恋と動悸
一体、どれだけの時間眠っていたのだろうか
腕を天に向けて延ばし、固まっていた筋肉をほぐす
覚えているのは眠りにつく直前――あの忌々しい褐色肌・・・アイツに私は敗れてそれから・・・・
思い出すだけで腹が立つ。
私は眠りにつく直前自分自身に誓った。 『絶対に復讐してやる』と
「今に見てなさいファラオ・・・私の前に跪かせてやるわ・・・ふふふ・・・あーっはっはっは!」
す
・・・・・・・
とは言ったものの、普通に正面から戦う様では前回の二の舞だ。
かといって何か言い作戦があるわけでは・・・あれは・・・
十数メートル先に誰かが立っている。最初は奴の下部かと思ったが、この魔力は・・・
あちらに気付かれない様、ゆっくりと近づいていく、下半身が蛇である私にとっては音を立てずに近づくなど朝飯前だ。
少しずつ距離を詰めていくにつれ、姿を確認することができた。
白銀の鎧に包んだ若い男。青年というよりは少年のような顔つきで背も低く、鎧に身を包んだ戦士にそぐわない。反面、肌で感じとれる魔力は人間とは思えないほど高い。
人間たちでいうところの『勇者』というやつだろう。しかし、いくら『勇者』といっても所詮は人間、私どころかあのファラオにさえ遠く及ばない。
さて、どうしてくれようか・・・この場で後ろから襲えば簡単に始末できるけど・・・・
ここで、一つの考えが浮かんだ
そうだ、あの勇者と憎きファラオを戦わせ、消耗したところを私が不意打ちを仕掛ければ・・・
恐らく大したダメージは与えられないけれど、多少の隙は生まれるぱずだ。その隙を突けば・・・・ふっふっふ、我ながらいい作戦ではないか
「フフフ・・・・・あははは・・・あーっはっはっは!」
「・・・ッ!、誰だ!!」
思わず漏れた笑いが聞こえたのか、こちらに振返り、剣を構える。
(気付かれた!?・・・いや、むしろ好都合!)
あちらが近づく前に呪文を唱えその場に倒れこむ。
警戒した様子でゆっくりとこっちに近づいてくる彼の目を真っ直ぐに見る。
「あ、貴方は?」
「・・・・・・私は、此処の主に捕まってしまって・・・」
「それで・・・逃げて来たんですね。もう大丈夫ですよ! 立てますか?」
そう言って倒れている私に手を差し伸べる少年。彼の対応からしてどうやら幻術は成功しているみたい。眠りから覚めたばかりとはいえ流石は私と言ったところね。内心笑みを浮かべながら手を取り、彼に問いかける
「・・・・ありがとう・・・・私はヴィオレア。貴方は?」
「僕はフルス。教会から派遣された勇者です。」
予想通り、勇者の少年だったか。思わず笑いがこぼれそうになるのを堪え、か弱い人間の女性を演じる。
「勇者様、どうか今の当主を倒してください。」
「勿論です! と言いたいところなんですが、この遺跡は広すぎてどこに当主がいるのやら・・・」
「でしたら私が案内します。私、裏道を知ってます。」
こうして、私は人間の女性を演じながら勇者を案内することとなった。
(ふっふっふ、私にかかれば勇者一人を操ることなど容易いわね♪)
〜〜〜〜〜
「ところで、こんな大きい遺跡に一人で来たんですか?」
幻惑魔法を使っている以上、話すことに意味などないけれど、此処はかつては一王国が栄えた時期もあった遺跡。裏道を使ってもファラオがいるであろう王の間にまで着くのには時間がかかる。
言うなれば、ただの暇つぶしだ
「ええ、まぁ。こんな広い遺跡を『一人で調査しろ』なんて無茶な命令ですよね。」
「いくら最近人手が足りないからって・・・」などと愚痴を漏らす勇者
たしかにこの遺跡を一人で調査など馬鹿げた話ね。
私が眠りについてから何年経ったかはわからないが教会の無能さは未だに変わっていないみたい・・・
「貴方はどうして教団に入ったのですか?」
こんな無能な組織に入る理由を興味本位で聞いてみる。彼はすぐには答えず、
一瞬の沈黙の後、どこか遠くを見ながら、口を話し始める
「・・・僕の故郷は魔物達に乗っ取られたんです。」
悔しそうに強く唇を噛み、彼は続ける。
「 だから故郷を救うために、魔物を倒すために教団に入ったんです。」
――決意のこもった力強い瞳
「私も同じ、です。私は・・・私の国は此処です。でも今の領主がそれを・・・・」
「そうですか・・・でも安心してください!僕が絶対に救ってみますから!!」
先程の強い瞳とは逆の眩しい程の笑顔と優しい瞳。そして、その笑顔を見た瞬間、『ドキッ』っと心臓の辺りが締め付けられる。
(・・・なんだろう・・・動悸?・・・目覚めてまだ間もない所為・・・かな?)
などと考えていると、突然「危ない!!」という叫び声が聞こえ、振り返ると同時に、彼が飛びこんで来るとそのまま私に覆いかぶさるように倒れる
「「いたたた・・・」」
痛みに顔を歪めつつ目を開くと、仰向けになった私の上に覆いかぶさるように彼が乗っていて、顔の近さはおおよそ3p程。そして彼と目が合うと、またも鼓動が早くなる。
(また動悸?・・・一体何が・・・)
頭が混乱している中、壁に刺さった矢が目に留まる。さらに私の通った床はスイッチを押した後のように凹んでいる。しかも凹んだ床の上にはご丁寧に『この床危険!』と文字が書かれている。
私にとって家同然であるこの遺跡の罠に引っかかるなんて・・・
普段ならするはずもないのに何故・・・
「大丈夫ですか!?怪我はないですか?」
「ッ!! は、離れろ!」
再び視界に入った彼の顔を見て、反射的に彼の体を突飛ばす。
「わ、私は平気・・です!・・・・・・・・その・・・・あり、ありがとう///」
「いいえ、ヴィオレアさんが無事でよかったです」
フルスは安堵した様子でまた先ほどと同じ優しい笑顔を浮かべながら手を差し伸べる
(な、なんなんだ一体・・・この勇者は・・まさか私に何か術を!? いや、そんなはずはない。こ
んなヒヨッコの魔術に私がかかるはずがない!!)
無言で手を取るも、私は彼の顔を見ることができなかった。
〜〜〜
そうこうしている内に奴がいるであろう『王座の間』にたどり着いた。
「こ、ここに今の主がいます・・・・」
目を合わせることができず、そっぽを向きながら小さな声で言う
「此処が・・・・ヴィオレアさんはここで待っていて下さい。ここまで案内してくれたこと、感謝します!」
「・・・・・あ、あの・・ま、待っ・・」
剣を抜き、気合を入れ、部屋に入ろうとする彼に思わず声をかけてしまう
(な、何を言っているんだ私は!こんなことをしたら私の作戦が・・・)
「大丈夫、直ぐに終らせてきます!だから・・・少し待っていてくださいね。」
眩しいほどの笑顔を見せる彼に私は何も言えずその場に固まったままだった。
それから少しして、扉の脇からこっそり中の様子を覗くと・・・・
〜〜〜〜
「お前が今のここの当主か?」
「ふふ、此処を人間が訪れるのは久しぶりですね。いかにも、私が此処の主、ファラオのシャン
ティです」
剣を向けられているにもかかわらず、余裕の表情を浮かべたまま、嬉しそうに話すシャンティ。
「僕の名はフルス!悪いが教団の命により魔物であるお前を滅する!」
剣を握り直し、斬りかかろうとした瞬間―――
『――剣をしまって』
魔力の籠もった声が辺りに響き渡り、フルスは何の躊躇いもなく剣を鞘に収める
「ふふ、いい子ね♪ じゃあ次は 『服を脱いで』 」
フルスは言われるまま服を脱ぎ始め、やがて下着も脱ぎ終えると、一糸まとわぬ姿になる。
戦うとかそういう次元の話ではない。奴にとって勇者は赤子同然、文字通り話にならない。
「ふふ・・・さぁ、『こっちに来て』・・・」
「――はい」
意思を持たない人形のような返事で、ゆっくりと近づいてくる勇者を見て、奴はチロリと赤い唇を舐める
その光景を見ているだけで私の胸は酷く締め付けられる。
別に殴られたわけでも、酸素が足りないわけでもないなのに
―――胸の奥が酷く苦しい
(何・・・この感情・・この気持ちは・・・)
やがて奴の手が彼に触れそうになる
(・・・嫌だ、私は・・・)
そう思った時には、私は扉の脇から飛び出していた
「ダ、ダメェェェ――――!!」
勢いのまま彼を押し倒し、うつ伏せになった彼の体に全身を巻き付ける。
「ようやく出てきましたか、ヴィオレア」
「この子は、勇者は、フルスは私の物だ!!」
巻き付いている尾と腕にぎゅっと力を込め、その様を、フルスが自分の物であることを奴に見せつける。
「数年ぶりの再会の一言目がそれですか、全く・・・そもそも、別に奪ったりはしませんよ。
少年から貴方の魔力を感じましたし。ですから、涙目でこっちを見るのはやめて下さい」
「な、泣いてなどいない!!いい加減なことを言うな!!」
「勿論冗談です♪ それともその反応は本当に泣いていたのですか?」
こ、こいつまた私を虚仮にして!
「さて冗談はさておき、大切な友人に一つ贈り物をしてあげましょう♪」
「誰が友だ!!」
私の声を無視し、勝手に詠唱を始めると、私の回り地面がまばゆい光に包まれ、視界が真っ白に染まる。その直前に見えたのは、意味ありげな奴の笑顔だった。
やがて視界が徐々に晴れてくると、見覚えのある光景が視界に広がる。
「転移魔法?それにここは・・・」
飛ばされたのはつい先程まで私が眠っていたベッドの上。
「・・・う・・・ん・・・ここは」
シャンティから離れたことにより、奴の幻術の効果が消え、正気に戻ったみたい。
「ヴぃ、ヴィオレアさん!あ、貴女は魔もッング!」
言葉を遮るように唇を奪い、そのままベッドに倒れこむ。
「・・っんちゅ・・・・ぷはっ! は、離してください・・・・」
「・・・君がいけないんだ・・・」
「えっ?」
「君が私に幻術を使うから・・・・・だから君がいけないんだ!!」
そのまま彼の首筋に顔を近づけると、牙をたて、毒を流し込む。途端に彼の体はビクンと震え、頬は赤く染まり、虚ろな目でじっと私の顔を見つめてくる。
「さぁ・・・来て・・・♥」
私の呼びかけに対しに噛みつくように唇を当て、舌を潜り込ませてくる。
数年ぶりに喉を通したのは、舌を通り流れ込んでくる唾液。たかが人間の唾液だが、『彼』の唾液というだけで甘く、甘美な物に思える。
「ちゅ・・・・んちゅ、ぢゅる れろ・・」
「んっ・・・ヴィオレアさん・・・僕・・もう・・・」
唇が離れると、恥ずかしそうに顔を伏せ、私を求めてくる。毒を流し込んでからずっと私の臍の下辺りを圧迫していたモノ。彼の分身、雄の象徴。
「いいよ。貴方はもう私の物だから、責任とってあげるね♪」
焦らすように愛液で濡れた秘所と性器を擦らせ、そして一気彼のモノを飲み込む。
「ぁあああぁ♥♥」
「ぅああああぁぁ!!」
感じたことのない快感が走り思わず互いに声が漏れる。
「だめぇ・・・これ・・・止まれない♥」
もっと、もっと気持ち良くなりたい。頭が悦一色に染まり、身体が勝手に動いてしまう。
熱い彼のモノと摩擦の熱で、性器は今すぐ蕩けてしまいそう。
「こんなっの・・・ダメっ・・・もうっ・・・」
「いい!このままぁ♥このまま来てぇ♥♥」
やがて私の中にある彼の性器が膨れ上がって行き、そのまま私の奥で
「あ、あ、ぅあああっ・・・!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!! んっ♥♥」
彼の絶叫と共に熱い精が私の中に流れ込んでくる。初めての快感の余韻浸りながら再び彼と唇を合わせる。そんな甘美な時間はそのまま三日ほど続いた。
〜〜〜
長い長い交尾を終え、私は気になっていたことを彼に尋ねた
「ところでフルス、私にどんな術を掛けたの?」
「えっ、魔術? 僕は何も・・・」
「そ、そんなはず、じゃあなんで私はなんで・・・ハッ///」
そこでようやく私は『魔術にかかった』のではなく、彼に『一目惚れ』したという事実に気付いた。
「あれ、ヴィオレアさん顔真っ赤、うわっ・・・・んっ・んふぅ・・・ぷはっ・・どうしたんですかいきなり?」
恥ずかしさを隠すようにキスをする。彼は私の勘違いに気付いていないみたいだけど、寧ろ恥ずかしさは余計に増していく。
「う、うるさい、フルスが悪い!」
「ご、ごめんなさい・・?」
「・・・あ、謝っても許さないんだからね!」
「・・・じゃあどうすれば・・・」
「・・・ぁせにして(ボソッ」
「えっ?」
「私を幸せにして!!」
勢いで言ったものの、やっぱり恥ずかしくて顔を伏せてしまう。
「・・・クスッ」
「わ、笑うなー!」
言いながら顔を上げると、何度も見た優しい笑顔がそこにあった
(あぁ、そっか・・私はこの笑顔に・・・)
互いに笑顔のまま、再度長い長いキスを交わした。
腕を天に向けて延ばし、固まっていた筋肉をほぐす
覚えているのは眠りにつく直前――あの忌々しい褐色肌・・・アイツに私は敗れてそれから・・・・
思い出すだけで腹が立つ。
私は眠りにつく直前自分自身に誓った。 『絶対に復讐してやる』と
「今に見てなさいファラオ・・・私の前に跪かせてやるわ・・・ふふふ・・・あーっはっはっは!」
す
・・・・・・・
とは言ったものの、普通に正面から戦う様では前回の二の舞だ。
かといって何か言い作戦があるわけでは・・・あれは・・・
十数メートル先に誰かが立っている。最初は奴の下部かと思ったが、この魔力は・・・
あちらに気付かれない様、ゆっくりと近づいていく、下半身が蛇である私にとっては音を立てずに近づくなど朝飯前だ。
少しずつ距離を詰めていくにつれ、姿を確認することができた。
白銀の鎧に包んだ若い男。青年というよりは少年のような顔つきで背も低く、鎧に身を包んだ戦士にそぐわない。反面、肌で感じとれる魔力は人間とは思えないほど高い。
人間たちでいうところの『勇者』というやつだろう。しかし、いくら『勇者』といっても所詮は人間、私どころかあのファラオにさえ遠く及ばない。
さて、どうしてくれようか・・・この場で後ろから襲えば簡単に始末できるけど・・・・
ここで、一つの考えが浮かんだ
そうだ、あの勇者と憎きファラオを戦わせ、消耗したところを私が不意打ちを仕掛ければ・・・
恐らく大したダメージは与えられないけれど、多少の隙は生まれるぱずだ。その隙を突けば・・・・ふっふっふ、我ながらいい作戦ではないか
「フフフ・・・・・あははは・・・あーっはっはっは!」
「・・・ッ!、誰だ!!」
思わず漏れた笑いが聞こえたのか、こちらに振返り、剣を構える。
(気付かれた!?・・・いや、むしろ好都合!)
あちらが近づく前に呪文を唱えその場に倒れこむ。
警戒した様子でゆっくりとこっちに近づいてくる彼の目を真っ直ぐに見る。
「あ、貴方は?」
「・・・・・・私は、此処の主に捕まってしまって・・・」
「それで・・・逃げて来たんですね。もう大丈夫ですよ! 立てますか?」
そう言って倒れている私に手を差し伸べる少年。彼の対応からしてどうやら幻術は成功しているみたい。眠りから覚めたばかりとはいえ流石は私と言ったところね。内心笑みを浮かべながら手を取り、彼に問いかける
「・・・・ありがとう・・・・私はヴィオレア。貴方は?」
「僕はフルス。教会から派遣された勇者です。」
予想通り、勇者の少年だったか。思わず笑いがこぼれそうになるのを堪え、か弱い人間の女性を演じる。
「勇者様、どうか今の当主を倒してください。」
「勿論です! と言いたいところなんですが、この遺跡は広すぎてどこに当主がいるのやら・・・」
「でしたら私が案内します。私、裏道を知ってます。」
こうして、私は人間の女性を演じながら勇者を案内することとなった。
(ふっふっふ、私にかかれば勇者一人を操ることなど容易いわね♪)
〜〜〜〜〜
「ところで、こんな大きい遺跡に一人で来たんですか?」
幻惑魔法を使っている以上、話すことに意味などないけれど、此処はかつては一王国が栄えた時期もあった遺跡。裏道を使ってもファラオがいるであろう王の間にまで着くのには時間がかかる。
言うなれば、ただの暇つぶしだ
「ええ、まぁ。こんな広い遺跡を『一人で調査しろ』なんて無茶な命令ですよね。」
「いくら最近人手が足りないからって・・・」などと愚痴を漏らす勇者
たしかにこの遺跡を一人で調査など馬鹿げた話ね。
私が眠りについてから何年経ったかはわからないが教会の無能さは未だに変わっていないみたい・・・
「貴方はどうして教団に入ったのですか?」
こんな無能な組織に入る理由を興味本位で聞いてみる。彼はすぐには答えず、
一瞬の沈黙の後、どこか遠くを見ながら、口を話し始める
「・・・僕の故郷は魔物達に乗っ取られたんです。」
悔しそうに強く唇を噛み、彼は続ける。
「 だから故郷を救うために、魔物を倒すために教団に入ったんです。」
――決意のこもった力強い瞳
「私も同じ、です。私は・・・私の国は此処です。でも今の領主がそれを・・・・」
「そうですか・・・でも安心してください!僕が絶対に救ってみますから!!」
先程の強い瞳とは逆の眩しい程の笑顔と優しい瞳。そして、その笑顔を見た瞬間、『ドキッ』っと心臓の辺りが締め付けられる。
(・・・なんだろう・・・動悸?・・・目覚めてまだ間もない所為・・・かな?)
などと考えていると、突然「危ない!!」という叫び声が聞こえ、振り返ると同時に、彼が飛びこんで来るとそのまま私に覆いかぶさるように倒れる
「「いたたた・・・」」
痛みに顔を歪めつつ目を開くと、仰向けになった私の上に覆いかぶさるように彼が乗っていて、顔の近さはおおよそ3p程。そして彼と目が合うと、またも鼓動が早くなる。
(また動悸?・・・一体何が・・・)
頭が混乱している中、壁に刺さった矢が目に留まる。さらに私の通った床はスイッチを押した後のように凹んでいる。しかも凹んだ床の上にはご丁寧に『この床危険!』と文字が書かれている。
私にとって家同然であるこの遺跡の罠に引っかかるなんて・・・
普段ならするはずもないのに何故・・・
「大丈夫ですか!?怪我はないですか?」
「ッ!! は、離れろ!」
再び視界に入った彼の顔を見て、反射的に彼の体を突飛ばす。
「わ、私は平気・・です!・・・・・・・・その・・・・あり、ありがとう///」
「いいえ、ヴィオレアさんが無事でよかったです」
フルスは安堵した様子でまた先ほどと同じ優しい笑顔を浮かべながら手を差し伸べる
(な、なんなんだ一体・・・この勇者は・・まさか私に何か術を!? いや、そんなはずはない。こ
んなヒヨッコの魔術に私がかかるはずがない!!)
無言で手を取るも、私は彼の顔を見ることができなかった。
〜〜〜
そうこうしている内に奴がいるであろう『王座の間』にたどり着いた。
「こ、ここに今の主がいます・・・・」
目を合わせることができず、そっぽを向きながら小さな声で言う
「此処が・・・・ヴィオレアさんはここで待っていて下さい。ここまで案内してくれたこと、感謝します!」
「・・・・・あ、あの・・ま、待っ・・」
剣を抜き、気合を入れ、部屋に入ろうとする彼に思わず声をかけてしまう
(な、何を言っているんだ私は!こんなことをしたら私の作戦が・・・)
「大丈夫、直ぐに終らせてきます!だから・・・少し待っていてくださいね。」
眩しいほどの笑顔を見せる彼に私は何も言えずその場に固まったままだった。
それから少しして、扉の脇からこっそり中の様子を覗くと・・・・
〜〜〜〜
「お前が今のここの当主か?」
「ふふ、此処を人間が訪れるのは久しぶりですね。いかにも、私が此処の主、ファラオのシャン
ティです」
剣を向けられているにもかかわらず、余裕の表情を浮かべたまま、嬉しそうに話すシャンティ。
「僕の名はフルス!悪いが教団の命により魔物であるお前を滅する!」
剣を握り直し、斬りかかろうとした瞬間―――
『――剣をしまって』
魔力の籠もった声が辺りに響き渡り、フルスは何の躊躇いもなく剣を鞘に収める
「ふふ、いい子ね♪ じゃあ次は 『服を脱いで』 」
フルスは言われるまま服を脱ぎ始め、やがて下着も脱ぎ終えると、一糸まとわぬ姿になる。
戦うとかそういう次元の話ではない。奴にとって勇者は赤子同然、文字通り話にならない。
「ふふ・・・さぁ、『こっちに来て』・・・」
「――はい」
意思を持たない人形のような返事で、ゆっくりと近づいてくる勇者を見て、奴はチロリと赤い唇を舐める
その光景を見ているだけで私の胸は酷く締め付けられる。
別に殴られたわけでも、酸素が足りないわけでもないなのに
―――胸の奥が酷く苦しい
(何・・・この感情・・この気持ちは・・・)
やがて奴の手が彼に触れそうになる
(・・・嫌だ、私は・・・)
そう思った時には、私は扉の脇から飛び出していた
「ダ、ダメェェェ――――!!」
勢いのまま彼を押し倒し、うつ伏せになった彼の体に全身を巻き付ける。
「ようやく出てきましたか、ヴィオレア」
「この子は、勇者は、フルスは私の物だ!!」
巻き付いている尾と腕にぎゅっと力を込め、その様を、フルスが自分の物であることを奴に見せつける。
「数年ぶりの再会の一言目がそれですか、全く・・・そもそも、別に奪ったりはしませんよ。
少年から貴方の魔力を感じましたし。ですから、涙目でこっちを見るのはやめて下さい」
「な、泣いてなどいない!!いい加減なことを言うな!!」
「勿論冗談です♪ それともその反応は本当に泣いていたのですか?」
こ、こいつまた私を虚仮にして!
「さて冗談はさておき、大切な友人に一つ贈り物をしてあげましょう♪」
「誰が友だ!!」
私の声を無視し、勝手に詠唱を始めると、私の回り地面がまばゆい光に包まれ、視界が真っ白に染まる。その直前に見えたのは、意味ありげな奴の笑顔だった。
やがて視界が徐々に晴れてくると、見覚えのある光景が視界に広がる。
「転移魔法?それにここは・・・」
飛ばされたのはつい先程まで私が眠っていたベッドの上。
「・・・う・・・ん・・・ここは」
シャンティから離れたことにより、奴の幻術の効果が消え、正気に戻ったみたい。
「ヴぃ、ヴィオレアさん!あ、貴女は魔もッング!」
言葉を遮るように唇を奪い、そのままベッドに倒れこむ。
「・・っんちゅ・・・・ぷはっ! は、離してください・・・・」
「・・・君がいけないんだ・・・」
「えっ?」
「君が私に幻術を使うから・・・・・だから君がいけないんだ!!」
そのまま彼の首筋に顔を近づけると、牙をたて、毒を流し込む。途端に彼の体はビクンと震え、頬は赤く染まり、虚ろな目でじっと私の顔を見つめてくる。
「さぁ・・・来て・・・♥」
私の呼びかけに対しに噛みつくように唇を当て、舌を潜り込ませてくる。
数年ぶりに喉を通したのは、舌を通り流れ込んでくる唾液。たかが人間の唾液だが、『彼』の唾液というだけで甘く、甘美な物に思える。
「ちゅ・・・・んちゅ、ぢゅる れろ・・」
「んっ・・・ヴィオレアさん・・・僕・・もう・・・」
唇が離れると、恥ずかしそうに顔を伏せ、私を求めてくる。毒を流し込んでからずっと私の臍の下辺りを圧迫していたモノ。彼の分身、雄の象徴。
「いいよ。貴方はもう私の物だから、責任とってあげるね♪」
焦らすように愛液で濡れた秘所と性器を擦らせ、そして一気彼のモノを飲み込む。
「ぁあああぁ♥♥」
「ぅああああぁぁ!!」
感じたことのない快感が走り思わず互いに声が漏れる。
「だめぇ・・・これ・・・止まれない♥」
もっと、もっと気持ち良くなりたい。頭が悦一色に染まり、身体が勝手に動いてしまう。
熱い彼のモノと摩擦の熱で、性器は今すぐ蕩けてしまいそう。
「こんなっの・・・ダメっ・・・もうっ・・・」
「いい!このままぁ♥このまま来てぇ♥♥」
やがて私の中にある彼の性器が膨れ上がって行き、そのまま私の奥で
「あ、あ、ぅあああっ・・・!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!! んっ♥♥」
彼の絶叫と共に熱い精が私の中に流れ込んでくる。初めての快感の余韻浸りながら再び彼と唇を合わせる。そんな甘美な時間はそのまま三日ほど続いた。
〜〜〜
長い長い交尾を終え、私は気になっていたことを彼に尋ねた
「ところでフルス、私にどんな術を掛けたの?」
「えっ、魔術? 僕は何も・・・」
「そ、そんなはず、じゃあなんで私はなんで・・・ハッ///」
そこでようやく私は『魔術にかかった』のではなく、彼に『一目惚れ』したという事実に気付いた。
「あれ、ヴィオレアさん顔真っ赤、うわっ・・・・んっ・んふぅ・・・ぷはっ・・どうしたんですかいきなり?」
恥ずかしさを隠すようにキスをする。彼は私の勘違いに気付いていないみたいだけど、寧ろ恥ずかしさは余計に増していく。
「う、うるさい、フルスが悪い!」
「ご、ごめんなさい・・?」
「・・・あ、謝っても許さないんだからね!」
「・・・じゃあどうすれば・・・」
「・・・ぁせにして(ボソッ」
「えっ?」
「私を幸せにして!!」
勢いで言ったものの、やっぱり恥ずかしくて顔を伏せてしまう。
「・・・クスッ」
「わ、笑うなー!」
言いながら顔を上げると、何度も見た優しい笑顔がそこにあった
(あぁ、そっか・・私はこの笑顔に・・・)
互いに笑顔のまま、再度長い長いキスを交わした。
13/11/25 14:34更新 / shhs