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目が覚めると、妹が僕に馬乗りになっていた。 「…あの…クリスさん何をやっているんですか?」 「…お兄様…」 僕に馬乗りになっているクリスは、頬が僅かに朱に染まり潤んだ目で僕を見下ろしている。 「…お兄様…体が熱いの…」 「と、とりあえず降りてくれないかな?着替えたいんだけど…」 「…嫌…」 「嫌って…何でこんなことをするの?」 「…お兄様が好きだから…」 「好きならこんなことはやめて…」 「…お兄様は私を女性として見てくれなかった…」 「…え?」 「…お兄様のことが好きで…お兄様に愛して貰いたくて…いろいろなことをしてきた…」 「クリス…」 「…ご飯に媚薬を盛ったり…寝てる時に魅了と暗示を掛けてみたり…」 「ちょっと待て、その二つは不味いから。」 あまりにも突然な告白に驚きを隠せない… 僕の知らないところで、媚薬を盛られたり魅了を掛けられたりしていたのか…その割には何とも無かったけど… 「クリス、僕を好いてくれる気持ちは嬉しいよ、だけど僕達は兄妹じゃないか。」 「…兄妹だからって…たったそれだけで…好きな人を諦めなきゃいけないの?…」 「……」 「…私は嫌…諦めたくない…お兄様と一つになりたい!」 クリスの目から涙が零れ落ち、シーツに染みを作っていく。 母は違えど僕らは兄妹なんだ…こういう場合は特に、一時の感情の変化でやっていいことではない… だけど…僕がクリスの事を好きなのは紛れも無い事実だ…その気持ちに嘘をついてクリスを悲しませる事はしたくない… 「…ごめんなさい…今日の事は忘れてお兄様…」 「…クリス…」 「…もう直ぐ…朝ご飯…」 「待って。」 「きゃっ…お兄様?…」 僕は…クリスの腕を引っ張って抱き寄せた。 結局僕は、自分の気持ちを…クリスの気持ちを裏切ることは出来なかった。 世間からなんと言われようと構わない…クリスの事が好きだという気持ちに偽りなんて無いから… 「クリス、今まで気づいてあげれなくてごめんね…」 「…お兄…様?…」 「僕も…クリスと一つになりたい。」 「…お兄様…ん…」 我慢できなかったのか、クリスがキスをしてきた。 そのまま、僕の服を脱がせに掛かって… 「おはようございまーす!『突撃!隣の朝御飯(性的なry』でーす!」 威勢のいい声と共に、勢いよくドアが開かれた。 そこには、烏丸新聞の記者で僕が何度も性裁を加えたカラステングが立っていた。 「突然ですがどんなプレイをされているんですか?」 「…朝ご飯…焼き鳥でいい?…」 「…え?」 「二度ならず三度まで…一回目は全身責め、二回目は後ろを調教、三度目は…言わなくてもわかるね?」 「え?え?」 「…私が先…」 「もちろん、最初はクリスと…ね。」 「…わ、ワタシハナニヲサレルンデスカ?」 「ナニをされるに決まってるじゃないですか。」 「ちょ、ちょっと待ってください!それだけは駄目…ってなんですかこれは!?」 「…首輪…よく似合ってる…♪」 「初めては大切な人に…」 「…初めての相手を…大切な人にすればいい…」 「大丈夫、いきなりはしないから。」 「そんな…」 「何時まで寝ておる、ご飯じゃ…ぞ…」 「「「あ……」」」 カラステングへ性裁を加えようとしていたら、今度はアイリスが入ってきた。 表情こそは優しく微笑んでいるように見えるが、目はまったく笑っておらず、まともに目を合わせるのを躊躇ってしまう様な威圧感を放っていた。 「ほう…このワシを差し置いてお楽しみとは…いい身分じゃのう?」 「あ、アイリス、これには訳が…」 「ワシも混ぜんかぁぁぁぁ!!!」 「ちょ!?落ち着いて!やめ…」 「「待った!!!」」 大きな声と共に、またドアが開かれた。 そこには、メイドとして仕えている竜姉妹が立っていた。 心なしか、彼女達の目が潤んでいるように見えるが… 「「私達も混ぜろ!(混ぜてください!)」」 その後、少年の悲痛な叫び声と、快楽に満ちた5人の声が屋敷に響き渡った… 「いきなりだが、アルト撃破の為の作戦会議を始める!」 「本当にいきなりだな…」 「面倒くさい…」 アルトが災難にあってる頃、此方では何かの作戦会議が行われていた。 「まずは、アルトに負ける理由を考えてみようか。」 「負ける理由か…結構あるな。」 「戦力差がすごい時あるよね、この前みたいに。」 「あれは…一種の事故だ、早めに忘れようか…」 「戦力差は別として、此方の攻撃が当たる気がしないのだが。」 「瞬間移動に近い動きしてるよね、次の瞬間にはナイフだらけだし。」 「瞬間移動じゃなくて、時間を止めてるんだよあいつは。」 「それって勝ち目無いよな?確実に。」 「そう何度も使えるものではないだろう、使えるとしても2・3回程度だと思うのだが。」 「それでも十分すぎるよ、止めてる間にやりたい放題できるんだから。」 「むぅ…一応対抗出来るんだが…対抗出来る時間が短すぎるからな…」 「結果的に、奴に勝てる要素が何一つ無いぞ?」 「強い魔法とか武器とか欲しいよね…」 「うーむ…」 彼女達の意見を聞いて、リーダー格の少年は考え込んでしまう。 「そういえば、奴は遺跡で能力を手に入れてたな。」 「戦う前に強くなってたよね、へんな装置を使って。」 「ふむ…遺跡か…」 遺跡という単語を聞き、少し考え込む… そして、何かを決意したように頷くと、自信の考えを口にした。 「よし、遺跡に行こう。」 「あぁ…とうとうアルト様に初めてを…///」 「さすが我等の主…最高だったぞ///」 「やはり、アルトの精はすばらしいの…いくらでも欲しくなってしまうぞ♪」 「…お兄様…///」 「初めてって…こんなに凄いんですね…勉強になりました///」 「ど…どうしてこうなった…」 幸せそうな笑みを浮かべ、ベッドに寝転がる5人。 その中央にで、力無く倒れている僕。 何があったのかは…ご想像にお任せよう… 「さて、遅くなったがご飯を食べるかの。」 「うぅ…力が抜けて立てない…」 「私が背負ってやるから問題ない。」 「貴方も一緒にいかがですか?」 「え?わ、私は…」 「…一緒に…駄目?…」 「う…いただきます。」 ぞろぞろと食堂へ移動する僕達。 あれだけやったのに皆元気だな…本当に凄い… あれ?よく考えたら、僕は全員とやったからこんな事になってるわけで… などと考えている内に食堂に着いた。 食堂には、紅茶を飲みながら新聞を読んでいるお父さんと、姉さんに抱き付かれて今にも犯されそうになっている兄さんと、忙しそうに食器を片付ける魔女三姉妹がいた。 「おそよう、随分とお楽しみだったようだな。」 「うぅ…おはよう…」 「アルト…お前も俺と同じ道を歩むことになるのか…」 「ハーレム状態だから同じではないよ…一部分だけは同じだけど。」 「クリス、兄妹や姉弟でというのはいい物だな!」 「…うん…♪」 あれだけ激しくやれば屋敷中に広まっていても仕方がないか… あぁ…今の僕の顔…真っ赤になってるだろうなぁ…恥かしさで。 「アルト、朝食を食べたら直ぐに出かけるぞ。」 「え?どこに行くの?」 「最近見つかった遺跡じゃよ、オリファーの奴が調査依頼を持ち込んできおっての。」 「なるほど。」 遺跡か…最近行ってなかったな… 朝食を食べたら直ぐに準備をしようかな。 「朝食を食べ終わったら三分で仕度をするのじゃ!」 「遅い、一分だ。」 「ワシが準備できなくなるじゃろうが。」 「そっか、それじゃあ三分で。」 「ジメジメして気持ち悪い…」 「足元がすべるから気をつけrうわっ!?」 「注意した本人が転んでどうする…」 「待った!今のはワザとじゃない!ワザとじゃないって!」 「ロイド…今のはあんまり面白く無かったと思うよ?」 「頼むから哀れんだ目で俺を見ないでくれ!」 うぅ…本当にワザとではないのだが… なんで俺ってこんな役回りばかりなのだろうか… そんな事を考えている内に最深部へと到着したようだ。 「行き止まりの様だな。」 「おかしいな、ここに来るまでに分岐点も無かったぞ?」 「あったのは少し広めな部屋だけだよね?」 「うーん…もう一度その部屋を調べてみようか。」 「こんなところに遺跡があったのか…」 「遺跡のようには見えんがの…さっさと調査して帰るとするか。」 「…お兄様…ここ…」 クリスの指差したところを見ると、真新しい足跡があった。 「先客が居るみたいだね。」 「そのようじゃな…本物の遺跡の可能性が出てきたの。」 「…ワクワク…」 遺跡の中へと入っていくと、少し入った辺りから足元が湿った苔に被われて滑りやすくなっていた。 注意して歩かないと滑って転んでしまうだろう… 「二人とも、足元が滑るから気をつけてね。」 「そういいつつ、アルトが転んだりしそうじゃな。」 「あはは…そんなベタなことなんて…」 そう言って笑った瞬間、片足が滑り、前のめりに倒れそうになった! とっさに、もう片方の足で思いっきり地面を蹴り、不安定な姿勢のまま前に飛んだ。 すると、僕の体は勢いよく回転しながら宙を舞い、5回くらい回転したところで苔の剥がれている地面の上に着地した。 一部始終を目撃し、唖然としている二人に向かって、僕は微笑みを向けた。 「…あるわけないだろう?」 「戻ってきたな。」 「ん?誰か居るみたいだぞ?」 「あ、あれってもしかして…」 数分掛けて小さな広間の様な部屋に戻ってくると、そこには見覚えのある奴が立っていた。 過去に二度も敗北し、公衆の面前で恥をかかせた張本人… 次の瞬間、俺は武器を取り、奴…アルトに飛び掛かった! 「ここは…広間かな?」 「そこまで広くないようじゃが…?」 「…お兄様…あれ…」 数分歩き続けて小さな広間の様な部屋にたどり着くと、そこには見覚えのある人が立っていた。 何度も僕に襲い掛かり、時には死闘を繰り広げ、時には竜姉妹に一撃で撃退されてきた人… 次の瞬間、僕は武器を取り、彼…ロイドに飛び掛かった! 「三度目の正直!今日こそは貴様を倒し汚名を返上してくれる!」 「二度ある事は三度あるって言うよね!残念だけど三度目も同じ結果になるんだよ!」 「ロイドの邪魔はさせない!ここで食い止めてみせる!」 「騎士如きがワシの邪魔をするか…面白い!止めれるものなら止めてみせるのじゃ!」 「この前の私とは違うわよ!何度も同じ手は通用しないんだから!」 「…お兄様を傷つけた…その恨みは忘れてない…」 それぞれが武器を振るい、魔法を撃ち、激しい火花を散らしながら戦っている。 大剣と槍が、騎士剣と鎌が、ロッドと大剣がぶつかり合い、一瞬の隙間も無く甲高い音が響き続けた。 すると突然、金属とは違った鈍い音が部屋中に響き渡った。 突然の不自然な音に気付き、全員が戦いの手を止める。 「な、何だ今の音は?」 「…凄く嫌な予感がするんだけど…」 「…今の鈍い音は何の音だ?」 「下の方から聞こえてきたの。」 「え?誰か魔法でも使ったの?」 「…魔力の流出は感じられない…」 戦いの手を止めた数秒後、先程とは比べ物にならないほどの轟音と共に、部屋の床が抜け落ちた! 支えを失い、なす術も無く落ちていく6人… しかし、少し落ちたところで底にたどり着いた。 二人を除いて、全員が上手く着地出来ずに地面に激突した。 「…よく着地出来たな俺…皆大丈夫か?」 「びっくりした…皆大丈夫?」 「いたた…私は大丈夫だが…」 「つぅ…腰を強打してしまったのじゃ…」 「私は大丈夫だよ、何か柔らかい物の上に落ちたみたいだから。」 「…それ…私…」 少しずつ落ち着きを取り戻し、周囲を見渡す。 先程の部屋の地下には、中央に柱が在り、壁によって一つの部屋が三つに仕切られていた。 仕切りにドアのような物は無く、高さ的にも乗り越えることは出来そうに無いだろう… 「バラバラになってしまったか…最悪の状況だな…」 「とりあえず、脱出方法を探さないとね…こっちには奥に進める通路があるけどそっちは?」 「此方にもあるな…行くしかないのか…」 「まさかこんな事になるとはのう…やれやれなのじゃ…」 「うぅ…何で敵と一緒に行動しなきゃいけないのよ…」 「…早く…降りて…」 「いいか?生き残る事を第一に考えるんだ、無駄な戦闘はするなよ。」 「とりあえず、生きてここから出よう、それまでは無茶はしないようにね。」 「分かった、二人とも気をつけてな。」 「こんな所はさっさと出てアイスでも食べに行きたいのう。」 「あ〜あ…なんでこんな事になっちゃったんだろう…」 「…二人とも気をつけて…それと…もうそろそろ降りて…」 仲間とはぐれ、敵同士だった者と行動を共にする事になった彼等… 複雑な思いを胸に秘めたまま、彼等は通路の奥へと姿を消していった…
10/11/15 05:14 up
読者ほったらかし気味の13話前編です。 禁断の兄妹愛…と見せかけてただのハーレムな乱交状態だったり、出反省会だったり、ベタなフラグを回収したり、フラグを圧し折ったりと、カオスな状態に… そして日に日に遅くなっていく更新速度!完全に停止する日も遠くない! もちろん、そんな事にならないように精一杯努力はしようと思っていたりいなかったりしますので、生暖かく見守ってくださいです。 白い黒猫
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