連載小説
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プロローグ
ここは魔界国家「レスカティエ」の大広場。

そこを四人?の魔物娘が城へ向かって歩いていた。

「サーシャ、デルエラ様がアタシラを呼ぶ理由わかるか?」
「さあ?私も知りたいくらいです。」
「でも結構大事な話かもよ。ミミル達元勇者が全員集められているのだからね。」
「………。」
「おやっ?どうかしましたプリメーラ?不機嫌な顔をして……」
「だって……デルエラ様に呼び出されていない今宵があいつを独占できるじゃない。」
「……それは言わないほうがいいぞ。みんな考えないようにしているのだから。」
「うぅーっ。プリメーラがそれを言っちゃうから気になっちゃうじゃない。」
「わふぅ……ごめんね。」
「……とりあえずあのことはいったん置いておきましょう。」

サーシャがそう区切るとそのあとはミミル、メルセ、プリメーラ、サーシャの四人は黙ってデルエラの待つ玉座に向かうのだった。内心今宵に彼を独占されることに不満を抱きながら主の待つ場所へ急ぐのだった。




「……ふぅっ」

そのころデルエラは一足先に来ていたウィルマリナやフランツィスカと共に集めた者たちが集うのを待っていた。

「……デルエラ様みんな遅いですわね。」
「まぁ仕方ないわね。急に招集をかけたのだから。それにしてもあなたたちは早かったわね。」
「たまたまお城に来ていたのです。」
「デルエラ様、マリナはわたくしと一緒に料理の勉強をしていたのですわ。」
「なるほど。それなら図書室にいたのは納得できるわね。」
「はいっ……デルエラ様そうこう言っているうちに来ましたよ。」

デルエラが扉のほうに目をやると、ガチャガチャと音を立てながらサーシャ達を含めた数十人の魔物娘と二十人ほどのインキュバスが彼女の待つ場所に入ってきた。

元勇者は先に来ていたウィルマリナを含めて武装をしており、それ以外の者は羊皮紙などを用意していた。

「みんな集まったわね。そうね先に謝罪しておくわ。急に招集をかけて迷惑をこうむったものもいることでしょう。」
「「「勿体なきお言葉です。何なりと申し付けください。」」」

(……そう言っているけどやっぱり交わりを邪魔したことに結構な数が不満を持っているようね。まあ今回のはかなり重要な要件だしさっさと始めましょう。)

「さてと早速本題に入るわよ。あなたたちに調べてほしいものがあるのよ。」
「し…調べてほしいものですか?」
「そ…それはどういったものでしょうか?」
「そうね。…簡単にいうと図書室にある資料だけでは足りないものよ。」
「と…図書室でも足りないものですか?」
「かなり大変そうね。でもどんなものなのかしら?」

デルエラの言葉に反応した彼女たちは思案顔になった。そのようなものが大事になるとはとても思えなかったからだ。

「あなたたちが疑問に思うのはわかりますわ。でも、この件はかつてのレスカティエに関する重大なことですのよ。」

先に彼女から話を聞いていたらしくフランツィスカはそう言った。

「ですがフランツィスカ様そのように仰せられますが、レスカティエのことは全てデルエラ様がご存じなのでは?」
「でもあたしらを呼んだのはデルエラ様がご存じでないことなのだろう?」
「……ですが見当がついません。」

フランツィスカの言葉を聞いた彼女たちは近くの者と相談しながら要件について思案していた。その様子をデルエラは面白そうに眺めていた。

「さて、私が呼んだのはかつてレスカティエにいた勇者に関することよ。」
「勇者……!?」
「それってどういうことでしょうか?」
「そうね、かつてのここの権力者たちに存在を消された勇者のことよ。」

彼女の放ったこの言葉から勇者としての存在を消された者たちの存在が暴かれるのだった。
16/08/21 01:19更新 / 旅人A
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