命がけ(?)鬼ごっこ
さて、今日も召喚やってみよ〜♪
今回は何が出てくるかな〜。そんな事を思いながら、もう慣れた手つきで召喚の準備を整え、暗記してしまった詠唱をする。すると今回も白煙が上がって人影が見える…と思ったら、いきなりその人影が私に突っ込んでいって、当然ながら私は押し倒される形になった。それは、見た目は人間だけど灰色の獣耳と尻尾、そして体毛がところどころにある、ワーウルフという種族。あれ?これってものすごく状況的にまずいんじゃ…?
「えっと…噛みついたりとか、しないよね…?」
ダメもとで聞いてみる。
「え?駄目?」
「できればやめてほしいかな〜…なんて…」
「はぁ…。じゃあなんでわざわざ呼び出したんだ?こんなところに」
ワーウルフは私から離れて、あぐらをかいて座る。
私は今までのように状況を説明した。そして互いに自己紹介をする。彼女の名前は、ルゥというらしい。口調のわりには可愛い名前だなぁ、なんて、口が裂けても言えない…。
「なるほどなぁ…。あ、じゃあさ、鬼ごっこしない?いくら別世界ったって、原っぱぐらいはあるだろうし」
「確かに原っぱ(庭)はあるけど…どっちが鬼をやる?」
「そりゃあもちろんあたしだろ?捕まえられたら、同族にもできるし」
「じゃあされでやろう!」
たぶん同族にするのは冗談だと思うし、スリルもあるから楽しめそう。
そんなこんなで、私とルゥは庭で鬼ごっこをする事になった。家の中もありだけど、大切なものをしまう部屋に入らない(ドアを閉めておく)とルールを決めて、私は10数えるまでに身を潜める。
どこがいいかなぁ。あ、そうだ、意外と倉庫の裏とかは身を潜めるのにちょうどいいかも。
「1、2、3…」
数える声が聞こえてくる。急いで私は、倉庫の裏で身を潜めて、ある程度時間を稼ぐ。時間は1時間。少しでも逃げる時間が減らせたら、有利になる。
あ、足音が近付いてくる…。あれ?もしかしてバレてる!?
「獲物の匂いは嗅ぎ付ける〜♪なんてね」
ルゥは機嫌良さそうに近付いてくる。
あ、すっかり忘れてた…。狼も犬科だから、嗅覚でバレるじゃん!消臭用の何かを仕掛けて置けばよかったなぁ…。でもまだ手はある!私は倉庫の裏から出て、場所を変えるべく逃走を開始した。
「あ、見つけた!」
ルゥはいきなりの私の出現に驚いて、捕まえる隙を逃す。そしてすぐに我に返って、私を探し出すはず。
ルゥはたぶん私の匂いを嗅ぎつけて追ってくる。だったら、私の身に着けているものを使って誘導すれば、まく事ができるはず。まずは自分のスカートのポケットに入っているハンカチを手に持って、家の中に入る。そして居間で隠れられそうな場所にハンカチを置いて、私は2階の自分の部屋のクローゼットに隠れる。こうすればきっと…。
ールゥ視点ー
はぁ〜。あの時に捕まえられていたら…。あたしは後悔しながら、美羽の逃げた先へ走って行く。それにしてもワーウルフであるあたしよりもかなり早く走れる美羽…でも確かに人間の匂いはするし…何者!?
そんな事を考えながら、あたしは家の中に入った。家具とかに隠れていたり…するな。これはオルガンの裏か。そう見当をつけてオルガンの裏を覗き込むと…そこにはハンカチ一枚が堕ちているだけ。騙された!と思いつつも、なかなかやるなと感心してしまう。こういうのも悪くはないな。
玄関が開く音はしないし、美羽はまだこの家のどこかにいるはず。同族を増やす為にも、頑張るか!
ー美羽視点ー
玄関の開く音。たぶんルゥが入ってきた。真っ先に私がおとりとして置いておいたハンカチに気付いて、そこにいるのかもしれない。という事は、確実に私の居場所に近付いてくるわけで…かといって外に出てしまえば、玄関を開けた音に気付く。どうにかして静かに外に出られないかな。2階から降りるのは容易だけど、音が立ってしまう。かといって、1階も危ない…。なんて事を考えているうちに、2階の階段を登る音が聞こえてくる。あ、そうだ。今から2階に来るのなら、外に出られれば…!
私はクローゼットから出て窓から外に降りる。少し体に負担がかかったけど、特になんともない。さすがに窓から降りるだなんて想像はしないだろうから、私は物陰で体力を温存する。
だけど、甘かった。
ルゥは開いている窓を見て飛び降りたのを察して、ルゥも窓から降りた。さすが狼といったところか、ちゃんと受け身をとって衝撃を防いでいる。そして、私に近付いていく。そして私が逃げようとしたその瞬間…。
1時間…つまり、12時を告げる教会の鐘が聞こえてきた。鬼ごっこの終わりだ。
「ふぅ…疲れた…」
私は安堵から、思わずその場に座り込む。そこにルゥも来て、隣でしゃがむ。
「それにしても、あたしの走りから逃げてさらにおとりまで作る余裕があるって…美羽、本当に普通の人間?」
「普通の人間だよ。ただ、スリルがあるものにはけっこう強いのかも」
「なるほどなぁ…。あたし、はっきり言って人間を甘く見てた。どんな状況でもぱっと行動できるのはいいな」
「じゃあその特訓でもやってみる?」
「え!?本当に?」
「もちろん。遊びに付き合ってくれたお礼でもあるし♪」
こうして、ルゥと私は互いに疲れきるまで体を動かした。久しぶりの運動も楽しいなぁ。
そいて翌日に元の世界に帰す際にルゥは言った。
「もしあたしにまた会ったら、今度は負けないからな!」
これは宣戦布告?まぁ、今後会う機会があれば、またやってみたいかも。
そんな事を思いつつ、私はルゥを見送った。
今回は何が出てくるかな〜。そんな事を思いながら、もう慣れた手つきで召喚の準備を整え、暗記してしまった詠唱をする。すると今回も白煙が上がって人影が見える…と思ったら、いきなりその人影が私に突っ込んでいって、当然ながら私は押し倒される形になった。それは、見た目は人間だけど灰色の獣耳と尻尾、そして体毛がところどころにある、ワーウルフという種族。あれ?これってものすごく状況的にまずいんじゃ…?
「えっと…噛みついたりとか、しないよね…?」
ダメもとで聞いてみる。
「え?駄目?」
「できればやめてほしいかな〜…なんて…」
「はぁ…。じゃあなんでわざわざ呼び出したんだ?こんなところに」
ワーウルフは私から離れて、あぐらをかいて座る。
私は今までのように状況を説明した。そして互いに自己紹介をする。彼女の名前は、ルゥというらしい。口調のわりには可愛い名前だなぁ、なんて、口が裂けても言えない…。
「なるほどなぁ…。あ、じゃあさ、鬼ごっこしない?いくら別世界ったって、原っぱぐらいはあるだろうし」
「確かに原っぱ(庭)はあるけど…どっちが鬼をやる?」
「そりゃあもちろんあたしだろ?捕まえられたら、同族にもできるし」
「じゃあされでやろう!」
たぶん同族にするのは冗談だと思うし、スリルもあるから楽しめそう。
そんなこんなで、私とルゥは庭で鬼ごっこをする事になった。家の中もありだけど、大切なものをしまう部屋に入らない(ドアを閉めておく)とルールを決めて、私は10数えるまでに身を潜める。
どこがいいかなぁ。あ、そうだ、意外と倉庫の裏とかは身を潜めるのにちょうどいいかも。
「1、2、3…」
数える声が聞こえてくる。急いで私は、倉庫の裏で身を潜めて、ある程度時間を稼ぐ。時間は1時間。少しでも逃げる時間が減らせたら、有利になる。
あ、足音が近付いてくる…。あれ?もしかしてバレてる!?
「獲物の匂いは嗅ぎ付ける〜♪なんてね」
ルゥは機嫌良さそうに近付いてくる。
あ、すっかり忘れてた…。狼も犬科だから、嗅覚でバレるじゃん!消臭用の何かを仕掛けて置けばよかったなぁ…。でもまだ手はある!私は倉庫の裏から出て、場所を変えるべく逃走を開始した。
「あ、見つけた!」
ルゥはいきなりの私の出現に驚いて、捕まえる隙を逃す。そしてすぐに我に返って、私を探し出すはず。
ルゥはたぶん私の匂いを嗅ぎつけて追ってくる。だったら、私の身に着けているものを使って誘導すれば、まく事ができるはず。まずは自分のスカートのポケットに入っているハンカチを手に持って、家の中に入る。そして居間で隠れられそうな場所にハンカチを置いて、私は2階の自分の部屋のクローゼットに隠れる。こうすればきっと…。
ールゥ視点ー
はぁ〜。あの時に捕まえられていたら…。あたしは後悔しながら、美羽の逃げた先へ走って行く。それにしてもワーウルフであるあたしよりもかなり早く走れる美羽…でも確かに人間の匂いはするし…何者!?
そんな事を考えながら、あたしは家の中に入った。家具とかに隠れていたり…するな。これはオルガンの裏か。そう見当をつけてオルガンの裏を覗き込むと…そこにはハンカチ一枚が堕ちているだけ。騙された!と思いつつも、なかなかやるなと感心してしまう。こういうのも悪くはないな。
玄関が開く音はしないし、美羽はまだこの家のどこかにいるはず。同族を増やす為にも、頑張るか!
ー美羽視点ー
玄関の開く音。たぶんルゥが入ってきた。真っ先に私がおとりとして置いておいたハンカチに気付いて、そこにいるのかもしれない。という事は、確実に私の居場所に近付いてくるわけで…かといって外に出てしまえば、玄関を開けた音に気付く。どうにかして静かに外に出られないかな。2階から降りるのは容易だけど、音が立ってしまう。かといって、1階も危ない…。なんて事を考えているうちに、2階の階段を登る音が聞こえてくる。あ、そうだ。今から2階に来るのなら、外に出られれば…!
私はクローゼットから出て窓から外に降りる。少し体に負担がかかったけど、特になんともない。さすがに窓から降りるだなんて想像はしないだろうから、私は物陰で体力を温存する。
だけど、甘かった。
ルゥは開いている窓を見て飛び降りたのを察して、ルゥも窓から降りた。さすが狼といったところか、ちゃんと受け身をとって衝撃を防いでいる。そして、私に近付いていく。そして私が逃げようとしたその瞬間…。
1時間…つまり、12時を告げる教会の鐘が聞こえてきた。鬼ごっこの終わりだ。
「ふぅ…疲れた…」
私は安堵から、思わずその場に座り込む。そこにルゥも来て、隣でしゃがむ。
「それにしても、あたしの走りから逃げてさらにおとりまで作る余裕があるって…美羽、本当に普通の人間?」
「普通の人間だよ。ただ、スリルがあるものにはけっこう強いのかも」
「なるほどなぁ…。あたし、はっきり言って人間を甘く見てた。どんな状況でもぱっと行動できるのはいいな」
「じゃあその特訓でもやってみる?」
「え!?本当に?」
「もちろん。遊びに付き合ってくれたお礼でもあるし♪」
こうして、ルゥと私は互いに疲れきるまで体を動かした。久しぶりの運動も楽しいなぁ。
そいて翌日に元の世界に帰す際にルゥは言った。
「もしあたしにまた会ったら、今度は負けないからな!」
これは宣戦布告?まぁ、今後会う機会があれば、またやってみたいかも。
そんな事を思いつつ、私はルゥを見送った。
14/08/28 20:14更新 / 幻想
戻る
次へ