日差しが眠るあなたの頬を照らし次第に光が目元に近づく頃、体を揺さぶられて虚ろの夢から現実へと救い上げられ意識が浮かびあがるようにうっすらと目を開ける。

「主様、そろそろ朝食のお時間です」

ハープを奏でる様な柔らかな声音に誰が起こしに来たのかを察して手を伸ばすとその手に吸い寄せられるように誰が体を寄せて、柔らかな毛並みに触れる。

「まだ少し眠いけど、おはよう。シルヴァ」

それがクー・シーのシルヴァの頬であることを理解してあなたは微笑む。

「今日も気持ちいい毛並みだ。朝から大変だろう？」

それは遠まわしにもう少し寝させてくれと言うあなたの皮肉だったが頬に触れる手にシルヴァは手を重ねて答える。

「わたくしの喜びは主様に喜んでいただけることですから、大変などと思ったことはありません」

偽りを一切感じさせないシルヴァの様子にあなたは相変わらず尽くしてくれる相手に惰眠と怠惰を貪るわけには行くまいと体を伸ばして上体を起し、目を開ける。

「ふわぁ〜〜〜。今度こそ、おはよう、シルヴァ」

あなたが手を引くと名残惜しそうな顔を一瞬だけ浮かべて、優しい微笑みで朝を迎えてくれる。

「おはようございます。主様。では、朝食のご用意を致しますので顔を洗って食堂にお越しください」

一礼してシルヴァが部屋を出て行くのを見送ってから立ち上がり、用意された服に着替えて顔を洗いに向かう。

鏡を見ながら一通りすることを終えて食堂へ向かう。

その途中の廊下、あなたを呼ぶ声が聞こえて振り返る。

「ご主人様！」

もふっ、そんな柔らかさを感じる肢体で抱きついてくるのはもう一人の家族、コボルドのコノだった。

「おはようコノ、今日も朝から元気だな」

「わんっ！」

コノは返事をするときはいつも嬉しそうにそう答える。

「顔は洗ったか？」

問いかけるとコノはぶんぶんと頭を振って肯定した。
抱きついてきているコノの顔を両手で付かんで目元に視線を向けて真偽を確かめる。

「どうやら本当みたいだな」

むふーっと満足げな顔のコノの頭を撫でて、抱きつかれたまま食堂へ向かう。
食堂の扉を開けるとシルヴァがこちらに気がつき食事をテーブルにおいて近づいてくる。

「お待たせ、途中で拾ったんだ」

「ありがとうございます。呼びに行く手間が省けました」

シルヴァはコノを後ろから抱き上げてあなたから引き剥がし降ろす。

「むー。ごーしゅーじーんーさーまー」

ばたばたと不満を全身で表現するコノにシルヴァが駄々っ子をあやすように頭を撫でて説き伏せるが効果が薄い。

「コノ、まずは朝食を食べてからにしなさい」

「ごはんっ！」

朝食と聞いて耳が反応してテーブルのほうに視線を向ける。

「鼻は飾りなのか……」

あなたが呆れたようにそう言うとシルヴァはクスリと笑いコノから手を離す。

「じゃあ、先ずは朝食に致しましょう」

「わんっ！」

いの一番にテーブルに座りコノが尻尾を振って待つ。

「では、主様はあちらへ」

あなたはいつもの席に座り手をあわせて、祈りを捧げる。

「―――感謝します。っと、じゃあ食べようか」

許可が出るや否やコノが飛びつく勢いで食べ始め、その隣でシルヴァが器用にナイフとフォークを使い食事を取る。

「コノ、あまりはしたない食べ方は包みなさい」

シルヴァがコノに小言を挟むがそれを気にせず食事を続ける。

「まぁ、外で食べることもないだろうし、テーブルマナーはゆっくりでいいさ」

「それはそうかも知れませんが」

シルヴァが不満そうな顔をするものだからあなたは仕方ないと嬉しそうに苦笑して一計を投じる。

「もし外で食事を取るような社交的な場にはシルヴァがついて来てくれるんだろう？」

その言葉にコノが顔を上げてあなたのほうを向き、シルヴァは納得したのか芝居がかった言い方で返事をする。

「必要でしたらもちろん。わたくしなら主様に恥をかかせるようなことは致しませんから」

コノはつぶらな瞳であなたとシルヴァを交互に何度も視線を泳がせる。

「行儀のなっていない食べ方では主様と共に外で食事は出来ませんよ？」

諭すように優しくシルヴァがそう言うとなきつくような顔であなたに助けを求める。

「ゆっくりで良いからシルヴァから学べば良いよ。だから難しく考えないで美味しく食べるといい」

コノの頭の中で論点が変わるような言い方をわざとしたあなたにシルヴァがじっとりした目線で言葉を口にせず思いを伝えてくる。
それに気が付いたあなたは誤魔化すように食事に手を付ける。

「いやー、にしても本当にシルヴァの手料理は美味しいな」

その様子にシルヴァが諦めたように肩を落として息を吐き微笑む。

「主様は卑怯です。わたくしがその程度の言葉ですべて許してしまうくらいお慕いしていると知っているですから」

「それはそうやって口にするからじゃないか？」

わざとらしいシルヴァの言葉を掬うように言うとシルヴァがそういうところですと言って微笑んだ。

「シルヴァには悪いけど、色々と甘えさせてもらってるよ」

賑やかな食卓を囲み時間が過ぎる。




日が昇り、あなたはいつも通り魔法の研鑽をしていた。

「確か、眠る魔法書庫の書いた魔法論文が何処かに」

現在取り掛かっている魔法に必要な思考論が書かれた論文の複写を探して部屋の中に所狭しと並んだ本棚から論文を纏めた棚の前に移り綴りを探す。

「えーっと、有名なヒトだから一つに纏めてあるはず」

端から指でなぞるように綴りを探し、お目当ての物を見つける。

「これだ」

あなたはそう口にして綴りを開き探していた論文の複写を見つけて椅子に戻った。

これで次の段階へ行けると論文をテーブルに置いたと同時に部屋の扉がゆっくりと開く。

「ご主人様ー」

愛らしい声音があなたの書斎に響いて振り返ると扉を少し開けたままコノが顔を見せる。

「コノ、どうした？」

あなたが聞くとコノは扉を閉めず頬を赤く染めてふらふらと近づいてくる。

「顔が赤いぞ、風邪でも引いたか？」

わかった上であなたはわざとそう聞く。

するとコノは舌を垂らしてあなたの膝元にすりよりお腹に顔を当てて大きく息を吸い込み匂いを胸いっぱいに溜め込む。

「コノ、今は忙しいから後にしてくれ」

今日のうちに論文を読み直して魔法の確立への足がかりにしたいと思っているあなたは邪険にしないにしろ今すぐコノの思いを飲み込むつもりはなかった。

コノはそれでもあなたにすりより邪魔にならない程度で意思を伝えてくる。

それに見かねたあなたはコノの頬に手を滑らせた。

シルヴァとは違うぷにっとした感触、絹のように滑らかな肌に指を沿わせてだらしなく垂らした舌に触れる。

人差し指で舌を撫でると一瞬体を大きく震わせてコノが期待に満ちた目であなたを見つめて催促するように唾液が口から滴り落ちる。

「一回だけだぞ」

許しの言葉を受けてコノは椅子に座るあなたのズボンのチャックを開けてそり立つ陰茎をおもむろに咥え込む。

普段の天真爛漫な姿からは想像もできないような丁寧さで口に含んだ陰茎を嘗め回す。

歯に当てないように気を使いながら大きく開いた口の頬で亀頭を擦りあげて舌で反対側を丹念に嘗める。

まるでお気に入りのキャンディーを大切に舐める子供のように丹念にそれで居て丁寧に口の中で味わう。

長いストロークで根元から先端までをゆっくりと往復しながら舌は蛇のようにうねり亀頭を刺激する。

口の中に溜め込んだ唾液を喉を鳴らして飲み込み、再び口の奥まで呑み込み喉を窄めて亀頭の鈴口からカリまでを包み込み、搾り取るように生暖かくぬるりとした感触にぶるりとあなたが体を振るわせる。

それを見たコノはとても嬉しそうな顔でゆっくりと亀頭を吸い上げるように唇を先端に滑らせていく。

一切の余剰の無い口内が竿から亀頭までおよそ感じられる快感を超越した感触をあなたにもたらした。

それに耐え切れなくなったあなたはコノに視線を送ると期待に応えるようにとろけた瞳で速度をあげて陰茎を口で扱きあげる。

喉を突くような感触がしたと思えばいつの間にか裏筋に舌先が弄ばれる。

そんな極上の口淫の果てにあなたは声を漏らす。

「コノっ！」

それを合図といわんばかりにコノは喉の奥まで陰茎をくわえ込み口全体でキュッと締め上げた。

それ同時に限界を向かえた射精感が爆発してコノの頭を押さえ込んで精液を吐き出してしまう。

時間にして十数秒、あふれ出る精液が止まるまでコノの頭を押さえつけ喉の奥にすべてをぶちまける。

そのあふれ出る精液をコノは喉を鳴らして呑み込んでいく。

「っ！ はぁ……、すまない。コノ」

射精が収まると押さえつけた手を離し、コノが尿道に残った精液まで吸いだすようにちゅっと喉を震わせてからゆっくりと陰茎から口を離した。

「ごしゅじんさまぁ……」

甘えるようなとろける様な声ですべてを口にせずコノはあなたをベッドへと誘う。

「っ！ これ以上は駄目だ。…………続きは今晩にしよう」

そういうとコノはしょんぼりしつつも期待に溢れた瞳で頷いてとぼとぼと部屋を後にした。

「後でめいっぱい可愛がってやらないとな」

その為にもとあなたは気合を入れて論文に目を落としだした。

その少し前、コノがあなたの精を搾り取っている姿をシルヴァが見てしまっていた。

コノが部屋を出ようとするよりも先にシルヴァは足音を殺して逃げ出していた。

悩ましくも惚けた瞳でコノの与える快楽に陶酔するあなたを見て一人自らを慰めているなどコノには、特にあなたには絶対に見せられないからだ。

乱れた息を整えてシルヴァは自室のベッドに倒れこみ自らの行為を恥じて顔を赤くする。

だが、それを考えるたびに気持ちよさそうなあなたの顔が脳裏に浮かびゆっくりと下腹部へ手を伸ばして体を丸めて再び自らを慰めだす。

コノのあの純朴さが羨ましい。

どうして自分はあそこであなたへと奉仕できないのかと自らの忠誠心に問いかけながらも火照る体を冷ますため淫靡な姿を晒してシルヴァは物思いにふけていた。

■作者メッセージ
あなた [人間]　人里から少し離れた山にある館に住んでいる。

コノ [コボルド] 数年前に偶然山の中で見つけ怪我をしているところを保護し、そのまま懐いてしまい共に暮らすことに。

シルヴァ [クー・シー] 館に住み始めた頃に飼いだした犬が長年付き合いのあった魔物の魔力に当てられ姿を変えて、それ以来あなたのために尽くしている。