終電車にて
『ドア閉まりまーす。ご注意下さい』
今日もまた1日が終わった。
聞き慣れたメロディーと、このアナウンスを聞くたびにそう思う。
現在午前0時過ぎ
終電の一番端の車両では,自分以外の客が誰もいないと言うなんとも稀な状況。
子供なら寝転びそうな状況だが、流石にそんなことをやる歳ではないし、そもそもそんな気力はない。
ラッシュ時では至高のポジションである端っこの席で優雅に寝ようとしていた時だった。
ドアが閉まる直前、ドタドタと誰かが駆け込んで来る。
まぁ終電だし、急ぐのはわかるが・・・
(さすがに俺一人だけみたいにはいかないか・・・）
そんなことを考えていると、話の当人が俺の隣に座る。
こんなスカスカな状態でわざわざ俺の隣に座るとは……
物好きな人だなと思いつつ、右目を小さく開くと、
丸まった角に、柔らかそうな毛に包まれた可愛らしい顔が視界に入ってくる。
思わず見とれていると、こちらの視線に気づいたらしくニコッと微笑んでくる。
ドキッとしながらも、思わず目をそらし、再び目を閉じる。
（うわっ、すごく可愛い〜）
そんなことを考えながら、高まった鼓動を落ち着かせていると
3分後、肩に重みが…そして「すぅーすぅー」と 可愛らしい寝息も・・・
そっと目を開くと予想通り、彼女の寝顔があった。しかも偶然か、俺の腕を抱き締めながら寝ている。
一瞬、腕を剥がそうか迷ったが、周りには自分たち以外乗客がいないので放っておくこと
にした。なによりこの幸せそうな寝顔を崩したくなかったのだ。
・・・・・決して俺の腕に彼女の胸に当たっているからとかそういうやましい理由ではない。
断じて違う
しっかし、そんな彼女を見ていると俺のほうまで眠くなってくる。
残業だったし、疲れてるのかな。などと考えているうちに、俺の意識はゆっくりとまどろみの中へ落ちていき・・・・・
〜〜〜〜
「・・・さん・・・ゃくさん・・・お客さ ん・・・」
「・・・・うーん」
肩を叩かれ、目が覚める。顔を上げると駅員の人が安堵した様子で
「お客さん、終点ですよ〜」
言われて慌てて立ち上がろうとすると足に、というか太ももに違和感を感じる。
視線を下に向けると彼 女の頭が俺の太ももに乗っている。いわゆる膝枕状態だ。
「なっ・・・・！！」
思わず心の叫びが口に出てしまう。というか状況を理解できずに、思考がフリーズしている。
「彼女さんとイチャイチャするのはいいけど場所くらいは選んでくださいね」
「いえっ、その・・・・・」
『別にそういう関係じゃ・・・・』などと言い返しそうになるが
場所を考えると、変な誤解を生んで、面倒なことになりかねない
「・・・・スミマセンでした。」
短く謝罪し、ヤレヤレといった様子で去っていく駅員を見送った
さて、
視線を下に向け、現実と向き合う
しかし本当に可愛らしい寝顔だ。なにより幸せそうで、見てるこっちまで幸せな気持ちになってくる
ついつい見とれてしまうが、こんなことをしている場合ではない
とりあえずゆっくりと肩を揺すると、やがて彼女が目を覚ました。
「んーー、おはようございますー」
眠そうに眼を擦りながら、のんびり挨拶をしてくる
「はい、おはようございます」
とりあえず、返事を返す
「それでー、貴方はどなた？」
そんなこんなで、とりあえず電車を降りて、簡単に事情を説明すると
「そうですかー、それはすみませんでしたー」
未だに眼を擦りながら頭を下げる彼女
「気にしないで下さい。自分も寝てたし、別に迷惑って訳でもなかったんで」
むしろ、嬉し・・・などと本音を言えるわけもないので、とりあえず適当に返す
「でも、これからは気を付けてくださいね。電車っていろんな人が使っていますから。関わると面倒な人とかいますし・・・。」
そう言って、その場を去ろうとすると、
「ま、待ってくださーい」
不意に呼び止められる
「貴方のお名前は？」
「俺は佐藤拓斗っていいます」
「私はー椎奈まひるです。拓斗さん、今度お礼をさせてください」
おそらく、お詫びと言いたいのだろうが、あえてそこには触れないことにしよう
「別にいいですよ、気にしないでください」
軽く頭を下げ、そういえば、初対面なのに名前で呼ばれてたな
そんなことを考えながら再び帰路についた
〜一週間後〜
「ああーもう、かったりぃ・・・」
ぼそりとつぶやきながら、一人電車を待つ。
上司の無茶ブリにより残業を余儀なくされ、ようやく解放された現状
朝も会議やらで、疲労はピークに達していた
電車に乗ると先週と同様にほぼ貸切状態の中で端っこに座り、目を閉じていると
いつも通りのメロディーと、アナウンスが流れ、発車しようとしたその時
「拓斗さん？」
突然名前を呼ばれ、目を開き、横を向くと、彼女の顔があった。
「あれ、椎奈・・・さん？」
「はい。この前は、ご迷惑をおかけました」
相変わらず独特な喋り方で謝罪をしてくる
「いえ、この前も言った通り気にしないでください」
「あのー、でもー・・・そのー、お詫びをさせてください」
言いながら距離を詰め、ほぼ密着状態になり、思わず心拍数が上がる
そのまま両肩を掴まれると、彼女の方に引っ張られ、頭を彼女の腿の上に乗せられる
「えーと・・・これって・・・」
「何って・・・膝枕ですよー」
「この前は私がしてもらったのでー、これでお相子です」
予想外のお詫びの方法に驚きながらも、思わず笑ってしまう。
「そっか、ははっ、こういうお詫びの仕方ですか。でも・・重くないですか俺？」
正直、嬉しいと感じつつも、やはり相手に申し訳なさを感じてしまう
「全然平気です。寝ちゃってもいいですからね」
言いながら、ふさふさな手で俺の頭を撫でる
やがて俺の意識も徐々に薄れていき・・・
「じゃあすみません、お言葉に甘えさせてもらって・・・・」
言い終えると、そのまま意識を手放した
「ふふっ、おやすみなさい」
そう返すにする彼女の口元はどこか意味ありげに笑っている・・・気がした
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガタンゴトン・・・・ガタンゴトン・・・
・・・・おかしい。何か違和感を感じる
朧気な意識の中、問題の下半身へ目を向けるが、辺りは暗く、まだ視界がぼやけてよく見えない
目をこすって、重い瞼をしっかり見開くと想像してもいなかった『現実』が俺の視界に入ってくる
俺に膝枕をしてくれていたはず彼女はいつの間にか『俺のものを咥えようとしていた』
「うわあぁぁぁぁぁ！！」
言葉にならない叫びが出る。何故こんなことに？
辺りを確認するも、ここは電車の中で、窓の外は真っ暗で何処かは解らない。しかし、未だにどこへ向かって走り続けている
一体どこへ向かっているのか、駅員達は何をしているのかなど色々と思うことはあるが、今はそれどころではない
「一体何をしてるんですか！？」
「えーと、起きたらお腹がすいてー、ついー」
随分と軽いノリでやってしまったみたいな反応
そりゃ彼女が魔物だってわかってるけどさ・・・流石にこんなところではこういったことにはならないだろうと考えていた
「それと、お詫びの続きです」
ハニカミながら、再度俺のものを舐め始める
「っく、ちょ、ま、まって」
俺が制止するも、一向に手をとめる気はない
「れろ、んちゅ・・・ふふ・・どーですか？」
抵抗できない俺に対し意地悪そうに話し、やがて一気に咥え始め
「んちゅ、くちゅ、んぱぁ」
生暖かい感覚に包まれ、俺に流れる快感も一気に上がってくる
「あむぅ……っんっ、ちゅぱ……はぁっ……」
やがて生き物のように脈動する喉によって締め上げられる
「っツ！！、も・・う、出る・・！！」
俺の声に反応したのか彼女が一気に動くペースを上げる
そして、ついにやってしまった。
「んんぁぁ〜〜♪れろれぉ♪」
コクコクと喉を鳴らし、ゆっくりと精を飲み干していく彼女
「ふふ・・・拓斗さんのすっごく、美味しかったです♪」
味の感想を言われるも、どう反応すればいいのだろうか。
「ふふふ、赤くなった拓斗さん、可愛いですよ♪」
子供をからかうように上機嫌にいう
「それじゃあ、『本番』行きましょうか！」
「ちょ、ちょっと待ってください！！」
流石に越えてはならない境界線があると、彼女を抑制する
「流石に、それは・・・・その・・・ダメじゃないですか・・？」
「えー？・・・どーしてですかー？」
不思議そうに首を横に傾ける彼女
ダメだ、相手は魔物、こっちの常識は通じない・・・
そうして俺は根本的な質問をしてみる
「何で俺なんですか？」
問いかける俺に、彼女はいつもと変わらない笑顔で
「一目惚れです！」「なっ・・」
言われて、思わず俺は赤くなった顔を隠すように下を向く
「で、でも・・・俺たちまだ出会ったばかりだし・・その・・」
語尾を濁らせていると、彼女はいきなり片腕を上げ
「私と一緒にいると色々とお得ですよー」
急に自己アピールを始めた
「まず、毎日抱き枕になってあげます」
・・・これは惹かれる、というのも俺は既に二度それを体験している。
彼女がいれば毎日がすこぶる快眠だろう
「ふたーつ、私の毛を売ればお金には困りません！」
聞いた直後は、『そんな馬鹿な』と思っていたが、
もし彼女の毛であの寝心地を味わえるのなら・・・あながち冗談ではないかもしれない
「みっーつ、いつでもどこでもHをしてあげます」
それはまぁ魔物だし・・うん・・・いやとにかく結論を出そう
えっと、毎日快眠、お金も手に入る、いつでもその・・・できる・・・・・・
・・・あれ？・・おかしいな・・・断る理由が見つからない・・・
って、いやいやいやまてまて、思いっきり首をふり、考えを改める。
こんなあっさり決めてしまっていいのか？などと自問自答していると彼女は
「もしかして私のこと嫌いなんですか？」
上目遣いで悲しそうな顔をこちらに向けてくる
いつものんびりと幸せそうな彼女のシュンとした表情を見ると何かすごい罪悪感を感じる
「いや、そういうわけじゃ・・・・」
「じゃー、万事オッケーですね！」
彼女の表情がいつもの幸せそうな表情に戻る
「いやでも・・・・・」
「・・・やっぱり私なんか嫌いなんですね。そうですよねー、私なんかあんまり可愛くないですし」
「そんなこと！俺だって初めて貴女を見たとき・・・ッツ」
言いかけて、自分が何を言おうとしているかに気付き、言葉につまる
一方の彼女はそんな俺をニコニコした表情で見つめてくる
「大丈ー夫！私が直ぐに好きにさせてあげます！」
「いやそういう問題じゃ・・・」
「それに大丈夫、私も・・・初めてですからー」「・・・えっ・・・」
それを聞いた瞬間、一つの考えが頭をよぎる。
『この人は、本当に自分が好きなんだな』って
そう思うと、ようやく俺の考えがまとまった気がした
「・・・本当にいいですか・・」
「えっ？」
「本当に俺なんかでいいんですか？」
彼女は何も言わず、ほんの少し静寂が流れるが
「・・・名前呼んで・・・」「・・・えっ？」
予想外返答に戸惑いながらも、俺は彼女の名を口にする
「・・・・・えと・・・椎奈さ「違う」」
不満そうに俺の言葉を遮る
「・・・『名前で』呼んで・・・呼び捨てで・・・敬語も禁止・・・」
しっかり目を見て話す彼女におまわず息が詰まる
「・・・ま、まひる・・・本当に俺なんかでいいの？」
目を見てしっかりと返すと、彼女はゆっくりと顔を近づけ
「拓斗じゃなきゃ嫌だよ」
唇を重ねてきた
｢ちゅっ、んちゅ・・くちゅっ・・・｣
実質自分にとってのファーストキスであるが、いきなり舌をいれられ、喘ぎそうになりながらも、なんとか対応する
｢あむっ、れるぅ・・・れるぉ｣
自分なりに対応して見せるも、ほとんどなすがままで彼女の舌を受け入れるだった
「それじゃあ・・・いくね」
目をキラキラさせ、嬉しそうに言うと俺のものを優しくつかみ、ゆっくりと腰を下ろしていく
「んぁっ、あ、あ゛ぁっ！｣
片目を閉じながらもうれしそうな顔とは対照的に、少し辛そうな声を漏らす彼女
「んっ・・っぐ・・」
一方の俺にも今まで感じたことのない刺激に思わず声が出てしまう
「まひる・・・平気？」
繋がった部分に目をやると、一筋の血が流れている
「だい、じょぶ・・えへへ、拓斗の初めてもらちゃった」
自分からは言ってはないが、俺が初めてなんてことは魔物である彼女には明白なことらしい
嬉しそうに笑顔で言うが、やはり少し辛いそうだ
「まひる・・・無理は・・・しないでいいから」
「大丈夫・・動くね・・・」
やがて、まひるはゆっくりと腰を動かし始める
「はぅっ・・ ふぁっ！？あっ あぁぁっ」
動くたびにまひるの甘い声が漏れ、表情も快楽に溺れたものとなっていく
「はあぁん♪・・・あっ、ぁっ♪」
より快楽を求めるように、徐々に動く速度も増していく
「っく・・ひる・・・まひる、まひる！！」
彼女の膣は俺のものを優しく包み込み、無数のヒダが口の愛撫とは違った刺激を与え今までに感じたことのない快感が体中に流れてくる
気付くと俺は彼女の名前を呼んでいた
「たくと・・たくとぉ・・・」
彼女もまた俺の名を呼び、腕を伸ばして俺を求めてくる
伸ばした腕を取り、体を抱き寄せ唇をふさぐ
キスをしている間も彼女は腰を動かすのをやめず、そろそろ限界に達しようとしていた
「まひる・・俺、もう・・・」
「私も・・・お願い・・・一緒に・・・いこぉ♪」
抱き締める腕に力を籠め一層強く抱きしめ、耳元でそっと囁く
「・・・・好きだ」
「えっ？」
「・・・ホントはさ、俺も一目ぼれだった」
言い終わるなり、照れ隠しのように今度は俺が動き始める
「ひゃあゥ・・あンッ・・あンッ・・・た・・くとぉ・・・私、私も、好き！！・・」
淫らな水音と、体のぶつかる音が辺りに響くも、俺は快楽に身を任せ一心不乱に腰を振り続ける
「あぁンッ、あァッ、イイっ、これッ、たくとぉ、いいよぉ」
「いく・・・出すよ、まひる！・・・まひる、まひる！」
「来てぇ、たくとの・・ぁん・・・欲しいよぉ・・・たくとぉ、たくとぉ」
締め付けがさらにきつくなり、まるで貪るように俺のものを締め付け
やがて俺は限界に達し、ドクドクと一気に精液が放たれる
「はふぁぁっ！あっ、んぁっ♪あっ、あっ！んはぁ、あぁあアァぁぁぁぁぁぁ♪♪」
声を上げながら、まるで出した精液を吸収するように膣が絡み付き、脈動する
彼女が絶頂に達した後もしばらく彼女の膣は痙攣を繰り返し、俺のものを刺激した
やがて再び唇を重ねると、俺も彼女も、脱力感と毛皮の影響によって微睡みの中へ落ちて行った
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・くさま・・・ゃくさま・・・お客様・・・」
目が覚めると、目の前には駅員らしき人が立っていた
「お客様、終点ですよ」
そう言われ辺りを確認しようと、体を起こそうとして気付く
彼女が、まひるさんが体に乗っかっている。
もとい、まひるさんと繋がりっ放しだということに！
「あ、あの・・・ここ、これにはちょっとした事情が・・・」
電車内での行為、しかも終点で起こされるなど、かつてない状況に冷や汗をかきながら弁解しようと必死にフリーズした頭を動かそうっとしていたが、ふと冷静に考え直すと、明らかにおかしいことに気付く。
俺やまひるの姿を見てるにしては冷静すぎる。何故この駅員はこんなには落ち着いているんだ？
相手の反応を見つつ、ふと窓の外を覗き込むと、そこにはなんともファンシーな世界が広がっていた
少なくとも俺が今まで過ごした世界とは『別次元』だ
やがて、壊れかけたロボットのように首を回し、駅員に向き直ると、
「あの・・・・ここって・・・」
言葉が途中で途切れたが、駅員は俺の心境を知っていたようで
「魔界へようこそ♪」
と満面の笑み＋ウインクつきで返答され、そのまま去っていった
よく見ると、服装で若干隠れていたが、角やら羽があるのが見てわかる
そのまま30秒くらい口が開いたままだったが、やがて現実を受け入れると、彼女の方に目をやる
「まひるさん・・・起きてますよね？」
俺の問いかけに対し、目を閉じたまま悪戯っぽい笑顔で
「えへへ、バレた？」
可愛らしく舌を出して誤魔化した
俺はこの時、ワーシープは実は意外と策士であるということを学んだ・・・が
どうやら色々と遅かったようだ
今日もまた1日が終わった。
聞き慣れたメロディーと、このアナウンスを聞くたびにそう思う。
現在午前0時過ぎ
終電の一番端の車両では,自分以外の客が誰もいないと言うなんとも稀な状況。
子供なら寝転びそうな状況だが、流石にそんなことをやる歳ではないし、そもそもそんな気力はない。
ラッシュ時では至高のポジションである端っこの席で優雅に寝ようとしていた時だった。
ドアが閉まる直前、ドタドタと誰かが駆け込んで来る。
まぁ終電だし、急ぐのはわかるが・・・
(さすがに俺一人だけみたいにはいかないか・・・）
そんなことを考えていると、話の当人が俺の隣に座る。
こんなスカスカな状態でわざわざ俺の隣に座るとは……
物好きな人だなと思いつつ、右目を小さく開くと、
丸まった角に、柔らかそうな毛に包まれた可愛らしい顔が視界に入ってくる。
思わず見とれていると、こちらの視線に気づいたらしくニコッと微笑んでくる。
ドキッとしながらも、思わず目をそらし、再び目を閉じる。
（うわっ、すごく可愛い〜）
そんなことを考えながら、高まった鼓動を落ち着かせていると
3分後、肩に重みが…そして「すぅーすぅー」と 可愛らしい寝息も・・・
そっと目を開くと予想通り、彼女の寝顔があった。しかも偶然か、俺の腕を抱き締めながら寝ている。
一瞬、腕を剥がそうか迷ったが、周りには自分たち以外乗客がいないので放っておくこと
にした。なによりこの幸せそうな寝顔を崩したくなかったのだ。
・・・・・決して俺の腕に彼女の胸に当たっているからとかそういうやましい理由ではない。
断じて違う
しっかし、そんな彼女を見ていると俺のほうまで眠くなってくる。
残業だったし、疲れてるのかな。などと考えているうちに、俺の意識はゆっくりとまどろみの中へ落ちていき・・・・・
〜〜〜〜
「・・・さん・・・ゃくさん・・・お客さ ん・・・」
「・・・・うーん」
肩を叩かれ、目が覚める。顔を上げると駅員の人が安堵した様子で
「お客さん、終点ですよ〜」
言われて慌てて立ち上がろうとすると足に、というか太ももに違和感を感じる。
視線を下に向けると彼 女の頭が俺の太ももに乗っている。いわゆる膝枕状態だ。
「なっ・・・・！！」
思わず心の叫びが口に出てしまう。というか状況を理解できずに、思考がフリーズしている。
「彼女さんとイチャイチャするのはいいけど場所くらいは選んでくださいね」
「いえっ、その・・・・・」
『別にそういう関係じゃ・・・・』などと言い返しそうになるが
場所を考えると、変な誤解を生んで、面倒なことになりかねない
「・・・・スミマセンでした。」
短く謝罪し、ヤレヤレといった様子で去っていく駅員を見送った
さて、
視線を下に向け、現実と向き合う
しかし本当に可愛らしい寝顔だ。なにより幸せそうで、見てるこっちまで幸せな気持ちになってくる
ついつい見とれてしまうが、こんなことをしている場合ではない
とりあえずゆっくりと肩を揺すると、やがて彼女が目を覚ました。
「んーー、おはようございますー」
眠そうに眼を擦りながら、のんびり挨拶をしてくる
「はい、おはようございます」
とりあえず、返事を返す
「それでー、貴方はどなた？」
そんなこんなで、とりあえず電車を降りて、簡単に事情を説明すると
「そうですかー、それはすみませんでしたー」
未だに眼を擦りながら頭を下げる彼女
「気にしないで下さい。自分も寝てたし、別に迷惑って訳でもなかったんで」
むしろ、嬉し・・・などと本音を言えるわけもないので、とりあえず適当に返す
「でも、これからは気を付けてくださいね。電車っていろんな人が使っていますから。関わると面倒な人とかいますし・・・。」
そう言って、その場を去ろうとすると、
「ま、待ってくださーい」
不意に呼び止められる
「貴方のお名前は？」
「俺は佐藤拓斗っていいます」
「私はー椎奈まひるです。拓斗さん、今度お礼をさせてください」
おそらく、お詫びと言いたいのだろうが、あえてそこには触れないことにしよう
「別にいいですよ、気にしないでください」
軽く頭を下げ、そういえば、初対面なのに名前で呼ばれてたな
そんなことを考えながら再び帰路についた
〜一週間後〜
「ああーもう、かったりぃ・・・」
ぼそりとつぶやきながら、一人電車を待つ。
上司の無茶ブリにより残業を余儀なくされ、ようやく解放された現状
朝も会議やらで、疲労はピークに達していた
電車に乗ると先週と同様にほぼ貸切状態の中で端っこに座り、目を閉じていると
いつも通りのメロディーと、アナウンスが流れ、発車しようとしたその時
「拓斗さん？」
突然名前を呼ばれ、目を開き、横を向くと、彼女の顔があった。
「あれ、椎奈・・・さん？」
「はい。この前は、ご迷惑をおかけました」
相変わらず独特な喋り方で謝罪をしてくる
「いえ、この前も言った通り気にしないでください」
「あのー、でもー・・・そのー、お詫びをさせてください」
言いながら距離を詰め、ほぼ密着状態になり、思わず心拍数が上がる
そのまま両肩を掴まれると、彼女の方に引っ張られ、頭を彼女の腿の上に乗せられる
「えーと・・・これって・・・」
「何って・・・膝枕ですよー」
「この前は私がしてもらったのでー、これでお相子です」
予想外のお詫びの方法に驚きながらも、思わず笑ってしまう。
「そっか、ははっ、こういうお詫びの仕方ですか。でも・・重くないですか俺？」
正直、嬉しいと感じつつも、やはり相手に申し訳なさを感じてしまう
「全然平気です。寝ちゃってもいいですからね」
言いながら、ふさふさな手で俺の頭を撫でる
やがて俺の意識も徐々に薄れていき・・・
「じゃあすみません、お言葉に甘えさせてもらって・・・・」
言い終えると、そのまま意識を手放した
「ふふっ、おやすみなさい」
そう返すにする彼女の口元はどこか意味ありげに笑っている・・・気がした
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガタンゴトン・・・・ガタンゴトン・・・
・・・・おかしい。何か違和感を感じる
朧気な意識の中、問題の下半身へ目を向けるが、辺りは暗く、まだ視界がぼやけてよく見えない
目をこすって、重い瞼をしっかり見開くと想像してもいなかった『現実』が俺の視界に入ってくる
俺に膝枕をしてくれていたはず彼女はいつの間にか『俺のものを咥えようとしていた』
「うわあぁぁぁぁぁ！！」
言葉にならない叫びが出る。何故こんなことに？
辺りを確認するも、ここは電車の中で、窓の外は真っ暗で何処かは解らない。しかし、未だにどこへ向かって走り続けている
一体どこへ向かっているのか、駅員達は何をしているのかなど色々と思うことはあるが、今はそれどころではない
「一体何をしてるんですか！？」
「えーと、起きたらお腹がすいてー、ついー」
随分と軽いノリでやってしまったみたいな反応
そりゃ彼女が魔物だってわかってるけどさ・・・流石にこんなところではこういったことにはならないだろうと考えていた
「それと、お詫びの続きです」
ハニカミながら、再度俺のものを舐め始める
「っく、ちょ、ま、まって」
俺が制止するも、一向に手をとめる気はない
「れろ、んちゅ・・・ふふ・・どーですか？」
抵抗できない俺に対し意地悪そうに話し、やがて一気に咥え始め
「んちゅ、くちゅ、んぱぁ」
生暖かい感覚に包まれ、俺に流れる快感も一気に上がってくる
「あむぅ……っんっ、ちゅぱ……はぁっ……」
やがて生き物のように脈動する喉によって締め上げられる
「っツ！！、も・・う、出る・・！！」
俺の声に反応したのか彼女が一気に動くペースを上げる
そして、ついにやってしまった。
「んんぁぁ〜〜♪れろれぉ♪」
コクコクと喉を鳴らし、ゆっくりと精を飲み干していく彼女
「ふふ・・・拓斗さんのすっごく、美味しかったです♪」
味の感想を言われるも、どう反応すればいいのだろうか。
「ふふふ、赤くなった拓斗さん、可愛いですよ♪」
子供をからかうように上機嫌にいう
「それじゃあ、『本番』行きましょうか！」
「ちょ、ちょっと待ってください！！」
流石に越えてはならない境界線があると、彼女を抑制する
「流石に、それは・・・・その・・・ダメじゃないですか・・？」
「えー？・・・どーしてですかー？」
不思議そうに首を横に傾ける彼女
ダメだ、相手は魔物、こっちの常識は通じない・・・
そうして俺は根本的な質問をしてみる
「何で俺なんですか？」
問いかける俺に、彼女はいつもと変わらない笑顔で
「一目惚れです！」「なっ・・」
言われて、思わず俺は赤くなった顔を隠すように下を向く
「で、でも・・・俺たちまだ出会ったばかりだし・・その・・」
語尾を濁らせていると、彼女はいきなり片腕を上げ
「私と一緒にいると色々とお得ですよー」
急に自己アピールを始めた
「まず、毎日抱き枕になってあげます」
・・・これは惹かれる、というのも俺は既に二度それを体験している。
彼女がいれば毎日がすこぶる快眠だろう
「ふたーつ、私の毛を売ればお金には困りません！」
聞いた直後は、『そんな馬鹿な』と思っていたが、
もし彼女の毛であの寝心地を味わえるのなら・・・あながち冗談ではないかもしれない
「みっーつ、いつでもどこでもHをしてあげます」
それはまぁ魔物だし・・うん・・・いやとにかく結論を出そう
えっと、毎日快眠、お金も手に入る、いつでもその・・・できる・・・・・・
・・・あれ？・・おかしいな・・・断る理由が見つからない・・・
って、いやいやいやまてまて、思いっきり首をふり、考えを改める。
こんなあっさり決めてしまっていいのか？などと自問自答していると彼女は
「もしかして私のこと嫌いなんですか？」
上目遣いで悲しそうな顔をこちらに向けてくる
いつものんびりと幸せそうな彼女のシュンとした表情を見ると何かすごい罪悪感を感じる
「いや、そういうわけじゃ・・・・」
「じゃー、万事オッケーですね！」
彼女の表情がいつもの幸せそうな表情に戻る
「いやでも・・・・・」
「・・・やっぱり私なんか嫌いなんですね。そうですよねー、私なんかあんまり可愛くないですし」
「そんなこと！俺だって初めて貴女を見たとき・・・ッツ」
言いかけて、自分が何を言おうとしているかに気付き、言葉につまる
一方の彼女はそんな俺をニコニコした表情で見つめてくる
「大丈ー夫！私が直ぐに好きにさせてあげます！」
「いやそういう問題じゃ・・・」
「それに大丈夫、私も・・・初めてですからー」「・・・えっ・・・」
それを聞いた瞬間、一つの考えが頭をよぎる。
『この人は、本当に自分が好きなんだな』って
そう思うと、ようやく俺の考えがまとまった気がした
「・・・本当にいいですか・・」
「えっ？」
「本当に俺なんかでいいんですか？」
彼女は何も言わず、ほんの少し静寂が流れるが
「・・・名前呼んで・・・」「・・・えっ？」
予想外返答に戸惑いながらも、俺は彼女の名を口にする
「・・・・・えと・・・椎奈さ「違う」」
不満そうに俺の言葉を遮る
「・・・『名前で』呼んで・・・呼び捨てで・・・敬語も禁止・・・」
しっかり目を見て話す彼女におまわず息が詰まる
「・・・ま、まひる・・・本当に俺なんかでいいの？」
目を見てしっかりと返すと、彼女はゆっくりと顔を近づけ
「拓斗じゃなきゃ嫌だよ」
唇を重ねてきた
｢ちゅっ、んちゅ・・くちゅっ・・・｣
実質自分にとってのファーストキスであるが、いきなり舌をいれられ、喘ぎそうになりながらも、なんとか対応する
｢あむっ、れるぅ・・・れるぉ｣
自分なりに対応して見せるも、ほとんどなすがままで彼女の舌を受け入れるだった
「それじゃあ・・・いくね」
目をキラキラさせ、嬉しそうに言うと俺のものを優しくつかみ、ゆっくりと腰を下ろしていく
「んぁっ、あ、あ゛ぁっ！｣
片目を閉じながらもうれしそうな顔とは対照的に、少し辛そうな声を漏らす彼女
「んっ・・っぐ・・」
一方の俺にも今まで感じたことのない刺激に思わず声が出てしまう
「まひる・・・平気？」
繋がった部分に目をやると、一筋の血が流れている
「だい、じょぶ・・えへへ、拓斗の初めてもらちゃった」
自分からは言ってはないが、俺が初めてなんてことは魔物である彼女には明白なことらしい
嬉しそうに笑顔で言うが、やはり少し辛いそうだ
「まひる・・・無理は・・・しないでいいから」
「大丈夫・・動くね・・・」
やがて、まひるはゆっくりと腰を動かし始める
「はぅっ・・ ふぁっ！？あっ あぁぁっ」
動くたびにまひるの甘い声が漏れ、表情も快楽に溺れたものとなっていく
「はあぁん♪・・・あっ、ぁっ♪」
より快楽を求めるように、徐々に動く速度も増していく
「っく・・ひる・・・まひる、まひる！！」
彼女の膣は俺のものを優しく包み込み、無数のヒダが口の愛撫とは違った刺激を与え今までに感じたことのない快感が体中に流れてくる
気付くと俺は彼女の名前を呼んでいた
「たくと・・たくとぉ・・・」
彼女もまた俺の名を呼び、腕を伸ばして俺を求めてくる
伸ばした腕を取り、体を抱き寄せ唇をふさぐ
キスをしている間も彼女は腰を動かすのをやめず、そろそろ限界に達しようとしていた
「まひる・・俺、もう・・・」
「私も・・・お願い・・・一緒に・・・いこぉ♪」
抱き締める腕に力を籠め一層強く抱きしめ、耳元でそっと囁く
「・・・・好きだ」
「えっ？」
「・・・ホントはさ、俺も一目ぼれだった」
言い終わるなり、照れ隠しのように今度は俺が動き始める
「ひゃあゥ・・あンッ・・あンッ・・・た・・くとぉ・・・私、私も、好き！！・・」
淫らな水音と、体のぶつかる音が辺りに響くも、俺は快楽に身を任せ一心不乱に腰を振り続ける
「あぁンッ、あァッ、イイっ、これッ、たくとぉ、いいよぉ」
「いく・・・出すよ、まひる！・・・まひる、まひる！」
「来てぇ、たくとの・・ぁん・・・欲しいよぉ・・・たくとぉ、たくとぉ」
締め付けがさらにきつくなり、まるで貪るように俺のものを締め付け
やがて俺は限界に達し、ドクドクと一気に精液が放たれる
「はふぁぁっ！あっ、んぁっ♪あっ、あっ！んはぁ、あぁあアァぁぁぁぁぁぁ♪♪」
声を上げながら、まるで出した精液を吸収するように膣が絡み付き、脈動する
彼女が絶頂に達した後もしばらく彼女の膣は痙攣を繰り返し、俺のものを刺激した
やがて再び唇を重ねると、俺も彼女も、脱力感と毛皮の影響によって微睡みの中へ落ちて行った
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・くさま・・・ゃくさま・・・お客様・・・」
目が覚めると、目の前には駅員らしき人が立っていた
「お客様、終点ですよ」
そう言われ辺りを確認しようと、体を起こそうとして気付く
彼女が、まひるさんが体に乗っかっている。
もとい、まひるさんと繋がりっ放しだということに！
「あ、あの・・・ここ、これにはちょっとした事情が・・・」
電車内での行為、しかも終点で起こされるなど、かつてない状況に冷や汗をかきながら弁解しようと必死にフリーズした頭を動かそうっとしていたが、ふと冷静に考え直すと、明らかにおかしいことに気付く。
俺やまひるの姿を見てるにしては冷静すぎる。何故この駅員はこんなには落ち着いているんだ？
相手の反応を見つつ、ふと窓の外を覗き込むと、そこにはなんともファンシーな世界が広がっていた
少なくとも俺が今まで過ごした世界とは『別次元』だ
やがて、壊れかけたロボットのように首を回し、駅員に向き直ると、
「あの・・・・ここって・・・」
言葉が途中で途切れたが、駅員は俺の心境を知っていたようで
「魔界へようこそ♪」
と満面の笑み＋ウインクつきで返答され、そのまま去っていった
よく見ると、服装で若干隠れていたが、角やら羽があるのが見てわかる
そのまま30秒くらい口が開いたままだったが、やがて現実を受け入れると、彼女の方に目をやる
「まひるさん・・・起きてますよね？」
俺の問いかけに対し、目を閉じたまま悪戯っぽい笑顔で
「えへへ、バレた？」
可愛らしく舌を出して誤魔化した
俺はこの時、ワーシープは実は意外と策士であるということを学んだ・・・が
どうやら色々と遅かったようだ
12/10/26 00:23更新 / shhs