読切小説
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淫虐に堕とされた女狐教師、恥辱の放課後
 教室のカーテンは、夕日で赤く染まっていた。部活に勤しんでいる生徒達の声が、グランドから響いて来る。二人しかいない教室の中は静まり返っていた。
 一人は薄紫色のスーツを着た女だ。シックなデザインのスーツであり堅苦しさのある格好だが、それでも女の豊かな胸や腰の括れは隠しきれない。二十代後半と思しい女は、熟した色香をその豊満な体から発している。整った顔は、男の前で羞恥に歪んでいた。
 女と対面している男は、太った中年男だ。禿げ上がった頭はてらてらと光り、腹は滑稽なほど突き出ている。スーツはきちんとプレスされているが、着ている男の体が不恰好なため無様な物に見える。男は、肉厚の唇に好色そうな笑みを浮かべ、官能的な女の体を舐めるように見つめていた。
「いい加減に観念したらどうかね、もう君の体は汚れているのだ。今更、貞淑を気取っても仕方がないだろう」
 嬲る様な男の物言いに、女は嫌悪に顔を歪めてそっぽを向く。男は、嘲笑を浮かべながら女を言葉で嬲り続ける。
「君のような非正規雇用の教師は、私の一存でどうにでもなるのだよ。景気は回復しつつあるといっても、再就職は難しいだろうね。君のような平凡な能力と月並みの容姿しかなく、何のコネもない女を雇う所がどこにあるというのかね?」
 男は女に近づき、女の肩に手を掛けながら生臭い息を吐きかける。
「君の亭主は、今失業中なのだろう。妻まで失業したらどう生活をするつもりなのかね?風俗で働くのかね?毎日違う男のチンポをしゃぶる事が君に出来るのかな?それよりだったら、これまで通りに私の相手をしたほうが良いのではないかね?」
 女は顔をそむけ続ける。影になっている女の顔を、男は覗き込む。優雅さを感じさせる顔は、屈辱と羞恥に彩られている。女は、かすれた声で男に答えた。
「好きにして下さい」
 男は、贅肉が付いて汗の浮かんだ顔に悪意に満ちた笑みを浮かべる。
「何と言ったのかな。はっきり言ってくれないと分からないじゃないか」
 女は、唇を噛みしめる。目を瞑ると叫ぶように言った。
「好きにして下さい!私の体はあなたの物です!」
 男は、口を耳まで裂けるくらい釣り上げて笑った。その顔は豚の怪物の様だった。

 男は、女に服を脱ぐことを命じた。女は、震える手をスーツに掛けて脱いでいく。スーツの下は白いシャツであり、シャツから下着のラインがうっすらと見える。シャツのボタンを一つずつ外していくと、濃い紫色のブラジャーが見えて来た。面積が狭く、所々が透けている作りのブラジャーだ。
「相変わらずエロい下着だな。亭主の好みなのかね?」
 女は男に声を上げそうになったが、唇を噛みしめて服を脱ぎ続ける。本来は夫だけに見せる下着なのだ。目の前の下劣な男の命令で、付ける事を強要されているのだ。
 女はスカートに手を掛け、無表情に下ろしていく。ブラジャーと合わせた濃い紫色のショーツが露わとなる。足には紫のガーターストッキングで包まれている。女の下着姿に、男の鼻息は次第に荒くなっていく。
 男は大股で女に近づくと、女の胸を掴んだ。荒々しい愛撫を繰り返し、女の胸を揉みしだく。首筋に鼻をすり付けて、香水とシャンプー、そしてわずかにかいた汗の匂いを嗅ぐ。苦痛と羞恥に顔を歪める女の首筋を、肉厚の舌が這い回る。臭い唾液を首から頬に擦り付けて、男は女の耳を舐め回す。女の耳は、尖った形状をしており金茶色の毛で覆われている。女は人間ではない、狐の耳や尻尾を持つ女だ。今の世の中では、この様な魔性の女は珍しくは無い。
 男は、ショーツでわずかに覆われた豊かな尻を撫で回す。尻からは三本の尻尾が生えており、豊かな毛並みを湛えている。そのなめらかな毛並みは、彼女の夫に愛されていた。夫しか触ってはいけない場所だった。女は、心の中で夫に謝罪の言葉を繰り返す。男は飽きもせずに尻を撫で回しながら、女の左腋に舌を這わせる。女の体に鳥肌が瞬時に立つ。
「相変わらず熟した腋の匂いや味はそそるな。お前の亭主も味わえばいいのに、もったいない事だ」
 女は無言でかぶりを振る。この変態男は、毎回のように女の腋を舐め回す。それどころか腋にペニスを擦り付けて扱いた揚句、腋を精液で汚すのだ。そんな変態行為など、この男以外に要求したりはしない。男は、女の想像もつかないような異常な行為で女を汚す。
「そろそろ奉仕してもらおうか。教えたとおりにやるんだ」
 女は男の前に跪く。男の股間はすでにテントを張っている。男のスラックスのファスナーを歯で噛み、下へ引き下ろす。男は、手を使わずにペニスをむき出しにする事を女に教え込んでいる。女は、ブリーフを唇で食みながら引き下ろす。男の反り返ったペニスがむき出しになった。女は顔をそむける。
「臭い!」
 男は、女の頭を抑えてペニスを鼻に擦り付ける。
「お前達女狐は、臭いに敏感らしいな。私のチンポにきちんと奉仕してきれいにしろ」
 女は観念したようにペニスを見据えると、唇をペニスに押し当てる。男が頭を離すと、女は繰り返し亀頭に口付けをした。舌を這わせて唾液を塗り込み、赤黒いペニスを光らせていく。くびれに舌を這わせて汚れをこそぎ落とす。女はしゃぶりながら男のベルトを外し、スラックスとブリーフを引き下ろす。舌を根元に這わせていくと、毛の生えた醜悪な陰嚢を口の中に含んで舌で愛撫する。全て、女の目の前にいる豚人間の様な男が教え込んだものだ。
 男は女に口を離すように命じ、尻を女に向けた。女の表情は歪み動きが止まるが、意を決したようにゆっくりと男の尻に顔を寄せる。尻に鼻を近づけた時に再び顔が歪んだが、女は尻に顔を付けて割れ目に舌を這わせる。毛の生えたアヌスに舌を這わせ、入り口を解していく。右手で男の竿を愛撫し、左手で陰嚢をゆっくりと揉む。
「うまくなってきたな、ソープの女と同じ位うまくなったぞ。そっちで働いても、やっていけるんじゃないか?」
 女は無表情に尻の穴に舌を這わせ続けが、目じりに涙が浮かぶのを堪える事は出来ない。男は尻の穴への奉仕の仕方を事細かに指示し、女は従順に従う。
 男は上り詰めようとしていたが、女の右手でいくつもりは無い。男は女へと振り返り、カウパー腺汁を溢れさせるペニスを女の顔に擦り付けた。女は覚悟したように眼を閉じる。
 男のペニスから、白濁液がぶちまけられた。女の顔の真ん中に命中し、汚液が顔に飛び散る。中年とは思えぬほど濃厚な子種汁が、大量に顔に放出される。女の上品な顔は、刺激臭を放つ汚液で覆われた。
 男は、白濁液で汚れているペニスを女の口元に突き付けた。
「さあ、しゃぶるんだ。まだまだ終わりではないぞ」
 女の眼から涙がこぼれ、顔を汚す精液と混ざる。女は口を開くとペニスを口に含み、精液を舐め取って行く。右手で竿を扱き左手で玉を揉み解しながら、尿道に残っている物を吸い上げる。奉仕を強要する雄豚の口から歓喜の呻きが漏れる。
「ブラを上へずらせ。今度は胸で奉仕するんだ」
 女は言われたとおりに、薄桃色の突起のある乳白色の小山を露わにした。男の赤黒い肉棒を挟み込み、上下にゆっくりと揉み込む。白い山からてらてらと光る亀頭が現れ、汚れた女の鼻先に突き出される。女は赤黒い亀頭に桃色の舌を這わせ、胸の硬い突起で竿を刺激する。女の技巧は巧みであり、男の肉棒は即座に回復を始めた。男は、女に仕込んだ性技により得られる快楽に、恥ずかしげもなく喘ぎ続ける。涎を口からこぼしながら、男は女に命じた。
「次は、犬の様に四つん這いになれ」
 女は、体を震わせて首を横に振る。魔性の者として、犬扱いされる事は耐えられない。
「また、ローターを入れながら授業をやらせるぞ。それとも男子トイレで浣腸してやろうか?」
 女は、弾かれたように体を震わせる。女はあふれる涙をこらえる事が出来ずに、四つん這いになる。男は、得意げに女の頬をペニスで叩く。
「初めから素直になればいいんだ。雌犬は這い蹲るのが当たり前なのだよ」
 男は女のショーツを引きおろし、尻と尾を手で撫で回した。金茶色の陰毛に手を這わせて、自分の前にかざす。
「何だ、濡れているじゃないか。やはり人妻の体は、男の体を欲しがっているのだな」
 女は顔を伏せ、恥辱の攻めに耐える。男は笑いながら濡れたヴァギナにペニスを当て、蜜壺の中へ肉棒を沈めていく。初めはゆっくりと出し入れをしていたが、次第に激しく挿入を始める。肉棒と蜜壺の結合部は白く泡立ち、激しい水音を立てる。金茶色の三本の尾が、激しく揺れた。
「淫乱メス犬め、男を見ると股を濡らして腰を振りやがる。男子生徒を見ても股を濡らしているのだろ?」
 女は喘ぎ声を上げながら、男の攻めを受ける。男は女の尻を叩き、軽快な音を響かせた。
「言え!男子生徒の前でマンコを濡らしていたのだろ!」
「はい、濡らしていました」
「授業が終わったら、オナニーしていたな!」
「はい、していました」
「男子トイレか?男子更衣室か?」
「男子更衣室です。見回りを口実に入っていました」
「男の臭いを嗅いでマンコをいじっていたのか?」
「はい、更衣室に充満する男の子の臭いを嗅いでマンコをいじっていました」
「この雌犬め!腰を振ってワンと言え!」
 四つん這いの女は、無言で首を振る。男は尻を繰り返し叩く。乳白色の尻は、赤く染まっていく。
「ワン!」
女は、泣きながら腰を振った。女の痴態に男は吠える様に笑うと、醜く突き出た腹と腰を女の尻と尾に叩き付けて蹂躙する。女の喘ぎ泣きと男の笑い声が教室に響き渡る。
「さあ、子種汁が出るぞ。受け取れ」
 涙と精液で汚れた女狐の顔が引きつる。
「中には出さないで下さい!それだけは許して下さい!」
 人妻の懇願を、豚男は笑いながら答える。
「今更遅いのだよ、中出ししてやる!」
 女は男を振り解こうとするが、男は腰をしっかりとつかんで離さない。男はそのまま中へと汚精を放出した。亀頭は子宮の入り口に密着し、濃厚な性汁を中へと注ぎこむ。女狐教師の子を孕む器官が、雄豚教師の精液で汚されていく。
 教師の肩書を持つ雄豚は、四つん這いになって震えている女狐教師から離れた。人妻のヴァギナからは、生臭い白濁液が存在を主張しながらあふれて来ている。夫しか許していない聖域を汚された人妻は、顔を伏せて嗚咽している。
「これで終わりじゃないぞ。まだまだ中に注ぎ込んでやらないとな」
 学び舎で淫行にふける雄豚は、男根を汚精と愛液で光らせながら笑った。

 すでに外は暗くなり、教室は電気を付けていた。カーテンによって覆い隠された教室で、男と女が寄り添い合っている。男と女は、互いの体に付いたセックスの後をウェットティッシュやボディーシートで拭き合っている。
 狐の耳を生やした女は、目を瞑りながら男の胸に顔を摺り寄せた。女の顔には、満ち足りたような表情が浮かんでいる。
「中にたっぷりと出されたわ。お腹の中でタプタプいっているわよ、あなた」
 女は、うっとりとした表情で腹を撫でている。
 佐登は快楽と事後の心地良さに浸りながらも、後ろめたさを振り払う事は出来なかった。教師である自分が、教室で淫行にふけっているのだ。妻を愛しているし、妻との交わりは幸福を与えてくれるが、何も学校でやらなくてもいいと思う。だが、妻であり同僚の教師である玉華は、学校でイメージプレイをしたがるのだ。今日やったのは「下劣な変態教師に脅され、嬲り物にされる人妻教師」ごっこだ。軽い脳震盪を起こしそうな名前のイメージプレイだが、佐登は妻の懇願でこれと同じ位卑猥なプレイを学校で繰り返している。
 こんな事を繰り返したら、夫婦そろって免職になるのではないかと普通は考えるだろう。だが、この夫婦の行為は黙認されている。いや、事実上公認されているかもしれない。この学校では、この程度の事は当たり前なのだ。
 現に、二人が凌辱ごっこに勤しんでいる教室の両隣からは、女の喘ぎ声が上がっていた。大方、教師や生徒がセックスに励んでいたのだろう。体育館では、今頃集団セックスが行われているだろう。
 なぜこのような事が起こっているのかと言えば、魔物娘が教師、生徒として学校に入り込んでいるからだ。現在の日本では魔物娘の存在は当たり前のものとなり、彼女達の性意識、性感覚が日本社会にも浸透していた。魔物娘達は、愛する者との交わりを最も大切にする。それをひけらかす事に喜びを感じるのだ。その結果、人前でセックスする事も当たり前の事となった。もちろん白昼の大通りでセックスすれば注意をされるが、極端な露出さえしなければ許される。
 魔物娘の性意識の浸透の結果、学校で愛する者同士がセックスしても咎められないわけだ。佐登が務める商業高校は、魔物娘の教師が次々と入って来た。そして生徒の三分のニ以上が魔物娘だ。商業高校は、元々他の学校に比べて女子が多く魔物娘が入りやすい。その上に人間の女子生徒も、魔物娘の影響で次々と魔物娘化していった。その結果、学校内で男性教師と男子生徒の争奪戦が繰り広げられている。
 校長は、蛇の魔物娘であり「魔物娘の母」と呼ばれるエキドナという種族の者だ。彼女は「産めよ増えよ地に満ちよ」と、どこかの宗教団体からクレームが付きそうな号令を教師、生徒に発していた。この号令により、校内の魔物娘の男争奪戦に拍車がかかった。
 男達は、魔物娘により次々と刈られていった。普通に考えたら、一生パートナーに恵まれない男までもが争奪の対象となっている。「キモオタ教師」呼ばわりされていた化学教師は、童貞を愛する一角獣の魔物娘であるユニコーンの養護教師に保健室へ引き摺られて行った。「キモデブ臭い」と馬鹿にされていた男子生徒は、蠅の魔物娘であるベルゼブブの女子生徒と、その名の通り垢が好きな魔物娘であるあかなめの女子生徒により奪い合いの対象となった。
 佐登は自分の膨張した腹を見下ろし、禿げ上がった自分の頭を撫でる。自分だって本来なら結婚出来るはずが無かったのだ。佐登は軽く溜息をつく。佐登は、もてない男の見本のような存在だったのだ。

 佐登は、生まれつき太りやすい体質の上に膨張した顔をしていた。体は汗をかきやすく、顔には脂が浮いている。遺伝的な関係で、三十歳辺りから禿げ始めた。コミュニケーションはそこそこ取れたが、不器用なために道化じみた態度を取ってしまう。これらの要素が重なれば、もてろと言う方が無茶である。佐登は三十九歳まで独身だった。このもてない男も、魔物娘から見れば魅力が有るらしい。佐登は、狐の耳と尻尾を持った美女に接近されたのだ。
 玉華は、稲荷と言う狐の特徴を持った魔物娘だ。元々は、人に化けてひっそりと稲荷神社を管理していた。政府が魔物娘の存在を公表したために、彼女はその存在を露わにした。そして教員資格を取得して、佐登の勤める学校へ来たわけだ。
 その当時、佐登は教師を辞める事を考えていた。佐登はその外見から、セクハラ教師、淫行教師と女性教師や女子生徒に陰口をたたかれていた。実際には、佐登は何もしていない。だが、その外見や雰囲気、動作や喋り方からそう決めつけられていた。動作と言っても人の体に触る事は無く、話す内容も性的な事は避けた。だが、普通の動作や喋り方でも、女から見れば性犯罪者に見えるらしい。
 佐登は、商業科教員として簿記を教える教師であり、その関係からどこかの会社の経理の仕事に就く事が出来ないか探していた。職探しの最中に、ファイナンシャル・プランナーの資格を持っている者を保険会社が探していると知り合いの保険会社員から聞く事が出来た。佐登は資格保持者であり、さっそく転職の準備を始めた。だが、その準備を取りやめにしなくてはいけない事態が起こったのだ。
 新年度から、魔物娘の教師並びに生徒が大量に学校に入ると判明したのだ。その為に学校は混乱に陥り、転職するのが吉か凶か判断しかねたのだ。結局、佐登は学校に残る事にした。魔物娘を嫌う女性教師が大勢辞めたのだ。気に食わない連中が辞めたので、佐登は学校に残る事にした。その上、入ろうとした会社を調べたらブラック企業らしいと分かった事も、転職する気を無くした理由の一つだ。
 魔物娘の教師と生徒が大量に入った後の学校は、別の学校のように変わった。この時期に日本の教育で起こった変化は、明治の義務教育制導入や敗戦後の教育改革以上の変化だったかもしれない。魔物娘達は、GHQ以上の改革者だった。その大改革の一つが性解放だったわけだ。魔物娘によって性の抑圧や不平等は、急速に解決されて行った。
 だが、性的な無秩序を魔物娘達はもたらしたわけではない。彼女達の性意識は、ある意味で人間以上に厳格だ。パートナー以外の男と関係を持たず、パートナーにも自分以外の者と関係を持つ事を許さない。中には複数の男と関係を持つ魔物娘や、パートナーに複数の女性と関係を結ぶ事を認める魔物娘もいるが、彼女達はあくまでも例外である。魔物娘は、混沌の体現者の様に見えて秩序を保っている存在だ。
 このように性改革の最中に、佐登は玉華と出会った。玉華は、国語科教員として古典を教える教師として新しく赴任してきた。玉華は、優れた教養を持ち優雅な立ち振る舞いをする魔物娘だ。金茶色の獣毛に覆われた耳と尾は人間離れしているが、彼女の姿は雅な古典世界から現れたかのようだ。その耳と尾も、彼女の魅力を高めていた。
 佐登と玉華は、次第に良く話すようになった。主に玉華の方から話しかけて来たのだ。女を嫌って最低限の会話しかしない佐登だが、玉華の温和で思慮深い性格に次第に惹かれていった。話をして彼女を観察しているうちに、人間の女とは違うのではないかと思うようになってきたのだ。佐登は人間の女は信用しないが、魔物娘ならば、玉華ならば信用できる気がしてきた。
 こうして二人は親密になっていき、そして結婚へと進んでいった。

「最近物足りないわねえ」
 玉華は、物憂げにつぶやいた。二人は事後の処理を終えて、教室にぼんやりと座っている。玉華は誘惑するつもりなのか、シャツをはだけてブラジャーで覆われた胸をさらけ出している。
「セックスは楽しいけれど、もっと工夫を凝らしたいわね」
 佐登は悪い予感がしてきた。玉華は上品で温和な女だが、淫乱さにかけては魔物娘の中でもかなりのものだ。佐登が引くような変態プレイでもやろうとする。以前、「障害を負った夫を介護する妻」プレイなるものをやった事が有る。その時、佐登はベットに寝かされてオムツをさせられた挙句、大便をさせられたのだ。あの時に佐登は、自分の大切な物が失われた様な気がした。
「淫乱痴女だけではだめよ、飽きがくるわ。変態だけでもだめよ、出来る事なんて限られているわ」
 玉華は、宙を見ながら微笑む。
「そうよ、気違いよ!気違いプレイがいいのよ!」
 佐登は、呻き声を上げて目をつぶる。
「玉華、教師が『気違い』と言う言葉を使うのはいかがなものかと…」
 問題はそこではないと分かっていたが、どう言えばいいか分からずに差別用語を批判する。
「そうね、だったら癲狂よ!癲狂プレイをやりましょう!」
 その言葉にも問題はあるだろうと言いそうになったが、止める事にした。このままでは話がずれてしまう。
「なあ、あまりエキセントリックなプレイをしても、私はついていけないぞ」
「大丈夫、一緒に頑張りましょう!」
 大丈夫なわけ無いだろと佐登は思わず叫んでしまったが、玉華は陶然とした表情で宙を見ている。
「準備を整えないと、明日が楽しみね」
 佐登は、しばらく玉華と別居した方が良いのではないかと考え始めた。

 放課後の教室には、引かれたカーテンに西日が差している。教室の中は闇と朱色が交差している。その教室の中には、男と女がいた。
 男は仁王立ちになり、床に座り込んでいる女を見下ろしていた。男は「七生報國」と書いている日の丸の鉢巻きを禿頭に締めている。カーキー色の国民服を着て、足にはゲートルを巻いている。右腕には「教化」と書いた腕章を撒き、竹刀を持っている。
 跪いている女はもんぺ姿だ。「大日本婦人会」と書いたタスキを付けている。金茶色の髪ともんぺの組み合わせの違和感が尋常ではない。しかも金茶色の獣毛で覆われた耳が付き出ており、尻から同色の獣毛に覆われた尾が出ている。大日本婦人会の会員が見たら、ヒステリーを起こすだろう。
「貴様それでも皇国の女か!恥を知れ!」
 男が怒号を発する。
「その年になっても子供一人もいないとは何事か!女の務めは、皇国の明日を担う子を産み、『護国の母』となる事だぞ。それを貴様はその年で子もいないとはどういうつもりだ!まさか貴様は『新しい女』か?自由主義にかぶれているのか?」
「い、いえ、私は『新しい女』でも自由主義にかぶれているわけでもありません!大日本婦人会の一員として日夜お国のために働いています!」
 女は、青ざめながら男に答える。
「だったらなぜ子供がいないのだ?義務を果たしてはおらんではないか。生む生まないは女の自由などとほざくつもりか?」
 男は、竹刀で女の顎を押して顔を上げさせる。
「貴様のような奴が教師をしている事が間違いなのだ。生徒に教育勅語も読ませないとは、貴様はアカか?」
 女は、竹刀で押されて顔を歪める。
「私はアカなどではありません!」
 男は竹刀で女の胸を突き、女は床に倒れた。男は竹刀を投げ捨てると、タスキを引きはがしモンペに手を掛けて脱がし始めた。
「だったら、証拠を見せろ!皇国の兵士となる子を産んでみろ!」
 もがく女を抑え付けて、男は服を引きはがしていく。黒い下着で覆われた胸が露わとなる。
「なんだこの卑猥な下着は?貴様はエロ、グロ、ナンセンスの影響を受けているのだな、この非国民め!」
 男はもんぺを完全に引きはがし、女を上下とも下着だけの姿にする。豊かな胸と下半身の三角地帯は、所々が透けた卑猥な形状の下着で辛うじて覆われていた。
「この堕落した女め!貴様はパンパンだな!俺が制裁を加えてやる!」
 男はニタリと笑う。
「貴様に帝国男子たる俺の子を孕ませてやる!」
 男の宣言に、女は引きつった悲鳴を上げた。

 男は国民服のズボンを脱ぎ、ペニスを露わにした。赤黒い男根は勃起し、鈴口からはカウパー腺液を垂れ流している。男は女に馬乗りになり、黒い下着で覆われた豊かな胸に醜い肉棒を挟み込んだ。
「けしからん胸だ、これが皇国の女の胸か?ヤンキーの売女の胸ではないか!貴様、鬼畜米英に魂を売ったな!」
 男は、男根からあふれる先走り液を胸中に擦り付ける。黒い下着は液で濡れて、薄い生地で出来た部分は濡れると透けて見えた。男は勢いよくペニスを突き出し、女の形の良い鼻を突く。
「貴様が皇国の女、皇国の教師だと言うのならば教育勅語を言ってみろ!」
 女はペニスから顔をそむけるが、男は秀麗な顔を亀頭で突き続ける。
「言え!教育勅語を言え!」
 男は喚きながら、女の胸を揉みしだきながらペニスで女の顔を嬲る。
「ふ、父母に孝に、きょ、兄弟に友に、夫婦相和し…」
 男は、口から涎を垂らしながらペニスで胸を蹂躙している。鈴口から飛び散った先走り汁が、女の顔にかかる。
「どうした、続きを言え!」
「…朋友相信じ、恭儉己を持し、博愛衆に及ぼし…」
 男は、下着を上へとずらして女の胸を露わにする。薄桃色の乳首を赤黒い肉棒で嬲る。女は、堪え切れずに小さな悲鳴を上げた。
「何をしている!続けろ!」
 男の怒号に女は身を震わせ、教育勅語を唱え続ける。
「が、學を修め業を習い、以て智能を啓發し、徳器を成就し、進て公益を廣め世務を開き…」
 男は女の顔に強くペニスを押し付け、女の顔を歪ませた。
「そうだ、公益を廣め世務を開く事が教師の、そして日本人の義務だ。貴様はそれを怠った!子がいない者に父母への孝など教えられるか!子もいないのに夫婦相和する事など出来るか!學を修める者を指導する立場の教師が何たるざまだ!この国賊!非国民!反日主義者め!俺が貴様の性根を叩き直してやる!」
 脂肪で膨張した男の顔は赤黒く染まり、目は血走っている。涎を垂らしながら喚く姿は、発狂した豚のようだ。
 男は女の胸から腰を上げると、女の下半身の前に移った。黒い下着は濡れており、女の陰毛が透けて見える。男は黒い下着を引きおろし、金茶色の陰毛に覆われているヴァギナを露わとする。濡れそぼった女の陰毛をかき分け、粘液に濡れて光るクリトリスを指で摘む。
「なんだ、真珠貝はこんなにとがっているじゃないか。子供を産む気は無い癖に男は欲しいのだな、この淫乱女狐め!」
 男は、クリトリスを右へ左へと弄り回す。女の蜜壺からは絶え間なく愛液があふれてくる。男は、先走り汁が吹きこぼれているペニスを女の入り口へと当てた。
「お、お願いです。サックを付けてください」
 女の懇願に対して、男は怒号で答える。
「馬鹿者!貴様を孕ませるためにやっているのに、突撃一番を付けるはずが無いだろうが!貴様の子宮を子種汁で膨らませてやる!」
 男は、肉棒を女の蜜壺の中へと沈めていった。中のざらついた所を執拗にこすり上げ、その刺激に涎を垂らして喜ぶ。
「いいマンコではないか、カズノコ天井だ!これほどの物を持ちながらハメる事を怠っていたとはけしからん!」
 男の膨張した肉棒は、女の密で潤う肉ひだを蹂躙する。肉ひだは蹂躙される事に喜び、触手の群体の様に男の肉棒にまとわりつきながら愛撫をする。
「おお、ミミズ千匹ではないか!なんというけしからんマンコだ!俺の精神棒で叩き直さなくてはならん!」
 男は激しく腰を突き出し、女を喘がせる。男は女の口に吸いつこうとするが、女は顔をそむけようとする。
「貴様、皇国男子たる俺の口付けを拒むのか?皇国の女ならば、お国のために戦う男の口を吸うのは当然の事だろ!」
 男は女の顔を掴み、無理やり口を付けた。男の激しい口吸いに、女も吸い返す事で答える。二人の口の周りは、唾液の混ざり合った物で濡れ光っている。男は女の顎を、首筋を、肩を舐め回す。腋に舌を這わせて唾液を塗り込む。
「よし、俺のザーメンを出してやる。皇国の男の子種汁だ、有りがたく受け取れ」
 男の歓喜の声に、女は顔を蒼白にする。
「止めて下さい!外へ、外へ出して下さい!」
「黙れ!貴様を孕ませるためにやっているのだ、中出しするに決まっているだろ!」
 もがく女を抑え付けて、男は猛然と腰を振る。
「さあ孕め、立派な兵隊になる子供を孕め!大和撫子を孕め!皇国の明日を担う子を孕むのだ!」
 男は、子宮の入り口に亀頭を押し付ける。
「大日本帝国バンザーイ!」
 男の肉棒が激しく精液をぶちまけた。女の膣を、そして子を孕む器官を子種汁で汚していく。女の優れた卵子を、劣悪な精子で汚していく。女の体は、外だけではなく中まで汚れていった。
 男は、胴震いをしながら女から離れた。女の子宮へ通じる穴からは、濃密な白濁液が刺激臭を放ちながらあふれて来ている。女は股を開きながらすすり泣いていた。
 男は女の腰を掴むと、女をひっくり返して四つん這いにした。今だに萎える事の無い肉棒を、女の白く滑らかな尻や豊かな毛並みの尾に擦り付ける。肉棒に付着した精液と愛液を、女の尻と尾に擦り付けていく。
 女は四つん這いにされた事で、すすり泣きを止めて小さな悲鳴を上げた。四つん這いにされる屈辱で、子宮を汚された衝撃から立ち返ったのだ。
「止めて下さい!私は犬ではありません!こんな恰好は嫌です!」
 男は吠える様に笑う。
「黙れ!貴様のような非国民は犬以下だ!四つん這いになって尻を上げろ、腰をふれ!俺に奉仕しろ!」
 男は、女の尻と尾を汚れた肉棒で思う存分蹂躙すると、白濁液がこぼれる女の穴に肉棒を当てた。
「まだまだやるぞ!お前に皇国の明日を担う子を孕ませるまで続けてやるからな!」
 男は肉棒を穴の中へと沈め、精液で汚れている肉襞を掻き回し突き上げた。女は、四つん這いのまま男に蹂躙される。やがて女は、自分から腰を振り男の肉棒を刺激する。その姿は、獣と獣の交わりにしか見えなかった。

 佐登は、裸のままぼんやりと教室の椅子に座っていた。所々に事後の汚れのついている佐登の体を、玉華がウェットティッシュやボディーシートでふき取っていく。玉華は、鼻歌を歌いながら甲斐甲斐しく佐登の体を清めていく。
 佐登は、精を出し切った気怠さの中で今の事を考えていた。私はこれでいいのだろうか?学校で、教室の中で異常な性行為に耽溺している。教師になった当時には、妄想の中でさえしたことの無い事だ。学校の中でセックスをする事はあくまで妄想としてならあるが、それでも国民服姿でもんぺを着た女を犯すプレイなど思い浮かぶはずが無い。もはや自分は、並の変態を通り越してしまったのではないだろうか?「気違い」になってしまったのではないだろうか?自分は教師の資格があるのだろうか?
 玉華の髪が、佐登の頬をくすぐった。玉華は、愛おしそうに佐登に身を摺り寄せている。玉華が佐登に向けるものは、人間の女にはない魔物娘だからこそある情愛だ。
 これでいいのかもしれないな、佐登は玉華を見ながらそう思った。私は、玉華と結婚して毎日が楽しい。以前の不愉快な日々とは全然違う。確かに玉華や魔物娘は、教師としての自分の、人間としての自分の常識とは違う考えを持ち、行動に移す。だが、その考えや行動は私を楽しませてくれる。たとえ変態でも「気違い」でもいいじゃないか。
 楽しんでいるのは私だけではないな。佐登はそう考える。魔物娘のおかげでこの学校は変わったし、日本も変わった。以前に比べて皆楽しそうになった。変化に付いていけない者もいるが、総体としては良い方向に向かっているのかもしれない。佐登は、自分の胸に顔を擦り付ける玉華を見ながら、そう考えた。

 そう考えた事もあった。佐登は、目の前の光景を見て自分の考えが間違っていたのではないかと思っている。
 学校の中は旭日旗で溢れ、校内放送からは軍艦マーチが鳴り響いていた。教室には、「大東亜共栄圏」「八紘一宇」と言う標語が貼り付けられている。校内には、陸軍のカーキー色の制服や海軍の白色の制服を着た者達が闊歩している。佐登の目の前にいる教師は、憲兵と書いた腕章を巻いていた。グランドではカーキー色の制服を着た男子生徒達が行進し、モンペや割烹着を着て「大日本婦人会」と書いたタスキを付けた女性教師や女子生徒が日の丸の旗を振っているのだ。
 別に、佐登が戦時中にタイムスリップしたわけではない。現代の学校の中での事である。それは女性教師や女子生徒を見ればわかる。モンペや割烹着を着ている女は、猫や狼の耳が付いていたり、下半身が馬や蛇の者達だ。陸軍や海軍の制服を着た女もいて、彼女達の中には、はずした首を手で抱えていたり、手足に鱗が生えて爬虫類の尻尾が付いている者もいる。魔物娘でなければこのような特徴はしていない。
 では何故このような事態になっているのかと言うと、学校内で「大日本帝国」ごっこが流行り出したからだ。佐登と玉華のプレイをのぞき見した者がおり、その者がパートナーと同じようなプレイをやったのだ。そこから「大日本帝国」ごっこは広まり、瞬く間に大半の教職員と生徒が始める事態となったのだ。
 こんなプレイが流行ったら大問題になりそうだが、校長がその先頭に立っていた。校長は割烹着を着て「大日本婦人会」のタスキを付けて、「お国の為に子づくりをしなさい!」と日の丸の旗を振って号令をかけている。髪から蛇を生やし、下半身が緑色の蛇体であるエキドナ校長は、自分の事を「護国の母」と称している。
 佐登は、唖然としてこの事態を見つめていた。何て事だ、このままでは文部科学省と教職員組合に突きあげられる!マスコミも大騒ぎをする!佐登は、肌が泡立つ事を抑えられなかった。
 佐登の右肩と左肩を、ポンと叩く者がいた。振り向いた所には、教頭と組合教師がいた。教頭は、文部科学省の意向を汲む事ばかり考えている男である。上ばかり見ているので「平目」があだ名だ。組合教師は、組合歴二十年を超えるベテランだ。「闘争」が自己目的化したような教師だ。その二人が、微笑みながら佐登の肩を叩いている。
「私は三十年教師をしているが、この様な事態になるとは想像した事も無かったよ」
 冷や汗を流す佐登に、教頭は薄く笑いながら言う。
「君はどう責任を取るつもりかね?」
 汗を流すばかりで、佐登は何も答えられない。
「まあ、今となっては大した事では無いのだがね」
 佐登は、教頭の言う事が理解できずに無言で見るばかりだ。
「魔物娘の為に文部科学省は大混乱状態だ。この程度の事は、今では全国の学校で持ち上がっている。この程度なら、まだマシな方だ。もう、マスコミもいちいち騒がんよ」
 呆然としている佐登に、組合教師も言う。
「組合もこんな事は扱わないよ。魔物娘のせいで、既に組合は茫然自失で思考停止状態だ。第一、こんな支離滅裂な事を上層部へ報告しても相手にされないよ」
 佐登は、思わず虚ろな笑いをもらす。教頭と組合教師も、つられて虚ろな笑いをする。
 三人がいる教室の隣教室では、今セックスの最中らしい。先ほどから派手な嬌声が聞こえてくる。
「竹槍でB29は撃墜できるのだ!俺の竹槍を食らえ!」
 隣の教室から男子生徒の声が響き、女の歓喜の声が上がる。女の声は、佐登の同僚のサキュバス教師のものだ。三人は、また虚ろな笑いをもらす。
「あら、こんな所にいたの」
 玉華が教室に入って来た。玉華は弓道着の様な服を着て、手に弓を持っている。矢筒のような物を背負い、何故か腕には盾のような物が付いている。良く見ると、その盾のような物には飛行場の甲板のような絵が描いてある。何かのコスプレをしているらしい。
「さあ、お国の為に子づくりに励みましょう。皇国の明日を担う若い命が必要なのよ」
 玉華は教頭と組合教師に一礼し、力の入らない佐登を教室の外へ引き摺っていく。二人のベテラン教師は、空虚な笑いを浮かべたまま佐登に手を振っていた。
14/12/20 21:28更新 / 鬼畜軍曹

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