読切小説
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玉珠曜黒
穢れた貴女は、妖惑な恋人。

「ねぇ、ダーリン。今日はこんな子を連れてきたの♪」

そう言って彼女が、僕に紹介したのは…一人の少女。
僕よりも幼く見えるその女の子は、人間じゃない。魔物だ。
手首、足首と、腰から膝まで、綿毛の様なものに包まれた女の子。
ふわふわと宙を漂って、とても楽しそうな…満面の笑顔を浮かべている。

「どう? 可愛い子でしょう♪」

でも、その格好は、今まで紹介されたどの魔物よりもエッチだった。
だって、綿毛の様なもの以外、何も身に付けていない。胸なんて丸見えで…。
それを隠そうともせず、恥ずかしいとも思っていなさそうな彼女。

不意に…目が合って、僕は反射的に、おねえさんの後ろに隠れた。

「ふわふわ〜んっ♪ あははーっ♪ おにーちゃん、あそぼ〜♪」

無邪気に近付いてくる、綿毛の女の子。
どぎまぎして動けない僕の腕を掴んで、その身体を擦り付けてくる。

触れ合う肌から感じる、やわらかな温もり。
おねえさんのすべすべした肌とは違う…ぷにぷにした感触。
前に、僕を襲った…角と羽、尻尾が生えた、魔物の女の子…それと似ている。
こんな風に、身体を擦り付けながら…僕を押し倒して……。

「ダーリン、ほら、この子とエッチな事…してもいいのよ?♥」

おねえさんの囁きに、僕の胸がどきりと跳ねる。
やっぱり、この女の子もなんだ。僕とエッチな事をさせるために…。

どうして? おねえさん…。
僕が好きなのは、おねえさんだけなのに。エッチな事をしたいのは、貴女とだけ。
他のおねえさんや、この女の子を見て、ドキドキはしちゃうけれど…
僕が、エッチな事をしたいのは…してもらいたいのは…おねえさんにだけ……。

エッチな事って、好きな人同士とするんでしょ…?
もしかして、おねえさんは、僕が好きじゃないの?
好きじゃないから…こうして、別の人とさせようとしているの?
分からないよ、おねえさん。僕、おねえさんの気持ちが分からない…。

おねえさんは、僕のことが、キライなの…?

「おにーちゃーんっ、あそぼうよ〜♪」

と、僕の顔を覗き込み…息の届く距離まで迫る綿毛の子。
びっくりして、慌てて下を向いて、その子から視線を逸らす。

可愛い。キミのこと、とても可愛いと思う。
でも、違う。違うの。ごめんね。エッチな気分になって、ごめんね。
僕が好きなのは、おねえさんだから…。おねえさん一人だけだから…。
だから、他の女の子を好きになっちゃいけないんだ。どんなに可愛くても。
おねえさんを裏切りたくないから。おねえさんだけを愛したいから。

「ごめんね、この子、恥ずかしがり屋なの。もう、ダーリンったら…♥」

僕の頭を、優しく撫でてくれるおねえさん。
あたたかくて、やさしくて、エッチな…僕の大好きな、おねえさん。

ねえ、おねえさん。

おねえさんは、そうじゃないの…?

……………

………



「さあ、ダーリン。今日も愛し合いましょう♥」

躊躇する僕の背中を押すおねえさんの手に、びくんと震えてしまう。
そのまま促されて、足を踏み入れた場所は…エッチな事をするお部屋。

真ん中には、丸い形の大きなベッドがあって、戸棚の中には、ぶるぶる震える…
オチンチンやタマゴの形をしたオモチャ、ぬるぬるする水や鉄の輪っかが入ってる。
ベッドの下には、ムチとかロウソクとか…あれもエッチな事に使うのかな…。
そして、部屋の隅にある…おねえさんと瓜二つな…でも、お馬さんの部分、
背中の辺りが尖っていて、とても乗りにくそうな、木で作られたお人形さん。

まだまだある。今挙げたのは、床に置かれているものだけ。
天井は一面丸々鏡になっているし、隣の部屋にあるお風呂も、
変なマットが敷いてあったり…壁がガラスでできていて、隣の部屋が見えたり…。

今まで、まだそのどれもを使ったことはないけれど…使い方も知らないけれど…
用意してあるってことは、おねえさん、オモチャを使ってエッチしたいのかな…。

「うふふ♥ 焦らないで♥ いっぱい可愛がってア・ゲ・ル♥」

想像して…あそこが苦しくなった僕に降りかかる、甘い誘惑の声。

可愛がってくれる…。おねえさんが、今日も、僕のことを。
早く…、早く、おねえさんっ。今日もいっぱい、エッチな事…っ。

「さっ♥ お洋服、ぬぎぬぎしましょうね〜♪」

とん、と僕の身体を押して…ベッドに倒し…洋服に手を掛けるおねえさん。
そして、ボタンを外す度に…、チャックを下ろす際に…、ぷるんと揺れる、大きな胸。

それを見ていて、ズボンの締め付けから解放されたのに…
ますます苦しく…大きく…硬くなっていく、僕のオチンチン。
さきっぽからは、エッチなおつゆが垂れて…おねえさんが、それを嬉しそうに見ている。

恥ずかしい…。

「ダーリィ〜ン?♥ ドコ見てるのかしら〜?♥」

そう言われ、顔がすっごく熱くなって、目を逸らそうとした瞬間…
僕の目に飛び込んできたのは…覆い隠す僅かな布さえ剥がされた…オッパイ。
逃げる筈だった視線が、釘付けになって…薄紅色の先端を見つめてしまう…。

呼吸さえも忘れて、僕の心に渦巻く欲望。
触れたい。吸いたい。舐めたい。嗅ぎたい。掴みたい。挟まれたい…。
でも、そのどれもできないほど、心奪われていて。放心した、僕の身体。

「あらあら♥ 昨日もあんなに出したのに…元気いっぱい♥」

だって、だって、おねえさんのそんな姿を見たら。
近くにいてくれるだけで、ドキドキするのに。幸せなのに。
おねえさんは僕に、話し掛けてくれて、撫でてくれて、エッチなことまで…。

幸せ過ぎて、死んじゃいそう…。

「嬉しいわ、ダーリン♥ イイコイイコしてあげちゃう♥」

細く、白い指…。僕の髪を、掻き混ぜて…。
ゆりかごの中にいるみたいに、心地良い。ゆらゆら、ふわふわ。

おねえさん、もっと…。もっと、僕を撫でて…。

「ふふっ…♥ …こっちも…♥」

ふと、空いた手が…僕の大きくなったオチンチン…その先端を包む。
そのまま、左右に小さく回し掻き混ぜる動作に…思わず呻いてしまう僕。

自分で触れるのとは違う、あそこに走る鋭い痺れ。
下腹の奥の方に感じる、鈍い痛みの様な違和感。むずむずと。
おタマも、きゅんって締まるような感じになって…それにまた、呻いて。
そんな僕を…おねえさんは、ニヤニヤと悪戯な表情。

「イイコ、イイコ…♥ きゃっ♥ すっごい跳ねた♥」

くちゅくちゅと水音が聞こえてきたところで…耐え切れなくなって、目を瞑った。
口も噤んで…最低限の吐息だけを、快感と共に逃がしながら…。

こんなの…あの頃には、想像できなかった。
森で初めておねえさんを見て、その夜から、ずっと、おねえさんの裸を思い浮かべて…。
まだ白い姿だった頃のおねえさん。エッチな夢の中で、僕にしてくれたこと。
僕が知る以上のことはしなくて、快感も、これより全然弱くて…。
裸の姿だって、もやが掛かったような感じで…それでも、興奮はしたけれど…。

「ダーリン…♥ …んっ…♥ ちゅっ…♥ ぺろ…♥」

プリンみたいな、甘く柔らかな唇が重なる。

キスだって、そう。夢の中では、数回交わすだけで満足。
実際は、違う。何度しても…している間でも…もっとしてほしくなる。
僕の知っている、唇を重ねるキスも。僕の知らない、舌を絡ませるキスも。
きもちよさは何倍も強いのに、もっと、もっと…って……。

「可愛い…♥ 私のダーリン…♥ ちゅぅ…♥」

僕の胸に、おねえさんの胸が、むにむにと押し当たる。弄る手も、速さを増して。
それに反応する身体…オチンチンが、もう我慢できないって…泣き叫んでいる。

おねえさん…、出したい…。僕、出したいっ。
その手の中に…いっぱい、出したい…っ。セーエキ、いっぱいっ…。
お願い、出させてっ。お願い…、お願いっ…。おねえさん…っ!

「…ねぇ、ダーリン、気付いてる…?♥ 天井を見て…♥」

……え…? 天、井…?

…見ると……そこには、鏡……違う…、ガラスの向こう側から覗いている…
はだかんぼの、他のおねえさん達と…さっき紹介されたばかりの、笑顔のあの子。

ワケが分からなくて………でも、やっと、見られていることに気付いて、
頭の中がぐちゃぐちゃになりながら…必死で顔とあそこを隠した。

「そう…♥ 皆、ずっと覗いていたのよ♥ あそこから…♥」

そんな…。なんで? どうして…?
どうしてこんなことをするの? おねえさん…。

やだ…。やだっ…。皆に見られながらなんて…。
おねえさん以外に……イくところ……見られちゃうなんて………っ。

「あら…♥ まぁ…ダーリンったら♥ 見られて、我慢できなかったの?♥」

違う。違うっ。おねえさんの手がきもちよかったから。
きもちよすぎて、我慢できなくて…、見られたからじゃなくてっ…。

おねえさんだから。おねえさんだからなのに…っ。

「じゃあ、もっと皆によく見て貰いましょう♥ ダーリンの、射精してるオチンチン…♥」

僕のお尻を持ち上げ…幹の部分をゴシゴシ扱いて、おねえさんが更に射精を促す。
薄く、ぼやける視界に見える…上にいる皆が、僕達を見て、エッチな事をしている姿…。
ナイトメアさんの胸や、ダークエルフさんのお尻、オークさんのふともも、
ワーウルフさんのうなじに、綿毛の子のアソコ…。どれも煽情的で…。

僕が好きなのは……おねえさんだけのハズなのに…っ…。

「あらあら…♥ 自分の精液まみれになっちゃったわね♥」

そう言って、舌で…おへそをくちくちと舐める、僕の愛する人。
我慢なんて…もう、できない。響く快感を、そのまま、声にして吐き出す。

おねえさん…、お願い、お願いしますっ…。
僕を…おねえさん以外の人で、ドキドキさせないで…。
掻き消して。呑み込んで、おねえさん。助けてっ…。

「ちゅるっ……こくん…♥ …さ、次はお待ちかね、ダーリンの好きな…オッパイ♥」

おねえさんっ…。そんな…。どうして助けてくれないの…?
なんでも…、おねえさんの言う事、なんでも聞くから…。
オモチャの使い方、がんばって覚えるから…。もっと背も高くなって…
大人になって、おねえさんに似合う人になれるように、がんばるからっ…。

おねえさんっ…!

「ほぉ〜ら…包んじゃった♥ オチンチン、見えなくなっちゃったわね♥」

ぁっ…。あ……ぁぁ…っ……。

だめっ…。も…何も、考えられない…。
きもちいい…。きもちいいよぉ…。オチンチン、とけちゃいそうなくらい…。

もっとっ…。もっと、ぉ……っ。

「くすっ…♥ ダーリンの、蕩けた表情…大好きよ♥」

オチンチンを包む胸が、上下に動き…同時に、全身を針で刺されたような…
逃げ場のない…逃がし方も分からない、凶悪なまでの快楽が、指の先まで迸る。

「んっ…♥ ふ…♥ 中にコリコリした熱いのがあるの、分かる…♥」

…あの時に、似てる…。初めて、おねえさんとした時と…。
おねえさんのアソコにオチンチンを入れた時…腰がぬけちゃって…。
それでも、なんとか腕の力だけで頑張ったんだけれど…動く度に…
これと同じ、心が壊れてしまいそうなほどの快感が、僕を襲った。
目の前がパチパチして…気絶しそうになりながら…耐えて…耐えて……。

そして、おねえさんは、僕の恋人に…。

「…出そう…?♥ まだ動かし始めたばっかりなのに♥」

僕の状況を知ってか知らずか、おねえさんは胸を動かす手を休めない。
僕のオチンチンは、とっくに限界を超えて…射精するのを待っている状態。

まるで、雷。光っても、音が鳴るのは、少し後。
その少し後が…気が遠くなりそうなほど、訪れない。

「もう少し我慢して、ダーリン♥ オッパイ、終わっちゃうわよ?♥」

やだ…。でも、終わってほしい…。でもっ……。

分からない…。分からない。分からないよぉっ!

「はぁっ…♥ 私も感じちゃう…♥ ダーリン…♥」

あぁっ…! でる…っ! おねえさん、でるっ! でちゃうっ!
オッパイ…オッパイにでるぅ…っ! やぁぁっ…! おねえさぁん…っ!

っ…ぁ……っっ!

「ぁ…ダーリンッ……きゃあっ♥♥♥ はっ…♥ あはっ♥ すごい…♥」

…っ………っ……ぁ…ぅ………。

「あんっ…♥ まだ出てる…♥ …こんなに出たら、今日はセックス、無理かしら…?♥」

ぇ……。

ゃ…やだっ…。そんなの…絶対やだっ!

「きゃっ♥」

動かない身体を、無理矢理動かして…おねえさんの身体にもたれ、
耳元で、もう呼吸の音と変わらない声で…必死に、想いを伝える。

まだ、できる。

大丈夫。

気持ち良くさせてあげる…。

「……ダーリン…♥」

おねえさん…。

僕が愛しているのは…おねえさんだけ…。
僕がエッチしたいのは…僕の身体は……僕の全部は………。
おねえさんにだけ、あげたい…。おねえさんにだけ…。

おねえさんだけが、僕の全てだから…。

「ぁ…♥」

ぼやけた景色の中…触れ合う部分で探りながら…オチンチンを、アソコに押し当てる。

そして…何の抵抗もなく…その先端が、迎え入れられて……。

「あぁぁっ♥♥♥」

ちゅぷん…という、愛液が絡まる音と共に、根元までがおねえさんのナカに包まれる。

おねえさん…ごめんなさい…。
オモチャの使い方が分からなくて、ごめんなさい…。
ハンサムでも、背が高くもなくて、ごめんなさい…。
エッチも下手だよね…、きっと、きもちよくないよね…、ごめんなさい…。

「ひあっ…♥ だ、ダーリンッ…♥ 激しっ…♥」

でも、愛しているから…。おねえさんだけを、ずっと、ずっと。
おねえさんが、どれだけ美人な人を連れてきても、胸が大きい人を連れてきても、
はだかんぼの子を連れてきても、皆が、おねえさん以上だって言う人を連れてきたって…。

だから…だから、お願い。
おねえさんも、僕のことを……。

「ダーリン…ッ♥ ダーリィンッ♥ んくっ…♥ 好きっ…♥ 好きぃっ♥」

えっ…。ほん、と…? 本当? おねえさん、今の…本当?

おねえさんっ…。
僕も…、僕もおねえさんのこと、好きっ…。大好きっ…。
がんばるねっ。いっぱい、きもちよくさせてあげられるようがんばるねっ。

「熱いっ…♥ ダーリンのオチンチンもっ…♥ ナカもっ…♥ きゃうんっ…♥」

おねえさん、きもちいい? イッてっ。おねえさん、イッてっ…。
僕、もう、我慢できないから…。それでも、僕、がんばるから…
おねえさんがイくまで、僕もがんばるからっ……だからっ………。

「やぁっ♥ ダーリンッ…♥ イくっ♥ イッちゃ……っ♥」

おねえさんっ! うけとめてっ! これが……これが、僕の…!

ぼくの………っっ!

「きゃうううぅぅぅぅぅんっっっ♥♥♥♥♥♥♥」

これが僕の……。

……………

………



「ねぇ、ダーリン。今日はこんな子を連れてきたの♪」

そう言って彼女が、僕に紹介したのは…一人の少女。

「やっほーっ♪ …って、あーっ!?」

え…? ………あっ! あーっ!?

「キミ、なんで私とエッチした後に逃げちゃったのさーっ!」

「魔界近くの森まで来て、何か探してるみたいだったから、私をかと思ったのにー!」

この子…僕がおねえさんに告白しようとした直前に、襲ってきた魔物の子!
な、なんで…、なんでよりにもよってこの子を連れてくるの!? おねえさんっ!

「ねぇ、貴女、この子を襲ったら逃げられちゃったの?」

「そうだよ〜っ。1回エッチした後に…」

おねえさん、なんで嬉しそうなの? わざとなの? 知ってて連れてきたの?
やっぱり、おねえさん…僕のことが嫌いなの…? だから、意地悪するの…?

「…ふふっ♥ じゃあ、これからはたくさんエッチできるわよ♥」

「ホント!? やったー!♥」

「さあ、ダーリン…♥」

ニコニコ顔のおねえさんが促す先は、いつものお部屋。
他のおねえさん達も、きっともう、準備を終えて待っている。

少しだけ変わった、僕の心。
他のおねえさん達とも、エッチなことができるようになった僕。
それがおねえさんのためにもなるって知ったから。他のおねえさん達のためにも。
そして…分かったから。おねえさんと愛し合えていることが、分かったから。

…ほんの少しだけ、まだ不安はあるけれど。
きっと、それも彼女の魅力。意地悪好きな、僕の彼女。

「今日も愛し合いましょう♥」

妖惑な貴女は、僕の恋人。

……………

………

12/05/15 00:49更新 / コジコジ

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