アラクネの綿あめ |
足下でグニャベタリと音が鳴ったような気がした。
正確には鳴っていないのだろうがそれでもグニャベタリと足がその音を聞いたのだ。 恐る恐る…足下を見てみると…なるほど足に粘着状の糸が絡み付いてる。 きっと例のアラクネの糸だろう。 糸の形状…纏まった繭状の糸から察するに徘徊型でクモの糸としては粘性を増す為に糸としての形状を保てないタイプ… 確か刃物は通じず、熱を加えると組織が凝固した後粘着性が失われ溶けるとか。 幸いアラクネは居ないようだしとっとと処理をしてしまおう。 それにしても本当にこの森にアラクネが出るのか…。 行商の為、 森を越えた隣町まで行きたいのだがあの森はどんな森だ?と村の宿で聞いた時の話だ。 ここ近辺の森は割と浅い森なのだが、 薄暗い場所で出るとされるアラクネが割と頻繁にこの浅い明るい森にも出て来るらしい。 なんで明るい場所にアラクネが?と最初は思ったものだが…理由があるとのこと。 アラクネ…所謂クモの魔物娘なのだが大きく分けて2つの種類に分かれるとか。 待機型と徘徊型、今回運悪く踏んでしまった糸の持ち主は徘徊型である。 基本的にこの徘徊型は待機型のアラクネの特徴である 『クモの糸を床・壁一面に敷き詰めて罠と同時にクモの巣を作り そこを寝床とし巣にかかる獲物を待つ』という待機型とは違い、 徘徊型はあくまでも『クモの糸による巣は作らないものの、 そのクモの糸は相手を捕まえる為の武器や罠』として使うのだとか。 とすると当然生息場所も変わって来る。 待機型のアラクネはまず巣作りとして壁や床、 できるだけ糸を張れるスペースが必要になる為に 自然と洞窟や鬱蒼とした深い森に住み込む事になり、 対して徘徊型のアラクネはそれこそ魔物娘の獲物である人間を襲う為に 比較的明るい浅い森に住んでいるわけだ。 『要はアラクネは深い森には待機型、 浅い森には徘徊型が居るわけだから気を付けろよ』 …と宿屋で店主に聞いたのが朝の出来事。 今までアラクネはただ糸を垂らしたりぶっかけたりで 人間の動きを封じ糸で丸めて獲物とする印象だったのでこの生態の特徴は新鮮だった。 …と同時に我に帰る。 この糸から抜け出さねば。 確か熱を加えると飴みたいに溶けるのだったっけ。 えーと…火…火…マッチがあったな。 確かポケットに…あった。 これで適当な布を蜘蛛の糸にくるんで 火を付け熱で溶かせばいいらしいが… 蜘蛛の糸も焼けて自分も燃えたりしないだろうか…? まぁ情報に聞いた通り燃やしてみるとしようか、 最悪飲み水は持って来てあるから消火は出来る。 早速蜘蛛の糸をくるもうと布を持って屈み込む。 蜘蛛の糸は粘着性があるだけに足を上げたり動かせば多少は伸びるようだ。 けれども一度触ったら離れないであろうその粘り具合は 見ただけでも相当なもので、触ってしまわないためにも細心の注意で布を巻き包み込む。 よし、これで準備が出来た。 点火の準備が出来たので点火をする事にする。口に出して行動するのは良い事だ。 出来るだけ自分の足から遠い部分の方から燃やしてみる、 やはり燃え移ってしまわないか心配だったわけであったから 出来るだけ遠ざけたのだが、そんな心配は無用だったようだ。 布を巻いて燃えている箇所からグツグツと煮えると共に 蜘蛛の糸が粘着性を失って行く。 なるほど確かに飴のように溶けて行く。 グツグツと煮えた蜘蛛の糸が飴のようにとろけて行き、 とても良い匂いがする。甘い…良い匂いが。良い匂いがする。良い匂いだ… ………。 不味い…頭が…クラクラと…甘い匂いにほだされて…… 糸に含まれるアラクネのフェロモンだろうか…?糸を溶かしたから気化したのか…? 頭が…甘い…甘く…眠く… なんで…こうなったのだろう… アラクネが罠を見抜いた上での…二重の罠か、 宿で聞いた情報が肝心な所で間違っていたか… それか…それか…徐々に甘さと眠気で満たされそうな頭で考えても 答えは出なかったのだった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ふと、体が揺らされる感覚で目が覚めた。 ツンと来る匂いがこれまた頭から眠気を取り払って行くと同時に食欲が湧いて来る。 確かソースの匂いだ。 どこだここは…寝起きの目を拭おうとするが…手が動かない、 それどころか後ろで手が縛られ…体が木材に固定され拘束されている…! いや、これは割りば…。 「おや?起きたのかい?あんた」 そんな様子を見てか突如頭上から降って来た声(女性だろうか?)に 共鳴するように身体がビクッと一瞬震える。 助けてくれた人だろうか…?いや、助ける人間がこんな縛り付けるはずが無い… 恐らくは魔物関係の好ましくない相手… おそるおそる顔を上げると…居ない。 いやもっと上…直角90度の角度から聞こえて来た気がする。と、ふと目が合った。 最初は薄紫色のショートカットの髪をした美人なお姉さん系かと思ったが、 それでも今一度首を傾げて見渡すとそれだけではなく やはり予想した通り魔物であり身体が人間のものとは違って 下半身が蜘蛛の形態をしている。という事はアラクネか。そこまではいい。 けれども、その身体の大きさが問題であった。 頑張れば自分を一口で呑み込めるまでに彼女は大きかったのだ。 呼吸…呼吸が当たって来る。 そよ風のようでもあるが同体型が出せる量ではなく、 風に含まれる僅かであるが甘い口臭が妙にリアルを実感させた。 「どぅも…」 主導権はあちらにある、こちらにはない。 であれば従順であったほうがいいのだ、こと魔物娘に於いては。 抵抗をすればするほど魔物娘は燃えるという話を聞いた事がある。 であるからありのままを受け入れ、魔物娘の欲求を受け入れると、 せいぜい変態的なプレイをされて終わり…というのが俗説だ。 実践は…少ないが。 「お兄さんクールだねー、もしかしてエッチな事されたいからわざと捕まったとか? って違うか、アタシの蜘蛛の糸燃やしたもんね」 語尾がフッと責める口調に変わりゾクッと鳥肌が立つ、 彼女…アラクネにとって自分の糸は例え消耗品であれ大切な物だったのではないか… それを自分が燃やす事で誇りを傷つけてしまったと…そんな考えが一瞬頭をよぎった。 「でも上手いことかかったねぇ、 糸団子の中に睡眠薬を入れるやつ。 私のアイディアじゃないんだけどサ これで捕獲できるレパートリーが増えると嬉しいねぇ」 …どうやらそんなに怒っていないようだ。 よかった…とは思っても立場は変わっていない、誰か助けてくれ。 「まぁ好きな女思い浮かべていればすぐに終わるさ。 一回やればそれで終わり、元の大きさに戻してくれるらしいし頑張ンな」 戻してくれるらしい…?という事はアラクネが小さくしたってわけではなさそうだ。 それに文脈から判断するとどうやら自分は今からその小さくした主に弄ばれるらしい。 我慢したら…それで終わり。分かってはいる。 けれども、この、小さい身体でやるプレイとは…と考えると不安にならざるを得ない。 何をされるんだか…。 「おっと、もうこんな時間か。悪いけどパパッとやらせて貰うよ」 と、アラクネが取り出したるは小粒ほどの小さな小石… ではなく薄く透明がかっている砂糖か。 それをザーッと何やら窪みのある装置?に入れると ふわっと甘く良い匂いしてくる、睡眠薬入りの糸玉を燃やした時とは違う… そう、ちりちり燃えて香ばしさを若干感じる飴の匂いだ。 そしてグイッと自分の身体に重力を軽く感じながら持ち上げられる… すると装置の全体像が見えてきた。 砂糖を入れる穴を中心に放物線上に溶けた砂糖が飛び出し、 まとわり付くように1本1本伸びて 繊維状に束ねられているようにも見える飴の糸… なるほど…見た事がある。この装置は綿アメを作る装置だったのか。 うーん…綿アメか…旅をしていると時々街で移動型の屋台として見かける事がある。 糸を束ねひしひしとひしめいた厚い飴の束は はむと口を着けるとちぎれて溶ける。 ほぼ砂糖の塊のようなものだが その実、食感だけで全てを持って行くまことに恐ろしき…って、まさか。 「ちょっ、待っ…」 ぐるん と世界が回転する。 軽く胃の中が揺れてよだれが出る。 それでもなお立て続けに優しくとはいかないが 慣れた手つきで綿アメの装置の中に降ろされる。 綿アメの装置の中… ひゅるひゅると視界の外から飛び出す飴の糸は 今にも体を巻こう巻こうとしてるが 実際アラクネがちょいっと自分を拘束している 割り箸を動かしてしまえばすぐに巻かれてしまうだろう そんな中、自分は… >我慢する >抵抗する −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− >我慢する 少し…我慢したらいいだけだ。 とどのつまり割り箸に縛り付けられているだけだから 快楽責めされるとしてもせいぜい触られる…か、舐められるだけ… 小さくされたからこの大きさだと丸呑みされるんじゃ…とも思ったが… 綿アメを巻き付ける事からして、綿アメと一緒に味わう。そういうプレイなのだろう。 …しかし、変態的なプレイだな。 女体盛り…?ジャンルだろうか。 そんな事を考えつつ、 アラクネは有無を言わせずまずは1巻き。 身体を巻く様に飴の糸が胴にくっついて来る。 飴の糸は少し温かみがある程度で特に火傷するということは無し、安全ではあるらしい。 続いて2巻き。 今度は足の方に糸が巻き付いて来た。 いずれは顔の方も巻かれてしまうだろう 今のうちから目は閉じておいた方がいいかもしれないが それでも普通はあり得ない体験からか自然と目を開けてしまう。 更に3巻き。 肩の方が巻かれてしまう。 アラクネがさも捕らえた獲物を自分の糸で巻いて侵すかのように鼻歌を歌いだした。 『糸を巻く』がアラクネの本質ならば 喜びなのだろうそれは軽快に歌を奏でながら更に巻くスピードを上げて行く。 4巻き、5巻き、6巻き……… どのくらい巻かれただろうか…視界は既に綿アメの白い繊維で一杯であり、 口に触れた飴は少し舐めると溶けて仄かな甘みを感じさせる。 息は…苦しくないが、辺り一面甘い香りが漂いむせてしまいそうになる。 「おー、姐さん!例の物はできたかい?」 外から軽快な声が聞こえてくる。 おそらく…自分を小さくした魔物か。 これからいただかれてしまうのだろうか。 「おっとピクシーか、注文のやつは良い出来だよ。まだ巻けるけどどうする?」 ピクシー…確か人を小さくする悪戯好きな魔物だったはずだ。 「いんゃ、その大きさくらいが責めるのにちょうどいい、ちょうだいな」 「はいよ、まいどー。噛んじゃいけないかんね」 外からチャリンと硬貨の音がした。 ………。 うぅっ…買われてしまった。 そこからズイッと持ち上げられると ひと呼吸の間隔を以って少しの落差の後にぐいーっと横に流される、 手渡しされてしまったのだろう。 眼前白い綿に囲まれて見えないが、声を聞いた限りだと十中八九子供の魔物。 ただ子供といっても子供体型で500歳をゆうに越える魔物もいるので 子供かどうかは微妙だ。 「さて、お兄さん。綿アメの中に入った気分はどうかな? 苦しい?甘い?どちらにせよ私が今、綿アメを舐め取って剥ぎ取ってあげるからね」 それは悪戯気味に言葉を紡ぎピチャ…ペチャ… 時にははむっと綿アメを味わう音を奏で出す。 ぴちゃぺちゃはむっ 四方八方から鳴るその音は次第に色っぽさを増して直接身体に音を響かせてくる。 時にはぐい〜っと舌で綿を押し圧力をかけたと思えば、 押し付けられた綿が舌で溶けて舐め上げられた足からひゅーひゅーと 外の空気が流れ込んで来たかと思えば、 ピクシーの吐く息が穴を伝って入って来て、 その魔物特有のフェロモンが綿アメ内に充満して情欲を掻き立てられる。 飴の甘い匂いとピクシーの息の甘い匂い… 2つの空気に当てられて意識がトロけてしまいそうになる。 混濁した頭でぴちゃぺちゃと聞き惚れていると今度は眼前から音が。 ぴちゃぺちゃぴちゃぺちゃ… どんどん近付いてくる…! ギシギシと目の前の綿が動く様子が見て分かる。 今、舌は顔にだいたいの狙いを着けて来たのだろう。 一直線に目的を達成するかの様な確かな音だ、これは…逃げられない。 ついには眼前からぐいっぐいいーと綿の繊維を引き裂き舐め溶かしピクシーの舌が現れた。 ペロペロと溶けた飴を舐め取るその舌は これからお前も舐め溶かしてやるぞと挑発してるのか なかなか自分の顔に向けて舐め上げて来ない。 焦らしているのか…? と、思ったらペロッとひと舐め。いじらしい。 ベチョォっと顔に粘液がこびり付く。 飴と唾液が混ざるその舌は艶めかしくとても…気持ちが良い。 もっと…もっと舐めて欲しい…と 懇願させる様な陶酔が身体を一杯に満たす…が、 スーッと舌は顔から離れついには穴の向こうに消えてしまう。 なんで…?どうして…?と思ったのもつかの間、 今度はブチィッ!と頭上の方から聞こえてきた。 おそらく舐め取らずにはんで食べる事にしたのだろう。 はむっブチィッはむっブチィッと綿アメを啄んでは 顔の前の穴に見せ付ける様にチョロチョロと裁断した綿アメを啜り上げる。 その綿アメはまさに妖魔に呑まれた犠牲者であり、 遊び半分で呑まれようとされる未来の自分でもあるかのように見える。 頭上から近付いて来る繊維が引き裂かれる音、 さっきとは違い露骨に恐怖心を煽ろうとしているが実際に恐怖心が煽られてしまう。 そしてついには、はむっと左肩をから頭にかけて唇ですぼまわれた。 今までとは違い…引き裂くようなことはせず 口で頭をはんだまま下でチロチロと舐めて来る…。 それと同時に、コツンと体に当たる歯。 甘噛みなのか跡を付ける様にはむはむと責めたてる。 そして口をすぼめたままなので呼吸がダイレクトに伝わり、 口の中いっぱいの甘い香りと… 微かだが喉の闇の向こうに溶け落ちた飴と胃液の混ざった匂いが頭を満たして堪らない。 チロチロはむはむごぅごぅ 身体に纏わりつくドロドロは綿アメか、それとも自分の身体なのか。 ペロッとひと舐め、それで射精してしまった。 脱力感を得てぐったりした身体とは引き換えに ピクシーは器用に全身を舐め取って行く。 射精して綿アメにかかった精液も 「んーなかなか…かな?」と掬い上げて舐め取られた。 全部舐め取った後は割り箸から外して水道の蛇口で洗われる。 綿アメを舐め取られると途端に感じる肌寒さと物足りなさ。 それを察してかピクシーは胸元に自分を入れ…体温で温めてもらう。 「ふふっ…綿アメ美味しかった?」 それには答えない、答えてしまうとまたやらされてしまいそうだから。 「気に入ってくれたのなら、嬉しいな。私もまだまだ新しい事試したいし」 …綿アメはともかく、他の試したい事は用心しておこう。 ヒラヒラと祭囃子と踊る様にステップを刻むピクシーの妖精。 あっと何かを見付けるとリンゴ飴の屋台を指さすのだった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− >抵抗する …ただ黙って綿アメまみれになるのもしゃらくさい。 そうだな、抵抗するのも一興かと体を前後左右にぐわんぐわんと揺らしてみる。 「お、おっと! そんなに揺らすもんじゃないよ!崩れちまうだろうに」 綿アメに巻かれだんだんと鈍くなる体でもまだ揺らしてゆく。 気付いた事だがギチッ…ギチッ…と 後ろ手を拘束している紐が今にも取れそうになっているのだ。 揺れ暴れる小人を綿アメの機械の中で大きく回すことで 大人しくさせようとしたアラクネのこの一点! ここで大きく揺さぶり…と、腕の拘束が取れた! そのまま胴に巻かれているベルトを外す…と!おおっと! 今まで割り箸に固定されてたのだから そりゃ固定を外したら無慈悲にも支えを失い飛んで行くわけである。 割り箸から擦る様に遠心力の力で飛んで行く自身の身体。 幸いだったのは綿アメがまとわり付いていたおかげで それがクッションになり怪我が無かったという事か。 コロコロコロと雪玉に成って行くように 綿アメが自分を内に抱く様に巻きこみ球体になって綿アメの壁にふわっとぶつかる。 あれ?ここからどうするんだ、自分。 拘束から抜け出した後は…。 まいった…拘束から抜け出した後は何も考えていない。 そもそも綿アメの装置の中、周りは鉄の壁に囲まれて 小人はおろか綿アメの糸さえも出る事は出来ない。 今更になって考えるとフッと影が体を覆い尽くした。 「あー…あー…あー…こりゃこりゃこりゃ。これは…調教しないといけないか。 まぁ祭りはしばらく続くだろうし終わるまでには調教終わってるだろうさ」 後悔しても遅い、にゅっとアラクネの手が伸びて来る。 そのまま綿アメごと持ち上げられるとぐいっと顔の前まで引き寄せられた。 今になって思ったことだが…巨大なアラクネの圧迫感、巨大感が凄い。 自分が小さいこともそうだが、 アラクネは基本人間体の上半身と共に 巨大な糸を生成するための腹部を持つ魔物娘である。 普通の身長であったならあの腹部を跨いで乗っかれるほどデカイのだ。 そんな相手…拘束の専門家であり 巨大な魔物娘から逃げること自体が間違っていた…と幾度後悔しても遅い。 「悪い子だねぇ…あんた。 まぁ、こっちの方が私も燃えるからいいけど」 と、手の平に置かれた自分を包み込むように綿アメを丸めると… 一瞬のうちに視界が真っ白になる。 綿アメを丸めて… 外ではアラクネは何をしようとしているのか? そんな事を考えているとギュッギュッとまるで加減を確かめるように 綿アメごと握り込むように…押し潰す…!ま、まさか…!これは…! ピキーンと走馬灯と共に屋台で食べた綿アメの時の記憶が呼び覚まされる! こ、これは悪食食い! ふわふわの綿アメをあえて潰すことにより弾力を作り モシャモシャと喰う外道なる手法! なんと…勿体無い…!食い方だろうか! 『糸で潰す』がアラクネの本質ならば喜びなのだろう それはギュッギュッと更に弾力を増して身体に降りかかってくる…! ギュッギュッと押し潰される感覚が増してゆく。 徐々にリズミカルになって行くそれはピストン運動にも似た感触にも似ていて… 「あっ…ああっ…!」 いつの間にか押し潰される感覚と共に腰を突出し射精してしまった。 それを境か今まで綿アメと一緒に潰して来た手の動きが止まって 表情を見るかのようにピラッと綿アメを剥(はが)す。 「お、イッちゃった。ま、こんなもんか」 にわにやとせせら笑うアラクネの表情が さっきまでのカラッとした姐さん顔ではなく 今にも獲物を食したいと舌なめずりする捕食者の顔になっている…。 その顔を見る度に『アラクネに綿アメに押し付けられて射精』が思い出されて… その事実に屈辱感を感じると共に… 射精の快感にまだ腰が動きたいとぶるぶる動いている気がして気恥かしい。 「うーん…私にこんな人を縮めて弄ぶ趣味は無いと思ってたんだがなぁ… あいつのおかげで目覚めちまったかもしれない」 いつの間にか小人虐めに目覚めてしまったアラクネ、 何か他にもして来そうな気配がする…。 綿アメを潰したくらいだから… やはりそのまま口の中に入れられてしゃぶりつくされる…? それともやはりエロイことが好きな魔物娘だから下の口から…? ありそうだ、今のうちに覚悟を決めておこう。 ある程度予想は立て…心を決めて覚悟をする。 よし、どんと来い。 するとアラクネは艶かしく背中をなぞる様に 背中…鎖骨…関節…腹部と指を這わし…。 「ま、おしおきと調教が先決だからね。私の糸壺で呑んでやるよ」 …糸壺? 「まさかこっちの穴で呑める日が来るなんてなぁ…あいつには感謝しないと」 え、待って。と言う暇無く アラクネは腹部を曲がる様に突き出しグパァと糸口を開く。 糸口はぬちゃぬちゃと糸を引き嚥下するかのような脈動をしていて… 普通の身体ならまず呑まれなかっただろう大きさだが、 小人になった今では伸縮性を活かし綿アメごと十分に呑まれるくらいに大きい。 そこは…一方通行のはずの器官であるはずだ。 けれども今、そのアラクネの糸口は今にも自分を呑みこもうとしている。 一度呑まれてしまえば…糸に絡まり二度とは出てこれない… そんな威圧感を感じ無駄だと分かっていようが暴れ出す… が、動かない。 もう、止められない。 グチュッ… 湿度と体温が綿アメ越しに容赦無く降りかかる アラクネの糸の洞窟に招待される。 呑まれる…呑まれてしまう。 もはや綿アメは溶けだし、体を包むものは綿アメからアラクネの糸に変わっていく。 つる…つるつるつる…。 まるで糸が更に糸壺の…体内に引き込むように… 身体が糸に絡まり…奥へ…奥へと引きずられて…呑まれる。 手を這わせ…何か取っ手になるものはないかと探すが体内にそんな物はない。 つる…つる…と粘液で濡れた手は当然何の摩擦も生み出さず…。 奥に進むにつれフェロモンと体温が上昇して行くようで もう何回射精したかは分からない。 いつまで…いつまで呑まれるのだろうか。 快楽の坩堝(るつぼ)に呑まれてしまうのも時間の問題だ。 いつまで…いつまで… つるつる…つるつると… 天国へ通す糸を垂らす蜘蛛が居たとしたら… 地獄へ誘う糸を引く蜘蛛がこれだろう… 最高潮に甘いフェロモンと糸の粘液が増した空間。 アラクネがちょっと力を入れるとヒュッと糸壺の最奥へと呑まれた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− …糸壺の最奥に入ってしまったのだろうか? 小人を呑んでしまった腹部を見ながらふと我に返る。 まさか…こんな性癖に目覚めてしまうだなんて。 調達して来たピクシーには悪いが、これはハマる。 長い付き合いになりそうだし今度出て来た時は優しくしてあげよう。 それでも逃げようと思った時は… そのまま小人のままペットにするのもいいかもしれない。 我ながら…加虐的な表情をしているのが分かる。 しかし…それだとピクシーにあげる分はどうしようか。 とりあえず綿アメを作って…と。 この小人を自分のモノにする言い訳を考えながらふふっと笑うのだった。 |
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