38ページ:刑部狸(弥生)・バフォメット・ドワーフ
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ぱたぱたと振られる短めな尻尾が目の前にある…
DL
弄り回したくなるのをぐっと堪えつつ、荷車へとお宝を運んでいく。 「これで最後か…改めて見ると、結構な量があるな。」 「流石うちの旦那様や、これだけあれば暫くは生活に困らずに済みそうやな。」 宝石を日にかざしながら、日の光よりも明るい笑顔でそう言う弥生。 彼女の笑顔が見れてよかったである…それだけでも、これまでの苦労をした価値があるであるな。 え?アレクシアはどうしたのかって? …今朝、着替えている途中で腰がギックリ逝ってしまったらしく、医者を呼んで見てもらっているである。 「輝はんが必要な物があったらどんどん持ってってな、余った物はうちが責任もって売り捌くから。」 「ふむ………」 とは言ったものの、どれも研究対象として申し分ない物ばかりであるからな…どれを貰おうか迷うである… …うむ、考えるのはもう少し後にして、ジョークの一つでも言ってみようか。 「…弥生の尻尾。」 「へっ?」 「弥生の尻尾をモフりたいである。」 「ええけど…うちの尻尾は安くないで?」 「いくらであるか?」 「これくらい…と言いたい所やけど、買うのが輝はんやったら1モフ1発でええで…♪」 …つまり、モフモフすると2回ヤることになるのか… ……むっ!我輩にいい考えがある! 「やっぱり、尻尾をモフモフするよりも弥生を撫でたいである。」 「あ…輝はん…」 「…ダメであるか?」 「……や…優しくしてな?」 …いかん…予想以上に可愛い。 これからすることを考えると少々胸が痛むが…許せ… 「んっ!…あ、輝はん…」 「ふむ…しっかりと手入れされているであるな。」 「…………から…」 「むっ?」 「輝はんに…見てほしかったから…」 ……流石の我輩でも、襲うべきだろうこれは。 「ひゃぁっ!?撫でるだけって…あんっ!」 「撫でたいとは言ったが、撫でるだけとは言ってないである。」 「せやけど……んっ!?」 何かを言いかけていたようだが、気にせずにやや強引に弥生の唇を奪う。 そのまま抱き寄せて頭を撫でてやると、力が抜けたのか、されるがままの状態になった。 その隙に弥生の尻尾を弄り回す…うむ、思ったとおり良い触り心地だ、モッフモフである。 足の体毛も良いな…枕代わりにしたらよく眠れそうな気がするである。 琴音の尻尾も良いが、弥生の尻尾も素晴らしいである…モフモフモフモフ… そんな事をしていると、いきなり弥生が我輩の唇を奪ってきた。 「んむっ!?」 「んっ……輝はんが悪いんやでな?」 「な、何を…」 「輝はんがうちの体を好き勝手に弄るから…辛抱堪らんようなってまったやないか…」 弥生の綺麗な瞳が我輩をじっと見据える…だんだんと潤んできている様に見えるが… ……我輩、何だかとても嫌な予感がするである… 「6回尻尾をモフったから6回しような?」 「おぉっと、我輩急な用事を思い出したである!」 「今日は何も予定入れてないって昨日も今朝もゆうてたよな?」 「…ヤるにしても、外では流石に…」 「ちょうど良い小屋があるやん、あそこですれば問題あらへん。」 「し、しかし!あの小屋は自由に使って良いものではな…」 「ならあの小屋を買ってまおうか…心配せんでええで、金なら仰山ある。」 ………流石刑部狸…言葉で戦ったら勝てる気がしないである… 自分の得意分野を最大限に生かしつつ、じりじりと追い詰めていく様は見聞きしていて感心してしまうな……追い詰められているの我輩だけど。 「さぁ行こうか…心配あらへん、気持ち良い事するだけやから…♪」 「………はい…」 …我輩は無事に帰れるのだろうか… 「いらっしゃ…輝さんですか、顔色悪いですけど大丈夫ですか?」 「多分命に別状はないと思うから問題ないである…」 「そうですか…あ、お二人なら奥の方で話し合ってますよ。」 「うむ。」 店番のドワーフの気遣いが地味に嬉しいである…… あの後きっちり6回搾り取られたうえ、上目遣いで求められて触ってしまい、その分もしっかりと払わさせられたである… 読者の諸君…我輩の様に、求められたからと言って気軽に応じてはいけないであるぞ… そうこうしている内に見つけたである…紅茶を飲みながら話し込んでいるようだ。 「むっ?おぉ!帰ってきたか!」 「うわっと…いきなり抱き付かれると驚くであるぞ。」 「おかえりー、ずいぶん遅かったけど何かあったの?」 「……まぁ…な。」 我輩の反応を見て不審に思ったのか、バフォメット殿が我輩の臭いを嗅ぎ始める… …一応湯に浸かって洗い流したのだが…大丈夫だろうか? 「……ほほう…ずいぶんとお楽しみじゃったようじゃの?」 「へぇ?あたし達ほったらかして楽しんでたんだ?ふーん?」 …何この威圧感…我輩が潰されてしまいそうなくらいの雰囲気なのだが… 特にバフォメット殿が……黒っぽいナニカが見えてるである… 「…まぁよい、奪うだけならいつでも出来るじゃろうし、今は許してやるかの。」 「奪うって…無理やりヤっても幸せにはなれないと思うけどねぇ…」 「それをミラル殿が言うか。」 バフォメット殿の目が怖い…下手をしたら本当にさらわれそうであるな… ……そう言えば、彼女はアレクシア達とは会ってないな……彼女が見たらどんな反応をするだろうか。 「それよりもだけど…もうそろそろ旅に戻っちまうんだろ?」 「むっ?そうなのか?」 「あー…それなんだが、もう少し滞在しなければならなくなったである。」 「本当かい!?……って、強制されてるような言い方だね?」 「実は…仲魔の一人が腰を痛めてな…」 「ふむ…何にせよ、その間にわし無しでは生きれぬようにしてしまうかの。」 さらりと恐ろしい事を言ってるであるな…暫くはゆっくり眠れそうにないか… まぁそれはいいとして、気になった事を聞いてみるであるか。 「バフォメット殿はこれからどうする予定であるか?」 「この店で働かせてもらおうと思っておる、その資金を元手にサバトを創ろうとも考えておるの。」 「ほう、かなり真面目に考えているのだな。」 「信者が増えたら、強力な精力剤を作らせてお主と毎日楽しむ予定じゃ…あ、子は何人欲しいのかの?わしは何人でも良いぞ。」 「我輩の感心を返せ、もういろいろと台無しである。」 「失礼します。」 「…随分と遅かったな…それで、奴の居場所は分かったのか?」 「既に奴の下へ勇者を送りました…いくら強いとは言っても緒戦は人間、神の祝福を受けた勇者に敵う筈も無いでしょう。」 「誰を送ったのだ?」 「この者です…」 「……ふむ……まぁ、魔物に味方する愚かな人間を始末するのに慣れさせるには調度良いだろう。」 「万が一の時に備えて彼等も動かせる様に手配しています。」 「ふふふ…君は本当に優秀だ…私の部下にしておくのはもったいないくらいだよ。」 「お褒め頂き恐悦至極なのですが、私は貴方様以外の方に仕える気は毛頭ございませんのでご安心を。」 「嬉しい事を言ってくれる…後で部屋に…ね?」 「畏まりました…では、失礼します。」 「…さて…紅茶でも飲みながら見物させてもらおうか……この状況をどう切り抜けるかをね…」 「痛たたた…私ももう年かしら…」 「それを言ったら我輩も年であるぞ?」 「あら、輝ちゃんはまだまだ現役じゃないの。」 「我輩が現役である間はアレクシアも現役だろうから安心するである。」 「…輝ちゃんには敵わないわね。」 「弥生の方がもっとすごいであるぞ?」 「そうね、ふふっ。」 こういう他愛の無い会話と言うのも良いものであるな、普段の彼女達からは想像もつかない一面が見れたりするである。 まぁ、腰を痛めて動けないからこういう会話になるのだろうが… 「ごめんなさいね…二人だけで大変だったでしょう?」 「それほどでもない…むしろ、積み終わった後が辛かった…」 「……確かに大変だったみたいね?」 「今日はもう煙も出ないであるぞ…」 「私も混ざりたかったわ…残念…」 「たまにはヤる事以外の事も考えて欲しいである…っと、出来た。」 うむ、桜花の作るものよりは雑だが、それなりに出来たである。 こういうのを兎林檎と言ったか?まぁ、遊び心というものはいつでも持つべきであろう。 「中々上手ね。」 「桜花には敵わんよ…ほれあーん。」 「あーん……とても美味しいわ。」 「気に入ってもらえて何よりである。」 「…明日もこうやって食べさせてくれるのかしら?」 「…検討しておくである。」 本当に平和であるなぁ…こんなひと時を過ごせるならまた食べさせてやるのも良いかも知れん。 …まぁ、偶にだけで十分であるがな。 〜今日の観察記録〜 種族:刑部狸 商人と言うだけあって、彼女達は話術に関して高い技量を持っているである。 彼女達に見定められたが最後、どんなに抗おうが上手く言い包められ、逃げれぬ様に外堀を埋められて行ってしまうだろう… …でも、上目遣いは反則だと思うんだ…話が上手いうえに可愛いとかどうしろと… 種族:バフォメット 強大な力を持ち、人間と魔物の双方から畏怖される存在の彼女達だが、見た目相応の可愛らしい所もあるようである。 彼女達は自分より強い者を夫として選ぶ傾向があるが、その理由は強大な力を持つ彼女達が思い切り甘えられる強くて優しい理想の兄を求めている…らしい。 その辺は我輩も良く知らないである…要検証であるな。 種族:ドワーフ 彼女達ドワーフとエルフは、性格の違いなどからそりが合わず、魔物になる以前から仲が悪いとされているである 現在でも人間の男性への扱いの違いや、同じ男性の取り合いをしたりで仲が悪いようだ。 巻き込まれた側としてはどんな心境なのだろうな?両手に花か…ただの修羅場か… 「…ところで、魔物ってそんなに簡単にギックリ腰になるものなのであるか?」 「なるわけないじゃないの、結構大変だったのよ?」 「……ん?どういうことであるか?」 「私達の体は人間よりも丈夫に出来てるの、ギックリ腰になるの結構苦労したんだから。」 「いや……何で苦労してまでなる必要が…」 「それは…その……理由聞いても怒らない?」 「………内容にもよる。」 「大き目の怪我をしたら輝ちゃんが優しくしてくれるかなー…なんて…」 「…はぁ…呆れたである。」 「……ごめんなさい、迷惑ばかりかけてしまって…」 「そんな事しなくても、我輩はアレクシアの事を大事に思っているぞ?」 「…輝ちゃん…」 「今日と明日の夜は一緒に寝るであるか…今度からは自分の体を大事にするのだぞ?」 「…フフッ、わかったわ輝ちゃん♪」 |