4話
一方そのころ、壁の外から騒ぎの収束を確認したフロギアは、テクテクと沼地に帰っていきます。
久しぶりの一人ぼっち。話し相手もいないので、フロギアは少し前の出来事を思い出しました。
盗賊にさらわれた砦から、自力で脱出したフロギアは、暗い森や沼地の中を何日も裸足でさまよい歩きました。
膝や足の裏はすりむき、脚には青い痣がいくつも出来ています。
食べられる物はなく、空腹で歩き続けます。
やがて、脚の痛みも空腹もなくなり、身体が軽くなったように感じたフロギアは、なんだかうれしくなって飛び跳ねるように歩きます。
数日あるいて、なんとか大国にたどり着きました。
ドレスはぼろぼろでしたが、恥ずかしがっている場合ではありません。
門の前に立つと、衛兵が駆け寄ってきて、そのまま玉座へ連れて行かれました。なんだか扱いが乱暴だな、帰ってきて驚いているのかな、とフロギアは思いました。
玉座に座っていた父上は、以前とは別人の様でした。
頬はやせこけ、髪は真っ白。何より、目には生命力が感じられません。
「魔物の娘よ、この国に何用か。今、この国は一大事だ。さらわれた姫を捜すため、貴様にかまっている余裕はないのだ」と言いました。
「父上、私がその姫です。フロギアが自力で帰ってきたのでございます」
それを聞いて、父上は怒り狂いました。
「黙れ!カエルが人のなりをして来たかと思えば、私をあざ笑いににきたのか!もうよい、早くこの醜い化け物を連れ出せ!」
衛兵達は乱暴に追い出します。
「なんとしてもフロギアを探せ!近辺の小国にも声をかけろ!私のフロギア!愛する娘よ!」
父上、いえ、王様は狂ったように叫びました。
それを聞いたフロギアはもはや抵抗する気もなくなりました。
言われるまでもなく、フロギアは城を飛び出しました。
それからは、ずっと彼女は一人で生活していました。
起きて、狩りをして、寝る。あっという間に彼女は野生の生活になれました。
ある日、静かな沼地に、人の歌声がしました。
陰からこっそりのぞくと、少年が暢気に歌いながら沼地を歩いているのです。
この風景に余りに似つかわしく、滑稽な様子にフロギアは声を殺して笑いました。
でも、何となくですが、このこと一緒にいたら楽しそうだな。そう思ったのです。
彼と出会った日々は、フロギアの心に温かさをくれました。でも、それも今日まで。
もう彼と一緒にいてはいけない。誰に言われるでもなく、フロギアは歩き続けます。
「待ってよ、フロギア!」
大好きな少年に呼び止められ、フロギアは思わず歩みを止めます。
思わず振り向いてしまいそうになりますが、必死にこらえました。
「来ちゃだめだよ、シクナ」
本当は来てほしかったのに、フロギアは嘘をつきます。
「君は立派な王子になるの。私とのごっこ遊びはもうお終いにしなきゃ」
それがシクナの為であり、お互いの為だと思ったからです。
しかし、阿呆の王子はフロギアの話を聞かず、彼女に近づき、その腕を強くつかみます。
フロギアは動きません。彼女は今もなお葛藤を続けているのです。
「フロギア、約束したよね」シクナは口を開きます。
その目は、国や恋人を強く想う男の目をしていました。
「ずっと二人は一緒にいるって。そばにいてくれるって、言ったじゃないか」
「なに……それ。シクナは王子なんだから、もっとしゃんとしなきゃダメだよ。それに、シクナならもっとかわいいお嫁さんももらえるよ」
「王子だって、誰かと支え合わなきゃ生きていけない。でも、他の女の子に興味はない。フロギア、君じゃないと僕はだめなんだ」
「……あのね。私、すっごい嫉妬深いよ?もう一度シクナとエッチしたら、もう二度と君のこと離さないし、浮気なんか絶対許さない。すっごいすっごい面倒な魔物なんだよ?」
シクナは、今にも泣き崩れそうな背中をしている彼女を、後ろからそっと抱きしめた。それを己の答えとしました。
「はあっ……ひうぅ!」
王宮のシクナの部屋には内側から鍵がかけられており、二人の愛を邪魔する事は誰にも出来ません。
柔らかいベッドの上で、フロギアはカエルのように脚を大きく開き、飛び跳ねるように腰を振ります。
シクナは全身粘液にまみれながら、フロギアの腰をつかんで下から打ち付けていきます。
もう何度イったのでしょう。接合部からはコポコポと子種が泡を立ててこぼれています。
フロギアに毎日絞られ、鍛えられたシクナは5発、6発では萎えることはありません。
ズン!と一際強くペニスをねじ込まれると、フロギアは七度目の絶頂に達しました。
「あ、ひっぐううぅ……!」
艶やかな悲鳴を上げながら、ヒクヒクと痙攣させます。
「まだ、足りない……」シクナはそう呟くと、打ちたての刀のようなペニスをフロギアに挿入します。
「え、ああっ、シクナァ。も、もうイって……るのにぃ……!!」
フロギアの制止も聞かず、ピストン運動をやめません。
「全然足りないよ。僕がフロギアをはらませてやるんだ……!」
「シクナ……はうぅ!」
言葉を交わす最中に、シクナは精液を解き放ちます。
何度も射精したのに、シクナのペニスはドクドクと脈打ちながら大量の子種をフロギアの至急めがけて流し込んでいきます。
二人はまたしても、夜通し行為に励み、日が昇り始めた頃、疲れ果ててようやく眠りました。
賊団の騒動から、早くも数日が経った頃。
「う〜む……」と、いつになくシクナは悩んでいます。
彼は国民達の支持を得て、見事に次期国王に選ばれたのです。第一王子も快く承諾しました。
今は王位を継承する為に勉強している真っ最中です。
「王様になるのも大変なんだね〜」
その隣では、フロギアがあくびをしながら様子を見ています。
彼女をみた人々は、最初のうちは驚いていましたが、シクナが丁寧に事情を説明すると、みんな彼女を温かく迎え入れることに決めました。
「シクナよりずっとしっかりしておる」と王様も大変気に入っています。
元の国には未練はないようですが、いつかしっかり向き合いたい。
フロギアは話しました。その時は僕も付いて行く、とシクナは約束しました。
「やっぱり君は私がいないとダメだね〜」
あきれながら、フロギアは勉強を教えています。どこからどうみても、二人は仲のよい恋人同士。
見てるだけで胸焼けが起きると国中で評判です。
「そういえば」勉強に飽きたシクナが思いついたように言います
「もし、僕らの子供が産まれたとして。赤ちゃんはカエルなの?それともオタマジャクシなの?」
「う〜ん、そもそも卵生なのかもしれないよ〜。産んだことないから分からないけど」
「…………」二人はしばし沈黙した後。
「まあ、いっか。細かいことは気にしない!」
「ふふ、言うと思った〜」
顔を合わせて、笑いあいました。
以上が、魔界人間界ともに古くから知られている童話「カエルの王女様」の元になったシクナ王とその王妃の逸話です。
地域によっては、王子がカエルであったり、口づけにより人間に戻ったり、濡れ場が全カットされていたりと、多少の味付けの変化があるようですが。
それほどまでに、このお話は長い時間、多くの人に愛された物語であるといえるでしょう。
しかしながら、今現在シクナ王が治めていた国は跡形もなくなっています。
文献を調べても、ある時期を境にパタリと情報が途絶え、存在していたはずの場所には大きな湖があるだけ。
諸外国との争いに負け滅んだのか。あるいは、どこか別の場所に国ごと転移してしまったのか。
真相は今となっては誰も知る由はありません。
しかし、我々「カエルの王女様」を愛する読者達は知っています。
無数に派生する物語には全て、奇妙に共通するこの一文でしめられていることを。
「バカな王子と優しい王女は、いつまでも仲良く幸せに暮らし続けましたとさ。めでたしめでたし」
久しぶりの一人ぼっち。話し相手もいないので、フロギアは少し前の出来事を思い出しました。
盗賊にさらわれた砦から、自力で脱出したフロギアは、暗い森や沼地の中を何日も裸足でさまよい歩きました。
膝や足の裏はすりむき、脚には青い痣がいくつも出来ています。
食べられる物はなく、空腹で歩き続けます。
やがて、脚の痛みも空腹もなくなり、身体が軽くなったように感じたフロギアは、なんだかうれしくなって飛び跳ねるように歩きます。
数日あるいて、なんとか大国にたどり着きました。
ドレスはぼろぼろでしたが、恥ずかしがっている場合ではありません。
門の前に立つと、衛兵が駆け寄ってきて、そのまま玉座へ連れて行かれました。なんだか扱いが乱暴だな、帰ってきて驚いているのかな、とフロギアは思いました。
玉座に座っていた父上は、以前とは別人の様でした。
頬はやせこけ、髪は真っ白。何より、目には生命力が感じられません。
「魔物の娘よ、この国に何用か。今、この国は一大事だ。さらわれた姫を捜すため、貴様にかまっている余裕はないのだ」と言いました。
「父上、私がその姫です。フロギアが自力で帰ってきたのでございます」
それを聞いて、父上は怒り狂いました。
「黙れ!カエルが人のなりをして来たかと思えば、私をあざ笑いににきたのか!もうよい、早くこの醜い化け物を連れ出せ!」
衛兵達は乱暴に追い出します。
「なんとしてもフロギアを探せ!近辺の小国にも声をかけろ!私のフロギア!愛する娘よ!」
父上、いえ、王様は狂ったように叫びました。
それを聞いたフロギアはもはや抵抗する気もなくなりました。
言われるまでもなく、フロギアは城を飛び出しました。
それからは、ずっと彼女は一人で生活していました。
起きて、狩りをして、寝る。あっという間に彼女は野生の生活になれました。
ある日、静かな沼地に、人の歌声がしました。
陰からこっそりのぞくと、少年が暢気に歌いながら沼地を歩いているのです。
この風景に余りに似つかわしく、滑稽な様子にフロギアは声を殺して笑いました。
でも、何となくですが、このこと一緒にいたら楽しそうだな。そう思ったのです。
彼と出会った日々は、フロギアの心に温かさをくれました。でも、それも今日まで。
もう彼と一緒にいてはいけない。誰に言われるでもなく、フロギアは歩き続けます。
「待ってよ、フロギア!」
大好きな少年に呼び止められ、フロギアは思わず歩みを止めます。
思わず振り向いてしまいそうになりますが、必死にこらえました。
「来ちゃだめだよ、シクナ」
本当は来てほしかったのに、フロギアは嘘をつきます。
「君は立派な王子になるの。私とのごっこ遊びはもうお終いにしなきゃ」
それがシクナの為であり、お互いの為だと思ったからです。
しかし、阿呆の王子はフロギアの話を聞かず、彼女に近づき、その腕を強くつかみます。
フロギアは動きません。彼女は今もなお葛藤を続けているのです。
「フロギア、約束したよね」シクナは口を開きます。
その目は、国や恋人を強く想う男の目をしていました。
「ずっと二人は一緒にいるって。そばにいてくれるって、言ったじゃないか」
「なに……それ。シクナは王子なんだから、もっとしゃんとしなきゃダメだよ。それに、シクナならもっとかわいいお嫁さんももらえるよ」
「王子だって、誰かと支え合わなきゃ生きていけない。でも、他の女の子に興味はない。フロギア、君じゃないと僕はだめなんだ」
「……あのね。私、すっごい嫉妬深いよ?もう一度シクナとエッチしたら、もう二度と君のこと離さないし、浮気なんか絶対許さない。すっごいすっごい面倒な魔物なんだよ?」
シクナは、今にも泣き崩れそうな背中をしている彼女を、後ろからそっと抱きしめた。それを己の答えとしました。
「はあっ……ひうぅ!」
王宮のシクナの部屋には内側から鍵がかけられており、二人の愛を邪魔する事は誰にも出来ません。
柔らかいベッドの上で、フロギアはカエルのように脚を大きく開き、飛び跳ねるように腰を振ります。
シクナは全身粘液にまみれながら、フロギアの腰をつかんで下から打ち付けていきます。
もう何度イったのでしょう。接合部からはコポコポと子種が泡を立ててこぼれています。
フロギアに毎日絞られ、鍛えられたシクナは5発、6発では萎えることはありません。
ズン!と一際強くペニスをねじ込まれると、フロギアは七度目の絶頂に達しました。
「あ、ひっぐううぅ……!」
艶やかな悲鳴を上げながら、ヒクヒクと痙攣させます。
「まだ、足りない……」シクナはそう呟くと、打ちたての刀のようなペニスをフロギアに挿入します。
「え、ああっ、シクナァ。も、もうイって……るのにぃ……!!」
フロギアの制止も聞かず、ピストン運動をやめません。
「全然足りないよ。僕がフロギアをはらませてやるんだ……!」
「シクナ……はうぅ!」
言葉を交わす最中に、シクナは精液を解き放ちます。
何度も射精したのに、シクナのペニスはドクドクと脈打ちながら大量の子種をフロギアの至急めがけて流し込んでいきます。
二人はまたしても、夜通し行為に励み、日が昇り始めた頃、疲れ果ててようやく眠りました。
賊団の騒動から、早くも数日が経った頃。
「う〜む……」と、いつになくシクナは悩んでいます。
彼は国民達の支持を得て、見事に次期国王に選ばれたのです。第一王子も快く承諾しました。
今は王位を継承する為に勉強している真っ最中です。
「王様になるのも大変なんだね〜」
その隣では、フロギアがあくびをしながら様子を見ています。
彼女をみた人々は、最初のうちは驚いていましたが、シクナが丁寧に事情を説明すると、みんな彼女を温かく迎え入れることに決めました。
「シクナよりずっとしっかりしておる」と王様も大変気に入っています。
元の国には未練はないようですが、いつかしっかり向き合いたい。
フロギアは話しました。その時は僕も付いて行く、とシクナは約束しました。
「やっぱり君は私がいないとダメだね〜」
あきれながら、フロギアは勉強を教えています。どこからどうみても、二人は仲のよい恋人同士。
見てるだけで胸焼けが起きると国中で評判です。
「そういえば」勉強に飽きたシクナが思いついたように言います
「もし、僕らの子供が産まれたとして。赤ちゃんはカエルなの?それともオタマジャクシなの?」
「う〜ん、そもそも卵生なのかもしれないよ〜。産んだことないから分からないけど」
「…………」二人はしばし沈黙した後。
「まあ、いっか。細かいことは気にしない!」
「ふふ、言うと思った〜」
顔を合わせて、笑いあいました。
以上が、魔界人間界ともに古くから知られている童話「カエルの王女様」の元になったシクナ王とその王妃の逸話です。
地域によっては、王子がカエルであったり、口づけにより人間に戻ったり、濡れ場が全カットされていたりと、多少の味付けの変化があるようですが。
それほどまでに、このお話は長い時間、多くの人に愛された物語であるといえるでしょう。
しかしながら、今現在シクナ王が治めていた国は跡形もなくなっています。
文献を調べても、ある時期を境にパタリと情報が途絶え、存在していたはずの場所には大きな湖があるだけ。
諸外国との争いに負け滅んだのか。あるいは、どこか別の場所に国ごと転移してしまったのか。
真相は今となっては誰も知る由はありません。
しかし、我々「カエルの王女様」を愛する読者達は知っています。
無数に派生する物語には全て、奇妙に共通するこの一文でしめられていることを。
「バカな王子と優しい王女は、いつまでも仲良く幸せに暮らし続けましたとさ。めでたしめでたし」
16/05/04 11:41更新 / 牛みかん
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