分不相応な粘従者様
「初めまして、ご主人様」
……そこそこ程度に都会化したとある市のボロアパートの一室の前で。
やけに顔色の悪いものすごい美人さんが俺の顔を見つめ、静かに微笑んでいた。
ここで時を遡り順を追って説明しよう。
俺は榎本巡治(えのもとじゅんじ)、23歳のしがないフリーターだ。
それもついこの間この街に引っ越してきて、正確にはフリーターですらない無職の身。
ちょっとした家庭環境の気まずさから資格取得を親への言い訳に家を出て独り立ち、費用削減のために安くて居心地の悪い電車に揺られ、これまた費用削減のために物価と家賃の安い代わりに魔物娘友好指定特区地域に指定されているこの街にたどり着いた。
こちらに来る前にそこそこ貯めて居た資金を使い部屋を整え、家電や家具も買い、昨日近くの大手スーパーから食材も買ってきてさあ独り暮らしを満喫するぞと思った瞬間に、旅の疲れが出たのかひどい寒気と関節痛に襲われ、どうにか冷蔵庫のトマトと買っておいたカップ麺を腹に押し込み、新品故に清潔で、しかし寒々しい布団にくるまって寝たのが昨日の晩。
そして朝7時、無機質で無遠慮な音量のインターホンの音で叩き起こされたのが一分前。
どうにか錆びついたロボットのように軋むだるい体を起こし、(この早朝から新聞や宗教の勧誘だったらタダじゃあ置かねぇぞ)と地元の友人からは冬眠前のヒグマと揶揄された眼光と巨体を揺らしてのそのそと玄関先に向かうと……正直、いろいろな意味で信じられないものを見た。
玄関の扉の端から黒とも紫とも、果ては虹色にも見える粘液が染み出し、うぞうぞと蠢いていたのだ。
正直この時点で風邪のウイルスが脳まで回った故の幻覚と判断していたのだが、その粘液からじゅるんっと音を立てて触手のようなものが飛び出し、部屋の鍵を内側からカチャリとたやすく開けてしまっては早々見過ごしてもいられない。
咄嗟にドアノブを抑えようと手を出すが、一足先にというか一手先にドアを開けられ、朝の光に顔をしかめた先に立っていたのが、彼女だった。
以上、回想終わり。
……とはいえ、だ。
回想が脳裏を走馬灯のように過ぎ去ったものの、起き抜けの寝惚け状態の上に風邪の熱でオーバーフローしたと思しき頭では現状、何が正解なのかさっぱりわからない。
ドアノブを抑えようと伸ばし空を切った左手を所在なく漂わせ、やぶにらみの口半開きという情けない顔をしたままの俺を、その美人さんは表情を変えることなく、ただ静かに微笑んでいる。
てかこの人もしかしなくても魔物さんか?顔色青黒いし全身なんだか光沢があるように見えるし、今しれっと触手と粘液スカートの中に回収したし。
ええと、とりあえず、だな。
「……はい?」
日本人的対応その一、返事なのか聞き返したのかわからないような曖昧な言葉を返す。
大体の場合これでもう一度状況を確認するだけの話は聞かせてもらえるのだが。
「ああ、受け入れて下さるのですねご主人様、まさかほんの一目で気に入っていただけるなど光栄の限りでございます。
このセグリタ、一生をかけてご主人様に仕えさせていただきますわ」
美人さんはイマイチ抑揚のない声でとんでもないことを仰った。
じわじわと危機感の働きだした脳には現在押し売りだとか悪徳商法とかいう単語が飛び交っている、まずい、よくわからんけどこれはまずい!
浮かせていた手で素早くドアノブをつかみ、朝っぱらからご近所に迷惑とかそんなことを考慮しない勢いで俺はドアを閉めて落ち着く時間を得ようとした。
が、それは半分、否、三分の一ほどだけ成功した。
ドアノブを素早くつかむ、ここまではいい、榎本史上最高速度と言っても良い。
しかし俺がドアを閉めるまでのほんの数瞬の間にその女性、セグリタさんとやらは一瞬液状に体がほどけ、部屋の中の俺の隣まで移動して体を再構築し、渾身の力で引いたドアを液化した体の一部で受け止め、優しく音を立てずに閉めた。
唖然として大口を開ける俺の気持ちを知ってか知らずか、彼女は平然と部屋を見渡し。
「まずは従者としての奉仕の基本、掃除整理整頓から始めさせていただきますね?」
俺にニコリと微笑みかけてから液状の体を最大限活用し、部屋全体の掃除を一斉に始めた。
天井から台所から床、風呂場、寝床、トイレに至るまで触手を伸ばし、それぞれに適した掃除用具に身を変え、瞬く間にチリ一つない部屋へと変貌させてゆく。
その間も俺は立ちっぱなしで放置されることもなく、いつの間にやらそこに昔から置いてあったとばかりの存在感を放つ紫色の高級感あふれるふかふかとしたソファーに座らされ、買った覚えすらない高級そうな薄紫を基調としたティーセットと、芳醇な香りを放つロイヤルミルクティー、香ばしく食欲をそそられるクロワッサンでもてなされていた。
それも俺が疑問を挟む暇もないほどの一瞬でだ。
いや、なんだ、いつ出した、朝食もソファーも。
現実感を失い、もてなされるがままにミルクティーを口に含むと、さも当然かのようにめちゃくちゃおいしい。
貧乏舌の自分でも断言できるほどに最上級の素材と腕前が惜しげもなく振るわれている。
このカップ一杯のために何時間、いや、何日何週間働けばよいのだろうかと場違いな考えをぼんやりと浮かべていると、部屋の最終チェックを終えた様子のセグリタさんがこちらを振り返り、ソファーに座る俺の目の前へとゆっくり歩み寄る。
(……いよいよ代金の請求か?誓約書を書かされるのか?都会に出てきて早々こんなことになるとは、都会は恐ろしいと聞いてはいたがここまでとは、ああこんなことなら大人しくバイトを続けて近所のコンビニにいたワーキャットのお嬢さんにアタックしておけばよかった)
完全に状況についていけなくなった俺の頭は現実逃避をはじめ、緊張からこのままだと意識が遠のいていきそうだと思った矢先。
「お掃除のご奉仕、完了いたしましたわご主人様……おや、体調が優れないご様子ですね?」
セグリタさんが跪き、文字通りこちらの顔色を窺うように顔を至近距離まで寄せてきて……っ!?
「ご主人様、失礼いたしますわ、んっ……」
「……えっ、いやっ!ちょっと待って顔近っ……!!」
額を合わせる程度かと思ったらいきなり舌までねじこむ深い深いキスをしてきた!
とろりととろけるような舌は暖かいようなひんやりしているような不思議な感覚で、背筋が思わず震えてしまうような甘美な感触と脳髄に刷り込むような強烈な快楽を口全体に伝えてきた。
「んんっ!?んむぅっ!」
「落ち着いて下さいませ、すぐ良くなりますわ」
唇を合わせたままでどういう発声法をしているのか、滑らかで艶のある声を響かせ、さらに深く深くへと、舌の形から徐々に流動するように、喉を通り食道を通り体内へと入り込んでくる。
「ん……ぐ……」
「そう、わたくしに体を預けて、リラックスして下さいませ……」
気づけば既に肩から下の全身が彼女の流体状の体に包まれ、頭部もその滑らかな腕に抱えられ、全体重を彼女へと委ねる形になっていた。
物心ついた時から恵まれた体格で、こんな風に人に甘えるなど精神的にも体重的にもここ十年以上そんな機会はなかった。
それが今、不定形ではあるものの、むしろそれが心地よいほどに女体に包まれ、その温もりの中、気づけば俺は……恥ずかしいことに勃起してしまっていた。
それを自覚した俺は、このざまながらも微かに残った羞恥心から腰を引いて突起を隠そうとすると、こちらを見つめながらキスしていたセグリタさんは目尻だけでニイィ……と笑い。
「体の中の毒素を集め、こちらから出させて差し上げますわ。
ご主人様は快楽と共に深い深い眠りへと落ち、起きるころには体も楽になっていらっしゃるでしょう……」
そう言って、着ていた寝間着の中にまで粘液状の体を流し入れてきた!
セグリタさん自身が肌の上を這いまわる度、すべすべとした指で撫でられるような、柔らかで豊かな胸を押し付けられるような、ぬめりけと吐息さえ感じるほどの熱を持つ舌で舐めねぶられるかのようなとんでもない快楽が全身に襲い掛かる。
もちろんそれはトランクスの中も例外では無く……。
「〜〜〜〜〜っっ!?!?!?」
「ふふ……ご主人様、なんて愛らしいのかしら……愛しいお方」
冷静に見せかけて確かでドロドロと熱く煮えたぎるマグマのような情欲を瞳にうつした彼女は、容赦なく俺の股間を指先でいじるように繊細に、豊かな胸で挟むように柔らかに、口全体で搾り上げるように強烈に刺激する。
そしてそれは股間だけに集中することなく全身に、まるで俺の体の口から耳から毛穴に至るまで、ありとあらゆる穴からするかの如く、強く、されど決して痛くなくむしろ心地よささえ感じるほどの圧力で抱きしめ愛撫する。
あっという間に俺は登り詰め、視界が明滅するほどの快楽と共に……
「んぅぅうーぅ!?んんーーーー!!!!」
「ふふふ……いっぱい、出てますね……」
あっけなく爆ぜてしまった。
今まで感じたことのないほどの快楽と、大量の放出感が、長く、長く続いた。
「んぷっ……ふぅ……今のご主人様の余剰分の精液の中に体中の毒素を押し込め、流させていただきました……きっと、あと数時間後には今までにないほどの最高の目覚めを味わえる筈ですわ……」
やっと解放されてふやけたような感覚の口に、寂しさすら感じる中、セグリタさんは優しげな眼で俺を見つめながら囁き、頭を撫でてくれる……。
「もうお疲れでしょう、風邪で失われた体力までは流石にすぐには癒せません……ごゆっくり、おやすみなさいませ……ご主人様」
魔性の慈愛の込められた囁きに俺は催眠術にでもかけられたように力が抜け、彼女の体に身を委ね、ゆっくりと睡魔の誘われるがままに深い眠りへと落ちていった……。
……そこそこ程度に都会化したとある市のボロアパートの一室の前で。
やけに顔色の悪いものすごい美人さんが俺の顔を見つめ、静かに微笑んでいた。
ここで時を遡り順を追って説明しよう。
俺は榎本巡治(えのもとじゅんじ)、23歳のしがないフリーターだ。
それもついこの間この街に引っ越してきて、正確にはフリーターですらない無職の身。
ちょっとした家庭環境の気まずさから資格取得を親への言い訳に家を出て独り立ち、費用削減のために安くて居心地の悪い電車に揺られ、これまた費用削減のために物価と家賃の安い代わりに魔物娘友好指定特区地域に指定されているこの街にたどり着いた。
こちらに来る前にそこそこ貯めて居た資金を使い部屋を整え、家電や家具も買い、昨日近くの大手スーパーから食材も買ってきてさあ独り暮らしを満喫するぞと思った瞬間に、旅の疲れが出たのかひどい寒気と関節痛に襲われ、どうにか冷蔵庫のトマトと買っておいたカップ麺を腹に押し込み、新品故に清潔で、しかし寒々しい布団にくるまって寝たのが昨日の晩。
そして朝7時、無機質で無遠慮な音量のインターホンの音で叩き起こされたのが一分前。
どうにか錆びついたロボットのように軋むだるい体を起こし、(この早朝から新聞や宗教の勧誘だったらタダじゃあ置かねぇぞ)と地元の友人からは冬眠前のヒグマと揶揄された眼光と巨体を揺らしてのそのそと玄関先に向かうと……正直、いろいろな意味で信じられないものを見た。
玄関の扉の端から黒とも紫とも、果ては虹色にも見える粘液が染み出し、うぞうぞと蠢いていたのだ。
正直この時点で風邪のウイルスが脳まで回った故の幻覚と判断していたのだが、その粘液からじゅるんっと音を立てて触手のようなものが飛び出し、部屋の鍵を内側からカチャリとたやすく開けてしまっては早々見過ごしてもいられない。
咄嗟にドアノブを抑えようと手を出すが、一足先にというか一手先にドアを開けられ、朝の光に顔をしかめた先に立っていたのが、彼女だった。
以上、回想終わり。
……とはいえ、だ。
回想が脳裏を走馬灯のように過ぎ去ったものの、起き抜けの寝惚け状態の上に風邪の熱でオーバーフローしたと思しき頭では現状、何が正解なのかさっぱりわからない。
ドアノブを抑えようと伸ばし空を切った左手を所在なく漂わせ、やぶにらみの口半開きという情けない顔をしたままの俺を、その美人さんは表情を変えることなく、ただ静かに微笑んでいる。
てかこの人もしかしなくても魔物さんか?顔色青黒いし全身なんだか光沢があるように見えるし、今しれっと触手と粘液スカートの中に回収したし。
ええと、とりあえず、だな。
「……はい?」
日本人的対応その一、返事なのか聞き返したのかわからないような曖昧な言葉を返す。
大体の場合これでもう一度状況を確認するだけの話は聞かせてもらえるのだが。
「ああ、受け入れて下さるのですねご主人様、まさかほんの一目で気に入っていただけるなど光栄の限りでございます。
このセグリタ、一生をかけてご主人様に仕えさせていただきますわ」
美人さんはイマイチ抑揚のない声でとんでもないことを仰った。
じわじわと危機感の働きだした脳には現在押し売りだとか悪徳商法とかいう単語が飛び交っている、まずい、よくわからんけどこれはまずい!
浮かせていた手で素早くドアノブをつかみ、朝っぱらからご近所に迷惑とかそんなことを考慮しない勢いで俺はドアを閉めて落ち着く時間を得ようとした。
が、それは半分、否、三分の一ほどだけ成功した。
ドアノブを素早くつかむ、ここまではいい、榎本史上最高速度と言っても良い。
しかし俺がドアを閉めるまでのほんの数瞬の間にその女性、セグリタさんとやらは一瞬液状に体がほどけ、部屋の中の俺の隣まで移動して体を再構築し、渾身の力で引いたドアを液化した体の一部で受け止め、優しく音を立てずに閉めた。
唖然として大口を開ける俺の気持ちを知ってか知らずか、彼女は平然と部屋を見渡し。
「まずは従者としての奉仕の基本、掃除整理整頓から始めさせていただきますね?」
俺にニコリと微笑みかけてから液状の体を最大限活用し、部屋全体の掃除を一斉に始めた。
天井から台所から床、風呂場、寝床、トイレに至るまで触手を伸ばし、それぞれに適した掃除用具に身を変え、瞬く間にチリ一つない部屋へと変貌させてゆく。
その間も俺は立ちっぱなしで放置されることもなく、いつの間にやらそこに昔から置いてあったとばかりの存在感を放つ紫色の高級感あふれるふかふかとしたソファーに座らされ、買った覚えすらない高級そうな薄紫を基調としたティーセットと、芳醇な香りを放つロイヤルミルクティー、香ばしく食欲をそそられるクロワッサンでもてなされていた。
それも俺が疑問を挟む暇もないほどの一瞬でだ。
いや、なんだ、いつ出した、朝食もソファーも。
現実感を失い、もてなされるがままにミルクティーを口に含むと、さも当然かのようにめちゃくちゃおいしい。
貧乏舌の自分でも断言できるほどに最上級の素材と腕前が惜しげもなく振るわれている。
このカップ一杯のために何時間、いや、何日何週間働けばよいのだろうかと場違いな考えをぼんやりと浮かべていると、部屋の最終チェックを終えた様子のセグリタさんがこちらを振り返り、ソファーに座る俺の目の前へとゆっくり歩み寄る。
(……いよいよ代金の請求か?誓約書を書かされるのか?都会に出てきて早々こんなことになるとは、都会は恐ろしいと聞いてはいたがここまでとは、ああこんなことなら大人しくバイトを続けて近所のコンビニにいたワーキャットのお嬢さんにアタックしておけばよかった)
完全に状況についていけなくなった俺の頭は現実逃避をはじめ、緊張からこのままだと意識が遠のいていきそうだと思った矢先。
「お掃除のご奉仕、完了いたしましたわご主人様……おや、体調が優れないご様子ですね?」
セグリタさんが跪き、文字通りこちらの顔色を窺うように顔を至近距離まで寄せてきて……っ!?
「ご主人様、失礼いたしますわ、んっ……」
「……えっ、いやっ!ちょっと待って顔近っ……!!」
額を合わせる程度かと思ったらいきなり舌までねじこむ深い深いキスをしてきた!
とろりととろけるような舌は暖かいようなひんやりしているような不思議な感覚で、背筋が思わず震えてしまうような甘美な感触と脳髄に刷り込むような強烈な快楽を口全体に伝えてきた。
「んんっ!?んむぅっ!」
「落ち着いて下さいませ、すぐ良くなりますわ」
唇を合わせたままでどういう発声法をしているのか、滑らかで艶のある声を響かせ、さらに深く深くへと、舌の形から徐々に流動するように、喉を通り食道を通り体内へと入り込んでくる。
「ん……ぐ……」
「そう、わたくしに体を預けて、リラックスして下さいませ……」
気づけば既に肩から下の全身が彼女の流体状の体に包まれ、頭部もその滑らかな腕に抱えられ、全体重を彼女へと委ねる形になっていた。
物心ついた時から恵まれた体格で、こんな風に人に甘えるなど精神的にも体重的にもここ十年以上そんな機会はなかった。
それが今、不定形ではあるものの、むしろそれが心地よいほどに女体に包まれ、その温もりの中、気づけば俺は……恥ずかしいことに勃起してしまっていた。
それを自覚した俺は、このざまながらも微かに残った羞恥心から腰を引いて突起を隠そうとすると、こちらを見つめながらキスしていたセグリタさんは目尻だけでニイィ……と笑い。
「体の中の毒素を集め、こちらから出させて差し上げますわ。
ご主人様は快楽と共に深い深い眠りへと落ち、起きるころには体も楽になっていらっしゃるでしょう……」
そう言って、着ていた寝間着の中にまで粘液状の体を流し入れてきた!
セグリタさん自身が肌の上を這いまわる度、すべすべとした指で撫でられるような、柔らかで豊かな胸を押し付けられるような、ぬめりけと吐息さえ感じるほどの熱を持つ舌で舐めねぶられるかのようなとんでもない快楽が全身に襲い掛かる。
もちろんそれはトランクスの中も例外では無く……。
「〜〜〜〜〜っっ!?!?!?」
「ふふ……ご主人様、なんて愛らしいのかしら……愛しいお方」
冷静に見せかけて確かでドロドロと熱く煮えたぎるマグマのような情欲を瞳にうつした彼女は、容赦なく俺の股間を指先でいじるように繊細に、豊かな胸で挟むように柔らかに、口全体で搾り上げるように強烈に刺激する。
そしてそれは股間だけに集中することなく全身に、まるで俺の体の口から耳から毛穴に至るまで、ありとあらゆる穴からするかの如く、強く、されど決して痛くなくむしろ心地よささえ感じるほどの圧力で抱きしめ愛撫する。
あっという間に俺は登り詰め、視界が明滅するほどの快楽と共に……
「んぅぅうーぅ!?んんーーーー!!!!」
「ふふふ……いっぱい、出てますね……」
あっけなく爆ぜてしまった。
今まで感じたことのないほどの快楽と、大量の放出感が、長く、長く続いた。
「んぷっ……ふぅ……今のご主人様の余剰分の精液の中に体中の毒素を押し込め、流させていただきました……きっと、あと数時間後には今までにないほどの最高の目覚めを味わえる筈ですわ……」
やっと解放されてふやけたような感覚の口に、寂しさすら感じる中、セグリタさんは優しげな眼で俺を見つめながら囁き、頭を撫でてくれる……。
「もうお疲れでしょう、風邪で失われた体力までは流石にすぐには癒せません……ごゆっくり、おやすみなさいませ……ご主人様」
魔性の慈愛の込められた囁きに俺は催眠術にでもかけられたように力が抜け、彼女の体に身を委ね、ゆっくりと睡魔の誘われるがままに深い眠りへと落ちていった……。
15/09/26 13:54更新 / ぷー