粘着疾患
両想いというのは、素晴らしい愛の形だけれど。
どちらかが欠けるだけで、ハートは醜く歪んでしまう。
―ドンドンドンドンドンッ!
大きな音と共に、激しく揺れる玄関の扉。
地震ではない。あの薄い板の向こうに、戸を叩いている人物がいる。
彼女が来たのだ。僕の家に上がり込もうと、また今日も…。
―ガチャガチャガチャガチャ…。
狂ったように回転するドアノブ。
しかし、いくら回そうと扉が開くことはない。
鍵を掛けているからだ。押そうが引こうが、びくともしない。
「ダーリン、ねぇ、ダーリンッ! 開けて! 開けてよぉっ!」
…聞こえただろうか。今のが彼女の声だ。
断っておくが、僕は彼女の恋人でもなんでもない。
1ヶ月ほど前に初めて出会った、知人程度の関係だ。
しかし、彼女は僕のことを『ダーリン』などと呼んでくる。
ご覧の通り、立派なストーカーである。重度のストーカー。
僕の中のイメージでは、ストーカーというのは男性がなるもので、
想い人の後をひっそりと尾けたりするような存在だと思っていた。
しかし、彼女のストーキングは非常にアクティブである。
ああやって毎日家の前まで来ては、親の仇のようにドアを虐める。
そして、何度も僕を呼ぶのだ。家に入れてくれ。自分と会ってくれ、と。
「開けてってば! 開け……あっ、扉の隙間から、ほのかにダーリンスメル…♥」
…荒い鼻息のような音が聞こえるけれど、話を続けよう。
まず、彼女が何者であるのか。
もし人間だったのであれば、僕も幾分かは救われるのだが…
タチの悪いことに、彼女は魔物…ダークスライムという魔物なのだ。
魔物といえば、人間の男を攫って伴侶にするという、押し売りの恋を生き甲斐としている生物。
連れ去られた男性は、自由も許されず、常に魔物とまぐわい続けなければならないと聞く。
そんな恐ろしい相手に、少しでも心許そうものなら、たちまち僕の人生は終わりを告げるだろう。
ハッキリ言おう。僕は普通の恋愛…人間のお嫁さんが欲しいのだ。
いくら魅力的な身体をしていようとも、魔物との結婚なんて御免こうむりたい。
「ダーリンの匂い、良い匂いだよぉ…♥ 汗の匂いが堪らないよぉ…♥」
しかし…こんなことになってしまった原因が、僕にあるのも事実。
1ヶ月前、僕は近くの森を気晴らしがてらに散歩していた。
すると、教団の人が仕掛けた罠に、魔物が引っ掛かっているのを見つけたのだ。
顔立ちの良い男性を模した裸像を前にして、シビレ罠に捕らわれた彼女を。
最初こそ、僕はすぐにその場を離れようとした。
小うるさい教団の連中にも、恐ろしい魔物にも関わりたくなかったから。
けれど…「助けて」と乞う彼女の声に、良心が揺らいでしまったのが運の尽き。
愚かにも僕は、人類の敵である魔物を罠から外して、自由にしてしまったのだ。
「ふにゃあ…♥ 興奮してきちゃう…♥ ダーリン…、ダーリィン…♥」
それからというもの、彼女は僕にしつこく付き纏ってくる。
1日の内の半分は、僕の家の前で過ごしている彼女。それも毎日。
扉を叩いたり、匂いを嗅いだり、勝手に興奮したり、他にも…。
「ダーリン…、私、もう我慢できない…っ! お邪魔しちゃうねっ!」
彼女の一言に、僕は慌てて傍らに置かれた鍵を手に取り、扉の前に立った。
ドアノブの下に目をやると…そこに取り付けられた小さな鍵穴から、
紫色の物体…彼女の身体の一部が、家の中に侵入してきているのが見える。
その先端には、何やら目と口のようなものが付いていて、とても奇妙な形相。
笑みを浮かべる彼女の一部を、僕は強引に鍵の先端で突き、穴の中へと押し戻した。
「いやぁぁぁんっ♪ ダーリン、イジワル〜♥」
そして聞こえる、歓喜の声。
変態だ。まごうことなき変態だ。
…このように、隙あらば彼女は鍵穴から入ってこようとする。
スライムという特性を存分に活かした、音も無き不法侵入。
おかげで僕は、心安らかに眠ることもできない。休まる暇がない。
いつ彼女が家の中に入ってくるかと思うと、気が滅入りそうになる。
僕は鍵を引き抜いて、どっかりと席に着いた。
別に挿しっぱなしでも良いのだけれど、何かで固定しないと、
彼女の側から鍵を押し出されてしまうので、結局意味がない。
更に残念なことに、鍵を固定できそうものは、今この家には無い。
おまけに食料も底を尽きそう。家を出なければならない時が迫っているのだ。
「でも…ダーリンに硬いモノで突かれて、私…♥ キャッ♥」
保って、あと一週間だろうか…。
それまでには、どうにかして外に出る方法を考えなければいけない。
いや、出るだけではなく、留守の間に彼女が侵入しない方法もだ。
そして外に出ている間、如何にして彼女から逃げ切るかも。
課題はいっぱいだ。頭が痛い。
僕はどうすれば、彼女という呪縛から解放されるのだろう。
神様は僕を見捨てたのだろうか。試練にしても酷過ぎる。
「ダーリィ〜ン、早く開けてよぉ〜♥ 一緒にイイコトしようよぉ〜♥」
あぁ…、憂鬱だ…。
……………
………
…
…小鳥の囀りを聴き、目を覚ます僕。
寝惚け眼を擦りながら、時計を見ると…もう8時を過ぎている。
丁度良い目覚めの時間に思えるかもしれないが、今の僕には寝坊もいいところ。
なぜって、彼女がいつも訪ねてくるのが、ちょうど今の時間くらいだからだ。
慌てた僕は、急いでベッドから身体を起こそうとした。
せめて彼女が来る前に、朝食くらいは済ませたいと思って。
しかし…不思議なことに。
思いとは裏腹に、自分の身体が起き上がらない。
まるで鉛を縛りつけられたかのよう。ひどくだるい。
それに何だか…喉は痛いし、鼻水は出てくるし、熱っぽいし…。
いったい、どうしてしまったというのだろう。
…いや、これはまさか、そんな、もしかして…。
僕は…風邪をひいてしまった…?
―ドンドンドンドンドンッ!
瞬間、目覚めの挨拶とばかりに鳴り響く音。
彼女だ。もう彼女が家の前まで来ている。
最悪だ。よりにもよって、風邪を患ってしまうなんて。
おまけに、かなり重度の風邪のようだ。眩暈までする。
思考も、判断も、反射も、何もかもが鈍くなった今の状況で、
果たして彼女の侵入を阻止することができるのだろうか…。
「おっはよー、ダーリン! ねぇねぇ、おはようのチューしてあげよっか? ねぇねぇねぇっ」
そうだ…、まずは何より鍵だ。
あれを挿し込んでしまえば、彼女は入ってくることができない。
僕は、音がいやに響く頭を押さえながら立ち上がった。
鍵は机の上にある。距離にして約3歩。すぐ目の前だ。
ふらつく足で、僕は鍵までの短い道のりを歩き始める。
頭ガンガンする…。でも、彼女が帰るまでの辛抱だ。耐えるんだ。
そうしたら、すぐに薬だけでも買ってこよう。多少のリスクは仕方がない。
今は現状を乗り切ることだけを考えるんだ。どうにかして、この場を…。
「あれっ? 今日のダーリン、なんだか息が荒い…。もしかして…私に興奮してる…?♥」
…頭痛が酷くなってきた…。
世界がぐらぐら揺れて…。
鍵…、鍵を……。
「キャーッ♥♥♥ 待っててね、ダーリン! 今すぐ傍に行くからっ!」
……ぁ…っ………。
「んっしょ、んっしょ…」
……………。
「えへへ…♥ ねぇ、ダーリン、今日は押し返してこないんだね♥」
「やっと家に入れてくれるんだ…♥ 私、スッゴク嬉しい…♥」
「…んしょっ。お待たせ、ダーリン! さぁ、早く私の胸に飛び込…!」
「………ダーリン? ダーリン!? どうしたの、ダーリンッ!?」
「しっかり…! しっかりして、ダーリンッ! ダーリンてばっ!」
「ダーリンッ!!」
……………
………
…
………ぅ…、ん……。
「あっ…」
……あれ…?
僕は、いったい…。
「ダーリン、大丈夫…?」
うん…、なんとか大丈……。
……………。
「…?」
うわああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
「きゃっ!?」
ななな…! なんで彼女が家の中に!?
そ、そうだ、僕は気絶してしまって…。
それからだ。それから何があった?
なんで彼女が目の前に? どうして僕はベッドの上に?
いや…。いや! 考えるまでもない!
彼女が家に侵入して、僕をベッドまで運んだんだ!
きっと、これから僕を犯すために! レイプするために!
「だ、ダーリン、落ち着いてっ! 暴れちゃダメ!」
なんてことだ…。とうとう、恐れていたことが起きてしまった…。
僕はもう、お終いだ。このまま彼女の慰みモノになるオチが見えている。
これから毎晩、干乾びるまで吸い尽くされる地獄が待っているのだろう。
死んでしまうほどの苦しみの中、しかし死ぬことは叶わず、
彼女と共に過ごす生き地獄を、永遠と…。人形のように…。
「ほら…、落ち着いて? ねっ? 安静にしてなきゃダメだよ…?」
いかにも優しそうな言葉を掛けてくる彼女。
でも、従う以外にない。僕の身体は、依然として病魔に侵されている。
逃げきれる気力もなければ、体力もないのだ。どうしようもない。
どうせ彼女に食べられてしまうのなら、抵抗しないでいようと思う。
その方が彼女を刺激しないで済むし、僕自身も楽だろうから…。
「…うん、イイコ、イイコ…♪」
大人しくなった僕を見て、魔物は嬉しそうに頭を撫でてくる。
ひんやりとした彼女の手。熱っぽい顔を冷まし、心地良さが生まれゆく。
「びっくりしちゃった。家に入ったら、ダーリン、倒れてるんだもん…」
びっくりしちゃった、はこっちの台詞だ。
目を覚ましたら、一番会いたくない相手が目の前にいたのだから。
でも、それも今更。もうどうにでもなれだ。
煮るなり焼くなり、ご自由に。
「………」
話題が無くなったのか、沈黙するダークスライム。
…一か月ぶりに、彼女の姿を見たけれど。
やっぱり…なんて言うか、魔物だ。人間じゃあない。
ドロドロと溶けた身体。透けた紫色の肌。奇妙なニコちゃん。
人に似せた形を除けば、どこをどう見ても人間とは掛け離れている。
ただ…確かに顔立ちは可愛いし、大きな胸には目を引かれてしまう。
もし彼女が人間であったならば、きっと放ってはおけないだろう。
僕にとって残念なのは、彼女が魔物であることと、ストーカーであることだ。
そのどちらもを満たしていなければ、僕の方から求婚を申し込んでいたことと思う。
「…ね、ダーリン」
不意に、彼女が僕を呼ぶ。
視線を向けると…もじもじとする彼女の姿。
なんだろう。いよいよ僕を犯そうというのだろうか。
「切ってみたんだけど…食べる…?」
そう言って、背後から何かを取り出す。
…果物。お皿の上に乗った、見たこともない果物だ。
不格好ながら、食べやすいサイズにカットされている。
予想だにしない展開に、驚き彼女を見る。
恥ずかしそうに目を伏せ、お皿を僅かに引っ込める彼女。
「こーゆーの、初めてだったから…。ちょっとヘタッピだけれど…」
頬を赤く染めて呟く様は、少女のそれ。
そんな彼女の仕草に、どきりと高鳴る僕の胸。
可愛い…と思ってしまった。
いつも僕を恐がらせる彼女が、初めて見せた女の子らしさ。
塗り替えられていくイメージ。一匹の魔物を、一人の女性として。
ありえないと思っていた感情が、僕の中で少しずつ燃え上がってくる…。
「…食べる…?」
再び、同じ質問が飛んでくる。
それに対し、僕はつい…頷いてしまった。
あれほどダメだと誓っていたのに、心を許してしまった。
彼女を助けた時のように。一瞬の隙を付かれて…。
「…♥ はい…、あ〜ん…♥」
僕の答えに、とても嬉しそうな笑顔を浮かべながら。
彼女は欠片の一つを摘まみ、僕の口へとそれを運んだ。
ゆっくり口を開き…ぱくり。
含んだ瞬間、甘い汁を滴せた果実が舌の上で転がる。
今まで食べたことのない、美味しく、甘く、不思議な味。
味わう僕の口内から、ちゅぽんと彼女の人差し指が抜け出る。
「…おいしい?」
尋ねる彼女に、微笑みと共に頷きを返す。
すると、ますます幸せの色の染まる彼女の表情。
「良かったぁ♥ まだまだあるから、いっぱい食べてね♪」
またひとつ拾い上げ、口元へ。
ぱくり。もうひとつ。ぱくり…。
…気付けば、僕は果物ひとつをぺろりと平らげてしまった。
風邪を引いている時は、食欲なんて失せてしまうはずなのに。
お腹の膨れた僕は、彼女に対しお礼を述べた。
やっぱり、病気の時は誰かが傍にいてくれると嬉しいもので、
気持ちがだいぶ楽になったのを感じる。病は気から、というやつだろう。
「ダーリンが、初めて褒めてくれた…♥ えへ…、えへへへ…♥」
手を頬に当て、うっとりとするダークスライム。
彼女の乙女チックな仕草に、またも心が揺らぐ僕。
もしかして…彼女、実は良いコなのではないだろうか?
普段のアレは、まぁ…行き過ぎた想いが暴走してると考えて、
こうして看病してくれたり、僕の身を心配する姿を見ていると、
すごく献身的な女性にも思える。ある意味、理想の女性像。
…いや、でもやっぱりストーカーは頂けない。
一日中、開かない扉の前に張り付いて…ん? あれ?
それってもしかして、開けてあげない僕の方が悪い…?
いやいや、でも開けてしまったら、僕は彼女に襲われて…。
だけど、今彼女はこうしてここに居るけれど、襲ってこないし…。
…いけない。こんがらがってきた。
僕は彼女に対して、どう接すればいいんだ…?
「…あっ…♥」
ふと、彼女が何かに気付いたような声を上げる。
その声に、僕も彼女の視線を追ってみると…。
そこには…毛布を持ち上げるほどいきり立った、僕の息子の姿があった。
まるで自覚がなかったので、一瞬、それが何なのかさっぱり分からなかった。
なんで毛布が持ち上がっているんだろう…なんて、間の抜けた考え。
いったいどうして…。
まさか、さっき食べた果物に何かが…?
「ダーリンの…おっきくなってる…♥」
気付いた頃には、彼女の手が伸び…その先端を、優しく包み込んでいた。
幾重もの布越しに伝わる、柔らかな手の感触。ぴくりと跳ねるペニス。
おかしくなっていたのは、アソコばかりじゃない。
風邪の症状とは違う、強い興奮が全身を焼き焦がす。
乱れる呼吸。熱を放つ身体。狂いそうなまでに欲情を掻き立てられる。
僕は…発情してしまっていたのだ…。
「私に興奮してるの…? ダーリン…♥」
毛布を外し、ズボンに指先を掛ける彼女。
抵抗はできない。力が入らないという意味でも。慰めてほしいという意味でも。
僕は彼女にされるがままに、脱がされた下着の中から…自分のモノが飛び出るのを見ていた。
「わっ…♥ すっごぉい♥ ダーリンの、太いんだねぇ〜♥」
カチカチに勃起したペニスを見、彼女が感嘆の言葉を漏らす。
血管が浮き出るほど膨れ上がったそれは、ダラダラと愛液を流し、
今にも射精を迎えてしまいそうなほどに震えていた。
それもそのはず。
僕は彼女と出会った日から、一度も自慰をしていないのだ。
あんな緊張状態で、のんびりそんなことをしている余裕なんてない。
おかげで最近は、毎日がムラムラとの戦い。ずっと我慢していたのだ。
そんなペニスに、今、何か刺激を与えようものなら…。
「…触っても…いいよね?」
今更な確認。
わざと焦らしているのだろうか。早く触れてほしいのに…。
急く気持ちを隠しながら、僕は首を縦に振った。
すると、彼女はおずおずと…反り立ったペニスに手を添える。
性を知らない少女のように。そんなこと、あるはずないのに。
「っ…♥ これが…ダーリンの……おちんちん…♥」
人肌の温もり…しかし、異様に粘り気のある彼女の手。
ねとねとと糸を引きながら、裏筋を優しく撫で上げる。
その刺激に、込み上げる射精感。
しかし、ここで出してしまっては情けないと、
僕のちっぽけなプライドが阻止してくる。
「あぁ…っ♥ ダーリン…、私達、やっとひとつになれるんだね…♥」
が、そんなことは彼女にとってお構いなし。
溶けた手が、僕のものを徐々に包み込んでいく…。
少しずつ、彼女の手の中に呑み込まれていくペニス。
異様な光景ながら、感じるのは恐怖ではなく…興奮。
胎内回帰とでも言うべきか。僕を包む、彼女の温かな体温。
それは僕に安心感を与えると共に、心を剥き出しにさせて…。
「ダーリンのおちんちん…私の手の中に入ってくるよぉ…っ♥」
彼女もまた、僕の温もりを感じて身を震わせている。
手のひらより入り、彼女の腕の中心を貫く僕のモノ。
どれほどそうなることを夢見、待ち望んでいたのだろう。
彼女は股から大量の愛液を垂らして、その悦びを表現していた。
「熱いよぉ…♥ 気持ちいいよぉ…♥ 溶けちゃうよぉぉ…♥」
不意に、グニグニと蠢き出す腕のナカ。
ゼリーのような柔肌が、容赦無くペニスを搾り上げてくる。
それは自分の右手しか知らない僕のモノにとって、狂おしいまでの刺激。
たまらず腰が跳ね、嬌声を響かせる。合わせて、尿道を駆け上る精液。
「ダーリン…♥ ダーリンのおちんちん、モグモグしちゃうね…♥」
「いっぱい精液出して♥ ほら、ぐちゅぐちゅってしてあげるから…♥」
手を上下に動かし、激しいストローク。
螺旋状に形を変えたナカは、絶え間なく雁首を舐め上げてくる。
その刺激に、とうとう耐えられなくなった僕。
彼女の腕を掴み、根元まで挿し込んで…思い切り精を放った。
キュッ…と締まる腕のナカ。ドクドクと流れ込んでいく白濁液。
僕は潤んだ視界で、彼女の腕が白く染まっていくのを見つめた…。
「っ…♥ すごい…、ダーリン、たくさん出るんだね…♥」
恍惚とした表情を浮かべながら、ペニスを挿入した腕を左右に振る彼女。
それに合わせてナカも動き、更なる射精を促そうと刺激を送ってくる。
…最後の一滴が吐き出されたところで。
彼女は、少し名残惜しそうに…自らの手からペニスを引き抜いた。
肘から下が真っ白に染まった彼女の腕。まるで手袋をはめたみたいに。
「これは記念に残しておくね、ダーリン…♥」
彼女がそう言うと。
精液に染まった部分が、驚くことに、身体の中を移動し始めたではないか。
呆気に取られる中、白い塊は肩を抜け、胸を通り…おへその真下へと。
彼女のお腹の中で、ゆらゆら漂い形を保つ子種達。
その部分を愛おしそうに撫でながら、彼女ははにかみ想いを告げる。
「赤ちゃんが欲しくなった時…これを栄養にして、作るから…♥」
赤ちゃん…。
彼女と僕の…子供…。
「ダーリン…ううん、パパ…♥ もっといっぱいしよぉ…♥」
…あるワケがないと思っていた。
魔物と結ばれるなんて、絶対にないと。
僕は人間の女性が好きで。普通の恋愛がしたくて…。
あぁ、なのに。
今はもう、彼女が可愛くてたまらない。
身体が、心が、彼女のことを求めてしまう。
彼女が欲しい。もっと肌を重ねたい。深く、強く抱き締めたい。
エッチをしたい。淫らに、激しく、互いの全てを晒して。
僕は…彼女のことを…。
「ねぇ…、私のこともキモチよくして…♥」
上に跨り、ペニスに自らの秘所を押し付ける彼女。
よほど待ち侘びていたのか、トロトロに熟れたアソコ。
愛液を滴らせ、滾る僕のペニスへと塗り込んでくる。
初めて見る異性のモノに、僕は、強い興奮と…僅かな恐怖を抱いた。
そんな想いを察したのか、艶帯びた顔で、彼女が僕を覗き込む。
「…ダーリン、初めて…?」
……………。
…頷く。
「…♥ じゃあ、普通に挿れよっか♥」
くすりと、悪戯っぽく笑う恋人。
腰を浮かし、僕のモノに手を添え、繋がる位置を確かめる。
くちくちと音を立てながら…やがて見つかる、雌の穴。
彼女は、ゆっくり身体を沈めて…僕のペニスを呑み込んでいった…。
「んっ…、んぅぅ…っ♥ ふぁ……♥」
繋がる深さに合わせて、彼女が悩ましい声を漏らす。
吸い付くようにして雄を受け入れる、いやらしい彼女の膣内。
うっすらと、彼女の下腹部に僕のモノの影が見える…。
「ダーリンの…太いぃ…っ♥ お腹がパンパンになっちゃう…♥」
身を震わせる彼女のナカは、手とは比べ物にもならない気持ちよさ。
細かな襞が、くすぐるように亀頭を撫でたかと思えば、
彫りの深い襞が、ぎっちりと竿を締め上げてくる。
先端に吸い付いて、愛液を啜っているのは子宮口だろうか。
なんてエッチなんだろう。僕のペニスを、隙間無く刺激してくる。
「どう…? ダーリン…♥ これが『女のコ』の…私のナカだよ…♥」
これが…女の子のナカ…。
あたたかい…。優しくて、ふわふわしている。
こんなに気持ちいいものが、女の子には付いているなんて。
繋がっているだけで、嫌なことを全部忘れてしまいそう。
このまま射精することができたら、いったいどれほどの…。
「…そして、これが…」
ふと、彼女が呟くと。
「『魔物』のナカ…♥」
僕の全身に…稲妻のような衝撃が降り注いだ。
「アハッ…♥ ダーリン、今スゴイ顔してるよぉ〜♥」
跳ね上がり、絶叫する身体。
息も吐けぬほどの痙攣。
ナカだ。彼女のナカが、先程までとは別物になっている。
あれほど気持ちよかった女の子のナカが、霞んでしまうほどに。
あまりの刺激に、麻痺してしまったペニスの感覚。消える触感。
なのに、僕の神経ひとつひとつは、今なお彼女のナカを感じている…。
「ど〜お? 私のナカ…♥」
指と指を絡め、身体を密着させながら。
妖美に笑い、僕の乱れる様を愉しむ彼女。
「分かるかな? 口と、オッパイと、手と、お尻と、おマンコ…」
「私の全部を使って、ダーリンのおちんちんを扱いてるの♥」
全部を使って…。
「これがオッパイ…♥」
ペニスの両側をふんわりと包む、柔らかな何か。
「これが口…♥」
裏筋を舐め上げるようにして這っていく何か。
「すごいでしょ? 私じゃないと、こんなこと出来ないよ♥」
彼女が持つ、5つの武器。
それぞれが責める場所を変えながら、僕のペニスを弄ぶ。
皮ごと扱かれていたかと思えば、強いうねりが竿を締め付け。
鈴口を吸われていたと思えば、柔らかいものを押し当てられる刺激が起こり。
緩やかな襞に包まれていたと思えば、千切らんばかりの腸壁に貪られて。
慣れない。移り変わる刺激が、慣れる暇を与えてくれない。
常に新鮮な快感が僕を襲い、止まない波を運んでくる。
まるで津波だ。僕の意識を、全て押し流していってしまう…。
「ダーリン…♥」
震える手を取り、彼女が僕を呼ぶ。
見ると…彼女は微笑みと共に、僕の手を自らの身体へと埋めていた。
彼女の胸の間から、ずぶずぶと沈み…手首まで浸かる僕の両手。
そこはちょうど、彼女の核…スライムコアが埋め込まれている場所。
「握って…♥ ここが一番、キモチいいの…♥」
紫色の瞳を輝かせ、乞う魔物。
「おちんちんで突いて…♥ セーエキ塗りつけて…♥」
「ダーリンになら、乱暴に扱われてもいいから…♥」
っ…!
「あっ……ひゃううぅぅぅぅぅっっ♥♥♥♥♥」
彼女の一言に、僕は小さな核を力いっぱい握り締め、亀頭に押し付けた。
瞬間、絶頂の雄叫びを上げる彼女。
反る身体と共に、急激に締まりを増すナカ。
どろりと溶け落ちた彼女の身体が、僕の身体を浸していく…。
「ひぁぁ…っ♥ コアに…おちんちんでチュゥされちゃったぁ…♥」
核は思ったよりも柔らかく、指の中でグニグニと形を変えた。
ペニスに押し当てる度に、核に描かれた顔のようなものが涎を垂らす。
その度に彼女の身体も跳ねて、興奮を誘うように身をくねらせた。
合わせて、ますます蕩ける紫の肢体。
粘液と化した彼女の一部が、僕の身体に纏わり付く。
「キモチいい…? ねぇ、ダーリンはキモチいい…?」
欲情に塗れた恋人の顔。
目の前に迫る彼女に…僕は、自らの意思と欲に押されて。
そっと…唇を重ねた。
「っ…♥♥♥」
そして迎える、二度目の射精。
溢れ出る子種。一度目とは比にならない量。
彼女の望み通り、精液は直接核へと浴びせる。
塗り込むことも忘れない。指と亀頭で、丹念に擦り込む。
「っぁ……ぁ…っ…♥ わたしっ…そめら、れて……っ♥」
「ダーリンに…コア…染められてるっ…♥ 犯されてるぅぅ…♥」
僕の絶頂を、まるで自分のことのように喘ぐ彼女。
ぶるぶると身体を震わせては、ナカの粘体を動かして、
僕の精液を雫も残さず搾り出し、飲み込んでいく…。
「はぁっ…、はっ…♥ ダーリン…♥ ダーリィン…♥」
…ふと、気が付けば。
いつの間にか、僕の全身は彼女の身体の中にあった。
顔だけは外に。息継ぎのためか、別の理由か。
…実感できる…。
今、彼女に捕食されている…と。
僕が一番、望んでいなかった結果。
僕が一番、望んでいる結果。
それが今…こうして為されている。
これを幸せと言わず、何が幸せだろう。
「逃がさないから…♥ もう、絶対に離れないからね…♥」
紡がれる言葉。肌という肌に、あの感触が巻き起こる。
僕のペニスを弄る感触。あれが全身くまなく…肩から、足の指先まで。
「私には…んっ…♥ ダーリンがいてくれないとダメなんだから…♥」
甘い刺激に、抜け落ちる力。
それでも…核だけは離さない。犯す。
ペニスで突き上げ、彼女の弱点を犯し尽くす。
「はっ…♥ もう閉じこもっちゃ嫌…♥ ずっと触れていて…♥ んんっ…♥」
もっと僕色に染めるために。
もっと僕に依存させるために。
「私の…傍にいて…♥」
愛していると伝えるために…。
「私の…中にいてっ…♥」
もっと…。
「あっ…♥ ふぁっ♥ あっ♥ やっ♥ ダーリンッ♥ あっ♥ あっ♥ あぁっ♥」
もっと………ッ!
「ひゃっ……あああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っっっ♥♥♥♥♥♥♥♥」
……………
………
…
「…あっ♪ おはよ〜っ、パパ♥」
爽やかな朝の挨拶。
くっつく瞼を擦りながら、それに答える。
「パパね〜、眠っている間に7回も射精してたよぉ〜♥」
彼女はいつも通り、僕の身体に密着していた。
それこそゼロ距離以下。彼女の身体の中に浮かぶ僕。
そしてこれまたいつも通り、熱心にペニスを扱いている。
射精で始まり、絶頂に終わる。それが僕達の一日だ。
「ねぇ、見て…。ほらっ」
そう言って、視線を下に落とす彼女。
つられて僕も、その跡を追う。
そこには…彼女の身体の中で、僕のペニスに吸い付く…小さな魔物の姿があった。
彼女を小さくしたようなダークスライム。言うまでもなく、僕達の子供だ。
あの日の子種を使って、彼女は小さな分体を生み出したのだ。
「パパのミルクが欲しい、って…♥」
お腹を撫で、我が子を愛おしむ母親。
僕も、彼女の中にある手を動かし…子供の頭を優しく撫でる。
ふたりの愛に、嬉しそうに笑顔を浮かべるちび。可愛らしい。
僕は、彼女と見つめ合い…合図代わりのキスをした。
うねるスライムの身体。全身を襲う刺激が、僕の射精感を呼び起こす。
「んっ…ちゅ…♥ このコに見せてあげよぉ、パパ…♥」
子供の前で、淫らな表情を浮かべる恋人。
彼女は僕とまぐわうために、今日も身体を蕩けさせる。
明日も、明後日も、変わらない。僕達は片時も離れない。
食事も排泄も忘れてしまい。残ったのは僅かな睡眠だけ。
「パパとママは…こんなに愛し合っているんだ…って♥」
僕にはもう、何も無い。
彼女に束縛された身に、自由などない。
結果だけ見れば、何もかもが昔の僕の予想通り。
重い愛を受け、ただ交わり続けるだけの存在。
彼女を愛し、その欲を満たすためだけの存在。
それが、彼女を受け入れた僕の運命。
「こんなに…♥」
それでも。
彼女の重過ぎる愛に押し潰されながら。
僕は幸せだった。僕もまた、彼女と同じになっていたから。
「ねぇ…、ダーリン…♥」
彼女無しでは、生きられない身体に…。
「えへへっ…♥」
これもひとつの、愛の形。
どちらかが欠けるだけで、ハートは醜く歪んでしまう。
―ドンドンドンドンドンッ!
大きな音と共に、激しく揺れる玄関の扉。
地震ではない。あの薄い板の向こうに、戸を叩いている人物がいる。
彼女が来たのだ。僕の家に上がり込もうと、また今日も…。
―ガチャガチャガチャガチャ…。
狂ったように回転するドアノブ。
しかし、いくら回そうと扉が開くことはない。
鍵を掛けているからだ。押そうが引こうが、びくともしない。
「ダーリン、ねぇ、ダーリンッ! 開けて! 開けてよぉっ!」
…聞こえただろうか。今のが彼女の声だ。
断っておくが、僕は彼女の恋人でもなんでもない。
1ヶ月ほど前に初めて出会った、知人程度の関係だ。
しかし、彼女は僕のことを『ダーリン』などと呼んでくる。
ご覧の通り、立派なストーカーである。重度のストーカー。
僕の中のイメージでは、ストーカーというのは男性がなるもので、
想い人の後をひっそりと尾けたりするような存在だと思っていた。
しかし、彼女のストーキングは非常にアクティブである。
ああやって毎日家の前まで来ては、親の仇のようにドアを虐める。
そして、何度も僕を呼ぶのだ。家に入れてくれ。自分と会ってくれ、と。
「開けてってば! 開け……あっ、扉の隙間から、ほのかにダーリンスメル…♥」
…荒い鼻息のような音が聞こえるけれど、話を続けよう。
まず、彼女が何者であるのか。
もし人間だったのであれば、僕も幾分かは救われるのだが…
タチの悪いことに、彼女は魔物…ダークスライムという魔物なのだ。
魔物といえば、人間の男を攫って伴侶にするという、押し売りの恋を生き甲斐としている生物。
連れ去られた男性は、自由も許されず、常に魔物とまぐわい続けなければならないと聞く。
そんな恐ろしい相手に、少しでも心許そうものなら、たちまち僕の人生は終わりを告げるだろう。
ハッキリ言おう。僕は普通の恋愛…人間のお嫁さんが欲しいのだ。
いくら魅力的な身体をしていようとも、魔物との結婚なんて御免こうむりたい。
「ダーリンの匂い、良い匂いだよぉ…♥ 汗の匂いが堪らないよぉ…♥」
しかし…こんなことになってしまった原因が、僕にあるのも事実。
1ヶ月前、僕は近くの森を気晴らしがてらに散歩していた。
すると、教団の人が仕掛けた罠に、魔物が引っ掛かっているのを見つけたのだ。
顔立ちの良い男性を模した裸像を前にして、シビレ罠に捕らわれた彼女を。
最初こそ、僕はすぐにその場を離れようとした。
小うるさい教団の連中にも、恐ろしい魔物にも関わりたくなかったから。
けれど…「助けて」と乞う彼女の声に、良心が揺らいでしまったのが運の尽き。
愚かにも僕は、人類の敵である魔物を罠から外して、自由にしてしまったのだ。
「ふにゃあ…♥ 興奮してきちゃう…♥ ダーリン…、ダーリィン…♥」
それからというもの、彼女は僕にしつこく付き纏ってくる。
1日の内の半分は、僕の家の前で過ごしている彼女。それも毎日。
扉を叩いたり、匂いを嗅いだり、勝手に興奮したり、他にも…。
「ダーリン…、私、もう我慢できない…っ! お邪魔しちゃうねっ!」
彼女の一言に、僕は慌てて傍らに置かれた鍵を手に取り、扉の前に立った。
ドアノブの下に目をやると…そこに取り付けられた小さな鍵穴から、
紫色の物体…彼女の身体の一部が、家の中に侵入してきているのが見える。
その先端には、何やら目と口のようなものが付いていて、とても奇妙な形相。
笑みを浮かべる彼女の一部を、僕は強引に鍵の先端で突き、穴の中へと押し戻した。
「いやぁぁぁんっ♪ ダーリン、イジワル〜♥」
そして聞こえる、歓喜の声。
変態だ。まごうことなき変態だ。
…このように、隙あらば彼女は鍵穴から入ってこようとする。
スライムという特性を存分に活かした、音も無き不法侵入。
おかげで僕は、心安らかに眠ることもできない。休まる暇がない。
いつ彼女が家の中に入ってくるかと思うと、気が滅入りそうになる。
僕は鍵を引き抜いて、どっかりと席に着いた。
別に挿しっぱなしでも良いのだけれど、何かで固定しないと、
彼女の側から鍵を押し出されてしまうので、結局意味がない。
更に残念なことに、鍵を固定できそうものは、今この家には無い。
おまけに食料も底を尽きそう。家を出なければならない時が迫っているのだ。
「でも…ダーリンに硬いモノで突かれて、私…♥ キャッ♥」
保って、あと一週間だろうか…。
それまでには、どうにかして外に出る方法を考えなければいけない。
いや、出るだけではなく、留守の間に彼女が侵入しない方法もだ。
そして外に出ている間、如何にして彼女から逃げ切るかも。
課題はいっぱいだ。頭が痛い。
僕はどうすれば、彼女という呪縛から解放されるのだろう。
神様は僕を見捨てたのだろうか。試練にしても酷過ぎる。
「ダーリィ〜ン、早く開けてよぉ〜♥ 一緒にイイコトしようよぉ〜♥」
あぁ…、憂鬱だ…。
……………
………
…
…小鳥の囀りを聴き、目を覚ます僕。
寝惚け眼を擦りながら、時計を見ると…もう8時を過ぎている。
丁度良い目覚めの時間に思えるかもしれないが、今の僕には寝坊もいいところ。
なぜって、彼女がいつも訪ねてくるのが、ちょうど今の時間くらいだからだ。
慌てた僕は、急いでベッドから身体を起こそうとした。
せめて彼女が来る前に、朝食くらいは済ませたいと思って。
しかし…不思議なことに。
思いとは裏腹に、自分の身体が起き上がらない。
まるで鉛を縛りつけられたかのよう。ひどくだるい。
それに何だか…喉は痛いし、鼻水は出てくるし、熱っぽいし…。
いったい、どうしてしまったというのだろう。
…いや、これはまさか、そんな、もしかして…。
僕は…風邪をひいてしまった…?
―ドンドンドンドンドンッ!
瞬間、目覚めの挨拶とばかりに鳴り響く音。
彼女だ。もう彼女が家の前まで来ている。
最悪だ。よりにもよって、風邪を患ってしまうなんて。
おまけに、かなり重度の風邪のようだ。眩暈までする。
思考も、判断も、反射も、何もかもが鈍くなった今の状況で、
果たして彼女の侵入を阻止することができるのだろうか…。
「おっはよー、ダーリン! ねぇねぇ、おはようのチューしてあげよっか? ねぇねぇねぇっ」
そうだ…、まずは何より鍵だ。
あれを挿し込んでしまえば、彼女は入ってくることができない。
僕は、音がいやに響く頭を押さえながら立ち上がった。
鍵は机の上にある。距離にして約3歩。すぐ目の前だ。
ふらつく足で、僕は鍵までの短い道のりを歩き始める。
頭ガンガンする…。でも、彼女が帰るまでの辛抱だ。耐えるんだ。
そうしたら、すぐに薬だけでも買ってこよう。多少のリスクは仕方がない。
今は現状を乗り切ることだけを考えるんだ。どうにかして、この場を…。
「あれっ? 今日のダーリン、なんだか息が荒い…。もしかして…私に興奮してる…?♥」
…頭痛が酷くなってきた…。
世界がぐらぐら揺れて…。
鍵…、鍵を……。
「キャーッ♥♥♥ 待っててね、ダーリン! 今すぐ傍に行くからっ!」
……ぁ…っ………。
「んっしょ、んっしょ…」
……………。
「えへへ…♥ ねぇ、ダーリン、今日は押し返してこないんだね♥」
「やっと家に入れてくれるんだ…♥ 私、スッゴク嬉しい…♥」
「…んしょっ。お待たせ、ダーリン! さぁ、早く私の胸に飛び込…!」
「………ダーリン? ダーリン!? どうしたの、ダーリンッ!?」
「しっかり…! しっかりして、ダーリンッ! ダーリンてばっ!」
「ダーリンッ!!」
……………
………
…
………ぅ…、ん……。
「あっ…」
……あれ…?
僕は、いったい…。
「ダーリン、大丈夫…?」
うん…、なんとか大丈……。
……………。
「…?」
うわああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
「きゃっ!?」
ななな…! なんで彼女が家の中に!?
そ、そうだ、僕は気絶してしまって…。
それからだ。それから何があった?
なんで彼女が目の前に? どうして僕はベッドの上に?
いや…。いや! 考えるまでもない!
彼女が家に侵入して、僕をベッドまで運んだんだ!
きっと、これから僕を犯すために! レイプするために!
「だ、ダーリン、落ち着いてっ! 暴れちゃダメ!」
なんてことだ…。とうとう、恐れていたことが起きてしまった…。
僕はもう、お終いだ。このまま彼女の慰みモノになるオチが見えている。
これから毎晩、干乾びるまで吸い尽くされる地獄が待っているのだろう。
死んでしまうほどの苦しみの中、しかし死ぬことは叶わず、
彼女と共に過ごす生き地獄を、永遠と…。人形のように…。
「ほら…、落ち着いて? ねっ? 安静にしてなきゃダメだよ…?」
いかにも優しそうな言葉を掛けてくる彼女。
でも、従う以外にない。僕の身体は、依然として病魔に侵されている。
逃げきれる気力もなければ、体力もないのだ。どうしようもない。
どうせ彼女に食べられてしまうのなら、抵抗しないでいようと思う。
その方が彼女を刺激しないで済むし、僕自身も楽だろうから…。
「…うん、イイコ、イイコ…♪」
大人しくなった僕を見て、魔物は嬉しそうに頭を撫でてくる。
ひんやりとした彼女の手。熱っぽい顔を冷まし、心地良さが生まれゆく。
「びっくりしちゃった。家に入ったら、ダーリン、倒れてるんだもん…」
びっくりしちゃった、はこっちの台詞だ。
目を覚ましたら、一番会いたくない相手が目の前にいたのだから。
でも、それも今更。もうどうにでもなれだ。
煮るなり焼くなり、ご自由に。
「………」
話題が無くなったのか、沈黙するダークスライム。
…一か月ぶりに、彼女の姿を見たけれど。
やっぱり…なんて言うか、魔物だ。人間じゃあない。
ドロドロと溶けた身体。透けた紫色の肌。奇妙なニコちゃん。
人に似せた形を除けば、どこをどう見ても人間とは掛け離れている。
ただ…確かに顔立ちは可愛いし、大きな胸には目を引かれてしまう。
もし彼女が人間であったならば、きっと放ってはおけないだろう。
僕にとって残念なのは、彼女が魔物であることと、ストーカーであることだ。
そのどちらもを満たしていなければ、僕の方から求婚を申し込んでいたことと思う。
「…ね、ダーリン」
不意に、彼女が僕を呼ぶ。
視線を向けると…もじもじとする彼女の姿。
なんだろう。いよいよ僕を犯そうというのだろうか。
「切ってみたんだけど…食べる…?」
そう言って、背後から何かを取り出す。
…果物。お皿の上に乗った、見たこともない果物だ。
不格好ながら、食べやすいサイズにカットされている。
予想だにしない展開に、驚き彼女を見る。
恥ずかしそうに目を伏せ、お皿を僅かに引っ込める彼女。
「こーゆーの、初めてだったから…。ちょっとヘタッピだけれど…」
頬を赤く染めて呟く様は、少女のそれ。
そんな彼女の仕草に、どきりと高鳴る僕の胸。
可愛い…と思ってしまった。
いつも僕を恐がらせる彼女が、初めて見せた女の子らしさ。
塗り替えられていくイメージ。一匹の魔物を、一人の女性として。
ありえないと思っていた感情が、僕の中で少しずつ燃え上がってくる…。
「…食べる…?」
再び、同じ質問が飛んでくる。
それに対し、僕はつい…頷いてしまった。
あれほどダメだと誓っていたのに、心を許してしまった。
彼女を助けた時のように。一瞬の隙を付かれて…。
「…♥ はい…、あ〜ん…♥」
僕の答えに、とても嬉しそうな笑顔を浮かべながら。
彼女は欠片の一つを摘まみ、僕の口へとそれを運んだ。
ゆっくり口を開き…ぱくり。
含んだ瞬間、甘い汁を滴せた果実が舌の上で転がる。
今まで食べたことのない、美味しく、甘く、不思議な味。
味わう僕の口内から、ちゅぽんと彼女の人差し指が抜け出る。
「…おいしい?」
尋ねる彼女に、微笑みと共に頷きを返す。
すると、ますます幸せの色の染まる彼女の表情。
「良かったぁ♥ まだまだあるから、いっぱい食べてね♪」
またひとつ拾い上げ、口元へ。
ぱくり。もうひとつ。ぱくり…。
…気付けば、僕は果物ひとつをぺろりと平らげてしまった。
風邪を引いている時は、食欲なんて失せてしまうはずなのに。
お腹の膨れた僕は、彼女に対しお礼を述べた。
やっぱり、病気の時は誰かが傍にいてくれると嬉しいもので、
気持ちがだいぶ楽になったのを感じる。病は気から、というやつだろう。
「ダーリンが、初めて褒めてくれた…♥ えへ…、えへへへ…♥」
手を頬に当て、うっとりとするダークスライム。
彼女の乙女チックな仕草に、またも心が揺らぐ僕。
もしかして…彼女、実は良いコなのではないだろうか?
普段のアレは、まぁ…行き過ぎた想いが暴走してると考えて、
こうして看病してくれたり、僕の身を心配する姿を見ていると、
すごく献身的な女性にも思える。ある意味、理想の女性像。
…いや、でもやっぱりストーカーは頂けない。
一日中、開かない扉の前に張り付いて…ん? あれ?
それってもしかして、開けてあげない僕の方が悪い…?
いやいや、でも開けてしまったら、僕は彼女に襲われて…。
だけど、今彼女はこうしてここに居るけれど、襲ってこないし…。
…いけない。こんがらがってきた。
僕は彼女に対して、どう接すればいいんだ…?
「…あっ…♥」
ふと、彼女が何かに気付いたような声を上げる。
その声に、僕も彼女の視線を追ってみると…。
そこには…毛布を持ち上げるほどいきり立った、僕の息子の姿があった。
まるで自覚がなかったので、一瞬、それが何なのかさっぱり分からなかった。
なんで毛布が持ち上がっているんだろう…なんて、間の抜けた考え。
いったいどうして…。
まさか、さっき食べた果物に何かが…?
「ダーリンの…おっきくなってる…♥」
気付いた頃には、彼女の手が伸び…その先端を、優しく包み込んでいた。
幾重もの布越しに伝わる、柔らかな手の感触。ぴくりと跳ねるペニス。
おかしくなっていたのは、アソコばかりじゃない。
風邪の症状とは違う、強い興奮が全身を焼き焦がす。
乱れる呼吸。熱を放つ身体。狂いそうなまでに欲情を掻き立てられる。
僕は…発情してしまっていたのだ…。
「私に興奮してるの…? ダーリン…♥」
毛布を外し、ズボンに指先を掛ける彼女。
抵抗はできない。力が入らないという意味でも。慰めてほしいという意味でも。
僕は彼女にされるがままに、脱がされた下着の中から…自分のモノが飛び出るのを見ていた。
「わっ…♥ すっごぉい♥ ダーリンの、太いんだねぇ〜♥」
カチカチに勃起したペニスを見、彼女が感嘆の言葉を漏らす。
血管が浮き出るほど膨れ上がったそれは、ダラダラと愛液を流し、
今にも射精を迎えてしまいそうなほどに震えていた。
それもそのはず。
僕は彼女と出会った日から、一度も自慰をしていないのだ。
あんな緊張状態で、のんびりそんなことをしている余裕なんてない。
おかげで最近は、毎日がムラムラとの戦い。ずっと我慢していたのだ。
そんなペニスに、今、何か刺激を与えようものなら…。
「…触っても…いいよね?」
今更な確認。
わざと焦らしているのだろうか。早く触れてほしいのに…。
急く気持ちを隠しながら、僕は首を縦に振った。
すると、彼女はおずおずと…反り立ったペニスに手を添える。
性を知らない少女のように。そんなこと、あるはずないのに。
「っ…♥ これが…ダーリンの……おちんちん…♥」
人肌の温もり…しかし、異様に粘り気のある彼女の手。
ねとねとと糸を引きながら、裏筋を優しく撫で上げる。
その刺激に、込み上げる射精感。
しかし、ここで出してしまっては情けないと、
僕のちっぽけなプライドが阻止してくる。
「あぁ…っ♥ ダーリン…、私達、やっとひとつになれるんだね…♥」
が、そんなことは彼女にとってお構いなし。
溶けた手が、僕のものを徐々に包み込んでいく…。
少しずつ、彼女の手の中に呑み込まれていくペニス。
異様な光景ながら、感じるのは恐怖ではなく…興奮。
胎内回帰とでも言うべきか。僕を包む、彼女の温かな体温。
それは僕に安心感を与えると共に、心を剥き出しにさせて…。
「ダーリンのおちんちん…私の手の中に入ってくるよぉ…っ♥」
彼女もまた、僕の温もりを感じて身を震わせている。
手のひらより入り、彼女の腕の中心を貫く僕のモノ。
どれほどそうなることを夢見、待ち望んでいたのだろう。
彼女は股から大量の愛液を垂らして、その悦びを表現していた。
「熱いよぉ…♥ 気持ちいいよぉ…♥ 溶けちゃうよぉぉ…♥」
不意に、グニグニと蠢き出す腕のナカ。
ゼリーのような柔肌が、容赦無くペニスを搾り上げてくる。
それは自分の右手しか知らない僕のモノにとって、狂おしいまでの刺激。
たまらず腰が跳ね、嬌声を響かせる。合わせて、尿道を駆け上る精液。
「ダーリン…♥ ダーリンのおちんちん、モグモグしちゃうね…♥」
「いっぱい精液出して♥ ほら、ぐちゅぐちゅってしてあげるから…♥」
手を上下に動かし、激しいストローク。
螺旋状に形を変えたナカは、絶え間なく雁首を舐め上げてくる。
その刺激に、とうとう耐えられなくなった僕。
彼女の腕を掴み、根元まで挿し込んで…思い切り精を放った。
キュッ…と締まる腕のナカ。ドクドクと流れ込んでいく白濁液。
僕は潤んだ視界で、彼女の腕が白く染まっていくのを見つめた…。
「っ…♥ すごい…、ダーリン、たくさん出るんだね…♥」
恍惚とした表情を浮かべながら、ペニスを挿入した腕を左右に振る彼女。
それに合わせてナカも動き、更なる射精を促そうと刺激を送ってくる。
…最後の一滴が吐き出されたところで。
彼女は、少し名残惜しそうに…自らの手からペニスを引き抜いた。
肘から下が真っ白に染まった彼女の腕。まるで手袋をはめたみたいに。
「これは記念に残しておくね、ダーリン…♥」
彼女がそう言うと。
精液に染まった部分が、驚くことに、身体の中を移動し始めたではないか。
呆気に取られる中、白い塊は肩を抜け、胸を通り…おへその真下へと。
彼女のお腹の中で、ゆらゆら漂い形を保つ子種達。
その部分を愛おしそうに撫でながら、彼女ははにかみ想いを告げる。
「赤ちゃんが欲しくなった時…これを栄養にして、作るから…♥」
赤ちゃん…。
彼女と僕の…子供…。
「ダーリン…ううん、パパ…♥ もっといっぱいしよぉ…♥」
…あるワケがないと思っていた。
魔物と結ばれるなんて、絶対にないと。
僕は人間の女性が好きで。普通の恋愛がしたくて…。
あぁ、なのに。
今はもう、彼女が可愛くてたまらない。
身体が、心が、彼女のことを求めてしまう。
彼女が欲しい。もっと肌を重ねたい。深く、強く抱き締めたい。
エッチをしたい。淫らに、激しく、互いの全てを晒して。
僕は…彼女のことを…。
「ねぇ…、私のこともキモチよくして…♥」
上に跨り、ペニスに自らの秘所を押し付ける彼女。
よほど待ち侘びていたのか、トロトロに熟れたアソコ。
愛液を滴らせ、滾る僕のペニスへと塗り込んでくる。
初めて見る異性のモノに、僕は、強い興奮と…僅かな恐怖を抱いた。
そんな想いを察したのか、艶帯びた顔で、彼女が僕を覗き込む。
「…ダーリン、初めて…?」
……………。
…頷く。
「…♥ じゃあ、普通に挿れよっか♥」
くすりと、悪戯っぽく笑う恋人。
腰を浮かし、僕のモノに手を添え、繋がる位置を確かめる。
くちくちと音を立てながら…やがて見つかる、雌の穴。
彼女は、ゆっくり身体を沈めて…僕のペニスを呑み込んでいった…。
「んっ…、んぅぅ…っ♥ ふぁ……♥」
繋がる深さに合わせて、彼女が悩ましい声を漏らす。
吸い付くようにして雄を受け入れる、いやらしい彼女の膣内。
うっすらと、彼女の下腹部に僕のモノの影が見える…。
「ダーリンの…太いぃ…っ♥ お腹がパンパンになっちゃう…♥」
身を震わせる彼女のナカは、手とは比べ物にもならない気持ちよさ。
細かな襞が、くすぐるように亀頭を撫でたかと思えば、
彫りの深い襞が、ぎっちりと竿を締め上げてくる。
先端に吸い付いて、愛液を啜っているのは子宮口だろうか。
なんてエッチなんだろう。僕のペニスを、隙間無く刺激してくる。
「どう…? ダーリン…♥ これが『女のコ』の…私のナカだよ…♥」
これが…女の子のナカ…。
あたたかい…。優しくて、ふわふわしている。
こんなに気持ちいいものが、女の子には付いているなんて。
繋がっているだけで、嫌なことを全部忘れてしまいそう。
このまま射精することができたら、いったいどれほどの…。
「…そして、これが…」
ふと、彼女が呟くと。
「『魔物』のナカ…♥」
僕の全身に…稲妻のような衝撃が降り注いだ。
「アハッ…♥ ダーリン、今スゴイ顔してるよぉ〜♥」
跳ね上がり、絶叫する身体。
息も吐けぬほどの痙攣。
ナカだ。彼女のナカが、先程までとは別物になっている。
あれほど気持ちよかった女の子のナカが、霞んでしまうほどに。
あまりの刺激に、麻痺してしまったペニスの感覚。消える触感。
なのに、僕の神経ひとつひとつは、今なお彼女のナカを感じている…。
「ど〜お? 私のナカ…♥」
指と指を絡め、身体を密着させながら。
妖美に笑い、僕の乱れる様を愉しむ彼女。
「分かるかな? 口と、オッパイと、手と、お尻と、おマンコ…」
「私の全部を使って、ダーリンのおちんちんを扱いてるの♥」
全部を使って…。
「これがオッパイ…♥」
ペニスの両側をふんわりと包む、柔らかな何か。
「これが口…♥」
裏筋を舐め上げるようにして這っていく何か。
「すごいでしょ? 私じゃないと、こんなこと出来ないよ♥」
彼女が持つ、5つの武器。
それぞれが責める場所を変えながら、僕のペニスを弄ぶ。
皮ごと扱かれていたかと思えば、強いうねりが竿を締め付け。
鈴口を吸われていたと思えば、柔らかいものを押し当てられる刺激が起こり。
緩やかな襞に包まれていたと思えば、千切らんばかりの腸壁に貪られて。
慣れない。移り変わる刺激が、慣れる暇を与えてくれない。
常に新鮮な快感が僕を襲い、止まない波を運んでくる。
まるで津波だ。僕の意識を、全て押し流していってしまう…。
「ダーリン…♥」
震える手を取り、彼女が僕を呼ぶ。
見ると…彼女は微笑みと共に、僕の手を自らの身体へと埋めていた。
彼女の胸の間から、ずぶずぶと沈み…手首まで浸かる僕の両手。
そこはちょうど、彼女の核…スライムコアが埋め込まれている場所。
「握って…♥ ここが一番、キモチいいの…♥」
紫色の瞳を輝かせ、乞う魔物。
「おちんちんで突いて…♥ セーエキ塗りつけて…♥」
「ダーリンになら、乱暴に扱われてもいいから…♥」
っ…!
「あっ……ひゃううぅぅぅぅぅっっ♥♥♥♥♥」
彼女の一言に、僕は小さな核を力いっぱい握り締め、亀頭に押し付けた。
瞬間、絶頂の雄叫びを上げる彼女。
反る身体と共に、急激に締まりを増すナカ。
どろりと溶け落ちた彼女の身体が、僕の身体を浸していく…。
「ひぁぁ…っ♥ コアに…おちんちんでチュゥされちゃったぁ…♥」
核は思ったよりも柔らかく、指の中でグニグニと形を変えた。
ペニスに押し当てる度に、核に描かれた顔のようなものが涎を垂らす。
その度に彼女の身体も跳ねて、興奮を誘うように身をくねらせた。
合わせて、ますます蕩ける紫の肢体。
粘液と化した彼女の一部が、僕の身体に纏わり付く。
「キモチいい…? ねぇ、ダーリンはキモチいい…?」
欲情に塗れた恋人の顔。
目の前に迫る彼女に…僕は、自らの意思と欲に押されて。
そっと…唇を重ねた。
「っ…♥♥♥」
そして迎える、二度目の射精。
溢れ出る子種。一度目とは比にならない量。
彼女の望み通り、精液は直接核へと浴びせる。
塗り込むことも忘れない。指と亀頭で、丹念に擦り込む。
「っぁ……ぁ…っ…♥ わたしっ…そめら、れて……っ♥」
「ダーリンに…コア…染められてるっ…♥ 犯されてるぅぅ…♥」
僕の絶頂を、まるで自分のことのように喘ぐ彼女。
ぶるぶると身体を震わせては、ナカの粘体を動かして、
僕の精液を雫も残さず搾り出し、飲み込んでいく…。
「はぁっ…、はっ…♥ ダーリン…♥ ダーリィン…♥」
…ふと、気が付けば。
いつの間にか、僕の全身は彼女の身体の中にあった。
顔だけは外に。息継ぎのためか、別の理由か。
…実感できる…。
今、彼女に捕食されている…と。
僕が一番、望んでいなかった結果。
僕が一番、望んでいる結果。
それが今…こうして為されている。
これを幸せと言わず、何が幸せだろう。
「逃がさないから…♥ もう、絶対に離れないからね…♥」
紡がれる言葉。肌という肌に、あの感触が巻き起こる。
僕のペニスを弄る感触。あれが全身くまなく…肩から、足の指先まで。
「私には…んっ…♥ ダーリンがいてくれないとダメなんだから…♥」
甘い刺激に、抜け落ちる力。
それでも…核だけは離さない。犯す。
ペニスで突き上げ、彼女の弱点を犯し尽くす。
「はっ…♥ もう閉じこもっちゃ嫌…♥ ずっと触れていて…♥ んんっ…♥」
もっと僕色に染めるために。
もっと僕に依存させるために。
「私の…傍にいて…♥」
愛していると伝えるために…。
「私の…中にいてっ…♥」
もっと…。
「あっ…♥ ふぁっ♥ あっ♥ やっ♥ ダーリンッ♥ あっ♥ あっ♥ あぁっ♥」
もっと………ッ!
「ひゃっ……あああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っっっ♥♥♥♥♥♥♥♥」
……………
………
…
「…あっ♪ おはよ〜っ、パパ♥」
爽やかな朝の挨拶。
くっつく瞼を擦りながら、それに答える。
「パパね〜、眠っている間に7回も射精してたよぉ〜♥」
彼女はいつも通り、僕の身体に密着していた。
それこそゼロ距離以下。彼女の身体の中に浮かぶ僕。
そしてこれまたいつも通り、熱心にペニスを扱いている。
射精で始まり、絶頂に終わる。それが僕達の一日だ。
「ねぇ、見て…。ほらっ」
そう言って、視線を下に落とす彼女。
つられて僕も、その跡を追う。
そこには…彼女の身体の中で、僕のペニスに吸い付く…小さな魔物の姿があった。
彼女を小さくしたようなダークスライム。言うまでもなく、僕達の子供だ。
あの日の子種を使って、彼女は小さな分体を生み出したのだ。
「パパのミルクが欲しい、って…♥」
お腹を撫で、我が子を愛おしむ母親。
僕も、彼女の中にある手を動かし…子供の頭を優しく撫でる。
ふたりの愛に、嬉しそうに笑顔を浮かべるちび。可愛らしい。
僕は、彼女と見つめ合い…合図代わりのキスをした。
うねるスライムの身体。全身を襲う刺激が、僕の射精感を呼び起こす。
「んっ…ちゅ…♥ このコに見せてあげよぉ、パパ…♥」
子供の前で、淫らな表情を浮かべる恋人。
彼女は僕とまぐわうために、今日も身体を蕩けさせる。
明日も、明後日も、変わらない。僕達は片時も離れない。
食事も排泄も忘れてしまい。残ったのは僅かな睡眠だけ。
「パパとママは…こんなに愛し合っているんだ…って♥」
僕にはもう、何も無い。
彼女に束縛された身に、自由などない。
結果だけ見れば、何もかもが昔の僕の予想通り。
重い愛を受け、ただ交わり続けるだけの存在。
彼女を愛し、その欲を満たすためだけの存在。
それが、彼女を受け入れた僕の運命。
「こんなに…♥」
それでも。
彼女の重過ぎる愛に押し潰されながら。
僕は幸せだった。僕もまた、彼女と同じになっていたから。
「ねぇ…、ダーリン…♥」
彼女無しでは、生きられない身体に…。
「えへへっ…♥」
これもひとつの、愛の形。
12/08/11 00:33更新 / コジコジ