マストの上の君と
私はとある島の近くに錨を下ろした日に今までに見た事の無い生き物に出会った。それはハーピーと呼ばれる魔物の一種で鳥に近い人間の様な魔物であった。
空想上の生き物と思っていた私は本来の仕事である見張りを疎かにしてじっとこちらを見つめるハーピーを見ていた。カモメの様な白い身体に灰色の翼、切れ長の眼は人間では無いとしてもとても美しく仕事中にも関わらずドキドキとしてしまっている。不安になってきた私は船長や非番の航海士や機関士も呼んでくると目を離したうちにマストの上のハーピーは数を増やしていた。
最初に止まっていたカモメの様な白い身体を持つハーピーの他に青い翼の元気なハーピーが増えている。船長が驚いて様子を伺っているとブリッジのすぐ前の手摺りに青い方が降りて来て船長に笑いかけて来た。
ナイスミドルと呼べる様な貫禄があり優しい船長が笑顔で手を振るとその青いハーピーはそれに笑顔で答え美しい声を響かせて歌い始めた。聞いているだけで心が奪われてしまう様な声に酔いしれ、時間が経つのも忘れて聴き浸る。マストにはさらに数羽?数人?のハーピーが集まり、鏡の様な水面からは鮮やかな色の鱗をもつマーメイドが顔と尾鰭を覗かせている。いつの間にかブリッジには乗組員達が集まり食い入る様に彼女らを見つめ歌声を聴いていた。
そうこうしているうちにこちらに手招きする彼女らに誘われて船長が外に出て見るとそのまま青い彼女は船長を抱き寄せて唇に一つキスを落とすとこちらにも一つウィンクを残して忽然と窓から姿を消してしまった。その様子を見ていた私たちは次々に外に出てはまた一人また一人と彼女達の美しい姿と声に魅了されハーピーに鷲掴みされ姿を消したりましてや海にボートを下ろし数人でマーメイドと戯れていたりとそれぞれが楽しんでいる様であった。
そしてその場に一人取り残された私は最初に見つけて見つめ合っていたマストの上のカモメの様な翼の娘がまだ残っているのを見つけて観察してみる事にした。
よく観察してみると目付きが鋭く見た目も少し違う、カモメではなくウミネコなのだろう。そんな事を考えているうちにふわっと彼女の身体が浮いたと思った時には私の後ろに降りていて彼女の大きな翼で視界が覆われてた。羽毛が鼻に触れると周りに漂う潮風の中に干したての布団の様な優しい香りを漂わせ私は上質な羽毛布団に包まれて大きく息をして彼女の翼に身体を預けていた。
背中に当たる彼女の胸からは柔らかい感触とドキドキと鼓動が伝わり自分と彼女の鼓動のリズムが重なっている様な安らかな気持ちにさせてくれる。時折彼女の吐息が首筋に当たりゾクゾクとしてしまう。
しばらく極上の羽毛布団を堪能していると後ろから抱きつかれている体制から正面から彼女と向き合う形へいつの間にか身体を回されていた。とりあえず優しく微笑む彼女に甘えて大きな翼で抱かれると共に自分でも彼女の背に手を回し羽毛の柔らかさを堪能することにする。
こちらの反応に満足げに微笑んだ彼女は鮮やかな赤のルージュで彩られた唇がこちらに近づけ額に口付けが落とす。
『受け入れてくれて私は嬉しいよ』
初めて聴いた彼女の声はハスキーで落ち着きのある美しい声であった。
額に残る熱とゾクゾクと耳から染み入る声に私が顔を上げ彼女のトパーズの様な瞳を見上げると落ち着いた声で
『部屋に行こうか』
と私の肩を抱き彼女は耳元で囁いた。私はすぐにタラップを降り彼女を自室に案内しドアを開けた。しかしドアの向こう側にあったのは見慣れた殺風景で狭い船室の中では無く広く豪華なホテルの一室の様であった。しかも部屋には大きな絨毯が敷かれ大人二人が横になってもかなりの余裕があるベッドに加えて柔らかそうなソファーに奥の扉はシャワールームであろうか?人生で泊まった事のない様な豪華な一室であった。
彼女は私を柔らかいソファーに座らせ自分はその隣に腰掛けた。そして再び翼で私を包み込み口付けを落としてゆく。首筋から額、頬そして唇に鮮やかなルージュを残しお前は私の獲物とでも言いたげに印をつけてゆく。
キスがひと通り済むと彼女はハーピーらしい鉤爪の付いた足でいきなり私を鷲掴みにするとシャワーも着替えも済んでいないのに私をベッドに放り込んだ。
ふわりとこちらに彼女も登ると添い寝の状態となりこちらを極上の羽毛で包み込む。そのおかげで突然の出来事にも関わらず仕事で疲れの溜まった身体にはあっという間に睡魔に襲われて瞼が閉じかかってしまっている。
『元気になったら楽しみましょう』
その彼女の言葉を最後に視界が暗転した。
空想上の生き物と思っていた私は本来の仕事である見張りを疎かにしてじっとこちらを見つめるハーピーを見ていた。カモメの様な白い身体に灰色の翼、切れ長の眼は人間では無いとしてもとても美しく仕事中にも関わらずドキドキとしてしまっている。不安になってきた私は船長や非番の航海士や機関士も呼んでくると目を離したうちにマストの上のハーピーは数を増やしていた。
最初に止まっていたカモメの様な白い身体を持つハーピーの他に青い翼の元気なハーピーが増えている。船長が驚いて様子を伺っているとブリッジのすぐ前の手摺りに青い方が降りて来て船長に笑いかけて来た。
ナイスミドルと呼べる様な貫禄があり優しい船長が笑顔で手を振るとその青いハーピーはそれに笑顔で答え美しい声を響かせて歌い始めた。聞いているだけで心が奪われてしまう様な声に酔いしれ、時間が経つのも忘れて聴き浸る。マストにはさらに数羽?数人?のハーピーが集まり、鏡の様な水面からは鮮やかな色の鱗をもつマーメイドが顔と尾鰭を覗かせている。いつの間にかブリッジには乗組員達が集まり食い入る様に彼女らを見つめ歌声を聴いていた。
そうこうしているうちにこちらに手招きする彼女らに誘われて船長が外に出て見るとそのまま青い彼女は船長を抱き寄せて唇に一つキスを落とすとこちらにも一つウィンクを残して忽然と窓から姿を消してしまった。その様子を見ていた私たちは次々に外に出てはまた一人また一人と彼女達の美しい姿と声に魅了されハーピーに鷲掴みされ姿を消したりましてや海にボートを下ろし数人でマーメイドと戯れていたりとそれぞれが楽しんでいる様であった。
そしてその場に一人取り残された私は最初に見つけて見つめ合っていたマストの上のカモメの様な翼の娘がまだ残っているのを見つけて観察してみる事にした。
よく観察してみると目付きが鋭く見た目も少し違う、カモメではなくウミネコなのだろう。そんな事を考えているうちにふわっと彼女の身体が浮いたと思った時には私の後ろに降りていて彼女の大きな翼で視界が覆われてた。羽毛が鼻に触れると周りに漂う潮風の中に干したての布団の様な優しい香りを漂わせ私は上質な羽毛布団に包まれて大きく息をして彼女の翼に身体を預けていた。
背中に当たる彼女の胸からは柔らかい感触とドキドキと鼓動が伝わり自分と彼女の鼓動のリズムが重なっている様な安らかな気持ちにさせてくれる。時折彼女の吐息が首筋に当たりゾクゾクとしてしまう。
しばらく極上の羽毛布団を堪能していると後ろから抱きつかれている体制から正面から彼女と向き合う形へいつの間にか身体を回されていた。とりあえず優しく微笑む彼女に甘えて大きな翼で抱かれると共に自分でも彼女の背に手を回し羽毛の柔らかさを堪能することにする。
こちらの反応に満足げに微笑んだ彼女は鮮やかな赤のルージュで彩られた唇がこちらに近づけ額に口付けが落とす。
『受け入れてくれて私は嬉しいよ』
初めて聴いた彼女の声はハスキーで落ち着きのある美しい声であった。
額に残る熱とゾクゾクと耳から染み入る声に私が顔を上げ彼女のトパーズの様な瞳を見上げると落ち着いた声で
『部屋に行こうか』
と私の肩を抱き彼女は耳元で囁いた。私はすぐにタラップを降り彼女を自室に案内しドアを開けた。しかしドアの向こう側にあったのは見慣れた殺風景で狭い船室の中では無く広く豪華なホテルの一室の様であった。しかも部屋には大きな絨毯が敷かれ大人二人が横になってもかなりの余裕があるベッドに加えて柔らかそうなソファーに奥の扉はシャワールームであろうか?人生で泊まった事のない様な豪華な一室であった。
彼女は私を柔らかいソファーに座らせ自分はその隣に腰掛けた。そして再び翼で私を包み込み口付けを落としてゆく。首筋から額、頬そして唇に鮮やかなルージュを残しお前は私の獲物とでも言いたげに印をつけてゆく。
キスがひと通り済むと彼女はハーピーらしい鉤爪の付いた足でいきなり私を鷲掴みにするとシャワーも着替えも済んでいないのに私をベッドに放り込んだ。
ふわりとこちらに彼女も登ると添い寝の状態となりこちらを極上の羽毛で包み込む。そのおかげで突然の出来事にも関わらず仕事で疲れの溜まった身体にはあっという間に睡魔に襲われて瞼が閉じかかってしまっている。
『元気になったら楽しみましょう』
その彼女の言葉を最後に視界が暗転した。
24/01/02 23:52更新 / 進藤 進