悠一は、夕暮れの公園を歩いていた。学校はすでに終わっていたが、こうして寄り道をするのが好きなのだ。毎日のように、城跡の公園で散策してから帰宅する。昼は散歩する人々がいるが、夕暮れ時はあまりいない。悠一は、木で覆われた薄暗い道を歩いている。
　木と木の間に、見慣れぬものがあった。悠一は、ついそちらに目を向けてしまう。ダンボール箱が置いてあり、その中に黄色っぽい恰好をした人のようなものが入っていた。ダンボール箱には、「拾って下さい」と力強い字で書いてある。
　悠一は、ダンボールに入っているものを見た。薄暗いが、木の枝の間から夕陽が差し込んでおり、入っているものが見える。大人の女だが、人では無いものだ。頭には獣の耳が付いており、彼女の腕は黄色い獣毛で覆われている。よく見ると、黄色い獣毛には黒い縞が入っている。その人ならざる女は、悠一に微笑みかけた。
　悠一は目をそらし、そのまま歩み去ろうとした。「待て！」とその女は言ったが、彼は足を速める。風を切る音がして、悠一に黄色いものが飛びかかってきた。悠一は地に押し倒されてしまう。獣毛を生やした女は、悠一に覆いかぶさっている。
「待てと言っているだろ。捨て猫を見捨てるつもりか？」
「猫じゃないだろ」
　女のとがめる言葉に、悠一は目をそらしながら答える。そして彼はスマートフォンを取り出す。
「どこへ電話をかけるつもりだ？」
「猟友会。もう、保健所どころじゃないから」
　女は、悠一のスマートフォンを取り上げ、左腕で彼の頭を締め上げる。
「私は冗談が嫌いだ」
「冗談じゃないから。虎を拾う気は無いよ」
　虎の獣毛を生やした女は、腕に悠一をはさみながら歩き始めた。彼女の足も黄色と黒の獣毛に覆われている。
「さあ、帰るぞ」
　女は、悠一の言葉を無視して彼の家に向かった。

　瑞英は、悠一の近所に住んでいる人虎という魔物娘だ。人虎とは、虎の特徴を持つ魔物娘であり、人間の女に虎の体が合わさったような姿だ。身体能力が優れている事で知られており、自衛隊員や警察官、格闘家などをしている者が多い。
　瑞英は、元は警察官だったと言われている。だが、現在では格闘家として活動している。悠一は、トレーニングのために事務所専属の訓練場に向かう彼女とすれ違う事がある。瑞英は気さくにあいさつをしてきており、悠一も礼儀正しく挨拶を返していた。
　たが悠一は、次第に瑞英を避けるようになった。彼女は、悠一をぎらつく目で見るようになったからだ。その目は肉食獣の目そのものだ。彼女に見つめられると、悠一は自分が兎にでもなったような気になってしまう。
　その挙句、公園でダンボール箱に入ると言う奇行を瑞英はしでかしたのだ。悠一としては逃げ出したい。だが、悠一は捕まり、彼の家に連行された。
　驚いたことに、両親は瑞英を飼う事を了承してくれた。悠一は、父母をまじまじと見てしまう。二人は平静を装っているが、どこかぎこちない所がある。悠一は瑞英を横目で見る。彼女は平然とした態度を取っている。
　瑞英が何をしたのかは、悠一には分からない。魔物娘には背後に組織があると聞いた事があるが、悠一は具体的な事は分からない。ただ、瑞英を自分の家に押し付けるだけの力があるのだろうとは推測出来る。
　悠一は深いため息をついた。

　悠一は、ベッドの上で押し倒された。瑞英が彼の上に圧し掛かっている。彼女の目は爛々と輝き、唇は興奮したように震えている。
「さあ、私を抱きしめながら寝てもいいぞ。ペットを抱きしめて寝るのは、飼い主の特権だからな」
「瑞英を抱く気なんてないよ！離れてよ！」
　瑞英は悠一の家で暮らすことになり、彼女は悠一の部屋に住むことになった。部屋に布団を敷こうとしたが、彼女は悠一と一緒にベッドで寝ようとする。その挙句、抱き合いながら寝ようとするのだ。瑞英は、鼻息を荒くして悠一を見つめている。
「もう、何なの？瑞英は人虎だろ。プライドは無いの？」
「プライドで男を手に入れられるか！」
　瑞英は悠一を抱きしめる。
「私とて武の道に生きてきた人虎だ。武人としてプライドもあったさ。だが、その結果、年齢＝彼氏無しとなってしまった」
　瑞英は、こぶしを握り締めながら目をつむった。彼女のまぶたには光る物がある。
「私は武人だった母によって、武の道に放り込まれた。私は普通に生きたかったんだ！それが出来なかった！母に従って武の道に精進した結果、男とはまともな縁の無い生き方となってしまった。私に近づいてくるのは、私を対戦相手と見るような男ばかりだ」
「じゃあ、今から普通の生き方をすればいいじゃない」
　悠一は、瑞英を見つめながら言った。彼女は、彫の深い整った顔立ちだ。大柄な体つきであり筋肉質だが、豊かな胸をしており肉感的だ。茶色い髪で覆われた頭には虎の耳が付いており、手足は黄と黒の獣毛で覆われている。それは虎の特徴を示しているが、彼女の魅力を増している。普通に生きれば、瑞英は十分モテるのではないかと、悠一は思う。
　瑞英は悠一を強く抱きしめた。彼は声を上げてしまう。
「モテない生き方をしてきた私が、そんなに簡単に男を手に入れる事が出来るか！第一、私の性癖は変わってしまった。私は、まだ発達していない少年が好きになってしまったんだ」
　瑞英は悠一に頬ずりをする。そうして鼻を押し付けて匂いを嗅ぐ。彼女の顔は恍惚としていた。
「だからって、ダンボール箱に入って待ち伏せするなんておかしいよ」
「私の知り合いにヘルハウンドがいる。奴は、捨て犬のふりをして飼い主を見つけた。お前のような少年の飼い主だ。今では、二人で爛れた生活をしているのだ」
「もっと、ましな知り合いのマネをしてよ！迷惑だよ！」
「かまわないさ。こうしてお前を手に入れる事が出来たんだ。さあ、私を抱き枕にするといい」
　悠一は逃れようとしてもがくが、彼の力では跳ねのける事は出来ない。瑞英は、微笑みながら彼を頬ずりしていた。

　悠一は、市立図書館の窓から外を見ていた。彼は本好きであり、こうして図書館に通う事が多い。ただ、今の彼は本を読んでいない。イギリスの児童小説を膝の上に乗せているが、文章を見ていない。ぼんやりと外の木立を見ている。
　彼は、魔物娘について調べに来ていた。特に、人虎について調べていたのだ。図書館には、子供向けに魔物娘を紹介する本が置いてある。探していると、頭に白い角を生やした女性司書が、本のある所を教えてくれた。彼女は、白澤という魔物娘なのだそうだ。
　悠一は礼を言うと、人虎について調べ始めた。それによると人虎は、理知的で冷静な魔物娘であり、誇り高く高潔なのだそうだ。瑞英を見ている悠一としては、その記述が信じられない。
　読み進めると、人虎の発情期について載っていた。人虎は、発情期になると普段の理知的で冷静な態度が嘘のように、本能に忠実になるのだそうだ。つまり性欲に支配されてしまうのだそうだ。
　その魔物娘を解説した本は子供向けだが、性についてかなり踏み込んだ記述があった。執筆したのは魔物娘である白澤であり、図書館に入荷したのも白澤の司書だ。その結果、悠一は性についての記述を読むはめになったのだ。悠一は、体を落ち着かなく動かす。彼は、ちょうど性に目覚める時期なのだ。
　悠一は、魔物娘について調べるのを止めて、好きなイギリスの児童小説を読み始めた。だが、全く身が入らない。彼は、瑞英の肉感的な体が思い浮かべてしまう。弾力のある手足や腹、柔らかい胸、それらの温かさ、匂い。それが、悠一の体の中を何かを突き動かす。
　すでに夕日が図書館の中に差し込んでいるが、悠一は気が付かずに外を眺めていた。

「さあ、お前は性に目覚める歳だな。もう精通は済ませているのだろ？臭いで分かるぞ。遠慮する事は無い。本能の赴くままに、私の体を貪るのだ」
　瑞英は、目を血走らせながら悠一に迫ってきた。もはや、彼女のどこにも理性は無い。悠一は、ベッドの隅に追いつめられた。
　二人は、風呂から上がるといつも通りに一緒にベッドに入ろうとした。瑞英が悠一を抱きしめるのもいつも通りだ。だが、そこから先はいつもと違った。瑞英は、悠一のパジャマを引き剥がして裸にしてしまったのだ。悠一は彼女の手をすり抜けたが、こうしてベッドの隅に追いつめられている。
「な、何を言っているんだよ！性とか体を貪るとか、わけが分からないよ！」
「いいや、お前には分かっているはずだ。その証拠に、お前のペニスは硬く反り返っているではないか」
　悠一は、瑞英と風呂に入るようになっていた。彼女が無理やり一緒に入るのだ。その際に、悠一は彼女の肉感的な体を見てしまう。むき出しとなった豊かな胸や引き締まった尻、茶色い陰毛の茂みを見てしまうのだ。その姿を見ていると、彼の腰は落ち着かなくなる。
　そして悠一は、毎晩のように瑞英に抱きしめられながら寝ていた。彼女は、薄着を着て寝ており、彼女の弾力のある体はその恰好で彼を抱きしめる。風呂上がりだから、その体は熱い。瑞英は、悠一の顔を胸に引き寄せて眠る。柔らかい感触と甘い匂いが彼を包む。悠一のペニスは、瑞英の鍛えられた腹筋に触れてしまう。とうとう我慢できずに、彼のペニスは硬くなってしまったのだ。
　瑞英は手を伸ばした。悠一は、あっさりとつかまってしまう。自然で無駄の無い動きであり、彼女の身体能力が分かる動きだ。彼は、抗えない力でベッドに押し倒される。圧し掛かってくる瑞英は、悠一には野獣に見える。
　虎の体を持つ女は、悠一の顔を舐めた。そして口を口でふさぐ。滑る感触がするが、それは柔らかく温かい。悠一は、舐められた瞬間に体が強張ったが、次第に体の緊張が解けていく。大型の猫に舐められている気持ちだ。
　気が付くと、悠一は瑞英に腰を抑えられていた。人虎である女は、ペニスに顔を近づけて臭いを嗅いでいる。そして舌なめずりをすると、彼のペニスにむしゃぶりつく。悠一は体を縮みこまらせたが、次の瞬間にペニスに快感が走る。
「ああ、やっぱりお前の臭いと味は良いな。これが少年の臭いと味か。髪や胸の匂いもいいが、ここの臭いが一番いい。風呂に入る前にしゃぶれば良かった」
　虎である女は、鼻息を荒くして少年のペニスを貪る。悠一は、瑞英に応える事が出来ない。何とか瑞英の姿を見た。彫の深い美貌を持った女は、口を唾液で光らせながら彼のペニスをしゃぶっている。濡れたペニスは、室内灯を反射して光っている。そのいやらしい光景で、悠一の頭はふらついてしまう。
　悠一は、がまん出来ずに腰を突き上げてしまった。瑞英は驚いたような顔をするが、すぐに腰の動きに合わせてペニスをしゃぶり上げる。腰を突き上げるたびに快感が走り、少年は喘ぎ声を上げる。すぐに我慢の限界が迫る。
「もうだめだよ。出ちゃうよ！」
　少年はかすれた声で訴えるが、人虎はさらに強く吸い上げる。彼女の凛々しい顔は、頬がくぼんで淫猥なものとなる。
　少年のペニスは弾けた。未成熟なペニスから精液がほとばしる。人虎は目を見開くが、表情を引き締めると精液を受け止める。少年は精液を止める事が出来ず、人虎はそれを夢中になって飲み下していく。彼女の喉が鳴る。
　出し切った時、少年はもうろうとしていた。荒い息をつきながら天井を見ている。まともに考える事は出来ない。その少年の姿を、人虎は上気した顔で見下ろしている。
「まるでゼリーのような精液だな。プリプリとしていて弾力がある。臭いも味もすごいな。お前はこんなものを出す事が出来るのだな。雌を孕ませる事が出来る体だ」
　虎である女は唇を舐め回すと、再び少年のペニスを舐めしゃぶり始めた。出したばかりでペニスは敏感になっており、少年はかすれた声を上げる。
　瑞英は、悠一の股から顔を上げると、Tシャツとホットパンツを脱ぎ捨てた。下着は付けていない。瑞英は、悠一の頭を自分の胸に引き寄せた。
「さあ、今度は私の体を舐めてくれ」
　悠一は、目の前にある豊かな胸を見つめた。白い盛り上がりの中心に、ピンク色の突起がある。その対照がきれいな上にいやらしくて、何も言えずに見つめ続ける。瑞英は、肉球のある手で彼の頭を撫でながら、自分の胸へと引き寄せる。　
　悠一の顔は、瑞英の胸に包まれた。鍛えられた瑞英の体は硬いが、胸は柔らかく滑らかだ。そして甘い匂いが彼の鼻を愛撫する。悠一は、ぼんやりとしながらその感触と匂いを感じていた。彼は、ゆっくりと舌を這わせ始める。風呂上がりにかいた汗の味が口の中に広がる。乳首に吸い付くと、舌の動きに合わせて硬くなっていく。
　瑞英は、自分の胸を舐め回す少年を上気した顔で見ていた。そして両手で頬を包むと、彼の顔を上げさせる。もの欲しそうな顔をする悠一に微笑みかけ、彼の顔を左に誘う。悠一の目の前には、鍛えられた腕と肩、くぼんだ腋がある。
「今度は腋を舐めてくれないか」
　悠一は、困惑した表情で瑞英を見上げた。腋を舐めるという事がおかしな事に感じたのだ。だが、瑞英に再び促されて、悠一は腋を舐め始めた。風呂上がりだからきつい匂いはしないが、少し甘酸っぱい匂いが彼の鼻を包んだ。そして舌には汗の味が広がる。彼は、猫のように腋を舐めていく。
　瑞英は、唇を震わせながら悠一を見ていた。くすぐったいせいもあるが、少年が自分の腋を舐める事に興奮しているのだ。しばらくの間、腋を舐めさせて楽しんでいたが、彼の顔を上げさせる。そして少年をベッドに横たえる。瑞英は、彼の上にかがみこんで自分の股を見せつけた。陰毛は濡れそぼっており、室内灯に照らされて光っている。
「さあ、お前の初めてを奪ってやろう。これでお前は童貞を卒業するんだ」
　瑞英は、鼻息を荒くして言った。彼女は、悠一の股の上に腰を下ろす。彼のペニスは回復しており、固く反り返っている。ゆっくりと彼女の裂け目が、少年のペニスを飲み込んでいく。暖かく濡れた肉が包み込んでいく。
　悠一は声を上げてしまった。彼女のヴァギナは、口の中以上に気持ちが良いのだ。暖かい泥が渦巻いて彼のペニスを愛撫しているようだ。その泥は、次第に彼のペニスを圧迫して刺激する。少年に耐えられる快楽ではない。
　人虎は、少年のペニスを締め上げながら腰を動かしていた。未成熟なペニスを貪りながら快楽を味わっている。凛々しい顔は欲情に染まり切り、荒々しい息が止まらない。彼女は、欲望のままに腰を動かす。
　悠一の限界が迫ってきた。喘ぎながら声を出そうとする。
「だ、だめだよ、出ちゃうよ。中に出しちゃうよ！」
　悠一は、ヴァギナの中で精液を出してはいけない事くらいは、少年ながら知っていた。自分から抜く事は出来ないので、瑞英にどいてもらおうとする。だが人虎は、肉食獣の顔で腰を動かし続ける。少年のペニスを締め付けて、精を絞り取ろうとする。
　少年のペニスは再び弾けた。腰の奥から精液が放出する。放出するというよりは搾り取られているようだ。少年は、けいれんしながら声を上げる。それを見下ろして、人虎は歓喜の声を上げる。
　少年と雌けだものは、欲情の渦の中で震えていた。

　悠一は、瑞英に抱きしめられていた。二人はセックスのあと、同じベッドの上で寝ている。悠一は、疲労のために眠ってしまっていたが、夜中に目が覚めてしまった。瑞英は、満足そうな顔をして寝息を立てている。
　悠一の顔は、瑞英の胸に包まれていた。瑞英は、彼を抱き枕のように抱きしめて寝ている。豊かな胸とたくましい腹筋、獣毛に覆われた手足が彼を包んでいる。息を吸うたびに、女体と獣の匂いの混ざったものを吸い込んでしまう。
　少年の体は、人虎である女の体を心地良く感じた。彼を翻弄し始めている性欲を満足させてくれたのだ。そして成長途上の不安定な体を、しっかりと抱きしめている。彼は、彼女の体に身をゆだねてしまう。
　気持ちいいな。悠一は声に出さずに言った。こうしてセックスを体験すれば、彼女が迫ってくるのも嫌ではない。むしろ望んでしまう。
　虎を飼ってもいいかもしれないな。悠一は心の中でつぶやく。変な虎だけどね。彼は声に出さずに笑う。悠一は、瑞英の体に自分の体を押し付けた。たくましさと柔らかさ、そして暖かさを感じる。獣毛が心地良い。
　少年は、人虎の胸に顔を埋めながら眠りへと落ちていった。