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「…前回出番が少なかったから…今回は私たちから…」 「誰に向かって言ってるのよ。」 「…気にしないで…」 …お兄様達とはぐれて大分経つ… …お兄様なら大丈夫だと思うけど…少し心配… 「ロイド達は大丈夫かしら…心配だわ…」 …ユリアも心配なのは同じらしい… 「…大丈夫…お兄様達がついてるから…」 「だから心配なのよ…些細なことでもめそうだし…特にロイドとあんたのお兄さんがね。」 …心配の内容がちょっと違ったみたい… …お兄様は優しいから…そんなことにならないと思うけど… 「…お兄様は優しいから大丈夫…多分…」 「…あんたは何でそこまであいつを信用できるの?」 …あいつ?…多分お兄様のことだろう… …特に信用する理由なんて無い…強いて挙げるとするなら… 「…ありのままの私を…受け入れてくれたから…」 「ありのまま…ねぇ…」 「…大きいお兄様とお姉様は…最初は他所の子を扱う様に接してきたけど…お兄様は違った…」 「………」 「…始めてあった時も…おとなしくしていてくれたし…いつも我が儘を聞いてくれてるし…優しく撫でてくれるし…」 「なるほどね…最初の方は何か違うような気がしないでもないけど…」 「…ユリアは…仲間のことを信用してないの?…」 「してるわよ、してなかったら心配なんてしないわ。」 「………」 「信用しているからこそ怖い…もし誰かが魔物になってしまったら…"仲間"としての信頼関係は壊れてしまう…魔物になることを避けられないなら、三人一緒に魔物になりたい…そうすれば"仲間"としての信頼関係は保たれたままになるから…」 …ユリアは…魔物になることで…仲間を拒絶し、仲間に拒絶されることが怖いらしい… …魔物の私には人間の気持はよく分からない…だけど…一つだけ言える事はある… 「…本当に信頼しているなら…魔物になっても受け入れてくれると思う…」 「………」 「…見た目や性質が変わってもユリアであることは変わらない…その程度のことで壊れるような関係だったらここまで来れてないと思う…」 「…そうよね…」 「…だから怖がらなくて大丈夫…たとえそうなったとしても…私が受け入れてあげるから…」 「…ありがとう。」 …そう言うと…ユリアは私の頭を優しく撫でてくれた… …家族以外に撫でられたことはない…ましてや敵として一戦交えた相手に撫でられるなんて想像もしてなかった… …だけど…不思議と嫌な感じはしない…むしろ嬉しい… …でも… 「…離れて…」 「え?」 「…これ以上は…我慢…出来ない…」 …私の中の…サキュバスとしての本能が疼く… …目の前の女性を同属にしたい…仲間にしたい…そんな衝動が私の理性を削り取っていく… 「…私も魔物だから…あまり長くは抑えられない…」 「クリス…」 「…少ししたら収まるから…先に行ってて…」 「…いいよ。」 「…え?…」 「クリスになら…されてもいいよ…」 「…でも…」 「受け入れて…くれるんでしょう?」 …そう言って…可愛らしい笑顔を私に向ける… …こんな顔をされたら…私は… 「…ユリア…ごめんね…」 …謝りながら…ゆっくりとユリアを押し倒す… 「…本当に…ごめんね…」 …謝りながら…ユリアの服を脱がしていく… 「…もう…我慢できない…」 …私は…理性を手放し…ユリアに深く口付けた… 「ここが…最奥か…」 「怪しげな装置がいっぱいあるね。」 様々なトラップを潜り抜け、ようやく遺跡の最奥らしき場所に辿り着いた僕達二人。 あれだけ厳重な罠が仕掛けてあったんだ…それほど凄い物があるに違いない… 「この窪み…この槍と同じ形だ…」 「はめてみればいいんじゃないか?何か起こるかも知れんぞ?」 「そうしてみようか…」 背負っている槍を窪みにはめる、予想通りに窪みにピッタリとはまった。 もう一方にも窪みがあるが…これにはまりそうなものは…鞭ぐらいだろうか? 試しにはめてみるけど、先端部分だけ幅が余りまくっている… 「うーん…どうしようこれ…」 「この前の丸っこいのはどうした?あれならはまると思うんだが。」 「あれか…非常に言いにくいんだけどね…」 そういいながらポーチから袋を取り出す。 「フォトンは竜姉妹にじゃれ付かれて殉職いたしました。」 「…どんなじゃれ方をしたら粉末になるんだよ。」 「左右から挟まれてパーンと…」 「………」 僕が昼寝をしている間、フォトンが姉妹の相手をしていたらしい。 僕が起きた頃には、フォトンは粉になっていた。 後に竜姉妹は語った…彼は勇敢だったと… 「ちょっと傷ついた位だと再生出来るみたいなんだけど…流石にこれはどうしようも無いらしい…」 「…と、とりあえずその粉を入れてみたらどうだ?」 ロイドの提案通りに、窪みにフォトンだった粉を流し込んでいく。 全部入りきらない…どうしよう… 「…余っちゃった…使う?」 「いや…どう使うんだよこれ?」 「そっちにも似たような物があるから、一緒に放り込んでみればいいじゃないか。」 「うーむ…返せと言っても返さんぞ?」 「別にいいよ、どの道僕一人だけでは使い切れないだろうからね、むしろ使ってもらった方がありがたいよ。」 「そうか、それなら遠慮なく使わさせて貰うとしよう。」 僕から粉を受け取ると、別の窪みに大きな剣をはめて粉を振りかけていく。 その横には、どこかで見たことのある容器が見えた。 …やっぱり入るんだよねあれ… 「よし…で、後はどうすればいいんだ?」 「その容器の中に入ってスイッチを押す、それだけ。」 「なんだ、ずいぶん簡単だな。」 「最初の内は誰でもそう思うよ…体験する前はね…」 そう言いながら、容器の中に入り座る。 ロイドも、もう一つの方に入って座ったようだ。 「…後何回くらいこんな目に遭うのだろうか…」 僕は、溜息を吐きながらスイッチを押した。 「大漁じゃな!」 「大漁だな!」 沢山のお宝が入った袋を担ぎながら通路を進むワシとサラ。 まさか、あんなに沢山の宝が保管されている部屋を見つけれるとは思っておらんかったぞ。 「む?…アイリス!あれを見ろ!」 「何じゃ?いきなり大声を出して…」 サラの指差した方向を覗くと、袋に隠れて見え辛いが僅かに光が見えた。 「私の予感が正しければ、あれは出口から見える光だと思うのだが。」 「奇遇じゃの、ワシにもそう見えるぞ。」 急ぎ足で光の見える場所へと向かう。 そこで通路は行き止まりになっているが、上からは明るい光と美しい青い空が見えた。 「ここが出口か…登るのが大変そうだな…」 「心配せんでよい、ワシにいい考えがある。」 担いでいた袋を下ろし、足元に召喚用の魔方陣を描いていく。 何をするのかと、不思議そうにワシの描いた魔方陣を眺めているサラ。 …うむ、綺麗に描けたのじゃ。 「我が忠実なる下部達よ…我が呼び掛けに応じ今此処に集え!」 唱え終わった途端、魔方陣から眩い光が発せられた! 流石ワシ、久しぶりの召喚でも完璧にこなせているのじゃ! 「な!?一体何を!?」 「ククク…ワシの可愛い部下達を召喚したのじゃよ。」 やがて、徐々に光が弱くなっていき魔法陣の中に吸い込まれていった。 光が完全に消えた後の魔法陣の上には、ワシの可愛い部下達が立っていた。 「私達を。」 「お呼びですか?」 「アイリス様♪」 全員が可愛らしく一回転し、これまた可愛らしくお辞儀をする。 うむうむ、今日も可愛らしいの、流石はワシの部下達じゃ。 「イル・ルナ・リナ、お主ら三人を呼んだのはこれを運んで欲しいからなのじゃ。」 そう言って後ろの袋を指差す。 魔女三人は分かりました!と元気よく返事をし、運び出す準備を始めた。 …この様子ならもっと運び出せるかの? 「サラよ、もう一度取りに行くぞ。」 「まさか、残っている分も全部持っていくのか?」 「うむ、あんなお宝を残しておくなどもったいないじゃろう?」 「それもそうだな…行くか!」 意気揚々と走っていくサラ、当然ワシもその後を追う。 魔女達には随分と大変な労働をさせてしまうじゃろうな… …後で魔女達には美味しいデザートを用意してやるかの、もちろんアルトの奢りでな♪ 「………」 「………」 重苦しい雰囲気が辺りを包んでいる… …すごく気まずい… 「…ごめんね…」 「…気にしてないわ…」 クリスから謝罪の言葉が発せられる… 一歩間違えば、私も彼女のような魔物になっていたかもしれない…だけど… 「…何で…何で魔力を流し込まなかったの?」 「………」 クリスは、私に魔力を流し込まなかった。 結果として私は人間のまま、ただ彼女と体を重ねあっただけで終わった。 魔物にならなかった事はいいのだけど…何故私を魔物にしなかったのだろう… 「…貴方は…まだ魔物になるべきではない…」 「………」 「…いつか…その時が来るまで…貴方は人間であるべきだと思ったから…」 「…ありがとう…」 いつもと変わらないけど、どこか悲しそうな表情でそう言うクリスの頭を、優しく撫でてあげる。 すると、少し嬉しそうな表情になり、気持よさそうに目を細めて私に体を預けてきた。 …これからも、私は彼女の様な魔物と対峙していく事になるだろう…最悪、命を奪わなければいけないかも知れない… だけど、彼女の…魔物の…こんなにも可愛らしく優しい一面を見た後でも、私は戦い続けれるだろうか… 仕事だからと割り切ってしまえるなら…こんなに苦しむことは無いだろう… だからといって、魔物と戦わないと言っても司祭様からお叱りを受けるどころか、大切な仲間を失うことになってしまうかも知れない… 「…大丈夫…貴方はまだ戦える…」 「え?どういうこと?」 「…戦うというのは…奪うことばかりじゃない…」 「………」 「…生かすも殺すも…勝者次第…命を奪いたくないなら…勝ち続けて生かし続ければいい…」 そう言って、今度は私の頭を撫でてくるクリス。 自分より小さい子に撫でられるのには少し違和感があるけど…何故だろう、嫌な感じはしない。 …彼女の…クリスの言ったとおりだ。 相手に勝てば、生かすも殺すも好きに出来る…殺したくないのであれば、私が勝ち続ければいい。 「ありがとう…貴方のおかげで迷いが晴れたわ。」 「…そう…」 クリスの手を取り、先に進む。 先程までの重苦しい空気は、もう無い。 もう迷わない、私には負けられない理由が出来たから… 「…あれ…」 クリスが通路の先の方を指差す。 その先には、光が当たっている場所が見えた。 「あれって…出口かしら?」 急ぎ足でそこへ向かう。 通路はそこで終わっており、代わりに上に向かって穴が広がっていた。 ここから出れそうだけど… 「…つかまって…」 「え?でも…」 「…私…飛べるから…」 そう言えばこの子羽があったわね… 「…行こう…?」 「…ええ!行きましょう!」 私は彼女の手をしっかりと握る。 瞬間、私とクリスの体が宙に舞い、青く輝く空へ向かって飛び出して行った。 「…出切るなら、もうこういう物には入りたくないな…」 「…同感だよ…」 疲れきった表情で床に座り込むロイド。 おそらく、僕もロイドと同じ様な表情をしているだろうな… 「…何故か知らないが…大事なものを吸われた気分だ…」 「一部の魔法が使えなくなったような…そんな感じ?」 「…それがどんな感じかは分からんが、多分そうだろう…」 僕に起こった変化…それは一部の魔法が使えなくなったこと… 時間は止めれる…吸引力も変わらない…だけど、それ以外が使えない。 おそらく、ロイドにも似たようなことが起こっているだろう… 「じっとしていてもしょうがない…さっきの窪みを調べるとするか…」 「そうしようか。」 そう言って立ち上がり、先程の窪みのほうに歩いていくロイド。 僕も、自分の武器がどうなったかを確認するため、重い腰をあげた。 「…これは!?」 突然、ロイドの方から驚きの声が発せられた。 振り返ってみるとそこには、美しく輝く大きな剣を掲げ、嬉しそうに踊るロイドの姿があった。 「すばらしい!すばらしいぞ!こんな業物は今まで見たことが無いぞ!」 「それはいい事だと思うけど、その踊りはやめたほうがいいと思うよ、今のロイドには勇者としてのカリスマが欠片も見当たらない。」 「む…そうか…それよりも、アルトの方はどうなんだ?」 ロイドに促され、先程の窪みを調べる。 その瞬間…僕は息を呑んだ… 槍は、以前の面影を残してはいる…だけど、二つに分かれていた刃はピッタリとくっついている。 鞭の方は…先端部分の鉄球が凄く大きくなっている…これをぶつけられたら痛そうだ… 槍の方はあまり変わったような様子は無いけど… 「アルト、その手元にある出っ張りは何だ?」 「え?…本当だ、何だろうこれ?」 柄の先端部分に、何やらスイッチの様な物がついている… 試しにそのスイッチらしき物を押してみると、槍に変化が起こった。 刃の部分が中央部分で二つに割れ、橙色の球体と刃の中の方の柄が姿を現した。 柄の先端部分には、穴の様なものが開いているようだけど… 「何だそれ?もしかしてそれだけなのか?」 「うーん…どうなんだろう、僕には分からないや。」 「魔力でも流し込んでみたらどうだ?何か分かるかもしれないぞ?」 「やってみようか…」 ロイドの言ったとおりに、槍に魔力を流し込む。 すると、刃の中央…柄の先端部分に魔力が貯まり始めた。 …これってもしかして… 「なるほどな…その武器に魔法が移ったか…」 「ロイドの方もそうなの?」 「あぁ…これで身を守ると大きくダメージを軽減出来るようだ…」 そう言って盾の様に大剣を構えるロイド。 すると、彼の周囲に薄い緑色の膜が現れた。 どうやら、ロイドの場合は防御系の魔法が移ったらしい。 「これはいい…いつでも消費少なく使えるとは…」 そう言いながら武器に頬ずりをするロイド。 …流石にあれは…ちょっと… この後の事をロイドと相談しようとした時、突然周囲が揺れた! 「な、何だ!?何が起きたんだ!?」 「よく分からないけど嫌な予感だけはするね!」 武器をしまい、その場にしゃがむ僕とロイド。 しばらくすると揺れが治まってきたが、僕達の来たほうの通路から、水が高速で流れて来る様な音が聞こえてきた! 「何で俺達ばかりこんな目に遭うんだ!?」 「知らないよ!早く逃げるよ!」 全力で、もう一つの通路へと走っていく! まだ遠くの方で聞こえているけど、水の迫る音が徐々に近くなっていく! 無我夢中で走っている内に、通路の行き止まりへと辿り着く。 「おい!行き止まりだぞ!?」 「くぅ…!上を見て!」 そう叫んで上の方を指差す。 そこには、微かにだが光の射している部分があり、あそこからなら出れそうだ。 だけど…あそこまで行く時間があるだろうか…? 「アルト、いい物を見つけたぞ!」 「…これは…」 ロイドが指差したもの、それは大砲だった。 少し形がおかしいが、それ以外は普通の大砲と変わりは無い。 「この大砲で打ち上げられれば、あそこに辿り着くのも一瞬だと思うぞ。」 「なるほど…ロイド!火を準備して!僕が天井をぶち壊すから!」 そう言って大砲に入り込み、魔力を溜め始める。 ロイドも大砲に入り込み、火を点ける準備を始めた。 「アルト!まだか!?」 「まだだ!もう少しまって!」 「時間が無い!急いでくれ!」 段々と水の音が迫ってくる! 焦る気持とは裏腹に、なかなか魔力が溜まらない… 水の音は、すぐ後ろまで迫って来ているというのに…! 「仕方が無い…点火!」 「分かった!」 ロイドが火を点けた様だ…だが、此方はまだ溜まりきっていない… 「まだ溜まらないのか!?」 「予想以上に大量の魔力を消費するみたいでね!もう少しで貯まりそうなんだけど…!」 その瞬間、火薬の炸裂音と共に、僕らの体は天井に向かって打ち上げられた! 下からは水が、上からは天井が迫ってくる! 失敗は…出来ない! 「アルト!撃て!」 「砕けろぉ!!」 槍から眩い光が発せられ、轟音と共に天井を撃ち抜いた! そのまま、僕達は青い空へと放り出されていった! 「よくやったぞアルト!流石は俺の宿敵だ!」 「宿敵にされてたのか…まあ悪い気はしないけどね!」 空を漂いながらそんなことを言い合う僕達。 「…ところで、どうやって着地するの?」 「………」 まさか… 「すまん、考えて無かった。」 「………」 僕は大丈夫だけどロイドは流石に不味いんじゃ… そう考えた瞬間、僕らは勢いを完全に失って下へと落下し始めた! 「ぎゃあぁぁぁ!怖い!まじ怖い!」 「うわぁぁぁ!慣れてるけど怖い!」 このままでは地面にぶつかってしまう! こんな時どうすれば… その時、目の前を黒い何かが横切った。 「!…あれは…」 「な、何だ?」 目の前を横切ったものの正体は、何かが僕達を受け止めたことによって判明した。 「リーラ!?どうしてここに!?」 「主が危機に陥っているところを助けるのが、メイドとしての勤めであろう?」 僕達を受け止めたのは、旧竜化したリーラだった! なんで助けに来れたかは分からないけど…とにかく助かった… 「ありがとうリーラ、君が来てくれなかったらロイドが危ないところだったよ。」 「何!?アルトは大丈夫なのか!?」 「うん、平気ですよ?」 「…恐ろしい奴だ…」 リーラが地面に降り立ち、その背中から飛び降りる僕達二人。 眩しい光を放ちながら、元の姿へと戻っていくリーラ。 「おぉ!アルトよ!無事だったか!」 「…お兄様…♪」 「大丈夫だよ、僕はあの程度じゃ死ねないからね。」 「ロイド!心配したぞ!」 「まったく…随分と派手なお帰りね…」 「死に掛けたがスリルはあったな。」 それぞれが再会を喜び、抱き合う。 こうして生きて会うことができた、それだけでお宝なんてどうでもよくなってしまう。 「…さて…」 「…そうだね…」 ひとしきり抱き合った後、僕らはそれぞれの武器を構える。 しかし…どうにも戦う気が起きない… 「…今日はやめておこう…」 「…そうしようか…」 今日は、いろいろと疲れることが沢山あって戦うだけの気力が残っていない。 多分、皆も同じ状況だろう。 「アルト、次に会った時こそお前を捕まえてやるからな。」 「フフフ…僕が捕まらないっていう事実は変わらないよ?」 「サラよ、短い間じゃが世話になったの。」 「アイリス、いろいろ世話になった、礼を言うぞ。」 「…がんばってね…」 「ありがとう…また会いましょうね…」 彼らは、三人揃って帰って行った… …僕らも帰ろうか… 「そろそろ帰ろうか。」 「そうじゃの…ほれ。」 「ん?…あぁ、なるほどね。」 「…お兄様…肩車…」 「うーん…ちょっと難しいけど…よっと…」 「もう片方の手が空いているな、私が手をつないでやろう。」 「まさに両手に華じゃのう…ククク♪」 「まったく…ほら行くよ。」 四人で仲良く我が家へと帰る。 いろいろあったけど、僕は皆の事が大好きなんだな… その時の僕はそんな思いで胸が一杯だった。 「…ロイド?サラ?ちょっといいかしら…」 「ん?どうした?」 「もし…もしよ?…私達の誰かが魔物になった時…私達はどうなっちゃうのかな?」 「そんなことは、決まっているじゃないか。」 「私達は三人揃って勇者一行なのだ、たとえ誰かが魔物になったとしても、常に三人一緒だ。」 「サラ…ロイド…うわぁぁぁぁん!」 その日の勇者一行のテントの中では、泣いたり笑ったりとても賑やかな声が聞こえたそうだ…
11/02/26 10:52 up
風邪を引きつつ後編です ギャグ入れるとか言っておきながらギャグが少ないです。 後、百合成分があるので注意が必要かもです… 風邪が治るまでは次の作成は無理そうです…今しばらくお待ちください… 一部文字化けを修正、ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません… 白い黒猫
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