夢之楽園
皆様、本日は当ツアーに御参加頂き、ありがとうございます。
目の前の門を抜ければ、いよいよ目的地『ファラリカ』の城下街です。
市街に入ると、住人の方々が皆さんを歓迎してくれると思われますが、
車外に身を乗り出しますと大変危険なため、充分に御注意くださいませ。
それではここで、今一度、本日のツアー概要等を説明させて頂きます。
創造と愛の国『ファラリカ』。
人間と魔物が共存する親魔物領として、五百余年の歴史を持つ、古都のひとつです。
創作王ナンシー・R・トォンの統治の下、１０３万９８０１人が暮らす大都市であり、
街は、商業区、娯楽区、居住区、練兵区の、大きく四区画に分かれています。
人口比は、人魔比が３：７、男女比が２：８。親魔物領としては、人間の比率が高めです。
主な収入源は観光業関連。ですが、チチコンニャクの名産地としても有名です。
この『ファラリカ』を、本日案内させて頂きますのが、私、ガイドのマータです。
種族はダークマター。駆る車は、空飛ぶ魔力塊『テンタクルス・スカイハイ』。
柔らかなクッションと世話好きな触手達が、皆さんの旅路に安らぎを御約束致します。
もし、お客様の中に触手アレルギーの方がいらっしゃいましたら、御声掛けくださいませ。
同伴のスライム達が、触手に代わって、お客様へ快適な空間を提供させて頂きます。
また、触手のひとつひとつは、私の魔力により生成したもの…感覚を共有していますので、
男性のお客様は、婚約を前提としたものでなければ、どうか悪戯なきようお願い致します。
さて、本日の日程ですが、現在の時刻は…１０時２８分。
このまま予定通り、１０時３０分には城下街に入り、街中を案内させて頂きます。
ルートは、商業区、居住区、練兵区、娯楽区の順に巡り、
最後にファラリカ城を上空から見下ろして、ツアー終了となります。
また、途中に何度か、食事やトイレ休憩ができる場所にて停車致します。
停車時間内に戻られなかったお客様は、触手がお迎えに向かいますので、
もし迷子になったとしても、慌てず騒がず、その場にてお待ちくださいませ。
触手は、乗車前にお配りした魔水晶の魔力を頼りに探索を行いますので、
下車される際には、車内に魔水晶を置き忘れることのないようお願い致します。
以上です。何か御質問等はございますでしょうか。
はい、そちらの窓際の席の方。
…ああ、いえ。歓迎と言いましても、そのようなものではありません。
道行く人達が、手を振ったり、笑顔を向けてくれたりする、ささやかなものです。
ただ、中には、車両の近くまで飛んできて、性的なアピールをされる方もいるので、
その際に、身を乗り出して抱きついたりしないように…という注意喚起です。
稀に、『襲う』と表現しても過言ではないアピールをされる方もいらっしゃいますので…。
他にどなたか、御質問はありますでしょうか。
…無いようですので、それでは、案内を始めさせて頂きます。
皆様、上を御覧ください。
私達が今くぐっているこの門ですが、名を『ランブレィラ』といいます。
大きな柱を真ん中に据え、半球状の屋根が特徴的な、この街の出入り口ですが、
実はこちら、遠目から見ると、傘のような形をしていることが分かります。
それもそのはず。『ランブレィラ』とは、別名『相合傘』。
こちらの門は、相合傘をモチーフとして作られたものなのです。
柱を挟んで、両壁に絵が彫られていますが、西側が人間、東側が魔物となっており、
この門をくぐる時、それぞれが自分の種族の側を通ると、一緒に門を抜けた相手と、
永遠かつ情熱的な愛を約束してくれると云われています。ロマンチックですね。
また、告白・デートスポットとしても非常に人気が高く、
柱や壁面のあちこちに、カップルの相合傘が彫られています。
実は、ナンシー王と、その夫ソラ様の相合傘もこの中にあるのですが、
皆さん、どこに彼女達の傘が彫られているか、見つけられましたか？
そう、そちらのインプさん、正解です。
あそこです。あそこの…見えますでしょうか。天井の、柱の付け根のところです。
最も高いところに、ナンシー王は、自分達の相合傘を彫ったのです。
もしかすると、『自分達の愛こそ一番！』というアピールなのかもしれません。
そんな愛の門『ランブレィラ』を抜けまして。
まず私達をお出迎えしてくれますのが、『ファラリカ』の誇る商業区です。
すごい人だかりに、驚かれた方も多いでしょう。
ですが、商品を見ている方々は、実は半数以上が外の人です。
皆さんと同じ観光客の方もいれば、近隣の国から仕入れに来た商人さん、
旅の途中に寄った冒険者さん、お忍びで来られた貴族様等々…。
観光業を生業としている『ファラリカ』にとって、この商業区は、
街の原動力であり、最も活気に満ち溢れた場所でもあるのです。
食材や武具、服飾、ペット、魔法書、貴金属…。
あらゆるものが売買されていますが、その中でも、
特に購買者の目を惹きつける商品がいくつかあります。
そのひとつが、あちらに見えます『マジックペッタン』。
お客様の装飾品等に、呪紋を付与する呪符を販売しているお店です。
私の手元にあります、こちらの呪符が、その『マジックペッタン』でして、
例えば、こちらの『幻惑』の呪符を、私の服に貼り付けますと…。
どうでしょう。私の姿が、呪符を貼る前よりもぼやけては見えませんでしょうか。
このように、呪符を貼るだけで、魔法の効果を得ることができるアイテムなのです。
種類は年々増え、今では３００種類以上もある、こちらの商品。
その中でも人気なのは、やはり『誘惑』や『催淫』といった、アダルト関係がダントツです。
次点、『勇気』や『素直』、『楽観』といった、性格の改善を補助するもの。
コアな方向けに、『幼愛』や『馬根』等の効果も揃えられています。
お値段は１枚１５０Ｇから。一度貼ると、３時間ほど効果が持続します。
よって、このままでは私の姿が朧なままですので、申し訳ありませんが、
今からしばらくの間、服を脱がさせて頂きます。御了承くださいませ。
…っふぅ。お待たせ致しました。
いかがでしょう、私が身に付けています下着のデザイン。
実はこちらも、『ファラリカ』名物のひとつなのです。
あちらの曲がり角にある、大きな看板のお店をご覧ください。
服飾店『Island of Village』。『イヴ』の愛称で親しまれているお店です。
こちらのお店では、主に魔物向けの洋服を販売しています。
店長のラクネさんがデザインされた服の数々は、ヴァンパイアの方々をもうっとりとさせる、
卓越されたセンスと、一級品のアラクネ糸によって作られた、まさに至高の一品。
それでいてお値段がリーズナブルなことも相まり、人気はうなぎのぼりです。
特に下着の人気が高く、『勝負用下着はイヴで！』と語る女性も少なくありません。
着用者の魔力を高める呪紋も刻まれていまして、熱い夜を過ごすためには欠かせない装備品です。
余談ですが、私は素肌を見られますと、非常に興奮します。
こちらの下着、大事な部分の生地が薄く、うっすら透けているのがお分かりになりますか？
はい、ここと…この部分です。黒い布地の向こうに、桃色の何かが覗いていますでしょう。
こういったオーダーメイドにも応じてくださいますのが、『イヴ』の人気の秘密です。
これらの他にも、たんたんたぬき商会の方々による『突発！ 路上オークション』、
店長やスタッフ自ら、アダルトグッズの実演販売を行っている『Hot♥Night』、
生命金属を用いた可変式武具『メタモニア』等々、見所は数多くございます。
ですが、今回は御時間の都合上、これてに次の区画へと移動させて頂きます。
…あ。皆さん、周りをご覧ください。
中華飯店『華味狐色』名物の、空飛ぶ移動販売店です。
皆さんが今乗車されている魔力塊を含め、圧縮した大量の魔力塊を、
様々な乗り物へと変形させる技術は、もう珍しいものではなくなりましたが、
それを移動販売店として活かしたのは、こちらの『華味狐色』が元祖です。
皆さん、そろそろお腹が空いてきた頃合ではないでしょうか。
どうぞこちらの『華味狐色』にて、昼食をお召し上がりになってくださいませ。
店員さん、こちらにも小籠包をひとつ頂けますか？ はい、３４０Ｇ。
さて、あつあつの中華を頬張りながら。
眼前に見えてきましたのは、『ファラリカ』の人々が暮らす場所、居住区です。
街並みこそ、人間のそれと変わらないように見えますが、
実はこの居住区、地上・地下・空中の、三層に大別されています。
つまり、家々が立ち並ぶこの地面の下に、もうひとつの街並みがあり、
そして、この大空…あの雲の大群こそが、更なるひとつの街並みなのです。
なぜこのような形を取っているのか、順を追って説明させて頂きます。
まず、地上層。こちらは人間のものと同じです。
大半の世帯が地上層に住み、一軒家が多いのが特徴です。
そのため、居住区は都市全体の７割を占めており、
外の人にとっては、商業区以上に迷子の名所となっています。
また、学校や教会といった施設も地上層に集中していまして、
地下や空中に住まう方々も、式等の際にはそちらを利用しています。
次に、地下層。地底湖と洞窟のエリアです。
主に水棲の魔物や、湿地を好む魔物の御家族が暮らしています。
地底湖は、各施設や街中の水掘、近くの海と繋がっていまして、
マーメイド種の方々も不自由なく生活できる作りとなっています。
構造上、ほぼルームシェアの状態ですが、個室もちゃんと設けられていますので、
ふたりきりの空間を特に大切にされるラミア種の方々、どうぞご安心くださいませ。
また、ルームシェア＝皆さんに私性活を見てもらえる…という発想からか、
アマゾネスの方々も多く居を構えていらっしゃいます。御参考までにどうぞ。
最後に、空中層。魔力で形作った雲の家のエリアです。
主にハーピー種の魔物や、ドラゴン種等の高位種が好んでいらっしゃいます。
高度こそ、本来雲がある位置よりも、ずっと下に降りていますが、
日当たりバツグン、風当たり良好と、文句なしの優良物件です。
また、地上層、地下層と比べて、増改築が簡単に行えるため、
子供が生まれた後でも、その子のための部屋をすぐに用意することができます。
一見、地上層との間に日照問題が発生しそうに思えますが、
雲の家を生成する際、光透過の術式を組み込んでいますので、その心配はありません。
ほか、飛べない方の為に、空中を歩ける靴『ウイングブーツ』が商業区で販売されています。
空の生活に憧れを抱いていらっしゃいます皆さん、御一考なされてみてはいかがでしょうか。
以上が、居住区の御案内となります。
かのサーシャ・フォルムーンが訪ねたと云う『堕セントマリア教会』、
９９の自慰技を作り上げた偉才のゴースト、ユーレ・Ｏ・ナニィが通った、
『ヴィデオクロス大学』等も、こちらの区画に属する施設となっております。
また何かの機会でいらっしゃいました際には、それらにも、ぜひお立ち寄りくださいませ。
次に臨みますは、『ファラリカ』の精鋭たちが集う練兵区。
いつ襲い来るかも分からない外敵に備え、また、瑞々しい肉体を保つ為に、
多くの人々がこの練兵区へと足を運び、日々鍛錬を行っています。
念のため、外敵といいますのは、人間でも、魔物でもありません。
『ファラリカ』一の剣豪であり、溺愛妻としても知られるデューラ将軍。
彼女は、外敵の対象を、『民の命または愛を奪わんとする無生物』と定めています。
つまり、彼女は命ある者が相手ならば、外敵として認めないと言うのです。
もちろん、害獣等に対して、狩猟や討伐を行わないというワケではありません。
ただ、それは軍を動かす理由にはならず、あくまで個々に対処するものとしています。
言い換えれば、『ファラリカ』には、外敵がほぼ存在しないのです。
鎧纏い、剣を持って攻めてきた相手でも、命あれば敵ではない。
時には色で惑わし、時には涙ながらに訴えて、相手の拳を引っ込めます。
その平和を望む心と、戦争を避けるための知恵こそ、『ファラリカ』の力なのです。
では、その『ファラリカ』の兵士達は、どのような修練を積んでいるのでしょう。
あちらをご覧ください。
練兵区で一番生徒が多い施設、『万栗道場』の屋外稽古の風景です。
『万栗道場』は、夫婦または恋人と連れ添っての入門しか認めておりません。
というのも、その技のほとんどが、寝技やセクシーアピールに関するものだからです。
今は…シックスナインの練習中のようですね。ここまで水音が聞こえてきます。
師範のザードさんは非常に厳しい方ですので、あまり上手でないカップルは、
精力剤や催淫剤をしこたま飲まされ、夜明けまで特訓…ということもあるようです。
ただ、この薬がザードさんオリジナルの調合であり、市販のものと比べて、
効能が非常に高いため、厳しいと知っていても門を叩く方が後を絶えないそうです。
また、あちらに見えます円形の建物は、『コロセウム』です。
お名前に聞き覚えのある方もいらっしゃると思いますが、その内容は少し違います。
莫大な優勝賞金を…あるいは、腕に覚えのある強敵を求め、戦士達が集い、
彼らが戦う風景を観客席から望む見世物…という点は、本来の『コロセウム』と同じです。
特殊なのは、そのルールです。
『相手に参ったと言わせる』か、『相手の服を全て剥ぎ取る』ことで、勝敗が決します。
武器は本物の剣等を用いますが、刻まれた呪紋により、浅い傷しか付けられません。
ただし、鎧や服相手には、本来の切れ味を発揮しますので、防御も疎かにはできません。
言わずもがな、剣で斬らずとも、手で直接剥ぎ取ってもＯＫです。ただし、魔法はＮＧです。
酸で溶かすのは認めていますので、武具の扱いが難しいスライム種でも、互角に戦えます。
更に、男女での対戦の場合には、『押し倒した方が負け』というルールも加わります。
先の『万栗道場』のセクシーアピールの技は、まさにここで活かされるのです。
足をＭ字に広げて誘うオーガの前で、逞しい御子息を見せ付ける歴戦の男戦士。
堪えきれず、先に飛び込んだほうが負けという、我慢比べの一面もあるのです。
『パワー・アンド・セクシャル』。初代王者ドラコ・リューの格言です。
この『コロセウム』、見世物としても非常に人気が高いのですが、
一方で、素直になれない方が多い戦士の方々の、御見合会場としても好まれています。
いわゆる『コロセウムカップル』が誕生すると、会場は大きく湧き立ちます。
そのまま闘技場の中で、結婚式を挙げられることも、人気の秘訣なのでしょう。
ふたりは、互いの剣を交わしながら、永遠の愛を誓い、そして唇を…。
…コホン。そちらの眼鏡を掛けたお客様。
私、先程述べさせて頂いた覚えがあります。『見られると興奮する』と。
どこを見ていらっしゃるのですか？ 妄想し、はしたなくも濡れた股座ですか？
お客様は、確か独身でいらっしゃいましたね。期待してもよろしいのでしょうか？
ウフフ…。失礼致しました、ちょっとした冗談です。
ですが、お好きにしても構いませんよ。匂いが香る距離で見ても。
指で押し広げて、中まで見ても。そのまま、滾ったものを埋めても…。
…え？ あっ。も、申し訳ございません。
少々周りが見えない状態になっていました。大変失礼致しました。
はい、はい、練兵区は以上です。はい、ごめんなさい、案内を続けさせて頂きます。
いえ、大丈夫です。御心遣いありがとうございます。はい。いえ、そんな。
あちらのお客様とは、また後でお話致しますので、他のお客様方、どうかお気遣いなく…。
え〜…で、では、気を取り直しまして。
次は最後の区画、娯楽区…またの名を、『セックスストリート』です。
ここ娯楽区は、ラブホテルやアヤシイお店が立ち並ぶ、大人の空間です。
そのあまりの刺激の強さに、１２歳以下の入区は制限されています。
ただ、見張り等はおらず、迷い入る子が多発しているのが現状です。
何がどう刺激的かといいますと…あっ、あちらをご覧ください。
あの通りを歩いている男の子。恐らく、彼も間違えて入区したのでしょう。
ああいった、無垢な匂いを放っている子は、ものの数分もしない内に…。
はい、捕まりましたね。お相手はラージマウスさんでしょうか。
このように、恋人がいない男性が足を踏み入れますと、あっという間に餌食になります。
襲われるパターンも様々で、大半が先程のように、無理矢理犯されてしまいますが、
ユニコーン等、穏やかな立ち振る舞いで近付いてきて、徐々に篭絡してくる場合もあります。
また、露出好きな方々が、集い、見せ合い、まぐわう場所としても知られています。
そこから付いた名が『セックスストリート』。『ファラリカ』の無法淫靡地帯です。
ラブホテルも、商業区にあるそれとは一線を画しています。
娯楽区のドン…女王ダークゥエルが、自ら出向き、手掛けた部屋の数々は、
鞭、ロウソクは当たり前。三角木馬、ギャグボール、果てはペニスバンドまで置かれています。
更に、部屋自体に強力な催淫の術式が組み込まれていまして、一度足を踏み入れますと、
精根枯れ果てても、なお行為を止めることができず、気絶するまで腰を振り続けるそうです。
ただし、表向きは、あくまで健全なラブホテルです。
商店も、許容濃度を越えた薬が、至極当然に並んでいますが、
瓶に張られたラベル上は許容範囲内ですので、見過ごされています。
噂によりますと、過去にナンシー王も娯楽区を愛用していたために、
無法を取り締まることが出来ないのではないか…と云われています。
また、あちらに見えます巨大娯楽施設『貞愛カジノ』。
名前の通り、ポーカーやバカラ、スロットといった、
様々なギャンブルをウリとしている、娯楽区の人気スポットです。
その中でも、特に勝負師の方々に人気があるのが、パチンコ『夢魔』。
一玉４０００Ｇという、破格という言葉すら生ぬるい台ですが、
当たれば、それまで『夢魔』に注がれた玉が全放出となる上に、
カジノ側から、あの『子宝宝樹の粘液』が送られるという、
まだ子供を授かったことのない魔物にとっては、夢のような台なのです。
この甘い誘惑に誘われ、お金を注ぎ込み、肩を落とした魔物は数知れず。
あのたんたんたぬき商会の会長さえ、資産の８割を投じても当たらないという、
まさに極悪な台が『夢魔』なのです。噂では、カジノ側が不正をしていうというお話も…。
ブラックで、しかし夢と蜜に溢れる場所、娯楽区。
スリル好きなお客様は、ぜひとも挑んでみてはいかがでしょうか。
街中の御案内は以上となります。
最後は、『ファラリカ』のシンボル、ファラリカ城を上空より眺めて、
いつかまた訪れる日を夢見ながら、しばしのお別れを告げましょう。
ファラリカ城上空には、お土産を取り扱う移動販売店が多数ございますので、
どうぞ皆様、気になるお店へと、自由にお声掛けくださいませ。
…ん？ えっ、あっ！ 皆さん、ご覧ください！
ナンシー王です！ ナンシー王がお城のバルコニーに！
こちらに向かって、手を振ってくださっていますよ！
いやはや、私まで驚いてしまいました。
まさかナンシー王にお見送り頂けるとは、よもや夢にも…。
皆さん、とてもラッキーでしたね。ケサランパサランが近くにいたのでしょうか。
普段は、街の施設や新たなアイテムの創造に忙しく、夫のソラ様以外は、
月に一度お目見えすることができれば多い方なのですが、良い偶然に巡り会いました。
それでは皆様、本日は当ツアーに御参加頂き、ありがとうございました。
皆様のご協力のおかげもあり、今回のツアーも無事終えることができました。
下車の際には、車内にお忘れ物のないよう、お気を付けくださいませ。
また、乗車前にお配りした魔水晶は、そのままお持ち帰り頂いても大丈夫です。
魔力は消えてしまいますが、旅の記念として、お持ち頂ければ幸いです。
最後に、先程の眼鏡のお客様。
お客様のみ、他のお客様を降ろした後に、もう一度『ファラリカ』を案内させて頂きます。
いえ、今度は街中のご案内ではありません。居住区にある、私の家への御案内です。
それまで、触手のシートベルトが外れることはございませんので、御了承くださいませ。
では、下車されるお客様方。
またいつか、あの街でお会いしましょう。
創造と愛の国『ファラリカ』で…。
目の前の門を抜ければ、いよいよ目的地『ファラリカ』の城下街です。
市街に入ると、住人の方々が皆さんを歓迎してくれると思われますが、
車外に身を乗り出しますと大変危険なため、充分に御注意くださいませ。
それではここで、今一度、本日のツアー概要等を説明させて頂きます。
創造と愛の国『ファラリカ』。
人間と魔物が共存する親魔物領として、五百余年の歴史を持つ、古都のひとつです。
創作王ナンシー・R・トォンの統治の下、１０３万９８０１人が暮らす大都市であり、
街は、商業区、娯楽区、居住区、練兵区の、大きく四区画に分かれています。
人口比は、人魔比が３：７、男女比が２：８。親魔物領としては、人間の比率が高めです。
主な収入源は観光業関連。ですが、チチコンニャクの名産地としても有名です。
この『ファラリカ』を、本日案内させて頂きますのが、私、ガイドのマータです。
種族はダークマター。駆る車は、空飛ぶ魔力塊『テンタクルス・スカイハイ』。
柔らかなクッションと世話好きな触手達が、皆さんの旅路に安らぎを御約束致します。
もし、お客様の中に触手アレルギーの方がいらっしゃいましたら、御声掛けくださいませ。
同伴のスライム達が、触手に代わって、お客様へ快適な空間を提供させて頂きます。
また、触手のひとつひとつは、私の魔力により生成したもの…感覚を共有していますので、
男性のお客様は、婚約を前提としたものでなければ、どうか悪戯なきようお願い致します。
さて、本日の日程ですが、現在の時刻は…１０時２８分。
このまま予定通り、１０時３０分には城下街に入り、街中を案内させて頂きます。
ルートは、商業区、居住区、練兵区、娯楽区の順に巡り、
最後にファラリカ城を上空から見下ろして、ツアー終了となります。
また、途中に何度か、食事やトイレ休憩ができる場所にて停車致します。
停車時間内に戻られなかったお客様は、触手がお迎えに向かいますので、
もし迷子になったとしても、慌てず騒がず、その場にてお待ちくださいませ。
触手は、乗車前にお配りした魔水晶の魔力を頼りに探索を行いますので、
下車される際には、車内に魔水晶を置き忘れることのないようお願い致します。
以上です。何か御質問等はございますでしょうか。
はい、そちらの窓際の席の方。
…ああ、いえ。歓迎と言いましても、そのようなものではありません。
道行く人達が、手を振ったり、笑顔を向けてくれたりする、ささやかなものです。
ただ、中には、車両の近くまで飛んできて、性的なアピールをされる方もいるので、
その際に、身を乗り出して抱きついたりしないように…という注意喚起です。
稀に、『襲う』と表現しても過言ではないアピールをされる方もいらっしゃいますので…。
他にどなたか、御質問はありますでしょうか。
…無いようですので、それでは、案内を始めさせて頂きます。
皆様、上を御覧ください。
私達が今くぐっているこの門ですが、名を『ランブレィラ』といいます。
大きな柱を真ん中に据え、半球状の屋根が特徴的な、この街の出入り口ですが、
実はこちら、遠目から見ると、傘のような形をしていることが分かります。
それもそのはず。『ランブレィラ』とは、別名『相合傘』。
こちらの門は、相合傘をモチーフとして作られたものなのです。
柱を挟んで、両壁に絵が彫られていますが、西側が人間、東側が魔物となっており、
この門をくぐる時、それぞれが自分の種族の側を通ると、一緒に門を抜けた相手と、
永遠かつ情熱的な愛を約束してくれると云われています。ロマンチックですね。
また、告白・デートスポットとしても非常に人気が高く、
柱や壁面のあちこちに、カップルの相合傘が彫られています。
実は、ナンシー王と、その夫ソラ様の相合傘もこの中にあるのですが、
皆さん、どこに彼女達の傘が彫られているか、見つけられましたか？
そう、そちらのインプさん、正解です。
あそこです。あそこの…見えますでしょうか。天井の、柱の付け根のところです。
最も高いところに、ナンシー王は、自分達の相合傘を彫ったのです。
もしかすると、『自分達の愛こそ一番！』というアピールなのかもしれません。
そんな愛の門『ランブレィラ』を抜けまして。
まず私達をお出迎えしてくれますのが、『ファラリカ』の誇る商業区です。
すごい人だかりに、驚かれた方も多いでしょう。
ですが、商品を見ている方々は、実は半数以上が外の人です。
皆さんと同じ観光客の方もいれば、近隣の国から仕入れに来た商人さん、
旅の途中に寄った冒険者さん、お忍びで来られた貴族様等々…。
観光業を生業としている『ファラリカ』にとって、この商業区は、
街の原動力であり、最も活気に満ち溢れた場所でもあるのです。
食材や武具、服飾、ペット、魔法書、貴金属…。
あらゆるものが売買されていますが、その中でも、
特に購買者の目を惹きつける商品がいくつかあります。
そのひとつが、あちらに見えます『マジックペッタン』。
お客様の装飾品等に、呪紋を付与する呪符を販売しているお店です。
私の手元にあります、こちらの呪符が、その『マジックペッタン』でして、
例えば、こちらの『幻惑』の呪符を、私の服に貼り付けますと…。
どうでしょう。私の姿が、呪符を貼る前よりもぼやけては見えませんでしょうか。
このように、呪符を貼るだけで、魔法の効果を得ることができるアイテムなのです。
種類は年々増え、今では３００種類以上もある、こちらの商品。
その中でも人気なのは、やはり『誘惑』や『催淫』といった、アダルト関係がダントツです。
次点、『勇気』や『素直』、『楽観』といった、性格の改善を補助するもの。
コアな方向けに、『幼愛』や『馬根』等の効果も揃えられています。
お値段は１枚１５０Ｇから。一度貼ると、３時間ほど効果が持続します。
よって、このままでは私の姿が朧なままですので、申し訳ありませんが、
今からしばらくの間、服を脱がさせて頂きます。御了承くださいませ。
…っふぅ。お待たせ致しました。
いかがでしょう、私が身に付けています下着のデザイン。
実はこちらも、『ファラリカ』名物のひとつなのです。
あちらの曲がり角にある、大きな看板のお店をご覧ください。
服飾店『Island of Village』。『イヴ』の愛称で親しまれているお店です。
こちらのお店では、主に魔物向けの洋服を販売しています。
店長のラクネさんがデザインされた服の数々は、ヴァンパイアの方々をもうっとりとさせる、
卓越されたセンスと、一級品のアラクネ糸によって作られた、まさに至高の一品。
それでいてお値段がリーズナブルなことも相まり、人気はうなぎのぼりです。
特に下着の人気が高く、『勝負用下着はイヴで！』と語る女性も少なくありません。
着用者の魔力を高める呪紋も刻まれていまして、熱い夜を過ごすためには欠かせない装備品です。
余談ですが、私は素肌を見られますと、非常に興奮します。
こちらの下着、大事な部分の生地が薄く、うっすら透けているのがお分かりになりますか？
はい、ここと…この部分です。黒い布地の向こうに、桃色の何かが覗いていますでしょう。
こういったオーダーメイドにも応じてくださいますのが、『イヴ』の人気の秘密です。
これらの他にも、たんたんたぬき商会の方々による『突発！ 路上オークション』、
店長やスタッフ自ら、アダルトグッズの実演販売を行っている『Hot♥Night』、
生命金属を用いた可変式武具『メタモニア』等々、見所は数多くございます。
ですが、今回は御時間の都合上、これてに次の区画へと移動させて頂きます。
…あ。皆さん、周りをご覧ください。
中華飯店『華味狐色』名物の、空飛ぶ移動販売店です。
皆さんが今乗車されている魔力塊を含め、圧縮した大量の魔力塊を、
様々な乗り物へと変形させる技術は、もう珍しいものではなくなりましたが、
それを移動販売店として活かしたのは、こちらの『華味狐色』が元祖です。
皆さん、そろそろお腹が空いてきた頃合ではないでしょうか。
どうぞこちらの『華味狐色』にて、昼食をお召し上がりになってくださいませ。
店員さん、こちらにも小籠包をひとつ頂けますか？ はい、３４０Ｇ。
さて、あつあつの中華を頬張りながら。
眼前に見えてきましたのは、『ファラリカ』の人々が暮らす場所、居住区です。
街並みこそ、人間のそれと変わらないように見えますが、
実はこの居住区、地上・地下・空中の、三層に大別されています。
つまり、家々が立ち並ぶこの地面の下に、もうひとつの街並みがあり、
そして、この大空…あの雲の大群こそが、更なるひとつの街並みなのです。
なぜこのような形を取っているのか、順を追って説明させて頂きます。
まず、地上層。こちらは人間のものと同じです。
大半の世帯が地上層に住み、一軒家が多いのが特徴です。
そのため、居住区は都市全体の７割を占めており、
外の人にとっては、商業区以上に迷子の名所となっています。
また、学校や教会といった施設も地上層に集中していまして、
地下や空中に住まう方々も、式等の際にはそちらを利用しています。
次に、地下層。地底湖と洞窟のエリアです。
主に水棲の魔物や、湿地を好む魔物の御家族が暮らしています。
地底湖は、各施設や街中の水掘、近くの海と繋がっていまして、
マーメイド種の方々も不自由なく生活できる作りとなっています。
構造上、ほぼルームシェアの状態ですが、個室もちゃんと設けられていますので、
ふたりきりの空間を特に大切にされるラミア種の方々、どうぞご安心くださいませ。
また、ルームシェア＝皆さんに私性活を見てもらえる…という発想からか、
アマゾネスの方々も多く居を構えていらっしゃいます。御参考までにどうぞ。
最後に、空中層。魔力で形作った雲の家のエリアです。
主にハーピー種の魔物や、ドラゴン種等の高位種が好んでいらっしゃいます。
高度こそ、本来雲がある位置よりも、ずっと下に降りていますが、
日当たりバツグン、風当たり良好と、文句なしの優良物件です。
また、地上層、地下層と比べて、増改築が簡単に行えるため、
子供が生まれた後でも、その子のための部屋をすぐに用意することができます。
一見、地上層との間に日照問題が発生しそうに思えますが、
雲の家を生成する際、光透過の術式を組み込んでいますので、その心配はありません。
ほか、飛べない方の為に、空中を歩ける靴『ウイングブーツ』が商業区で販売されています。
空の生活に憧れを抱いていらっしゃいます皆さん、御一考なされてみてはいかがでしょうか。
以上が、居住区の御案内となります。
かのサーシャ・フォルムーンが訪ねたと云う『堕セントマリア教会』、
９９の自慰技を作り上げた偉才のゴースト、ユーレ・Ｏ・ナニィが通った、
『ヴィデオクロス大学』等も、こちらの区画に属する施設となっております。
また何かの機会でいらっしゃいました際には、それらにも、ぜひお立ち寄りくださいませ。
次に臨みますは、『ファラリカ』の精鋭たちが集う練兵区。
いつ襲い来るかも分からない外敵に備え、また、瑞々しい肉体を保つ為に、
多くの人々がこの練兵区へと足を運び、日々鍛錬を行っています。
念のため、外敵といいますのは、人間でも、魔物でもありません。
『ファラリカ』一の剣豪であり、溺愛妻としても知られるデューラ将軍。
彼女は、外敵の対象を、『民の命または愛を奪わんとする無生物』と定めています。
つまり、彼女は命ある者が相手ならば、外敵として認めないと言うのです。
もちろん、害獣等に対して、狩猟や討伐を行わないというワケではありません。
ただ、それは軍を動かす理由にはならず、あくまで個々に対処するものとしています。
言い換えれば、『ファラリカ』には、外敵がほぼ存在しないのです。
鎧纏い、剣を持って攻めてきた相手でも、命あれば敵ではない。
時には色で惑わし、時には涙ながらに訴えて、相手の拳を引っ込めます。
その平和を望む心と、戦争を避けるための知恵こそ、『ファラリカ』の力なのです。
では、その『ファラリカ』の兵士達は、どのような修練を積んでいるのでしょう。
あちらをご覧ください。
練兵区で一番生徒が多い施設、『万栗道場』の屋外稽古の風景です。
『万栗道場』は、夫婦または恋人と連れ添っての入門しか認めておりません。
というのも、その技のほとんどが、寝技やセクシーアピールに関するものだからです。
今は…シックスナインの練習中のようですね。ここまで水音が聞こえてきます。
師範のザードさんは非常に厳しい方ですので、あまり上手でないカップルは、
精力剤や催淫剤をしこたま飲まされ、夜明けまで特訓…ということもあるようです。
ただ、この薬がザードさんオリジナルの調合であり、市販のものと比べて、
効能が非常に高いため、厳しいと知っていても門を叩く方が後を絶えないそうです。
また、あちらに見えます円形の建物は、『コロセウム』です。
お名前に聞き覚えのある方もいらっしゃると思いますが、その内容は少し違います。
莫大な優勝賞金を…あるいは、腕に覚えのある強敵を求め、戦士達が集い、
彼らが戦う風景を観客席から望む見世物…という点は、本来の『コロセウム』と同じです。
特殊なのは、そのルールです。
『相手に参ったと言わせる』か、『相手の服を全て剥ぎ取る』ことで、勝敗が決します。
武器は本物の剣等を用いますが、刻まれた呪紋により、浅い傷しか付けられません。
ただし、鎧や服相手には、本来の切れ味を発揮しますので、防御も疎かにはできません。
言わずもがな、剣で斬らずとも、手で直接剥ぎ取ってもＯＫです。ただし、魔法はＮＧです。
酸で溶かすのは認めていますので、武具の扱いが難しいスライム種でも、互角に戦えます。
更に、男女での対戦の場合には、『押し倒した方が負け』というルールも加わります。
先の『万栗道場』のセクシーアピールの技は、まさにここで活かされるのです。
足をＭ字に広げて誘うオーガの前で、逞しい御子息を見せ付ける歴戦の男戦士。
堪えきれず、先に飛び込んだほうが負けという、我慢比べの一面もあるのです。
『パワー・アンド・セクシャル』。初代王者ドラコ・リューの格言です。
この『コロセウム』、見世物としても非常に人気が高いのですが、
一方で、素直になれない方が多い戦士の方々の、御見合会場としても好まれています。
いわゆる『コロセウムカップル』が誕生すると、会場は大きく湧き立ちます。
そのまま闘技場の中で、結婚式を挙げられることも、人気の秘訣なのでしょう。
ふたりは、互いの剣を交わしながら、永遠の愛を誓い、そして唇を…。
…コホン。そちらの眼鏡を掛けたお客様。
私、先程述べさせて頂いた覚えがあります。『見られると興奮する』と。
どこを見ていらっしゃるのですか？ 妄想し、はしたなくも濡れた股座ですか？
お客様は、確か独身でいらっしゃいましたね。期待してもよろしいのでしょうか？
ウフフ…。失礼致しました、ちょっとした冗談です。
ですが、お好きにしても構いませんよ。匂いが香る距離で見ても。
指で押し広げて、中まで見ても。そのまま、滾ったものを埋めても…。
…え？ あっ。も、申し訳ございません。
少々周りが見えない状態になっていました。大変失礼致しました。
はい、はい、練兵区は以上です。はい、ごめんなさい、案内を続けさせて頂きます。
いえ、大丈夫です。御心遣いありがとうございます。はい。いえ、そんな。
あちらのお客様とは、また後でお話致しますので、他のお客様方、どうかお気遣いなく…。
え〜…で、では、気を取り直しまして。
次は最後の区画、娯楽区…またの名を、『セックスストリート』です。
ここ娯楽区は、ラブホテルやアヤシイお店が立ち並ぶ、大人の空間です。
そのあまりの刺激の強さに、１２歳以下の入区は制限されています。
ただ、見張り等はおらず、迷い入る子が多発しているのが現状です。
何がどう刺激的かといいますと…あっ、あちらをご覧ください。
あの通りを歩いている男の子。恐らく、彼も間違えて入区したのでしょう。
ああいった、無垢な匂いを放っている子は、ものの数分もしない内に…。
はい、捕まりましたね。お相手はラージマウスさんでしょうか。
このように、恋人がいない男性が足を踏み入れますと、あっという間に餌食になります。
襲われるパターンも様々で、大半が先程のように、無理矢理犯されてしまいますが、
ユニコーン等、穏やかな立ち振る舞いで近付いてきて、徐々に篭絡してくる場合もあります。
また、露出好きな方々が、集い、見せ合い、まぐわう場所としても知られています。
そこから付いた名が『セックスストリート』。『ファラリカ』の無法淫靡地帯です。
ラブホテルも、商業区にあるそれとは一線を画しています。
娯楽区のドン…女王ダークゥエルが、自ら出向き、手掛けた部屋の数々は、
鞭、ロウソクは当たり前。三角木馬、ギャグボール、果てはペニスバンドまで置かれています。
更に、部屋自体に強力な催淫の術式が組み込まれていまして、一度足を踏み入れますと、
精根枯れ果てても、なお行為を止めることができず、気絶するまで腰を振り続けるそうです。
ただし、表向きは、あくまで健全なラブホテルです。
商店も、許容濃度を越えた薬が、至極当然に並んでいますが、
瓶に張られたラベル上は許容範囲内ですので、見過ごされています。
噂によりますと、過去にナンシー王も娯楽区を愛用していたために、
無法を取り締まることが出来ないのではないか…と云われています。
また、あちらに見えます巨大娯楽施設『貞愛カジノ』。
名前の通り、ポーカーやバカラ、スロットといった、
様々なギャンブルをウリとしている、娯楽区の人気スポットです。
その中でも、特に勝負師の方々に人気があるのが、パチンコ『夢魔』。
一玉４０００Ｇという、破格という言葉すら生ぬるい台ですが、
当たれば、それまで『夢魔』に注がれた玉が全放出となる上に、
カジノ側から、あの『子宝宝樹の粘液』が送られるという、
まだ子供を授かったことのない魔物にとっては、夢のような台なのです。
この甘い誘惑に誘われ、お金を注ぎ込み、肩を落とした魔物は数知れず。
あのたんたんたぬき商会の会長さえ、資産の８割を投じても当たらないという、
まさに極悪な台が『夢魔』なのです。噂では、カジノ側が不正をしていうというお話も…。
ブラックで、しかし夢と蜜に溢れる場所、娯楽区。
スリル好きなお客様は、ぜひとも挑んでみてはいかがでしょうか。
街中の御案内は以上となります。
最後は、『ファラリカ』のシンボル、ファラリカ城を上空より眺めて、
いつかまた訪れる日を夢見ながら、しばしのお別れを告げましょう。
ファラリカ城上空には、お土産を取り扱う移動販売店が多数ございますので、
どうぞ皆様、気になるお店へと、自由にお声掛けくださいませ。
…ん？ えっ、あっ！ 皆さん、ご覧ください！
ナンシー王です！ ナンシー王がお城のバルコニーに！
こちらに向かって、手を振ってくださっていますよ！
いやはや、私まで驚いてしまいました。
まさかナンシー王にお見送り頂けるとは、よもや夢にも…。
皆さん、とてもラッキーでしたね。ケサランパサランが近くにいたのでしょうか。
普段は、街の施設や新たなアイテムの創造に忙しく、夫のソラ様以外は、
月に一度お目見えすることができれば多い方なのですが、良い偶然に巡り会いました。
それでは皆様、本日は当ツアーに御参加頂き、ありがとうございました。
皆様のご協力のおかげもあり、今回のツアーも無事終えることができました。
下車の際には、車内にお忘れ物のないよう、お気を付けくださいませ。
また、乗車前にお配りした魔水晶は、そのままお持ち帰り頂いても大丈夫です。
魔力は消えてしまいますが、旅の記念として、お持ち頂ければ幸いです。
最後に、先程の眼鏡のお客様。
お客様のみ、他のお客様を降ろした後に、もう一度『ファラリカ』を案内させて頂きます。
いえ、今度は街中のご案内ではありません。居住区にある、私の家への御案内です。
それまで、触手のシートベルトが外れることはございませんので、御了承くださいませ。
では、下車されるお客様方。
またいつか、あの街でお会いしましょう。
創造と愛の国『ファラリカ』で…。
13/05/26 21:21更新 / コジコジ