あかなめはメタボオタクがお好き
秋の気配が漂っているが、まだ残暑が厳しい。俺の体中が汗で濡れている。早歩きする癖がある上に、だれが見てもメタボだとわかる体形のためだ。家に着いた時には、俺の服は汗で体に張り付いていた。多分、他の人は俺の臭いにうんざりしているだろう。
ただ、家には俺の臭いを楽しむ物好きがいる。家には明かりがついている。俺は、残業したために遅くなった。俺のパートナーのほうが、帰宅は早かったようだ。多分、俺の臭いを待ちわびているだろう。
チャイムを押すと、家の中から走る音が聞こえてきた。勢いよく扉が開かれる。扉を開けた女は、俺に飛びついてくる。汗で濡れている俺の胸に顔を押し付ける。
「おかえりー!待っていたよ。この臭いが嗅ぎたくてうずいていたんだよー!」
飛びついてきた女は、恥ずかしげもなく俺の腋に顔をうずめて臭いを嗅いだ。
俺の妻である穂香は、小柄な体を押し付けて臭いを嗅ぎ続けている。俺は、彼女を抱き上げるようにして家の中に入る。シャツは汗で濡れており、穂香の顔は汚れてしまうはずだ。だが、うれしそうに顔をすり付け続ける。いつものことだ。
穂香の顔が不機嫌そうになる。唇を尖らせて俺を見上げる。
「ボディシートで体をふいたんだね。せっかくの臭いと味が台無しになるじゃないの」
そうは言っても、会社の同僚に臭いを嗅がせるわけにはいかない。俺は事務職だが、総務課に所属しているために物品を運ぶことが多い。通用口と倉庫、各課を行ったり来たりしながら物品を運ぶ。部屋の中は冷房が効いているが、廊下は冷房の効きが弱い。倉庫も、ある程度の時間使う場合でなければ冷房は入れない。そうなると俺の体は汗まみれになる。タオルで汗をぬぐい、ボディシートで体をふき、下着を変える。
「あんたの同僚は、風味の分からない連中ばかりなんだねえ。『美食倶楽部』に入る資格は無いよ」
穂香は、馬鹿にしたように鼻を鳴らす。「美食倶楽部」とは、あかなめ、ベルゼブブなどの魔物娘が結成したクラブだ。男の体の臭いや味を堪能することを目的とするクラブである。穂香は、人間の垢をなめることで知られる魔物娘あかなめだ。
小作りの可愛らしい顔を俺の腋にうずめる魔物娘を見ながら、俺は彼女との出会いを思い出した。
俺と穂香が出会ったのは、去年の夏のコミケ会場だ。俺は、人であふれる会場内で汗をかきながら歩き回っていた。
俺は会社から有休をもらい、あるサークルの手伝いをしていた。そのサークルは、魔物娘を題材とする作品を出品するところだ。魔物娘が好きな俺は、そのサークルと仲が良いのだ。前日から設営の手伝いをし、物品の運搬をしていた。
俺は、昨日から汗をかきまくっていた。太った男が肉体労働をしたのだ。設営の忙しさのために、俺は昨日から体を洗っていない。その時の俺は、自分でも嫌な臭いをしていると分かっていた。時折、通りすがりの人が顔をしかめながら俺を見ていた。
俺は、物陰になる所を探していた。早く体をふいて、着替えをしたかった。背中のデイパックには、濡れタオルとボディシート、シャツとトランクスが入っている。一秒でも早く体をきれいにしたい。
「何か探しているのかな?」
俺は、小柄なコスプレイヤーに声をかけられた。紫色の着物を着崩し、黒い下着のような物でわずかに覆っている胸と下腹部を露わにしている。頭には角を付けていた。その角は作り物らしく、鬼の魔物娘ではないようだ。
着替えの出来る場所は無いかと、俺は彼女に聞いた。彼女は、工事エリアに近い物陰に連れて行ってくれた。立ち入り禁止になっていたが、警備員はいなかった。俺は彼女に礼を言い、物陰で着替えをしようとする。
突然、彼女が抱き着いてきた。俺の背に顔を押し付け、鼻を鳴らして臭いを嗅いでいる。俺は、慌てて彼女を誰何する。
「野暮なことは言いなさんな。据え膳食わぬはなんとやらと言うだろ」
彼女は笑いながら言い、俺の首筋をなめる。
俺は、彼女をよく見た。整った小顔の可愛らしい女だ。少しそばかすがあるが、それは可愛らしさを増している。少女のような体つきをしているが、なまめかしい肌は露出度の高い恰好を引き立てている。俺は振り返り、彼女を抱きしめた。
こうして俺たちは、コミケ会場で人目に隠れてセックスを堪能した。コミケを題材にしたエロ漫画のような体験が出来たのだ。本当に出来るとは思わなかった。
ただ、予想外のことはこれだけではなかった。彼女は、汗で汚れて悪臭を放つ俺の体を喜んで貪ったのだ。俺の服を脱がすと、俺の腋に顔をうずめて臭いを嗅ぎ、舌でなめ回した。さらに股間に顔を押し付け、鼻を鳴らしながら舌を這わせた。そして俺の臭いと味の感想を酔ったように口走るのだ。
俺は、この変態ぶりに少し引いてしまう。だが、驚くことはまだある。彼女は舌を伸ばして俺の体をなめるが、その長さは尋常ではない。一メートルも伸びて俺の体中をなめ回すのだ。慌てる俺に、自分はあかなめだと言った。
あかなめについては、俺は少し知っていた。見た目は可愛らしいという以外は人間とあまり変わらないが、人間の汗や垢などを糧とする魔物娘だ。老廃物をエネルギーに変えることが出来るらしい。人間と大きく違う特徴は、何十センチ、あるいは一メートルもある長さの舌だ。
俺は自分が太って汗をかきやすいことから、あかなめかベルゼブブに目を付けられるのではないかと思ったことがある。それが現実化したのだ。
このことをきっかけにして、俺たちは付き合うことになった。穂香の話によると、コミケ会場は魔物娘による男の狩場らしい。特にあかなめ、ベルゼブブ、そしてユニコーンが押し寄せて来て男を狩っているらしい。ベルゼブブは蠅の魔物娘であり、あかなめ同様に男の汗や垢、臭いを好む。ユニコーンは、角を持ち下半身が白馬の魔物娘だ。童貞を好むことで知られる魔物娘である。
コミケには、コミケにふさわしい魔物娘が集まるわけだ。俺はコミケに集まるオタクのことを思い、悲しくなってきた。
こうして俺は、あかなめ好みの男として刈られたわけだ。穂香は、俺の体を貪りまくった。ただ、俺は彼女に興奮していた。俺の汚い股間に顔をすり寄せ、臭いと味を貪る変態魔物娘に興奮したのだ。俺が汚れたペニスで穂香の顔を嬲ると、彼女は嬉しそうな顔で鼻を鳴らす。そして長い舌を伸ばし、陰嚢の裏から尻の穴までねちっこくなめ回す。俺は、興奮と快楽に酔いしれた。
穂香がオタクであることも、俺とうまくいく要因の一つだ。正確に言うと、彼女は物語を消費することで快楽を得る性質だ。アニメや漫画はもちろんのこと、映画や戯曲、小説などにも通じていた。
特に、小説に通じていた。戯作の影響を受けた近代日本の小説に詳しく、遊郭や娼妓を題材にした小説や冒険活劇について俺に教えてくれた。そしてそれらの物が、現代のオタクコンテンツにそれぞれの経路をたどって影響を与えていることを説明してくれた。
俺はオタクだが、人に話すよりは人から聞くことを好む。聞き手に回るほうが、情報を消費することで快楽を得られるからだ。俺は、話したがり屋の穂香とうまくいった。
生活することが出来るだけの収入が有ることも、俺たちがうまくいく理由の一つだ。穂香は保健師であり、彼女の言によると、俺の生活の面倒を見ることが出来るだけの金を稼ぐことが出来るそうだ。俺は、法と金勘定について少し技術と知識、経験が有る。食えるだけの金は、何とか稼ぐことが出来る。
こうして俺たちの関係は深まり、今年の夏に籍を入れたのだ。
俺は今、運動をしている。トランクス一枚になり、腕立て伏せやスクワット、シャドウボクシングをしている。仕事で疲れているため、十分から十五分程度の運動しかしないが、それでも肥満体の俺にはきつい。汗まみれになって運動している俺を、穂香はじっと見守っている。
何故こんなことをしているかと言えば、俺のメタボ対策のためだ。俺の今年の健康診断の結果は、例年以上にひどいものだ。血圧、脂質、尿酸は治療が必要なレベルに達していた。
まあ、健康診断をしなくても、俺の体がおかしいことは分かる。俺は、今ではジーンズをはかず、休日でもスラックスをはく。ジーンズに比べてスラックスのほうがはきやすいのだ。スラックスには、肥満体用のアジャスターが付いている。仕事の時はベルトを付けるが、休日はサスペンダーを付ける。家でいる時は、ゴムで伸びるスウェットをはいている。
こんな有様だから、穂香の指導の下で健康改善に取り組んでいるわけだ。穂香は、保健師として労働者の健康改善に取り組んできた。その経験で培った技術と知識で、俺を指導しているわけだ。
運動だけではなく、食事も改善させられている。以前は、コーヒーだけで朝食を済ますことが多かった。穂香と同居してからは、トーストとサラダや果物の朝食をとっている。昼はクッキーで済ますことが多かったが、今は野菜のサンドイッチを食べている。穂香と同居前は、晩飯の時に炭水化物と肉を大量に食べた。同居してからは、焼き魚や豆腐、サラダ、果物を適量で食べる。帰ったらすぐに食べ、寝る前には食べない。
ビールや揚げ物は禁止され、間食も禁じられている。酒は、ワインやウィスキーに切り替えた。揚げ物を食べず、焼き魚、刺身を食べている。どうしても肉を食べたければ、焼いた肉を食べる。菓子は、週に二度だけデザートとして食べている。食事の際は、よく噛むことを命じられた。醤油やソース、ドレッシングは少量だけ付ける。
穂香は矛盾した存在だ。汗や臭いを好むために太った男が好物だ。それなのに、保健師をしているために太った男の生活改善をしている。俺は、その矛盾をぶつけられているわけだ。
俺は、穂香の前でヒィヒィ言いながら腕立て伏せをやっていた。
俺は、運動を終えてレモン水を飲んだ。よく冷えた酸っぱい味が、口から喉へと通っていく。俺は、飲み終わるとため息をつく。
穂香は、俺のそばに近づいてきた。彼女は、運動している最中に粘つくような目で俺を見ていた。穂香は、欲情に赤らんだ顔を隠そうとしない。彼女は舌なめずりをすると、その人間離れした長さの舌を伸ばす。俺の頬の汗をなめとり、そのまま顔をなめ回していく。
運動して汗をかいた後は、穂香は俺の体をなめ回す。あかなめの好物が俺の体中に付いているからだ。ねちっこく、執拗に俺の体をなめ回す。顔をなめ回した後は、俺の首をなめ、胸に舌を這わせていく。乳首をしつこくなめ回されると、恥ずかしさを感じる。
穂香の目が陰性の輝きを放つ。あかなめの舌は、俺の右腋をはい回る。唾液の滴る舌で、隅々まで繰り返しなめ回す。穂香は、俺の腋を味わうことが大好きなのだ。欲情をむき出しにした顔で俺の腋を貪る。乳首をなめられる以上に恥ずかしいが、なぜか強く興奮してしまう。
こうして穂香は、俺の体中に舌を這わせる。腹を、背を、腰を丁寧になめ回す。足の指までおいしそうにしゃぶる。汚れた俺の体を、おいしそうになめしゃぶる。汗や垢で汚れている体は、あかなめにとってはごちそうなのだ。
あかなめは、汚れだけでなく疲労や毒素を体からなめ取ることが出来る。それらの物を自分のエネルギーに変えることが出来るのだ。俺の体は、なめ取られることにより外だけでなく中まで清潔になり、健康になる。俺は、仕事と運動の疲れが取れていく快感にうめき声をあげた。
「ここよ、ここの臭いと味よ。腋もいいけれど、ここが最高なのよねえ」
穂香はそう言うと、俺のペニスに頬ずりをする。亀頭や竿に鼻をこすりつけて、俺の鼻にまで漂ってくる濃い臭いを、陶然とした顔をして嗅いでいる。あかなめは、亀頭をほとんど覆っている皮を唇に咥え、ゆっくりと引き下ろしていく。そして、むけた赤い亀頭に鼻を押し付ける。
「ああ、たまらないよこの臭い。ずっと嗅いでいたいねえ。毎日なめ取っているのに、こんなにチンカスがたまっているよ」
俺はたまらなくなり、ペニスで穂香の顔を嬲り始めた。額を、瞼を、鼻を、頬を、口を、汗と垢で汚れたペニスで嬲る。あふれ出してきた先走り汁が、穂香の顔をぬめり光らせる。あかなめは、うっとりしたような顔で自分から顔をペニスに押し付けてきた。陰嚢を鼻で持ち上げ、玉の裏の臭いを楽しそうに嗅いでいる。
穂香の舌が伸び、俺のペニスのくびれをなめ始める。そこについている垢をねっとりとなめ取る。舌は亀頭をくすぐり、竿を愛撫し、玉を軽くはじく。ピンク色の長い舌は俺のペニスを覆いつくす。舌でできた肉ひだは、俺のペニスを巧みに揉み解し始めた。俺は、絶頂へと押し上げられる。
俺は、舌で出来た肉壁に精液をぶちまけた。激流のような精液が肉壁にぶつかっていく。俺は、魔物娘と交わることで性豪となり、大量の精液を出すようになった。魔物娘は、その精液を長い舌で受け止める。舌がうごめき、さらなる射精を促す。ピンク色の舌は白く染まっていく。
やっと射精を終えると、ぬめる舌はペニスを愛撫しながら離れていく。そして白濁液を穂香の口の中へと運ぶ。穂香は、上気した顔で子種汁を堪能する。穂香がため息をつくと、精液特有の刺激臭が俺の鼻にぶつかった。
舌は再び伸びて、俺のペニスを愛撫し始める。俺のペニスは、たちまち怒張し始めた。
穂香の舌は、俺の弱点を知り尽くした巧みな愛撫を繰り返した。俺は、あかなめのフェラで合計三回精液をほとばしらせた。彼女の舌と口を白濁液で汚した。汚された穂香は、熱病にかかったような目をして歓喜の声をあげている。
その後は、俺が穂香の体をなめる番だ。彼女もまだ体を洗っていない。穂香の体は出勤、勤務中、退勤時にかいた汗で湿っている。汗と女肉、香水の混ざり合った甘い匂いを嗅ぎ、甘酸っぱい体の味を楽しむ。俺は、犬のように彼女の体の匂いを嗅ぎ、なめ回した。特に腋と茂みに覆われたヴァギナは、たんねんに貪った。
ヨーグルトのような匂いのするヴァギナをしゃぶりつくすと、俺は萎えることなく反り返るペニスを熱い泉の中に埋めた。肉と愛液が渦を巻く泉を、肉棒でかき回していく。泉は、俺のペニスを締め付けながら搾り上げようとする。
俺は、穂香とつながりながら彼女の体を持ち上げる。そのまま部屋の中を歩き回り、彼女の小柄な体を振り回す。あかなめは、獣じみた歓喜の声をあげる。よだれを垂らしながら、意味の取れないことを口走っている。
俺は、あかなめの中に子種汁をぶちまけた。絶え間なく蜜をわき上がらせる泉の中に、繰り返し精液を放つ。振り回しながら、突き上げながら子宮を欲望の液で打ち抜く。打ち抜かれた彼女はけいれんし、その小柄な体から汗の飛沫を飛び散らせる。そのはじける様な姿に興奮し、俺は繰り返し彼女を犯す。
俺たちは疲れ果て、ベッドの上に倒れる。倒れながら抱きしめあう。彼女の匂いを嗅ぎ、その熱く柔らかい感触を自分の体に染み込ませる。
穂香と目が合った。俺は、彼女を引き寄せて口を合わせ、舌を絡ませる。彼女の舌は、俺の口の中をやさしく愛撫した。
俺の左腕の上で、穂香は寝息を立てている。欲望を満たし、疲れ切ったために寝てしまったのだ。俺も穂香同様に疲れ切っている。眠気が容赦なく俺を襲う。
俺は苦笑する。腕立て伏せやスクワットをしなくても、十分に運動をしている気がする。穂香と毎日セックスをしていたら、俺のメタボは解消されるのではないか?
俺の体は、激しい運動で汗まみれだ。穂香の体も同様だ。明日の朝、俺たちはシャワーを浴びなくてはならない。彼女は俺の体を再びなめるだろうが、唾液には独特の匂いがある。職場に行くためにはシャワーを浴びる必要がある。
汗まみれだが、いい気持だ。快楽を味わえる運動を行い、欲望を満たしたのだ。あかなめによって汚れと体の疲労がなめ取られたのだ。穂香と出会う前には味わえなかった心地良さだ。
穂香の指導に従って、健康改善に取り組もう。快楽に勝る動機は無いのだ。俺は、穂香の寝顔を見ながらそう思った。
ただ、家には俺の臭いを楽しむ物好きがいる。家には明かりがついている。俺は、残業したために遅くなった。俺のパートナーのほうが、帰宅は早かったようだ。多分、俺の臭いを待ちわびているだろう。
チャイムを押すと、家の中から走る音が聞こえてきた。勢いよく扉が開かれる。扉を開けた女は、俺に飛びついてくる。汗で濡れている俺の胸に顔を押し付ける。
「おかえりー!待っていたよ。この臭いが嗅ぎたくてうずいていたんだよー!」
飛びついてきた女は、恥ずかしげもなく俺の腋に顔をうずめて臭いを嗅いだ。
俺の妻である穂香は、小柄な体を押し付けて臭いを嗅ぎ続けている。俺は、彼女を抱き上げるようにして家の中に入る。シャツは汗で濡れており、穂香の顔は汚れてしまうはずだ。だが、うれしそうに顔をすり付け続ける。いつものことだ。
穂香の顔が不機嫌そうになる。唇を尖らせて俺を見上げる。
「ボディシートで体をふいたんだね。せっかくの臭いと味が台無しになるじゃないの」
そうは言っても、会社の同僚に臭いを嗅がせるわけにはいかない。俺は事務職だが、総務課に所属しているために物品を運ぶことが多い。通用口と倉庫、各課を行ったり来たりしながら物品を運ぶ。部屋の中は冷房が効いているが、廊下は冷房の効きが弱い。倉庫も、ある程度の時間使う場合でなければ冷房は入れない。そうなると俺の体は汗まみれになる。タオルで汗をぬぐい、ボディシートで体をふき、下着を変える。
「あんたの同僚は、風味の分からない連中ばかりなんだねえ。『美食倶楽部』に入る資格は無いよ」
穂香は、馬鹿にしたように鼻を鳴らす。「美食倶楽部」とは、あかなめ、ベルゼブブなどの魔物娘が結成したクラブだ。男の体の臭いや味を堪能することを目的とするクラブである。穂香は、人間の垢をなめることで知られる魔物娘あかなめだ。
小作りの可愛らしい顔を俺の腋にうずめる魔物娘を見ながら、俺は彼女との出会いを思い出した。
俺と穂香が出会ったのは、去年の夏のコミケ会場だ。俺は、人であふれる会場内で汗をかきながら歩き回っていた。
俺は会社から有休をもらい、あるサークルの手伝いをしていた。そのサークルは、魔物娘を題材とする作品を出品するところだ。魔物娘が好きな俺は、そのサークルと仲が良いのだ。前日から設営の手伝いをし、物品の運搬をしていた。
俺は、昨日から汗をかきまくっていた。太った男が肉体労働をしたのだ。設営の忙しさのために、俺は昨日から体を洗っていない。その時の俺は、自分でも嫌な臭いをしていると分かっていた。時折、通りすがりの人が顔をしかめながら俺を見ていた。
俺は、物陰になる所を探していた。早く体をふいて、着替えをしたかった。背中のデイパックには、濡れタオルとボディシート、シャツとトランクスが入っている。一秒でも早く体をきれいにしたい。
「何か探しているのかな?」
俺は、小柄なコスプレイヤーに声をかけられた。紫色の着物を着崩し、黒い下着のような物でわずかに覆っている胸と下腹部を露わにしている。頭には角を付けていた。その角は作り物らしく、鬼の魔物娘ではないようだ。
着替えの出来る場所は無いかと、俺は彼女に聞いた。彼女は、工事エリアに近い物陰に連れて行ってくれた。立ち入り禁止になっていたが、警備員はいなかった。俺は彼女に礼を言い、物陰で着替えをしようとする。
突然、彼女が抱き着いてきた。俺の背に顔を押し付け、鼻を鳴らして臭いを嗅いでいる。俺は、慌てて彼女を誰何する。
「野暮なことは言いなさんな。据え膳食わぬはなんとやらと言うだろ」
彼女は笑いながら言い、俺の首筋をなめる。
俺は、彼女をよく見た。整った小顔の可愛らしい女だ。少しそばかすがあるが、それは可愛らしさを増している。少女のような体つきをしているが、なまめかしい肌は露出度の高い恰好を引き立てている。俺は振り返り、彼女を抱きしめた。
こうして俺たちは、コミケ会場で人目に隠れてセックスを堪能した。コミケを題材にしたエロ漫画のような体験が出来たのだ。本当に出来るとは思わなかった。
ただ、予想外のことはこれだけではなかった。彼女は、汗で汚れて悪臭を放つ俺の体を喜んで貪ったのだ。俺の服を脱がすと、俺の腋に顔をうずめて臭いを嗅ぎ、舌でなめ回した。さらに股間に顔を押し付け、鼻を鳴らしながら舌を這わせた。そして俺の臭いと味の感想を酔ったように口走るのだ。
俺は、この変態ぶりに少し引いてしまう。だが、驚くことはまだある。彼女は舌を伸ばして俺の体をなめるが、その長さは尋常ではない。一メートルも伸びて俺の体中をなめ回すのだ。慌てる俺に、自分はあかなめだと言った。
あかなめについては、俺は少し知っていた。見た目は可愛らしいという以外は人間とあまり変わらないが、人間の汗や垢などを糧とする魔物娘だ。老廃物をエネルギーに変えることが出来るらしい。人間と大きく違う特徴は、何十センチ、あるいは一メートルもある長さの舌だ。
俺は自分が太って汗をかきやすいことから、あかなめかベルゼブブに目を付けられるのではないかと思ったことがある。それが現実化したのだ。
このことをきっかけにして、俺たちは付き合うことになった。穂香の話によると、コミケ会場は魔物娘による男の狩場らしい。特にあかなめ、ベルゼブブ、そしてユニコーンが押し寄せて来て男を狩っているらしい。ベルゼブブは蠅の魔物娘であり、あかなめ同様に男の汗や垢、臭いを好む。ユニコーンは、角を持ち下半身が白馬の魔物娘だ。童貞を好むことで知られる魔物娘である。
コミケには、コミケにふさわしい魔物娘が集まるわけだ。俺はコミケに集まるオタクのことを思い、悲しくなってきた。
こうして俺は、あかなめ好みの男として刈られたわけだ。穂香は、俺の体を貪りまくった。ただ、俺は彼女に興奮していた。俺の汚い股間に顔をすり寄せ、臭いと味を貪る変態魔物娘に興奮したのだ。俺が汚れたペニスで穂香の顔を嬲ると、彼女は嬉しそうな顔で鼻を鳴らす。そして長い舌を伸ばし、陰嚢の裏から尻の穴までねちっこくなめ回す。俺は、興奮と快楽に酔いしれた。
穂香がオタクであることも、俺とうまくいく要因の一つだ。正確に言うと、彼女は物語を消費することで快楽を得る性質だ。アニメや漫画はもちろんのこと、映画や戯曲、小説などにも通じていた。
特に、小説に通じていた。戯作の影響を受けた近代日本の小説に詳しく、遊郭や娼妓を題材にした小説や冒険活劇について俺に教えてくれた。そしてそれらの物が、現代のオタクコンテンツにそれぞれの経路をたどって影響を与えていることを説明してくれた。
俺はオタクだが、人に話すよりは人から聞くことを好む。聞き手に回るほうが、情報を消費することで快楽を得られるからだ。俺は、話したがり屋の穂香とうまくいった。
生活することが出来るだけの収入が有ることも、俺たちがうまくいく理由の一つだ。穂香は保健師であり、彼女の言によると、俺の生活の面倒を見ることが出来るだけの金を稼ぐことが出来るそうだ。俺は、法と金勘定について少し技術と知識、経験が有る。食えるだけの金は、何とか稼ぐことが出来る。
こうして俺たちの関係は深まり、今年の夏に籍を入れたのだ。
俺は今、運動をしている。トランクス一枚になり、腕立て伏せやスクワット、シャドウボクシングをしている。仕事で疲れているため、十分から十五分程度の運動しかしないが、それでも肥満体の俺にはきつい。汗まみれになって運動している俺を、穂香はじっと見守っている。
何故こんなことをしているかと言えば、俺のメタボ対策のためだ。俺の今年の健康診断の結果は、例年以上にひどいものだ。血圧、脂質、尿酸は治療が必要なレベルに達していた。
まあ、健康診断をしなくても、俺の体がおかしいことは分かる。俺は、今ではジーンズをはかず、休日でもスラックスをはく。ジーンズに比べてスラックスのほうがはきやすいのだ。スラックスには、肥満体用のアジャスターが付いている。仕事の時はベルトを付けるが、休日はサスペンダーを付ける。家でいる時は、ゴムで伸びるスウェットをはいている。
こんな有様だから、穂香の指導の下で健康改善に取り組んでいるわけだ。穂香は、保健師として労働者の健康改善に取り組んできた。その経験で培った技術と知識で、俺を指導しているわけだ。
運動だけではなく、食事も改善させられている。以前は、コーヒーだけで朝食を済ますことが多かった。穂香と同居してからは、トーストとサラダや果物の朝食をとっている。昼はクッキーで済ますことが多かったが、今は野菜のサンドイッチを食べている。穂香と同居前は、晩飯の時に炭水化物と肉を大量に食べた。同居してからは、焼き魚や豆腐、サラダ、果物を適量で食べる。帰ったらすぐに食べ、寝る前には食べない。
ビールや揚げ物は禁止され、間食も禁じられている。酒は、ワインやウィスキーに切り替えた。揚げ物を食べず、焼き魚、刺身を食べている。どうしても肉を食べたければ、焼いた肉を食べる。菓子は、週に二度だけデザートとして食べている。食事の際は、よく噛むことを命じられた。醤油やソース、ドレッシングは少量だけ付ける。
穂香は矛盾した存在だ。汗や臭いを好むために太った男が好物だ。それなのに、保健師をしているために太った男の生活改善をしている。俺は、その矛盾をぶつけられているわけだ。
俺は、穂香の前でヒィヒィ言いながら腕立て伏せをやっていた。
俺は、運動を終えてレモン水を飲んだ。よく冷えた酸っぱい味が、口から喉へと通っていく。俺は、飲み終わるとため息をつく。
穂香は、俺のそばに近づいてきた。彼女は、運動している最中に粘つくような目で俺を見ていた。穂香は、欲情に赤らんだ顔を隠そうとしない。彼女は舌なめずりをすると、その人間離れした長さの舌を伸ばす。俺の頬の汗をなめとり、そのまま顔をなめ回していく。
運動して汗をかいた後は、穂香は俺の体をなめ回す。あかなめの好物が俺の体中に付いているからだ。ねちっこく、執拗に俺の体をなめ回す。顔をなめ回した後は、俺の首をなめ、胸に舌を這わせていく。乳首をしつこくなめ回されると、恥ずかしさを感じる。
穂香の目が陰性の輝きを放つ。あかなめの舌は、俺の右腋をはい回る。唾液の滴る舌で、隅々まで繰り返しなめ回す。穂香は、俺の腋を味わうことが大好きなのだ。欲情をむき出しにした顔で俺の腋を貪る。乳首をなめられる以上に恥ずかしいが、なぜか強く興奮してしまう。
こうして穂香は、俺の体中に舌を這わせる。腹を、背を、腰を丁寧になめ回す。足の指までおいしそうにしゃぶる。汚れた俺の体を、おいしそうになめしゃぶる。汗や垢で汚れている体は、あかなめにとってはごちそうなのだ。
あかなめは、汚れだけでなく疲労や毒素を体からなめ取ることが出来る。それらの物を自分のエネルギーに変えることが出来るのだ。俺の体は、なめ取られることにより外だけでなく中まで清潔になり、健康になる。俺は、仕事と運動の疲れが取れていく快感にうめき声をあげた。
「ここよ、ここの臭いと味よ。腋もいいけれど、ここが最高なのよねえ」
穂香はそう言うと、俺のペニスに頬ずりをする。亀頭や竿に鼻をこすりつけて、俺の鼻にまで漂ってくる濃い臭いを、陶然とした顔をして嗅いでいる。あかなめは、亀頭をほとんど覆っている皮を唇に咥え、ゆっくりと引き下ろしていく。そして、むけた赤い亀頭に鼻を押し付ける。
「ああ、たまらないよこの臭い。ずっと嗅いでいたいねえ。毎日なめ取っているのに、こんなにチンカスがたまっているよ」
俺はたまらなくなり、ペニスで穂香の顔を嬲り始めた。額を、瞼を、鼻を、頬を、口を、汗と垢で汚れたペニスで嬲る。あふれ出してきた先走り汁が、穂香の顔をぬめり光らせる。あかなめは、うっとりしたような顔で自分から顔をペニスに押し付けてきた。陰嚢を鼻で持ち上げ、玉の裏の臭いを楽しそうに嗅いでいる。
穂香の舌が伸び、俺のペニスのくびれをなめ始める。そこについている垢をねっとりとなめ取る。舌は亀頭をくすぐり、竿を愛撫し、玉を軽くはじく。ピンク色の長い舌は俺のペニスを覆いつくす。舌でできた肉ひだは、俺のペニスを巧みに揉み解し始めた。俺は、絶頂へと押し上げられる。
俺は、舌で出来た肉壁に精液をぶちまけた。激流のような精液が肉壁にぶつかっていく。俺は、魔物娘と交わることで性豪となり、大量の精液を出すようになった。魔物娘は、その精液を長い舌で受け止める。舌がうごめき、さらなる射精を促す。ピンク色の舌は白く染まっていく。
やっと射精を終えると、ぬめる舌はペニスを愛撫しながら離れていく。そして白濁液を穂香の口の中へと運ぶ。穂香は、上気した顔で子種汁を堪能する。穂香がため息をつくと、精液特有の刺激臭が俺の鼻にぶつかった。
舌は再び伸びて、俺のペニスを愛撫し始める。俺のペニスは、たちまち怒張し始めた。
穂香の舌は、俺の弱点を知り尽くした巧みな愛撫を繰り返した。俺は、あかなめのフェラで合計三回精液をほとばしらせた。彼女の舌と口を白濁液で汚した。汚された穂香は、熱病にかかったような目をして歓喜の声をあげている。
その後は、俺が穂香の体をなめる番だ。彼女もまだ体を洗っていない。穂香の体は出勤、勤務中、退勤時にかいた汗で湿っている。汗と女肉、香水の混ざり合った甘い匂いを嗅ぎ、甘酸っぱい体の味を楽しむ。俺は、犬のように彼女の体の匂いを嗅ぎ、なめ回した。特に腋と茂みに覆われたヴァギナは、たんねんに貪った。
ヨーグルトのような匂いのするヴァギナをしゃぶりつくすと、俺は萎えることなく反り返るペニスを熱い泉の中に埋めた。肉と愛液が渦を巻く泉を、肉棒でかき回していく。泉は、俺のペニスを締め付けながら搾り上げようとする。
俺は、穂香とつながりながら彼女の体を持ち上げる。そのまま部屋の中を歩き回り、彼女の小柄な体を振り回す。あかなめは、獣じみた歓喜の声をあげる。よだれを垂らしながら、意味の取れないことを口走っている。
俺は、あかなめの中に子種汁をぶちまけた。絶え間なく蜜をわき上がらせる泉の中に、繰り返し精液を放つ。振り回しながら、突き上げながら子宮を欲望の液で打ち抜く。打ち抜かれた彼女はけいれんし、その小柄な体から汗の飛沫を飛び散らせる。そのはじける様な姿に興奮し、俺は繰り返し彼女を犯す。
俺たちは疲れ果て、ベッドの上に倒れる。倒れながら抱きしめあう。彼女の匂いを嗅ぎ、その熱く柔らかい感触を自分の体に染み込ませる。
穂香と目が合った。俺は、彼女を引き寄せて口を合わせ、舌を絡ませる。彼女の舌は、俺の口の中をやさしく愛撫した。
俺の左腕の上で、穂香は寝息を立てている。欲望を満たし、疲れ切ったために寝てしまったのだ。俺も穂香同様に疲れ切っている。眠気が容赦なく俺を襲う。
俺は苦笑する。腕立て伏せやスクワットをしなくても、十分に運動をしている気がする。穂香と毎日セックスをしていたら、俺のメタボは解消されるのではないか?
俺の体は、激しい運動で汗まみれだ。穂香の体も同様だ。明日の朝、俺たちはシャワーを浴びなくてはならない。彼女は俺の体を再びなめるだろうが、唾液には独特の匂いがある。職場に行くためにはシャワーを浴びる必要がある。
汗まみれだが、いい気持だ。快楽を味わえる運動を行い、欲望を満たしたのだ。あかなめによって汚れと体の疲労がなめ取られたのだ。穂香と出会う前には味わえなかった心地良さだ。
穂香の指導に従って、健康改善に取り組もう。快楽に勝る動機は無いのだ。俺は、穂香の寝顔を見ながらそう思った。
16/09/24 01:28更新 / 鬼畜軍曹