第二話
「うう……夜になっちまった……」
あの後、紗希の家で夕飯をご馳走になり入浴まで済ませた俺は、自室のベッドの上で悶々とする気持ちを抑えていた。
頭に浮かぶのは勿論、紗希のことだ。
帰りがけに紗希が浮かべたあの笑顔は、まさに淫魔と呼ぶに相応しい表情だった。
今まで紗希が披露してきた可愛げのあるお誘いとは比較にならない、本気のサキュバスの誘惑だったと思う。
幼い頃から付き合いがあるが、あんな表情を見るのは初めてだ。
それに驚いて思わず誘いを受けてしまったが、元はと言えば、間違いなく原因は俺にある。
恋人になっても一向に抱こうとしない俺に、紗希の本能がとうとう痺れを切らしてしまったのかもしれない。
あいつの気持ちを知っていながら、それを拒絶し続けてきたツケを払う時が来たのだ。
「もう、逃げちゃダメだよな」
俺は覚悟を決めた。
紗希が来たら、まずは今まで拒絶し続けてきた理由を全て話して、謝ろう。
それで紗希が許してくれるのなら、あいつを気持ちよくさせられるよう全力で頑張る。
これしかない。
「まだかな……サキ……」
紗希が来るまでの時間は、まるで審判の時を待つ被告人のように長く感じられた。
それにしても、やけに遅いな。
もう風呂から上がって2時間は経っただろうに。
◇
「うう……もう夜だ。行かなきゃダメって分かってるのにぃ……」
私は、帰り道で裕二くんとした約束を思い出して悶える。
羽奈ちゃんのアドバイス通りに出来るだけ妖艶な表情で迫ってみたけど、まさかあそこまでアッサリOKされちゃうなんて。今までの苦労は何だったんだろ……。
裕二くん見たことない顔してたけど、そんなにエッチだったのかな。
魔物娘としては、ようやく獲物が罠に掛かったと喜ぶべきかもしれないけれど、私はここに来て未だに躊躇っていた。
お風呂上がりの身体は隅々まで綺麗にしたし、こんな日が来た時のために用意してた、えっちなネグリジェも着て、準備は完了したんだけど……。
不安に思ってる場合じゃないのに……。
うう……こうなったら……。
「一回だけ、自分でシテから会いにいこ……。少しは広がってるかもしれないし……」
大切な初エッチの前に、ちょっと準備をするだけ。そう心の中で呟いて、私はベッドの上に横たわる。
本当は分かってる。そんなのただの言い訳で、決意するのを先延ばしにしているだけって事くらい。
そんな思考を頭の隅においやり、私はネグリジェの裾からショーツを脱ぎ去って、その中身に指を伸ばす。
「んん……。ゆーくん。ゆーくん……」
彼の事を想いながら陰核を擦っていると、じんわりと痺れるような快楽が襲ってきた。
それに浸っているうちに、あっという間に私の秘所はビショビショになり、愛液が膣口から溢れ出てくる。
こうなっちゃうから、あらかじめショーツは脱がなきゃいけないんだよね。
いつもの事だけど濡らしすぎだよ、私のカラダ……。
「もう、いいかな」
準備ができたことを悟った私は、痛くならないように注意しながら、ゆっくりと小指をおまんこに挿入れる。ぐちゅり、と音を立てて、指は少しずつ蜜壺に収まっていく。
んん……気持ちいい……。
何とか広げようとして、前に無理やり親指を入れた時は、泣きそうになるくらい痛かったな。これからエッチするんだから、傷つけないよう慎重にシなきゃ。
そう思っているうちに、程なく私の小指はおまんこの奥まで到達する。
早いなあ。まだ全然残ってるのに。
「ちゃんと広がってるか、見てみなきゃ……」
ちゅぽん、と指を引き抜いて確かめる。
細いそれに絡み付くように付着した、ぬらぬらと光る愛液は、期待に反して第2関節までしか到達していない。
いつもと同じだった。
「…………」
ああ、やっぱり変わらないんだ。
心の中がドス黒い感情に覆われていくのを感じる。
「……もういいっ!」
やけになった私は、気持ちよくなることだけを考えて、激しく指を出し入れし始める。
ぐちゃり。ぐちゅり。ぐちゃり。
「ああっ!」
クリトリスとは比べられない程の、浮き上がるような快感が押し寄せてくる。
でも、それは大切な人のおちんちんじゃなくて、自分の指という紛い物に与えられた気持ちよさなんだ。
それに気づいた私の心は、どんどん沈んでいってしまう。
これまで考えないようにしていた事が、次々と浮かんで止まらない。
「ああ、ゆーくん。そこ、すごい。すごくイイよ……!」
狭いだけじゃなくて、こんなにデリケートだなんて私、サキュバス失格なんだ。
今日まで、まともに好きな人を誘うことさえ出来なかったんだから。
「イイよぉ! ゆーくん! キテ! もっと奥までキテぇ!」
あんな中途半端な誘惑で彼がその気になるわけないって、本当は分かってたくせに、この卑怯者。
エッチする勇気もないくせに、ゆーくんの恋人にしてもらって喜んでたなんてバカみたい。
「もっとシて! もっと激しく動かしてぇ!」
ゆーくんに、この後ぜーんぶ打ち明けちゃったら何て言うかなあ。
『いくじなしめ。今までそんな理由で避けてたのかよ』
『ハッキリ言うけど、最初からお情けで付き合ってやってたんだよ。この勘違い女が』
「……っ!」
最悪な想像をしてしまった私の指は、反射的に動きを止める。
「ちがうもん……! ゆーくんはそんなこと言わないもん……!」
私、最低だ。
大好きな人からの想いを疑って、変な想像するなんて。
僅かに理性が戻ってくると、おまんこで気持ちよくなっている自分が情けなくなって涙まで溢れてくる。
ぜんぶこれのせいなのに。
「ぐすっ……。こわれちゃえ。こんな、だめだめおまんこなんて」
ぐちゅ! ぐちゅ!
めちゃくちゃな抽送を再開した私のおまんこからは、水音が鳴り続ける。
「ゆーくん! ゆーくん!」
快楽に支配された私の思考は、もう何も考えられないくらい鈍っていく。
そんな最悪の気分で、私は絶頂を迎えようとしていた。
高まり続けていた性感が一気に弾ける。
「あああああっ!!」
頭のてっぺんから足先まで貫くような浮遊感が、身体中を走る。
わたし、イッちゃった。
小指から、ピクピクと襞が痙攣しているのが伝わってくる。
私は、はぁはぁと息を荒げながら絶頂の波が落ち着くのを待っていた。
その時だ。
コトン
「あれ?」
辺りを見回すと、枕元に立ててあった写真立てが倒れていた。
ベッドを激しく揺らしすぎたせいかな。
ヒョイと持ち上げてみると、そこに飾ってあった写真が目に映る。
「あっ……」
それは、ゆーくんとのツーショットだった。
恋人になった記念に2人で撮った、大切な写真。
それを見つめていると、あの日彼が告白してくれた言葉を思い出す。
『サ、サキにはバレバレだったかもしれないけど、小さい頃からずっとあなたが好きでした! どうか付き合ってください!』
胸の奥がじんわりと温かくなる。
しどろもどろになりながら想いを伝えてくれたその姿は、たまらなく愛おしいものだった。
「ゆーくん……」
ぎゅっと写真立てを胸に抱きしめ、その温かさを移すように擦りつける。
写真立てを動かす度に、押し付けられた私のおっぱいが、薄いネグリジェの中でむにゅりと形を変える。
その動きは、ようやく絶頂が収まった私へ微かな快感を与えた。
「ん……」
いけない。彼を待たせてるのに、これ以上気持ち良くなるのはダメだ。
そう思い直し、私は今の状況を整理する。
まずは、すぐ彼の所に行って謝らなくちゃ。
今まで半端な気持ちでお付き合いしてた事と、おまんこが狭すぎてエッチできないかもしれないって事を。
それで許してくれたら……いっぱい頑張ろう。
大丈夫、私だって魔物娘の端くれなんだもの。
「ふふふ」
そう思うと、何だか余裕が出てきた。
「待っててね、ゆーくん」
そっと写真立てを元あった場所に戻すと、私はショーツを履くのも忘れて部屋を出る。
愛する人の下へ向かうために。
あの後、紗希の家で夕飯をご馳走になり入浴まで済ませた俺は、自室のベッドの上で悶々とする気持ちを抑えていた。
頭に浮かぶのは勿論、紗希のことだ。
帰りがけに紗希が浮かべたあの笑顔は、まさに淫魔と呼ぶに相応しい表情だった。
今まで紗希が披露してきた可愛げのあるお誘いとは比較にならない、本気のサキュバスの誘惑だったと思う。
幼い頃から付き合いがあるが、あんな表情を見るのは初めてだ。
それに驚いて思わず誘いを受けてしまったが、元はと言えば、間違いなく原因は俺にある。
恋人になっても一向に抱こうとしない俺に、紗希の本能がとうとう痺れを切らしてしまったのかもしれない。
あいつの気持ちを知っていながら、それを拒絶し続けてきたツケを払う時が来たのだ。
「もう、逃げちゃダメだよな」
俺は覚悟を決めた。
紗希が来たら、まずは今まで拒絶し続けてきた理由を全て話して、謝ろう。
それで紗希が許してくれるのなら、あいつを気持ちよくさせられるよう全力で頑張る。
これしかない。
「まだかな……サキ……」
紗希が来るまでの時間は、まるで審判の時を待つ被告人のように長く感じられた。
それにしても、やけに遅いな。
もう風呂から上がって2時間は経っただろうに。
◇
「うう……もう夜だ。行かなきゃダメって分かってるのにぃ……」
私は、帰り道で裕二くんとした約束を思い出して悶える。
羽奈ちゃんのアドバイス通りに出来るだけ妖艶な表情で迫ってみたけど、まさかあそこまでアッサリOKされちゃうなんて。今までの苦労は何だったんだろ……。
裕二くん見たことない顔してたけど、そんなにエッチだったのかな。
魔物娘としては、ようやく獲物が罠に掛かったと喜ぶべきかもしれないけれど、私はここに来て未だに躊躇っていた。
お風呂上がりの身体は隅々まで綺麗にしたし、こんな日が来た時のために用意してた、えっちなネグリジェも着て、準備は完了したんだけど……。
不安に思ってる場合じゃないのに……。
うう……こうなったら……。
「一回だけ、自分でシテから会いにいこ……。少しは広がってるかもしれないし……」
大切な初エッチの前に、ちょっと準備をするだけ。そう心の中で呟いて、私はベッドの上に横たわる。
本当は分かってる。そんなのただの言い訳で、決意するのを先延ばしにしているだけって事くらい。
そんな思考を頭の隅においやり、私はネグリジェの裾からショーツを脱ぎ去って、その中身に指を伸ばす。
「んん……。ゆーくん。ゆーくん……」
彼の事を想いながら陰核を擦っていると、じんわりと痺れるような快楽が襲ってきた。
それに浸っているうちに、あっという間に私の秘所はビショビショになり、愛液が膣口から溢れ出てくる。
こうなっちゃうから、あらかじめショーツは脱がなきゃいけないんだよね。
いつもの事だけど濡らしすぎだよ、私のカラダ……。
「もう、いいかな」
準備ができたことを悟った私は、痛くならないように注意しながら、ゆっくりと小指をおまんこに挿入れる。ぐちゅり、と音を立てて、指は少しずつ蜜壺に収まっていく。
んん……気持ちいい……。
何とか広げようとして、前に無理やり親指を入れた時は、泣きそうになるくらい痛かったな。これからエッチするんだから、傷つけないよう慎重にシなきゃ。
そう思っているうちに、程なく私の小指はおまんこの奥まで到達する。
早いなあ。まだ全然残ってるのに。
「ちゃんと広がってるか、見てみなきゃ……」
ちゅぽん、と指を引き抜いて確かめる。
細いそれに絡み付くように付着した、ぬらぬらと光る愛液は、期待に反して第2関節までしか到達していない。
いつもと同じだった。
「…………」
ああ、やっぱり変わらないんだ。
心の中がドス黒い感情に覆われていくのを感じる。
「……もういいっ!」
やけになった私は、気持ちよくなることだけを考えて、激しく指を出し入れし始める。
ぐちゃり。ぐちゅり。ぐちゃり。
「ああっ!」
クリトリスとは比べられない程の、浮き上がるような快感が押し寄せてくる。
でも、それは大切な人のおちんちんじゃなくて、自分の指という紛い物に与えられた気持ちよさなんだ。
それに気づいた私の心は、どんどん沈んでいってしまう。
これまで考えないようにしていた事が、次々と浮かんで止まらない。
「ああ、ゆーくん。そこ、すごい。すごくイイよ……!」
狭いだけじゃなくて、こんなにデリケートだなんて私、サキュバス失格なんだ。
今日まで、まともに好きな人を誘うことさえ出来なかったんだから。
「イイよぉ! ゆーくん! キテ! もっと奥までキテぇ!」
あんな中途半端な誘惑で彼がその気になるわけないって、本当は分かってたくせに、この卑怯者。
エッチする勇気もないくせに、ゆーくんの恋人にしてもらって喜んでたなんてバカみたい。
「もっとシて! もっと激しく動かしてぇ!」
ゆーくんに、この後ぜーんぶ打ち明けちゃったら何て言うかなあ。
『いくじなしめ。今までそんな理由で避けてたのかよ』
『ハッキリ言うけど、最初からお情けで付き合ってやってたんだよ。この勘違い女が』
「……っ!」
最悪な想像をしてしまった私の指は、反射的に動きを止める。
「ちがうもん……! ゆーくんはそんなこと言わないもん……!」
私、最低だ。
大好きな人からの想いを疑って、変な想像するなんて。
僅かに理性が戻ってくると、おまんこで気持ちよくなっている自分が情けなくなって涙まで溢れてくる。
ぜんぶこれのせいなのに。
「ぐすっ……。こわれちゃえ。こんな、だめだめおまんこなんて」
ぐちゅ! ぐちゅ!
めちゃくちゃな抽送を再開した私のおまんこからは、水音が鳴り続ける。
「ゆーくん! ゆーくん!」
快楽に支配された私の思考は、もう何も考えられないくらい鈍っていく。
そんな最悪の気分で、私は絶頂を迎えようとしていた。
高まり続けていた性感が一気に弾ける。
「あああああっ!!」
頭のてっぺんから足先まで貫くような浮遊感が、身体中を走る。
わたし、イッちゃった。
小指から、ピクピクと襞が痙攣しているのが伝わってくる。
私は、はぁはぁと息を荒げながら絶頂の波が落ち着くのを待っていた。
その時だ。
コトン
「あれ?」
辺りを見回すと、枕元に立ててあった写真立てが倒れていた。
ベッドを激しく揺らしすぎたせいかな。
ヒョイと持ち上げてみると、そこに飾ってあった写真が目に映る。
「あっ……」
それは、ゆーくんとのツーショットだった。
恋人になった記念に2人で撮った、大切な写真。
それを見つめていると、あの日彼が告白してくれた言葉を思い出す。
『サ、サキにはバレバレだったかもしれないけど、小さい頃からずっとあなたが好きでした! どうか付き合ってください!』
胸の奥がじんわりと温かくなる。
しどろもどろになりながら想いを伝えてくれたその姿は、たまらなく愛おしいものだった。
「ゆーくん……」
ぎゅっと写真立てを胸に抱きしめ、その温かさを移すように擦りつける。
写真立てを動かす度に、押し付けられた私のおっぱいが、薄いネグリジェの中でむにゅりと形を変える。
その動きは、ようやく絶頂が収まった私へ微かな快感を与えた。
「ん……」
いけない。彼を待たせてるのに、これ以上気持ち良くなるのはダメだ。
そう思い直し、私は今の状況を整理する。
まずは、すぐ彼の所に行って謝らなくちゃ。
今まで半端な気持ちでお付き合いしてた事と、おまんこが狭すぎてエッチできないかもしれないって事を。
それで許してくれたら……いっぱい頑張ろう。
大丈夫、私だって魔物娘の端くれなんだもの。
「ふふふ」
そう思うと、何だか余裕が出てきた。
「待っててね、ゆーくん」
そっと写真立てを元あった場所に戻すと、私はショーツを履くのも忘れて部屋を出る。
愛する人の下へ向かうために。
23/10/23 15:17更新 / 大鑑
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