5.まーたひと騒動ですよ!
「なるほどねぇ・・・・魔王様が代替わりを・・・・・」
黒樹は、村長夫妻からこの世界で起こった出来事を
聞き驚嘆していた。現代で知りえていた事柄は
こちらの世界では旧時代の話であり
今では全く別の世界に変わっていたのだった。
「んで・・・今の魔王様がサキュバスだから
魔物達は皆全て女に変化してる訳だ・・・・」
しかも魔王の夫は最強と謳われた勇者であり
現在の魔王と協力し先代魔王を打倒して
更には神と喧嘩をしはじめた。その影響で魔物たちは
愛に目覚めた。魔物にとって男性は愛すべき存在。
糧であり、伴侶であり、同胞であり、守り守られる存在。
故に教団兵たちを殺すなと村長の妻ナーデリアは言った。
愛すべき存在だからこそ殺された姿を見る事は
魔物たちにとって恐怖なのであると。
「うーん・・・・・・今更ながらとんでもない世界に来たんだなぁ」
「それはこっちのセリフだぜ。なぁグルカ」
「あぁ、魔法を喰うだなんてデタラメ過ぎる話だ
恐らくサバトのバフォメット様や魔王様のご令嬢の
リリム様ですらそんな事は出来ないだろう・・・・」
「ひひひひひひ・・・・長年の研究の賜物だよ
ちなみに喰えるのは魔術だけじゃないぜ
その気になれば他の生き物の寿命だって
喰うことが出来るんだ。『森羅万象喰えぬモノ無し』
ってことさ・・・・・ひひひひひひひ」
「・・・・・・貴殿は本当に人間なのか?」
「まだ、な。俺もそろそろ角とか生えても
いい年頃だと思うんだがなぁ」
ニヤニヤと笑いながら、頭をさすり出す
すると、ナルとグルカは、ほぼ同時に叫んだ
「「生えてたまるか!!!!」」
「お約束のツッコミ感謝の極み」
テンプレ的なノリツッコミを消化しつつ今後の事を
考えねばならない。分かっている事が余りにも少ないが
教団国はこの森を欲しがっている事は確か。
相手の規模も兵力も何もかもが分からないが
方法がない訳ではない。魂を無理やり引きずり出して
直接情報を取り出す魔術を使えばいい。しかしそれは
相手にとても強い苦痛を与える魔術であり
下手すると相手は死んでしまうし最悪魂が消滅してしまう
この世界の魔物達がとても嫌がるやり方になってしまう
故にこの方法は使えない訳である。
「そんなことも出来るのか・・・・貴殿はやはり人間ではないな」
「ひっひっひっひ。褒めても鎖と呪具しか出ないぞ?要るか?」
「要らぬ!!!!」
それに兵士たちの装備も中々の物だった
これを見る限り教団はかなり規模の戦力を
抱えているとみて間違いない。
早々に何かしらの対策を講じねば
追加の人員が徒党を組んで襲ってくる。
そうなったら今の戦力でどうにかするのは難しいだろう。
「では、早急に魔王軍に連絡を取って動いてもらわないと!」
「それなりの規模が動くとするなら、それなりの時間が
掛かるだろう。動くにしても時間がかかり過ぎる。」
「じゃあどうすれば!!」
村長が青ざめた顔でまくしたてる。無理も無い話だ
一難去ってまた一難なのだから。
「少なくとも連絡だけなら今聞いたわよ」
空の上から誰かが語り掛ける。
全員で上空を見上げると見た事も無い魔物が
ゆっくりと降りてきた。
「あ・・・貴女様は・・・・」
「ナル、グルカ。こちらの方は?」
「魔王第四十子、レッセル様だ」
リリム。この世界の魔王の娘。この世界の魔物の
頂点に座る魔物。その最強の魔物がどういう訳かここに来た。
「貴方ね、あんな冷たくて暗い魔力を使ってたのは」
「気づかれましたか。異界より参りました魔導師
黒樹博信と申します。魔王のご息女様にお目にかかる事が
出来て恐悦至極にございます」
黒樹は片膝をつき深々と頭を下げた。
それを見たレッセルが顔を膨らませて怒り始めた
「もう!そーゆーのやめてよね!アタシそういう堅苦しいの
嫌いなの!もっとフランクに接してよ!!」
プリプリと怒るという言葉がピタリと合う怒り方だった
何処にでもいるごく普通の女の子だった。
黒樹が知っている上位魔族のイメージがガラガラと
大規模に音を立てて崩れ続け頭が追いついて来なかった
「うぅ・・・・・目眩がしてきたわ・・・・・」
「なによぅ、いいじゃないのよぅ・・・・姉さん達も
『上に立つ者としての言葉遣い〜』とか言うし
他の魔物達も『威厳が〜』とか言うし
そんなガチガチな日常なんか送りたくないわよぅ・・・・」
怒ったかと思いきや今度はふわふわと宙に浮かんだまま
後ろ向きで体育座りをして「の」の字を書き始めてしまった
黒樹はナルとグルカを手招きして近寄らせ小声で
相談をし始めた。
「最強がすね始めたぞ・・・・・・どうしたらいいんだこれは・・・・・・」
「本人が、あぁ言ってるんだから別にいいんじゃねーか?」
「大丈夫なんだろうな?不敬罪で逮捕とか勘弁だぞ?!」
「安心しろ、そんな法律は聞いたことがないぞ」
「ハァ・・・・・・んで?誰が行くんだ?」
黒樹は誰がレッセルに話しかけに行くかを問うと
ナルとグルカはほぼ同じタイミングで黒樹を指さす。
「なんで俺なんだよ!!!」
「こういう時は男から声をかけられた方が喜ぶものだ(グッ)」
「諦めな、男だろ?ビシッと決めてこい!(グッ)」
「親指立てんな!爽やかに笑うな!!」
ナルとグルカは清々しいまでの笑みとサムズアップを
繰り出した。要は生贄になれという事らしい。
(ちくしょう!なんて奴らだ!事が済んだら
「男ヨラズ」の呪いをかけてやる!!!)
黒樹は心の中で悪態をつきつつ
相変わらず浮かびながらどんよりと
落ち込んでいるレッセルの
肩をたたき話しかけた。
「えーっと・・・・レッセルって呼んでもいいかい?」
するとレッセルは一瞬びっくりした後に
わなわなと震え、泪と鼻水全開で黒樹に抱きついた。
「あ゛り゛か゛と゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛う゛れ゛し゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛」
このような対応をしてくれる者が居なかったであろう
境遇ならば当然の反応ではある。
だか問題は『彼女は今まで空中に浮かんでいた』
という事。当然他の者達より僅かではあるが
高い位置に居た状態で抱きついたのだから
黒樹の顔面にぶつかるのは
『た わ わ な お っ ぱ い』
である。
「やっべぇ!」
ナル・グルカ・村の者達に激震が走る!
他の魔物娘ならばいざ知らず相手はリリム
歩くだけで男を魅了し髪をかき上げ色香を
漂わせようものなら周囲に居た男は皆
間欠泉の如く精液を吹き上げてしまう!
しかも受けた事の無い対応で嬉し涙全開の
状況でどうなるか分かったものではない!
ましてや直撃の黒樹は間違いなく
アヘ顔で精液垂れ流しになってしまうのは
火を見るより明らかだった!
「不味い!引き離さなねば!」
グルカは二人を引き離そうと全速力で走り出した!
しかしその鍛え抜いた速力も空しく
音も無く崩れ落ちるのであった。
最強が。
「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」」」」」
一体何が起きたのか、村の者一同
目玉が飛び出る程の驚きであった。
しかしこの場に居る者で一番驚いたのは
崩れ落ち地面に横たわるレッセルであっただろう。
「な・・・・・・に・・・・・?か・・・・・ら・・・・・だ・・・・・が・・・・・
うご・・・・・・か・・・・・・な・・・・・・い・・・・・・・・?」
「ウーップ・・・・・流石は魔王の直系・・・・・寝起きに
脂身たっぷりの極厚ステーキ無理やり食わされた気分だ・・・・・」
そう、黒樹はレッセルの魔力を全て喰って
しまったのである。おっぱいが顔面に
直撃し無意識の魅了を受けた瞬間に
黒樹もまた無意識に魔力を喰うという
図式になってしまったのだった。
「な・・・なにが起きやがったんだ?!?!?!?!」
「そうか・・・これが黒樹が言っていた魔法喰いか・・・・」
「魔力を喰ったってのか?!相手はリリムだぞ?!」
「うむ・・・・そのリリムの膨大な魔力を限界ギリギリまで
喰ってしまった訳だ・・・・・なんという能力・・・・・・」
「おーい、誰か水持ってきてくれー・・・・喰い過ぎて気持ち悪いー・・・・・」
昼間から教団兵の襲撃に会い
異世界からやって来た奇妙で
危険な魔法使いに助けて貰い
やっとひと段落着いたかと思った
矢先に現れる最強の魔物
そして魔力を喰われ崩れ落ちる最強と
半端無い胃もたれで苦しむ異世界の魔法使い
今日の事はこの先この村で末永く
語り継がれる事になりそうな
七転八倒な1日であった。
黒樹は、村長夫妻からこの世界で起こった出来事を
聞き驚嘆していた。現代で知りえていた事柄は
こちらの世界では旧時代の話であり
今では全く別の世界に変わっていたのだった。
「んで・・・今の魔王様がサキュバスだから
魔物達は皆全て女に変化してる訳だ・・・・」
しかも魔王の夫は最強と謳われた勇者であり
現在の魔王と協力し先代魔王を打倒して
更には神と喧嘩をしはじめた。その影響で魔物たちは
愛に目覚めた。魔物にとって男性は愛すべき存在。
糧であり、伴侶であり、同胞であり、守り守られる存在。
故に教団兵たちを殺すなと村長の妻ナーデリアは言った。
愛すべき存在だからこそ殺された姿を見る事は
魔物たちにとって恐怖なのであると。
「うーん・・・・・・今更ながらとんでもない世界に来たんだなぁ」
「それはこっちのセリフだぜ。なぁグルカ」
「あぁ、魔法を喰うだなんてデタラメ過ぎる話だ
恐らくサバトのバフォメット様や魔王様のご令嬢の
リリム様ですらそんな事は出来ないだろう・・・・」
「ひひひひひひ・・・・長年の研究の賜物だよ
ちなみに喰えるのは魔術だけじゃないぜ
その気になれば他の生き物の寿命だって
喰うことが出来るんだ。『森羅万象喰えぬモノ無し』
ってことさ・・・・・ひひひひひひひ」
「・・・・・・貴殿は本当に人間なのか?」
「まだ、な。俺もそろそろ角とか生えても
いい年頃だと思うんだがなぁ」
ニヤニヤと笑いながら、頭をさすり出す
すると、ナルとグルカは、ほぼ同時に叫んだ
「「生えてたまるか!!!!」」
「お約束のツッコミ感謝の極み」
テンプレ的なノリツッコミを消化しつつ今後の事を
考えねばならない。分かっている事が余りにも少ないが
教団国はこの森を欲しがっている事は確か。
相手の規模も兵力も何もかもが分からないが
方法がない訳ではない。魂を無理やり引きずり出して
直接情報を取り出す魔術を使えばいい。しかしそれは
相手にとても強い苦痛を与える魔術であり
下手すると相手は死んでしまうし最悪魂が消滅してしまう
この世界の魔物達がとても嫌がるやり方になってしまう
故にこの方法は使えない訳である。
「そんなことも出来るのか・・・・貴殿はやはり人間ではないな」
「ひっひっひっひ。褒めても鎖と呪具しか出ないぞ?要るか?」
「要らぬ!!!!」
それに兵士たちの装備も中々の物だった
これを見る限り教団はかなり規模の戦力を
抱えているとみて間違いない。
早々に何かしらの対策を講じねば
追加の人員が徒党を組んで襲ってくる。
そうなったら今の戦力でどうにかするのは難しいだろう。
「では、早急に魔王軍に連絡を取って動いてもらわないと!」
「それなりの規模が動くとするなら、それなりの時間が
掛かるだろう。動くにしても時間がかかり過ぎる。」
「じゃあどうすれば!!」
村長が青ざめた顔でまくしたてる。無理も無い話だ
一難去ってまた一難なのだから。
「少なくとも連絡だけなら今聞いたわよ」
空の上から誰かが語り掛ける。
全員で上空を見上げると見た事も無い魔物が
ゆっくりと降りてきた。
「あ・・・貴女様は・・・・」
「ナル、グルカ。こちらの方は?」
「魔王第四十子、レッセル様だ」
リリム。この世界の魔王の娘。この世界の魔物の
頂点に座る魔物。その最強の魔物がどういう訳かここに来た。
「貴方ね、あんな冷たくて暗い魔力を使ってたのは」
「気づかれましたか。異界より参りました魔導師
黒樹博信と申します。魔王のご息女様にお目にかかる事が
出来て恐悦至極にございます」
黒樹は片膝をつき深々と頭を下げた。
それを見たレッセルが顔を膨らませて怒り始めた
「もう!そーゆーのやめてよね!アタシそういう堅苦しいの
嫌いなの!もっとフランクに接してよ!!」
プリプリと怒るという言葉がピタリと合う怒り方だった
何処にでもいるごく普通の女の子だった。
黒樹が知っている上位魔族のイメージがガラガラと
大規模に音を立てて崩れ続け頭が追いついて来なかった
「うぅ・・・・・目眩がしてきたわ・・・・・」
「なによぅ、いいじゃないのよぅ・・・・姉さん達も
『上に立つ者としての言葉遣い〜』とか言うし
他の魔物達も『威厳が〜』とか言うし
そんなガチガチな日常なんか送りたくないわよぅ・・・・」
怒ったかと思いきや今度はふわふわと宙に浮かんだまま
後ろ向きで体育座りをして「の」の字を書き始めてしまった
黒樹はナルとグルカを手招きして近寄らせ小声で
相談をし始めた。
「最強がすね始めたぞ・・・・・・どうしたらいいんだこれは・・・・・・」
「本人が、あぁ言ってるんだから別にいいんじゃねーか?」
「大丈夫なんだろうな?不敬罪で逮捕とか勘弁だぞ?!」
「安心しろ、そんな法律は聞いたことがないぞ」
「ハァ・・・・・・んで?誰が行くんだ?」
黒樹は誰がレッセルに話しかけに行くかを問うと
ナルとグルカはほぼ同じタイミングで黒樹を指さす。
「なんで俺なんだよ!!!」
「こういう時は男から声をかけられた方が喜ぶものだ(グッ)」
「諦めな、男だろ?ビシッと決めてこい!(グッ)」
「親指立てんな!爽やかに笑うな!!」
ナルとグルカは清々しいまでの笑みとサムズアップを
繰り出した。要は生贄になれという事らしい。
(ちくしょう!なんて奴らだ!事が済んだら
「男ヨラズ」の呪いをかけてやる!!!)
黒樹は心の中で悪態をつきつつ
相変わらず浮かびながらどんよりと
落ち込んでいるレッセルの
肩をたたき話しかけた。
「えーっと・・・・レッセルって呼んでもいいかい?」
するとレッセルは一瞬びっくりした後に
わなわなと震え、泪と鼻水全開で黒樹に抱きついた。
「あ゛り゛か゛と゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛う゛れ゛し゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛」
このような対応をしてくれる者が居なかったであろう
境遇ならば当然の反応ではある。
だか問題は『彼女は今まで空中に浮かんでいた』
という事。当然他の者達より僅かではあるが
高い位置に居た状態で抱きついたのだから
黒樹の顔面にぶつかるのは
『た わ わ な お っ ぱ い』
である。
「やっべぇ!」
ナル・グルカ・村の者達に激震が走る!
他の魔物娘ならばいざ知らず相手はリリム
歩くだけで男を魅了し髪をかき上げ色香を
漂わせようものなら周囲に居た男は皆
間欠泉の如く精液を吹き上げてしまう!
しかも受けた事の無い対応で嬉し涙全開の
状況でどうなるか分かったものではない!
ましてや直撃の黒樹は間違いなく
アヘ顔で精液垂れ流しになってしまうのは
火を見るより明らかだった!
「不味い!引き離さなねば!」
グルカは二人を引き離そうと全速力で走り出した!
しかしその鍛え抜いた速力も空しく
音も無く崩れ落ちるのであった。
最強が。
「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」」」」」
一体何が起きたのか、村の者一同
目玉が飛び出る程の驚きであった。
しかしこの場に居る者で一番驚いたのは
崩れ落ち地面に横たわるレッセルであっただろう。
「な・・・・・・に・・・・・?か・・・・・ら・・・・・だ・・・・・が・・・・・
うご・・・・・・か・・・・・・な・・・・・・い・・・・・・・・?」
「ウーップ・・・・・流石は魔王の直系・・・・・寝起きに
脂身たっぷりの極厚ステーキ無理やり食わされた気分だ・・・・・」
そう、黒樹はレッセルの魔力を全て喰って
しまったのである。おっぱいが顔面に
直撃し無意識の魅了を受けた瞬間に
黒樹もまた無意識に魔力を喰うという
図式になってしまったのだった。
「な・・・なにが起きやがったんだ?!?!?!?!」
「そうか・・・これが黒樹が言っていた魔法喰いか・・・・」
「魔力を喰ったってのか?!相手はリリムだぞ?!」
「うむ・・・・そのリリムの膨大な魔力を限界ギリギリまで
喰ってしまった訳だ・・・・・なんという能力・・・・・・」
「おーい、誰か水持ってきてくれー・・・・喰い過ぎて気持ち悪いー・・・・・」
昼間から教団兵の襲撃に会い
異世界からやって来た奇妙で
危険な魔法使いに助けて貰い
やっとひと段落着いたかと思った
矢先に現れる最強の魔物
そして魔力を喰われ崩れ落ちる最強と
半端無い胃もたれで苦しむ異世界の魔法使い
今日の事はこの先この村で末永く
語り継がれる事になりそうな
七転八倒な1日であった。
18/05/25 21:37更新 / ultra食いしん坊
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