読切小説
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創作之勧
多くの魔物娘さんと愛で満ち溢れる図鑑世界。
ここでは今日も、いくつもの幸せが生まれています。

この世界には、たくさんの魔物娘さんが存在していることをご存知ですか?
どんな姿にも身を変えることのできるコ、馬や蛇のような下半身を持ったコ、
大きな角と凄まじい怪力を誇るコ、どんなに歳を重ねようとも幼い身体を保ったコ…。

彼女達は誰もが魅力的で、多くの人達から好かれています。
数に差はあれど、愛の大きさは皆同じ。誰もが互いを、強く想い合っています。
それはエッチを通じて感じ合うこともあれば、手を握るだけで分かち合ったり…。
時にロマンチックに、時にアダルティックに。それが私達の愛の形です。

そして私、リャナンシーも、多くの魔物娘さんの内の一人です。
妖精属の一種で、芸術分野を深く愛しているという特徴を持つ私。
この私にも、愛する彼が…マスターがいて、日々を幸せに過ごしています。

ですが、困ったことに、私のマスターはあまりにもひどいんです。
何がひどいって、一口では語り切れません。それほどひどいんです。

まず一番にひどいのが、すごく浮気性なところです。
彼は私というお嫁さんがいながら、すぐ他の魔物娘さん相手に鼻の下を伸ばします。
特に新種の魔物娘さんには興味深々で、仲間の人達と夜通し酒場で語り合うこともあります。

私が聞いただけでも、ホルスタウロスさんの大きなオッパイに顔を埋めてみたいとか、
ワイバーンさんの脇をペロペロしたいとか、ヴァンパイアさんに吸血されたいとか、
スライムちゃんに吸収されたい、アルラウネさんに受粉させたい、ラミアさんロールミー…。

それだけならまだ許せるんですけれど、マスターは本当に私への配慮が無くて。
趣味の小説を執筆される際、彼はその題材に、私ではなく他の魔物娘さんを用いるんです!
許せませんよね。私のこともたま〜に書いてくれますけれど、そんなの慰みにもなりません。
おまけに自分で書かれた作品を読んで、自慰を始めてしまうこともあって…。

それに、その小説を出版しているというのですから、もう怒り心頭です!
『読みました!』、『面白かったです!』、『エロかった!』ってお手紙が届く度に、
また鼻の下をビヨ〜ンと伸ばしちゃって…。出版した後は、1分毎にポストを覗きに行ったり…。
まったく、マスターってば、私と作品のどっちが大切なのかって聞きたくなっちゃいます。

貴方もそう思いますよね? マスターってば、旦那様の風上にも置けません。
今度また他の魔物娘さんに鼻の下を伸ばしてたら、この筆でコチョコチョしちゃうんですから。

でも、これでもまだ序の口です。
マスターのひどいところはもっとあります。

浮気性の次に気になるのが、とってもお馬鹿さんなところです。
まだ技術も評価もイマイチなのに、自信だけたっぷりなお馬鹿さんなんです。
『井の中の蛙』ってことわざがジパングにありますけれど、まさにマスターのための言葉です。

例を挙げますと、何かの本で見た格好良い格言を、御自身の作品内で用いようとするんです。
その格言を、格言とするための過程…雰囲気作りやキャラクター性が大切なのに、
マスターってば、何の考えも無いままに、作中のキャラクターに言わせようとするんですから…。
あまりの違和感に、見ているこっちが恥ずかしいです。もうグラキエスさんさえ凍りつく寒さです。

それだけに飽き足らず、マスターは『ひたすら書けば成長する』と信じ込んでいるんです。
間違いではありませんけれど、文章を書くための基本を学ばずに、どこまで成長できますか!
エッチだって、ちゃんとAVやハウツー本を読みながら学ばないと、思わぬ怪我をですね…!

…ごめんなさい、ちょっと興奮しすぎちゃいました。
それもこれも、全部マスターが悪いんです。本当、お馬鹿さんなんですから。
一応、最近はちゃんと自分の実力を見直して、色々と学び、試しているみたいですけれど…。

ですが、浮気性でお馬鹿さんなだけなら、まだ救いがあります。
マスターはもっともっとひどいんです。もうお医者さんさえ匙を投げちゃいます。

というのも、マスターはどうしようもない変態さんなんです。
先に述べました、ホルスタウロスさんのオッパイに〜なんて可愛い方です。
あれはほんのジャブ程度で、マスターってば、時に恐怖すら覚えることを呟くんです。

ダークエルフさんにペニバン装着してもらって、逆レイプされたいとか。
バブルスライムちゃんに身体の中に入ってもらって、体内セックスしたいとか。
ヴァンパイアさんに睾丸を噛まれて、直接吸精してほしいとか。
バフォさまの小さなおみ足で、思いっきり股間を蹴り上げてほしいとか。
ラミアさんに究極までに嫉妬されて、生死を彷徨う締め上げセックスされたいとか。
メロウさんと一緒に自慰をして、お互いの性器に精液と潮だけを塗り付けたいとか。
インプちゃんに小さくしてもらって、胎内回帰したまま赤ん坊に戻りたいとか。
フェアリーちゃんの細い腕で、尿道を掻き回してほしいとか。
アルプさんに散々男性時代の恥辱を囁いた挙句、オチンチンでビンタしたいとか。
リリムさまがただ優しく見つめているだけの、傍観放置プレイをしてほしいとか。
シービショップさんの髪をオチンチンに絡めて、波のうねりに合わせて射精したいとか。
リザードマンさんの服の股間部分に、常にレモン果汁を染み込ませておきたいとか。
刑部狸さんの持つ札束を、勃起したオチンチンの上に重ねていってほしいとか。

もうワケが分かりません…。セックスなのかすら分かりません。
おまけに、それを作品にして出版しようとするのですからヒヤヒヤです。
必死に説得して止めてはいますが、いつか私の目を掻い潜られると思うと…。

どうですか? 私のマスターが、どれほどひどいか伝わりましたか?

ご理解頂けましたところで、皆さんもマスターを叱ってください!
マスターってば、折角の年末なのに、今も私を放っておいて作品を書いているんです!
きっとまた、他の魔物娘さんを題材にしているんですよ。も〜、絶対コチョコチョしてやります!

そういえば、皆さんは年末をどのように過ごされていますか?
やっぱり、大好きなお嫁さんといちゃいちゃしているんですか?
羨ましいですね〜、私のマスターとは大違いです。見習ってほしいです、本当。

…え? マスターは今までどんな作品を書いてきたのか、ですか?

いっぱいありますよ〜。
いくつか紹介させて頂きますと、

『魔物と結婚した皆さんへ、50の質問』、『リリムの散歩』、『堕落の工程』、
『雄しべと雌しべ』、『かっぱの川流れ』、『鬼が来たりて太巻きを食う』、『茶臼』、
『ギャップ萌え』、『時凍る』、『恋する甘噛み』、『花嫁泥棒と大百足』、『ご当地魔物娘』、
『メモリアル・メモライズ』、『清流のイェンダ』、『貴方に轢かれました♪』、『彼女の境界』…。

それはもう、いっぱい、い〜っぱいあります。
数で言うと、なんと2903もの作品を世に送り出しています。

マスターは今日も、図鑑世界で起きた幸せのひとつをお話にしています。
彼が書かれたお話は、全て実話であり、読む人全てに笑顔と興奮を与えてくれます。
そんなマスターは、きっと年が変わっても、ああして書き続けていることでしょう。
ほら、また鼻の下を伸ばしていますよ。まったくもう、何を想像しているんでしょうね。
本当に、私のマスターは、浮気性で、お馬鹿さんで、どうしようもない変態です。

…でも、世界で一番愛おしい、私だけの…。

…あっ、マスター! 書かれていたお話、とうとう完成したんですか?
では、急いで出版しましょう。早くしないと、もう年が変わっちゃいますよ。

それでは皆さん、私はマスターと一緒に行ってきます。
ここまで愚痴を聞いてくれてありがとうございました。おかげでスッキリしました。
もしよろしければ、今度本屋さんで、マスターの作品を手に取ってくださいね♪

ではでは、お嫁さんと良いお年を〜♥
12/12/31 20:55更新 / コジコジ

■作者メッセージ
リャナンシーちゃんは、とても不思議な妖精です。
気付けば、ふと私の肩に留まり、書きかけの作品を見つめています。
そして時に、そこはこう直した方がいいよと、もっとエッチにと、
サボッちゃ駄目だよと、頑張ったねと、叱咤激励してくれます。

皆さんの傍に、リャナンシーちゃんはいらっしゃいますか?
もしいるのであれば、私のコと同じようなことを、貴方に言うのでしょうね。
もしいないのであれば、貴方に見つからないよう、隠れているのかもしれません。

読者の皆さん、貴方の傍にも、リャナンシーちゃんがいるはずです。
来年は貴方も、私達と一緒に魔物娘さんの作品を創ってみませんか?
そうすることで、もっと魔物娘さんを身近に感じられるのではと思います。

創作者の皆さん、今年も多くの作品群を…時に笑い、時に涙し、時にエッチな作品の数々を、
一ファンとして、大いに楽しませて頂きました。ありがとうございます。
来年もまた、皆さんの作品に触れることができればという思いです。
貴方とリャナンシーちゃんが描いた、次の作品も楽しみにしていますね。


来年もまた、魔物娘図鑑が大いに賑わうことを祈りながら、
本作品をもって、本年の書き納めとさせて頂きたいと思います。

皆様、良いお年を…。

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