今年も雪は降らない
都会の夜は、今日も寒いばかりで雪は降らない。
外のイルミネーションがキラキラと地上の星だと主張するなか、あるマンションの一室、大学1年の俺はホットカーペットの上で寝ころんでいた。
暖かい。
それだけで心が安らいでくる。たまには毛布とホットカーペットで電気代的に贅沢に寝ようか。
そう思った矢先、インターホンが鳴った。
ピンポーン
なんか買ったっけ
ピンポーンピンポーン
ピンピンポンピンポンピンポン
O「じゃかぁしぃ!!誰だ馬鹿野郎!!」
ガチャリ
果たして扉の前にいたのは。
B「ヨッス」
バタン
筋肉バカの友人Bだった。氏ね。死ねじゃなく氏ね。
B「あっ、ちょっ!悪かったから!悪かったから入れてくれ寒い!」
再びガチャリ
O「なんだよ急に。飯もプロテインも家にはないぞ」
ぶっちゃけBは三度の飯よりプロテインを選ぶ奴だ。こんな時間(夜十時半)になにしにきた。筋トレか?組み手相手か?
B「姉貴が彼氏とイチャラブエッチするからって追い出さ「入れ、チューハイならある」
B「…悪いね」
O「同士に悪いも何もないさ」
〜十五分後〜
俺らはチューハイ片手にだべっていた。
ちょっと酔いが回ってきたかもしれない。俺は下戸だ。
O「あー…彼女欲しい。」
B「んだよ急に。」
O「クリスマス!聖夜!その夜を!彼女と!過ごしたい!ちゅっちゅらびゅらびゅ!」
悶える俺。
B「くっだらない……。ホラ、俺が居るじゃん。ゲームでallnightといこうぜ。」
O「でさ!朝にでもプレゼント交換でもしてさ!畜生!」
B「なぁゲームで楽しもうぜー」
O「だぁーッ!お前みたいな筋肉バカと一緒でなにが楽しいか!……あ、そこに桃鉄あんぜ。」
B「いたストやろうぜ。」
O「おk」
どっちも面白いよな
〜プレイ開始〜
キャラも決まり、二ターン目の事だった。急にBが真顔になった。
B「なぁ、クリスマスって日本じゃ聖夜っつーか性夜っつーかお遊びイベントだけどさ」
O「ん」
B「外国じゃあニコラウスのおっさんがどーとかイエスがどーとかで聖なる行事なんだよな。お盆みたいな。」
O「おお、筋肉バカが賢く見える。だがお盆はなんかちがくね?」
B「そっかな。」
O「どっちかってーと、あの……アレだよアレ。」
B「老人かよ。……お、いきなり空き地ゲッツ」
O「糞、出てこねぇ。あ、税関やめ…おま、やめろ。マジで。飛空挺にしてくれ」
B「しゃーねーな」
(B:筋肉 O:俺)
〜プレイ中〜
ゲームも中盤になってきた時の事だった。
O「そういやさ」
B「んだよ」
O「魔物娘的にはクリスマスプレゼントって何がいいのかな」
B「おま……」
O「いや、仮にだ。仮に。」
B「ふぅん……。あれじゃね?虜の実とか、どうよ」
O「高っ」
B「仮にじゃねーのかよ」
O「もうちょい、もうちょい現実的にいこうぜ」
B「いや、十分じゃね?ちょっとしたネックレスとイーブンだろ」
O「……かなぁ」
B「まぁ、その後の思い出がプレゼントだー。とかお茶濁せばいいんじゃね?」
O「お前天才か」
B「筋肉だけじゃないのよ」
〜プレイ終了〜
O「ィエー」
B「株はマジ卑怯。縛るべき」
O「いや、コレ株なかったら死ねる」
B「株を抱いて溺死しろ」
O「型月厨乙」
B「エロゲは熱くてなんぼだろ」
O「お前がいうか」
B「……なんだよ、いいじゃんかよ。熱くてエロいの最高じゃんかよ」
O「むしろBだったか」
B「へへ……」
O「誉めちゃいねえ」
B「誉めろ」
O「エロい」
B「……それ誉めてんのか?」
O「……ちょっとトイレ行ってくる」
B「あ、おいまて逃げんな」
〜それからしばらく〜
……スゥ……スゥ……
O「寝たか?」
……スゥ……スゥ……
O「ちょい出る。すぐ戻る」
ガチャ パタン
ピッ O「もしもし……」
〜さらに数時間〜
B「……ん」
O「おう、起きたか」
B「…ぇ、ぁ…悪ぃ。寝ちゃった感じ?」
O「だな」
B「マジか!…………マジか…………」
O「なんだよ、なんかしようと思ってたのか?」
B「っうぇ!? ね、ねぇし!別になんもねぇし!」
O「……そうか」
B「……そうだよ」
Bはわかりやすい奴だ。どのくらいわかりやすいかと言えば全て顔にでるからたいていの感情はわかる程度に。
O「おし!じゃあ眼ぇ閉じろ」
B「は?」
O「いいから」
B「いや、なんだよ急に。え?何、なんかくれんの?」
O「いいから、ほら。眼閉じろよ」
B「……おう」
ガサゴソ
O「ほら、眼開けてみ」
B「……!」
Bの眼が大きく見開かれた。
B「おま、これ、いや、言ったけどさ!言ったけど……やっぱ高くなかった?」
O「いいじゃんかよ。お前、虜の実使いたい相手いるんだろ?」
B「え……なん……で」
やっぱりか
O「お前が人のためにプレゼント考えられる頭が有るとは思えんからな」
ようするに、Bが欲しい物を聞くならBがあげたい物を聞けばいい。
B「……ハハ、よくわかってんじゃん」
O「高校からずっと一緒だからな」
そういうとBは不敵にほくそ笑んだ。
……あ、この表情は、なんか悪巧みしてるときの――
B「でも、致命的に鈍いの…………なっ!」
O「モガっ」
Bは即座に虜の実を口に入れてそのまま俺の口にキスをした。
O「!……ん、!……ぶはっ」
B「……ハァ……ハァ」
そして、強制的に食わされた。Bが舌を使って押し込んできたせいで互いの間に唾液が糸を引く。
O「おま……なんで……?」
B「ハハッ、らしくない顔」
O「いや、だって!」
B「お前……オーガがさ、ずっと誰にもアタックせずにいるのを不思議に思わなかったのか?」
俺「思ったけどお前俺の事襲ってこなかったじゃんか」
B(オーガ)「襲ったよ!襲って返り討ちに有ったんだよ覚えても無いのか!無いんだよな!」
ちなみに俺とBは柔道部だった。……確かにやけによく俺と組み手をしようとしていたのは解っていた。襲っていたのか、アレ。
O「それに、お前……前に俺を告白の練習台にした挙げ句に、『好きな人に何度も告白したけど駄目みたいって』……」
B「……いや、疑似告白してればなんか、こう、コないかなぁって思ったんだけど、お前ずっと淡白だし……」
O「そりゃ応援してる相手に惚れちゃあまずいしな」
B「……まぁそんなわけでお前にアタックしては失敗続きだったわけだが」
O「……?」
B「今から17回目のアタックだぁあああああああああああっ!!」
O「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!?」
――結局、虜の実でぼーっとしている俺はほぼなす術無くBに襲われてしまった。俺としては、まぁ、『クリスマスに彼女とちゅっちゅらびゅらびゅ』という本来の願望を叶えてもらった訳だし、Bも大願成就ってことで……
めでたしめでたし
外のイルミネーションがキラキラと地上の星だと主張するなか、あるマンションの一室、大学1年の俺はホットカーペットの上で寝ころんでいた。
暖かい。
それだけで心が安らいでくる。たまには毛布とホットカーペットで電気代的に贅沢に寝ようか。
そう思った矢先、インターホンが鳴った。
ピンポーン
なんか買ったっけ
ピンポーンピンポーン
ピンピンポンピンポンピンポン
O「じゃかぁしぃ!!誰だ馬鹿野郎!!」
ガチャリ
果たして扉の前にいたのは。
B「ヨッス」
バタン
筋肉バカの友人Bだった。氏ね。死ねじゃなく氏ね。
B「あっ、ちょっ!悪かったから!悪かったから入れてくれ寒い!」
再びガチャリ
O「なんだよ急に。飯もプロテインも家にはないぞ」
ぶっちゃけBは三度の飯よりプロテインを選ぶ奴だ。こんな時間(夜十時半)になにしにきた。筋トレか?組み手相手か?
B「姉貴が彼氏とイチャラブエッチするからって追い出さ「入れ、チューハイならある」
B「…悪いね」
O「同士に悪いも何もないさ」
〜十五分後〜
俺らはチューハイ片手にだべっていた。
ちょっと酔いが回ってきたかもしれない。俺は下戸だ。
O「あー…彼女欲しい。」
B「んだよ急に。」
O「クリスマス!聖夜!その夜を!彼女と!過ごしたい!ちゅっちゅらびゅらびゅ!」
悶える俺。
B「くっだらない……。ホラ、俺が居るじゃん。ゲームでallnightといこうぜ。」
O「でさ!朝にでもプレゼント交換でもしてさ!畜生!」
B「なぁゲームで楽しもうぜー」
O「だぁーッ!お前みたいな筋肉バカと一緒でなにが楽しいか!……あ、そこに桃鉄あんぜ。」
B「いたストやろうぜ。」
O「おk」
どっちも面白いよな
〜プレイ開始〜
キャラも決まり、二ターン目の事だった。急にBが真顔になった。
B「なぁ、クリスマスって日本じゃ聖夜っつーか性夜っつーかお遊びイベントだけどさ」
O「ん」
B「外国じゃあニコラウスのおっさんがどーとかイエスがどーとかで聖なる行事なんだよな。お盆みたいな。」
O「おお、筋肉バカが賢く見える。だがお盆はなんかちがくね?」
B「そっかな。」
O「どっちかってーと、あの……アレだよアレ。」
B「老人かよ。……お、いきなり空き地ゲッツ」
O「糞、出てこねぇ。あ、税関やめ…おま、やめろ。マジで。飛空挺にしてくれ」
B「しゃーねーな」
(B:筋肉 O:俺)
〜プレイ中〜
ゲームも中盤になってきた時の事だった。
O「そういやさ」
B「んだよ」
O「魔物娘的にはクリスマスプレゼントって何がいいのかな」
B「おま……」
O「いや、仮にだ。仮に。」
B「ふぅん……。あれじゃね?虜の実とか、どうよ」
O「高っ」
B「仮にじゃねーのかよ」
O「もうちょい、もうちょい現実的にいこうぜ」
B「いや、十分じゃね?ちょっとしたネックレスとイーブンだろ」
O「……かなぁ」
B「まぁ、その後の思い出がプレゼントだー。とかお茶濁せばいいんじゃね?」
O「お前天才か」
B「筋肉だけじゃないのよ」
〜プレイ終了〜
O「ィエー」
B「株はマジ卑怯。縛るべき」
O「いや、コレ株なかったら死ねる」
B「株を抱いて溺死しろ」
O「型月厨乙」
B「エロゲは熱くてなんぼだろ」
O「お前がいうか」
B「……なんだよ、いいじゃんかよ。熱くてエロいの最高じゃんかよ」
O「むしろBだったか」
B「へへ……」
O「誉めちゃいねえ」
B「誉めろ」
O「エロい」
B「……それ誉めてんのか?」
O「……ちょっとトイレ行ってくる」
B「あ、おいまて逃げんな」
〜それからしばらく〜
……スゥ……スゥ……
O「寝たか?」
……スゥ……スゥ……
O「ちょい出る。すぐ戻る」
ガチャ パタン
ピッ O「もしもし……」
〜さらに数時間〜
B「……ん」
O「おう、起きたか」
B「…ぇ、ぁ…悪ぃ。寝ちゃった感じ?」
O「だな」
B「マジか!…………マジか…………」
O「なんだよ、なんかしようと思ってたのか?」
B「っうぇ!? ね、ねぇし!別になんもねぇし!」
O「……そうか」
B「……そうだよ」
Bはわかりやすい奴だ。どのくらいわかりやすいかと言えば全て顔にでるからたいていの感情はわかる程度に。
O「おし!じゃあ眼ぇ閉じろ」
B「は?」
O「いいから」
B「いや、なんだよ急に。え?何、なんかくれんの?」
O「いいから、ほら。眼閉じろよ」
B「……おう」
ガサゴソ
O「ほら、眼開けてみ」
B「……!」
Bの眼が大きく見開かれた。
B「おま、これ、いや、言ったけどさ!言ったけど……やっぱ高くなかった?」
O「いいじゃんかよ。お前、虜の実使いたい相手いるんだろ?」
B「え……なん……で」
やっぱりか
O「お前が人のためにプレゼント考えられる頭が有るとは思えんからな」
ようするに、Bが欲しい物を聞くならBがあげたい物を聞けばいい。
B「……ハハ、よくわかってんじゃん」
O「高校からずっと一緒だからな」
そういうとBは不敵にほくそ笑んだ。
……あ、この表情は、なんか悪巧みしてるときの――
B「でも、致命的に鈍いの…………なっ!」
O「モガっ」
Bは即座に虜の実を口に入れてそのまま俺の口にキスをした。
O「!……ん、!……ぶはっ」
B「……ハァ……ハァ」
そして、強制的に食わされた。Bが舌を使って押し込んできたせいで互いの間に唾液が糸を引く。
O「おま……なんで……?」
B「ハハッ、らしくない顔」
O「いや、だって!」
B「お前……オーガがさ、ずっと誰にもアタックせずにいるのを不思議に思わなかったのか?」
俺「思ったけどお前俺の事襲ってこなかったじゃんか」
B(オーガ)「襲ったよ!襲って返り討ちに有ったんだよ覚えても無いのか!無いんだよな!」
ちなみに俺とBは柔道部だった。……確かにやけによく俺と組み手をしようとしていたのは解っていた。襲っていたのか、アレ。
O「それに、お前……前に俺を告白の練習台にした挙げ句に、『好きな人に何度も告白したけど駄目みたいって』……」
B「……いや、疑似告白してればなんか、こう、コないかなぁって思ったんだけど、お前ずっと淡白だし……」
O「そりゃ応援してる相手に惚れちゃあまずいしな」
B「……まぁそんなわけでお前にアタックしては失敗続きだったわけだが」
O「……?」
B「今から17回目のアタックだぁあああああああああああっ!!」
O「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!?」
――結局、虜の実でぼーっとしている俺はほぼなす術無くBに襲われてしまった。俺としては、まぁ、『クリスマスに彼女とちゅっちゅらびゅらびゅ』という本来の願望を叶えてもらった訳だし、Bも大願成就ってことで……
めでたしめでたし
12/04/25 09:33更新 / 檻葉