読切小説
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M(魔物娘)−1
「うちの息子がね、好きな魔物娘がいるらしいんやけど」

「そうなんや」

「その種族を忘れたらしいねん」

「魔物娘の種族忘れてまうってどうなってんねん」

「いろいろ聞くんやけどな、全然分からへんねん

「ほんだら俺がね、息子の好きな魔物娘一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたか教えてしえてみてよ」

「ケモ耳がついてて、メイド服が似合う子やって言うてた」

「キキーモラやないかい!その特徴はもう完全にキキーモラやがな、すぐわかったよこんなもん!」

「俺もキキーモラやと思てんけどな、息子が言うには、火山地帯、魔界、墓地に生息しているっていうねんな」

「ほなキキーモラと違うか!よっぽどの理由がない限りキキーモラがそんな過酷な環境に生息しているわけないもんね、キキーモラはね、人との交流が多い人里に生息してんねん」

「もうちょっと詳しく教えてくれる?」

「なんであんなに、献身的に奉仕してくれるんか分からんらしい」

「キキーモラやないかい!どんな主人にも優しく時には厳しく愛情をもって接し、家事をこなすんやから!キキーモラやそんなもんは!」

「分かれへんねん、でも」

「何が分かれへんねん」

「俺もキキーモラやと思てんけどな、息子が言うには、性的な意味でなく晩飯にしても全然いいって言うてた」

「ほな、キキーモラちゃうやないかい!晩飯でキキーモラ出てきたらちゃぶ台ひっくり返すもんね!性的な意味でなく食べられる魔物娘には限りがあんねん!」

「もうちょっとなんか言ってなかった?」

「子どもの頃、なぜかみんな憧れるお姉さん的存在らしい」

「キキーモラやがな!キキーモラとティターニアとぬらりひょんは憧れたんや。あと白澤も憧れましたわ。キキーモラやそんなもん!」

「分かれへんねん」

「なんで分かれへんのそれで」

「俺もキキーモラやと思てんけどな、息子が言うには、山奥で修行してるって言っててん」

「ほなキキーモラちゃうやないか!修行は修行でも花嫁修行だったら話は変わるが、それでも山奥で修行はせえへん!」

「もうちょっとなんか言ってなかったか?」

「お屋敷で子どもの教育係を任されるらしい」

「キキーモラや!あのフラグは高確率で回収されるんやから!両親がもう一人増やそうもんなら、俺は動くよ、もう!キキーモラやん絶対!」

「分からへんねん、でも」

「なんで分からへんのこれで」

「息子が言うには、ジャンルでいうならおっぱいのついたイケメンやって言うねん」

「ほなキキーモラちゃうやないかい!ジャンルは何でも合うけど、おっぱいのついたイケメンだけはない!個人差はあるかもしれんけど、メイド服で口説かれたら違和感しかないで!キキーモラちゃうやないか!」

「もうちょっとなんか言ってなかった?」

「セックスするときに自分がSになればええかMになればええか分からんらしい」

「キキーモラやないか!キキーモラは今まで主従の関係にあったから、初夜とかはぎこちなくどっちが先に手を出すかで互いの心の中で大きな葛藤が生まれるんや!キキーモラで決まり!」

「分からへん」

「分からへんことない!息子の好きな魔物娘はキキーモラ!」

「息子が言うにはキキーモラではないって言うてた」

「ほなキキーモラちゃうやないか!息子がキキーモラではないと言えばキキーモラちゃうがな!」

「そうやねん」

「先言えよ!俺が主従関係のあった者同士の初夜について力説してるときどう思てたん?」

「申し訳ないなと思って」

「ほんまに分からへんがんな、それどうなってんねん」

「妻が言うには、マタンゴちゃうかって」

「いや、絶対ちゃうやろ!」

「もうええわ、どうもありがとうございました」
20/03/25 16:17更新 / 甘党大工さん

■作者メッセージ
今更感はあるけど後悔はしていません。

お読みいただきありがとうございました。それでは。

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