連載小説
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前編 ―従者の章―
みなさん初めまして!

 ボクはこの国で勇者様の従者をしている「バディス・ドミナス」という者です!
気軽に「バディス」とお呼びください!


 ボクが仕える勇者「レツキ・サイマン」様の手となり足となり、レツキ様の手を煩わすまでもない雑事を行うのが僕の業務なのです!

 今日もまた、レツキ様の付き添いとして国内の警備巡回をするためレツキ様の後を追いかけます

「レツキ様!今日はどちらへ行かれるのですか?」

「あぁ、バディスか 今日は少し服を見たい、付き合ってくれるな?」

ボクはもちろんです!と返事をしてレツキ様と共に街へと向かいます。


 レツキ様は25歳と言う若さで我が国の最強の勇者と呼ばれ、聖騎士隊を率いる統率力、カリスマ性を持った方であり
まさしく「生まれながらの勇者」「天才」と呼ばれるすごい方なんです!

 ボクはそんなすごい方のお付きとして相応しくあるために日夜こうして毎日巡回にお供し、訓練にお付き合いし、また寝食を共にし、お世話させていただいているのです。

 今日は服屋を見るとのことでしたが、なんとボクがレツキ様の普段着を見繕わせていただいてしまいました…
ボクのセンスでレツキ様のご満足いくコーディネートが出来たのか…とても自身はありませんが、精一杯レツキ様に相応しいお洋服を選びました。


そしてなんと!お礼としてボクの衣服も選んでいただきました!
ボクなんかがレツキ様に服を見立てていただくなんて…光栄すぎて気絶してしまいそうでした…


・・・


 ある夜のことでした…
国が魔王軍に襲撃にあい、抵抗の甲斐なくあっという間に門は破られ、陥落してしました。

突然の襲撃に準備をする間もなく、逃げる者、戦う者、既に襲われた者
そこは地獄のようなありさまでした。

ボクも戦いに向かおうとする中、不安を掻き立てる噂を聞きました

「レツキ様が一人で大将を討ちに行った…?」


なにか、恐ろしい予感がしました

ボクがボクで無くなってしまうような

自分の運命を180度変えてしまうような

そんな予感がしました。


 ボクはすぐさま走り出しました

頭の中はレツキ様の無事を祈る自分と、このまま逃げようと弱音を吐く自分
そして「行けば取り返しがつかなくなるぞ」とナニカの警告をする自分がいました。



そしてボクは見てしまいました

とても美しくて

とても温かい目をしていて

とても懐かしいような感覚がする

とても抗えないような魅力的な女性を。


                    続く
18/05/04 22:38更新 / トアル・ドコカ
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■作者メッセージ
彼はこの日を忘れないだろう
この運命の日を



本文をすっかり忘れていました…どうもすみません…

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