Chapter3.5 真紅の凶刃・中編
「ふぅ...それじゃあ"世直し"に行こうか」
この村には村正が必要だ
心の中で決意を固め、道端でまぐわう二人に背を向けて歩きだす
真久の家
「お邪魔してまーす」
「「ええっ！？」」
桜をいじめている主犯の一人、真久の家に堂々と彼女は忍び込んでいた
誰にも気配を悟られることも無くいきなり居間に現れる
「いきなり子供が現れたぞ！？なんなんだアあァ！？」
「この娘っ、もしかして真久の同級生の...一体どうやってここに...」
いきなり居間に人間が現れる
それも異様すぎる雰囲気を纏った息子の同級生の少女
真久の両親は動揺を隠せるはずもなく
すっかり青ざめて体を寄せ合って怯えていた
桜は自分では敵うはずの無かった大人をも屈服させ、心地よい優越感に浸り、
確信した、この刀の力は本物であると
「ちょっと屋根裏にですね...ってそんなことどうでもいいか
真久くん、ご在宅ですよね？それに凉灯ちゃんも」
「なっ！？息子に何をするつもりなんだお前！警官に...」
「アナタっ、この娘刀を持ってるわっ！真久っ！にげ...」
段々と二人に対して気だるそうにしていた桜が我慢できずに口を開く
「あーもう五月蝿いなぁ、答える気もないし
じゃあお二人から斬ることにしますね、一足先にさようなら♥」
音を立てずにいつの間にか抜刀を済ませ、二人の眼前には真っ赤な業物が光る
年端もいかないボロを着た少女、しかし今まで見てきたどの村の剣客より
遥かに大きく見える気がした
「「ひいいっ！！」」
戦場、喧嘩など無縁の二人の夫婦はこのホンモノの殺気に耐えられるはずもなく
情けない悲鳴をあげることしか出来ることはない
「はぁ...魔剣も居合も必要なさそ...こんなオトナたちに怯えて従ってたなんてね、ムラマサ」
桜は刀に宿るもう一人の自分に語りかける
――そして
ザシュ
心底呆れた表情で軽く刀を横に薙ぐと夫婦の人間としての人生はあっさりと終わりを迎えた
真久の部屋
「ギャー！お前それ反則って言ったじゃん！」
「はっはーｗ勝負事に反則卑怯は褒め言葉じゃーｗｗｗ」
真久と凉灯は居間で桜が彼の両親を切り伏せたことも知らず
呑気に遊んでいた
二人でせせらぎの村行きの汽車に親達に内緒で乗り
貯めた小遣いでお祭りの出し物の携帯ゲームを買ったのだ
田舎じゃとても買えないもので二人はすぐに熱中し、対戦を続けるため凉灯はお泊りだ
「やーやー二人共ー！楽しそうだねぇ」
「なっ！？」「きゃ！」
シュキィンッ... ザスザスッ！
真後ろでいきなり大声を出した人物を確認するため反射的に二人は振り返る
しかし桜は二人の喉を悲鳴を発する前に一瞬で切り裂いた
「がっ...」「か...は...」
「魔剣・赫鶯」キンッ
ブシャアアァ！
「「！？！？！？」」
納刀と同時に喉から赤い精が噴水のように噴き出した
二人は勢い良く吹き出す血など見たことがないがこれは自分たちが斬られた喉から漏れているものだと、自分は死んでしまうんだと思わずにはいられない
人生、十と数年。金持ちの家に生まれた二人は幸せに生きてきた
桜を虐げ、好きな物を買ってもらい、好きな異性と仲良く遊ぶ
順風満帆、何不自由のない少年時代だった、きっとこれからも幸せに
そう思っていた
「「かひゅぅ...かひゅぅ...！」」
しかし、今夜
二人はかつてない絶望の表情で涙を流し、雨に濡れた捨て犬のような渦中にある
懸命に助けを乞い、叫ぶが声が出ない
力も抜けて立つことも出来ない
ヒュウヒュウと隙間風のような音が出るだけ、二人は目をあわせお互い同じ状況にあることに、この状況に救いの無いことを理解するとまた涙が溢れた
なぜか斬られたはずの喉の傷は塞がっていて血も出ない、死にもしない
しかし空気を吐き出すような声しか出ない、あんな刀で斬られて...声も...
二人はもうわけが分からない、分かることは３つ
桜がこれをやったこと
桜がこれから二人に対して復讐をすること
そして彼女をいじめた自分たちの救いようのない愚かしさ
もぞもぞ、かひゅぅ！！かひゅうぅぅ！
「くすくす...♥」
打って変わって二人を斬った桜はご満悦の表情
二人がもがく姿を見てサディスティックに嗤う
「真久くぅ〜ん、また私の着物をバカにしないの？
凉灯ちゃぁ〜ん、またいつもみたいにケラケラしないの？」
二人はやはりいじめの復讐なのだと再認識
幼いながらも己の行動に後悔と懺悔を込めて二人は必死で頭を下げた
何度も畳に頭をこすり付け「ごめんなさい、私が悪かったです」と
空気が抜けるような声しか出ないにも関わらず二人は叫んだ
その様はまるで懸命に鳴く鶯（うぐいす）のようだった
もっともその美しい鳴き声は聞こえないが
桜には雅で美しい鶯の鳴き声に聴こえているのだ
「アッハッハッハッハ！！！あ、あんなに私をイジメてたふたりが...
ぷぷっ...アハハハハハッ！なんて惨めに土下座してるんだろうねぇ！」
そう、まるであの日の父と私が医者に土下座したような...
「はぁ...もういいや、これ以上やったらアタシも"同類"だ
もうほかの人をいじめちゃダメだよ？」
「「！」」
地獄に垂らされた蜘蛛の糸を登りきった気分だった
二人は慈悲深い彼女により免罪されたのだ
ぐすっ...コクンコクン
二人は安堵の涙を流しながら伸び切ったバネのように頷きを繰り返す
（ごめんなさい桜ちゃん、もう絶対に、二度とイジメなんかしません
ああ...どうか僕達を...）
「よかったっ♪じゃあ二人共私がぶった斬ってあげるね♪」
（...は？）
唐突すぎる死刑宣告
想定外すぎて一瞬脳の機能が全て遮断された気さえもした
改めて彼女の言葉が脳内で反響する、二人共斬ると
シュッという音が聞こえると同時に二人は気を失った
今度は泣く暇も与えてくれなかったらしい
「これでもうあなた達はイジメなんかしなくて済むんだよ♥」
夜の公園
２人の若者が外での逢引に勤しんでいた
ベンチの上で正常位を楽しんでいる真っ最中だ
「はあっ！はあっ！凛っ」「あんっ♥あはっ♥秀くぅん♥」
快楽を感じ射精に耐える秀、甘い声を上げとろんとした表情の凛がいた
なんと二人はこの年齢でセックスを楽しんでいたのだ
しかし、愛し合う二人を止める障害はない
はずだったのだが
「わぁ♪二人共この年でもうセックスなんて、しかもゴムもしてないねぇ
いやー関心関心♪」
「桜！？なんでお前がここに！」「ふえっ？きゃあっ！」
二人の甘い一時をニヤニヤとした表情で見物する自分たちのイジメの標的がいた
赤く光る瞳に刀を携えて
「秀くぅん...こ、怖いよぉ...」
「おいッ！凛の裸を見るなよ！それとはやくどこかに行けよッ！またいじめられたいのか！」
裸の彼女を守ろうと秀が隠すように覆いかぶさる
どうやら二人は本当に愛し合っている気でいるらしい
「もちろん邪魔するつもりなんてないよ？
それに私の魔剣は"既に"二人を斬っているから...♥」
「おい！お前いい加減に...あうっ！あ、あれ？」「ひゃうぅ...ふあぁ♥」
「ふふっ♥」
二人は体の違和感に気づく、自分の思い通りに体が動かない
困惑する二人を見て桜は不敵な笑みを浮かべた
「ぐっ！腰がとまらないぃ！」「あうぅ...私も...と、止まらないよぉ！」
「あれあれ？人前だから興奮しちゃったぁ？♥」
「くそおっ！桜、お前のしわ...うっ、気持ちいい...」「んああっ！き、気持ちいけど秀くん、ゴム付けてないよぉ！」
「分かってる！でも...全然」「なんでぇ！？なんでセックスやめれないのぉ！？」
二人は快楽と妊娠の恐怖に板挟みにされ混乱している
これは若気の至り。生のほうが二人共キモチイイ、外に出せば大丈夫と考えてコンドームを付けなかった
まさか体の自由が効かない不可解な状況も起きるはずは万が一にもないだろう、皆そう高を括る
しかしその万が一が今、二人に起こっていた。自分たちのイジメの標的の手によって
「なんで避妊なんかするんだろうねぇ、二人で愛し合って子供を作るなんて当然だし
パパとママになって子育てをすることって私はとても幸せだと思うよ、大人はバカだと思うなぁ」
「何いってるんだよ！子育てにどれだけのお金と時間が！それに俺達はまだ学生なんだぞ！」
「ふあああぁぁん♥しゅ...秀くん私初潮も来てるし...ほんとに...ヤバ...あんっ♥」
「だから私が金も時間も気にしないようにしてあげるって、安心してザーメンぶちまけなよ
それが本当に嫌ならちんぽ萎えさせな、そうしたら抜けるから♪」
もう桜は普通の価値観ではない、会話も成立せず二人はなんとか中断を試みるものの効果がない
ガッシリと抱き合い、凛は確実な着床のため腰に足を回し、より正常位のセックスは激しさを増していく
「うああっ！だ、駄目だ...出るぅっ！...イクうッ！」「りゃめぇぇ♥なのにいいぃ♥私もイっちゃううぅ♥」
どぴゅ♥
「あ゛っ！はああぁぁぁぁっ」ビクッ
「んあああっ♥はううぅぅぅぅんっ♥」
ついに避妊をしていない危険日に思い切り中出し
必死に我慢したためか、皮肉にもいつもより大量に射精してしまう
この天にも昇るような快楽、ふたりは妊娠の危険や桜を忘れて二人きりの世界に浸たる
恍惚の表情で秀は射精、凛は絶頂し二人はブルルッと短く痙攣した
「ハアッ...ハアッ...お前、よくも...」「ぐすっ...もしできちゃったらどうするの！」
「なんというか予想通りの展開だねぇ、もう前の二人でお腹いっぱいかな
それにもう二人共最初からラブラブだしこんなもんでいいでしょ」
冷静を取り戻し、やっと体の自由が戻る二人
こんな思いをしたと言うのに当の桜はどうでも良さげだ
「まぁいつものグループでまた仲良くね？もうイジメはだめだよ
それじゃあ私もムラムラしてきて"彼"に会いたくなっちゃったからさ」
何か急いでいるようにさっさと桜は抜刀する
腰にあるものは真剣だったと分かるや否や二人は素っ裸のまま後ずさる
「ひぃぃぃっ！？私達をこ、殺す気なのっ？！」
凛はいつものおっとりした喋り方を忘れたように絶叫する
ガキ大将の秀はなんとか悲鳴を押し殺していた
「っ！オイっ！いくらいじめられたからってそりゃあ不味いだろ！
ほ、ほんとに斬る気かよ！？だったら俺も...！」
チャキンとベンチに掛けてある服からナイフを取り出す
護身用のものらしいが桜の日本刀には分が悪すぎる、しかし秀には勝算がある
相手はいつもいじめに抵抗しない子供の女、素早く動いて力でおｓ...
「へぇ、結構ガッツあるんだねぇ怯えて逃げるのかとおもってた」
「秀くぅぅぅん？！わ、私達の足がああああぁぁ！」「あ、れ、たて。ね...」
最後の最後、振り絞った勇気も虚しく地面に突っ伏す
彼は足を斬られたのか？でも斬られた様子なんて...
「ふっふ〜すごいでしょ？二人がお楽しみの最中に両足の太腿から
踵までを一直線に筋肉だけを切断したの♪それに二人の腰に魔力を込めた居合を一太刀ね」
「これぞ魔剣・赫秧鶏！私にしか出来ないんだよ〜♪」
無邪気な狂気
秀は不安と恐怖に心臓が一気にバクバクと高鳴る
腰を斬った？筋肉を切断？理屈はよく分からないが本当に下半身が動かない
まさか俺は一生このまま下半身が不随のまま...
「「うわああああぁぁぁ！！！」」
今まで胸に押さえ込んでいた恐怖心が決壊し、ついに彼は正気を失い始める
これまでの強気だった姿勢はどこに消えたのか、かつて自分たちが見下ろしていた者に
逆に見下される、連鎖するように凛も正気を失って秀に倒れ掛かる
「それじゃあ後は４人で楽しんでってね、まぁ他の人が来てもその体なら大丈夫だからさ」
「すまないなぁ桜」「ありがとね〜ｗ桜ちゃんｗ」
「「！？」」
秀達の眼の前に慣れ親しんだ友たちが立っていた
間違いない、真久と凉灯。いつものグループの仲間だ、しかし様子がおかしい
二人共異様なまでに桜に親しげではないか、ありがとうなんて名前で呼びながら
今までの二人ではまずありえない言動、だが俺達の一番の親友だ。
助けを乞う
「マクッ！スズヒッ！助けてくれぇ！こ、こいつが刀で俺達を...」
んくぅ...ちゅぱぁ♥れるっ♥
「いやいや秀くんｗこれから助かるんだよ？ｗちゅるうぅ♥」「すずひぃ...もっと...」
親友が殺されかけている俺達の前で濃厚なキスを始める
二人はとても心地よさげ、俺と凛は呆然と見ているだけで何も言葉が出ない
それをすこし離れた所から桜が笑いながら傍観していた
「誰かを虐げて手にする一時の優越感なんて虚しいだけ、そんなの救われないっしょ？
だけど桜は教えてくれた、誰かに優しくなれて、永遠の快楽を得る方法をね...んちゅぅ♥」
やはり桜が二人を狂わせたのか？
一体どうやって、どんな方法で...
「それはぁ...愛する人との永遠の交わり♥愛する人の苦しみを知って、優しくなれれば
他の人にだって優しくなれるでしょ？いじめとは無縁の場所に存在できるからさ♥」
「それを実行する"カラダ"も桜は授けてくれた...♥
いじめっ子の私達にもね、桜はその優しさを知っている人なんだよ、だから...」
「二人も、安心して、こっちの世界に、来ようね...♥」
ばりばりっ！ぎぎぎっ！
凉灯の甘い誘惑、どう考えても狂っている状況なのにどこか安心してしまう
そして何かを裂く音と共に彼女の背中からは蝙蝠のような羽が生え、頭には動物の角のようなものが生えた
秀も凛もよく知っている、二人は、いやコイツラは
魔物だ
「ば、ばけもののぉぉ！」「な、なんでふたりがあぁっ？！」
「あああぁっ！すずひぃっ！もう我慢できないっ！
空っぽになるまで中に出させてくれぇ！！！！」
「もうっｗがっつかなくてもおまんこは逃げないって〜ｗ
だから...落ち着いて挿れて？そのあとはずっと失神するまでシよ♥」
ずぶん、と後背位で挿入すると二人は腰を振り続る
喘ぎ声というよりは唸り声をあげてライオンのような交尾に熱中していった
「ははっｗｗこんなの夢に決まってるｗｗｗ二人が魔物になってセックスするなんてｗｗｗ」
「だよねぇ秀くんｗｗｗもーどうでもいいやｗｗｗｗどうせ夢だしラブラブセックスできもちよくなろ♪」
「あらら...」
あまりにも現実離れした、この世のものとは思えない光景に二人の脳は理解を拒否した
そして
「ああぁんぅ♥あんっ♥騎乗位でハメるの気持ちいいよぉぉ♥」
「あぁぁ〜これ絶対夢精するなぁ...気持ちよすぎるっ」
４人の子供たちが公園で一斉にセックスを始めた
その様は遊郭よりも爛れた獣のような交わり、オスとメスの匂いが公園にこびり付く
その騎乗位は水辺に漂い優雅に腰を下ろす秧鶏（くいな）の如し美しさであった
「ぐっ...凛！中出しイくぞ...！」「でるのぉ...？いいよぉ♥思い切り奥にちょーらぁい♥」
ドビュルル！
「あ゛ー気持ちいい...」「んにゃぁぁぁぁあ...暖かぁい♥」
ばりばりばりぃ！
「おいおい、凛、お前も魔物になってるじゃんｗ」「はえ？あ〜本当だぁ〜でもどうせ夢だしぃ」
「おウっ？！めっちゃまんこ締まるっ！」「はぁぁぁん♥ザーメンの味が膣でわかっちゃうぅ〜♥」
「萎えもしないし起きるまでとことんヤるからなー！」「こんな気持ちいい夢、はじめてぇ♥」
秀と凛はいじめなど無縁の夢の世界の住人となった
ただし永遠に覚めることのない夢だが
「くすっ♪もう自分から喜んで魔物になってるし心配する必要もないねぇ♥
私もやっと彼に逢いにいける...♥」
"友達"が幸せそうに生まれ変わるのを見て桜はまた歩き始める
真田家に向かって
この村には村正が必要だ
心の中で決意を固め、道端でまぐわう二人に背を向けて歩きだす
真久の家
「お邪魔してまーす」
「「ええっ！？」」
桜をいじめている主犯の一人、真久の家に堂々と彼女は忍び込んでいた
誰にも気配を悟られることも無くいきなり居間に現れる
「いきなり子供が現れたぞ！？なんなんだアあァ！？」
「この娘っ、もしかして真久の同級生の...一体どうやってここに...」
いきなり居間に人間が現れる
それも異様すぎる雰囲気を纏った息子の同級生の少女
真久の両親は動揺を隠せるはずもなく
すっかり青ざめて体を寄せ合って怯えていた
桜は自分では敵うはずの無かった大人をも屈服させ、心地よい優越感に浸り、
確信した、この刀の力は本物であると
「ちょっと屋根裏にですね...ってそんなことどうでもいいか
真久くん、ご在宅ですよね？それに凉灯ちゃんも」
「なっ！？息子に何をするつもりなんだお前！警官に...」
「アナタっ、この娘刀を持ってるわっ！真久っ！にげ...」
段々と二人に対して気だるそうにしていた桜が我慢できずに口を開く
「あーもう五月蝿いなぁ、答える気もないし
じゃあお二人から斬ることにしますね、一足先にさようなら♥」
音を立てずにいつの間にか抜刀を済ませ、二人の眼前には真っ赤な業物が光る
年端もいかないボロを着た少女、しかし今まで見てきたどの村の剣客より
遥かに大きく見える気がした
「「ひいいっ！！」」
戦場、喧嘩など無縁の二人の夫婦はこのホンモノの殺気に耐えられるはずもなく
情けない悲鳴をあげることしか出来ることはない
「はぁ...魔剣も居合も必要なさそ...こんなオトナたちに怯えて従ってたなんてね、ムラマサ」
桜は刀に宿るもう一人の自分に語りかける
――そして
ザシュ
心底呆れた表情で軽く刀を横に薙ぐと夫婦の人間としての人生はあっさりと終わりを迎えた
真久の部屋
「ギャー！お前それ反則って言ったじゃん！」
「はっはーｗ勝負事に反則卑怯は褒め言葉じゃーｗｗｗ」
真久と凉灯は居間で桜が彼の両親を切り伏せたことも知らず
呑気に遊んでいた
二人でせせらぎの村行きの汽車に親達に内緒で乗り
貯めた小遣いでお祭りの出し物の携帯ゲームを買ったのだ
田舎じゃとても買えないもので二人はすぐに熱中し、対戦を続けるため凉灯はお泊りだ
「やーやー二人共ー！楽しそうだねぇ」
「なっ！？」「きゃ！」
シュキィンッ... ザスザスッ！
真後ろでいきなり大声を出した人物を確認するため反射的に二人は振り返る
しかし桜は二人の喉を悲鳴を発する前に一瞬で切り裂いた
「がっ...」「か...は...」
「魔剣・赫鶯」キンッ
ブシャアアァ！
「「！？！？！？」」
納刀と同時に喉から赤い精が噴水のように噴き出した
二人は勢い良く吹き出す血など見たことがないがこれは自分たちが斬られた喉から漏れているものだと、自分は死んでしまうんだと思わずにはいられない
人生、十と数年。金持ちの家に生まれた二人は幸せに生きてきた
桜を虐げ、好きな物を買ってもらい、好きな異性と仲良く遊ぶ
順風満帆、何不自由のない少年時代だった、きっとこれからも幸せに
そう思っていた
「「かひゅぅ...かひゅぅ...！」」
しかし、今夜
二人はかつてない絶望の表情で涙を流し、雨に濡れた捨て犬のような渦中にある
懸命に助けを乞い、叫ぶが声が出ない
力も抜けて立つことも出来ない
ヒュウヒュウと隙間風のような音が出るだけ、二人は目をあわせお互い同じ状況にあることに、この状況に救いの無いことを理解するとまた涙が溢れた
なぜか斬られたはずの喉の傷は塞がっていて血も出ない、死にもしない
しかし空気を吐き出すような声しか出ない、あんな刀で斬られて...声も...
二人はもうわけが分からない、分かることは３つ
桜がこれをやったこと
桜がこれから二人に対して復讐をすること
そして彼女をいじめた自分たちの救いようのない愚かしさ
もぞもぞ、かひゅぅ！！かひゅうぅぅ！
「くすくす...♥」
打って変わって二人を斬った桜はご満悦の表情
二人がもがく姿を見てサディスティックに嗤う
「真久くぅ〜ん、また私の着物をバカにしないの？
凉灯ちゃぁ〜ん、またいつもみたいにケラケラしないの？」
二人はやはりいじめの復讐なのだと再認識
幼いながらも己の行動に後悔と懺悔を込めて二人は必死で頭を下げた
何度も畳に頭をこすり付け「ごめんなさい、私が悪かったです」と
空気が抜けるような声しか出ないにも関わらず二人は叫んだ
その様はまるで懸命に鳴く鶯（うぐいす）のようだった
もっともその美しい鳴き声は聞こえないが
桜には雅で美しい鶯の鳴き声に聴こえているのだ
「アッハッハッハッハ！！！あ、あんなに私をイジメてたふたりが...
ぷぷっ...アハハハハハッ！なんて惨めに土下座してるんだろうねぇ！」
そう、まるであの日の父と私が医者に土下座したような...
「はぁ...もういいや、これ以上やったらアタシも"同類"だ
もうほかの人をいじめちゃダメだよ？」
「「！」」
地獄に垂らされた蜘蛛の糸を登りきった気分だった
二人は慈悲深い彼女により免罪されたのだ
ぐすっ...コクンコクン
二人は安堵の涙を流しながら伸び切ったバネのように頷きを繰り返す
（ごめんなさい桜ちゃん、もう絶対に、二度とイジメなんかしません
ああ...どうか僕達を...）
「よかったっ♪じゃあ二人共私がぶった斬ってあげるね♪」
（...は？）
唐突すぎる死刑宣告
想定外すぎて一瞬脳の機能が全て遮断された気さえもした
改めて彼女の言葉が脳内で反響する、二人共斬ると
シュッという音が聞こえると同時に二人は気を失った
今度は泣く暇も与えてくれなかったらしい
「これでもうあなた達はイジメなんかしなくて済むんだよ♥」
夜の公園
２人の若者が外での逢引に勤しんでいた
ベンチの上で正常位を楽しんでいる真っ最中だ
「はあっ！はあっ！凛っ」「あんっ♥あはっ♥秀くぅん♥」
快楽を感じ射精に耐える秀、甘い声を上げとろんとした表情の凛がいた
なんと二人はこの年齢でセックスを楽しんでいたのだ
しかし、愛し合う二人を止める障害はない
はずだったのだが
「わぁ♪二人共この年でもうセックスなんて、しかもゴムもしてないねぇ
いやー関心関心♪」
「桜！？なんでお前がここに！」「ふえっ？きゃあっ！」
二人の甘い一時をニヤニヤとした表情で見物する自分たちのイジメの標的がいた
赤く光る瞳に刀を携えて
「秀くぅん...こ、怖いよぉ...」
「おいッ！凛の裸を見るなよ！それとはやくどこかに行けよッ！またいじめられたいのか！」
裸の彼女を守ろうと秀が隠すように覆いかぶさる
どうやら二人は本当に愛し合っている気でいるらしい
「もちろん邪魔するつもりなんてないよ？
それに私の魔剣は"既に"二人を斬っているから...♥」
「おい！お前いい加減に...あうっ！あ、あれ？」「ひゃうぅ...ふあぁ♥」
「ふふっ♥」
二人は体の違和感に気づく、自分の思い通りに体が動かない
困惑する二人を見て桜は不敵な笑みを浮かべた
「ぐっ！腰がとまらないぃ！」「あうぅ...私も...と、止まらないよぉ！」
「あれあれ？人前だから興奮しちゃったぁ？♥」
「くそおっ！桜、お前のしわ...うっ、気持ちいい...」「んああっ！き、気持ちいけど秀くん、ゴム付けてないよぉ！」
「分かってる！でも...全然」「なんでぇ！？なんでセックスやめれないのぉ！？」
二人は快楽と妊娠の恐怖に板挟みにされ混乱している
これは若気の至り。生のほうが二人共キモチイイ、外に出せば大丈夫と考えてコンドームを付けなかった
まさか体の自由が効かない不可解な状況も起きるはずは万が一にもないだろう、皆そう高を括る
しかしその万が一が今、二人に起こっていた。自分たちのイジメの標的の手によって
「なんで避妊なんかするんだろうねぇ、二人で愛し合って子供を作るなんて当然だし
パパとママになって子育てをすることって私はとても幸せだと思うよ、大人はバカだと思うなぁ」
「何いってるんだよ！子育てにどれだけのお金と時間が！それに俺達はまだ学生なんだぞ！」
「ふあああぁぁん♥しゅ...秀くん私初潮も来てるし...ほんとに...ヤバ...あんっ♥」
「だから私が金も時間も気にしないようにしてあげるって、安心してザーメンぶちまけなよ
それが本当に嫌ならちんぽ萎えさせな、そうしたら抜けるから♪」
もう桜は普通の価値観ではない、会話も成立せず二人はなんとか中断を試みるものの効果がない
ガッシリと抱き合い、凛は確実な着床のため腰に足を回し、より正常位のセックスは激しさを増していく
「うああっ！だ、駄目だ...出るぅっ！...イクうッ！」「りゃめぇぇ♥なのにいいぃ♥私もイっちゃううぅ♥」
どぴゅ♥
「あ゛っ！はああぁぁぁぁっ」ビクッ
「んあああっ♥はううぅぅぅぅんっ♥」
ついに避妊をしていない危険日に思い切り中出し
必死に我慢したためか、皮肉にもいつもより大量に射精してしまう
この天にも昇るような快楽、ふたりは妊娠の危険や桜を忘れて二人きりの世界に浸たる
恍惚の表情で秀は射精、凛は絶頂し二人はブルルッと短く痙攣した
「ハアッ...ハアッ...お前、よくも...」「ぐすっ...もしできちゃったらどうするの！」
「なんというか予想通りの展開だねぇ、もう前の二人でお腹いっぱいかな
それにもう二人共最初からラブラブだしこんなもんでいいでしょ」
冷静を取り戻し、やっと体の自由が戻る二人
こんな思いをしたと言うのに当の桜はどうでも良さげだ
「まぁいつものグループでまた仲良くね？もうイジメはだめだよ
それじゃあ私もムラムラしてきて"彼"に会いたくなっちゃったからさ」
何か急いでいるようにさっさと桜は抜刀する
腰にあるものは真剣だったと分かるや否や二人は素っ裸のまま後ずさる
「ひぃぃぃっ！？私達をこ、殺す気なのっ？！」
凛はいつものおっとりした喋り方を忘れたように絶叫する
ガキ大将の秀はなんとか悲鳴を押し殺していた
「っ！オイっ！いくらいじめられたからってそりゃあ不味いだろ！
ほ、ほんとに斬る気かよ！？だったら俺も...！」
チャキンとベンチに掛けてある服からナイフを取り出す
護身用のものらしいが桜の日本刀には分が悪すぎる、しかし秀には勝算がある
相手はいつもいじめに抵抗しない子供の女、素早く動いて力でおｓ...
「へぇ、結構ガッツあるんだねぇ怯えて逃げるのかとおもってた」
「秀くぅぅぅん？！わ、私達の足がああああぁぁ！」「あ、れ、たて。ね...」
最後の最後、振り絞った勇気も虚しく地面に突っ伏す
彼は足を斬られたのか？でも斬られた様子なんて...
「ふっふ〜すごいでしょ？二人がお楽しみの最中に両足の太腿から
踵までを一直線に筋肉だけを切断したの♪それに二人の腰に魔力を込めた居合を一太刀ね」
「これぞ魔剣・赫秧鶏！私にしか出来ないんだよ〜♪」
無邪気な狂気
秀は不安と恐怖に心臓が一気にバクバクと高鳴る
腰を斬った？筋肉を切断？理屈はよく分からないが本当に下半身が動かない
まさか俺は一生このまま下半身が不随のまま...
「「うわああああぁぁぁ！！！」」
今まで胸に押さえ込んでいた恐怖心が決壊し、ついに彼は正気を失い始める
これまでの強気だった姿勢はどこに消えたのか、かつて自分たちが見下ろしていた者に
逆に見下される、連鎖するように凛も正気を失って秀に倒れ掛かる
「それじゃあ後は４人で楽しんでってね、まぁ他の人が来てもその体なら大丈夫だからさ」
「すまないなぁ桜」「ありがとね〜ｗ桜ちゃんｗ」
「「！？」」
秀達の眼の前に慣れ親しんだ友たちが立っていた
間違いない、真久と凉灯。いつものグループの仲間だ、しかし様子がおかしい
二人共異様なまでに桜に親しげではないか、ありがとうなんて名前で呼びながら
今までの二人ではまずありえない言動、だが俺達の一番の親友だ。
助けを乞う
「マクッ！スズヒッ！助けてくれぇ！こ、こいつが刀で俺達を...」
んくぅ...ちゅぱぁ♥れるっ♥
「いやいや秀くんｗこれから助かるんだよ？ｗちゅるうぅ♥」「すずひぃ...もっと...」
親友が殺されかけている俺達の前で濃厚なキスを始める
二人はとても心地よさげ、俺と凛は呆然と見ているだけで何も言葉が出ない
それをすこし離れた所から桜が笑いながら傍観していた
「誰かを虐げて手にする一時の優越感なんて虚しいだけ、そんなの救われないっしょ？
だけど桜は教えてくれた、誰かに優しくなれて、永遠の快楽を得る方法をね...んちゅぅ♥」
やはり桜が二人を狂わせたのか？
一体どうやって、どんな方法で...
「それはぁ...愛する人との永遠の交わり♥愛する人の苦しみを知って、優しくなれれば
他の人にだって優しくなれるでしょ？いじめとは無縁の場所に存在できるからさ♥」
「それを実行する"カラダ"も桜は授けてくれた...♥
いじめっ子の私達にもね、桜はその優しさを知っている人なんだよ、だから...」
「二人も、安心して、こっちの世界に、来ようね...♥」
ばりばりっ！ぎぎぎっ！
凉灯の甘い誘惑、どう考えても狂っている状況なのにどこか安心してしまう
そして何かを裂く音と共に彼女の背中からは蝙蝠のような羽が生え、頭には動物の角のようなものが生えた
秀も凛もよく知っている、二人は、いやコイツラは
魔物だ
「ば、ばけもののぉぉ！」「な、なんでふたりがあぁっ？！」
「あああぁっ！すずひぃっ！もう我慢できないっ！
空っぽになるまで中に出させてくれぇ！！！！」
「もうっｗがっつかなくてもおまんこは逃げないって〜ｗ
だから...落ち着いて挿れて？そのあとはずっと失神するまでシよ♥」
ずぶん、と後背位で挿入すると二人は腰を振り続る
喘ぎ声というよりは唸り声をあげてライオンのような交尾に熱中していった
「ははっｗｗこんなの夢に決まってるｗｗｗ二人が魔物になってセックスするなんてｗｗｗ」
「だよねぇ秀くんｗｗｗもーどうでもいいやｗｗｗｗどうせ夢だしラブラブセックスできもちよくなろ♪」
「あらら...」
あまりにも現実離れした、この世のものとは思えない光景に二人の脳は理解を拒否した
そして
「ああぁんぅ♥あんっ♥騎乗位でハメるの気持ちいいよぉぉ♥」
「あぁぁ〜これ絶対夢精するなぁ...気持ちよすぎるっ」
４人の子供たちが公園で一斉にセックスを始めた
その様は遊郭よりも爛れた獣のような交わり、オスとメスの匂いが公園にこびり付く
その騎乗位は水辺に漂い優雅に腰を下ろす秧鶏（くいな）の如し美しさであった
「ぐっ...凛！中出しイくぞ...！」「でるのぉ...？いいよぉ♥思い切り奥にちょーらぁい♥」
ドビュルル！
「あ゛ー気持ちいい...」「んにゃぁぁぁぁあ...暖かぁい♥」
ばりばりばりぃ！
「おいおい、凛、お前も魔物になってるじゃんｗ」「はえ？あ〜本当だぁ〜でもどうせ夢だしぃ」
「おウっ？！めっちゃまんこ締まるっ！」「はぁぁぁん♥ザーメンの味が膣でわかっちゃうぅ〜♥」
「萎えもしないし起きるまでとことんヤるからなー！」「こんな気持ちいい夢、はじめてぇ♥」
秀と凛はいじめなど無縁の夢の世界の住人となった
ただし永遠に覚めることのない夢だが
「くすっ♪もう自分から喜んで魔物になってるし心配する必要もないねぇ♥
私もやっと彼に逢いにいける...♥」
"友達"が幸せそうに生まれ変わるのを見て桜はまた歩き始める
真田家に向かって
16/09/26 06:40更新 / もけもけ
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