2ページ:ピクシー・フェアリー・リャナンシー
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「……迷ったのである…」
開口一言目がこんなので申し訳無いであるが、我輩はまた道に迷ってしまったのである。 今思えば、何故森の無い方の出口に向かわなかったのかを、数分前の我輩自身に問いたい気分なのである… …今から戻れば間に合う?そう思っていた時期が我輩にもあったのである… 来た方向と同じ方向に進んだが、似たような景色しか見えてこない… 目印を置いてみたであるが、どう進んでも目印の場所に戻ってしまうのである… 「食料はちゃんと持ってきたが…このままでは、我輩の野望が実現しなくなってしまうのである…」 こんな時、どうすれば良いのか… とりあえず、手ごろな場所に腰掛けるのである… 「はぁ……」 急に疲れが襲ってきて、凄く眠くなってきたのである… …少しくらい…寝ても……… 『へぇ…輝さんって学者をしてるんだ。』 『学者ではないのである!我輩は世界を統べる者になる男であるぞ!』 『あはは!面白い冗談だね。』 『冗談では…』 『それよりも、方向音痴は治ったの?』 『いや……何故であるか?』 『特に理由は無いけど…迷った時は、落ち着いて周りを調べると良いよ?』 『ふむ…まぁ、覚えておくのである。』 『あ、そろそろ行かないと…今度は発明した物を見せてもらって良いかな?』 『うむ、新しい発明品を用意しておくのである。』 『それじゃあね、輝さん。』 『達者でな…―――…』 「………むっ…よく寝たである。」 なんだか、懐かしい夢を見ていたのである… 彼は、今頃どうしているであろうか… 発明品を見せる約束…まだ、果たせてないのである… 「…さて…どうするか。」 寝て起きても、森の中なのには変わりが無いのである。 こういう時、どうすればいいのやら… …そう言えば、夢の中で何かを聞いたような… 「…落ち着いて周りを調べる…であるか。」 とは言っても…草木以外に何も無いのであるが… …まてよ…調べるというのは、視覚だけのことなのであるか? たぶん違うのである、我輩の天才的な頭脳がそう言ってるのである。 「はぁぁぁぁぁ…………」 大きく息を吐き、あらゆる感覚を研ぎ澄ませる。 鳥のさえずり…風に揺られる草木の音…そして、それらの音に隠れるほんの微かに聞こえる吐息… 「……そこかぁ!!」 微かな音と気配の方向を感じ取り、足元に落ちていた石を思いっきり投げた。 投げられた石は、何も無いはずの空間にある見えない何かにぶつかり、草むらの中へと落ちていった。 「いったぁ…いきなりなにすんのよ!」 何も無い空間から苦情が発せられる。 だが、姿が見えないのでどうすることも出来ないのである… 「あ…もしかして、姿見えないまま?」 「うむ、早く出て来てもらわないと我輩が危ない人に思われてしまうのである。」 「ちょっとまってて…」 そう言って直ぐ、辺りが眩い光に包まれる。 光が収まった後、中心部には小さな魔物がいたのである。 「まったく…いきなりあんな事する人あんたが始めてよ!」 「我輩も、貴殿の様な容姿の魔物を見るのは始めてである。」 「え?そうなの?」 「我輩は必要以上には嘘はつかないのである。」 そう言っている間、目の前の小さな少女は我輩の顔を覗き込むように見つめていたのである。 …よく見ると、なかなか可愛らしい魔物なのである。 「じゃあさ、私が何で魔物か想像で言ってみて?」 「想像で?意外と難しいのである…」 自分の記憶を辿り、彼女に似た容姿の魔物がいないかを思い出してみる… …一つだけ心当たりはあるのだが…間違っているような気もするである… …とりあえず、言ってみるであるか。 「…ピクシー…であるか?」 「…なーんだ、知ってるんだ…つまんないの。」 どうやら当たっていたみたいであるが、何故か彼女は不満そうである… …心無しか、最初の時と雰囲気が変わってきているような気もするであるが…、 「…何じろじろ見てんの?」 「む?あぁ、我輩は観察をするのが趣味でな。」 「観察?どうせエロい事考えてるだけだろ?」 「失礼な、我輩の観察欲求にはそんな不順な考えは無いのである!」 「えっ?あっ…ごめん。」 「魔物の思考や行動…性格や好み…そして、最も重要なのは胸の触り心地!」 「やっぱりエロい事じゃないか!」 何故か、ピクシー殿が怒っているのである… …我輩は、何か間違ったことを言ったのであるか? 「で、私の胸も気になるの?」 「もちろんである!胸というのは、大小問わずに素晴らしいものなのである!」 「ふーん…ねぇ、触ってみたい?」 「襲われないならぜひ。」 「いいよ…ほら、触って?」 そう言って、服をめくって胸をさらけ出すピクシー殿。 我輩は、彼女の体後と抱き寄せ、後ろから胸に指を伸ばした。 「んっ!」 「痛かったであるか?」 「いや…ちょっとびっくりしただけ、続けていいよ。」 「では…遠慮無くいくのである。」 彼女の体はとても小さく、あまり強くすると壊れてしまいそうで怖いのである。 かと言って、あまり力を抜きすぎても、今度は彼女が気持ち良くなれないのである。 「ふぅ…んっ!…あっ…」 …力加減はこれくらいで大丈夫な様であるな。 「…んんっ…いい…あはぁ…♪」 揉み続けていると、彼女の声が熱っぽくなってきたのである。 …もう少しであるな…本気を出すのである。 「やぁっ!?そ、そんないきなり…はぅっ!」 …これで、止めである! 「あっ!やあああああぁぁぁぁぁ!!」 ピクシー殿が大きく仰け反り、少し痙攣した後にグッタリとしてしまったのである。 …ちょっと、やりすぎたかもしれないのである… 「今、こっちの方から聞こえてきたよね?」 「はい…ピクシーちゃんはどこに…あっ…」 突然後ろから声が聞こえ、振り返るとそこには小さな魔物が二人いた。 大きさはピクシー殿とほとんど変わらない…なんて観察している場合ではないのである。 「「きゃぁぁぁぁぁ!!?ピクシーちゃぁぁぁぁぁん!!?」」 …あぁ…完全に終わったのである… 我輩=変態という図式が完全なものになってしまったのである… 「たしかにピクシーちゃんも悪いですが、どう見てもやりすぎですよ!」 「申し訳ないのである…」 「でも…ピクシーちゃんこの人にべったりだよ?」 「そ、そんなこと無いわよ!ただ、ここにいると落ち着くだけなんだから!」 「そーなのかー、じゃあ私も〜♪」 「えっ!?駄目!ここは私の特等席なんだから!」 我輩の頭の上で騒ぐ二人を後目に、我輩とリャナンシー殿は別の話で盛り上がっていた。 「本って素晴らしいですよね、その人の思いが世界中の人に伝わる…考えただけでもドキドキしてしまいます。」 「そうであるな…我輩は、読むのも書くのも好きであるな。」 「そうなんですか、どんなものを書いているのですか?」 「このSSの事である。」 「SS?何の事ですか?」 「細かいことはいいのである。」 まあ、今ので理解できたら逆に怖いのであるが… 「ピクシーちゃんのお胸やわらかいね。」 「そ、そんなに揉んだら…あぁっ!」 「貴殿等は我輩の頭の上で何をしているであるか…」 「ピクシーとフェアリーの禁断の恋物語…本にして見ようかな?」 「…止めた方がいいと思うである…」 楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、辺りがだんだんと暗くなってきた。 彼女達が案内してくれたおかげで、難無く町の入り口までたどり着けたのである。 次の町に行く事など到底不可能なので、昨日泊まった宿にもう一度泊まらなければいけないのである… まぁ、新たな魔物に出会えただけでもよしとするのであるか。 「本当に…行けないのですか?」 「大変魅力的なお誘いであるが、我輩はやらねばならないことがたくさんあるのである…すまないのである…」 「じ、じゃあさ…そのやるべきことが終わったら…その…」 「……妖精の国へは行けないのである…」 「…そっか…べ、別に寂しくなんて無いから平気よ!」 何とでもない様な笑顔で誤魔化している様であるが、我輩には気持ちが痛いくらいわかるのである… 「…近くを通ったときは遊びに来るのである。」 「はい…道中お気をつけてくださいね…」 「絶対…絶対にまた来なさいよ!」 「またね…グスッ…」 彼女達に背を向け、その場を後にする。 …何時の日か必ず、彼女達に会いに来るのである。 〜今日の観察記録〜 種族:ピクシー 悪戯好きで意地っ張りな所があるが、本当は誰かにかまって欲しいだけみたいである。 興味を持たれたら、遊んだり話し相手になったりしてあげれば少しずつ打ち解けてくれるのである。 ただ、あまり打ち解けすぎると妖精の国へお持ち帰りされてしまうので注意が必要なのである。 種族:フェアリー 見た目同様純粋で、様々な事に興味を示すので割と簡単に仲良くなれるのである。 複数人集まってる時は危険なので、近寄らないほうが身の為である。 後、はいてなかったのである。 種族:リャナンシー 芸術を愛する魔物の名の通り、得意分野については非常に詳しいのである。 彼女達の助言を頼りにすれば、数段上の物を作ることも容易なのである。 もっとも、彼女達に気に入られたいのなら自分の腕を磨くのが一番であるが…
11/09/18 22:55 up
DL
更新ペースがいつもよりも早いですが、たぶんなんて事は無いと思いますはい。 方向音痴、ここに極まり。 フェアリーの影が薄いです…ごめんなさい… 次回も更新日時は未定です、気長にお待ちください。 白い黒猫 |