魔法
病院で目を覚ましてから2日後私は病院を抜け出し隣接している森に入った
目に見えるのは殺風景な部屋と見下したような目
耳に入るのは耳障りな会話や嘲笑
病院は居心地が悪かった
重い体をなんとか動かし森の中をさ迷った
でも私はどうするんだろう
何がしたいんだろう
何も浮かばない
そうしているうちに体力も無くなってきた
――寒い
――疲れた
――もう歩けない
体から体温が引いていくのがわかる・・・
あぁ、私はやっぱり死ぬんだな
これで、いいんだよね・・・・・
ようやく楽になれる・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
暗い、暗い闇の海・・・
――貴女は何でそこにいるの?
声が聞こえる
「私はこの世界から必要ないから・・・」
――貴女はそれでいいの?
「いい・・・・これが一番・・・・」
違う
――じゃあなんで貴女は泣いてるの?
「え・・・・私・・・・なんで・・・・?」
違う・・・・・私は・・・・・
――貴女はどうしたかったの?
「私・・・・・・・・・」
私はただ
――貴女は何が欲しかったの?
「私は・・・・・・・・・」
愛されたかった
――じゃあ私が魔法をかけてあげるわね・・・
「・・・魔法?」
――そう、魔法よ。これで貴女は大切な人を手に入れられる幸せの魔法
「本当に?」
――ええ、本当よ。さぁ、目を覚ましなさい
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
体が、熱い
何より足が・・・下半身が変な感じ
頭がボーっとして・・・体が熱くて・・・足が融けてる感じ・・・
少し怖い・・・・私が私じゃなくなっていく気がして
でも・・・変な感じ・・・嫌じゃない・・・・
何だろう・・・・・・・気持ちいい・・・
二本の足が融けて、絡み付いて一本になってくみたい・・・・
頭がビリビリ、スパークして・・・・快感が体中を駆け巡って・・・
恐怖心もだんだん快楽に塗りつぶされていく気がする
頭の中も体も心もトロトロに融けていく・・・
わたし・・・・・・わたしは・・・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「う・・・・ん・・・・ここは・・・」
目が覚めると私は森の中にいた
体を起こそうとして違和感に気付いた
立てない
正確には立つための足がない
「何・・・・これ」
私の下半身は鱗に覆われた蛇のような尻尾になっていた
「・・・・ふふ・・・あはは」
涙が出てくる・・・
死んだと思ったら魔物になっていた?
とんだ笑い話だ
なにが幸せになれる魔法だ
「嘘つき・・・・・・」
死んでやろう・・・一度死んだみたいなものだ、もう一度死ぬなんて容易だ。そう思っていた
でも・・・私は死ねなかった・・・
なぜかこの体は人間だった頃より丈夫で簡単には死ねそうになかった
けれど本当の理由はそれじゃない・・・・・・私には怖かった
「うぅ・・ひっぐ・・・」
また涙ができた
なぜ私はこんなにも弱いのか
なぜ世界はこんなにも理不尽なのか
私はもう何もかもに絶望していた・・・・・そんな時
「おーい、誰かいるのか?」
私の泣き声が聞こえたのだろうか?誰かの声がする
「たしかこっちの方だったよな・・・あっ」
そうして、目が合った
「ありゃ、ラミアか?まぁいいや、んで何で泣いてるの」
初対面にもかかわらず青年は親しげに話してきた
「・・・・別に、強いて言うなら世界に絶望してただけ・・・・」
私の思いつきのような発言に彼は気まずそうに言う
「そっか、魔物にもそういう境遇の人いるんだな・・・」
その後彼の話を聴いた。彼も私と同じだった。幼い頃から両親に捨てられ・・・そうして今まで必死に生きてきた
似たような境遇だからか、彼とは気が合った
そうして何気ない会話が続いた
ただ一緒に話しているだけだったけれど、なぜか私にはそれが心地よかった
でも同時に怖かった・・・・以前、一緒に過ごした彼も私をおいてどこかへ行ってしまったから
およそ数時間にも思える時間が私には数分に感じられた
けどやがて時間は流れ、辺りはだいぶ暗くなってくる
すると彼は立ち上がりながら
「おっと、暗くなってきたな・・・・じゃあ、そろそろ俺は行くわ」
あ、待って・・・去っていく彼の背に咄嗟に手を伸ばす
行かないで・・・
もっと彼と話がしたい
彼にそばにいてほしい
「ん?」
彼がこちらに振り向くと
私は彼に尾を伸ばしていた
彼が欲しくて
でも同時に怖くて
普通の魔物なら力ずくで相手に有無を言わせず襲いかかるんだと思う
なんとなくわかる、魔物の本能が彼を襲えってそう叫んでる気がする
事実、私は彼を尾で捕まえた
けど私は弱いから
頭は命令するんだけど・・・私の何かが心の奥で怖がっている、彼に拒絶されることを
多分、今彼に拒絶されたら私は・・・・
だから私は、せめて離れないよう強く抱きしめ
「行かないで・・・・・・ずっとここにいて・・・」
どこか祈るように私は言う
強く抱きしめているのに、私の言葉は弱弱しかった
「・・・・・・・・・」
怖い・・・・彼に拒絶されるのが・・・彼に嫌われるのが・・・
彼の顔が見れない
怖がりながらも本当は聴きたくない回答を待った
「・・・・もしかして寂しかったの?」
「・・・・えっ?」
予想外の回答に少し戸惑いながらも私は小さくうなずく
「うん、いいよ」
「ホントに?」
「君とはなんとなく気が合うし。てゆーか逆に俺でいいの?君、たぶん自分が思っている以上に綺麗な人だよ」
どこか申し訳なさそうに言う彼に、私はで首を横に振る
「私の方こそいいの?私ラミアなんだよ・・・」
「う〜んそこは関係ないかな。ガラじゃないけど、なんか放っておけないだよ、君」
そういうと彼は私の髪をなでてくれた
彼の手は優しくて、暖かくて、それが嬉しくて、心地よくって、私はまた泣いてしまった。そんな私を彼は撫でながらそっと抱きしめてくれた
それから彼と私の二人の生活が始まった
何もない二人だけど・・・多分私は幸せになれる・・・・そんな気がする
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ほら、幸せになれたでしょう?
目に見えるのは殺風景な部屋と見下したような目
耳に入るのは耳障りな会話や嘲笑
病院は居心地が悪かった
重い体をなんとか動かし森の中をさ迷った
でも私はどうするんだろう
何がしたいんだろう
何も浮かばない
そうしているうちに体力も無くなってきた
――寒い
――疲れた
――もう歩けない
体から体温が引いていくのがわかる・・・
あぁ、私はやっぱり死ぬんだな
これで、いいんだよね・・・・・
ようやく楽になれる・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
暗い、暗い闇の海・・・
――貴女は何でそこにいるの?
声が聞こえる
「私はこの世界から必要ないから・・・」
――貴女はそれでいいの?
「いい・・・・これが一番・・・・」
違う
――じゃあなんで貴女は泣いてるの?
「え・・・・私・・・・なんで・・・・?」
違う・・・・・私は・・・・・
――貴女はどうしたかったの?
「私・・・・・・・・・」
私はただ
――貴女は何が欲しかったの?
「私は・・・・・・・・・」
愛されたかった
――じゃあ私が魔法をかけてあげるわね・・・
「・・・魔法?」
――そう、魔法よ。これで貴女は大切な人を手に入れられる幸せの魔法
「本当に?」
――ええ、本当よ。さぁ、目を覚ましなさい
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
体が、熱い
何より足が・・・下半身が変な感じ
頭がボーっとして・・・体が熱くて・・・足が融けてる感じ・・・
少し怖い・・・・私が私じゃなくなっていく気がして
でも・・・変な感じ・・・嫌じゃない・・・・
何だろう・・・・・・・気持ちいい・・・
二本の足が融けて、絡み付いて一本になってくみたい・・・・
頭がビリビリ、スパークして・・・・快感が体中を駆け巡って・・・
恐怖心もだんだん快楽に塗りつぶされていく気がする
頭の中も体も心もトロトロに融けていく・・・
わたし・・・・・・わたしは・・・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「う・・・・ん・・・・ここは・・・」
目が覚めると私は森の中にいた
体を起こそうとして違和感に気付いた
立てない
正確には立つための足がない
「何・・・・これ」
私の下半身は鱗に覆われた蛇のような尻尾になっていた
「・・・・ふふ・・・あはは」
涙が出てくる・・・
死んだと思ったら魔物になっていた?
とんだ笑い話だ
なにが幸せになれる魔法だ
「嘘つき・・・・・・」
死んでやろう・・・一度死んだみたいなものだ、もう一度死ぬなんて容易だ。そう思っていた
でも・・・私は死ねなかった・・・
なぜかこの体は人間だった頃より丈夫で簡単には死ねそうになかった
けれど本当の理由はそれじゃない・・・・・・私には怖かった
「うぅ・・ひっぐ・・・」
また涙ができた
なぜ私はこんなにも弱いのか
なぜ世界はこんなにも理不尽なのか
私はもう何もかもに絶望していた・・・・・そんな時
「おーい、誰かいるのか?」
私の泣き声が聞こえたのだろうか?誰かの声がする
「たしかこっちの方だったよな・・・あっ」
そうして、目が合った
「ありゃ、ラミアか?まぁいいや、んで何で泣いてるの」
初対面にもかかわらず青年は親しげに話してきた
「・・・・別に、強いて言うなら世界に絶望してただけ・・・・」
私の思いつきのような発言に彼は気まずそうに言う
「そっか、魔物にもそういう境遇の人いるんだな・・・」
その後彼の話を聴いた。彼も私と同じだった。幼い頃から両親に捨てられ・・・そうして今まで必死に生きてきた
似たような境遇だからか、彼とは気が合った
そうして何気ない会話が続いた
ただ一緒に話しているだけだったけれど、なぜか私にはそれが心地よかった
でも同時に怖かった・・・・以前、一緒に過ごした彼も私をおいてどこかへ行ってしまったから
およそ数時間にも思える時間が私には数分に感じられた
けどやがて時間は流れ、辺りはだいぶ暗くなってくる
すると彼は立ち上がりながら
「おっと、暗くなってきたな・・・・じゃあ、そろそろ俺は行くわ」
あ、待って・・・去っていく彼の背に咄嗟に手を伸ばす
行かないで・・・
もっと彼と話がしたい
彼にそばにいてほしい
「ん?」
彼がこちらに振り向くと
私は彼に尾を伸ばしていた
彼が欲しくて
でも同時に怖くて
普通の魔物なら力ずくで相手に有無を言わせず襲いかかるんだと思う
なんとなくわかる、魔物の本能が彼を襲えってそう叫んでる気がする
事実、私は彼を尾で捕まえた
けど私は弱いから
頭は命令するんだけど・・・私の何かが心の奥で怖がっている、彼に拒絶されることを
多分、今彼に拒絶されたら私は・・・・
だから私は、せめて離れないよう強く抱きしめ
「行かないで・・・・・・ずっとここにいて・・・」
どこか祈るように私は言う
強く抱きしめているのに、私の言葉は弱弱しかった
「・・・・・・・・・」
怖い・・・・彼に拒絶されるのが・・・彼に嫌われるのが・・・
彼の顔が見れない
怖がりながらも本当は聴きたくない回答を待った
「・・・・もしかして寂しかったの?」
「・・・・えっ?」
予想外の回答に少し戸惑いながらも私は小さくうなずく
「うん、いいよ」
「ホントに?」
「君とはなんとなく気が合うし。てゆーか逆に俺でいいの?君、たぶん自分が思っている以上に綺麗な人だよ」
どこか申し訳なさそうに言う彼に、私はで首を横に振る
「私の方こそいいの?私ラミアなんだよ・・・」
「う〜んそこは関係ないかな。ガラじゃないけど、なんか放っておけないだよ、君」
そういうと彼は私の髪をなでてくれた
彼の手は優しくて、暖かくて、それが嬉しくて、心地よくって、私はまた泣いてしまった。そんな私を彼は撫でながらそっと抱きしめてくれた
それから彼と私の二人の生活が始まった
何もない二人だけど・・・多分私は幸せになれる・・・・そんな気がする
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ほら、幸せになれたでしょう?
11/12/02 17:18更新 / shhs
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