20ページ:ワーラビット・ラージマウス・Unknown
|
自由……長く続けば厭き、逆に短いと物足りなく感じる物…
DL
だが、暫くの間時間に追われる日々を過ごしていれば、たとえ少しだけの自由でも嬉しく感じてしまうだろう。 何が言いたいかと言うと、我輩は今凄く嬉しい。 あの三人と旅をするようになって楽しくはなったのだが、我輩が今までやってきた様な観察が出来なくなってしまったのだ。 琴音の小さな胸も、アレクシアの程好い胸も、桜花の豊満な胸も、どれも素晴らしいである。 だが、我輩は知りたいのだ!世の魔物の胸の感触を!胸を弄ばれて喘ぐ魔物の姿を!五感の全てを使ってでも知りたいのである! 「…お兄ちゃん何してるの?」 …見られていた…凄く恥ずかしいである… 「貴殿こそ何をしているのだ?」 「んー…今はまだ何もして無いよ。」 「いや…そうじゃなくて、親はどうしたのであるか?」 「お家にいるよ?外で遊んできなさいって言われたの。」 よかった、迷子とかの類ではないようであるな。 …しかし…何故我輩に話しかけてきたのであろうか? 「お兄ちゃんお友達がいないなら私といっしょに遊ぼ?」 …友達のいない孤独な少年Aとして見られていたようであるな… 「友達がいないからここにいるわけではなくて、我輩は少しの自由を満喫して…」 「あっ!ウサギさんだ!お兄ちゃん早く早く!」 「…自由って何だろうか…?」 結局、彼女に誘われるままホイホイとついて来てしまった… 現在我輩達は、出来る限り音を立てないようにワーラビットと思われる魔物の後を追っている。 ワーラビットに見つからずに追跡をするのは無理に等しいといわれているが…我輩は何とかしてやり遂げて見せるである! 「うー…疲れたよぉ…」 「我慢するである。」 「おんぶして?」 「これくらい歩けないようでは大きくなった時に苦労するであるぞ?」 「おんぶしてくれないと泣いちゃうよ?」 「うぐっ……はぁ…ほら。」 「お兄ちゃんありがとう♪」 ただでさえ喋るだけでも気づかれそうなのに、泣かれてしまっては確実に見つかってしまうである… 「お兄ちゃん…すごく良い匂いがする…」 「…恥ずかしいからそういう事は言わないでほしいである…」 …調子が狂うであるな… む、また移動し始めたであるな。 「しっかりつかまってるであるぞ。」 「うん。」 まぁ、10分もせずにばてたのであるが… 「お兄ちゃん、ウサギさんが洞窟に入って行ったよ。」 「わ…わかったであるが……そろそろ自分で歩いて…」 「やだ!もっとお兄ちゃんの匂いを嗅ぎたい!」 随分と懐かれてしまったであるな。 動機が変わってる事には突っ込まないでおくか… …しかし…洞窟か… 「?…行かないの?」 「行くであるが…むぅ…」 正直に言うと、我輩は洞窟と言う物を好かん。 洞窟に入る度に何かしら良からぬ事に巻き込まれたりしていたであるからな… まぁ、半分近くは我輩がやらかしたことが原因なのだが。 「よし…」 なるべく足音をたてないようにゆっくりと進んでいく…が。 「さっきから私の後をつけて来ていたのは貴方達ですか?」 岩陰から見覚えのある影が現れ、我輩達の前に立ち塞がる。 むぅ…完璧な追跡だと思っていたのだが… 「この私をお喋りしながら尾行するなんて、いい度胸ですね?」 …だいぶ離れていた気がするのだが…それほどまでに耳が良いのか… 「あ、貴方に訊きたいことがあるのですが、薬になるものを持っていませんか?」 「薬?何に使うのであるか?」 「…悪い人じゃなさそうだしいいかな…ついて来て。」 そう言うと、足早に洞窟の奥へと行ってしまった。 洞窟内部は薄暗く、暗闇に慣れていないこともあって何があるのかがまったく見えない。 だが、誰かが住んでいるためかは知らないが、ある程度整備されていて思っていたよりは歩きやすい。 真っ暗で狭い道を進むこと数分、薄らと明かりらしきものが見えてきた。 「…入るであるぞー…」 半開きになったドアを押し開け、部屋の内部へと入り込む。 部屋自体はなかなかの広さがあるようだ…沢山置かれた2段ベッドが部屋の半分近くを埋めているが… 奥の方には『しょくりょうこ』と書かれたドアがあるようだが…そのドアの前にもベッドがあって開きそうにない。 部屋の中央には非常に大きなテーブルがあり、その上に誰かが寝かせられているのが見えるであるな。 何よりも、数えるのが面倒なくらいに沢山の魔物がテーブルを囲んでいて怖い。 「こっちです。」 ワーラビット殿に促がされ、テーブルの近くまで歩み寄る。 寝かされていたのは幼い子供の様だ…服とは言えないようなボロボロの布を纏っており、体の至る所にアザや切り傷が出来ているであるな… 奴隷…そんな言葉がピッタリと当てはまってしまう容姿である。 「洞窟の入り口辺りに倒れていたらしいの…酷い熱があるわ。」 「ふむ…この中の誰かが噛み付いたとかは?」 「運ぶ前から熱があったよ、誰かが噛み付かないように見張ったりもしてたから大丈夫。」 ふむ…ラージマウス化ではないか…となると、風邪と仮定しながら見ていくのがいいか。 「とりあえず服を脱がせるであるぞ。」 「えっ!?こんな幼くて病気の子を犯すつもりなんですか!?」 「お兄ちゃん…」 「なぜそうなる!?診察のためである!」 改めて服を脱がしていくと、予想以上に酷い状態だった… 傷の具合が手足よりも酷く、所々化膿している… 全身が汗でべとべとになっており、それが原因で傷口から細菌が入ったのだろう。 このままほうっておくと不味いであるな…早めに何とかせねば… 「消毒出来そうな物はあるか?酒でもいい。」 「えっと…ありました。」 「ラージマウス殿達は、この子の汗を拭き取ってくれ。」 「分かった!」 ワーラビット殿から液体の入ったビンを受け取り、中身を布に滲みこませる。 ナイフの様な物は…持って来てないであるな…裁縫用の針を使うか。 後は…膿を入れる容器がいるか。 「拭き終わったよ…その針で何をするの?」 「見ない方が良いであるぞ…見たいのなら止めはしないが。」 さて…始めるであるか…上手くいけばいいが…… 「…状態は?」 「だいぶ落ち着きました。」 「そうか…疲れたである…」 約一時間の格闘の末、全ての膿を搾り出す事が出来た。 再び化膿しないように消毒もし、我輩の着替えの着物…もちろん綺麗な物を着せて寝かせている。 「貴方が来てくれなかったらどうなっていた事か…本当にありがとうございます。」 「礼を言うのはあの子が完治した時にしてくれ、我輩は本物の医者ではないから自信を持って治ったとは言えないである。」 「でも、君がいなかったらとっくに死んでいたかもしれないだろう?」 そう言いながら、一匹のラージマウスが我輩の隣に腰掛けてきた。 「彼女が第一発見者です、私の友人でもありますよ。」 「二人には世話になったね、代表として礼を言わせてもらうよ。」 「いえいえ、友人として当然の事をしたまでですよ、また何かあったら言ってくださいね。」 「そっちの君は医者でもやっているのかい?そうでないとしても、さぞ高名な人なのだろうな。」 「そう言えば名乗っていなかったであるな…ククク…心して聞くである。」 「我が名は鉄輝!この世界を統べる者となる男である!」 我輩を見て固まる二人…あまりの驚きに声も出せないのであるか? 「貴方があのオッパイキラーの変態さんだったのですか…」 「私も聞いたことがある…インキュバス化しているわけでもないのに永い時を生き、魔物達の胸を弄んで去っていく変態だと聞いたが…」 …………… 「………えっ?」 「遠い町に暮らす同胞が、束になって襲い掛かったのに勝てなかったとか、胸だけで何回もイかされたとか言っていたな。」 「どんなに胸で気持ち良くならない子でも、彼に襲われたら胸を弄られるのをおねだりしちゃう様になるって聞いた事があります。」 ……我輩のイメージが……カリスマが…… 「…そう言えば、我輩に乗っていた幼女は?」 「仲間と遊んでいるよ、いろいろな事をよく覚えるいい子だな。」 「何であんな幼い子と一緒に………って、まさかっ…!」 「あの幼女が無理やりワーラビット殿を追いかけさせたのである…彼女が我輩と出会っていなければこんな事にはならなかったであろうな。」 幼女の方を見ると、ラージマウス達と楽しく遊んでいるのが見えた。 …表現的には、やらしくの方がしっくりくるかもしれんであるが。 「我輩が出来る事はこれくらいだし…帰るであるかな。」 「えっ?もう帰っちゃうんですか?」 「少しなら胸とか触っても良いよ?触り甲斐ないかもしれないけど…」 「魅力的な話だが…早く宿に帰って休みたいである…」 それに、3人にばれたらナニをされるか分かったもんじゃないであるからな… 結局観察的な進展は何もなしか…治療技術が向上したと考えれば幾分かはましであるか。 「入り口までお見送りしますよ。」 「お兄ちゃん帰っちゃうの?私もおみおくりするー♪」 「む…すまんな。」 「近くを通ることがあったら遊びに来てよ、歓迎するよ…盛大にね!」 「ははは…ではさらばである。」 ラージマウス殿達と少女を残し、部屋を後にする我輩と2人。 入り口まで続く暗い道を進みながら、ワーラビット殿にラージマウスやワーラビットの特徴を聞き出していく。 客観的な観察も良いが、本人達から聞くのが一番分かり易いであるな…言うまでもないが。 そうこうしている内に、洞窟の入り口へとたどり着いた。 「お兄ちゃんまた遊ぼうね…その時は…私の大事なものを…」 「ん?何か言ったであるか?」 「なっ、なんでもないよっ!」 顔を真っ赤にしてワーラビット殿の後ろに隠れてしまった…我輩は何か悪いことをしてしまったのだろうか…? 「この子は私が町まで送っておきますね。」 「すまんな。」 「もうこっそり後をつけるようなことはしないでくださいね…次やったらお持ち帰りしちゃいますから。」 「き、気をつけるである…」 黒い…ワーラビット殿の笑みが凄く黒いである… 我輩は笑顔を保ったまま、逃げる様にその場を立ち去った。 「…もったいないことしちゃったかなぁ…」 「?お姉ちゃんどうしたの?」 「何でもないよ、よーしお姉ちゃんも一緒に遊ぶわよー!」 「わーい!」 「…やっぱり町まで送ってもらった方がよかったか…」 辺りはすっかり暗くなり、今自分がどの方向を向いているかすらも分からない状態である。 最近迷ってなかったから失念していたである… 「ぬおぉぉぉん!出口はどこであるかぁぁぁ!!」 我輩の叫び声は誰にも届くことなく、暗い森の中に空しく響き渡った… 〜今日の観察記録〜 種族:ワーラビット ウサギの特徴を持つ獣人型の魔物で、非常に強い足腰と遠くの音でもはっきりと聞こえる長い耳を持っている。 他の獣人型の魔物と比べると大人しく、人間に対しても友好的な魔物である。 が、一度彼女達に気に入られてしまうと離してもらえなくなり、逃げようにも彼女達はとてもすばやいためにまず逃げ切れないであろう。 種族:ラージマウス ネズミの特徴を持つ獣人型の魔物で、総じて人間の少女ほどの大きさしかない。 単体での力はたいしたことはないのだが、群れで行動することがほとんどなのでいつの間にか囲まれているなんて事もあるである。 油断をしていると、あっという間に巣に連れて行かれて終わることなく犯され続ける事になるので注意していただきたい。 種族:Unknown 今の我輩にはこの魔物の情報を知る術はない… |