猫好きな侍と猫又になった猫
登場人物
「雲行きが良く無いなあ」
そうポツリと漏らした男の頭上は曇天、
西に聳える城の瓦には今しも雨が落ちて来そうだ。
白い塀の並ぶ通りを抜け、堀に架かる橋を渡る男は恐らく侍だろう、何処にでも居るような顔をしていて
目は細く、髪は何だかモジャモジャしている、
年は三十そこら。
そんな侍が橋を渡り、一つの大きな建物へ入っていく。
奉公所か何かの建物に入った侍はたっぷり6時間程してから出て来た。
「疲れた・・・」
そう漏らした侍は来た道を辿り、自身の家へと向かおうとする、
「野々助殿！」
そう声を掛けられた侍は振り向くと、いましがた出て来た建物から男が駆けてくる。
何だろうかと疑問に思う前に一つの絵巻を目の前に突き出された。
「うえっ」
驚きで可笑しな声が漏れる
「歌川先生の新作が手に入りましたぞ！！」
その男は興奮冷めやらぬ感じで野々助と呼んだ侍に絵巻を手渡し、返事など要らぬと言うかの如くそのまま言葉を続けた。
「いやぁ今回の歌川先生の絵はいつもより更に力が入っておられる！まるで絵に命が宿っているかの様な出来！何時もならばもう少し堪能してから野々助殿にお貸し致すのですが、今回は早く語り合いたいとおもいまして・・・」
野々助は手渡された絵巻を少し眺めた。
「いつも済まないな、ありがとう」
男は照れながら「何の何の」と頭を掻く
「早速家に帰ってゆっくり眺めさせてもらうよ、明日は仕事の後飲みに行こう」
そう言って野々助と男はそれぞれの家路へと向かった。
絵巻を渡して来た男は安西という名前で、野々助とは縁の古い仲間で、何の仲間かと言うと(猫好き仲間)であった。
渡された絵巻も何のことはない(猫の絵巻物)で、歌川先生とは猫好きの浮世絵師、
安西と野々助はこうして手に入れた絵巻の猫や町の美猫、自身の飼っている猫について語らう猫好きだった。決して春画では無い
野々助は自宅に着くと昼過ぎだと言うのに暗い部屋に蝋燭を付けた
朝と変わらず曇天、直ぐにでも泣き出しそうな空模様。
「小梅？」
野々助は自身の愛猫の名前を呼んだ、何時もならば玄関を開けると座ってご飯の催促をされるが今日は姿が見当たらない。
「雨が降りそうなのに散歩かなぁ・・・」
最初の30分程はまだ野々助も絵巻を眺めてはいたが頭に入らず、小雨が降り出した頃には絵巻を片付け、家に小梅の好きなご飯を置き、下駄を履いていた。
小梅がいつも散歩する道を唐傘をさしながら探し回る、白い塀の上、廃寺の中、ご飯をくれるオババの家、一応安西の家にも行って見た。
「見つけたら直ぐに知らせるでござる」
安西はやはり良い奴だったが野々助は小梅が居ないことを確認するともう一度自宅に戻る事にした、安西がまだ何か言ってくれているが耳に入らない。
「いない・・・」
自宅に戻るがやはり小梅の姿は無く作ったご飯も手付かずのままだった。
「小梅・・・」
下駄を脱ぎ散らかし念の為と家中を探し回るが見つからない、いつのまにか野々助は玄関に座り込んでいた。
「一体どこにいったんだ・・・」
小雨だった雨が激しくなり大きな音を立てる、小梅は水が他の猫よりも苦手で雨が降ると野々助の懐に入ろうとする程だった、野々助は頭を抱えて小梅の行きそうな場所を考えながら雨が早く止む様に祈った。
「・・・うむ？・・」
小梅が居ないというのに体は正直で疲れに負けて居眠りをしてしまっていたようだった。
「帰ってないか」
台所に行き又小梅のご飯を確認する。
「１日居ないだけでコレか・・・存外ヤワだな僕は・・・」
台所にまた座り込み、暫くボーっとしていると唐突に物音がした。
振り向いても何も居ないが、物音は鳴り続けている。
「？何処から・・・」
物音の主が小梅かも知れない、そう思い耳を澄ます。
「屋根・・裏？」
物音は屋根裏もしくは屋根から聴こえて来る、雨音とは違うカリカリと爪の当たるような音、野々助は台所の隅にある踏み台を取り出し天井の板を外す、埃など気にもしないで蝋燭に火を点け暗い屋根裏を見渡す。
「小梅・・・？」
ジッと暗闇を見つめ、愛猫の名前を呼んでみる。
「いるのか？出ておいで？」
すると暗闇に二つの光が出てきた。
「小梅！」
野々助は自身の体重も忘れて屋根裏に這い入りその二つの光を放つ生き物をつかむ、生き物はジッとしていたが天井の板は野々助の重みに耐え切れなかった。
「捕まえ・・・たっ？！」
板が外れ野々助は屋根裏から台所に落ちて行く、咄嗟に捕まえた物を自身の懐に抱えて庇うが自身は頭をぶつける。
懐には白い毛並みの猫がいるのを確認しながら野々助は気を失った。
先程の居眠りとは違う感覚で目を覚ました野々助は飛び起き、あたりを見回す。
「小梅⁈小梅！」
愛猫の姿を探して首を振りましていると、自身の直ぐそばに白い猫が手拭いを被り、頭を手で抱えているのに気付いた。
「・・・こ、小梅？」
せっかく見つけた自身の愛猫の様子がどうにもおかしい、どこか怪我でもしたのかと抱き抱えようとする。
「野々助様！」
瞬間、野々助は固まってしまった。
よほど当たりどころが悪かったのだろうか、野々助は自身の愛猫が喋り出したように錯覚して・・・
「本当に申し訳ありません・・・野々助様、雨の中わたくしを探し回らせるような事をさせてしまって」
錯覚では無かった、小梅は手縫いと手で顔を隠し謝罪を述べていた・・。
「でも言い出せなかったのです・・大切にしてくれる貴方様に私が異形の物になってしまったなど・・・」
異形、野々助は小梅を見回すと尾が二つになっている事に気付いた、心なしか体が大きくなっている気もする、いわゆる(猫又)になったと言うのだろうか・・・。
「朝方、この姿になっているのに気が付き、出て行こうと考えたのですが・・・。」
野々助は小梅が手縫いで隠してはいるが泣いている事に気が付いた、頭の痛みなど忘れて野々助は小梅を抱え手縫いを取り払う、やはり体が大きくなっている、子供と同じかそれより小さいか。
「出て行かれては僕は死んでしまう・・無事で本当に良かった・・」
気が付くと安心したのか貰い泣きか、年甲斐もなく涙が出て来た、小梅は涙を溜めた美しい青色の瞳で野々助を見つめる。
「ごめんなさい」と繰り返しながら小梅は野々助にしがみ付いた。
「今日はもう遅いし疲れた・・雨も酷いから一緒に寝よう」
涙を拭い、まだ懐で泣いてる猫又になってしまった愛猫を抱き抱え、野々助は寝室に向かう、雨音が和らいで来ていたので明日は晴れるだろうと考えながら襖を開け、優しく小梅を下ろす。
少し落ち着いた様だがシャックリがでてしまっている、それでも小梅はシッカリと野々助を見つめ言った。
「野々助様・・私はこれまでと同じようにこの家に居たいです、未熟者ですがお手伝いも致します、どうかお願いします」
自身の愛猫は飼い主には似ずに済んだようだと野々助は関心しながら答えた。
「奉公人は要らないんだ・・・」
小梅の体が少し震えたのを見ると野々助は慌てて訂正する、頭を布団に押し付けながら言った。
「どうか僕の嫁に来て欲しい・・・っ」
暫くの沈黙、蝋燭の火が消えそうになりジジッと音がなる、野々助は頭を少し上げ小梅を覗き見る。
「・・・」
白く綺麗な毛並みが少し逆立ち、尻尾は膨れ、耳は忙しなく動きほの紅く染まっている。
愛猫が猫又になるなど夢かも知れない、夢で有れば明日小梅は居ないかも知れない、小梅が居なくなるなど野々助はもう耐えられない、夢でも良い小梅に此処に居て欲しい
出来ればずっと。
その為には自身の側に、出来るだけ側に置いておくのだと野々助は決めたのだ。
「嫌だろうか・・・」
小梅の目は宙を彷徨っていたがニャアと一度鳴き我に返った様に頭をふる。
「野々助様と夫婦に・・・」
白い毛並みだからか、顔までが紅く染まっていく様に見えた。
猫だろうと関係無い、猫又になろうと関係無い、今日野々助は如何に小梅が大切かを思い知った。
「御顔をあげて下さい・・・」
野々助が顔を上げると小梅は野々助の懐に顔を埋め、消え入りそうな声で続けた。
「妖怪で猫ですが宜しければもらって下さいませ・・・」
小梅の耳はもう真っ赤だった。
暫くの間、懐に顔を埋めたままの小梅を優しく撫でていた、雨はいつの間にか止んでいて、月明かりが部屋を照らしている。
正直な話、野々助は猫又になった小梅の身体に少しばかり劣情を禁じ得ないでいた、このままの態勢では小梅に気付かれてしまうと思い、小梅を横に寝かせようと手を潜り込ませる。
「にゃぁ」
小梅が野々助の聞いたことのない甘い声を上げる、不意打ちを食らってしまった野々助は目を白黒させる、小梅を見るとお腹の下・・・濡れそぼった秘部が月明かりと野々助の前に晒された。
「野々助様の匂いに・・・こんな風になってしまいました・・・」
小梅は息も荒く申し訳なさそうにこちらを見る、それを見た野々助の愚息も最早、収まりがつかなくなってしまった。
「妻としての務め・・・ですから・・」
先程泣いていたのが嘘の様に小梅は積極的だった、野々助の帯を緩め怒張した愚息を柔らかな肉球で器用に取り出し鼻を擦り付け、裏筋をザラザラとした小さな舌で舐める、その刺激は快感でしかなく野々助は震える。
「こ、小梅・・・っ！」
猫又でなければ先っぽも入らないであろう愚息に小梅は大きく口を開け、かぶり付いた。
(・・・歯は立てない様に・・・)
「くぅッ・・・」
はむようにして刺激し続ける小梅の心地の良い口内へと誘われただけでなく、時折ざらついた舌で舐めてくる為、野々助は我慢など出来なかった。
「出るっ・・・！！」
小梅は咥えたまま野々助を離さず喉に直接射精されていく性液を飲み込んでいく。
「ごぷっ・・・んにゃっ・・ふっ・・」
野々助は射精を終えると我に返って小梅の背中をさすってやる。
「す、すまない、苦しかったろう」
ゴホゴホと少しばかり小梅は咽せた後、野々助を見つめ布団に仰向けになる、荒くなった吐息を吐きながら脚を広げて見せる。
「今度はこっちに・・・下さい・・・」
「はっ・・入るだろうか・・」
「大丈夫です・・・にゃぁ」
野々助は小梅に怪我をさせないようにゆっくりとその感触を確かめながら小梅の中に自身の物を沈めていった。
「うにゃぁぁああ！！」
全て小梅の中に沈めきると小梅が仰け反り痙攣する、軽く絶頂を迎えたらしい、野々助は小梅の息が整うのを待っていた。
「野々助様のおっきぃですにゃあぁ・・」
小梅はそう言うと二本になった尻尾を野々助に絡め物欲しそうにしている、野々助は小梅に少しばかり我慢してくれと言うと激しく腰を動かし始めた。
小梅の膣内は絡みつき、ねっとりと肉棒を扱き上げてくる、一突きする度に小梅の嬌声と小梅の中に打ち付ける音がなる、限界に達っする直前に野々助は小梅をシッカリと抱きしめた。
「出すよ！」
野々助は更に激しく小梅に打ち付けて行く。
「出して下さいにゃ！中にっ！沢山っ・・」
小梅の毛が逆立つ。
ドチュッと一際大きな音がなると野々助は全てを小梅の中に放った。
「にゃっ？！うにゃぁぁああ！でてるにゃあっ！・・中っにゃあぁああっ！！」
先程とは比べ物にならない程の絶頂を迎え小梅の身体は電撃に撃たれたように痙攣し野々助の物を締め付け更に絞り取ろうとしてくる。
息も絶え絶えの小梅の中から入り切らない性液が逆流し溢れ出てくる、射精を終えると野々助と小梅は互いの唇を貪りあった。
行為の激しさにも劣らない接吻が暫く続いた後、野々助は思い出したかの様に小梅から男根を抜くと、収まり切らなかった白濁が布団に溢れ落ちた。
月明りに照らされる部屋で2人は脱力の渦中にいた、小梅の目は惚けて今なお秘部からは精液が溢れている、野々助はそんな小梅を見つめていた。
「済まない、小梅・・・」
合意の上とは言え愛猫を犯してしまった罪悪感が湧いてくる、そんな野々助に気付いた小梅は震える体を起こし野々助に抱きつき目を覗き込む。
「私は野々助様の物です・・・そんな顔なさらないで下さい」
野々助もその美しい瞳を見つめ返し、震える体を抱き布団に横になった。
「朝になってもそこに居てくれよ・・？」
我ながら女々しい事を言っているのは分かっていたが
一抹の不安が拭い切れない、「ハイ」と小梅は短く返事をして胸に顔を埋める、先程の行為の疲れのせいか2人は直ぐに眠りについた。
戸の隙間から日が差し込み野々助の顔に当たり、目を閉じていてもその眩しさに耐えれず野々助は眼を開ける。
「・・・小梅？」
違和感を感じ、恐る恐る布団をどかして行くが、昨日の夜にはそこに居た小梅の姿がない。
「小梅！？」
野々助は布団から飛び出して部屋を見回す・・・朝陽に照らされた部屋の隅に絵巻を持って震える白猫がいた、昨日の出来事はやはり夢では無かった事に野々助は胸をなで下ろす。
「野々助様」
小梅は小さな声で名前を呼ぶ、何故だか耳は真っ赤に染まってこちらを見つめる。
「私と言う者がありながら、春画など・・」
見ると安西の貸してくれた猫の絵巻物を持っている。
決して春画では無いはず・・・
「こ、小梅？其れは安西の貸してくれた物だから・・・」
此方の言い分など耳に入らないと言った風で、小梅は絵巻を放りやると野々助に飛びついて行った。
「お前様ーー！！！」
朝から野々助の悲鳴が上がった。
＊安西には探してくれた礼と爪痕だらけの絵巻を弁償しておいた。
「雲行きが良く無いなあ」
そうポツリと漏らした男の頭上は曇天、
西に聳える城の瓦には今しも雨が落ちて来そうだ。
白い塀の並ぶ通りを抜け、堀に架かる橋を渡る男は恐らく侍だろう、何処にでも居るような顔をしていて
目は細く、髪は何だかモジャモジャしている、
年は三十そこら。
そんな侍が橋を渡り、一つの大きな建物へ入っていく。
奉公所か何かの建物に入った侍はたっぷり6時間程してから出て来た。
「疲れた・・・」
そう漏らした侍は来た道を辿り、自身の家へと向かおうとする、
「野々助殿！」
そう声を掛けられた侍は振り向くと、いましがた出て来た建物から男が駆けてくる。
何だろうかと疑問に思う前に一つの絵巻を目の前に突き出された。
「うえっ」
驚きで可笑しな声が漏れる
「歌川先生の新作が手に入りましたぞ！！」
その男は興奮冷めやらぬ感じで野々助と呼んだ侍に絵巻を手渡し、返事など要らぬと言うかの如くそのまま言葉を続けた。
「いやぁ今回の歌川先生の絵はいつもより更に力が入っておられる！まるで絵に命が宿っているかの様な出来！何時もならばもう少し堪能してから野々助殿にお貸し致すのですが、今回は早く語り合いたいとおもいまして・・・」
野々助は手渡された絵巻を少し眺めた。
「いつも済まないな、ありがとう」
男は照れながら「何の何の」と頭を掻く
「早速家に帰ってゆっくり眺めさせてもらうよ、明日は仕事の後飲みに行こう」
そう言って野々助と男はそれぞれの家路へと向かった。
絵巻を渡して来た男は安西という名前で、野々助とは縁の古い仲間で、何の仲間かと言うと(猫好き仲間)であった。
渡された絵巻も何のことはない(猫の絵巻物)で、歌川先生とは猫好きの浮世絵師、
安西と野々助はこうして手に入れた絵巻の猫や町の美猫、自身の飼っている猫について語らう猫好きだった。決して春画では無い
野々助は自宅に着くと昼過ぎだと言うのに暗い部屋に蝋燭を付けた
朝と変わらず曇天、直ぐにでも泣き出しそうな空模様。
「小梅？」
野々助は自身の愛猫の名前を呼んだ、何時もならば玄関を開けると座ってご飯の催促をされるが今日は姿が見当たらない。
「雨が降りそうなのに散歩かなぁ・・・」
最初の30分程はまだ野々助も絵巻を眺めてはいたが頭に入らず、小雨が降り出した頃には絵巻を片付け、家に小梅の好きなご飯を置き、下駄を履いていた。
小梅がいつも散歩する道を唐傘をさしながら探し回る、白い塀の上、廃寺の中、ご飯をくれるオババの家、一応安西の家にも行って見た。
「見つけたら直ぐに知らせるでござる」
安西はやはり良い奴だったが野々助は小梅が居ないことを確認するともう一度自宅に戻る事にした、安西がまだ何か言ってくれているが耳に入らない。
「いない・・・」
自宅に戻るがやはり小梅の姿は無く作ったご飯も手付かずのままだった。
「小梅・・・」
下駄を脱ぎ散らかし念の為と家中を探し回るが見つからない、いつのまにか野々助は玄関に座り込んでいた。
「一体どこにいったんだ・・・」
小雨だった雨が激しくなり大きな音を立てる、小梅は水が他の猫よりも苦手で雨が降ると野々助の懐に入ろうとする程だった、野々助は頭を抱えて小梅の行きそうな場所を考えながら雨が早く止む様に祈った。
「・・・うむ？・・」
小梅が居ないというのに体は正直で疲れに負けて居眠りをしてしまっていたようだった。
「帰ってないか」
台所に行き又小梅のご飯を確認する。
「１日居ないだけでコレか・・・存外ヤワだな僕は・・・」
台所にまた座り込み、暫くボーっとしていると唐突に物音がした。
振り向いても何も居ないが、物音は鳴り続けている。
「？何処から・・・」
物音の主が小梅かも知れない、そう思い耳を澄ます。
「屋根・・裏？」
物音は屋根裏もしくは屋根から聴こえて来る、雨音とは違うカリカリと爪の当たるような音、野々助は台所の隅にある踏み台を取り出し天井の板を外す、埃など気にもしないで蝋燭に火を点け暗い屋根裏を見渡す。
「小梅・・・？」
ジッと暗闇を見つめ、愛猫の名前を呼んでみる。
「いるのか？出ておいで？」
すると暗闇に二つの光が出てきた。
「小梅！」
野々助は自身の体重も忘れて屋根裏に這い入りその二つの光を放つ生き物をつかむ、生き物はジッとしていたが天井の板は野々助の重みに耐え切れなかった。
「捕まえ・・・たっ？！」
板が外れ野々助は屋根裏から台所に落ちて行く、咄嗟に捕まえた物を自身の懐に抱えて庇うが自身は頭をぶつける。
懐には白い毛並みの猫がいるのを確認しながら野々助は気を失った。
先程の居眠りとは違う感覚で目を覚ました野々助は飛び起き、あたりを見回す。
「小梅⁈小梅！」
愛猫の姿を探して首を振りましていると、自身の直ぐそばに白い猫が手拭いを被り、頭を手で抱えているのに気付いた。
「・・・こ、小梅？」
せっかく見つけた自身の愛猫の様子がどうにもおかしい、どこか怪我でもしたのかと抱き抱えようとする。
「野々助様！」
瞬間、野々助は固まってしまった。
よほど当たりどころが悪かったのだろうか、野々助は自身の愛猫が喋り出したように錯覚して・・・
「本当に申し訳ありません・・・野々助様、雨の中わたくしを探し回らせるような事をさせてしまって」
錯覚では無かった、小梅は手縫いと手で顔を隠し謝罪を述べていた・・。
「でも言い出せなかったのです・・大切にしてくれる貴方様に私が異形の物になってしまったなど・・・」
異形、野々助は小梅を見回すと尾が二つになっている事に気付いた、心なしか体が大きくなっている気もする、いわゆる(猫又)になったと言うのだろうか・・・。
「朝方、この姿になっているのに気が付き、出て行こうと考えたのですが・・・。」
野々助は小梅が手縫いで隠してはいるが泣いている事に気が付いた、頭の痛みなど忘れて野々助は小梅を抱え手縫いを取り払う、やはり体が大きくなっている、子供と同じかそれより小さいか。
「出て行かれては僕は死んでしまう・・無事で本当に良かった・・」
気が付くと安心したのか貰い泣きか、年甲斐もなく涙が出て来た、小梅は涙を溜めた美しい青色の瞳で野々助を見つめる。
「ごめんなさい」と繰り返しながら小梅は野々助にしがみ付いた。
「今日はもう遅いし疲れた・・雨も酷いから一緒に寝よう」
涙を拭い、まだ懐で泣いてる猫又になってしまった愛猫を抱き抱え、野々助は寝室に向かう、雨音が和らいで来ていたので明日は晴れるだろうと考えながら襖を開け、優しく小梅を下ろす。
少し落ち着いた様だがシャックリがでてしまっている、それでも小梅はシッカリと野々助を見つめ言った。
「野々助様・・私はこれまでと同じようにこの家に居たいです、未熟者ですがお手伝いも致します、どうかお願いします」
自身の愛猫は飼い主には似ずに済んだようだと野々助は関心しながら答えた。
「奉公人は要らないんだ・・・」
小梅の体が少し震えたのを見ると野々助は慌てて訂正する、頭を布団に押し付けながら言った。
「どうか僕の嫁に来て欲しい・・・っ」
暫くの沈黙、蝋燭の火が消えそうになりジジッと音がなる、野々助は頭を少し上げ小梅を覗き見る。
「・・・」
白く綺麗な毛並みが少し逆立ち、尻尾は膨れ、耳は忙しなく動きほの紅く染まっている。
愛猫が猫又になるなど夢かも知れない、夢で有れば明日小梅は居ないかも知れない、小梅が居なくなるなど野々助はもう耐えられない、夢でも良い小梅に此処に居て欲しい
出来ればずっと。
その為には自身の側に、出来るだけ側に置いておくのだと野々助は決めたのだ。
「嫌だろうか・・・」
小梅の目は宙を彷徨っていたがニャアと一度鳴き我に返った様に頭をふる。
「野々助様と夫婦に・・・」
白い毛並みだからか、顔までが紅く染まっていく様に見えた。
猫だろうと関係無い、猫又になろうと関係無い、今日野々助は如何に小梅が大切かを思い知った。
「御顔をあげて下さい・・・」
野々助が顔を上げると小梅は野々助の懐に顔を埋め、消え入りそうな声で続けた。
「妖怪で猫ですが宜しければもらって下さいませ・・・」
小梅の耳はもう真っ赤だった。
暫くの間、懐に顔を埋めたままの小梅を優しく撫でていた、雨はいつの間にか止んでいて、月明かりが部屋を照らしている。
正直な話、野々助は猫又になった小梅の身体に少しばかり劣情を禁じ得ないでいた、このままの態勢では小梅に気付かれてしまうと思い、小梅を横に寝かせようと手を潜り込ませる。
「にゃぁ」
小梅が野々助の聞いたことのない甘い声を上げる、不意打ちを食らってしまった野々助は目を白黒させる、小梅を見るとお腹の下・・・濡れそぼった秘部が月明かりと野々助の前に晒された。
「野々助様の匂いに・・・こんな風になってしまいました・・・」
小梅は息も荒く申し訳なさそうにこちらを見る、それを見た野々助の愚息も最早、収まりがつかなくなってしまった。
「妻としての務め・・・ですから・・」
先程泣いていたのが嘘の様に小梅は積極的だった、野々助の帯を緩め怒張した愚息を柔らかな肉球で器用に取り出し鼻を擦り付け、裏筋をザラザラとした小さな舌で舐める、その刺激は快感でしかなく野々助は震える。
「こ、小梅・・・っ！」
猫又でなければ先っぽも入らないであろう愚息に小梅は大きく口を開け、かぶり付いた。
(・・・歯は立てない様に・・・)
「くぅッ・・・」
はむようにして刺激し続ける小梅の心地の良い口内へと誘われただけでなく、時折ざらついた舌で舐めてくる為、野々助は我慢など出来なかった。
「出るっ・・・！！」
小梅は咥えたまま野々助を離さず喉に直接射精されていく性液を飲み込んでいく。
「ごぷっ・・・んにゃっ・・ふっ・・」
野々助は射精を終えると我に返って小梅の背中をさすってやる。
「す、すまない、苦しかったろう」
ゴホゴホと少しばかり小梅は咽せた後、野々助を見つめ布団に仰向けになる、荒くなった吐息を吐きながら脚を広げて見せる。
「今度はこっちに・・・下さい・・・」
「はっ・・入るだろうか・・」
「大丈夫です・・・にゃぁ」
野々助は小梅に怪我をさせないようにゆっくりとその感触を確かめながら小梅の中に自身の物を沈めていった。
「うにゃぁぁああ！！」
全て小梅の中に沈めきると小梅が仰け反り痙攣する、軽く絶頂を迎えたらしい、野々助は小梅の息が整うのを待っていた。
「野々助様のおっきぃですにゃあぁ・・」
小梅はそう言うと二本になった尻尾を野々助に絡め物欲しそうにしている、野々助は小梅に少しばかり我慢してくれと言うと激しく腰を動かし始めた。
小梅の膣内は絡みつき、ねっとりと肉棒を扱き上げてくる、一突きする度に小梅の嬌声と小梅の中に打ち付ける音がなる、限界に達っする直前に野々助は小梅をシッカリと抱きしめた。
「出すよ！」
野々助は更に激しく小梅に打ち付けて行く。
「出して下さいにゃ！中にっ！沢山っ・・」
小梅の毛が逆立つ。
ドチュッと一際大きな音がなると野々助は全てを小梅の中に放った。
「にゃっ？！うにゃぁぁああ！でてるにゃあっ！・・中っにゃあぁああっ！！」
先程とは比べ物にならない程の絶頂を迎え小梅の身体は電撃に撃たれたように痙攣し野々助の物を締め付け更に絞り取ろうとしてくる。
息も絶え絶えの小梅の中から入り切らない性液が逆流し溢れ出てくる、射精を終えると野々助と小梅は互いの唇を貪りあった。
行為の激しさにも劣らない接吻が暫く続いた後、野々助は思い出したかの様に小梅から男根を抜くと、収まり切らなかった白濁が布団に溢れ落ちた。
月明りに照らされる部屋で2人は脱力の渦中にいた、小梅の目は惚けて今なお秘部からは精液が溢れている、野々助はそんな小梅を見つめていた。
「済まない、小梅・・・」
合意の上とは言え愛猫を犯してしまった罪悪感が湧いてくる、そんな野々助に気付いた小梅は震える体を起こし野々助に抱きつき目を覗き込む。
「私は野々助様の物です・・・そんな顔なさらないで下さい」
野々助もその美しい瞳を見つめ返し、震える体を抱き布団に横になった。
「朝になってもそこに居てくれよ・・？」
我ながら女々しい事を言っているのは分かっていたが
一抹の不安が拭い切れない、「ハイ」と小梅は短く返事をして胸に顔を埋める、先程の行為の疲れのせいか2人は直ぐに眠りについた。
戸の隙間から日が差し込み野々助の顔に当たり、目を閉じていてもその眩しさに耐えれず野々助は眼を開ける。
「・・・小梅？」
違和感を感じ、恐る恐る布団をどかして行くが、昨日の夜にはそこに居た小梅の姿がない。
「小梅！？」
野々助は布団から飛び出して部屋を見回す・・・朝陽に照らされた部屋の隅に絵巻を持って震える白猫がいた、昨日の出来事はやはり夢では無かった事に野々助は胸をなで下ろす。
「野々助様」
小梅は小さな声で名前を呼ぶ、何故だか耳は真っ赤に染まってこちらを見つめる。
「私と言う者がありながら、春画など・・」
見ると安西の貸してくれた猫の絵巻物を持っている。
決して春画では無いはず・・・
「こ、小梅？其れは安西の貸してくれた物だから・・・」
此方の言い分など耳に入らないと言った風で、小梅は絵巻を放りやると野々助に飛びついて行った。
「お前様ーー！！！」
朝から野々助の悲鳴が上がった。
＊安西には探してくれた礼と爪痕だらけの絵巻を弁償しておいた。
19/07/18 23:03更新 / 小説侍