連載小説
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にいに
 びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅる
気絶するほどの射精というものを先程味わった、あれ以上の射精などこの世にないと思っていた。
しかし、それ以上の快楽を今義朗は身を持って味わっていた、それも鮮明に意識を保ったまま。
「こきゅん……こきゅん……こきゅん……」
意識があるものだから自分が射精している時の妹の状態が見える。
(の……飲んで、る)
心臓のように脈打つ自分の陰茎、その鼓動に合わせて噴水のように白濁液が噴出するはずの箇所には美香がアイスキャンデーでも頬張るように食いついている。
「ごくん……ごくん……ごくん……」
目を、合わせて来る。精を飲みながら義朗の目を見つめてくる。
(ミ……ミカ……おま、え……)
潤んで、笑っている。
びゅる……びゅる……びゅくっ!びゅくっ!びゅくっ!
目を合わされただけで収まりかけていた射精がまた勢いを増した。
美香は嬉しそうにそれを啜り上げる。
気持ちいい、とかそういう次元ではない。
「ひぃぃ、ひひ、はひ、ひ」
奇妙な笑い声が聞こえた、誰の声だ、自分の声か。
気が狂ってしまった声だ。狂人の笑い声だ。
幻覚が見える、美香の背後に悪魔のような羽が見える、角、も。
(違、う、幻覚、違う……ミカ……おま、え)
「ぢゅぴっ」
どぴゅるっ
「ひぃぃっひ」
最後のひと啜りで完全に腰が抜けた。義朗は奇妙な悲鳴を上げて完全に崩れ落ちる。
「ん……ごちそうさま……」
ちゅ、と指を舐める美香の背後に広がる漆黒の翼。
頭部に現れた角、そして揺れる尻尾。
「じゃん、どーお?これ、似合う?」
「み……か……」
正体を顕にした美香は異形のパーツを広げて見せる、生まれながらそうだったのではないかというほどに違和感がない。
「何だよ……それ……」
「人間やめたんだー、あたし」
何でも無い事のように美香はさらっと言う。
本当はもう少し期間を置いてから明かすつもりだった、正確に言うと兄を完全に堕としきってからが望ましかったのだがどうやら兄の精を貰いながら正体を隠す事は困難だと感じた。
なら、それで構わない。
「……誰、だ」
「うん?」
「誰だよ!」
美香は驚いた。
怒っている、義朗が怒っている、こんなに怒った所は初めて見る。
「誰だよお前をそんなにした奴……!くそっ……!くそぉっ……!ぶん殴ってや……!」
立ち上がろうとしてぐにゃぐにゃと腰が砕ける、美香がそれを支える。
と、美香の頬に手が添えられた。
「にい、さん?」
初めての兄からの自主的な接触に背筋と尻尾がふるる、と震える
「ミカ……何があったんだよ……誰にそんな風にされたんだよ……事故なのか?誰にも相談できなかったのか?つ……辛くなかったのか?……」
義朗は涙目になって美香の頬を労わるように撫でる。
「俺に何ができるかわからないけど……も、元に戻れるように俺も協力するから……できる事なら何でもするから……頼ってくれよ、頼りないけど……!」
知っている、兄はそういう人だ。いつでも本当の意味で自分の事を考えてくれる。
皆は知らない、誰よりも美香が知る兄の本当の強さと優しさ。
きゅぅぅん
兄は知らない、それがずっと妹の心と子宮を苛んで来た事を。
「兄さんは酷いね」
「え……?」
「私がどれだけ苦しかったか、知らないでしょ」
「美香……」
義朗は胸に刺されるような痛みを覚える。
美香の事はずっと見ているつもりだった。なのに美香が何をそれほど思い詰めているのかがわからない。
どうして自暴自棄になって自分なんかに身を任せようとするのか……。
「い、言ってくれよ……!俺に相談できない事なのか?」
「あははははっ」
美香は急に笑い出す、泣き笑いのような顔だった。
「もう、言わなきゃ一生気付かないんだから……」
「???」
「私が初めて性的な快感を知った時がいつか知ってる?」
「え……?」
「小学校入ってそんなにしないくらいかなぁー、我ながらマセてたねー……」
義朗は美香が何を言わんとしているのかわからない。
「ぺんぺんごっこ、覚えてる?」
「……ぺんぺん……よく覚えてるなぁ!?そんな昔の事」
小さい頃何が切っ掛けで始めたのか覚えてないが、隙を見せたら尻をいきなりひっぱたくという痛い上に意味不明な遊びが二人の間でだけ流行った。
「兄さん結構遠慮なく叩くもんだから痛かったなあ……」
「お、お互い様だろ、俺のケツにも手形が残ったんだぞ……っていうか、手を止めて……」
会話の内容だけ見ると仲のいい兄妹の平和な会話だが、妹の方は羽と尻尾が生えている上に制服の前がはだけられて形のいい美乳が晒されてふるふる揺れている。
そして陰茎にさり気なく絡みついた指がゆるゆると上下に動いて萎える事を許さない。
「よく覚えてるよ、学校行くときにランドセル落としちゃって……それを拾おうとした時ばっちーんされたんだよね……」
美香は何故かうっとりした表情になり、その頃から綺麗に成長した桃のようなお尻をスカートの上から撫でた。
「お尻ジンジンしてさあ……そのジンジンが何でかおさまらなくて……徐々に下腹部ジンジンが移動してきてさ」
言葉に合わせるようにお尻をさすっていた手がなだらかな下腹部に移動する、ひどく淫猥な手つきだ。
「お腹がずきんずきんして……その日授業全然集中できなかったんだ」
子宮の上をゆっくりと手が撫でる、雄の興奮を誘う手つきだ、それを見てますますいきり立つ義朗の陰茎を美香の指が嬉しそうにゆるゆるとしごく。
「つまり、兄さんが初体験の相手と言っても過言では」
「過言だよ!?」
「つまり、兄さんには責任を取る義務が」
「あるか!って、いうか、マジでやめ……!」
「あ、出る?飲む飲む」
切なそうになった兄の声を察して美香がまた陰茎に顔を寄せてくる。
「馬鹿!」
「今更でしょ?ほら動かない動かない、いただきまぁす、じゅるっ」
なけなしの抵抗も易々と押さえ込まれ、ぱっくりと亀頭を咥えられてしまう。
「んぐぁぁうぁ」
腰にがっちりと手を回され、義朗はまたも妹の口内に白濁をぶちまけさせられる。
「ごくん、ごくん、ごくん、ごくん」
三度目の射精、にも関わらずまるで量が衰えない、どう考えても睾丸の可動限界を超えているとしか思えない。
しかもその三度に渡る大量の射精の痕跡は部屋のどこにも見当たらない。
「ちゅぅぅぅ……♪ちゅぅぅぅ♪……ちゅぅぅぅ♪……」
普段ティッシュに包まれてゴミ箱に捨てられているはずの精液は一滴たりとも零れることなく、この妹の姿をした美しい悪魔の胃の中に収められているのだ。
「ぷはぁ……ん〜兄さんのちんちんいくらでも出てくるね、ドリンクバーみたい」
「うぅ……」
蕩けた顔で舌なめずりをする妹。涙目で崩れ落ちている兄。強姦現場のようだ、いや強姦だが。
「い……いい加減腹壊すぞ……」
「足りない」
思わず怯えた顔で美香を見ると四つん這いでまたもひたひたと近寄ってくる所だった。
ゆらりゆらりと尻尾と羽根が揺れ、胸の二つの白い果実も揺れる、その上で紫がかった虹彩の瞳が爛々と輝いている。
義朗は這いずって逃げようとするが腰が抜けてろくに動けない。
あぁ……悪魔だ……俺は、悪魔に喰われてしまうんだ……。
「兄さん、私が兄さんを吸い尽くして殺すとか思ってない?」
思ってる。
「そんな事しないよ……兄さんはねぇ……」
足首を掴まれて引っ張られた、がりがりと畳に爪痕を残しながら義朗は甘い匂いのする肉体に引き寄せられる。
のし、と柔らかな重みが背にのしかかる、むにゅりと二つの弾力が背中で潰れる。
「これから私と近親相姦するんだよ」
「ミカぁ……駄目だぁ……頼む、それだけは……」
「うーるーさーいー……」
本当に足りないのだ。
確かに濃いのを三度も口に貰った。
それでも胃の中は空も同然だ。乾ききった植物が水を瞬時に吸収するように飲んだ傍から全身に染み渡って無くなってしまう。
胃では駄目なのだ、もっと精を吸収するのに適した器官に直に貰わないといけない。
「お願いだっ……!なあっミカ!」
それでもなお義朗は抵抗の意思を見せる。美香にはわかっている。
自分の事が嫌いだからではない、自分の事を思っているからこそ義朗は一線だけは死守しようとするのだ。
そして兄は、そこのところが一番わかっていない。
「兄さん」
うなじに向けて語りかける。
「私を説得できると思う?」
「ミカ……!」
義朗はゴツンゴツンと地面に額を打ち付けた。
「ひと時の感情でお前の大切なものを奪いたくない!」
「ひと時の感情ねえ、ふうん」
がりっ
「痛っ……!?」
強めに耳たぶを噛まれた。
その耳に間近から言葉が注ぎ込まれる。
「兄さん以外の男とセックスするくらいなら死んだほうがマシ」
「……!?」
「兄さんとセックスできないなら死んだほうがマシ」
「ミカ……!」
体を仰向けにひっくり返される。
改めて美香の全身を視界に収めた義朗はひっと息を呑んだ。それは美香の異形のパーツを見たからではない。
目が据わっている。
瞼が半分落ちて半目になった目の中でドロドロとした何かが渦巻く真っ暗な瞳が自分を見下ろしている。
「もういっかぁ……面倒くさい、できれば合意がよかったけどレイプするね、兄さん」
ジィィィっとスカートのファスナーを下ろすとペロリと舌なめずりする。
義朗は咄嗟にいきり立つ自分の陰茎を手で隠す、美香は暗い目で笑いながら下も脱ぎ去る。
「無駄だよぉ兄さん」
縮こまる兄を前に両手と尻尾をわきわき動かしながら美香は覆いかぶさる。
「こちょこちょこちょこちょこちょっ」
「え?ひぇっ、うわはっ、あはははははははは!?」
部屋に義朗の笑い声が響く。
美香が必死の防御をする義朗の脇腹をくすぐって来たのだ。
「ははひひひひっひっ……ひぇ?」
ずぶめりめりめりぃ
くすぐりに気を取られた瞬間だった。
義朗の陰茎が温かく、きついものの中に飲み込まれた。
「あ゛あ゛っ!?」
何も考える事ができなかった。
ドグドグドグドグドグドグドグドグドグドグドグドグドグドグドグドグ
義朗は射精していた。
「ーーーーーーーーーーー!?!?」
睾丸の中身だけではない、内臓から骨から何から何まで。
精液と一緒に脳みそまで吸い出されてしまった、だから何も考える事ができない。義朗はそう思った。
実際にそんな事が起こったらそう思う事すらできないのだがそう考える事もできない。
極限の飢餓に耐え続けた淫魔の肉体。そして数十年越しの狂おしい想い。
義朗はその全てを一身に受ける事になった。
視界が真っ白になってしまったのでどうなっているのかわからない。
わからないが本能的に危機を感じた身体は手足をばたつかせてその人間には過ぎた感覚を与えるものから逃れようとする。
逃げられない。
柔らかく、ほんのりスモモの香りがするその凶器はまるで義朗の身体と一つにならんとするかのようにがっちりしがみついて離れない。
「あ゛っ……あ゛っ……あ゛っ……あごっ……!?」
唇に、それが吸い付いてきた。
射精が加速する。
死ぬ、死んでしまう。よがり死ぬ。

ぶちん

電気機器のブレーカーが落ちるかのように義朗の意識はぶっつりと途切れた。







 にいにー

………

にいにー

………

誰かが呼んでいる。

にいにー

知っている、妹の、ミカの声だ。

ミーン ミーン ミーン

蝉の鳴き声が聞こえる。
青々と茂る木々が見守る夏の児童公園。

にいにー、おいしーねー

コンビニの袋から取り出したアイスを二人で食べた。
おれはオレンジ、ミカはグレープを買った。
なのに袋を開けたらやっぱりオレンジがいいって言うから取っ替えてやったのだ。
何しろ、おれは兄なのだから。
幼いミカは無邪気に笑ってアイスを舐めている。
かわいいやつだ。

にいにー

なんだよさっきから、聞こえてるよ

みかねー、にいにだいすきー

恥ずかしいこというなよ

みかねー、にいにのおよめさんになるー

おう、いいぞ、かわいいみかならどんとこいだ

うれしいー

ははは

にいにー、おいしいねー

ほんとはおれのなんだからなそのオレンジ

おいしいよにいにー

わかったってば、

ぴちゃくちゅちゅぷちゅぷ……

あまり音たてて食うなよ、かあさんに怒られるぞ

じゅるるるっ、ちゅぷ、にぃにおいひぃ……ちゅぷ

だから、音を……あれ、

ちゅぱ、じゅぷ、ちゅるちゅぷちゃっ

なに舐めてるんだ、それ、アイスじゃ、ないだろ

ちゅっぽ、ちゅっぽ、ちゅっぽ

何でおれのちんちん舐めてるんだ、

ぐちゅちゅぷちゅぱじゅっぱじゅっぱじゅっぱ

何で、羽根生えてるんだよ、おまえ、つの、も

れろくちゅはむぅぅぅんむちゅむちゅむちゅ、にぃにぃぃ

や、め

にぃにのぉれろれろれろえろ、およめひゃんになるろ、れろれろれちゅ、ぱ







 「ああああああ!?」
飛び起きた、ゆ、め。
ぱちゅん!!
「ひぃぎっ」
現実を認識する暇さえ与えられず、下半身を甘美な快感が貫く。
自分の腰の上で少女が黒髪を揺らして跳ね踊っている。
翼と尻尾も踊っている。
そのリズムに合わせて陰茎がものすごく複雑な刺激を受ける。
吸われているとも扱かれているとも舐められているとも表現できない、あるいは全部。
そんな暴力的な快楽がリズミカルに伝わってくる。
「あはァ♪」
自分の下半身とその少女の身体が見えた。
繋がっている、セックスしている。
少女の股間にあるピンク色の肉を、自分のものと思えないほど肥大化した陰茎が蹂躙している。
付き込むと肉が押し込まれて白っぽい粘液がぶちゅりと溢れる、引き抜くとその肉が捲れ上がってヌラヌラと粘液に光る自分の陰茎が姿を見せる。
それが往復するたびに背筋が震える程の快感が襲う。
その粘液には僅かに赤いものが混じってピンク色になっている所も見える。
「ア、は♪」
少女が笑う。
どろどろに蕩けながらも、無邪気にすら見えるその顔は。
「にい、に♪」
妹だ。
「なっちゃったぁ、およめ、さん♪」
脳髄を貫くように妹との記憶が頭を駆け巡る。その背徳感がまた腰の奥から白濁液を引きずり出していく。
「あ、ア、出る?出る?出る?」
パンッ パンッ パンッ パンッ
こちらの限界を敏感に察知した妹がやにわに腰の動きを早める。
無邪気ささえ感じる表情とは裏腹な、自分の腹の中のあらゆる角度で陰茎を楽しませる娼婦のような腰遣い。
その上でぷるんぷるんと白い膨らみが揺れる。先端にある薄紅色の突起が宙に残像で円を描く。
限界だ。
その瞬間、妹は傍に落ちていたスマホを取り上げ、結合部分に向けた。
「ナマ出し、三回目ぇ……♪」
ドクンッ
パシャッ♪





18/07/06 10:06更新 / 雑兵
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■作者メッセージ
アパム「弾持ってきました!」

「遅い!戦争が終わっちまうぞアホ!」

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