読切小説
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虫取り少年はパピヨンに祟られました。
 春の真っただ中。この時期は昆虫の活動が活発になり始める時期だ。
 僕の名前はトオル。昆虫採取が趣味の小学生だ。特に気に入っているのは蝶だ。綺麗な羽。そして繊細な体。全てが美しい。

「よし! 取れた! 最高記録だ!」
 僕は虫取り網で、今まで捕まえた中で一番大きなアゲハ蝶を捕まえた。

 捕まえたアゲハ蝶に、僕は農薬を調合して作った標本剤を注射して標本にした。

 僕は捕まえた虫を標本にしたり、解剖して研究したりするのが大好きだ。今まで何匹も蝶や蛾、カブトムシやクワガタ、クモなどを捕まえては、標本にしたり解剖したりしている。

「お! あれは! スズメバチだ!」

 スズメバチと聞くと、多くの人は恐れるだろう。しかし、僕はあらゆる昆虫の生態を知り尽くしている。スズメバチが攻撃的になるのは主に巣の近くのときだけだ。巣に居るスズメバチは巣や幼虫を守ろうとするため攻撃的だが、エサを取り出ている働きバチは、こちらから刺激しない限りは積極的に攻撃してくることは少ないのだ。
 自分の場合はむしろ、虫取り網で捕まえようとすると逃げられてしまうことが多い。

「やった! 捕まえた!」
 僕はスズメバチを虫取り網で捕え、スズメバチを入れる用の試験管に入れる。

 僕は家に帰った。僕の家は田舎の農家の家だ。父親と母親と僕の3人暮らしで、実家の離れには猟師をしているおじいちゃんが住んでいる。

 僕は捕まえたスズメバチの入った試験管を冷蔵庫で冷やし、アゲハ蝶を標本の枠に入れて飾った。
 机の中から解剖用の道具を取り出し、スズメバチを試験管の中から取り出して解剖の準備をする。スズメバチは平穏動物なので、極端に熱かったり寒かったりすると行動不能になってしまうのだ。冷蔵庫でたっぷりと冷やせば、すぐには復活しない。炎天下であればすぐに暖まって復活してしまう恐れがあるが、屋内であればそんなにすぐには復活しない。

 僕はまず、ピンセットとメスを使ってスズメバチの胴体を解剖する。
 あぁ、何て精密に作られているのだろう。生命の神秘が詰まっている。そして、スズメバチのお尻から針を抜く。このぷちっという感覚がたまらない。そして針についた毒袋。これが人間誰しもが恐れる源だ。
 スズメバチを捕まえたときは、生きたまま焼酎につけてスズメバチ酒を作っておじいちゃんにあげたり、あるいは毒針を抜いて油で揚げて食べたり(まずくはないが、甲虫独特のゴリゴリとした感触は好みが分かれる。幼虫は美味しい。)、あるいは今日のように解剖して楽しんだりする。

 スズメバチの解剖に夢中になり、気づいたら夕方になっていた。
「トオルー! ごはんよー!」
「はーい!」

 丸いテーブルに、両親と僕は座布団に座って夕食を食べる。
「トオル。今日、先生から学校に来なかったって電話があったわよ?」
「・・・」
「トオル! 聞いているの!? ほら、あなたからも何か言って!」
「トオル。学校には、ちゃんと行きなさい。いいね?」
「はい・・・。ごちそうさま。」
「トオル!」
 僕は食事を終え、食器を台所へ運んだあと、自分の部屋に戻った。

 僕はあまり学校に行ってない。サボったりしても怒るのは母親ぐらいだ。父親は根っからの仕事人間で、子育てについては母親に任せっきりだ。学校の先生も別に叱ったりはしない。むしろ、自分が行かない方がせいせいするんじゃないかな。前に職員室に用事があって入ったとき、先生の報告書に僕のことが書いてあって、「性格に問題あり。将来犯罪を起こす可能性が高く、小学校での更生が望まれる」と書かれていた。それでも、僕の担任の先生はお金のために、事務的に先生をやっているだけなので、あれこれうるさくは言って来ない。授業も、ただ教科書を読んだり、算数の問題を黒板に書いて、解き方を教えて自分で解いて終わり・・・という退屈なものだ。

 そして何よりも、僕は学校に馴染めてない。昆虫が好きという趣味が他の人にとっては気持ち悪いだけなのだ。
 昆虫を解剖したり、火であぶったり、手足をもいで水の中に投げ込んだり・・・この快感が何でみんなには分からないんだろう? みんなは僕を気持ち悪がり、「マニア野郎」「犯罪者予備軍」「サイコパス」といじめられたこともあった。それでも、僕は全然気にしていない。「こいつらは自分と合わない」としか思っていなかった。
 今はそれよりも、綺麗な蝶を捕まえたり、スズメバチを解剖したり、バッタやカマキリを火にかけたり、水に投げ込んでみたい。

 次の日、僕は朝食を済ませ、ランドセルを背負って家の扉を開けた。
「行って来ます!」
「今日はちゃんと学校へ行くのよ!」

 僕は学校へは行かず、森へ行った。今日も昆虫採取をするためだ。僕は虫取り網と虫カゴを取り出して、昆虫を探した。
「こりゃ! 学校はどうした! なぁ〜んてな!」
「お、おじいちゃん!  びっくりさせないでよ・・・」
 声の先には、猟銃を持ったおじいちゃんが居た。おじいちゃんは僕の数少ない理解者の一人で、僕の趣味に対しても「子供の頃から生き物に慣れ親しむのはいいこと」「将来はお医者さんになるかもしれない」と言ってくれた。そんなおじいちゃんを、僕は大好きだ。

 僕とおじいちゃんは土手に座り、おにぎりを食べた。
「トオル。魔物娘というものを知っているか?」
「マモノムスメ? 何それ? 妖怪やお化けとは違うの?」
「似たようなものじゃが、ちと違うのじゃ。それはもう、えらくべっぴんな美女の魔物での。おじいちゃんが子供の頃は、この近くにもたくさん居たのじゃ。」
「今は、居ないの?」
「おることはおるのじゃが・・・ほれ。この辺も、再開発で森が減って、自然が少なくなって来ているじゃろ?」
「うん。」
 僕の住んでいる村は古くからある村で、山の上の方にある。山を少し下った地域には、再開発されて建てられた市街地が存在する。たまに、母親やおじいちゃんが街まで連れて行ってくれる。
「魔物娘にとっては、自然がなくっている分、住みづらいのかもしれんのぉ・・・。あ、待てよ・・・確か・・・」
「なに? おじいちゃん。」
「もうワシが30代の頃の話じゃが、稲荷という狐の魔物娘と話をしたことがあっての、私達は森の奥に魔物娘の国を作ることにしたから、ワシにも来て欲しいと言われ、ついて行ったのじゃが、それはもう、凄い国じゃった! だが、後日一人で行こうとしても、どういうわけか見つけられなかった。それほど大きな森ではないのに・・・」
「道、忘れちゃったの?」
「そうかもしれんなぁ。まぁ、森の奥深くじゃから、人間の身では足場が悪くて行けないじゃろう。はたまた、稲荷に化かされて夢を見たのか、もしかしたらボケが始まってしまったのかもしれんの! はっはっは!」
「ふぅ〜ん・・・不思議な話だね。」

 おじいちゃんはよく楽しい話を聞かせてくれる。その中でも、魔物娘の思い出話はとても楽しい。でも、僕は魔物娘という物を見たことが一度もない。これも、学校に行っていないせいなのだろうか? 蝶の魔物娘とか居るのかな? 居るとしたら・・・捕まえてみたい!

 今日は日曜日。学校は休みなので母親からガミガミ言われたりはしない。今日は家族みんなで農業をしていた。
 畑はいつも、母親が管理している。しかし、休みの日は僕や父親、おじいちゃんもみんなで手伝う。

「コラー! スズメー! あ! ねずみもー!」
「こら! ちゃんと手伝いなさい!」
「はっはっは! 少年猟師じゃな!」
 僕はスズメやねずみを捕まえて、虫かごに入れた。

 農業が一段落したあと、もう遊びに行ってもいいと言われ、僕は森へ向かった。
「さてと。これから極刑の時間だ!」
 僕は先ほど捕まえたねずみを動けなくして、木工用ナイフでねずみの頭を切り落とした。
「よし! 次はおまえだ! 大切な野菜を食べた罪は死刑で償ってもらうぞ!」
 僕はスズメを手に取り、両方の羽を斬りおとして、川に投げ捨てた。

 スズメやねずみは作物を食べる害虫だ! それに僕の大好きな昆虫まで食べてしまう! だから僕が悪い害獣を退治してやるんだ!

 その後、僕は河原へ向かった。

「やったぞ! 七色全部の蝶を捕まえられるなんて、なんてラッキーなんだ!」
 僕は七匹の蝶に標本剤を打った。七匹の蝶の、七色の標本はとても綺麗で、絵になっている。僕はそれを満足げに眺めていると、背後から人の気配を感じた。

「ボク? ちょっといいかな?」
「なに? お姉さん。」
 僕の後ろには、金髪の綺麗な女性が立っていた。誰だろう? この辺では見かけない顔だ。田舎の村では誰でも顔見知りなので、出会う人は大抵知っているのだが・・・。
 お姉さんは河原の土手に、僕と一緒に座った。
「ボク、チョウチョが好きなの?」
「うん! 大好きだよ! 綺麗な羽をしているけど、実は体も繊細な作りをしていて綺麗なんだ。」
「そうなんだ。ふふっ ボクは虫博士なのね。」
「う〜ん・・・どうだろう? あの、お姉さんは誰?」
「あたしの名前は綾香。私も蝶が好きなの。」
「お姉さんも蝶が好きなの!? じゃあ、これ見てよ! この河原で、七色の蝶を捕まえたんだ!」
 僕は七色の蝶の標本を見せた。そういえば、このお姉さん、なんだかいい匂いがするような・・・。

 たまにテレビ番組でエッチなバラエティ番組を観ていて(大抵すぐ母親に消されてしまう)少しだけ興味を持つことはあったが、トオルはまだ異性に対して目覚めては居なかった。まして、学校へあまり行っていないので、トオルは人との付き合い方や距離感が分からず、まして異性を好きになるという感情を理解してもいなかったのだ。

「・・・かわいそう・・・」
「えっ!?」
 蝶の標本を見せた途端、お姉さんは悲しそうな顔をした。
「この子達、あなたに殺されちゃったのね・・・磔にされて・・・」
「え? は、磔って・・・ 僕はただ!」
「チョウチョ達も生きているのよ? あなたと同じ・・・命を持っているの。ほら、私も・・・暖かいの、分かる? これが命。」
「うわっ!」
 お姉さんは僕の手を握ると、僕の手をお姉さんの胸・・・いや、おっぱいというやつだろうか? 柔らかい物に触らせた。僕はびっくりして慌ててお姉さんの手を振りほどき、手を引っ込めた。

(いくら僕でも、女性のおっぱいを触ってはいけないことぐらいは知っている! なのにこの人・・・一瞬だったけど、柔らかくて・・・暖かかった・・・ああ、ダメだ! こんなことを考えちゃ!)
 考えまいとすればするほど、おっぱいの感触が頭をよぎる。それは、今まで異性を意識したこともなかったトオルにとっては、あまりに刺激が強すぎた。

「ぼ、僕、もう帰ります! それじゃあ・・・あれ!?」
 体が動かない! どうして!?
「ボク? 実は、この辺りで虫をたくさん捕まえて殺している悪い子が居るって、チョウチョのみんなが恐がっているのよ。」
「な、なにを言っているの!? お姉さん・・・」
「ほら、この子達も泣いてる・・・ボクにも聞かせてあげる。」
 一瞬、お姉さんの眼が赤く光った。


(痛い・・・痛いよ・・・!)
(やめて! 酷いことしないで!)
(痛い・・・イヤ・・・やめて!!)

「な、なにこれ!?」
 聞こえるはずのない声が、脳裏に響く。
「ほら、聞こえるでしょう? あなたが殺したこの子たちの声。」
「お、お姉さん、一体僕に何をしたの!?」
「ふふふっ・・・いい? ボクは今までたくさんのチョウチョの尊い命を奪ったの。たくさんのチョウチョを殺したの。」
「僕、そんなつもりじゃあ! 僕はただ、蝶が好きで・・・綺麗な蝶を標本にして飾りたかっただけで!」
「だから・・・ボクにもチョウチョの気持ちを、味合わせてあげる。」
 次の瞬間、お姉さんの服が黒いドレスに変わり、頭からは触角が生え、大きな羽が生えた。それはまさに、大きな蝶の姿をした女性だった。

「うわああああ!! お化け!」
「失礼ね! あたしはパピヨンっていう魔物娘!」
 魔物娘・・・確か、おじいちゃんが言ってた・・・。
 パピヨンは再度、眼を光らせ、それを見た僕は体が動かなくなった。

「どう? 指一本動かないでしょう?」
「た、助けて・・・」
「あなたに標本にされたチョウチョも、同じことを思っていたはずよ?」
「ご、ごめんなさい! もう蝶を標本にしたりしないから! 許してください!」
「ダメ。許さない。ボクはとてもいけない子なの。だからお姉さんにお仕置きされるの。」
「な、なにこれ!? ヒッ!」
 パピヨンの触角が僕の耳に挿入される。そして耳の中をうごめいた。
「あっ・・がっ・・・(どんどん奥に入っていく・・・な、なにこの感覚!?)」
 耳の中を這い回る柔らかい触角。敏感な耳の奥をかき回される感覚は、恐怖心と共に、何とも言えない快感を生み出し、訳が分からなくなる。
「あら、大分耳垢が溜まってるわね? ダメよ? 清潔にしないと。ちょっとお姉さんが耳掃除してあげるわね。」
「ひいっ!!」
 次の瞬間、パピヨンの触角がさらに激しくうごめいた。そして、ついには鼓膜にまで触角が達した。

「ひぎっ! な、なにこれ!?」
「この、薄い膜は分かる? これが鼓膜。音を聞き取るために必要な物なの。」
「あ・・・あがっ・・・」
 鼓膜を触角が這い回る。体全体がゾクゾクして、頭の中を犯されているような感覚に襲われる。
「ふふっ ツ〜ンツンッ ツ〜ンツンッ」
「や・・・やめて・・・お願い・・・」
「こしょこしょ・・・こしょこしょ・・・」
「ひぎっ・・・た・・・助けて・・・」
「この鼓膜の奥に、脳みそがあるのよねぇ。分かる? この鼓膜を破って・・・さらに奥の脳みそを・・・お姉さんに犯されちゃうの!」
「や・・・やめて・・・ごめんなさい・・・やめてください・・・」
「どうしよっかな〜♪ なぁ〜んて・・えいっ!」
 次の瞬間、僕の耳の奥の鼓膜が破られた。
「あああああああああ!!」
 トオルは全身が痺れるような感覚に襲われ、体中を強い快楽が駆け抜ける。そして、股間からは盛大な精通によってできたシミが確認できる。
「あら? あなたまだだったのね。鼓膜処女喪失と同時に精通して大人になった気分はどう? て、まともに答えられる状態じゃないわね。」

 普通の状態であれば、こんなことをすれば激痛でのたうち回り、下手したら耳が聞こえなくなるだけではなく、深刻な後遺症、あるいは出血多量による出血死もあり得るだろう。
 しかし、パピヨンの魔力によって、トオルの耳は今性感帯となり、苦痛も打ち消されている。まして、パピヨンの臭いを間近でずっと嗅いでいるのだから、その快感は通常の人間の女性相手では到底味わえるものではないだろう。

「どう? 鼓膜に穴が空いても聴こえるでしょ?」
 パピヨンはさらに触角を耳の奥に挿入させ、ついには脳にまで達した。
「あああああああああ!!」
「これからぁ・・・ボクの脳みそをぐちゃぐちゃに弄ってあげるねぇ。」
「ややや・・・やめめめ・・・やめ・・」
「ふふっ ちゃんと喋ってくれないと、お姉さん分からないなぁ〜」
 トオルは人間離れした快楽により、呂律が回らなくなった。
 脳を直接犯され、弄られる感覚。それはまだ幼い少年にはあまりに強すぎる快感だ。普通の人間ならば脳が耐えきれず気絶してしまうだろうが、パピヨンの触角によって脳の一部が書き換えられ、気絶することを許さない。それと同時に、何十倍もの快楽を生み出すように脳を弄られ、快感を生み出す快感回路を広げられる。さらには精子を作る量を通常の人間の数十倍にも高め、勃起の持続性までもが大幅に高められ、萎えることすら許さない。

 今まで、射精もしたことなければオナニーすら知らなかった少年にとって、パピヨンのもたらす快感は、思い出を通り越してトラウマになってもおかしくなかった。

「ああああ!! なぁ・な・・なにごへぇ・・・!!」
「精通もしていなかったのなら知らないわね。これは射精というのよ。男の子が気持ちよくなったときにするものなの。そして、この白いおしっこは精子って言うの。ボクの赤ちゃんの元。そして、この精子が女の子の・・・て、あら? ほとんど聞いてないわね。」
 トオルはあまりの快感に何回も連続で射精し、ついには失禁してしまった。

 ようやくトオルがパピヨンの綾香から解放されたのは夕方になってからだった。ズボンは精子とおしっこでベトベト。鼓膜は再生されて張り替え、命に関わるような後遺症はない。しかし、綾香により弄られた体の感度はそのままだった。
 そして、まだ知らない、性の知識までもが植え付けられた・・・。

 気が付いたときにはパピヨンの綾香はどこかへ飛び去り、トオルは意識がもうろうとした状態で河原で倒れていた。
(なんだったんだろう・・・あれが・・・魔物娘・・・僕・・・白いおしっこ・・・いっぱいおもらししちゃった・・・)

 僕は何とか体を引きずり、裏手から家に入って、ベトベトのパンツとズボンを脱いで洗濯機に入れた。
(うう・・・なんだろう・・・この臭い・・・イカ臭い・・・)

 その後、僕はすぐに自分でお湯を沸かしてお風呂に入った。

 夕食のとき、僕は母親から「あのズボンの汚れはなに!?」と怒られたが、なんとか適当に誤魔化した。

 夜。すっかり寝静まった時間帯だが、僕は体中がムラムラしていた。今まで一度も試したことのなかった(知らなかった)オナニーを試してみたが、パピヨンによって植え付けられた強い快感を脳が覚えてしまい、自分では到底射精することが出来なくなってしまった。

(眠れない・・・ムラムラして・・・興奮して・・・バクハツしちゃいそう!)
 理性より本能が勝り、気づいたら僕は家を飛び出し、夜の森へ走って向かった。

 夜の森は、見通しも悪く、迷いやすく、何よりも恐い・・・しかし、今の僕には恐怖心は全くなく、あのときのパピヨンにもう一度会いたいという気持ちでいっぱいだった。
 森の中を無我夢中で走り続ける。どれだけ走り続けたのか分からない。そんな中、嗅ぎ覚えのある香りが鼻をつく。
「あのお姉さんの香りだ!」

 香りがする方向へ、僕は複雑な道中、木々をかき分けながらひたすら走り続けた。

 やがて、ひらけた村のような場所に出た。そして、大きい木造の一軒家からその臭いは出ていた。僕は扉を開けようとしたが、鍵がかかっているのか開かない。
「開けて! お姉さん! 僕だよ! 開けて!」
 ガチャッ
 鍵の開く音がすると同時に、僕は扉を開け、そして玄関から廊下を突き抜け、居間と思われる広い部屋に出た。

「お姉さん!」
「あら、あのときの。どうしたの?」
 お姉さんはパピヨンの姿をしていた。
「お姉さん助けて! おちんちんが・・・ばくはつしちゃいそうで・・・でも、自分じゃあどうにもならなくて!」
「そうね。だって、そう弄ったのだから・・・ふふふ。」
「お願い助けて! このままじゃあ眠れないよ!」
「そうねぇ・・・ボク、名前は?」
「トオルです!」
「そう。じゃあ、トオル君。これからはあたしと結婚して、ずっとこの村に居ること。」
「け、結婚!?」
「ええ。もうお家には帰れないわよ? そして、ずっと私の傍に居ること。勿論、チョウチョを捕まえたり、殺したりしてはダメよ? そんなことをしたら、私はあなたを置いて遠くへ行っちゃうから・・・」
「嫌だ! お姉さんと会えなくなるなんて嫌だ! どこにも行かないで!」
「大丈夫よ。トオル君が約束をちゃんと守ってくれれば・・・。約束してくれる?」
「うん! 約束する!」
「そう。それじゃあ、あなたは今日から私の夫、そして私はあなたの妻の綾香よ。」
「うん! 綾香お姉ちゃん!」
「それじゃあ、そこに横になりなさい(お姉ちゃんか。まぁ、幼いうちは仕方がないわね)」

 僕は布団に横になり、綾香お姉ちゃんが僕の服を脱がせる。そして僕の体の上を股を開いて羽ばたき、女性のおまんこを露わにする。
「どう? これがおまんこ。女の子の大切な場所。見るのは初めてかしら?」
「う、うん・・・見てるだけで興奮する・・・」
「ふふっ トオル君はエッチなのね。それじゃあ、挿れるわね。」
 綾香お姉ちゃんは僕のペニスを膣に挿入し、一気に腰を落とした。次の瞬間、僕は盛大な花火を打ち上げていた。
「あら? 挿れただけで出しちゃったの? せっかくの童貞卒業だったのに・・・」
「ご、ごめんなさい・・・」
「いいのよ。夜は長いもの。さ、動くわね。」
 綾香お姉ちゃんはいやらしく腰を振る。僕のペニスが綾香お姉ちゃんの膣に出たり入ったりするのを見ると、興奮が高まり、射精したいという気持ちが強くなる。

(綾香お姉ちゃんのおっぱい・・・激しく揺れてる・・・そういえば・・・あのとき触ったとき・・・柔らかくて・・・暖かかった・・・)

「ふふっ おっぱいに興味があるの?」
「え!? えっと・・・」
「恥ずかしがらなくていいのよ。男の子はそういうものだから。遠慮しないで触って。」
「う、うん・・・」
 僕はそっと、綾香お姉ちゃんのおっぱいに手を伸ばす。

「柔らかくて暖かい・・・」
「んんっ いいわ。」
 僕は綾香お姉ちゃんのおっぱいを揉んだり、動かしたり、乳首をつまんだりする。綾香お姉ちゃんは甘い声を漏らす。お姉ちゃんも気持ちよくなっているみたいだ。
 綾香お姉ちゃんの体から、甘い匂いがする・・・僕は気づいたら、おっぱいの谷間に顔を埋めていた。
「綾香お姉ちゃん!」
「ふふっ 可愛い。どう? 柔らかいでしょう?」
「うん。」
 おっぱいの谷間。綾香お姉ちゃんの甘い匂いが充満している。その匂いが、僕をもっとエッチな気持ちにさせる。

「実はね、私の匂いを嗅ぐと興奮してエッチになっちゃうの。」
「えっ!?」
 僕は慌てて顔を離そうとするが、綾香お姉ちゃんはそれを許さず、頭の後ろに手を回して抱き寄せた。
「んぷっ!」
「ほら、乳首。お乳はまだ出ないけど・・・どうかしら?」
「甘くて・・・美味しい。」
「んんっ いいわっ トオル君上手よ!」
 僕は綾香お姉ちゃんのおっぱいの乳首を、吸ったり、舌で転がしたりする。乳首からは、さらに強い香りが鼻をつく。

「ひいぃっ! お姉ちゃん!?」
「大丈夫よ。恐がらないで。」
 綾香お姉ちゃんの触角が僕の耳の中に入る。そして、耳道、鼓膜、中耳、内耳・・・そして脳へと挿入され、脳の快感回路を直接刺激される。
「あああああああっ!!」
 次の瞬間、僕は盛大な射精をした。さらに、連続で透明の、精液とは違いドロッとしていない、サラッとした液体を出した。
「あら? 今度は潮吹きね。」
「しぃ・・しおっ!?」
「これも男の子が気持ちよくなると出すものだけど、潮はもっと気持ちよくなったときに出るものなの。うん! 精子も美味しいけど、潮もしょっぱくて美味しいわ!」
 綾香お姉ちゃんは手に着いた精液と潮を美味しそうに舐めとる。

「そうだ! せっかくだから、トオル君のおっぱいも味合わせて欲しいな。」
「えっ!? ひぅっ!!」
 綾香お姉ちゃんは、僕の耳を犯したまま、僕の胸に顔を近づけ、舌で僕の乳首を舐めた。
「ひぃぃ!! 何これ!? おっぱいがジンジンするぅ!!」
「あら? トオル君は男の子なのにおっぱいが感じちゃうエッチな男の子なのね。」
「そそそ・・そんなぁ あぎっ!!」
 綾香お姉ちゃんは僕の乳首を甘噛みする。決して痛いほど強く噛んだわけじゃないが、軽く噛まれた歯が、舌とは違った感触を生み出す。
 そして、僕はまたしても射精してしまった。
「ふふっ 脳をちょっと弄ったのは抜きにしても、元々トオル君は淫乱乳首の素質があったみたいね。それなら・・・」
 ジュルルルルル!!
「あああああああ!!」
 僕の頭の中を触角が刺激する。すると、僕の乳首の乳腺が広がって大きな穴が開く。綾香お姉ちゃんは、唾液を舌と唇で強引に僕の乳首に流し込む。

「ふふっ トオル君、女の子みたい。」
「なな、何これ!? 僕の胸が・・・」
 僕の胸は大きく膨らみ、まるで女の子みたいになってしまった。
「おお、お願い! 戻に戻して!!」
「あら? せっかく可愛いのに、勿体ないわ。せっかくだから、しばらく楽しみましょう。」
 綾香お姉ちゃんは脳の一部に触角を這わせる。すると、さっきまで大きく開いた乳腺が閉じてしまった。出口を失った僕のおっぱいの中で、綾香お姉ちゃんの唾液が暴れる!
「や、やめて! 揉まないで!」
「ふふっ 嘘をついちゃダメ。トオル君がおっぱいを揉まれて感じているの、分かっているの。」
 ちゅうううううう!
「ああああああ!!」
 綾香お姉ちゃんは今度は僕の乳首を思いきり吸う。唾液がおっぱいの中で乳首に向かって吹き出そうとするが、固く閉ざされた乳腺がそれを許さない。
「それじゃあ、そろそろ誓いの時よ。」

 今度は綾香お姉ちゃんが下に寝て、僕を上に乗せる。
 僕は本能的に体を動かし、綾香お姉ちゃんは触覚で脳を刺激する。
「ああああ!! もうダメ! 出る!! ・・・なんでっ!?」
「ふふっ 驚いた? 今トオル君の脳みそを弄って、尿道を閉めちゃったの。だから出したくても出せないでしょう?」
「そんな! お願い出させて! 破裂しちゃいそうだよ!」
 僕のペニスから大量の精液が登ってくるが、固く閉じられた尿道が、精液を逆流させ、射精したようなぶるぶると震える感覚はあっても、出したい物を出し切れない不達成感にさいなまれてしまう。精液がまだ股間に残っている感覚が、射精したいという射精欲と、射精できないもどかしさで、気持ちいのか辛いのか、どちらとも言えない感覚になる。

 それでも綾香お姉ちゃんは容赦なく腰を振り、僕の体を強引に動かして射精を促す。さらには触角が脳を撫でまわし、射精欲を加速させる。僕は絶頂を迎えるたびに、イッたのにイケていない不達成感ともどかしさに襲われ、理性を失い、気絶しそうになるが、気絶することを僕の頭の中の触角は許さなかった。

「トオル君。イキたい?」
「イぎだいぃっ!! イカぜでぇっ!! おじっこ!! だざせでぇ!!」
「それなら、トオル君に誓いの儀をしてもらうわ。」
 周囲が紫色に光る。

「生き物をむやみに殺さない。蝶を捕まえたり標本にしたりしない。誓う?」
「誓うっ!! 誓うからぁ!!」
「夫となって、一生私の傍に居て、永遠に私と暮らす。誓う?」
「誓う!」
「私の言うことは必ず聞く。そして永遠に私を愛し続ける。誓う?」
「誓う!!」
「もうお家には帰れなくて、パパやママとは会えなくなるけど、いい?」
「いい!」
「それならトオル君。私に誓いなさい。そして、愛の告白をしなさい。」
「僕は綾香お姉ちゃんと結婚する! 綾香お姉ちゃん大好き! だからイカせて!」
「そんなものでは足りないわ。もっと、心の中のものを全てぶつける気持ちで告白しなさい。」
「綾香お姉ちゃん大好き! ずっと綾香お姉ちゃんの傍に居る! 大きくなっても大人になってもおじいちゃんになっても! もう蝶を標本にしたりしない! お姉ちゃんが居ればそれでいい! お家に帰れなくなってもいい! パパやママと会えなくても寂しくない! 綾香お姉ちゃんが居れば寂しくない! 綾香お姉ちゃん大好き! ずっとずっとエッチなことしたい! たくさんエッチしたい! 僕はお姉ちゃんと結婚する! だからイカせてぇ!!」
「はい。よく出来ました。しっかり、トオル君の心・・・伝わったわ。それじゃ・・・イカせてあげる!!」
 僕の脳の一部を触角が強く刺激する。僕は腰に力を込めてペニスを綾香お姉ちゃんの中の一番奥へ突き上げる。
 綾香お姉ちゃんは僕の膨らんだおっぱいを強く握る。

 次の瞬間、僕はおっぱいから大量の綾香お姉ちゃんの唾液を、おちんちんから大量の精液を放出した。
「あがあああああああ! ひぎぃぃぃぃ!! あへえええぇぇぇ!!」

 もう何も考えられない。絶頂の瞬間が永遠とも思えるほど長く続く。僕の体が爆発してしまいそうなぐらい、意識が高いところに行ってしまったかのように・・・。
 最後に僕は盛大に、おちんちんとおっぱいから噴水を出して、綾香お姉ちゃんの胸にへたり込んだ。

「ふふっ・・・これでトオル君は私だけのもの・・・誰にも渡さない・・・誰にも邪魔はさせない・・・ずっとずっと・・・永遠にこの村で一緒に暮らして・・・たくさん気持ちよくなろうね・・・」

 この村は魔物娘達が森の奥に作った村。村の周囲には結界が張っていて、外からの侵入者を拒んでいる。
 村には魔物娘、そして夫となった少年や幼子が暮らしている。

 この田舎の村には、神隠しの言い伝えがあった。人間の幼い男の子が、ある日忽然と姿を消してしまうのだ。大人たちが大勢で、どれだけ探しても手掛かり一つ見つけられないのだ。
 神隠しにあった子供は、魔物娘と一緒に、魔物娘の村で幸せに暮らしている。

 その後、トオルの失踪を知った両親は警察に捜索願を出し、村中の大人たちが森や山を探したが、トオルが見つかることはなかった。

「またか・・・消えたのは、幼い男の子だっけか?」
「ああ。この村には昔から神隠しの言い伝えがある。決まって、幼い男の子が失踪してしまうんだ。一体どうなっているんだ・・・?」

「ええ、みんなのお友達のトオル君が、昨日からお家に戻っていません。今、大人たちや先生達、そして警察も懸命に探しています。みんなも、早くトオル君が戻って来れるよう祈ってください」
「トオルの奴どうしたんだろう? 珍しい虫でも捕まえに行ったのかな?」
「熊に食べられちゃったんじゃないの?」
「変なことばかりしているからバチが当たったんだ!」
「そうだよな! あいつは戻って来ない方がいいよ!」
「そこ。静かにしてください。授業を始めます(まぁ、教師としてこんなことを思うのは不謹慎だけど、戻って来ない方が面倒な生徒が一人減って楽だわ)」

 僕は今、魔物娘の村で、パピヨンの綾香お姉ちゃんと暮らしている。あの日のあと、村で正式に結婚式が行われ(実際には婚姻の魔法を既に使っていたため、結婚式時は既に夫婦だった)、僕たちは夫婦となった。
 綾香お姉ちゃんとの約束通り、僕は虫や小動物を捕まえたり、標本にしたり、解剖したりすることはしなくなった。もっと楽しいことを綾香お姉ちゃんが教えてくれたからだ。
 僕と綾香お姉ちゃんは、毎日花の密を吸ったり(僕は人間なので吸えないので、綾香お姉ちゃんが口移しで吸わせてくれる。蜂蜜みたいで甘くて美味しい)、農作業をしたり、綾香お姉ちゃんに抱きかかえられて空を飛んで散歩をしたりしている。
 そして夜は一緒にお風呂に入ったり、セックスしたりしている。あの日以来は、綾香お姉ちゃんの方から積極的に誘って来ることは少なくなった。逆に、僕から綾香お姉ちゃんに求めることが多くなっているが、綾香お姉ちゃんは拒まずにいつでも応じてくれる。
(不思議と、綾香お姉ちゃんの匂いを嗅ぐと、エッチな気分になっちゃう。)

 当初は耳姦や脳姦、射精管理などの過激なプレイが多かったが、今ではある程度落ち着いて、脳姦されることは少なくなり、耳姦も軽く耳掃除程度に触角でくすぐるだけになった。射精管理も、気が狂うほど焦らされることはないが、それでも焦らされるのは辛い。しかし、我慢すればするほど、気持ちよくイクことができるので、自分でもいいことなのか悪いことなのか分からない。
 綾香お姉ちゃんは僕の乳首を弄ることが気に入っているみたいで、開発された僕は今では乳首だけでイッてしまう。

 綾香お姉ちゃんは家事がとても上手で、料理はいろんな物を作ってくれるが、どれも美味しい。
(トオル君が食べているところを見ると興奮しちゃうなぁ・・・お茶に混ぜられた私の鱗粉、サラダにちょこっと混ぜた私の愛液。そしてそのケチャップ。あたしの血がわずかだけど、混ぜてあるのよ・・・ああ、塩をそんなに振りかけて・・・でも、体に悪いなんてことはないわ。だって、私の脇の汗を集めて作ったの・・・ふふふっ)

 トオルは現在は成人した。しかし、容姿は小学生のままで、外見は歳を取っていない。綾香は魔素を含んだ香りを常にトオルに嗅がせているため、それを毎日吸っているトオルは、衰えることは無いのだ。

 トオルの失踪から数日後、おじいちゃんの元に手紙が届いた。
 住所は存在しないはずの番地の村名だったが、トオルの字であることはすぐにわかった。

 〜おじいちゃんへ〜
 ぼくはげんきです。
 ぼくはいま、あやかというチョウチョのマモノムスメといっしょにくらしています。

 ぼくとあやかおねえちゃんはけっこんしました。ぼくはとてもしあわせです。
 いつかかならず、おじいちゃんにあいにいきます。しんぱいしないでください。

 パパやママにいうと、おこられちゃいそうでこわいので、ないしょにしてください。

〜トオルより〜

 そっか。トオルは魔物娘と結婚したんだな。トオルはまだ子供だが・・・トオルが幸せならそれでいいだろう。
 ワシも昔、河童や稲荷、ゆきおんなや提灯おばけと遊んでいた。
 しかし・・・ワシが小学校の高学年になるにつれて・・・会う回数も減って・・・中学生になる頃には、忘れてしまっていた。
 どうしてじゃろう・・・? ワシの勝手な解釈じゃが、きっと、ワシが大人になってしまったせいじゃろうなぁ。もしかしたら、魔物娘は近くに居るのかもしれん。しかし、年寄りのワシには、もう見えないのかもしれんなぁ・・・。
 きっと、純粋なトオルの心に、魔物娘も惹かれたのじゃろう。そして、魔物娘と一緒なら、ずっと、純粋な心のままで居られるということなのじゃろう。
 トオル。幸せになるんじゃぞ。
18/08/28 23:57更新 / 幻夢零神

■作者メッセージ
耳姦、脳姦というマニアックなジャンルに挑戦してみました。
前々からパピヨンのSSをいつか書いてみたいと思っていましたが、中々アイディアがまとまらず、気づいたらマニアックなシチュと合わせるという形になっていました。
今回のパピヨンは、図鑑の表記からズレていて違和感を覚える読者が多いと思います。
今度はもっとパピヨンらしいパピヨンを書いてみたいです。

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