釣り
目にまぶしいほどの青空の下。
弱い波に揺られる小舟に男が一人。
彼は持参した袋から釣り竿を取り出し組み立てている。
男の狙いは何だろうか?
タイ? スズキ? メバル?
どれでもない。
竿を組み終わると男は服を脱いで自慰を始めた。
彼は露出癖のある変質者なのか?
いいや、違う。
男は自らの手で放出した液体を一度ビンに溜め、海面へばらまいた。
これは撒き餌なのだ。
そして釣り糸の先にルアーを取りつける。
そのルアーも普通の釣りでは考えられないものだ。
どう見ても今まで穿いていた男性用パンツにしか見えないのだから。
男はルアーを付けると撒き餌をばらまいた辺りに針を沈める。
そして待つこと数分。
弱い力で竿がクイッ、クイッと引っ張られる。
これは獲物が興味を持ってルアーをいじっている感触だ。
もちろんその程度ではパンツが外れることなどあり得ない。
だが放っておけば、いずれ強い力で引きはがされるだろう。
なのでその直前に―――引き上げる!
「そんな餌でこのアタシがタコー!」
勢いよく船上に引き上げられたのは女の上半身にタコの下半身を持った魔物。
スキュラである。
「あー、釣られちったー。おにいさん釣りが上手いねぇ。
さっそく味見してよ、味見。海産物は新鮮なうちが……って、ん?」
スンスンと鼻を鳴らし男の匂いを嗅ぐスキュラ。
「んんー? おにいさんインキュバス? 嫁さんいるの?」
魔物にのみ感じ取れる匂い。
これは自分の物だと主張するような他の魔物の香りが男には染みついていた。
その通り、自分はすでに妻がいる。
男は既婚者ということを隠さずに教える。
「じゃあ浮気? アタシはいいけど嫁さん怒んない?」
すでに妻がいる相手なので、スキュラもそこまでがっつきはしない。
大丈夫、許可はもらっているから。
男はスキュラにそう言うと身の上話を始めた。
確かに男は魔物と結婚している。しかしその相手はフェアリーだった。
キスをすること、交わること、子を産むこと。それらは問題なくできる。
だが抱きしめ合うことはできない。
口づけをしながら激しく交わることができない。
行為後に相手のぬくもりに包まれて眠ることもできない。
もちろんフェアリーは魔物として男に十分な愛と快楽を与えているし、男の側もそれに返している。
しかしサイズの差はどうにも埋められない。
男はどうしても他の魔物と比べて寂しさを感じてしまうのだ。
そんな男に対しフェアリーは一つの許しを出した。
他の魔物と付き合ってもいいよ、と。
「そっかー、おにいさんも大変だったんだねぇ……」
単純に性欲を持て余して…などという理由でないことを知り、同情したようにうんうんと頷くスキュラ。
そんな彼女に対し、フェアリーと同じように大切にするから付き合ってくれと男は頭を下げる。
「そんな頭下げなくてもいいよ。嫁さんと同じぐらい愛してくれるってんなら問題ナシ!
アタシの方こそお願いねー!」
スキュラは笑ってお付き合いしましょうと言う。
男はその答えに安心すると、そっとスキュラに口づけをした。
「んー……ぷぁ……。やっぱおにいさんみたいに積極的な男はいいねぇ。
じゃ、ぎゅってしよっか。…えへへ、抱き合うのはアタシが初めてなんだよねぇ?」
女との触れあいに疎いインキュバス。すでに妻がいる男の初めてを奪う。
この奇妙な事態にスキュラは男への愛情が高まっていくのを感じた。
海中で暮らす魔物は基本的に厚い服を着ない。
胸と腰を隠す布を取ってしまえばすぐ裸だ。
強い陽光の下、スキュラは自分の体を見せつける。
上半身は美しい女。
下半身は女性器までが人間で、そのすぐ下はラミアのように両足が一体化しており、そこを根元に八本の触手に分かれていた。
スキュラは裸の男の胸に自分の胸を密着させる。
「ほーらおにいさん、あなたの胸に女の子の生おっぱいが当たってるよ。
ふにふにして柔らかいでしょ? 手でさわってもいいんだよー」
目立って大きいわけでもないが、フェアリーと比べれば雲泥の差。
実質初めてといっていい女性の体に欲望を覚え、男は少し身を離し胸をいじり始めた。
「んっ…そうそう、こねくり回すと気持ち良いんだ。で、ぎゅって搾って……」
男がこれほど女の胸をいじったのは乳飲み子以来だろう。
どこか懐かしい感覚にスキュラの乳首に吸い付く。
「ひゃっ! そ、そんなおっぱい吸っても何も出ないよぉ…!」
赤子のように男はスキュラの胸を吸う。
口だけではなく手も使い、なにかを搾り出すように胸を弄る。
「アタシのミルク飲みたいなら、おにいさんが、孕ませてくれないと……っ!」
しばらくの間男はちゅっちゅっと音をたて吸っていたが、やがて満足し口を離す。
「あ、終わっ…た? もー、軽くイっちゃったじゃん。
アタシをイかせるなら下でしてよぉ……」
スキュラはそう言って触手の一本で勃起した男のモノをぺちっと叩く。
「まぁ、いいや。本番いこっ?」
そう言ってスキュラは床に横たわる。船の上なので重心を高くしていると転覆しかねないのだ。
男も応じて膝を付き覆い被さろうとする。
そしてスキュラが八本足を広げ絡み付けようとした時―――男は見た。
スキュラの女性器よりも下。八本足の中心点。
そこに穴があったのだ。
女性器は上にあり、位置的に肛門にも思えない。
いったいこの穴は何なのかと男は訊ねる。
「ああ、それはタコの口だよ。アタシたちは下半身がコレだから」
意外と知られていない事実。
ケンタウロスは人間と馬体で二つの子宮を持つというのは男も知っていたが、
スキュラの下半身に三つ目の穴があったとは……。
男の目がタコの穴に引き寄せられる。
女性器は妻のフェアリーで散々味わった。
ならばタコの穴とはどのような感覚なのだろう…?
「えー!? まさかおにいさんタコ穴でする気!?」
女性器で男を受け入れるものと思っていたスキュラは驚いて声をあげる。
初めてスキュラが交わるときは、たいてい人間部分を使うのだ。
しかし男は妻と幾度となく交わったインキュバス。
大きさは違えど女性器など見慣れている。
そのため人間部分よりもタコの穴に目を引かれてしまったのである。
もっともこれは興味本位のこと。
彼女が嫌がるなら無理強いなどしない。
男は妻のように大切にするとスキュラに宣言したのだから。
「あ、アタシも別に嫌じゃないよ! ただ意外すぎて驚いただけで……」
(せっかくお近づきになれたのに、やっぱ無しなんてイヤーッ!)
男にそんな気は全くないのだが、万が一心変わりされたらと考え、
彼女はスキュラ的にアブノーマルなタコ穴でのセックスを受け入れた。
床に寝ていたスキュラは男が入れやすいようにいったん触手を開き腰をあげる。
「いいよおにいさん…。タコ穴に入れても……」
顔を赤らめて恥ずかしげに言うスキュラ。
その様はまるで恋人と初めて繋がろうとする少女のよう。
スキュラにとってタコ穴で交わるのはそんなに恥ずかしいことなのだろうか?
そんな事を考えつつ、男は穴を眺める。
男が観察したタコ穴は黒いカラストンビがパクパクと開閉し、内部をチラチラと見せていた。
フェアリーの性器と違いスキュラのタコ穴は、赤みが無く真っ白。
男はどんな感じなのだろうと、嘴が開いた瞬間を見はからって男性器を挿入した。
「んっ…! おにいさんのちんぽ入って……あ、美味しい…」
男が今挿入しているタコの穴。
この穴は女性器のように快楽を得られるのだが、本来口なので味を感じ、中に含んだ物を胃の中へ送り込むことができる。
スキュラはいまタコの口で男のモノをしゃぶり味わっているのだ。
(この人のちんぽいい匂い……しかも精液がちょっと出てる)
男は最初に自慰を行い、精液を撒き餌として使った。
そのほとんどはビンの中へ入ったが、かすかに尿道に残っていた分がいま滲み出て来たのである。
(よく吸いだして……あー、これが本物の精液なんだ……)
初めて味わった男性の精液。
スキュラはもっと味わいたい、もっと欲しいと、男の尻や背中に触手を巻き付け張り付く。
それのみならず、人間の腕まで使って男にしがみ付き密着しようとする。
そして男性器そのものを飲み込むかのように奥へ奥へとタコ穴を動かし始めた。
男は腰を動かしながらフェアリーとのあまりの違いに驚いていた。
タコ穴の壁は凹凸がなく、熱くぬめった粘液で覆われた筒のよう。
そのぬめった筒が口内のように精液を吸い出そうと蠕動する。(実際に口なのだが)
男のモノなど容易く食いちぎってしまえるカラストンビが男性器を甘噛みしてしゃぶる。
そして何より汗ばんだ体を押し付け、抱きしめてくる女体。
これが男にかつてないほどの愛情と欲望を感じさせた。
興奮で乳首の立った胸が自分の体重で潰れる。
汗で濡れた両腕で背中を撫でるように何度も抱きついてくる。
舌を伸ばしてキスをし、耳元で淫らな言葉を発する。
「おにいさん、おにいさんっ…! アタシのタコ穴どうっ!?
気持ちいいならぎゅーってしてっ!」
全身に触れ合う熱い肌。すぐ目の前にある美しい顔。
自分はこれを求めていたのだと男は胸の内で感慨に浸り、スキュラを渾身の力で抱きしめる。
――その途端、全ての肋骨が外れたかのように、ぐにゃりとスキュラの胸部が変形した。
「ぐ…こっ、こんな強いなんて……っ、おにいさん…そんなに、いいのっ…!?」
スキュラは軟体動物としての性質を持っている。
全身の骨を外して、信じられないような狭い隙間にも入り込めるのだ。
今回の場合、快感による気の緩みと男の予想以上の力で肋骨の繋がりが緩んでしまい、胸部が変形してしまったのである。
だがスキュラはこの程度で痛みや苦しみを感じることなどない。
自分の体が歪んだことも、男の強い愛情表現として喜んで受け取っている。
「もっと…して、いいよっ…! アタシの…タコ穴、犯してっ……!」
スキュラはもう達しそうなのか、調子の上がった声で喋る。
カラストンビも甘噛みというレベルではなく、ガツガツと男性器に噛みつくように激しく開閉している。
それでも傷を付けず、快感だけを与えているのは魔力の恩恵だ。
そして男もタコ穴のぬめりに限界を感じ、精を放出しようと根元まで咥えさせる。
(この人も、もうイっちゃうんだね……。これでやっと精液が飲め―――あっ、来た!)
男が精液を吐き出し始めるとタコ穴は全てを吸い出すように奥へ波打った。
ウネウネと男性器を搾りあげ、一滴も残さないとばかりに胃の中へ飲み込んでいく。
「おっ…おにいさんのちんぽ汁、美味しいよっ…! もっとタコ穴に出してっ!」
(なんて量! これがインキュバスなの!?)
スキュラは際限なく出される精液を全て腹の中に収めようと必死で飲み下す。
(あ…、お腹、タプタプいってる……)
男の射精が収まるころには、胃に溜まった精液でスキュラは水っ腹になっていた。
精を出した男はスキュラの胸に顔を埋め、余韻に浸る。
これもフェアリー相手では出来なかったことだ。
そして汗や唾液でべとべとの胸に吸いつく。
「……おにいさんって、さっきからアタシのおっぱい良く吸うけど、もしかしてマザコン?」
男は多少の自覚があるのか、はっきり口にされた言葉にうっ…と息を飲む。
「あ、別に責めてるわけじゃないよ。あなたがマザコンでもアタシは気にしないから」
男性は全員マザコンだという説もある。
だが小さく能天気な妖精に母を求めるのはなかなか難しいだろう。
男の感じていた寂しさというものは、母性への飢えだったのかもしれない。
「ところでおにいさん、そろそろ抜いてもらえない?」
いままで二人は繋がったまま会話していた。
そうだねと男は同意しタコ穴から男性器を引き抜く。
抜くときに開いた嘴。そこから見えた穴の中には本当に一滴も残っていなかった。
「でー、今度はまんこ穴に入れてもらいたいなー……」
そう言ったスキュラの女性器からはすでに体液が滲み出ている。
「ねぇ、おにいさーん、アタシを孕ませてよ。母乳飲ませてあげるからさぁ……」
出会って1時間程しか経っていないのに、もう子供をねだるスキュラ。
彼女の体は完全にこの男を夫として認識してしまったのだ。
そして男も繁殖欲が湧いてきた。
自分の種で目の前の女の腹を膨らませてやりたい。
硬くなった乳首から母乳が噴き出るようにしてやりたい。
なによりそのミルクを味わい飲み干し、浴びてみたい。
スキュラはその欲望を感じ取ったのか、いやらしく笑みを浮かべる。
「んふふ…良いよ良いよー、アタシのミルクいくらでもおにいさんにご馳走してあげる。
だから、たっくさん孕ませてねー」
これから先のただれた日々を想像して、スキュラは股間からさらに体液を零した。
弱い波に揺られる小舟に男が一人。
彼は持参した袋から釣り竿を取り出し組み立てている。
男の狙いは何だろうか?
タイ? スズキ? メバル?
どれでもない。
竿を組み終わると男は服を脱いで自慰を始めた。
彼は露出癖のある変質者なのか?
いいや、違う。
男は自らの手で放出した液体を一度ビンに溜め、海面へばらまいた。
これは撒き餌なのだ。
そして釣り糸の先にルアーを取りつける。
そのルアーも普通の釣りでは考えられないものだ。
どう見ても今まで穿いていた男性用パンツにしか見えないのだから。
男はルアーを付けると撒き餌をばらまいた辺りに針を沈める。
そして待つこと数分。
弱い力で竿がクイッ、クイッと引っ張られる。
これは獲物が興味を持ってルアーをいじっている感触だ。
もちろんその程度ではパンツが外れることなどあり得ない。
だが放っておけば、いずれ強い力で引きはがされるだろう。
なのでその直前に―――引き上げる!
「そんな餌でこのアタシがタコー!」
勢いよく船上に引き上げられたのは女の上半身にタコの下半身を持った魔物。
スキュラである。
「あー、釣られちったー。おにいさん釣りが上手いねぇ。
さっそく味見してよ、味見。海産物は新鮮なうちが……って、ん?」
スンスンと鼻を鳴らし男の匂いを嗅ぐスキュラ。
「んんー? おにいさんインキュバス? 嫁さんいるの?」
魔物にのみ感じ取れる匂い。
これは自分の物だと主張するような他の魔物の香りが男には染みついていた。
その通り、自分はすでに妻がいる。
男は既婚者ということを隠さずに教える。
「じゃあ浮気? アタシはいいけど嫁さん怒んない?」
すでに妻がいる相手なので、スキュラもそこまでがっつきはしない。
大丈夫、許可はもらっているから。
男はスキュラにそう言うと身の上話を始めた。
確かに男は魔物と結婚している。しかしその相手はフェアリーだった。
キスをすること、交わること、子を産むこと。それらは問題なくできる。
だが抱きしめ合うことはできない。
口づけをしながら激しく交わることができない。
行為後に相手のぬくもりに包まれて眠ることもできない。
もちろんフェアリーは魔物として男に十分な愛と快楽を与えているし、男の側もそれに返している。
しかしサイズの差はどうにも埋められない。
男はどうしても他の魔物と比べて寂しさを感じてしまうのだ。
そんな男に対しフェアリーは一つの許しを出した。
他の魔物と付き合ってもいいよ、と。
「そっかー、おにいさんも大変だったんだねぇ……」
単純に性欲を持て余して…などという理由でないことを知り、同情したようにうんうんと頷くスキュラ。
そんな彼女に対し、フェアリーと同じように大切にするから付き合ってくれと男は頭を下げる。
「そんな頭下げなくてもいいよ。嫁さんと同じぐらい愛してくれるってんなら問題ナシ!
アタシの方こそお願いねー!」
スキュラは笑ってお付き合いしましょうと言う。
男はその答えに安心すると、そっとスキュラに口づけをした。
「んー……ぷぁ……。やっぱおにいさんみたいに積極的な男はいいねぇ。
じゃ、ぎゅってしよっか。…えへへ、抱き合うのはアタシが初めてなんだよねぇ?」
女との触れあいに疎いインキュバス。すでに妻がいる男の初めてを奪う。
この奇妙な事態にスキュラは男への愛情が高まっていくのを感じた。
海中で暮らす魔物は基本的に厚い服を着ない。
胸と腰を隠す布を取ってしまえばすぐ裸だ。
強い陽光の下、スキュラは自分の体を見せつける。
上半身は美しい女。
下半身は女性器までが人間で、そのすぐ下はラミアのように両足が一体化しており、そこを根元に八本の触手に分かれていた。
スキュラは裸の男の胸に自分の胸を密着させる。
「ほーらおにいさん、あなたの胸に女の子の生おっぱいが当たってるよ。
ふにふにして柔らかいでしょ? 手でさわってもいいんだよー」
目立って大きいわけでもないが、フェアリーと比べれば雲泥の差。
実質初めてといっていい女性の体に欲望を覚え、男は少し身を離し胸をいじり始めた。
「んっ…そうそう、こねくり回すと気持ち良いんだ。で、ぎゅって搾って……」
男がこれほど女の胸をいじったのは乳飲み子以来だろう。
どこか懐かしい感覚にスキュラの乳首に吸い付く。
「ひゃっ! そ、そんなおっぱい吸っても何も出ないよぉ…!」
赤子のように男はスキュラの胸を吸う。
口だけではなく手も使い、なにかを搾り出すように胸を弄る。
「アタシのミルク飲みたいなら、おにいさんが、孕ませてくれないと……っ!」
しばらくの間男はちゅっちゅっと音をたて吸っていたが、やがて満足し口を離す。
「あ、終わっ…た? もー、軽くイっちゃったじゃん。
アタシをイかせるなら下でしてよぉ……」
スキュラはそう言って触手の一本で勃起した男のモノをぺちっと叩く。
「まぁ、いいや。本番いこっ?」
そう言ってスキュラは床に横たわる。船の上なので重心を高くしていると転覆しかねないのだ。
男も応じて膝を付き覆い被さろうとする。
そしてスキュラが八本足を広げ絡み付けようとした時―――男は見た。
スキュラの女性器よりも下。八本足の中心点。
そこに穴があったのだ。
女性器は上にあり、位置的に肛門にも思えない。
いったいこの穴は何なのかと男は訊ねる。
「ああ、それはタコの口だよ。アタシたちは下半身がコレだから」
意外と知られていない事実。
ケンタウロスは人間と馬体で二つの子宮を持つというのは男も知っていたが、
スキュラの下半身に三つ目の穴があったとは……。
男の目がタコの穴に引き寄せられる。
女性器は妻のフェアリーで散々味わった。
ならばタコの穴とはどのような感覚なのだろう…?
「えー!? まさかおにいさんタコ穴でする気!?」
女性器で男を受け入れるものと思っていたスキュラは驚いて声をあげる。
初めてスキュラが交わるときは、たいてい人間部分を使うのだ。
しかし男は妻と幾度となく交わったインキュバス。
大きさは違えど女性器など見慣れている。
そのため人間部分よりもタコの穴に目を引かれてしまったのである。
もっともこれは興味本位のこと。
彼女が嫌がるなら無理強いなどしない。
男は妻のように大切にするとスキュラに宣言したのだから。
「あ、アタシも別に嫌じゃないよ! ただ意外すぎて驚いただけで……」
(せっかくお近づきになれたのに、やっぱ無しなんてイヤーッ!)
男にそんな気は全くないのだが、万が一心変わりされたらと考え、
彼女はスキュラ的にアブノーマルなタコ穴でのセックスを受け入れた。
床に寝ていたスキュラは男が入れやすいようにいったん触手を開き腰をあげる。
「いいよおにいさん…。タコ穴に入れても……」
顔を赤らめて恥ずかしげに言うスキュラ。
その様はまるで恋人と初めて繋がろうとする少女のよう。
スキュラにとってタコ穴で交わるのはそんなに恥ずかしいことなのだろうか?
そんな事を考えつつ、男は穴を眺める。
男が観察したタコ穴は黒いカラストンビがパクパクと開閉し、内部をチラチラと見せていた。
フェアリーの性器と違いスキュラのタコ穴は、赤みが無く真っ白。
男はどんな感じなのだろうと、嘴が開いた瞬間を見はからって男性器を挿入した。
「んっ…! おにいさんのちんぽ入って……あ、美味しい…」
男が今挿入しているタコの穴。
この穴は女性器のように快楽を得られるのだが、本来口なので味を感じ、中に含んだ物を胃の中へ送り込むことができる。
スキュラはいまタコの口で男のモノをしゃぶり味わっているのだ。
(この人のちんぽいい匂い……しかも精液がちょっと出てる)
男は最初に自慰を行い、精液を撒き餌として使った。
そのほとんどはビンの中へ入ったが、かすかに尿道に残っていた分がいま滲み出て来たのである。
(よく吸いだして……あー、これが本物の精液なんだ……)
初めて味わった男性の精液。
スキュラはもっと味わいたい、もっと欲しいと、男の尻や背中に触手を巻き付け張り付く。
それのみならず、人間の腕まで使って男にしがみ付き密着しようとする。
そして男性器そのものを飲み込むかのように奥へ奥へとタコ穴を動かし始めた。
男は腰を動かしながらフェアリーとのあまりの違いに驚いていた。
タコ穴の壁は凹凸がなく、熱くぬめった粘液で覆われた筒のよう。
そのぬめった筒が口内のように精液を吸い出そうと蠕動する。(実際に口なのだが)
男のモノなど容易く食いちぎってしまえるカラストンビが男性器を甘噛みしてしゃぶる。
そして何より汗ばんだ体を押し付け、抱きしめてくる女体。
これが男にかつてないほどの愛情と欲望を感じさせた。
興奮で乳首の立った胸が自分の体重で潰れる。
汗で濡れた両腕で背中を撫でるように何度も抱きついてくる。
舌を伸ばしてキスをし、耳元で淫らな言葉を発する。
「おにいさん、おにいさんっ…! アタシのタコ穴どうっ!?
気持ちいいならぎゅーってしてっ!」
全身に触れ合う熱い肌。すぐ目の前にある美しい顔。
自分はこれを求めていたのだと男は胸の内で感慨に浸り、スキュラを渾身の力で抱きしめる。
――その途端、全ての肋骨が外れたかのように、ぐにゃりとスキュラの胸部が変形した。
「ぐ…こっ、こんな強いなんて……っ、おにいさん…そんなに、いいのっ…!?」
スキュラは軟体動物としての性質を持っている。
全身の骨を外して、信じられないような狭い隙間にも入り込めるのだ。
今回の場合、快感による気の緩みと男の予想以上の力で肋骨の繋がりが緩んでしまい、胸部が変形してしまったのである。
だがスキュラはこの程度で痛みや苦しみを感じることなどない。
自分の体が歪んだことも、男の強い愛情表現として喜んで受け取っている。
「もっと…して、いいよっ…! アタシの…タコ穴、犯してっ……!」
スキュラはもう達しそうなのか、調子の上がった声で喋る。
カラストンビも甘噛みというレベルではなく、ガツガツと男性器に噛みつくように激しく開閉している。
それでも傷を付けず、快感だけを与えているのは魔力の恩恵だ。
そして男もタコ穴のぬめりに限界を感じ、精を放出しようと根元まで咥えさせる。
(この人も、もうイっちゃうんだね……。これでやっと精液が飲め―――あっ、来た!)
男が精液を吐き出し始めるとタコ穴は全てを吸い出すように奥へ波打った。
ウネウネと男性器を搾りあげ、一滴も残さないとばかりに胃の中へ飲み込んでいく。
「おっ…おにいさんのちんぽ汁、美味しいよっ…! もっとタコ穴に出してっ!」
(なんて量! これがインキュバスなの!?)
スキュラは際限なく出される精液を全て腹の中に収めようと必死で飲み下す。
(あ…、お腹、タプタプいってる……)
男の射精が収まるころには、胃に溜まった精液でスキュラは水っ腹になっていた。
精を出した男はスキュラの胸に顔を埋め、余韻に浸る。
これもフェアリー相手では出来なかったことだ。
そして汗や唾液でべとべとの胸に吸いつく。
「……おにいさんって、さっきからアタシのおっぱい良く吸うけど、もしかしてマザコン?」
男は多少の自覚があるのか、はっきり口にされた言葉にうっ…と息を飲む。
「あ、別に責めてるわけじゃないよ。あなたがマザコンでもアタシは気にしないから」
男性は全員マザコンだという説もある。
だが小さく能天気な妖精に母を求めるのはなかなか難しいだろう。
男の感じていた寂しさというものは、母性への飢えだったのかもしれない。
「ところでおにいさん、そろそろ抜いてもらえない?」
いままで二人は繋がったまま会話していた。
そうだねと男は同意しタコ穴から男性器を引き抜く。
抜くときに開いた嘴。そこから見えた穴の中には本当に一滴も残っていなかった。
「でー、今度はまんこ穴に入れてもらいたいなー……」
そう言ったスキュラの女性器からはすでに体液が滲み出ている。
「ねぇ、おにいさーん、アタシを孕ませてよ。母乳飲ませてあげるからさぁ……」
出会って1時間程しか経っていないのに、もう子供をねだるスキュラ。
彼女の体は完全にこの男を夫として認識してしまったのだ。
そして男も繁殖欲が湧いてきた。
自分の種で目の前の女の腹を膨らませてやりたい。
硬くなった乳首から母乳が噴き出るようにしてやりたい。
なによりそのミルクを味わい飲み干し、浴びてみたい。
スキュラはその欲望を感じ取ったのか、いやらしく笑みを浮かべる。
「んふふ…良いよ良いよー、アタシのミルクいくらでもおにいさんにご馳走してあげる。
だから、たっくさん孕ませてねー」
これから先のただれた日々を想像して、スキュラは股間からさらに体液を零した。
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