34ページ:ドワーフ・ジャイアントアント・サイクロプス
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目が覚めると、見知らぬ天井が目に入ってきた…
DL
……いや、いつもの事であるが… 「んっ……ふぅ、よく寝たである。」 一つ大きな欠伸をし、ゆっくりと上体を起こす。 窓へと視線を向けると、昨日まで降っていた雨が止んでいるのが分かった。 しかし…流石に飲みすぎただろうか…体が少し重いである… …と言うか、下半身に違和感が… 「ふあぁ……んっ、おはよう…」 「…えっ?」 ミラル殿の声が聞こえた…が、姿が見えない。 彼女のベッドは……あっ…そう言えば、昨日はちょっとした問題があって一緒に寝たのだったな。 ということは、ミラル殿は我輩のベッドの中か…その答えへとたどり着いた我輩は、寝冷えしないように掛けていた毛布をめくって見た。 そして、直ぐに元に戻した。 「………ミラル殿…何故全裸なのだ?」 「少し激しく動いたら直ぐ暑くなった、だから脱いだ。」 「……具体的にどんな運動を?」 「乗馬運動。」 「……」 あ、ありのまま今分かったことを話すである… 我輩が寝ている間に、ミラル殿が我輩の一物を入れていた… 何を言ってるのか分からないと思うが……って、この手のネタはもういいであるな。 「ミラル殿…自棄を起こして自分を捨てるのは良くないであるぞ?」 「あたしは自棄なんか起こしてないよ?」 「いやいや…出会ったばかりの男の一物を中に入れるなんてやってはいかんであろう…」 「知ってるかい?人間の常識なんてあたし達魔物には通用しないんだよ。」 あぁそうだった…彼女も立派な魔物であったな… というか、いくら我輩が子供の様な幼い姿だとしても、これはいかんだろうこれは… この現場を誰かに見られたら間違いなく誤解される…言っておくが、今回の我輩は加害者ではなくて被害者であるぞ! …まぁ、可愛いからいいかとも少しは思っているのだが… 「あんなにいっぱいしたのにまだ硬いまま…もう一回くらいやろうかね。」 「あんなにって…何回したであるか…」 「10から先は数えてない。」 「なっ!?」 「今度は起きてるから気持ちよさが分かるね…安心しな、何度出しても全部受け止めるからさ…」 「そう言う問題じゃなくて、流石の我輩でも干乾び…んむっ!?」 抗議の声を上げるも、ミラル殿に口を塞がれてしまって言い切ることすら出来なかった。 その内、我輩は考えることをやめた… 「…それで、逃げ帰ってきたと。」 「いくら我輩でも、あれ以上搾り取られたら死にかねん…」 アレクシアの膝枕で英気を養う我輩… あれ位平然と出来る体力が無いと覚えることすら出来ないのだろうか…だとしたら、我輩では無理ということに… 「無理して覚える必要は無いと思うわよ?」 「我輩の野望の為にはこれくらい出来ないと…」 「輝ちゃんには無理だと言ったはずだけど。」 「むぅ…」 「いろいろ出来るだけでは世界どころか小国すら手に入れれないわ。」 そう言いつつ、我輩の頭を優しく撫でるアレクシア。 「…やはり、我輩には無理なのだろうか…」 「えぇ無理ね、世界はお母様が治めるから諦めなさい。」 「……そう言われて諦めると思ったであるか?」 「思ってないわ。」 「まぁ、自分でも無理じゃないかとは思っていたがな…無理と分かっていても、努力した分別の所で役に立つだろう。」 「ふふふ、やっぱり輝ちゃんといると退屈しなくてすむわ。」 アレクシアに感謝せねばな…おかげで随分気が楽になった。 「さぁ、今度は子供を作る努力をしましょうか、何人がいいかしら?」 「せっかくいい雰囲気で終われそうなのにいろいろと台無しである…」 アレクシアらしいというか何と言うか…まぁ、こういう所も含めてアレクシアの事を気に入っているのであるがな。 それは良いとしてだ… 「そこにいる4人!貴殿等見ているな!?」 我輩がドアの方へ向かってそう言うと、ドアから3人、窓から1人が入ってきた。 しまった…人数は合っていたが窓の方にも言うべきだったか… 「いつからいるって分かってたん?」 「アレクシアが我輩の頭を撫でた辺りからだな。」 「気づいていたのなら言ってくださればよかったのに…」 「そんな事をしたらアレクシアの膝枕というレアな状況を楽しめないではないか。」 「あら、言ってくれればいつでもしてあげるわよ?」 「…そんなことより、客人が来てるのじゃが…」 客人…ミラル殿か。 何となく話し辛い…あのような事があったばかりだから仕方がないが… 「えっと…その…悪かったね、無理やりやっちまって…」 「あー…配慮が足りてなかった我輩にも非がある、すまなかった。」 「輝ちゃんが逃げ返って来るほどだからどんな子かと思えば…なかなかいい娘じゃないの。」 「私達とする時は、いつも合計20回位平気でするじゃないですか。」 「それは琴音が我輩に魔力を注いでくれてるから出来る芸当である…補助無しだと見た目相応程度の事しか出来ないである…」 自分で言っておいてなんだが、だんだん自分が情けなく感じてきたである… 今まで自分に出来ないことは無いと信じてきたが、冷静になって考えてみると出来ない事だらけだったである… 「いかん…考える事がすべてネガティブな方へと向かっていく…」 「輝様…マッサージでも致しましょうか?」 「仕方の無い奴じゃ…元気付けるためにちょっと台所でも借りてくるかの。」 「うちは添い寝くらいしか出来へんけど…少しでも元気になってくれるんやったら喜んでするよ?」 …我輩らしくなかったな…こんなことで悩んでる暇なんて我輩にはなかったである。 皆に心配をかけさせたくないしな… 「皆…ありがとう…心配をかけさせてすまなかったな。」 「輝様…」 「ミラル殿、もう一度我輩に指導をしてもらえないか?」 「任せときな!光の速さで教えてやんよ!」 「いつもの輝はんに戻ったな。」 「まったく…世話の掛かる奴だ。」 皆をこれ以上心配させないためにも、この技術を覚えないとな… さぁ、行くであるか! 「ただいまぁー。」 「…おかえり…です…」 「ミラル様!採掘に私達を連れて行ってくれないなんてひどいで……あれ?そちらの方は?」 「あたしの助手さ!後、誘おうとしたときあんた達皆寝てたじゃないか。」 「いつの間にか助手にされていたである。」 「へぇ、ミラル様にも助手が…あ、昨日のあんたか…」 彼女の店に戻ると、店の奥から複数の魔物と人間が出てきた。 ふむ…見た事のない魔物もいるな…3種類いるのだが、一方はジャイアントアントと呼ばれる魔物だということが分かる…5人くらいいるな。 もう一方は随分と分かりやすい特徴があるな、大きめな1本の角と非常に大きな目…単眼であるな。 人間の方は、作業のしやすそうな服を着ているというだけなので説明は省かせてもらう。 後は、ミラル殿以外のドワーフであるな。 「うちの店ではいろんな金属製品を作ってるんだ、指輪みたいな装飾品から剣や鎧なんかも扱ってるよ。」 「ふむ…ざっと見ただけであるが、どれもしっかりとした作りであるな。」 「一個一個手間隙かけて作ってるからね、値段はそれなりにするけど相応の性能は保証するよ。」 魔物の作る道具は邪悪だの何だの言ってる人間に出会った事があるが、今ならその人間が言っていたことが出鱈目だと確信できるな。 我輩が見た限りではここに置いてある物におかしな所は見つからない…人間が使っている武具と何ら変わらないように見える。 それどころか、大陸で我輩が見てきたどの武具よりも輝いて見えるな…細かい所までしっかりと作りこまれている。 「やはり、その道に深く精通している者の作った物は出来が凄いであるな…我輩の父上もそうだった。」 「輝の親父さんも職人だったのかい?」 「正確には違うが…何でもこなしてしまう化け物のような人だったである。」 「…その人の作った物って…今持ってる…?」 「この刀がそうであるな。」 我輩の刀を手に取り、隅から隅まで丁寧に見ていくサイクロプス殿… 「サイクロプスさんがいつも以上に真剣ですね…」 「あれだけじっくり見るなんて…凄い物なのだろうな…」 確かに父上の打った物は業物と言える素晴らしい出来だが、人間よりも大部分で優れている魔物の目に適うほどの代物だろうか? 「…これ…暫く預かっててもいい?」 「我輩は構わんぞ、滞在する理由も増えるからゆっくり指導を受けれるしな。」 「長期滞在!お泊りもするよね?もちろんしてくれるよね!?」 「…皆と相談してから決めるである…」 「採掘の仕方も詳しく教えるよ!だから早く私の部屋に行こ?」 「あっ!ずるい!私が教えてあげようとしてたのに!」 「…あんたら少しは遠慮って物をしなよ…」 …これから暫くは苦労しそうであるな… 〜今日の観察記録〜 種族:ドワーフ 気に入った人間の男性がいた場合、彼女達は積極的誘惑し、時には襲いかかることであろう。 その小さな手からもたらされる快楽は、それだけで男性を虜にしてしまうほどのものらしい… さらに、彼女達は幼い外見に似合わないほど頑丈な体をしており、行為の際もこちらが心配するほどに激しく腰を打ち付けてくる。 種族:ジャイアントアント 女王蟻を中心とした集団で暮らす昆虫方の魔物である。 平原や洞窟などに巨大な巣を作って生活しているだけあって、採掘関連の作業が得意なようだ。 彼女達は非常に強い力を持っており、自分より大きな物でも軽々と持ち上げてしまうらしい。 種族:サイクロプス 大きな一つの目と立派な角が特徴的な魔物である…ちなみに、旧魔王時代は巨人と呼ばれるものだったようだな。 現魔王の影響で人間と同程度の大きさにはなったが、単眼だけは元のまま残ってしまったとの事だ。 大体の固体は山奥で暮らしており、魔物であるのに仕事以外では人間と関わろうとしないようだ。 |