耽溺釣世
幸せというのは素敵なものだけれど。
それは時に、人を怠惰な存在に変えてしまう。
「………」
…そんな、誰かが言った言葉を、ふと思い出す。
湖とも呼べない水溜まりに、釣り糸を垂らす僕。
かれこれ５時間になるだろうか。昼前からこんな感じだ。
崩れた胡座を組み替えながら、ぼんやりと浮きを見つめて。
たまに通りすがる人に、釣れているかと尋ねられる。
僕が、傍らに置いた魚籠を見せると、そういう日もあるだろうなと続く。
たまに通りすがる人に、仕事は休みかいと尋ねられる。
僕は、竿先を僅かに揺らしながら、休みになる仕事がないよと返す。
ここでふたつ、念を押しておきたいことがあるんだ。
ひとつは、僕は働かないことを良しとしているワケじゃあない。
働くのはいいことだ。八百屋が働けば、おいしい野菜がいくつも手に入る。
洋服店があれば、女性は自分を褒めてくれる相手探しに困らない。
そして雑貨屋があるからこそ、僕はこうして釣り具を調達できる。
ただ、僕は働くことに向いていないのだ。
鍛冶屋のおじさん曰く、ノロマらしい。動きがとろい、と。
そうだと思う。のんびりしているからこそ、釣りが好きなんだろう。
今では毎日、釣り上げた魚を家に持ち帰ることが、仕事みたいなもの。
お母さんは僕を、お前は本当に釣りの名人だねえと笑ってくれる。
お父さんは僕に、ここが漁村ならばなぁと苦笑いを浮かべる。
そんな両親のためにも、職に就きたいとは思うのだけれど。
もうひとつ、魚籠の中が空っぽなのは、釣れないからじゃあない。
足元を見てほしいんだ。僕の足元。違う違う、ほら、そこだよ。
「………」
そう、池の中。彼女の姿が見えるだろう？
魔物さ。なんていう名前かは知らないけれど、れっきとした魔物。
…ん。おっと。
「…！」
浮きが沈んだのを見て、引き上げると…獲物が水面から飛び出した。
それなりの大きさ。こちらも名前は分からないけれど、食べられる魚だ。
僕は、釣り上げた魚の口から針を外して、池の中に投げ入れた。
投げ入れる地点は、彼女が沈んでいる真上。距離は短いので難しくない。
魚が池に戻り、また優雅に泳ぎ始めようとするところで…彼女が動く。
それは一瞬。
手に持った銛で、一突き。水面に、ちゃぷんと波紋が走る。
獲物を仕留めた彼女は、悠々と刃先から魚を引き抜き、そのお腹へ齧り付いた。
齧り付いた…と表現したけれど、口が小さいので、吸い付いているようにも見える。
ともかく、つまりはこういうことなのだ。
彼女が満腹になるまでは、いくら釣り上げようと、魚籠の中は空っぽ。
そういう日もあるのではなく、毎日がそういう日なのだ。
「………」
…彼女とこんな関係になったのは、１ヶ月前。
いつもと同じ様に釣りをしていたら、急に足から池の中へ引き摺りこまれた。
そして、まあ、彼女とエッチなことをして、恋人同士になった。突然だけど。
可愛いし、エッチは気持ち良いし、幸せではある。彼女も、僕を好きと言ってくれる。
ならそれでいいじゃないかと思うけれど、僕の村は教会の信仰が根強い。
両親に、僕に恋人ができたことを報告できないのは、それはそれで不幸だ。
さておき、彼女はそれ以降、僕がここで釣りをする時は、ずっと傍に居る。
どうやら前々から、釣り過ぎて逃がしていた獲物を頂戴していたらしく、
今はそれがとても顕著になっている。自分で魚を獲ろうとはしない。
今までの言動から察するに、彼女にとって、釣った魚を池に戻す行為は、
僕が彼女へプレゼントを渡しているのと同じらしい。正直、よく分からない。
だけれど、それで彼女が喜んでくれるのならと、僕はこの行為を繰り返す。
それでも帰る頃には、魚籠一杯に釣れるのだ。勿体無くはない。
「………」
不意に、水面へ顔を出す彼女。
食べ終わったらしい。辺りをきょろきょろと伺っている。
警戒しているようだ。
当然といえば、当然。彼女は魔物なのだから。
教会の関係者に見つかれば、厄介なことになるだろう。
「………」
…大丈夫と判断したのか、黒い髪を滴らせ、陸に上がりくる。
水に濡れ、身体のラインに合わせてぴっちりと吸い付く服。
幼さが残る彼女だけれど、ちゃんと凹凸はある。女性らしく。
水滴が流れ落ちる白い肌も、どことなく艶めかしい。ちょっぴりエッチだ。
「………」
…それにしても、彼女は本当に無口だ。
僕も大概だけれど、彼女の場合は度を越して無口。表情も硬い。
たぶん、いくらくすぐっても、へっちゃらなんじゃないだろうか。
「………」
そんな彼女が、僕の前で目を閉じ…唇を差し出してくる。
こちらから出迎える間もなく、触れ合う唇。ちょん、と軽いもの。
「…♥」
薄く目を開き…ほのかに頬が染まる。
照れているのだと思う。表情は変わっていないけれど。
魚を渡すと、いつもお礼代わりにしてくれるキス。
無口な彼女だけれど、こういうことに関しては大胆だ。
「っ…♥」
そして僕も、大胆に。
お返しとばかりにキスをすると、一層紅くなる彼女。
可愛い。これだから、もっと魚をあげたくなってしまう。
ふと…揺れる竿先。トンボが逃げる程度に。
意識を釣り竿の方に戻すと、水面にあった浮きが見当たらない。
どうやら、また獲物が掛かったようだ。僕はゆっくりと竿を…。
「………」
…引き上げようとした腕が、ぴたりと止まる。
彼女が、僕の腕に絡み付いている。
釣り上げるのを止めようとした…ワケではなさそうだ。
肩に頬を乗せ、重心をこちらに、身体を預けてきている。
これも彼女なりの表現。僕に対し、甘えているのだ。
こうなってしまっては仕方がない。
餌に食いつく魚を諦め、釣竿を置き…彼女をそっと抱き寄せる。
「…♥」
相変わらず、表情に変化はない。
でも、喜んでくれているとは思う。そんな気がする。
互いの表情を窺うように、見つめ合うふたり。
「…っ…♥」
そして、また…どちらからともなく、キス。
今度は深く、情熱的に。舌と舌を絡め合う。
「ちゅっ…♥ ちゅ…ぅ…♥ ふ…っ♥ ぺろ…♥」
彼女はエッチだ。それは間違いない。
毎日、満腹になった後は、食後の運動とばかりに求めてくる。
嫌だなんてことはない。逆だ。僕も、自分の気持ちを隠さずに応える。
「ぺろっ…♥ ぺろ…♥ ちゅ…♥」
僕の舌を、子猫の様に小さな舌が愛撫する。
こんなに可愛らしい口が、魚を丸のまま食べるんだから驚きだ。
口の中は、蜂蜜を含んでいるかのように、唾液でとろけて。
唇を離して覗き見れば、にちゃにちゃと糸引く様が、心を乱す。
そんな涎で塗れた舌を伸ばし、更に口付けを望む彼女。
今すぐにでも押し倒したい気持ちを抑えて、僕は再び唇を重ねる。
「ちゅっ…、ちゅ…♥」
水音を響かせると共に、少しずつ崩れていく…彼女の表情。
眉は下がり、瞳は潤んで、耳ビレは畳まれ、口元は呆け開いて…。
少しずつ、少しずつ…淫乱な彼女の一面が、見え隠れしてくる。
彼女が、その鉄仮面を脱ぎ捨てるのは、この時だけ。
エッチの最中だけは、彼女の心をありのままに見せてくれる。
つまり、彼女の表情というのは、普段のむすっとした表情と、
エッチのときのいやらしい表情のふたつしかない。それしか見たことがない。
でも、だからこそとも言えるのだけれど。今の表情は…狂おしく僕を興奮させる。
「はっ…♥ ん…っ、ちゅっ♥ ぺろっ、ちゅぅ…♥」
口淫に没頭し、必死に彼女は貪りくる。
僕はもっと深くキスをしようと、彼女の肩と腰へ手を回し…。
…ふと、あることに気が付いた。
「ちゅっ…♥ ……っ！！？」
むに…、と摘まむ。指の中で有り余るお肉。
細身と思った彼女のお腹に、だらしないお肉がついている。
「〜〜〜っ！！」
ちょっと心地良かったので、確認も含めて、もう一度、むにむに。
うん、やっぱりついている。太っているというほどじゃあないけれど。
たぶん…というか、間違いなく、最近の習慣の所為だろう。
僕が食糧を獲り与えていたことで、狩りをしなくなった彼女。
運動不足で、贅肉がついてしまったんだと思う。養殖魚みたいに。
「〜〜っ！ 〜〜〜〜っっ！！」
と、急に暴れ出す彼女。
髪がなびくほど首を振って、かなりの取り乱しよう。珍しい。
顔なんて、今までにないくらい真っ赤だ。瞳も、泣き出しそうなまでに潤んでいる。
贅肉がついたことを気付かれたのが、そんなに恥ずかしかったのだろうか。
気にしなくてもいいのに。これはこれで、僕は可愛いと思う。
ほら。触っていて、気持ち良いし。もちもちしていて、おいしそう。
完璧なプロポーションよりも、こっちの方が好き。親しみやすくて。
「っっ…♥♥♥」
思ったままを伝えると…ぴたりと、彼女の抵抗が止む。
お腹を揉む僕の手に、自らの手を重ねて、こちらを見つめてくる。
それは、問い掛けの様でもあり、照れている様でもあり。
僕は笑顔を返し…彼女を草のベッドへ寝転がせ、ズボンを下ろした。
「ぁ…っ♥」
か細く、呼吸の中に消えてしまいそうな、彼女の呻き声。
その視線の先には、硬く怒張した…僕のペニス。汁を垂らして。
見惚れる彼女の服…肩口の部分に指を掛け、下にずらす。
肩を通して、肘辺りまで下ろしたところで、ぽろんっとこぼれおちる胸。
僅かに膨らんだ双丘の先端に、つんと尖る、薄桃色の乳首。硬く熱く。
服越しにでも勃起しているのは分かったけれど、実物を見ると、やっぱり興奮する。
ちなみにこの服、魚でいうところの鱗の様なものらしい。
初めてエッチした時、彼女の服をどろどろに汚してしまい、
洗濯して返そうと、僕の着替えを渡して持ち帰ったのだけれど…
次に会った時に、まったく同じ服…ただ、すごく薄っぺらいものを着ていた。
それこそ、全身スケスケな薄さ。まあ…その、我慢できなくて、押し倒した。
いや、今はそういう話じゃない。彼女を脱がす話だ。
指を肩紐から抜き、股の間へ移動する。それに気付き…大股開きになる彼女。
ぱっくり開かれた下半身。その一部分を覆い隠す布地に指を掛ける。
指先に感じる、アソコの柔らかな感触と、ネバネバした愛液。グッショリだ。
ゆっくりと横にずらしていき…つるりとした割れ目を、日の下に晒した。
「…♥」
見惚れる僕を、愛しそうに見つめる彼女。
そして、挑発するように…水かきの付いた指で、アソコを…くぱぁっと開いた。
愛液でぬめり、てらてらと妖美に誘う、彼女の秘部。
ふたつの穴…そのうち下の穴が、パクパクと閉じ開き、愛液を垂らす。
「…♥ っ♥」
彼女が、上半身を起こし…僕の肩に手を掛ける。
そのまま…今度は僕が押し倒され、彼女が上に。
艶めかしい笑顔を残して、彼女はくるりと振り返る。
気付けば、互いの性器を臨む体勢。目の前に、つるつるの…。
「…んぐっ…♥ ちゅっ、ぢゅるっ…♥」
と、のんびりしている僕を尻目に、彼女がペニスにしゃぶりつく。
根元どころか、竿の部分まで届かない咥え込み。小さな彼女の口。
でも、先端をすっぽりと包まれ、吸い付かれ、舌で舐め上げられると、
僕の身体中に電気が走ったかのような刺激が…快感が襲い来る。
「はっ…、んっ♥ ぢゅるっ♥ ちゅぅぅ…っ♥ ぺろっ♥」
両手で根元を押さえ、必死さが伝わる激しい愛撫。
あれほど水辺から出るときは警戒していた彼女なのに、
一度スイッチが入ってしまうと、脇目も振らず僕の身体をねぶり尽くす。
時たま、鼻を近付け、胸いっぱいに吸い込んだり、咽を鳴らして愛液を飲み込んだり、
こちらが恥ずかしくなってしまうことまでやってくる。淫乱そのもの。
「ぺろ…♥ ぁっ、きゃうっ♥♥♥ やっ…、ひゃうんっ♥」
しかし、それなら僕も負けてはいない。
小ぶりなお尻を掴み、彼女のアソコに顔を埋め、ねちっこく舌を這わせる。
反撃を受け、フェラチオを中断し、喘ぐ彼女。
甘酸っぱい愛液。味わう様にして、何度も舐め上げる。
ヒクヒクと彼女の襞が反応するのを愉しみながら、何度も。
「ふぁっ…♥ あっ♥ んぅっ♥ んっ…♥」
包皮を向いて、ぷっくり膨れたクリトリスを、親指で転がす。
クリクリと転がり、可愛らしい。調子に乗って、しつこく刺激する。
それに敏感に反応し、背筋を反らせながら、快楽に溺れゆく彼女。
もっと淫らにしたい…。
その一心で、彼女のアソコに唇を重ねる。
「やぁぁっ♥ やっ♥ だめっ♥ だめっ…♥」
小さな穴へ舌をねじ入れ、膣内を犯す僕の舌。
掠れ、消え入りそうな声で、抵抗する言葉。
しかし、それもすぐに彼女の嬌声で押し流される。
「ふぁっ…♥ んっ♥ んむっ…♥ ちゅぅ…っ♥」
彼女の艶姿に耐え切れず、ペニスを押し付け、おねだり。
思い出したように、両手を添え、チロチロと雁首を舐め始める彼女。
「はふ…♥ ちゅっ♥ ぺろっ♥ ぺろ…♥ ちゅぅ…♥」
…日の光が差し込む、木々に囲まれた池の傍らで。
交わるふたり。男と女。葉擦れの音、小鳥の囀りを聴きながら。
およそ似つかわしくない光景に、されど止む気配はなく。
僕達は己が欲望を露わにして、求め合う。愛する人を求め合う。
「ぺろっ…、ちゅ♥ ちゅ…♥ きもち…？♥ ちゅっ…♥ きもちい…？♥」
ふと、危うく聞き逃してしまいそうなほどの小さな声で、彼女が問い掛ける。
もちろんという言葉の代わりに、しなる彼女の尻尾を撫で上げる僕。
悦びの声と共に、彼女はアソコを蜜で滴らせ、愛撫する口には力が入る。
包む手も、竿を擦り上げ…水かきの独特な感触で、僕を射精へと導いていく…。
「んぐっ♥ ぢゅっ♥ ぢゅるるっ…♥ …ひゃうっ！？」
そして…先に耐え切れなくなったのは、僕。
彼女の腰を持ち上げ、再び押し倒し、覆い被さった。
驚き、身を竦める彼女。たまらない気持ちに、ぎゅうっと抱き締める。
彼女のように、言葉では表しきれない想いを、精一杯伝えようと。
それが伝わったのか…同じ様に、抱き返してくれる彼女。強く、強く。
崩れる思考。溶け落ちる心。本能は焼け焦げ壊れそう。
逸る気持ちに逆らわず…ペニスを彼女の秘部へ押し当て…一気に突き入れた。
「ふあぁぁっ♥♥♥」
一瞬で…彼女の最奥に届く。
ぬるぬるとした柔らかい感触に反し、ぎちぎちと締まる膣内。
根元の締まりは特にきつく、動かすのさえ困難に感じる。
「ひぁっ…っ♥ あっ…♥ はっ…♥」
がくがくと震え、涎を垂らす彼女。
普段の彼女からは、とても想像できない表情。
もっと見たい。もっと、彼女が堕ちゆく様を…。
「ぁ…っ…ひぅっ！？♥♥♥ ひぁっ♥ やっ♥ はきゅっ♥」
乱暴に腰を突き入れ、彼女の狭い膣内を掻き乱す。
ごりごりと襞を抉るペニス。子宮口をノックしながら。
根元まで飲み込まれる度に、愛液がびしゃりと飛び散って。
その様は、人間である筈の僕が、魔物である筈の彼女を、
欲望の赴くままに犯す…堕ちに堕ちた獣のそれだった。
「ふぁっ♥ はひっ♥ あっ♥ …ひゃひぃっ！？♥♥♥」
乳首をつねり…腹の肉を、鷲掴む。
ぐにゅりと、手の中で形を変えて、悶える贅肉。
汗でヌルヌルとぬめり、激しい運動によって熱を帯びて。
まるでパン生地をこねるかのように、僕は彼女のお腹を揉んだ。
それに対し、恥ずかしさからか、快感からか、叫び狂う彼女。
両手で腹を揉む腕を掴むも、しかし、力が全く入っていない。
彼女のひどく感じている様子に、僕は更に激しく愛撫する。
おヘソに指を埋めたり、小刻みに揉んだり、大きくこねたり…。
その度に、手を通して彼女の震えが伝わり、膣内はますます締まりを増していく。
「ひぅっ♥ ひぅぅっ♥ ひぅぅぅ〜〜〜っっ♥♥♥♥♥」
不意に、ぷしゃっ…と、結合部から飛沫が弾けた。
潮吹き。彼女は先に達してしまったようだ。
ならば僕も…と、自分が一番感じる動き…奥での細かいストロークに切り替える。
「やぁぁっ♥ らめっ♥ らめぇっ♥ いまっ…イッて…っ♥」
突く度に、亀頭へ吸い付く子宮口。
早く精液を注いでほしいという想いの表れだろうか。
そんな彼女の淫乱ぶりに、限界のタガが、かちりと外れる。
「はやく…っ♥ こわれっ…♥ こわれちゃうよぉぉっ♥」
パンパンに膨れ上がるペニス。
もう動かなくても、そのまま射精してしまいそう。
だけど、僕は腰の動きを止めない。
もっと…、もっと彼女を、もっと、もっと、もっと…っ！
「ひきゅっ…ぅ♥ ふ、ふくらん…っで…っっ♥」
もっとっ…！
「あっ…♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あぁっ♥」
っ…くぅ………っっ！
「あああぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜っっっ♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」
……………
………
…
…釣りを再開して、かれこれ２時間。
収穫は、今のところ…小さいのが２尾に、中くらいが１尾。
いつもと比べれば、若干ゆるいペース。のんびりだ。
「………」
膝に抱えた彼女は、真剣な眼差しで浮きを見つめている。
さすがは元ハンター。釣りもなかなかに筋が良い。太鼓判。
とはいえ、これでは僕がすることがない。
傍から見ると、僕はこんなに暇なことをやっていたのかと思える。
釣りをする彼女を見るのも、それはそれで楽しいものだけれど、
こう、ぴくりとも動かないものだから…ずっと見ていると…。
…からかいたくなる。
「…っ！？」
むにむに。
「〜〜〜〜っ！！」
うん、柔らかい。
この中に、僕のアレが入っているのかと思うと、なんだか感慨深い。
どうしよう。もう一回したくなってきた。さすがに彼女、怒るかな。
「〜〜っ！ 〜〜〜っ！！」
…可愛いなぁ…。
「っ…。………」
……………。
…あ、引いてるよ。
「！」
僕の言葉に、急いで竿を引く彼女。
水面を水飛沫が舞い、糸の先には大きな魚。
「！！」
頭上を飛び越え、ぼとりと、背後に落ちる大物。
びちびちと跳ねて、その存在をアピールしている。
あまりの大物に…相変わらず無表情だけれど、
どことなく…僕には、どことなく嬉しそうに見える、彼女の姿。
「………」
器用に針を外して、手渡される魚。
僕はそれを両手で受け取り、魚籠に入れ、彼女の頭を撫でる。
「…♥」
幸せというのは素敵なものだけれど。
それは時に、人を怠惰な存在に変えてしまう。
でも、僕は幸せならば、怠惰でいいのだと思う。
それで彼女が幸せならば、何も構いやしないのだから。
「………」
餌を取り付け、再び彼女は竿を振りかぶる。
あぁ、この時間が、永遠に続けばいいのに。
「………」
…いや。
「…？」
続けよう、永遠に。
それを決めるのは、誰でもない、僕達だ。
「…♥」
そうだろう？
それは時に、人を怠惰な存在に変えてしまう。
「………」
…そんな、誰かが言った言葉を、ふと思い出す。
湖とも呼べない水溜まりに、釣り糸を垂らす僕。
かれこれ５時間になるだろうか。昼前からこんな感じだ。
崩れた胡座を組み替えながら、ぼんやりと浮きを見つめて。
たまに通りすがる人に、釣れているかと尋ねられる。
僕が、傍らに置いた魚籠を見せると、そういう日もあるだろうなと続く。
たまに通りすがる人に、仕事は休みかいと尋ねられる。
僕は、竿先を僅かに揺らしながら、休みになる仕事がないよと返す。
ここでふたつ、念を押しておきたいことがあるんだ。
ひとつは、僕は働かないことを良しとしているワケじゃあない。
働くのはいいことだ。八百屋が働けば、おいしい野菜がいくつも手に入る。
洋服店があれば、女性は自分を褒めてくれる相手探しに困らない。
そして雑貨屋があるからこそ、僕はこうして釣り具を調達できる。
ただ、僕は働くことに向いていないのだ。
鍛冶屋のおじさん曰く、ノロマらしい。動きがとろい、と。
そうだと思う。のんびりしているからこそ、釣りが好きなんだろう。
今では毎日、釣り上げた魚を家に持ち帰ることが、仕事みたいなもの。
お母さんは僕を、お前は本当に釣りの名人だねえと笑ってくれる。
お父さんは僕に、ここが漁村ならばなぁと苦笑いを浮かべる。
そんな両親のためにも、職に就きたいとは思うのだけれど。
もうひとつ、魚籠の中が空っぽなのは、釣れないからじゃあない。
足元を見てほしいんだ。僕の足元。違う違う、ほら、そこだよ。
「………」
そう、池の中。彼女の姿が見えるだろう？
魔物さ。なんていう名前かは知らないけれど、れっきとした魔物。
…ん。おっと。
「…！」
浮きが沈んだのを見て、引き上げると…獲物が水面から飛び出した。
それなりの大きさ。こちらも名前は分からないけれど、食べられる魚だ。
僕は、釣り上げた魚の口から針を外して、池の中に投げ入れた。
投げ入れる地点は、彼女が沈んでいる真上。距離は短いので難しくない。
魚が池に戻り、また優雅に泳ぎ始めようとするところで…彼女が動く。
それは一瞬。
手に持った銛で、一突き。水面に、ちゃぷんと波紋が走る。
獲物を仕留めた彼女は、悠々と刃先から魚を引き抜き、そのお腹へ齧り付いた。
齧り付いた…と表現したけれど、口が小さいので、吸い付いているようにも見える。
ともかく、つまりはこういうことなのだ。
彼女が満腹になるまでは、いくら釣り上げようと、魚籠の中は空っぽ。
そういう日もあるのではなく、毎日がそういう日なのだ。
「………」
…彼女とこんな関係になったのは、１ヶ月前。
いつもと同じ様に釣りをしていたら、急に足から池の中へ引き摺りこまれた。
そして、まあ、彼女とエッチなことをして、恋人同士になった。突然だけど。
可愛いし、エッチは気持ち良いし、幸せではある。彼女も、僕を好きと言ってくれる。
ならそれでいいじゃないかと思うけれど、僕の村は教会の信仰が根強い。
両親に、僕に恋人ができたことを報告できないのは、それはそれで不幸だ。
さておき、彼女はそれ以降、僕がここで釣りをする時は、ずっと傍に居る。
どうやら前々から、釣り過ぎて逃がしていた獲物を頂戴していたらしく、
今はそれがとても顕著になっている。自分で魚を獲ろうとはしない。
今までの言動から察するに、彼女にとって、釣った魚を池に戻す行為は、
僕が彼女へプレゼントを渡しているのと同じらしい。正直、よく分からない。
だけれど、それで彼女が喜んでくれるのならと、僕はこの行為を繰り返す。
それでも帰る頃には、魚籠一杯に釣れるのだ。勿体無くはない。
「………」
不意に、水面へ顔を出す彼女。
食べ終わったらしい。辺りをきょろきょろと伺っている。
警戒しているようだ。
当然といえば、当然。彼女は魔物なのだから。
教会の関係者に見つかれば、厄介なことになるだろう。
「………」
…大丈夫と判断したのか、黒い髪を滴らせ、陸に上がりくる。
水に濡れ、身体のラインに合わせてぴっちりと吸い付く服。
幼さが残る彼女だけれど、ちゃんと凹凸はある。女性らしく。
水滴が流れ落ちる白い肌も、どことなく艶めかしい。ちょっぴりエッチだ。
「………」
…それにしても、彼女は本当に無口だ。
僕も大概だけれど、彼女の場合は度を越して無口。表情も硬い。
たぶん、いくらくすぐっても、へっちゃらなんじゃないだろうか。
「………」
そんな彼女が、僕の前で目を閉じ…唇を差し出してくる。
こちらから出迎える間もなく、触れ合う唇。ちょん、と軽いもの。
「…♥」
薄く目を開き…ほのかに頬が染まる。
照れているのだと思う。表情は変わっていないけれど。
魚を渡すと、いつもお礼代わりにしてくれるキス。
無口な彼女だけれど、こういうことに関しては大胆だ。
「っ…♥」
そして僕も、大胆に。
お返しとばかりにキスをすると、一層紅くなる彼女。
可愛い。これだから、もっと魚をあげたくなってしまう。
ふと…揺れる竿先。トンボが逃げる程度に。
意識を釣り竿の方に戻すと、水面にあった浮きが見当たらない。
どうやら、また獲物が掛かったようだ。僕はゆっくりと竿を…。
「………」
…引き上げようとした腕が、ぴたりと止まる。
彼女が、僕の腕に絡み付いている。
釣り上げるのを止めようとした…ワケではなさそうだ。
肩に頬を乗せ、重心をこちらに、身体を預けてきている。
これも彼女なりの表現。僕に対し、甘えているのだ。
こうなってしまっては仕方がない。
餌に食いつく魚を諦め、釣竿を置き…彼女をそっと抱き寄せる。
「…♥」
相変わらず、表情に変化はない。
でも、喜んでくれているとは思う。そんな気がする。
互いの表情を窺うように、見つめ合うふたり。
「…っ…♥」
そして、また…どちらからともなく、キス。
今度は深く、情熱的に。舌と舌を絡め合う。
「ちゅっ…♥ ちゅ…ぅ…♥ ふ…っ♥ ぺろ…♥」
彼女はエッチだ。それは間違いない。
毎日、満腹になった後は、食後の運動とばかりに求めてくる。
嫌だなんてことはない。逆だ。僕も、自分の気持ちを隠さずに応える。
「ぺろっ…♥ ぺろ…♥ ちゅ…♥」
僕の舌を、子猫の様に小さな舌が愛撫する。
こんなに可愛らしい口が、魚を丸のまま食べるんだから驚きだ。
口の中は、蜂蜜を含んでいるかのように、唾液でとろけて。
唇を離して覗き見れば、にちゃにちゃと糸引く様が、心を乱す。
そんな涎で塗れた舌を伸ばし、更に口付けを望む彼女。
今すぐにでも押し倒したい気持ちを抑えて、僕は再び唇を重ねる。
「ちゅっ…、ちゅ…♥」
水音を響かせると共に、少しずつ崩れていく…彼女の表情。
眉は下がり、瞳は潤んで、耳ビレは畳まれ、口元は呆け開いて…。
少しずつ、少しずつ…淫乱な彼女の一面が、見え隠れしてくる。
彼女が、その鉄仮面を脱ぎ捨てるのは、この時だけ。
エッチの最中だけは、彼女の心をありのままに見せてくれる。
つまり、彼女の表情というのは、普段のむすっとした表情と、
エッチのときのいやらしい表情のふたつしかない。それしか見たことがない。
でも、だからこそとも言えるのだけれど。今の表情は…狂おしく僕を興奮させる。
「はっ…♥ ん…っ、ちゅっ♥ ぺろっ、ちゅぅ…♥」
口淫に没頭し、必死に彼女は貪りくる。
僕はもっと深くキスをしようと、彼女の肩と腰へ手を回し…。
…ふと、あることに気が付いた。
「ちゅっ…♥ ……っ！！？」
むに…、と摘まむ。指の中で有り余るお肉。
細身と思った彼女のお腹に、だらしないお肉がついている。
「〜〜〜っ！！」
ちょっと心地良かったので、確認も含めて、もう一度、むにむに。
うん、やっぱりついている。太っているというほどじゃあないけれど。
たぶん…というか、間違いなく、最近の習慣の所為だろう。
僕が食糧を獲り与えていたことで、狩りをしなくなった彼女。
運動不足で、贅肉がついてしまったんだと思う。養殖魚みたいに。
「〜〜っ！ 〜〜〜〜っっ！！」
と、急に暴れ出す彼女。
髪がなびくほど首を振って、かなりの取り乱しよう。珍しい。
顔なんて、今までにないくらい真っ赤だ。瞳も、泣き出しそうなまでに潤んでいる。
贅肉がついたことを気付かれたのが、そんなに恥ずかしかったのだろうか。
気にしなくてもいいのに。これはこれで、僕は可愛いと思う。
ほら。触っていて、気持ち良いし。もちもちしていて、おいしそう。
完璧なプロポーションよりも、こっちの方が好き。親しみやすくて。
「っっ…♥♥♥」
思ったままを伝えると…ぴたりと、彼女の抵抗が止む。
お腹を揉む僕の手に、自らの手を重ねて、こちらを見つめてくる。
それは、問い掛けの様でもあり、照れている様でもあり。
僕は笑顔を返し…彼女を草のベッドへ寝転がせ、ズボンを下ろした。
「ぁ…っ♥」
か細く、呼吸の中に消えてしまいそうな、彼女の呻き声。
その視線の先には、硬く怒張した…僕のペニス。汁を垂らして。
見惚れる彼女の服…肩口の部分に指を掛け、下にずらす。
肩を通して、肘辺りまで下ろしたところで、ぽろんっとこぼれおちる胸。
僅かに膨らんだ双丘の先端に、つんと尖る、薄桃色の乳首。硬く熱く。
服越しにでも勃起しているのは分かったけれど、実物を見ると、やっぱり興奮する。
ちなみにこの服、魚でいうところの鱗の様なものらしい。
初めてエッチした時、彼女の服をどろどろに汚してしまい、
洗濯して返そうと、僕の着替えを渡して持ち帰ったのだけれど…
次に会った時に、まったく同じ服…ただ、すごく薄っぺらいものを着ていた。
それこそ、全身スケスケな薄さ。まあ…その、我慢できなくて、押し倒した。
いや、今はそういう話じゃない。彼女を脱がす話だ。
指を肩紐から抜き、股の間へ移動する。それに気付き…大股開きになる彼女。
ぱっくり開かれた下半身。その一部分を覆い隠す布地に指を掛ける。
指先に感じる、アソコの柔らかな感触と、ネバネバした愛液。グッショリだ。
ゆっくりと横にずらしていき…つるりとした割れ目を、日の下に晒した。
「…♥」
見惚れる僕を、愛しそうに見つめる彼女。
そして、挑発するように…水かきの付いた指で、アソコを…くぱぁっと開いた。
愛液でぬめり、てらてらと妖美に誘う、彼女の秘部。
ふたつの穴…そのうち下の穴が、パクパクと閉じ開き、愛液を垂らす。
「…♥ っ♥」
彼女が、上半身を起こし…僕の肩に手を掛ける。
そのまま…今度は僕が押し倒され、彼女が上に。
艶めかしい笑顔を残して、彼女はくるりと振り返る。
気付けば、互いの性器を臨む体勢。目の前に、つるつるの…。
「…んぐっ…♥ ちゅっ、ぢゅるっ…♥」
と、のんびりしている僕を尻目に、彼女がペニスにしゃぶりつく。
根元どころか、竿の部分まで届かない咥え込み。小さな彼女の口。
でも、先端をすっぽりと包まれ、吸い付かれ、舌で舐め上げられると、
僕の身体中に電気が走ったかのような刺激が…快感が襲い来る。
「はっ…、んっ♥ ぢゅるっ♥ ちゅぅぅ…っ♥ ぺろっ♥」
両手で根元を押さえ、必死さが伝わる激しい愛撫。
あれほど水辺から出るときは警戒していた彼女なのに、
一度スイッチが入ってしまうと、脇目も振らず僕の身体をねぶり尽くす。
時たま、鼻を近付け、胸いっぱいに吸い込んだり、咽を鳴らして愛液を飲み込んだり、
こちらが恥ずかしくなってしまうことまでやってくる。淫乱そのもの。
「ぺろ…♥ ぁっ、きゃうっ♥♥♥ やっ…、ひゃうんっ♥」
しかし、それなら僕も負けてはいない。
小ぶりなお尻を掴み、彼女のアソコに顔を埋め、ねちっこく舌を這わせる。
反撃を受け、フェラチオを中断し、喘ぐ彼女。
甘酸っぱい愛液。味わう様にして、何度も舐め上げる。
ヒクヒクと彼女の襞が反応するのを愉しみながら、何度も。
「ふぁっ…♥ あっ♥ んぅっ♥ んっ…♥」
包皮を向いて、ぷっくり膨れたクリトリスを、親指で転がす。
クリクリと転がり、可愛らしい。調子に乗って、しつこく刺激する。
それに敏感に反応し、背筋を反らせながら、快楽に溺れゆく彼女。
もっと淫らにしたい…。
その一心で、彼女のアソコに唇を重ねる。
「やぁぁっ♥ やっ♥ だめっ♥ だめっ…♥」
小さな穴へ舌をねじ入れ、膣内を犯す僕の舌。
掠れ、消え入りそうな声で、抵抗する言葉。
しかし、それもすぐに彼女の嬌声で押し流される。
「ふぁっ…♥ んっ♥ んむっ…♥ ちゅぅ…っ♥」
彼女の艶姿に耐え切れず、ペニスを押し付け、おねだり。
思い出したように、両手を添え、チロチロと雁首を舐め始める彼女。
「はふ…♥ ちゅっ♥ ぺろっ♥ ぺろ…♥ ちゅぅ…♥」
…日の光が差し込む、木々に囲まれた池の傍らで。
交わるふたり。男と女。葉擦れの音、小鳥の囀りを聴きながら。
およそ似つかわしくない光景に、されど止む気配はなく。
僕達は己が欲望を露わにして、求め合う。愛する人を求め合う。
「ぺろっ…、ちゅ♥ ちゅ…♥ きもち…？♥ ちゅっ…♥ きもちい…？♥」
ふと、危うく聞き逃してしまいそうなほどの小さな声で、彼女が問い掛ける。
もちろんという言葉の代わりに、しなる彼女の尻尾を撫で上げる僕。
悦びの声と共に、彼女はアソコを蜜で滴らせ、愛撫する口には力が入る。
包む手も、竿を擦り上げ…水かきの独特な感触で、僕を射精へと導いていく…。
「んぐっ♥ ぢゅっ♥ ぢゅるるっ…♥ …ひゃうっ！？」
そして…先に耐え切れなくなったのは、僕。
彼女の腰を持ち上げ、再び押し倒し、覆い被さった。
驚き、身を竦める彼女。たまらない気持ちに、ぎゅうっと抱き締める。
彼女のように、言葉では表しきれない想いを、精一杯伝えようと。
それが伝わったのか…同じ様に、抱き返してくれる彼女。強く、強く。
崩れる思考。溶け落ちる心。本能は焼け焦げ壊れそう。
逸る気持ちに逆らわず…ペニスを彼女の秘部へ押し当て…一気に突き入れた。
「ふあぁぁっ♥♥♥」
一瞬で…彼女の最奥に届く。
ぬるぬるとした柔らかい感触に反し、ぎちぎちと締まる膣内。
根元の締まりは特にきつく、動かすのさえ困難に感じる。
「ひぁっ…っ♥ あっ…♥ はっ…♥」
がくがくと震え、涎を垂らす彼女。
普段の彼女からは、とても想像できない表情。
もっと見たい。もっと、彼女が堕ちゆく様を…。
「ぁ…っ…ひぅっ！？♥♥♥ ひぁっ♥ やっ♥ はきゅっ♥」
乱暴に腰を突き入れ、彼女の狭い膣内を掻き乱す。
ごりごりと襞を抉るペニス。子宮口をノックしながら。
根元まで飲み込まれる度に、愛液がびしゃりと飛び散って。
その様は、人間である筈の僕が、魔物である筈の彼女を、
欲望の赴くままに犯す…堕ちに堕ちた獣のそれだった。
「ふぁっ♥ はひっ♥ あっ♥ …ひゃひぃっ！？♥♥♥」
乳首をつねり…腹の肉を、鷲掴む。
ぐにゅりと、手の中で形を変えて、悶える贅肉。
汗でヌルヌルとぬめり、激しい運動によって熱を帯びて。
まるでパン生地をこねるかのように、僕は彼女のお腹を揉んだ。
それに対し、恥ずかしさからか、快感からか、叫び狂う彼女。
両手で腹を揉む腕を掴むも、しかし、力が全く入っていない。
彼女のひどく感じている様子に、僕は更に激しく愛撫する。
おヘソに指を埋めたり、小刻みに揉んだり、大きくこねたり…。
その度に、手を通して彼女の震えが伝わり、膣内はますます締まりを増していく。
「ひぅっ♥ ひぅぅっ♥ ひぅぅぅ〜〜〜っっ♥♥♥♥♥」
不意に、ぷしゃっ…と、結合部から飛沫が弾けた。
潮吹き。彼女は先に達してしまったようだ。
ならば僕も…と、自分が一番感じる動き…奥での細かいストロークに切り替える。
「やぁぁっ♥ らめっ♥ らめぇっ♥ いまっ…イッて…っ♥」
突く度に、亀頭へ吸い付く子宮口。
早く精液を注いでほしいという想いの表れだろうか。
そんな彼女の淫乱ぶりに、限界のタガが、かちりと外れる。
「はやく…っ♥ こわれっ…♥ こわれちゃうよぉぉっ♥」
パンパンに膨れ上がるペニス。
もう動かなくても、そのまま射精してしまいそう。
だけど、僕は腰の動きを止めない。
もっと…、もっと彼女を、もっと、もっと、もっと…っ！
「ひきゅっ…ぅ♥ ふ、ふくらん…っで…っっ♥」
もっとっ…！
「あっ…♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥ あぁっ♥」
っ…くぅ………っっ！
「あああぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜っっっ♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」
……………
………
…
…釣りを再開して、かれこれ２時間。
収穫は、今のところ…小さいのが２尾に、中くらいが１尾。
いつもと比べれば、若干ゆるいペース。のんびりだ。
「………」
膝に抱えた彼女は、真剣な眼差しで浮きを見つめている。
さすがは元ハンター。釣りもなかなかに筋が良い。太鼓判。
とはいえ、これでは僕がすることがない。
傍から見ると、僕はこんなに暇なことをやっていたのかと思える。
釣りをする彼女を見るのも、それはそれで楽しいものだけれど、
こう、ぴくりとも動かないものだから…ずっと見ていると…。
…からかいたくなる。
「…っ！？」
むにむに。
「〜〜〜〜っ！！」
うん、柔らかい。
この中に、僕のアレが入っているのかと思うと、なんだか感慨深い。
どうしよう。もう一回したくなってきた。さすがに彼女、怒るかな。
「〜〜っ！ 〜〜〜っ！！」
…可愛いなぁ…。
「っ…。………」
……………。
…あ、引いてるよ。
「！」
僕の言葉に、急いで竿を引く彼女。
水面を水飛沫が舞い、糸の先には大きな魚。
「！！」
頭上を飛び越え、ぼとりと、背後に落ちる大物。
びちびちと跳ねて、その存在をアピールしている。
あまりの大物に…相変わらず無表情だけれど、
どことなく…僕には、どことなく嬉しそうに見える、彼女の姿。
「………」
器用に針を外して、手渡される魚。
僕はそれを両手で受け取り、魚籠に入れ、彼女の頭を撫でる。
「…♥」
幸せというのは素敵なものだけれど。
それは時に、人を怠惰な存在に変えてしまう。
でも、僕は幸せならば、怠惰でいいのだと思う。
それで彼女が幸せならば、何も構いやしないのだから。
「………」
餌を取り付け、再び彼女は竿を振りかぶる。
あぁ、この時間が、永遠に続けばいいのに。
「………」
…いや。
「…？」
続けよう、永遠に。
それを決めるのは、誰でもない、僕達だ。
「…♥」
そうだろう？
12/06/19 21:40更新 / コジコジ