深海の先
「こんばんわ、坊や」
その女性は、少年がみたどんな人よりも端美しかった。腰のあたりまで伸びた紫陽花色の髪の毛に透き通るような白い肌がよく似合っていた。頭の後ろには光沢のある青紫の帽子をかぶっている。まるで水族館のイカのようだ、と少年は思う。
怪物に襲われ、今にも溺れかけているというのに目の前の女性はなぜこんなにものんきなのか?
「こ、こんにちわ」
その美女はキョトンとすると、にっこりと笑う。その笑顔につられて少年も笑顔になるが、騒ぎで自分の状況を思い出す。
船が巨大な怪物に襲われ、今必死に船の残骸に取り付いていたのだ。
「あ、あの!溺れちゃいますよ!早くこの木の板に」
「その心配はないわ」
言葉の意味をとらえかねていると、女性の後ろから触手が頭をもたげた。
______あの怪物が襲ってきた。
「あ、危ない!」
少年は叫ぶが、女性の背後から襲ってきた触手は他のもに目もくれず少年めがけて飛んできた。叫ぶ暇すら与えられず、たちまち触手に拘束され、海に引きずり込まれる。そして海の中には巨大な以下の怪物が
「……!……っ」
いなかった。目の前にいるのは先ほどの彼女。疑問に思う暇もなく、みっしりと肉の詰まった、何体系の触手に口をふさがれた少年に顔を近づけると、唇から黒い墨のような吐息が少年に襲い掛かる。何が何やらわからぬまま意識を手放すこととなった。
少年の人生は転機の連続だった。幸せだった子供の頃。優しかった両親が亡くなり、親戚にたらい回しされる日々。耐えかねて
家出した後、目が覚めたらいきなり外国へいたこと。そして、おろおろしていると船乗りに拾われて船で働くことになったこと。
自分も船乗りとして生きていくのだろうとぼんやりと想像していたこと。
そして怪物に襲われ、あの美女とであって…
ようやく瞼を開いたとき、光も刺さぬ闇の中にいた。何かに縛られているのか、身動きが取れない。それでも、
「おはよう、よく眠れた?」
先ほどの女性だ。暗闇のなかで、その肌はどんな光よりも眩しく見えた。あったときは気づかなかったが、蛍のような青白い肌で、そんな肌の色は見たことがなかった。
「怖がらせてごめんなさい。私たちクラーケンはおっちょこちょいで、思い込むと周りが目に入らないの」
紫陽花色の瞳には、ぐるぐる巻きに拘束されていた自分の姿が写っていた。
「クラーケン?魔物って何?」
少年の歯に衣が挟まったような口調にクラーケンは首を傾げた。意味が分からないのではなく、ありえないこと続きで頭が混乱して追いつかないようだ。
「貴方、魔物を知らないの?」
おずおずと頷くとクラーケンは目を見開くが、それも一瞬のことだった。
「あなたジパング出身なのかと思ったけど、魔物を知らないというのは変だし…」
やはりここでは自分は異邦人なのだろうか…と考え込むが、先にクラーケンのほうが悩むのをやめたらしい。
「ま、いっか。自己紹介をしましょう」
「私の名はイングリッド。よろしくね。あなたの名前は?」
ニコニコと腕を差し出すが、少年は彼女の触手に簀巻きにされているので握手はできない。
「昴…みんなは、スヴェインって呼んでいるけど」
簀巻きにされた体をゆすりながら答える。彼女は罰の悪そうな顔で、触手をほどいた。
差し出された昴の腕を掴むと一気に抱き寄せる。よく見たら光沢のある黒い服以外は裸そのものだった。しかも彼女の豊かな胸の感触が伝わり、気は恥ずかしさに離れようとする。が、触手が、再びぎゅるぎゅると身体を巻き上げていく。
「んんー!ん、ぶは」
身体の下で、もがくが、だが両手は自由にならず、身体も完全に押さえ込まれていてどうにもならない。
胸で窒息しそうになり呼吸を繰り替えす羽目になった。なのに、彼女は「昴…スヴェイン…いい名前ね」などと手に顔を当てて夢心地だった。
「イングリッドさんはどうして僕をここへ連れてきたの?」
「一目惚れしたからよ」
彼女の顔が紅潮するとともに触手の締め付けが強くなる。弾力はあるが、柔らかくむしろ気持ちいほどだが
体がきつく締められるのがわかる。
「だから、昴」
ぎゅっと身体を昴に密着させる。
「結婚しましょ」
混乱続きだった頭がさらに混乱する羽目になった。
「結婚する前にいろいろすることが…」
昴はそう口ごもる。イングリッドのペースに乗せられ、言葉も萎んでしまう。なにより、彼女のニコニコとした笑顔を見ると強くは言えないのだ。
「うん、だから私に任せなさいな」
昴が二の句を告げぬうちに突然の口づけをする。
「んん__!むぅううう」
肘の上まである長手袋に包まれた長い指が昴の顔を抑え、
舌まで堪能する。唇を離すころには、唾液による淫らな掛け橋ができていた。
濃厚な口づけがなされている間も、触手が、にゅるりとと肉坊に巻きついてきた。根元からやさしくなでるように股間を包んでいく。体だけでなく股間までぐるぐる巻きにされてしまった。
他の触手も、昴の乳首や脇などに這い回っていく。
「だ、ダメ、くすぐっふぁ!」
弾力のある触手の質感に、身をよじってしまう。
触手によるあまりにもいやらしい責めに、動けない昴は観念してただ悶える。
手足の力がだらりと抜けて、触手にされるがままに喘ぎを漏らす。
「貴方はどんなアングルから見てもかわいいのね」
触手に肉体を絡めとられ悶える昴を見て、うっとりと溜息を漏らすイングリッド。
言いながらも、触手で股間をもみしだく。
「そろそろ入れるわね」
自分の秘部を見せるように開くと、ゆっくりと昴のものを先端にあてがう。
「んう!」
ペニスが飲み込まれていく感触に声をあげる
叩き付けられるような音に、淫らな水温が加わる。
「はぐっはう…」
腰を上下させ、秘部をこすり合わせる。ペニスが膣内で、揉まれ、しごき立てられ、いやらしい液で包まれる。
「はん、はん、はん・・・」
今にも射精しそうな感覚に責められ、昴が喘ぐ。
「遠慮せず出していいのよ?」
イングリッドはうるんだ瞳でそう誘惑するが、我慢どころではない。それを知って知らずか、触手をこっそりと尻に近づける。そして、昴をぎゅっと抱きしめた。
「?」
昴が荒い息を吐きながらイングリッドを上目づかいで見つめるが、ただ淫らにほほ笑むのみであった。そして。
ブチュッ
触手を秀行の中に埋めこんだ。
「ああ、があぁああああ!」
大声を上げる昴。時を同じくして、精液がイングリッドの膣に注ぎ込まれた。
互いに呼吸を繰り返す。しばらくして、男女の沈黙を破ったのは女性だった。
「もう一回…ダメ?」
二度目の眠りから覚めた時、優しく微笑んで自分を見下ろすイングリッドの顔があった。
「目が覚めた?」
いつの間にか暗闇から解放され、海の中にいるのがわかった。もはや今となってはなぜ海で息ができるのかということもどうでもよくなってきた。
「ごめんなさい、私せっかちだから…夢中になると周りが見えなくて」
イングリッドは申し訳なさそうに肩をすくめる。頭の帽子?も心なしか垂れ下がっているように見える。
「ねえ、船のみんなは?」
昴の質問にキョトンとするが、慌てて答える。
「みんな無事のはずよ」
昴は頷くと、短く答えた。
「イングリッドさんマイペースだし、少しずれているけど…嫌いじゃないよ」
昴の言葉に、ぱぁっと顔が明るくなる。
「なら、今度シービジョップの前で性交をすれば結婚成立ね」
誰も見ていなくても恥ずかしかったのにあれを人前で…昴の顔が引きつる。それに気づかず、イングリッドは満面の笑みで昴にキスをした。
「これからよろしくね、私の旦那様♥」
その女性は、少年がみたどんな人よりも端美しかった。腰のあたりまで伸びた紫陽花色の髪の毛に透き通るような白い肌がよく似合っていた。頭の後ろには光沢のある青紫の帽子をかぶっている。まるで水族館のイカのようだ、と少年は思う。
怪物に襲われ、今にも溺れかけているというのに目の前の女性はなぜこんなにものんきなのか?
「こ、こんにちわ」
その美女はキョトンとすると、にっこりと笑う。その笑顔につられて少年も笑顔になるが、騒ぎで自分の状況を思い出す。
船が巨大な怪物に襲われ、今必死に船の残骸に取り付いていたのだ。
「あ、あの!溺れちゃいますよ!早くこの木の板に」
「その心配はないわ」
言葉の意味をとらえかねていると、女性の後ろから触手が頭をもたげた。
______あの怪物が襲ってきた。
「あ、危ない!」
少年は叫ぶが、女性の背後から襲ってきた触手は他のもに目もくれず少年めがけて飛んできた。叫ぶ暇すら与えられず、たちまち触手に拘束され、海に引きずり込まれる。そして海の中には巨大な以下の怪物が
「……!……っ」
いなかった。目の前にいるのは先ほどの彼女。疑問に思う暇もなく、みっしりと肉の詰まった、何体系の触手に口をふさがれた少年に顔を近づけると、唇から黒い墨のような吐息が少年に襲い掛かる。何が何やらわからぬまま意識を手放すこととなった。
少年の人生は転機の連続だった。幸せだった子供の頃。優しかった両親が亡くなり、親戚にたらい回しされる日々。耐えかねて
家出した後、目が覚めたらいきなり外国へいたこと。そして、おろおろしていると船乗りに拾われて船で働くことになったこと。
自分も船乗りとして生きていくのだろうとぼんやりと想像していたこと。
そして怪物に襲われ、あの美女とであって…
ようやく瞼を開いたとき、光も刺さぬ闇の中にいた。何かに縛られているのか、身動きが取れない。それでも、
「おはよう、よく眠れた?」
先ほどの女性だ。暗闇のなかで、その肌はどんな光よりも眩しく見えた。あったときは気づかなかったが、蛍のような青白い肌で、そんな肌の色は見たことがなかった。
「怖がらせてごめんなさい。私たちクラーケンはおっちょこちょいで、思い込むと周りが目に入らないの」
紫陽花色の瞳には、ぐるぐる巻きに拘束されていた自分の姿が写っていた。
「クラーケン?魔物って何?」
少年の歯に衣が挟まったような口調にクラーケンは首を傾げた。意味が分からないのではなく、ありえないこと続きで頭が混乱して追いつかないようだ。
「貴方、魔物を知らないの?」
おずおずと頷くとクラーケンは目を見開くが、それも一瞬のことだった。
「あなたジパング出身なのかと思ったけど、魔物を知らないというのは変だし…」
やはりここでは自分は異邦人なのだろうか…と考え込むが、先にクラーケンのほうが悩むのをやめたらしい。
「ま、いっか。自己紹介をしましょう」
「私の名はイングリッド。よろしくね。あなたの名前は?」
ニコニコと腕を差し出すが、少年は彼女の触手に簀巻きにされているので握手はできない。
「昴…みんなは、スヴェインって呼んでいるけど」
簀巻きにされた体をゆすりながら答える。彼女は罰の悪そうな顔で、触手をほどいた。
差し出された昴の腕を掴むと一気に抱き寄せる。よく見たら光沢のある黒い服以外は裸そのものだった。しかも彼女の豊かな胸の感触が伝わり、気は恥ずかしさに離れようとする。が、触手が、再びぎゅるぎゅると身体を巻き上げていく。
「んんー!ん、ぶは」
身体の下で、もがくが、だが両手は自由にならず、身体も完全に押さえ込まれていてどうにもならない。
胸で窒息しそうになり呼吸を繰り替えす羽目になった。なのに、彼女は「昴…スヴェイン…いい名前ね」などと手に顔を当てて夢心地だった。
「イングリッドさんはどうして僕をここへ連れてきたの?」
「一目惚れしたからよ」
彼女の顔が紅潮するとともに触手の締め付けが強くなる。弾力はあるが、柔らかくむしろ気持ちいほどだが
体がきつく締められるのがわかる。
「だから、昴」
ぎゅっと身体を昴に密着させる。
「結婚しましょ」
混乱続きだった頭がさらに混乱する羽目になった。
「結婚する前にいろいろすることが…」
昴はそう口ごもる。イングリッドのペースに乗せられ、言葉も萎んでしまう。なにより、彼女のニコニコとした笑顔を見ると強くは言えないのだ。
「うん、だから私に任せなさいな」
昴が二の句を告げぬうちに突然の口づけをする。
「んん__!むぅううう」
肘の上まである長手袋に包まれた長い指が昴の顔を抑え、
舌まで堪能する。唇を離すころには、唾液による淫らな掛け橋ができていた。
濃厚な口づけがなされている間も、触手が、にゅるりとと肉坊に巻きついてきた。根元からやさしくなでるように股間を包んでいく。体だけでなく股間までぐるぐる巻きにされてしまった。
他の触手も、昴の乳首や脇などに這い回っていく。
「だ、ダメ、くすぐっふぁ!」
弾力のある触手の質感に、身をよじってしまう。
触手によるあまりにもいやらしい責めに、動けない昴は観念してただ悶える。
手足の力がだらりと抜けて、触手にされるがままに喘ぎを漏らす。
「貴方はどんなアングルから見てもかわいいのね」
触手に肉体を絡めとられ悶える昴を見て、うっとりと溜息を漏らすイングリッド。
言いながらも、触手で股間をもみしだく。
「そろそろ入れるわね」
自分の秘部を見せるように開くと、ゆっくりと昴のものを先端にあてがう。
「んう!」
ペニスが飲み込まれていく感触に声をあげる
叩き付けられるような音に、淫らな水温が加わる。
「はぐっはう…」
腰を上下させ、秘部をこすり合わせる。ペニスが膣内で、揉まれ、しごき立てられ、いやらしい液で包まれる。
「はん、はん、はん・・・」
今にも射精しそうな感覚に責められ、昴が喘ぐ。
「遠慮せず出していいのよ?」
イングリッドはうるんだ瞳でそう誘惑するが、我慢どころではない。それを知って知らずか、触手をこっそりと尻に近づける。そして、昴をぎゅっと抱きしめた。
「?」
昴が荒い息を吐きながらイングリッドを上目づかいで見つめるが、ただ淫らにほほ笑むのみであった。そして。
ブチュッ
触手を秀行の中に埋めこんだ。
「ああ、があぁああああ!」
大声を上げる昴。時を同じくして、精液がイングリッドの膣に注ぎ込まれた。
互いに呼吸を繰り返す。しばらくして、男女の沈黙を破ったのは女性だった。
「もう一回…ダメ?」
二度目の眠りから覚めた時、優しく微笑んで自分を見下ろすイングリッドの顔があった。
「目が覚めた?」
いつの間にか暗闇から解放され、海の中にいるのがわかった。もはや今となってはなぜ海で息ができるのかということもどうでもよくなってきた。
「ごめんなさい、私せっかちだから…夢中になると周りが見えなくて」
イングリッドは申し訳なさそうに肩をすくめる。頭の帽子?も心なしか垂れ下がっているように見える。
「ねえ、船のみんなは?」
昴の質問にキョトンとするが、慌てて答える。
「みんな無事のはずよ」
昴は頷くと、短く答えた。
「イングリッドさんマイペースだし、少しずれているけど…嫌いじゃないよ」
昴の言葉に、ぱぁっと顔が明るくなる。
「なら、今度シービジョップの前で性交をすれば結婚成立ね」
誰も見ていなくても恥ずかしかったのにあれを人前で…昴の顔が引きつる。それに気づかず、イングリッドは満面の笑みで昴にキスをした。
「これからよろしくね、私の旦那様♥」
13/05/23 22:58更新 / 武蔵