〜っ…ずっと変化してるのも楽じゃないです♪」
背筋を伸ばし、笑いかける。シャーラは少し驚いたのか口がポカンと開いている
「妖狐だったのか…実物は初めて見たよ。しかし9尾ではないがそこまで魔力を抑えられるものなのか?全く気付かなかった」
「いえいえ、周りにも多少の魔物は居ましたし、気付かないのも無理はありません。それに元々私たちの種族は気配を消すのは得意分野ですから」
謙遜しつつも少し嬉しそうに耳をピクピク動かし、7つの尾がゆれている。…すごく触ってみt(ゲフンゲフン
「あぁこれは失礼、私の名前はフィリアです、よろしくお願いします。ちなみにこの人払いの結界は観光客には知られないよう村人に言われてますので、念のために張っておきました」
「了解だ。こちらも自己紹介がまだだったな。私はシャーラ。見ての通りヴァンパイアだ。連れも居るが今は宿屋で爆睡してるだろう、そっちの紹介は追々させてもらう」
「分かりました。やはりあのヴァンピット家の方でしたか。もしやとは思っていましたけど…とりあえずそろそろ本題に入りますね」
フィリアの話によると、この村で起きているのは無いとのこと。簡単に言うと村人が名産品を仕入れに行く際にそのまま姿を消すという不可思議な現象がおきているというものだった。それがある一部で噂が広がり、誘拐事件となったのだろう。一応備蓄のある店はなんとか営業をしているのだがこんな事件が起きていては入荷が出来ないと嘆いているらしい。
「…なるほどな、しかし少し引っかかるな。あながち誘拐事件とは言えなくはないが、真相は違うと言うことか?」
「えぇ、別に無理矢理攫ってるわけではないんです。問題は名産品を取りに行く道中にあります」
「しかし村の皆がいつも通る道ではないのか?」
「…ここ最近、その道に空間の歪みが出来て閉まったんですよ。そのまま歪みに飲み込まれ、気付けば全く知らない場所に立ってる…と、そんな感じです」
「空間の歪みねぇ…大層な物ができたもんだ」
「私の仲間が調査で潜った所、ある一定の場所しか飛ばされないんです。行方不明の村人達も全員確認してるので一先ず安心しました。ただ少しだけ厄介なんですよね…」
「厄介?一体何があるんだ?」
「あちらに飛ばされると大規模な魔力の行使が出来なくなるらしくて…現に仲間も飛ばされた後、出来ることが精々念話くらいと言ってました。そして歪みは一方通行なので戻ることも不可能なんです…」
「飛んだ場所での魔力制限か…」
少し考えてからシャーラが再び質問をする
「…あちら側で莫大な魔力を使えるようにすればなんとか出来るか?」
「え、えぇ、出入り口である歪みを双方からこじ開ければ何とか…でもそんなことが出来るんですか?」
フィリアが耳をフニャっと曲げて戸惑いながらシャーラを見つめる。それがまたなんとも可愛くてたまらない。クロスが見たら間違いなくフィリアを撫で回しているだろう。
「やれないこともない…が、これは私の連れと貴方も必要だな」
「本当ですか!?これで皆をこっちに連れてこられるわ!」
「あぁ…けどまぁ…ちょ〜っとその前に…」
シャーラが手をワキワキしながらフィリアににじり寄る。
「…どうかしました?」
少し逃げ腰になりながらフィリアは恐る恐る聞き返す。
「そ…その耳と尾を…触ってもいいか…?」
このあと戸惑ったフィリアの了解を得てたっぷり15分触りまくったそうな。
「くあぁ〜〜〜ベッド気持ちよかったぁ。本気でちょっと寝ちゃったよ〜」
クロスはベッドから上半身を起こしグーっと背伸びをして目を擦る。どうやら2時間ほど寝てしまったらしい。
「…シャーラまだ帰って来てないや。最近城の外に出たばっかで好奇心旺盛なのはいいけど、まさかこんな事件に首突っ込むなんてなぁ…まぁ楽しそうだから別にいいんだけどぉ」
以前にも書いた通りヴァンピット家はかなり有名で。全大陸で知らない者は居ないくらいだ。シャーラは三姉妹で次女にあたる。10歳離れた長女と3歳下の三女がおり、その二人もかなりの有名人。その話はまたいつか…。
クロスがベッドの上から窓の外をぼ〜っと眺めていると何やら外から話し声が聞こえる。ベッドから起き上がり、窓を開けて顔を出し声のする方へと向けると、シャーラと老婆が何やら色々話しをしている。
「おーいシャーラー!ここだよー!」
声に気付き、シャーラと老婆に変化しているフィリアがクロスを見る。
「む、クロスか。今そっちに行く!いい情報が手に入ったぞ!」
「おおーさっすがシャーラだね!部屋で待ってるよぉー!」
顔を引っ込めて窓を閉めるクロス。フィリアがボソリとシャーラにつぶやく。
「改めて見ると可愛らしい殿方ですね。羨ましいわ」
「性格同様そのまんまだからな。ここまでにくる道のりでは騒がしくてしょうがなかった。少しは大人しくしてほしいものだ」
そうは言っても少し楽しそうに話すシャーラを見て、フィリアはクスクスと笑う。
「…何を笑っている、こっちは日が出ているのにずっとこの村を目指しているというのにアイツは我侭を言ってばかりなんだ。少しは同情してほしいんだが…」
「でもシャーラさん、今すごく楽しそうですよ?言葉とはあまりにも裏腹だったものでつい可笑して。気に障ったのならごめんなさいね♪」
「そ、そりゃまぁ退屈はしないがなっ!とっとと部屋に行くぞっ!」
少し照れながら足早にクロスの元へ向かうシャーラ。フィリアもそんなシャーラをニコニコと笑いながら後を追う。
しかし次元の歪みが出来た原因は未だ不明。いったいどこの誰が作ったんですかね?
シャーラは機嫌が良さそうに紅茶をすすり老婆に話しかける
「結界に気付きましたか、流石ですね。…まずは私の紹介からさせて頂きますね」
そう言い放った矢先に老婆はボンっと煙を出し、本来の姿であろう7尾の妖狐に姿を変えた。
「ん〜〜〜っ…ずっと変化してるのも楽じゃないです♪」
背筋を伸ばし、笑いかける。シャーラは少し驚いたのか口がポカンと開いている
「妖狐だったのか…実物は初めて見たよ。しかし9尾ではないがそこまで魔力を抑えられるものなのか?全く気付かなかった」
「いえいえ、周りにも多少の魔物は居ましたし、気付かないのも無理はありません。それに元々私たちの種族は気配を消すのは得意分野ですから」
謙遜しつつも少し嬉しそうに耳をピクピク動かし、7つの尾がゆれている。…すごく触ってみt(ゲフンゲフン
「あぁこれは失礼、私の名前はフィリアです、よろしくお願いします。ちなみにこの人払いの結界は観光客には知られないよう村人に言われてますので、念のために張っておきました」
「了解だ。こちらも自己紹介がまだだったな。私はシャーラ。見ての通りヴァンパイアだ。連れも居るが今は宿屋で爆睡してるだろう、そっちの紹介は追々させてもらう」
「分かりました。やはりあのヴァンピット家の方でしたか。もしやとは思っていましたけど…とりあえずそろそろ本題に入りますね」
フィリアの話によると、この村で起きているのは無いとのこと。簡単に言うと村人が名産品を仕入れに行く際にそのまま姿を消すという不可思議な現象がおきているというものだった。それがある一部で噂が広がり、誘拐事件となったのだろう。一応備蓄のある店はなんとか営業をしているのだがこんな事件が起きていては入荷が出来ないと嘆いているらしい。
「…なるほどな、しかし少し引っかかるな。あながち誘拐事件とは言えなくはないが、真相は違うと言うことか?」
「えぇ、別に無理矢理攫ってるわけではないんです。問題は名産品を取りに行く道中にあります」
「しかし村の皆がいつも通る道ではないのか?」
「…ここ最近、その道に空間の歪みが出来て閉まったんですよ。そのまま歪みに飲み込まれ、気付けば全く知らない場所に立ってる…と、そんな感じです」
「空間の歪みねぇ…大層な物ができたもんだ」
「私の仲間が調査で潜った所、ある一定の場所しか飛ばされないんです。行方不明の村人達も全員確認してるので一先ず安心しました。ただ少しだけ厄介なんですよね…」
「厄介?一体何があるんだ?」
「あちらに飛ばされると大規模な魔力の行使が出来なくなるらしくて…現に仲間も飛ばされた後、出来ることが精々念話くらいと言ってました。そして歪みは一方通行なので戻ることも不可能なんです…」
「飛んだ場所での魔力制限か…」
少し考えてからシャーラが再び質問をする
「…あちら側で莫大な魔力を使えるようにすればなんとか出来るか?」
「え、えぇ、出入り口である歪みを双方からこじ開ければ何とか…でもそんなことが出来るんですか?」
フィリアが耳をフニャっと曲げて戸惑いながらシャーラを見つめる。それがまたなんとも可愛くてたまらない。クロスが見たら間違いなくフィリアを撫で回しているだろう。
「やれないこともない…が、これは私の連れと貴方も必要だな」
「本当ですか!?これで皆をこっちに連れてこられるわ!」
「あぁ…けどまぁ…ちょ〜っとその前に…」
シャーラが手をワキワキしながらフィリアににじり寄る。
「…どうかしました?」
少し逃げ腰になりながらフィリアは恐る恐る聞き返す。
「そ…その耳と尾を…触ってもいいか…?」
このあと戸惑ったフィリアの了解を得てたっぷり15分触りまくったそうな。
「くあぁ〜〜〜ベッド気持ちよかったぁ。本気でちょっと寝ちゃったよ〜」
クロスはベッドから上半身を起こしグーっと背伸びをして目を擦る。どうやら2時間ほど寝てしまったらしい。
「…シャーラまだ帰って来てないや。最近城の外に出たばっかで好奇心旺盛なのはいいけど、まさかこんな事件に首突っ込むなんてなぁ…まぁ楽しそうだから別にいいんだけどぉ」
以前にも書いた通りヴァンピット家はかなり有名で。全大陸で知らない者は居ないくらいだ。シャーラは三姉妹で次女にあたる。10歳離れた長女と3歳下の三女がおり、その二人もかなりの有名人。その話はまたいつか…。
クロスがベッドの上から窓の外をぼ〜っと眺めていると何やら外から話し声が聞こえる。ベッドから起き上がり、窓を開けて顔を出し声のする方へと向けると、シャーラと老婆が何やら色々話しをしている。
「おーいシャーラー!ここだよー!」
声に気付き、シャーラと老婆に変化しているフィリアがクロスを見る。
「む、クロスか。今そっちに行く!いい情報が手に入ったぞ!」
「おおーさっすがシャーラだね!部屋で待ってるよぉー!」
顔を引っ込めて窓を閉めるクロス。フィリアがボソリとシャーラにつぶやく。
「改めて見ると可愛らしい殿方ですね。羨ましいわ」
「性格同様そのまんまだからな。ここまでにくる道のりでは騒がしくてしょうがなかった。少しは大人しくしてほしいものだ」
そうは言っても少し楽しそうに話すシャーラを見て、フィリアはクスクスと笑う。
「…何を笑っている、こっちは日が出ているのにずっとこの村を目指しているというのにアイツは我侭を言ってばかりなんだ。少しは同情してほしいんだが…」
「でもシャーラさん、今すごく楽しそうですよ?言葉とはあまりにも裏腹だったものでつい可笑して。気に障ったのならごめんなさいね♪」
「そ、そりゃまぁ退屈はしないがなっ!とっとと部屋に行くぞっ!」
少し照れながら足早にクロスの元へ向かうシャーラ。フィリアもそんなシャーラをニコニコと笑いながら後を追う。
しかし次元の歪みが出来た原因は未だ不明。いったいどこの誰が作ったんですかね?
10/08/21 09:55更新 / ステテコ
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