連載小説
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散歩
美雪さんが俺のところへお世話をし始めて、2週間ほどたった日の朝のこと。

「美雪さん、今日空いてる?」
「ええ、買い物以外は別にこれといって用事はありませんが。」
「そっか。じゃあ、せっかくの休日だし一緒に街を歩かない?」
「ふふっ喜んで。」
そういえば、彼女と二人で外を歩くのはあの病院以来だ。
しかも、女性と二人きりで街を歩くってのは、人生で初めてかもしれない。
「俺はもう支度できてるけど、美雪さんは?」
「ええ、ああ、しばしおまちください。着替えてきますので。」
着替えると聞き、俺はちょっとのぞきたいと思ったが、彼女にそんないやらしい自分を見せてはならない!
「はい、おまたせしました。」
彼女は長い髪を二つに束ねツインテールのような髪型で、服はカジュアルな柄の半袖のTシャツ、下はピンクのミニスカート、それに合わせるように黒い二−ソックスをはいている。わざとつくっているのか、絶対領域とやらの太ももがこれまた俺の心をくすぐる。
そんな彼女の姿のせいか、いつも俺より6〜7歳年上のように感じた、大人びた美しさも、今日はなんだか年下になったように見えて、かわいく感じる。
そういえば、彼女はどこに自分の服をしまっているのだろうか?普段着は3,4着種類がありそうだし、今のこの服装も・・・
でも、男が勝手に女の服をぶっしょくするなんて、失礼というか恥ずかしい行為だ。どこか上手く収納しているんだろう。と自分を納得させた。
「さあ、いきましょうか。」
「あい。いきましょ。」
アパートを出ると、管理人さんが外の花に水をやっていた。
「おはようございます、管理人さん」
「おはよう、佐川君。あら?こちらのかわいい女性は恋人かな?」
「あ!い、いえいえ!うちの家政婦さんみたいな方です。」
俺は顔を赤らめながら、彼女の方をみると、彼女はクスクスと笑っていた。
「そうかい、そうかい。ま〜男女仲良くね〜」
「はい!では、いってきます。」
「いってらっしゃい、楽しんでおいで」

アパートから少し歩いてから、彼女は口を開いた。
「ふふっ、家政婦だなんて。でも、そんな感じですよね。たとえるの上手いです。」
「ははっまぁ〜詳しく言ったら、お金をとらない家政婦ですけどね。」
「そうですね。」
そう談笑しながら、横に並んで歩いていたら、目の前から大型トラックがやってきた。
俺はすかさず彼女の手をとり、道の端へと追いやった。
「ありがとう、竜君」
「い、いえ、こんぐらい」
そう返事して、手を離そうとするが、彼女はにぎったままだった。
俺は彼女の無言の言葉を察知し、再び手をとった。
そして、手をつなぎ街へと向かうのであった。

午前中は今話題の洋画を観ることにした。
映画の内容は、宇宙からの脅威から地球を守るといったSFものだった。
こういうものは女性は好まないかなと思い、途中彼女の表情をうかがったが、どうやら退屈はしてないようだった。
映画の終盤に主人公の男性とそのヒロインが結ばれる場面で、ちょっと過激なベッドシーンが流れた。互いに体を交り合わす男女の光景に、おもわず俺のそこはテントを張っていた。ふと彼女の様子をうかがったが、そんなシーンもろともせず、いままでどおりに映画を観ていた。
俺は美雪さんに気付かれないよう、足をわざとクロスさせるようにして、それを隠した。
映画も終わり、俺は感想を訊くことにした。
「どうだった?おもしろかった?あっすみません、なれなれしい言葉づかいしました。」
俺は思わず若がえったように見える彼女に友達のように話しかけてしまった。
「ふふっ別にいですよ。話しやすい話し方でかまいません。はい、映画はおもしろかったです。」
「それはよかった・・・です。いえ、それはよかった。やっぱりお言葉に甘えて話しやすいようにします。」
「はい、かまいません。」
時刻は正午を過ぎたくらいだった。
「お?ちょうど昼だね。お昼にする?」
「はい。そうしましょうか。」
「らじゃー。じゃあ、この近くのファミレスでもいこうか?」
「はい。」
そう決まり、また手を握り合い、ファミレスへ向かう。
そこでも、やはり彼女は飲み物しか注文しなかった。
「美雪さん、少しでもおなか減ってるなら分けてあげるよ?」
「ふふっありがとう。でも、大丈夫。これで十分だから。」
「そ、そう?」

ファミレスをあとにし、午後からは服や花屋を観て回った。
けっきょく、なにか買ったわけではないが、彼女は十分楽しめたようだ。
帰り道、たくさん歩いたため少し疲れを感じた。俺が感じているということは、美雪さんはもっと疲れているだろうと考え、途中にある公園で一休みすることにした。
公園のベンチで二人横に並んで座る。
喉も渇きも感じ、近くの自販機で飲み物を買うことにした。もちろん、彼女の分も。
「ちょっと喉渇いたから、飲み物買ってくるけど、美雪さんはお茶でいいかな?」
「はい、なんでもかまいませんよ。」
「は〜い、じゃあ買ってきます。」
そう言い、俺は彼女を置いて自販機に向かい、お茶を二本買った。
そして、ベンチに戻っている時、ベンチの美雪さんの横にがたいのいい男が彼女に密着するかのように座っていた。
俺は思わず、急いで二人の方へ向かう。

「ねぇねぇ、ねーちゃ〜ん、オレっちと一緒に行こうぜ〜?きっと楽しいとおもうからさぁ。なぁいいだろぉ〜?」
「お断りします。私にはちゃんと連れがいますので。」
「いいじゃん、いいじゃん。そんな連れなんか。オレっちの方が何倍も面白いと思うぜ〜?」
そうやり取りする二人の声を耳にしながら、俺は男の前に立つ。
「や、やめろよ。彼女、いやがってるじゃんか!」
「あ〜ん、なんだ?テメェ?ああ、コイツがねーちゃんの言う連れか?貧弱そうなやつだな〜?ガーハッハッハ」
「うるさい!早く彼女から離れろ!!」
「なんだ?威勢はいいみたいだな〜?だったら、すぐに鎮めてやんよ!!」
と、男は立ち上がり、腕を振り上げた。
そして、俺の顔面めがけまっすぐ向かわせてくる。
俺はビビリ、目を閉じたが、衝突してあろう瞬間になっても痛みは襲ってこない。目を開けてみると・・・
美雪さんが男の腕を掴んで止めてくれていた。
「ね、ねーちゃん、けっこう力あるみたいだな〜。おどろいたぜ。」
「うふふ、それはどうも。でも、あなたは私に用があるのでしょう?彼には手をださないで。」
「あはは、女にかばわれるほどよわっちぃんだなぁ、お前。ねーちゃん、やっぱこんなビビリよりオレっちの方がいけてるぜ。」
「でしたら、ちょっとあちらでお話でもしますか?」
「ガーハッハッハ。いいぜ、いいぜ。こんなザコほっといて二人きりで話そうぜ〜。」
「ええ、そうしましょ。」
そう言ったまま二人はトイレの方へ向かっていく。
「み、美雪さん・・・」
「うふふ、大丈夫よ。少しお話したら分かってくれますから。ちょっと待ってて下さい。」
「あ・・・はい。」
俺はただ、あっけにとられたままふてきに笑う彼女を見送るしかなかった。
二人の姿はトイレの裏の蔭へと消え、見えなくなった。
俺はベンチに座り、待つことしかできなかった。

「ねーちゃん、こんなとこ連れてきちゃって、どうしたんだ?」
「うふふ、人の目につかない場所の方がいいですから。」
「そ、そか?好みとかあるもんな。んで、なに話すんだ?告白か?」
「ふふっいえ、ただ喉が乾いてしまって・・・」
「ガーハッハハ、こんなとこまで連れてきてそんなことかよ。まぁ、あんなザコ男と飲むよりオレっちと飲む方が何倍もましだからなああ。気遣って、あのザコに聞こえないようにここに来たわけか。なんでも言ってくれ、オレっちがなんでも飲ませてやるよ〜ガーハッハッハ!」
「なんでも?それは光栄です。」
「うん?ずいぶん欲求がたまってたみたいだな〜。んじゃ、街の飲み屋でもいこうz!!な、なにをっ!!?ゴボッゴボボ」
なんと、男の口の中に彼女は腕を突っ込んだのだ。
そして、腕を液状化させ男の体の中へとどんどん伸ばしてゆく。
「あら?さきほどなんでも飲ませてくれるっておっしゃいましたから、あなたの体液をいただこうと思っただけですよ」
「ゴボッゴボボッゴボボボッ」
「ふふっ返事ができないようですね。仕方ないことです、さっき彼の言うことをきかなかった罰です。」
そういいながら、彼女の液状化した腕は男の体の水分を吸っていく。
ふと、彼女の腕が
「あら?なにかしら、この粘っこい液体は?ふふっちょっと味見してみましょうか。」
男性の白くて粘っこい精液へと達したのだ。
「あんっ!なにかしら、このほろ苦くて粘っこいけど、普通の体液とは違う。
もっともっと欲しいって体中が求めるこの液体。んん〜もう、全部いただいちゃうわね。」
そう告げ、もう一つの手で男の頬を撫で、精液のバキュームをはじめた。
「あんっ!おいしい。癖になるこの味。もっともっと欲しいわ〜。・・・
あらあら?もう終わり?ふふ、まだこの奥に続きがありそうね。」
そのまま、彼女の腕はグイグイと男の膀胱から尿道へと進んでいくのであった。そして、ついに出口へ。
「うふふ、ここに通じているのねぇ。ちょうど男性器っていうところかしら。まさかこんなところにこんなにおいしい体液があるとは知りませんでした。
ふふふ、ごちそうさま。あなたにはもう用はないわ。」
そう言って、彼女はスルスルっと腕を男の体内から出す。
男はぐったりと壁に背をもたらせ、しりもちをついた。
彼女の本性を味わい、驚きのあまり返事ができないのか、それとももう返事ができない体になってしまったのかなんて彼女には興味なかった。
彼女の頭には搾り取った精液の味だけが残ってるのだ。
「さようなら、いいこと教えてくれてありがとう。」
そういい、彼女は男の頭を撫でて、その場をあとにする。

「あの男は!?」
俺はすこし不気味に笑いながら帰ってきた彼女に問いかける。
「ふふっ、彼ですか?彼なら話そうとしましたら、急にトイレと言ってからそのまま出てこないんです。だから、もう行きますって伝えてから、帰ってきました。」
「そ、そうか。なにもされてなくてよかったよ。」
「心配して下さり、ありがとうございます。」
「い、いえ。それより男のパンチ止めてくれてどうもでした。」
「うふっ、あれはたまたまですよ。たまたま彼の腕をつかんだら、止めてくれたんです。」
「いや〜でも助かったよ。」
「いえいえ。」
「あ・・・はい、これお茶」
「ああ、ありがとうございます。」
「じゃあ、飲みながら帰ろうか」
「はい。帰りましょう。」
そう言って、二人は立ち上がり、家へと歩き始めた。
「プハーー!やっぱ喉渇いてる時のお茶ってサイコーー!」
「うふふ、そうですよね。私も好きですよ。」
そういう彼女だが、つい先ほどに極上の飲み物を見つけてしまったため、お茶など興味なかった。

家に帰ると、彼女はまた家をあとにした。晩飯の食材を買ってくるだのことだ。
俺はこの彼女のいない少なからずの時間にエッチなビデオを見なければならない。
俺はササッとシャワーを浴び、下着姿でそっこうテレビ、DVDプレイヤーの電源を入れる。
そして、お気に入りのDVDをセットして・・・
あとはもう興奮するばかり。
美雪さんと暮らすようになり、たまに男女のHなシーンをみると、自分と彼女とがその男女に重なってしまうことがあった。
今日も何度かその現象が起こった。
(俺は美雪さんと、こういうことを望んでいるのか?い、いや、そんなことできるはずがない!!第一、彼女は俺のお世話だけで・・・こんなこと好んでいるはずがない!)
そして、あっというまにドアが開く音がして、俺のヘブンタイムは終わりを告げる。俺はとっさにテレビを切る。
「あ、あら?下着姿でなにをみてらしたんですか?」
美雪さんが、無邪気にも普通に尋ねてくる。
「い、いえ、ただ暑くて下着姿でいました。そしてニュースをみてました。」
「そうですか。いまからご飯の支度しますね。」
「あ、はい。おねがいします。」
いつからか、美雪さんはいつもの大人びた姿に戻っており、俺の態度もかしこまる。
夕食も絶えらげ、明日に備え寝ようとした時、
「あら?変ねぇ、DVDプレイヤーの電源がいつのまにか入ってたみたいです。消しにいきますね。」
「あああああ!!いいですいいです!俺が消します。」
このプレイヤーは電源をきると、自動的に中のDVDがでてくる仕組みだ。
だから、彼女に切らせてしまうと大惨事が起こる。
「ふ〜、なんとかしのげたな。これからは気をつけないと・・・」
「はい?なにか言いましたか?」
「い、いえええ!なにもいってません!!それでは寝ます、おやすみなさい!」
「はい、おやすみなさい。」
そしていつものように、彼女は掛け布団の上からポンッポンッと俺のおなかを優しく叩いてくれる。
でも、どこかいつもとちがう。今日のお出かけでちょっと距離が縮まったのかなと思うも、なんだか彼女の視線が掛け布団をしているとはいえ、俺のあそこに注がれているように見えるのだ。
(まさか・・・)
と思いつつも、すぐにそれはないと言いきかせ寝ることに集中する。
「ふふふっ。いつか味わせてくださいね。」
彼女が何かいったようだが、俺は半分眠りに落ちていて上手く聞き取れなかった。
そして、眠りに落ち、朝を迎えた。

また一日がはじまってゆく・・・







13/08/21 06:33更新 / sloth
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■作者メッセージ
やっと美雪さんの本性が分かりましたね。
普通の人間の姿を装え、体を液体にできるのはスライム系なのか濡れ女なのか分かりませんでした。スライム系はなんだか人の肌を表現できないのかなと思いますし、濡れ女は髪の毛や体が常時濡れてなければならないようですし。
まよったあげく、ヒミツに逃げましたw

まだまだエロさがたりないかもしれませんが、また次回から増やしていきたいと思っております。
読んで下さった皆さん、ありがとうございます。

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