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「パワーアップじゃ!パワーアップしかない!」
DL
「いきなり何を言ってるんだいあんたは…」 「強化するにしても、どこをどのように強化するかによって勝手が変わってきますよ?」 「ちょっとじゃ足りん!どどーんと一気にパワーアップするのじゃ!一つや二つとは言わん!全部上げてしまうのじゃ!!」 「…読書に集中できん…」 いきなり見苦しい所を見せてしまい申し訳ない。 この三人は我輩の見舞いに来てくれたのだが、どうしてこうなったかを説明したらこの様である。 今も、こうなったら魔改造だとか、儀式をして覚醒させるだとか、我輩の意見を聞く素振りも見せずに熱弁している。 「大体、そう言う事をするには輝の了承を得てからするもんじゃないのかい?」 「ふむ…輝、よいかの?」 「ウンイイヨー」 「よし!」 「よし!…じゃないですよ…それと、声真似ですが全然似てなかったです。」 「馬鹿な!?このわしの完璧な声真似が見破られたじゃと!?」 「お馬鹿は放っておいて…輝の意見を聞こうじゃないか。」 「お馬鹿じゃと!?父上にも言われたことないのに!」 我輩の意見か…我輩としては正直に言うとどうでもいいである。 だが、大切な仲魔を守るためにも力はあったほうが良いだろうな… 「…魔改造とか怪しい儀式を必要としないなら良いかも知れんな。」 「…だそうですが、普通の手段で強くなる方法に心当たりはありますか?」 「グスッ…お馬鹿じゃ……ない…もん……」 「ど、どうしよう…泣き止んでくれないよ…」 「もう…ほら、飴ちゃん上げますから泣き止んでください。」 「…もう一個。」 「どうぞ。」 「…こ、今回だけは許してやるのじゃ…」 …今日も平和であるな… 「そう言えば、輝は魔法とかは使ったりしないのかの?」 「私と戦った時も使ってませんでしたし、使えないのではないでしょうか?」 魔法か…アレクシアに教えてもらったりはしているが、いまいち扱いきれずにいるな。 最下級の魔法でさえ、その辺の木を一瞬で消し炭に出来るほどであるし、使いこなせるようにはなりたいのだが… 「使えないことはないのだが…一回使っただけで暫く動けなくなるくらいに疲れてしまうからな…」 「んー…どう言う事だい?」 「上手く制御出来てないのじゃろう、わしが見ていてやるからちょっと使ってみるのじゃ。」 「ふむ…では外に……っ!痛たたた!」 「医者に暫く安静にしとけって言われたじゃないか…」 そう言えばそうだったな…どうしたものか… 「ここで使えば良いのでは?」 「そうじゃな…最下級の魔法ならそうそう大惨事にはなるまい。」 「えっ?最下級の魔法でも危険なのでは?」 「燃え移る前に消すから心配ないのじゃ。」 「木ですら一瞬で消し炭になるぞ?」 「…何それ怖い。」 「…治癒の魔法から練習すればいい気がするんだけどねぇ…」 「………」 「ん?入らんのか?」 輝様の部屋をこっそりと覗いていると、後ろから声をかけられた。 振り返ってみると、桜花様と弥生様がそこにいらっしゃいました。 「ちょっと気になっただけなので…」 「ふむ?……とられたりしないか心配なのかの?」 「んー…それはないと思うで?」 「それは私も分かっています…ただ、輝様が危険な事をしないかが心配なだけで…」 「あー…輝はんならやりかねんな…」 「鎖につないでおかない限り何をするか分からんからな…」 鎖につなぐ…鎖でつながれた輝様…上目遣いでおねだり… ……いけない…これ以上想像したら我慢出来なくなってしまいそうです… 「…あっ…私がつながれて輝様にいろいろされるというのもそれはそれで…」 「あかん、琴音はんがおかしくなってもうた。」 「世話が焼けるな…ほら、部屋に戻るぞ。」 「無理やり気味に口でご奉仕させられてそのまま口の中に…うふふふふ。」 「あきらぁぁぁぁぁぁ!!」 「ぬおっ!?ど、ドラゴン殿!?」 我輩の強化計画とやらの話を切り、他愛もない話をしていたその時、ドアを突き破って見知った魔物が我輩に抱きついてきた。 もう誰かはばれているな…ドラゴン殿である。 …というか、何でここに? 「偶々この町に来てたみたいでね、近くで出会ったから連れて来たの。」 「どこか痛むか!?誰にやられたんだ!?」 「今は上半身が痛い、今の痛みはドラゴン殿のせいである…」 ドラゴン殿が強く抱きしめてくるおかげで、我輩の骨が悲鳴を上げているである… これ以上はいけない…悪化しかねん… 「っと、すまん…輝が大怪我をしたというからつい…」 「心配してくれるのは嬉しいが、少し加減してもらえるとありがたいである。」 「…お主、ドラゴンにも知り合いがいるのか…」 「ドラゴンちゃんはよく会うわよね、旅先で偶然であったり誤召喚しちゃったり…」 「流石師匠…ドラゴンを手懐けてしまうなんて…」 手懐けていると言うのだろうかこれは?まったく制御出来てないように思えるのだが… 実力面でも圧倒的に負けてるであるし、懐く要素が見当たらないである… 「今日一日はゆっくり出来る予定だ、輝が襲われないように私が守ってやる。」 「心配しなくても大丈夫である…だが、守ってもらえると言うのならお言葉に甘えさせてもらうである。」 「わ、わしも今日は暇じゃから傍にいてやれるぞ!」 「はいはい、あんたはたまった分の仕事を片付けてからね…それじゃああたし達は行くね、ゆっくり休みなよ。」 「嫌じゃぁぁぁ!輝と一夜を共にするのじゃぁぁぁ…」 泣き喚くバフォメット殿を引きずりながら部屋を出て行くミラル殿。 ミラル殿の言ったとおりにゆっくり休みたいところだが、ここで終わりにするといつも以上に短くなるであるからな… 「私も今日は暇なので、師匠がさびしくないように傍にいますね。」 「むっ、輝の傍には一人いれば十分だ、貴様は帰るといい。」 「こればかりは譲れません、師匠の傍には私がいるのでどうぞお帰りください。」 「面白いことを言う奴だな…気に入った、ちょっと表に出ろ。」 「貴方に道具なんて使いません、魔法も必要ありません…ぶち犯して差し上げます。」 穏やかな表情を浮かべながら、肌がピリピリするほどの殺気に包まれた二人が部屋を後にする。 …さて、何人が巻き込まれることやら… 「…二人っきりね。」 「そうであるな……あっ…」 しまった、アレクシアがいたんだった… アレクシアと二人っきり…我輩は動けない…何をされても逃げられない… …詰んだな! 「何を考えてるか大体想像出来るのが悲しいけど、いくら私でも怪我人を襲ったりはしないわよ?」 「……………わかった。」 「今の間わ何かしら?」 「気にするなである。」 「まあ良いわ…添い寝してあげるからゆっくり休みなさい。」 「うーむ…書くもの書いたら休むであるか…予想以上に疲れたであるし…」 〜今日の観察記録〜 種族:ドワーフ 彼女達の多くは陽気な性格をしており、とても親しみやすい者達ばかりである。 愛らしい見た目に似合わず面倒見の良い所があり、情に厚く豪快な性格であることが多い。 こういう見た目とは大きく違う部分も、彼女達ドワーフの魅力の一つであろう。 種族:バフォメット 特に書くことは見当たらないである…と言うのはかわいそうであるか… 上位に位置する魔物ゆえに個体数は少なく、運が良くなければ出会うことすら出来ないであろう。 …まぁ、人によっては出会う事の方が運が無いと思うこともあるだろうが… 種族:ダンピール 人間としての常識的な価値観を持つ彼女達の多くは、好んで人間の住む町の中で暮らしているである。 彼女達は無理に襲い掛かるような事もせず、人間の様に恋愛などの自然な段階を経て男性と結ばれるものが多いである。 大抵の男性は彼女達が人間だと思い込んだまま結ばれ、交わりの時に味わう事になる人外の快楽を味わう事で、ようやく彼女たちの正体に気づく事になるのである。 種族:ドラゴン 彼女達の行動は本能に強く支配されているようで、人間の男性を傷つける事が出来ないのもそれが原因である。 また、彼女達の本能が一度でも相手の男性を自分よりも強いと認めてしまうと、その男性に従い、交わって子を宿すという本能に支配されてしまうようだ。 そうなった彼女達には地上の王者としての面影がなくなり、夫に媚び、夫との交わりを強く求めるメストカゲへと変わってしまうのだとか… 「輝はん…外が…外が…」 「…大体想像出来てるである…」 「店主が泣いておったの…誰か止めれんのか?」 「仕方がありません…私がちょっと止めてきますね。」 「琴音ちゃんだけで行かせたら被害が増えそうだし、私もちょっと行って来るわ。」 「…どうしてこうなった…」 部屋に入り込んでくる夜風の臭いが少し焦げ臭いであるなぁ… …平穏な旅に戻れる日は何時になることやら… |