読切小説
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漫画で天誅を下せ!
 俺は寝取り、寝取られが憎い。俺は寝取り、寝取られが憎い。大事なことだから二回言った。
 俺は漫画を描いている。いわゆるエロ漫画を描いて飯を食っている者だ。男と女が宇宙の彼方に恥を捨て去ってファックする漫画を描いて生活をしている者だ。社会のゴミ、国家の恥とも言うべき人間だ。文句あるか?
 そんな俺でも寝取り、寝取られは許せない。俺は、この人類の敵、人類悪というべきものに漫画で天誅を下している。そうだ、天誅だ!俺は神の代理人だ!

 なぜ俺が寝取り、寝取られを憎むのか?それは簡単な理由だ。俺は、女を寝取られたからだ。
 俺は、以前はアニメーターをしていた。アニメ業界の典型とも言うべきろくでもないアニメ会社で働いていた。請負契約を結んでアニメ会社に所属して仕事をしていた。月収は八万円程度、会社は俺に社会保険を適用しない。朝から夜遅くまで仕事をしているのにこれだ。そんなクソみたいな雇用条件だが、アニメーターにとっては普通のことだ。
 アニメーターは、三か月で辞める人間が多い。そんな環境で二年もアニメーターをしていた俺は、もの好きだろう。親と同居していたため家賃を払う必要が無かったことも、アニメーターを続けた理由の一つだ。
 そんな俺がアニメーターを辞めた理由は、同僚の女を上司に寝取られたからだ。俺は動画家であり、原画家の指示に従って仕事をしていた。その原画家は、怒号と罵声を浴びせ、人格攻撃をするのが三度の飯より好きなパワハラ上司だ。こんなクソを会社は重宝していた。
 俺は社会のことを知らなかったから、こんな扱いをされるのが当たり前だと思っていた。あの原画家のやっていたことは、労働基準監督署に訴えることの出来ることだと後になって知ったよ。
 過重労働とパワハラ、低収入で苦しむ俺の支えは、一人の同僚の女だ。俺と同じ動画家であり、俺と一緒に原画家の下で働いていた女だ。俺たちは原画家の無茶ぶりに苦しみながら、協力して仕事をしていた。仕事をしているうちに、同志のような気持ちが生まれてきた。
 俺のダメな所は、同志に過ぎないのに恋愛感情まで持ってしまったことだろう。俺は、その女を好きになっていたのだ。その気持ちはあっさりと裏切られた。
 ある日、俺は遅くまで仕事をしていた。うっとうしい原画家は帰ってしまい、女も帰っていたはずだった。俺は、やっと命じられた仕事を終えて帰り支度を始めた。その前にトイレに寄った。
 トイレから出ると、倉庫として使っている部屋の前に通りかかった。変な物音が聞こえたので、俺はその部屋の中をのぞき込んだ。
 中には、帰ったはずの原画家とその女がいた。女はジーンズを脱ぎ捨てて、下半身が裸になっていた。そして犬みたいに四つん這いになっていたのだ。その女を、汚いケツをむき出しにした原画家が攻め立てていた。
 俺は、あの光景を今でも夢に見る。女は薄明りの中で、とろけた顔をして喘いでいた。原画家は、傲然とした顔をして腰を動かしていた。犬と猿の交わりでも、もっとましだろう。
 俺は、何もせずにその場を去った。その翌月に、俺は会社を辞めた。
 正確に言うと寝取られではないのかもしれない。俺たちは職場の同僚に過ぎず、恋人同士では無かったのだろう。俺が勝手に好きになっていただけだ。女にしてみれば、さえない動画家よりも将来のある原画家の方がよかったのだろう。だが、俺の気持ちとしては寝取られたようなものだ。
 これを機会にして、俺はアニメーターを辞めた。母は俺を責め立てた。高い金を出してアニメの専門学校に入れたのに、このざまは何だ。甘えるな。お前を産まなければ良かった。そう、俺を責め立てた。
 これに対して、父は俺を責めなかった。これで、社会のことも少しは分かっただろう。少し休んだら新しい仕事を探せ。そう言った。
 俺は、二か月後に新しい仕事に就いた。アウトソーシングを請け負っている会社で、入力オペレーターとなった。俺は、工業高校を出ているしアニメの仕事もしていたから、パソコンを使うことは出来る。それで仕事に就けたのだ。契約社員として雇用契約を結んでおり、月収は十三万五千円、社会保険は適用。いわゆるワーキングプアだ。それでもアニメーターのころよりはマシだ。
 その会社では残業があまり無かったために、俺は漫画を描き始めた。同じ絵と言っても、アニメと漫画は違う。その違いに苦労しながらも、俺は漫画を描き続けた。描いていて再確認したのだが、俺はやっぱり絵を描くことが好きだ。
 俺は、サイトやツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービスに自分の作品を投稿し続けた。徐々にだが、俺の作品は評価されるようになった。そしてあるエロ漫画雑誌が、俺に仕事を依頼してきたのだ。
 この仕事はある程度は評価され、俺の漫画は商業誌に載るようになった。エロ漫画限定だが、商業誌に作品が載ることは嬉しい。俺は時間を作って、どんどん漫画を描いた。

 俺が描く漫画は、最初に言ったように寝取り、寝取られに天誅を下す漫画だ。例えば、次のような物を描いている。
 派手な格好をした男は、夫のある女とセックスをした。そしてセックス漬けにして調教し、女を支配下に置く。そして、女の夫に対して送り付ける動画を撮影するのだ。
 女はカメラの前で裸になり、大きく股を広げる。彼女の胸と陰唇にはピアッシングがされており、体中に卑猥なタトゥーが描かれている。体中が精液まみれになっており、ヴァギナからは精液があふれている。男は女の肩を抱き、女はダブルピースをしながらカメラに向かって言う。
「あなた、ごめんなさい。私は、この人の物になっちゃったの。この人ったら、すごいおチンポを持っているのよ。あなたの粗チンとは比べ物にならないの。もう、あなたはいらないの。さようなら」
 そう言った直後に、在日米軍兵士が部屋に乱入してきた。寝取り男とその支配下にある女を、アサルトライフルで蜂の巣にする。そして兵士が撤収後、外に待機していたロケット弾発射機が、寝取り男たちが撮影していた家を爆破する。さらに大型輸送機が飛んできて、大規模爆風爆弾兵器を投下する。キノコ雲が上がり、辺り一面が草も残らない状態となった。
 焼け跡に、在日米軍司令官が現れた。「無限の正義が達成された!」彼は、そう宣言する。米軍基地反対運動をする人々が、司令官の前に押し掛けた。彼らは、アメリカ国旗を振りながらU・S・A!U・S・A!と歓喜の声を上げる。在日米軍兵士と反基地運動の活動家は、肩を組みながら「星条旗」を合唱する。こうして正義は達成されたのだ。
 俺が何を描いているのか分からない、と言う人がいるだろう。俺にも分からない。俺は寝取り、寝取られが憎いだけだ!
 この漫画は、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」を聞きながら描いていた。俺の頭の中で、戦乙女と戦闘ヘリが進撃し、ナパーム弾が炸裂する。寝取り男と女を炎が浄化する。そのイメージは、漫画に反映される。
 こうして俺は、人類悪を成敗する漫画を描いているのだ。

 こんな漫画を描き続けているせいで、俺はネットではキチガイ呼ばわりされている。だが、その一方で評価してくれる読者もいる。おかげで俺は、商業誌でエロ漫画の連載をやらせてもらえる事になった。
 月刊の商業誌で連載をやるとすると、兼業しながら漫画を描くことは難しい。タイミングが良いのかどうか分からないが、俺は勤務していた会社から契約を解除された。会社は、不動産も人件費も安い地方に事業所を作ったので、今までの事業所はいらなくなったのだ。俺のような契約社員の大半は解雇された。
 これで俺は、漫画に専念することになった。そのことを編集者に話すと、アシスタントを雇ったらどうかと進めてきた。その編集者は、アシスタントを紹介すると言ってきたのだ。
 俺は、この申し出にとまどった。確かに連載をするとなれば、アシスタントを雇う必要があるかもしれない。だが俺は、人を雇った経験が全くないのだ。そもそも俺は貧乏であり、人を雇う金が無い。
 これに対して編集者は、原稿料の中からアシスタント代が払えるはずだと言った。そのために手はずは整えるそうだ。もし必要な物があれば、編集部が貸すそうだ。
 俺は腹をくくって、アシスタントを雇うことにした。エロ漫画は原稿料が安い場合が多いが、この仕事で得られる原稿料は多かった。編集部は、アシスタントが使うパソコンと机、いすを貸してくれた。これは、金の無い俺としては大変ありがたい。
 ただ、それで済むわけでは無い。俺は、雇用関係の本を読みながら雇用契約書を作った。そして、労働問題を扱う団体に相談をした。その団体は労働者を助ける団体だが、雇用者の相談にものってくれるのだ。俺の相談にのってくれた人は、いくつかの問題点を指摘して書き直させた。その後、その契約書を労働局に持って行き、問題が無いことを確認した。
 こうして俺は、編集者の紹介してくれたアシスタントと会った。事前に見せてもらった彼女の絵は、技術的には問題が無い。それどころか俺よりも上手い。だが俺は、彼女を見て考え込んでしまった。彼女は、上半身は人間だが下半身は蛇なのだ。つまり彼女は魔物娘なのだ。
 今の時代は、魔物娘は珍しい存在ではない。町を歩けば、翼を持った女や鱗の生えた女と出会うことが有る。俺の担当編集者であるブランシェ・サガンさんは、創作の妖精と言われるリャナンシーだ。このアシスタントとしてきた女のように、下半身が蛇である魔物娘ラミアも見たことが有る。
 ただ、彼女を雇うとすれば、少しためらいがある。俺は、差別はしないようにしているが、それでも彼女と自分の違いに戸惑うのだ。
 結局、俺は彼女を雇った。アシスタントは、絵の技術があれば良いのだ。外見で商売をするわけでは無い。彼女と話をしてみたが、特に問題のある言動は無い。第一、編集部が紹介してくれたアシスタントを、無下にすることは出来ない。
 こうして俺は、アイティラ・セフェリスという名のラミアをアシスタントにした。

 アイティラは、俺の予想を超える良いアシスタントだった。前述した通り、絵の技術に関しては俺よりも上だ。俺の指示を的確に受けて、素晴らしい絵を描いてくれる。絵の上手い人は作業が遅いことが有るが、彼女は俺よりも早い。彼女は俺を先生と呼ぶが、そう言われるのが申し訳ない気がする。
 これだったら、俺を差し置いてデビューすればよい気がする。ただ、彼女が言うには、彼女は物語の創り方が上手くないそうだ。
 確かにそうかもしれない。アイティラの描いた漫画を見てみたが、物語としてはややつまらない。ストーリーが平坦に進むのだ。円を描くようにきちんとまとまっているが、山や谷があまり無い。そして弾けた所が無いのだ。
 物語は、弾けた方が面白いのだ。無茶苦茶な登場人物が、支離滅裂な言動を取る。その奇矯な言動は、物語の整合性を壊してしまうこともある。場合によっては、それで構わないのだ。俺の漫画なんかは、円を描くどころか形は滅茶苦茶だ。まず、読者を楽しませなければならないのだ。楽しいならば、常軌を逸していてもかまわないのだ。
 常軌を逸したものを描いても、きちんと形に収めるのがプロだと言われたら、俺は反論しにくい。出来ることならば、異常さと整った形を共に作品に備えたい。ただ俺は、形よりは面白さを優先した方が良いと考えている。
 アイティラには、俺のアシスタントをすることで物語創りを学んでもらおう。ろくな教師では無いが、俺から学ぶこともあるだろう。俺にとっては、彼女の絵の技術が重宝なのだ。
 アイティラは、自分から希望して俺のアシスタントになろうとしたそうだ。理由は、寝取り、寝取られに天誅を下す俺の漫画が好きなのだそうだ。魔物娘であり、ラミアである彼女にとって寝取り、寝取られは憎いものなのだそうだ。
 魔物娘は淫乱な存在だと言われている。ある面では当たっている。彼女たちは、町中で扇情的な格好をして男を誘う。だが、相手を決めた後は、その相手だけを相手にするらしい。同時に、自分の相手の浮気も許さないそうだ。
 そんな魔物娘たちにとっては、寝取り、寝取られは悪そのものなのだ。そしてラミアは、魔物娘の中でも特に独占欲の強い者だ。俺は、アイティラを雇う際にラミアについて少し調べた。どこまで本当かは知らないが、恋愛に関してはサスペンス映画のような話まである。あまり裏切らない方が良い相手だ。
 まあ、アイティラが寝取り、寝取られを敵視していることは確かだろう。それならば、俺たちは一緒に仕事が出来る。

 俺の連載する漫画は、やはり寝取りに天誅を下す漫画だ。舞台は現代、主人公は恋人を寝取られた男だ。傷つき、街をさ迷う主人公に、黒服の男女が接触してくる。復讐したければ手伝うと言うのだ。突然の申し出にとまどう主人公だが、自棄になっていた彼は申し出を受け入れる。
 主人公は、彼らの立てた計画に従い、恋人を寝取った男と裏切った恋人を抹殺した。このことをきっかけにして、主人公は黒服の男女の仲間になる。黒服の男女は、自分たちのことを「寝取り十字軍」と称していた。この世から寝取り、寝取られを殲滅するための組織である。
 主人公は、寝取り十字軍の一員として、寝取り男、寝取り女に対して神に変わって罰を与えていくのだ。
 お前は頭が湧いているのかと言われそうだが、別にかまわない。創作する時くらいキチガイになってやるよ。正気を気取ったところで、誰かがほめてくれるわけでは無い。文句があるのなら、俺を精神病棟にぶち込んでみろよ。
 連載を進めてすぐに、話の整合性は無くなっていった。まあ、いつものことだ。俺の情念を叩きつけ続けたら、話は形からどんどんはみ出していく。プロならば形に収めろと説教して下さる人もいるだろう。だが、俺にはやっぱり無理だ。
 形もクソもねえ。キチガイだ、俺はキチガイだ!キチガイの描いた物に整合性を求めるんじゃねえ!
 しかし、こんな漫画を掲載してくれる編集部も奇特だな。担当編集者であるサガンさんは、あまりにも意味不明な時はダメ出しをするが、基本的に俺の好きなように描かせてくれる。俺にとってはありがたいが、大丈夫だろうか?
 ただ、サガンさんの雑誌は、元からおかしな漫画家ばかりに描かせているらしい。俺は、初めて作品を掲載してもらう時に、サガンさんからこう言われた。
「うちの雑誌に掲載しても大丈夫ですか?うちで描いている先生たちは、他では描かせてもらえない人ばかりなんです。ヘタクソでは無くて、変わった人ばかりなんですよ。精神を病んでいる方も何人かいます」
 俺は、この話を聞いて喜んだよ。キチガイばかりに描かせている雑誌ならば、俺には合っている。ぜひ描かせてくださいと、俺は勢いよく答えたね。
 後で知ったことだが、サガンさんの言っていたことは本当だった。精神病棟に入ったことのある人、現在も精神科に通っている人、薬物依存症の人、自殺未遂をした人、刑務所帰りの人などが漫画を描いているのだ。素晴らしいまでにアレな人たちがそろっている。
 上等だよ!こういう雑誌こそ、俺にはふさわしいね。俺もいかれた漫画を描いてやるよ!

 アイティラは、俺の下で良く働いてくれる。連載が続けられたのは、アイティラのおかげだ。アシスタントとして彼女は素晴らしい。
 ただ、やはり彼女の扱いに困ることもあった。やはりその魔物としての姿が気になるのだ。彼女の瞳は金色であり、アーモンド形をしている。彼女の下半身は、赤い蛇体だ。鱗が生えており、独特の輝きを放っている。彼女を差別しないように気をつけたが、人ならざる者であるために違和感を受けてしまうのだ。
 ただ、そのことは自分に非があると分かっていた。俺は自分の感覚を責めて、彼女を拒否しないように努めた。
 俺の家族の対応は手を焼いた。俺の仕事場は、家族と同居している家だからだ。父はアイティラに驚いたが、俺の仕事の同僚として受け入れてくれた。だが、母は露骨に嫌がった。アイティラが来ると顔を合わせないようにするのは良い。たまに顔を合わせると、露骨に顔を背けて無視をした。その挙句、聞こえよがしに魔物娘をけなしたのだ。
 俺は、繰り返しアイティラに謝った。彼女は、苦笑しながら気にしていないと言ってくれた。
 結局、俺たちは、編集部のある出版社の建物の一室を借りることにした。サガンさんに相談をしたら、空いている部屋があると言うのだ。本当に、編集部には世話になりっぱなしだ。
 これで何とかうまく行くと思った。だが、別の理由でアイティラに困ることが有るのだ。それは彼女の人間の部分だ。派手な上に扇情的なのだ。
 アイティラは、金色の髪と健康的な褐色の肌をしている。メイクの映える派手な美貌を持ち、豊かな胸をゆすっている。彼女は、胸の谷間や腋、腹の見える露出度の高い服を好む。それらの服の素材は、皮やシースルーの物だ。そんな女が、俺のすぐ近くで仕事をしているのだ。目のやり場に困る毎日だ。
 どのようなつもりなのか、彼女は俺にやたらと近づいて話をする。彼女と話していると、胸の谷間が目に入ってしまう。彼女からは、官能的な甘い香水の香りが漂ってくる。つい、頭がふらつきそうになってしまう。
 俺は、自分の意思を振り絞って、平静に対応しようと努力した。

 俺の漫画は、段々とエスカレートしていった。初めの頃は日本の一都市を舞台とした話だったが、途中から世界規模の話になってきた。その上に、中世ヨーロッパまで歴史がさかのぼる始末だ。
 「寝取り十字軍」は、伝説の精神的指導者クリスチャン・ローゼンクロイツの遺言によって結成された。彼は死の床にある時に、弟子であるフリードリヒ七世に「人類悪である寝取り、寝取られを殲滅せよ」と命令を下した。彼の意思を継いだフリードリヒ七世は、寝取り、寝取られを殲滅するための組織である「黄金薔薇十字団」を結成する。
 黄金薔薇十字団は、歴史の陰に隠れながら寝取り、寝取られを殲滅すべく活動を続けてきた。フリードリヒ七世は、不老長生の技を取得して、黄金薔薇十字団の団長として現代まで生き続けている。彼は、二十一世紀になると黄金薔薇十字団の実働部隊として「寝取り十字軍」を結成する。そして、ついに寝取り十字軍は、黙示録の世界を実現すべく動き出す。
 主人公は、寝取り十字軍を構成する四騎士団の中核である「蒼ざめた騎士団」に所属している。主人公は、初めの頃は寝取り十字軍の行動に疑問を持っていた。だが、この頃になると心身ともに立派な十字軍の騎士となっている。彼は、人類の敵である寝取り、寝取られを殲滅する最後の戦いにおもむく。
 この蒼ざめた騎士団の格好は、ナチスの武装親衛隊をモデルにしている。寝取り十字軍は、機甲師団による電撃作戦を行い、世界を黙示録へと変えていく。電撃作戦をやったのは、武装親衛隊ではなく国防軍だろなどという、野暮な突っ込みは止めて欲しい。
 俺が何を描いているか分からないだって?俺にも分からない。俺は寝取り、寝取られが憎いだけだ!それが全てだ!一応、俺の描いているのはエロ漫画だ。だが、途中からエロはどうでもよくなってしまった。
 俺は、脳内物質を出しまくりながら描いている。作業中に聞いている曲は、ワーグナーの「神々の黄昏」だ。妻を裏切ったクソ野郎であるジークフリートを殺す曲だ。俺は、殺人者ハーゲンに感情移入をしながらこの漫画を描いている。
 俺は、主人公に自分を投影しながら描いてきた。だが、途中からフリードリヒ七世に感情移入しながら描くようになった。完全に気が狂っているから描いていて楽しいのだ。彼は、十字軍の進撃の際にこう宣言している。
「これより寝取り、寝取られ裁判を行う!被告、寝取り男!被告、寝取り女!判決は死刑!死刑だ!死刑死刑死刑死刑死刑死刑!」
 彼の指揮によって殲滅戦は展開していく。そのさまを見ながら、彼は恍惚としてこう叫ぶ。
「死んだ寝取り男、寝取り女だけが良い寝取り男、寝取り女だ!」
 キチガイそのものである。だから描いていて面白い。俺は、描きながらよだれを垂らしそうになった。
 俺は、自分の創った黙示録の世界に酔いしれていた。

 一緒に仕事をしているうちに、アイティラは殺人描写を嫌っていることが分かった。アイティラは、性描写には抵抗は無い。むしろ俺以上に熱心に描く。殺人描写も、俺が指示した通りに絵を描く。手を抜いたりはしないし、出来栄えは申し分が無い。だが、彼女の仕事をする態度を見ていれば、嫌がっていることは分かる。
 どうやら、魔物娘が殺人を描くことを嫌っているのは、本当のことらしい。魔物娘は、人間以上に殺人に対する忌避が強い。それは、物語などの創作にも表れる。俺は、アイティラと仕事をするようになってから、魔物娘の創作物を見るようになった。殺人を描いた場面はほとんど無い。あっても間接的な描写をする。
 俺は迷った。これは仕事に関する重要なことだ。俺の漫画には殺人描写が出る。それに対して、一緒に仕事をする者が強い忌避感を持っていれば、仕事がうまく行かなくなるかもしれない。ただ、現在のところ問題は出ていない。下手に話すと問題が出てしまうかもしれない。果たして、このことを彼女と話していいのだろうか?
 結局、俺はアイティラと話すことにした。創作をする上で重要なことだから、話したほうが良いだろう。
 アイティラは、ためらった後でこう言った。
「はい、殺人を描くことは苦手です。出来ることなら描きたくはありません。殺人描写が必要な場合もあります。ですが、他の描写に置き換えることが出来るのではないでしょうか?」
 確かに、他の描写に置き換えることは出来るだろう。だが、俺の漫画は、俺の情念を叩き付けた物だ。俺の寝取り、寝取られに対する憎悪を表現するには、殺人描写が適しているのだ。
 俺はそのことを伝えると、殺人描写をきちんと描いて欲しいこと、もし無理ならば仕事を辞めて欲しいことを話した。
 アイティラは、無言でうなずいた。

 アイティラは、約束通りきちんと仕事をしてくれた。嫌であるはずの殺人描写も、文句のつけようのない描き方をしてくれた。俺は、前にも増して彼女を信用するようになった。
 仕事を一緒に続けていれば、同志としての意識は生まれるだろう。それは良いことだ。だが、恋愛感情はどうだろうか?俺は、アニメーターだった時にそれで失敗した。同じ失敗をまた繰り返そうと言うのか?
 つまり俺は、アイティラのことを好きになってきたのだ。我ながら懲りないと思う。だが、どうやら恋愛に関しては、俺は懲りないらしい。
 もしかしたら、彼女の淫猥な格好に欲情しているだけかもしれない。彼女が俺の前にさらけ出す胸の谷間や腋、腹に、性欲をかき立てられているだけかもしれない。皮やシースルーの服が強調する彼女の肢体に、惑わされているのかもしれない。俺は、セクハラオヤジと同類になっているのかもしれない。
 性欲と愛欲の差は何だろうか?その関係性は何だろうか?俺は、下らない問答を頭の中で繰り返す。
 気が付くと、彼女は俺のすぐそばにいた。俺に指示して欲しいことが有って、聞きに来たのだ。彼女の胸の谷間から目をそらすと、俺はパソコンの画面を指しながら説明をする。彼女からは香水の香りがする。彼女を見ると、唇を舌で舐めている。ルージュを引いた唇が濡れて光る。
 俺は、彼女を彫像だと思い込みながら説明を続けた。

 連載終了まで、あと三回となった。プロットはすでに出来ており、それに従って描いている。支離滅裂な漫画にもプロットはあるし、結末も見えた。無責任なことだが、何とかなるものだ。
 今日やると決めた分を終えて、俺は大きく息をついた。自分のやりたいように描けるために、俺は充実した楽しい毎日を送っている。疲れてはいるが、それすらも心地良い。
 俺は、自分の首に腕が回されていることに気が付いた。アイティラが俺を後ろから抱きしめているのだ。俺はあわててしまうが、彼女は俺をしっかりと捕まえている。彼女は、俺の顔に頬をすり寄せる。香水の香りが俺の鼻を包む。
「そろそろ、いいでしょ」
 彼女は俺の耳元でささやく。俺の耳に熱い息が吹きかけられる。何をと聞き返そうとするが、俺の口は彼女の口にふさがれる。口の中に舌がもぐり込んできて、俺の舌と交わり合う。彼女の左手は俺の頬を撫で、右手は俺の股間を撫でる。
「パートナーのいない男が、パートナーのいない魔物娘と一緒に居るとどうなるか調べなかったの?」
 アイティラの舌は俺の首筋を舐め、手はシャツを脱がしていく。露わになった胸に舌を這わせる。人間離れした長い舌は、ねっとりと俺の乳首を愛撫する。
 俺は、彼女を抱きしめた。その金色の髪に覆われた頭を撫で、豊かな胸に手を伸ばす。黒いシースルーの服は、胸の谷間が見える造りだ。俺はその谷間に手を入れて、柔らかな感触を楽しむ。元から彼女に欲情していたのだ。この機会を逃す気は無い。
 シースルーの服を脱がすと、乳首の所に飾りのような物が付いていた。下着代わりに、これで乳首を隠していたのだ。その飾りは、ご丁寧なことに乳首を強調する作りだ。俺は、それを付けたまま胸に顔を埋める。柔らかい感触と甘い匂いが俺の顔を包む。彼女は、俺の頭を愛撫する。
 俺は、ちらりとドアの方を見た。この仕事部屋は出版社内にあるが、俺たち以外にはめったに人が入ってこない。俺は、彼女の胸に顔を戻して、その心地良さを堪能する。
 アイティラは、俺の前にひざまずいた。俺のスラックスのファスナーを引き下ろす。そしてトランクスも引き下ろすと、既にでかくなっている俺のチンポが飛び出した。彼女は嬉しそうに声を上げる。
「濃い臭いがするね。仕事をしていて蒸れたんだ。嗅いでいると頭がふらつきそう」
 彼女は鼻をスンスンさせると、俺のチンポに舌を伸ばしてくすぐった。俺のチンポはビクッとしてしまったね。俺は彼女の舌を凝視する。唾液が糸を引く彼女の口から、ラミアの長い舌が伸びて、俺のチンポに絡みつく。亀頭、くびれ、竿が舌に絡み取られ、金玉まで愛撫される。
 彼女は、俺のスラックスとトランクスを脱がせて、俺のチンポを完全にむき出しにした。そして長い舌で俺のチンポを思う存分に嬲る。右手を伸ばすと、唾液で濡らした人差し指で俺のケツの穴をくすぐる。俺の腰は震えてしまう。
 アイティラは胸の飾りを取り外すと、俺のチンポを胸ではさんだ。そしてパイズリをしながらチンポを舐め回す。唾液で濡れた胸は、なめらかな感触がする。俺はすぐに限界が来てしまう。
「出そうなんだ。私の口に出してね」
 そう言うと、彼女は俺の亀頭を口に含んで甘噛みする。
 俺は、彼女の口の中にぶちまけた。腰の奥からザーメンが噴出する。ラミア女は、喉を鳴らしながら俺の精液を飲んでいく。ズズズッと、下品な音を響かせて俺のザーメンを吸い上げる。すげえ吸引だ。尿道どころか、金玉からまで吸い上げられそうだ。
 出し終わった時は、俺は頭がふらついていた。フェラやパイズリをしてもらっても、経験の浅い内はそれほど気持ち良くはないと聞いたことが有る。それは本当のことなのか?滅茶苦茶気持ちいいじゃねえか。
 俺が出し終わっても、アイティラはパイズリフェラを止めなかった。俺のチンポは、また硬くなっている。我ながら凄い回復力だ。高校生の頃に戻ってしまったような元気の良さだ。
 床の上をものがこすれる音がした。アイティラの蛇体が動いている。その蛇体はあっという間に俺に巻き付いて、俺を彼女に引き寄せる。すでに彼女の腰を覆っていた服は、脱ぎ捨てられていた。彼女は俺のチンポに手を伸ばすと、自分の濡れた肉襞に当てる。彼女の股からは、甘酸っぱい匂いが立ち上っている。
「ラミアのものは、人体と蛇体の境目近くに有るんだよ。ほら、ここにあるの」
 そう言うと、彼女のものは俺のチンポを飲み込んだ。その瞬間に、俺のチンポは暖かい肉の渦に引き込まれた。まさに渦だ。俺のチンポは飲み込まれていく。思わず腰を引きそうになるが、彼女の蛇体は俺を逃がさない。
 アイティラは、円を描くように腰を動かした。俺のチンポだけではなく、俺の腰までが彼女の支配下に納まってしまう。俺は、必死になって彼女の動きに合わせようとする。だが、つたない俺の動きでは彼女に合わせられない。彼女は、微笑みながら俺に合わせてくれる。
 俺の限界がまたやってきた。このままでは中で出してしまう。外に出すから抜かせてくれと頼んだが、アイティラは蛇体で俺を絞めつける。両腕で俺の背を抱きしめる。
「ほら、出しちゃえ」
 彼女は、俺の耳を舐めながらささやく。
 俺は、ラミアの中でぶちまけた。二度目とは思えない気持ちの良さが俺に叩きつけられる。俺は、自分の子種汁を魔物娘の中に撃ち出す。蛇の子宮に向かって子種を叩き付ける。止めることなんか出来やしねえ。
 出し終わった時、俺は茫然としてしまった。気持ちの良さと中出ししてしまったことで、頭がおかしくなっていたのだ。気持ちいいけれどまずいだろ。
「中出ししたね。これからよろしくね」
 アイティラは、俺に頬ずりをしながら言った。

 この日から、アイティラは俺から離れないようになった。仕事中は俺のそばにすり寄り、蛇体を巻き付けた状態で作業をする。仕事が終わってからは、俺を自分の家に引き込む。彼女は両親と同居しているが、俺をその家で住まわせようとする。彼女の両親は問題視すると思ったのだが、彼らは娘の要望通りにした。
 アイティラは、俺の食事は全部自分が作った。それ以外の物を食べることを俺に許さない。俺の洗濯物は全て洗い、他の者に俺の服に触らせようとしない。俺のトランクスに顔を埋めているアイティラの姿を見たことが有る。彼女の顔は恍惚としていた。
 アイティラは、暇さえあれば俺とセックスをしようとした。俺の体に巻き付いて拘束し、俺のチンポにむしゃぶりつくありさまだ。仕事中でも、彼女の家でも、道中でもセックスを求めてきた。
 これだけ一緒にいれば、俺が浮気をするはずが無い。だが、アイティラは俺の浮気を警戒した。俺の体の臭いを嗅ぎ、舐め回すことで女と触れ合っていないか確認するのだ。俺のチンポに鼻を付けて臭いを嗅ぎ回すさまは、卑猥であると同時に鬼気迫るものがある。
 アイティラは、俺をつなぎとめるために何でもしようとした。俺のチンポどころかケツの穴まで舐め回すのだ。
「どう、こんなこと他の娘はしてくれる?私は何でもやってあげるよ」
 そう言って、ケツの穴の中に舌をもぐり込ませて中を舐め回すのだ。
 アイティラは狂っているのだろうか?人間だったら、狂っていることを疑ったほうが良い。だが、魔物娘の場合はどうだろうか?人間とは、考え方や行動が根本的に違うのかもしれない。特にラミアは、自分の男に執着することで知られる魔物だ。人間から見たら狂っていても、ラミアにとっては正常な思考と行動なのかもしれない。
 いずれにしても、俺はアイティラに拘束されていた。

 俺の連載は終わった。俺のことを異常者呼ばわりする評がある一方で、一部の読者から熱狂的な支持を得ることが出来た。俺は、カルト漫画家として認知されたらしい。
 この結果、俺は新連載をやらせてもらえることとなった。担当者は、引き続きサガンさんだ。彼女は、賭けに出て良かったとはしゃいでいる。俺に連載させることは賭けだったらしい。
 アイティラは、四六時中俺と一緒にいるので、俺の新連載のことは同時に知った。彼女は、金色のアーモンド形の目でじっと俺を見ている。
 アシスタントとして継続して働いてくれないかと、俺は彼女に頼んだ。彼女は満面に笑みを浮かべると、俺の申し出を受け入れた。そして俺に抱き付いた。
 俺は、やっぱりアイティラのことが好きなのだ。人間から見れば狂っていても、俺には魅力的に見えるのだ。少なくとも、寝取りに励む人間どもに比べると、俺には彼女が好ましく見える。
 もちろんアイティラは、アシスタントとして有能だ。俺の連載は、彼女の力があったからこそできたのだ。俺は、彼女の能力を評価して、引き続きアシスタントをお願いしたのだ。
 まあ、肉欲に溺れた変態漫画家の俺が言っても、信用してもらえないだろうが。

 俺は、以前勤めていたアニメ会社の人と会った。俺の漫画を連載している出版社は、アニメ化する漫画を出版していた。もちろん俺の漫画では無くて、別の人の作品だ。ただ、アニメ会社の人が出版社に来た時に、俺は彼と会った。彼は俺の元同僚だ。
 彼の話を聞いて知ったのだが、俺の勤めていたアニメ会社はつぶれたそうだ。次々と人が辞めていく中でアニメを創っていたが、納期に間に合わずに未完成の物を出してしまったのだ。元から評判が悪かったその会社は、その不始末をきっかけにして仕事の依頼が無くなったのだ。
 ただ、そのアニメ会社にいた人たちは、半数以上が就職出来たそうだ。魔物娘がアニメ会社を立ち上げており、その会社が求職中のアニメーターたちを雇ったのだ。魔物娘のアニメ会社は、アニメーターたちを直接雇用してきちんとした賃金を払っているそうだ。その会社に就職した俺の元同僚は、やっとまともに暮らせるようになったと喜んでいた。
 俺から寝取った原画家とその女は、魔物娘のアニメ会社に採用されなかった。求人に応募してきたそうだが、魔物娘の会社は不採用にしたそうだ。彼らがその後どうなったかは、俺の元同僚には分からない。
 俺は、心の底から嬉しかったね。ずっと俺の心に圧し掛かっていたものが取り払われたのだ。本当に清々した。その日の夜は、上等なスコッチを買って祝杯を挙げたよ。あれほど旨かった酒は無いね。
 ただ、これで俺の寝取り、寝取られへの憎悪がなくなったわけでは無い。俺は、その前から憎んでいたのだ。
 俺は、十一歳の時のことを思い出す。俺は熱が出てしまい、学校を早退した。そして家に帰ると、母は俺のことに気が付かずに電話をしていた。話を聞いていると、相手は男であるらしいことが分かった。
 母は、俺や父に聞かせたことの無い甘い声で話していた。その表情は、とろけそうになっていた。その顔は突然変わった。忌々しそうに父のことを罵り出したのだ。母の様子を見ていて分かったが、相手の男は母が父を罵ることを喜んでいるようだ。
 俺は、母に気が付かれないまま自分の部屋に入った。母の電話のことがよく分からなかった。ただ、そのことは俺の心に残り続けた。そして俺が成長するにつれ、俺はその電話のことが何であったのか分かったのだ。
 父は、母の裏切りのことを知っているのだろうか?俺は、それを確認したことは無い。ただ、俺が十代半ばころには、父は母に対して必要最低限のことしか話さなくなった。
 今では俺も、母に対しては必要最低限のことしか話さない。俺が、家族の中で相談したり雑談する相手は父だ。
 俺は、時々父と共に酒を飲んでいる。こんなことをすることは格好悪いと見なす奴もいるが、俺はそうは思わない。俺たちは、日本酒やスコッチを飲みながら他愛の無い話をする。「俺は、会社が大変な時に会社を支えたんだ!」などという、父の怪しげな話を笑いながら聞いてやる。
 そんな俺と父を、母は汚らわしい物でも見るような目で見ている。そしてヒステリックに罵ることもあった。だが、俺たちは無視している。まともに相手にする価値は無い。
 父と母がこれからどうなるのか、俺には分からない。ただ、俺は父に加担するつもりだ。

 俺は、アイティラと新連載の漫画を描いている。連載の要領は、前回の時にある程度学んだ。そのために、いくらかやり易い。滑り出しは順調だ。
 俺の新連載は、近未来の日本を舞台にしたエロ漫画だ。相変わらず寝取り、寝取られに天誅を下す漫画を描いている。ストーリーはこういうものだ。
 日本政府は、霊的コンピュータ「ジンム」を中心にして活動をしている。そのジンムは、政府に「国体の変革」が行われようとしていると警告を発した。「国体」とは、貞操を守ることである。「国体の変革」とは寝取り、寝取られが行われることである。
 政府は、直ちに国体護持機関である「盾の士団」に、国体の変革を阻止することを命じた。主人公は、盾の士団に所属する青年である。彼は、団長である比良岡公武の指揮の下、寝取りを行う者に対して天誅を下していく。主人公たちは、カーキー色の制服に身を包み、マントをひるがえしながら戦い続ける。
 お前の描いていることは相変わらず分からん、と言いう人がいるだろう。俺にも分からん。くどいようだが、俺は寝取り、寝取られが憎いだけだ!天誅を下したいのだ!俺のようなキチガイが、まともな物を描くわけねえだろ!
 ただ、以前とは描写が変わった。殺人描写を止めたのだ。アイティラの言った通りに、別の表現にしたのだ。その表現方法は、アイティラが助言してくれた。
 例えば、寝取り男のケツの穴に大根を突っ込み、寝取り女のマンコにも大根を突っ込む。男はクソをたらしながら悶え、女は小便を吹き出しながら悶える。他には、馬用の浣腸をしてケツ穴に栓をしたり、尿道にローターを突っ込んだりする。山羊にチンポをしゃぶらせたり、豚のチンポをヴァギナに突っ込むなんてものもある。
 いや、描いていて思ったのだが、殺人描写よりもひどくないか?そんな描写を、アイティラは嬉しそうに描いている。
「このチンポ豚が!てめえの粗チンを入れる穴なんてねえんだよ!ケツの穴に大根くらって悶えていろ!」
「このあばずれ以下の雌豚が!そんなにマンコに入れたいのなら、豚のチンポを入れてやるよ!三百ml射精されて栓をしてもらえよ!」
 こんなことを叫びながら描いている。絵もすごいが、絵を描いているアイティラの姿もすごい。時々、夢に出てきてしまう。悪夢から覚めたら、アイティラが俺に抱き付いて寝ているのだからたまらない。
 まあ、こんな調子で俺たちは仕事をしている。そして恋人としてもやりまくっている。仕事が一段落すると、アイティラは俺のチンポに飛びつく。外に聞こえるんじゃないかと思うような音を立ててしゃぶる。そして俺は、彼女の濡れまくっているマンコにチンポをぶっ込んでやる。そんな毎日だ。俺は、近いうちに赤玉が出るんじゃねえのか?
 俺たちは、こうしてキチガイとして充実した毎日を送っているわけだ。
18/03/16 19:38更新 / 鬼畜軍曹

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