読切小説
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地獄の火クラブの顛末
「『地獄の火クラブ』について知っているか?」
 小栗は、薄い唇を釣り上げて言った。
「確か十八世紀のイギリスにあった秘密クラブだったと思いますが」
 夢野はブランデーグラスを口から離し、怪訝そうな表情で答える。
 ビクトリア様式で造られた部屋の中は薄暗く、豪奢さと共に退廃的な雰囲気を漂わせている。わざとらしく置かれた銀製の燭台の火が、部屋の中を嗤うように照らしていた。
「ああ、悪魔崇拝を絡めた乱交パーティーをやっていたクラブさ。さすが退廃文学の旗手だけあって、良く知っているね」
 小栗の皮肉な物言いに、夢野は苦笑で答える。エログロ小説の書き手である夢野を古風な言い回しで表現するなど、皮肉以外の何でもない。もっともパトロン気取りの小栗の機嫌を損ねない為にも、夢野は苦笑で済ませるしかない。
「実は、その地獄の火クラブを現代に作ろうと思ってね。それで君にも参加してほしいのだよ」
 小栗の言葉に、夢野は薄く笑いながら考える。面倒な事になったな、変な事に巻き込まないでくれ。そう思ったが、夢野の立場では言えない。
「いいですよ。ですが地獄の火クラブの参加者は、社会的地位が有り教養の有る人々だったはずです。私は、その条件を満たしてはいませんよ」
 夢野はイエス、バット式の断り方をする。言っている事が鵺のような訳の分からない物になるが、夢野の弱い立場では仕方がない。
「構わないよ、君には地位はともかく教養がある。参加する資格は有るさ」
 エログロ小説家を「教養がある」と言うのだ。夢野は失笑してしまう。だが、小栗は平然と言い続ける。
「地位と教養両方そろっている者を探すのは難しくてね。君に参加してもらわないと困るのだ」
 こうまで言われると、夢野に断わる事は出来ない。内心溜息をつきながらも、参加する事はそれなりに楽しい事かもしれないと思い直す。
「分かりました。期待に応える事が出来るか不明ですが、私も参加しますよ」
 夢野の言葉に、小栗はブランデーグラスを揺すりながら笑った。

 夢野は小説家だ。とは言っても大した小説を書いているわけではなく、過激な性描写が売りのホラー小説を書いている。出版界での評価は三流物書きと言ったところだ。
 その三流物書きにはパトロンのような者がいた。小栗は、夢野の小説を出している出版社の筆頭株主であり、ポルノ小説やホラー小説を出している各出版社の大株主である。小栗は旧財閥系の一族に連なるとか、投資の世界で活躍していると噂されているが、夢野には正否は分からない。ただ、財産が有る事は確かであり、夢野を呼びつける自宅はビクトリア様式の大邸宅だ。小栗は夢野を気に入ったらしく、何かと援助してくれていた。
 小栗は退廃的な趣味が有り、夢野に付き合わせる事が有った。今回のパーティーもその一つだ。

 夢野が乗った黒塗りのベンツは「修道院」に着いた。修道院は、河畔にある元リゾート地に建っている。バブルの頃に開発されたが、バブル崩壊によって企業と自治体に莫大な負債を残して潰れた所だ。小栗はその土地の一角を二束三文で手に入れて、ゴシック様式の修道院を建てたのだ。
 「修道院」と言っても、本物の修道院ではない。小栗が、自分の趣味の為に建てた快楽の館だ。地獄の火クラブの主催者であるフランシス・ダッシュウッドが建てた悦楽の館である「修道院」をまねて作った物だ。
 小栗の運転手に促されて車から降りると、夢野はこの壮麗な僧院を眺めた。アーチや柱廊、塔などが有るゴシック様式の建物だ。真新しいために中世ヨーロッパの遺跡のような趣は無いが、その分壮麗さは有る。入口の門には「汝の欲する事を成せ」と刻まれていた。庭園には、人魚やニンフ、それに下半身が蛇の女であるラミアが、下半身が馬であるケンタウロスの男や山羊の角と下半身を持つサテュロスの男と交わる彫像が置かれている。また、所々にペニスやヴァギナを模した彫像が置かれていた。
 修道院の建物の入り口の前で、小栗の執事が待っていた。修道院の制服である白い上衣に白いズボン、白い帽子をかぶった姿だ。細面の青年で、二十を過ぎているがまだ少年に見える。彼は、かつて美少年、美青年を集めている事で知られる芸能プロダクションに所属していたが芽が出なかった。その後ホストをしていたところを小栗に拾われたのだ。執事は、端正な顔に笑みを浮かべて夢野に挨拶をする。
 彼に案内されて、夢野は修道院の中を歩く。修道院の廊下には、淫魔たるサキュバスや女悪魔が男と交わっている絵が無数に掛けられている。また、修道女が犬や馬、豚と交わっている絵も掛けられていた。半裸の修道女が、豚のペニスをしゃぶり犬のペニスに貫かれている絵があった。その絵には「歓楽極まり、ここに死せり」と書いてあり、夢野は思わず見とれてしまう。
 小栗は礼拝堂で待っていた。礼拝堂は、天使達が乱交している壁画が天井と壁を覆っていた。その様々な性技の姿は、性の一大博覧会の様相をしている。人一倍性技の種類に詳しい夢野でさえも知らない技が描かれている。小栗は修道院長の格好をしていた。白い上衣と白いズボンは他の修道僧と同じだが、兎皮で飾られた赤い縁なし帽をかぶっている。夢野の姿を見ると、小栗は皮肉っぽく笑った。
「我が兄弟よ、お勤めにようこそ」
 小栗は、わざとらしく手を広げて迎える。夢野も笑いながら手を広げ、小栗と抱き合う。
「相変わらず楽しい造りの修道院ですね」
「そう言ってもらえると嬉しいな。明日からもっと楽しむ事が出来る。明日には他の連中もそろうから、礼拝を行う事が出来る」
 小栗の言葉に、夢野は内心嗤う。明日には暇な馬鹿どもがそろうのか。まあ、せいぜい俺も楽しんでやろう。

 夢野は、僧院の一室でゆりかごに横たわっていた。「高位聖職者」は、ゆりかごで寝る権利が得られる。地獄の火クラブには、「高位聖職者」と「低位聖職者」が存在する。クラブの会員は高位聖職者であり、会員の紹介で参加した者は低位聖職者だ。夢野は、修道院長の小栗の手で高位聖職者になっている。
 夢野は、女と共にゆりかごに揺られていた。女は風俗嬢であり、地獄の火クラブの修道士として働いている。明日の礼拝にも参加する。女の修道士は、ほとんどが乱交の為に集められた風俗嬢だ。今日は、夢野の相手をしているわけだ。性の専門家として巧みな技術で夢野を楽しませた後、こうして夢野に寄り添ってゆりかごに揺られて寝ていた。
 小栗は、執事と共に寝ているらしい。小栗は女も好きだが、男を相手にする事も好んでいる。あの執事はさぞ色々仕込まれただろうと、夢野は少しばかり憐れんでいる。
 夢野は性臭を嗅ぎながら、ゆりかごに揺られて考えていた。夢野は、いくつもの職を転々として来た。自衛隊を辞めた後、出版社勤務、農業法人勤務などをして来たがうまくいかなかった。やけになって書きなぐったエログロ小説をホラー小説の新人賞に送ったら、佳作に選ばれた。そして現在は、出版業界の底辺を彷徨っている。
 所詮俺は、便所の落書きみたいな物を書いて飯食っている売文屋だ。ろくな仕事は出来なかったし、これからも出来ないだろう。だったら、せいぜい今を楽しめば良い。暇な金持ちどもに媚びへつらい、退廃とやらを楽しんでやろう。現に、この女と楽しむ事が出来た。
 隣で寝ている女を見ながら、夢野は声を出さずに笑う。そのまま目をつぶり、眠りへ潜り込んだ。

 翌日の夜、礼拝堂には大勢の男女が集まっていた。これから行う悪魔崇拝に参加するためだ。もっとも悪魔崇拝は単なる遊びで、実際にやる事は乱交だ。
 僧院の駐車場には、数多の高級車が止まっている。パーティーに参加する者達が乗って来た車だ。男の参加者は企業経営者、投資家、投機家などだ。皆、金と暇が余っている者達だ。政治家と官僚は参加しない。彼らは、公人としてスキャンダルを恐れて小栗とは距離を取る。企業経営者も慎重な者は参加しない。彼らが参加する秘密パーティーもあるらしいが、厚いベールに包まれているために小栗も知らない。このパーティーに参加する者は、スキャンダルなど気に留めない者達だ。
 女の参加者は大半が風俗嬢だ。小栗は風俗界の大物と繋がりが有り、風俗嬢を大勢集める事が出来た。風俗嬢達は素顔だが、それとは別に少数の者が銀のマスクをかぶっている。マスクをかぶっているのは、女の企業経営者や投資家、投機家だ。男に負けずに乱交に参加するつもりなのだ。彼女達の為に、ホストも集められて参加している。マスクをかぶっている者の中には芸能人もいるが、彼女達は風俗嬢とほとんど同じ扱いだ。
 礼拝堂の中には、彼らとは違う雰囲気の者達もいる。ポルノやホラーを描いている小説家や漫画家だ。夢野と同様に、礼拝を盛り上げるために連れて来られた。彼らは礼拝堂の隅で所在なさげにたたずんでいる。
 礼拝堂にいる者達は皆、白い上衣に白いズボン、白い帽子と言う修道士の姿だ。胸には「愛と友情」と刻まれた銀のブローチを付けている。彼らは「修道士」であり、あくまでお勤めとして乱交を行うのだ。
 礼拝堂にはレースやビロードで覆われたテーブルが並び、酒と食事が並んでいる。夢野にとっては、名前は知っているが飲んだ事が無い銘柄のワインやウイスキーが並ぶ。食事は、ウニやカニ、トリュフ、フォアグラ、キャビアと言った平凡な高級品から、孔雀や鯨など法的に問題が有りそうな物までそろっている。参加者達は卑猥な天井画と壁画に囲まれて、遠慮無くそれらの品を飲みかつ食べていく。金銀の燭台が、貪欲な修道士達を照らしていた。
 料理は、大都市から料理人を呼び寄せて作らせた物だ。給仕達は、風俗店の男性従業員だ。彼らの働きにより、小栗達は鯨飲馬食を楽しむ事が出来る。
 夢野は、参加者達の会話を聞いていた。男の参加者の話題は、金儲けと金、そして女の話ばかりだ。教養が感じられるものは無い。金儲けの話は、話者の頭の良さを示しているものだが、だからと言って教養が感じられるものではない。頭の良さと教養の有る事は必ずしも一致しない事を、夢野はまざまざと見せつけられた。
 女達は、男達に話を合わせていた。合わせていただけで、話に熱は無い。風俗嬢としての愛想の良さは保っていたが、それだけだ。
 夢野は赤ワインの入った金のゴブレットを掴むと、男女に背を向けた。貧寒としていて見られたものではない。このパーティーは、一八世紀の乱交パーティーのカリカチュアだ。一八世紀の退廃者達は堕落していたが、それでも知性と教養があった。このパーティーの参加者は、知性と教養が無い。ただ、卑俗な精神と動物的な欲望だけだ。粋とか野暮とか言う以前の話だ。
 しかも空虚で冷めている。青髭ジル・ド・レイなどに見られる中世ヨーロッパの蛮行には熱があったが、このパーティーの参加者には熱が無い。自分自身を焼き尽くそうとする情熱など無いだろう。
 小栗を見ると、薄ら笑いを浮かべてパーティーを眺めている。小栗は、このパーティーの貧寒さを分かっていて開いているのだろう。心身ともに惰弱な動物を見て笑っており、笑う為にパーティーを開いているのだろう。夢野は、冷笑しながらその事を噛みしめる。
 ふと、夢野の視界に給仕が目に入った。風俗店から来た彼は、無表情に給仕を続けている。夢野は、風俗店従業員について書いたルポルタージュを読んだ事が有る。彼らは、劣悪な労働条件と険悪な人間関係の中で仕事している。彼らにとって客は物以下の存在であり、決して良好な感情は持たない。冷ややかな礼儀正しさを用いて客を相手する。
 夢野は視界から給仕を消し、ゴブレットの赤ワインを啜る。重い味わいのワインは、夢野の口に渋みを残した。

 適度に飲み食いをした後は、乱交を始めるばかりだ。それがこのパーティーの最大の目的だ。ただ、その乱交を盛り上げるものとして悪魔の召喚を行わなければならいない。
 礼拝堂の正面には逆さ十字架にかけられたキリスト像が有り、その前で魔方陣が描かれていた。修道院長と数名の高位聖職者は魔方陣に入り、悪魔召喚のための呪文を唱え始める。本来なら魔法陣の中に入らなくては危険とされているのだが、大半の参加者は魔法陣から出ている。所詮は気楽な遊びに過ぎないのだ。
 ふと、夢野は寒気がした。礼拝堂には暖房が入っており、温風が下に来るように空調もなされているはずだ。にもかかわらず、夢野は肌寒さを感じる。礼拝堂の中は金銀の燭台で照らされており、その影がやけに濃いような感じがする。夢野は思わず笑い出す。俺は、何を神経質になっているのだ。笑う夢野の鼻に、硫黄の臭いが感じられる。小栗さんの趣向か?結構凝っているじゃないか。夢野は薄ら笑いを浮かべる。
 魔法陣が紫の光と煙に包まれ、参加者が歓声を上げる。小栗の仕込んだ趣向と見て楽しんでいるのだ。光と煙は渦を巻き、室内に爆発するように広がる。参加者の楽しげな悲鳴が響き渡る中、光と煙は消えていく。
 光と煙が消えた後に、人々のざわめきが広がった。自分達以外の異様な風体の者達が、礼拝堂の中に大勢いるのだ。見た目は十三、四歳位の少女達だが、人間離れした姿をしている。肌は青く、目は赤く、背中からは黒い翼が生え、尻には尻尾が生えている。小悪魔めいた姿の少女達が、胸や股間をわずかに覆った黒皮の服を着ている。彼女達は、自分を見下ろす白装束の男女を笑いながら見上げていた。
 夢野は眉をひそめた。小栗さんは何を考えているのだ?こんな十代前半の少女達を乱交に参加させようと言うのか?夢野は、少女達の出現が小栗の趣向だと考えていた。
 だが、当の小栗は驚愕した表情で少女達を見ている。あたかも本当に悪魔が現れたかのように。夢野は軽く溜息をつく。小栗さんは、けっこう演技の才能が有るじゃないか。だが、少女を巻き込む事は止めた方がいいだろ。夢野は眉をひそめたままだ。
「お兄ちゃん達、私達を召喚してくれてありがとうね。お礼にいっぱい遊んであげるよ」
 小栗の前にいる青肌の少女が、楽しげに言う。それを号令に、少女達は修道服姿の男達に擦り寄り始める。
「でも、お姉さん達はちょっと邪魔かな。お姉さん達を相手してくれるサキュバスの所に送るね」
 次の瞬間に、礼拝堂にいた修道女姿の女は紫の光と闇に包まれ、一人残らず瞬時に消えた。後には、男達と少女達が残る。
 夢野は、この時に初めてこれは小栗の趣向ではないと考え始めた。いくら何でもトリックが大規模すぎる。
 夢野の腰を、青肌の少女の一人が撫でる。
「お兄ちゃん、よろしくね」
 赤い目をした少女は、子供とは思えぬ嫣然とした笑みを浮かべた。

 小悪魔少女は、夢の股間をズボンの上から撫でまわした。驚く事に、その手付きはとても少女のものとは思えぬほど巧みだ。たちまち夢野の股間は膨れ上がる。小悪魔少女は夢野のズボンを引きおろし、トランクスの上からペニスに頬ずりをする。
「もうパンツが濡れているよ。元気だね、お兄ちゃん」
 小悪魔少女はトランクスも引きおろし、いたずらっぽい表情でペニスに舌を這わせる。
「ちゃんとおちんちんを洗っているんだね、いいお兄ちゃんだね。でも、少しくらいだったら臭いや味がしてもいいんだよ」
 小悪魔少女は、笑いながら亀頭を舐め回しくびれに舌を這わせる。裏筋に繰り返し舌を這わせ、竿に顔を擦り付けながら陰嚢を口に含む。
 夢野は、驚愕と悦楽の中で呻いていた。目の前の少女の用いている技巧は、子供の使うものではない。背徳であり反倫理だ。だが、快楽と興奮の為に少女を自分から引き離せない。
 夢野は辺りを見渡すと、他の男達も夢野同様に快楽に呻いていた。半裸となりペニスや尻の穴を舐められている者、さっそく少女のヴァギナに挿入している者、恥ずかしげもなく少女のヴァギナを舐め回している者達が、礼拝堂で少女達と喘ぎ声の唱和をしていた。客だけではなく、給仕達も小悪魔少女と交わっている。小栗は小悪魔少女にペニスをほお張られ、天を見ながら涎を垂らしている。いつものわざとらしい冷笑的な態度はどこにも無い。
 夢野のペニスに鮮烈な刺激が走った。小悪魔少女は、ペニスを口に含んで竿を唇で扱き、くびれと裏筋の交差点を舌で愛撫している。陰嚢を右手でくすぐり、尻の穴に左手の指を潜り込ませている。左手の中指は前立腺の裏まで届き、いたずらっぽく突いていた。
「口から離してくれ、このままでは出してしまう」
 小悪魔少女は夢野の言葉に微笑みで答え、一層激しく舌を動かし前立腺を指で嬲る。
 夢野は、耐えきれずに少女の口の中に精液をぶちまけた。濃厚な精液を大量に少女の口の中に放出する。だが少女は、精液で頬を膨らませながら喉を鳴らして飲み下していく。口の中の物を飲み下すと、尿道口に吸い付いて管の中の物を吸い上げる。執拗に吸い上げた後、少女は青い唇を舐め回して夢野に笑いかけた。
 夢野は少女を凝視する。この子は何者だ?良く調教された少女売春婦か?それとも淫魔なのか?
「お兄ちゃんはサキュバスを望んでいたかもしれないけれど、あたしだってお兄ちゃんを気持ち良くしてあげる事が出来るんだよ。次はこっちでね」
 小悪魔少女は床に横たわると、皮のショーツを脱いでヴァギナを露わにした。ヴァギナには毛が生えておらず、青い肌の中に紺色のヴァギナが濡れ光っている。愛液が次々と溢れ、甘酸っぱい匂いを立てている。夢野はかがみ込み、小悪魔少女の股間に顔を埋めて舌を這わせた。さらさらした感触の液で顔を汚し、匂いを嗅ぎ、口の中に広がる味を確かめる。
 夢野は、犬のように少女のヴァギナを貪った後、赤黒いペニスを紺色のヴァギナに擦り付けた。愛液で濡れていくペニスは、再びそそり立ち始める。大人の太いペニスを、少女のつつましげなヴァギナに埋め込んでいく。驚いた事に、大人のペニスを少女のヴァギナが易々と飲み込んでいった。
 小悪魔少女のヴァギナは、適度な広さと締め付けを持って夢野のペニスを受け入れている。ゆっくりと締め付け、渦を巻いて奥へと引き込む。奥の堅い子宮口が、亀頭に口付けするように吸い付く。少女は、苦しがる事無く夢野を受け入れ、翻弄し、快楽を味わっている。少女の奥から熱い流れが吹き出し、夢野のペニスにシャワーのように打ち付ける。果てそうになった夢野は、ペニスを抜こうとする。だが小悪魔少女は、膣と足で締め付けて腕で抱きしめ夢野を離さない。
 夢野は、少女のシャワーの中で弾けた。子種汁をシャワーの中心へ向けて放ち、少女の子を作る機関を激しく打ち抜く。少女は歓喜の声を上げ、腰を、全身を震わせる。罪の意識と後ろめたさ、そして悦楽の中で夢野も溺れていった。
 快楽の渦から浮かび上がった夢野が見た物は、小悪魔少女の笑みだ。人間を堕とした事を喜ぶ悪魔の笑みだ。悪魔は、顔を寄せて夢野に口付けをする。
「順番が逆になっちゃったね、キスより先にエッチしちゃった」
悪魔少女は、少し困ったような笑みを浮かべる。その笑みを見ながら、夢野は再び腰を動かし始めた。

 礼拝堂には、人間と小悪魔少女達が横たわっている。広い礼拝堂の中は、大勢の人間が出した濃厚な性臭で充満している。その中で、夢野は小悪魔少女と共に寄り添いながら横たわっていた。夢野は、自分に寄り添う小悪魔少女から話を聞いていた。
 少女の名はアロンザと言い、異世界から来たデビルと言う種族の者だと言う。彼女は魔物の住む場所を広げるための活動をしており、夢野の世界に派遣された工作員だという事だ。魔物と言っても人間に害意は無く、共存して子を成そうとしているそうだ。アロンザ達はこの乱交パーティーの事を嗅ぎつけ、自分達の協力者にするために現れたそうだ。
 信じがたい話だが、夢野はアロンザと交わりながら人間ではないと思うようになっていた。アロンザの肌は、染めたにしては染料らしき物が付いていない。翼や尻尾には、爬虫類のような感触が有り造り物ではないようだ。赤い眼も、作り物とも人間の物とも違う色合いだ。かつ、彼女の存在感は人間とは異質なのだ。
「それで俺達が魔物に協力するとでも思っているのか?」
 夢野は、眉を顰めながら言い放つ。
「すぐ協力してくれと言っても無理だろうね。でも、あたし達は時間をかけてやるつもりだよ。協力者が本気にならなければうまくいかないからね。まずはパートナーとしてエッチに励む所からやらないとね」
 アロンザは、いたずらっ子のような表情で言う。そして体を摺り寄せ、顔を夢野の胸にこすり付ける。アロンザの顔からは、夢野の放った生渇きの精液の臭いがする。
 夢野は溜息をついた。乱交パーティーに参加したと思ったら、魔物だと言う少女と肉欲に耽る羽目となった。もはや面倒事どころではない。
 溜息をつく夢野を、アロンザは可笑しそうに見ていた。

 夢野は、机の上のパソコンに向かってキーボードを打ち付け続けていた。締め切りまでは間に合いそうだが、油断は出来ない。資料とプロットに従って、小説の執筆をしている。
 ノックの音がして、夢野の応えと共に少女が入って来た。少女は青い肌をして、背中に蝙蝠のような黒い翼を持っている。露出度の高い黒皮の服の上にエプロンを着けていた。手に持った盆の上には、コーヒーとクッキーが乗っている。少女はアロンザだ。
 夢野とアロンザは、現在同居している。夢野は小説家を続け、アロンザは魔物の工作員として活動を続けている。地獄の火クラブの男性会員は、夢野同様にデビルとパートナ−となり、魔物の為に活動をしていた。小栗がその中心となっている。結局、クラブの会員達はデビルにたぶらかされたわけだ。クラブの会員は、金を稼ぐ能力のある者達であり人脈もある。デビル達にとっては役に立つ人材だろう。女性会員達は、あの後に淫魔たるサキュバス化して、やはり魔物の工作員として働いていた。
 そうだとすれば夢野も魔物の為に働く事になるはずだが、夢野は相変わらずエログロ小説を書いている。それ以外に夢野が出来る事は無い。まあ、少しは役に立っているのかもしれない。夢野は、人間と魔物娘の恋愛を描いているのだから。異類婚姻譚はバットエンドが相場となっているが、夢野はハッピーエンドにしている。エログロ小説なのにハッピーエンドとはどういう事だと考える者もいるが、夢野の小説の売れ行きは悪くはない。夢野と共に地獄の火クラブに参加した小説家や漫画家達も、人間と魔物娘の幸福な関係を描いている。
 実際、異類たるアロンザとはうまくいっているからな。夢野は、一緒にマンデリンのコーヒーを飲んでいるアロンザを見ながら思う。夢野とアロンザの生活は夫婦同然だ。魔物、しかも悪魔とうまくいくわけあるかと夢野は思っていたが、アロンザは甲斐甲斐しく夢野の面倒を見てくれている。アロンザには仕事があるのに、夢野が仕事をしやすいように家事をやってくれている。まるで昔の理想上の専業主婦みたいだ。さすがに悪いと思い夢野も家事を分担しているが、結果的にアロンザの分担分が多くなっている。地獄の火クラブの会員の中には、デビルの事を「デビルおかん」と言う者もいるらしい。確かにアロンザを初めとするデビルは、おかんのように面倒見が良い。
 もし、魔物達がアロンザのような者達ならば、人間と魔物はうまくいくかもしれないと夢野は思う。異世界とこの世界を繋ぐ「門」は次第に安定してきており、近い内に魔物達が本格的にこの世界に来るらしい。現在魔物達の上層部は、政府と秘密裏に交渉中らしい。夢野は、この結果が良い事になると断言できないが、面白い事になりそうだとは思っている。
 アロンザはコーヒーカップを置くと、夢野に擦り寄って来た。
「ねえ、仕事が終わり次第エッチしようよ。すっきりすれば、明日はうまくいく仕事が出来るからね」
 夢野は、アロンザの背を撫でながら笑う。
「ああ、あと三時間くらいで終わらせるよ。その後飯食ったら風呂に入って、それからやろうか?」
 アロンザは、うれしそうにうなずいて体を擦り付ける。そして夢野の背をポンポンと叩く。
「体を壊さないように頑張ってね、お兄ちゃん」
 アロンザは、おかんのように面倒見が良いのに夢野の事を「お兄ちゃん」と呼ぶ。夢野は、苦笑しながらアロンザの頭を撫でた。
15/01/01 15:26更新 / 鬼畜軍曹

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