ダークスライムができるまで
レスカティエ陥落。
他国での任務が終わりレスカティエへ帰還しようとしていた私が聞かされたされたのはその知らせだった。
詳しいことは分からないがある日突然魔界と化し、レスカティエは魔物ひしめく忌まわしい土地へと変貌したという。
私は物心ついたときから暗殺者としての訓練を受けてきた。
司令部が無くなったので好きに生きろといわれても正直困る。
どうしたものかと途方に暮れる私に、ある話が舞い込んだ。
現在のレスカティエは内部が一切不明である。
生存者はいるのか、何者が統治しているのか。
非常に危険だが直に潜入して調べるしかもはや手は無い。
殺しでは無いが優秀な暗殺者である君に潜入調査を頼みたい。
どうか引き受けてもらえないだろうか。
一も二もない。私は現在のレスカティエを探るための潜入依頼に首を縦に振った。
そして今現在レスカティエの街のはずれに私はいる。
魔物たちの目から身を隠しながら、なんとかここまでたどり着いた。
ここから先は人口密度が高くなり、身を隠しやすい自然の遮蔽物も無い。
いっそうの注意を払って進まねば。
……そう思うのに。
先ほどから私の体は熱く、呼吸が乱れて止まらない。
一体どうしたというのか。この空気には毒が含まれてでもいるのか。
街へ近づくにつれ肌にまとわりつく異様な感覚。
一呼吸するたびに肺の中がべたつく何かに汚染されていくよう。
目立った危機感を感じていないのに、早くなる心臓の鼓動。
そして私の体液で湿る下着。
まるで今の私は発情しているようだ。
人気の無い建物の陰でいったん落ち着く。
深呼吸。息を整えろ。こんなに息を荒げていては、素人にも気付かれるぞ。
そう思うが私の体は一向に静まってくれない。
くそっ、どうする……?
私が一人焦っていると。
「あらー? まだ人間がいたの?」
上から間延びした声。
それと同時にベチャリと屋根から何かが落ちてきた。
体にまとわりつく紫色の粘性体。
なんだ? スライムか?!
まさかスライムごときに発見されるとは。
急いでこいつを始末して移動しなければ……!
ナイフではスライムにたいしたダメージは与えられない。
壁に体をぶつけ、こすり引き剥がす。
「暴れちゃダメよぅ。あなたもすぐ良くしてあげるからさぁ……」
だめだ! 張り付いたように離れない!
紫のスライムは私を包み込むように、体の中へと沈めていく。
どうにか、どうにか引き剥がさないとっ!
「んふふー、じゃあまずねぇ……」
ひっ! なに今の!? 電撃に打たれたように体に快感が走る。
「ねー? 気持ちいでしょ?」
スライムは服の隙間から入りこみ直接私の体を刺激する。
やめろ…! 離せ…っ!
「ちょっとあなたの中入るねー」
あっ、あ、あ……!
スライムが私の穴……性器や肛門から体内へ侵入してくる。
液状の体が私の中をなぞり快感がこみ上げる。
ひぃっ…溶けちゃうよぉっ…!
私は今だかってない情けない声をあげた。
「まだ溶けてないよー? これは準備運動ねー」
のんきなスライムの声。そして視界が紫色に染まる。
どうやら私は完全に飲み込まれてしまったらしい。
「じゃあ始めるよー。一回体が無くなっちゃうけど痛くないから安心してねー?」
その声とともに私の穴という穴にスライムは侵入してきた。
下半身の穴は言うに及ばず。
叫ぼうとした口からは胃の中まで粘液が入りこみ、耳の穴から入った液で外の音も聞こえなくなった。
口がふさがり反射的に呼吸しようとした鼻からも紫の液体が注ぎ込まれる。
あ、熱いっ……! しかも気持ちいいっ!
全ての穴が性器になってしまったような感覚。
耳に挿入され、肺でシゴかれ、全身の毛穴に射精されるような快感。
いや、実際に私の体を満たした粘液が動いているのだろう。
ここに至って、私の頭から自分の任務などどこかへ飛んでいってしまった。
その代わりにスライムへねだる。
ねえ、もっとして…。私の体どうなってもいいから…。
「おけー、じゃあ溶かすねー」
ああっ…私の体、溶かされてるぅっ…!?
見なくても分かる。私は手足の先から分解されている。
今の私を客観的に見たら酷い姿だろう。しかしそんなもの気にならない。
全身が性器になって射精を受け止めているような感覚と表現すればいいのだろうか。
この快楽の前には姿も種族もどうでもよくなる。
あっ…もう手足が無く……ぐぅっ! 次は内臓!?
ダルマになった私は次に子宮や大腸といった場所から溶かされ始めた。
同じ分解でも手足とは違う感じ。
大事なものが一つ一つ無くなっていく喪失感とそれ以上の解放感。
しっ、子宮っ! 子袋無くなっちゃっ……あ゛あ゛っ゛!
肝臓っ! 肝臓が舐めまわされてっ…!?
「うーん、やっぱこの姿は男の人には見せられないよねー」
快楽の中でもスライムの声だけは鮮明に聞こえる。
もう体もほとんど無くなって最終段階。
下あごが溶けた。ああん、これでよがることができなくなっちゃった。
あ、真っ暗。目玉も溶けちゃったのね。
えへへ、これでもう最後だ。一番大事な―――。
――――ん?
「気がついたー?」
ここはどこだろう? ふわふわして温かい。もうちょっと寝ていたいなあ。
「残念だけど、わたしがいつまでも抱えているわけにはいかないのよねー。ほら起きてー」
ペッと放り出されてコロンと地面を転がる。ああ、目が回る。
「しっかりしてよー。ちゃんと体作れるー?」
体を作る? ……ああ、そうだ。私はスライムなんだ。
ついさっきとは全く違う体の感覚。でも動かし方が分からないということはない。
地面に落ちている私のコアから紫の粘液が噴き出る。
それが大きな水溜りになって、だんだんと上へ伸びていく。
「うんうん、それでいいよー」
やがて私は人間だったころそっくりの形に変形した。服は着ていないけど。
ああ、なんて解放感。魔物になるってこんなに気持ちの良い物だったのね。
「おー、おめでとー。これであなたも立派なダークスライムよー」
ダークスライム。普通のスライムとは違ったのか。
でもそんなのどうでも良いや。
……ところでお腹が空いてるんだけど、どうしよう。
何をすればいいかは分かるんだけど、今のレスカティエにフリーの男の人なんているんだろうか?
「フリーの人は聞いたことないなあ。
でも、ハーレム作ってる人はいるから仲間に入れてもらうってのはー?」
うーん、もう奥さんがいる人かあ。できれば二人きりがいいんだけど……。
「じゃあ、自分で探すしかないねー。わたしはもう旦那さんがいるから手伝わないけど頑張ってねー」
そう言って私の恩人はどこかへ去っていった。その姿を頭を下げて見送る。
さて、どうするか。フリーの人がいないんじゃここを離れて探しに行くしか……ん?
なんだろう。どこか遠い場所から騒がしい音がする。
気になり音源へと私は向かう。
「ここは俺たちに任せて先へ行けっ!」「わかったっ! 帰ったら一杯奢るぜっ!」
なんかフラグっぽい男たちの叫び声。それに続き爆発音らしきものが聞こえた。
これは戦闘音だ。私の依頼元とは違う誰かがレスカティエを奪還しようと攻め込んできたのだろう。
……つまり、今戦場にいる男は誰のものでもない。
私はにたりと笑みを浮かべると屋根へ登り、高所を移動し始めた。
ついに戦闘現場に到着。おお、いるいる。
魔物に包囲されて、あとどれだけ持ち堪えられるかといった感じの絶望的な状況。
しかしリーダーらしき男が的確に指示を飛ばしているおかげでまだもっているようだ。
だがそれでも一人また一人と魔物にやられ倒れていく。
あのリーダーを倒しちゃえばすぐ戦闘は終わるかな?
そう考え身をかがめ飛びかかる準備。
タイミングをはかって―――いまっ!
うふふ、やったー!
ねんがんのおとこをてにいれたぞ!
リーダーを失ったあと彼らは一気に崩れて、皆お持ち帰りされてしまった。
捕まえられなかった人は残念がっていたけどね。
暴れる男を連れて道の端へ。
今のレスカティエでは通行の邪魔にならなければ、表通りで堂々とまぐわっても良いようだ。
私以外に男を捕まえた魔物も始めてるし。
足元を地面に薄く広げベッドにする。その上に彼を寝かせ圧し掛かった。
もう、大人しくしてよぉ。良くしてあげるからさぁ。
やめろーだの、しにたくなーいだのと叫んでばっかなのでキスして口を封じる。
そして口をこじ開けて舌を――あ、噛み切られた。
コアから離れた粘液が張力を失って液状に戻る。
しかし私が口をふさいだままなので彼は吐き出せない。
…よし、飲ませちゃおう。
えーと、確かこうするんだっけな。手で服の上から彼の肺を圧迫する。
肺から空気が吐き出され口の中が撹拌された。
そして窒息状態になった肺は口の中の空気を再び取り込もうと喉の奥へ向かう。
彼の口の中は溶けた私と自分の唾液のミックスジュースでいっぱいだ。
肺の中へ液体は入れられないので、食道を通って胃の中へ落ちる。
ゴクリと彼の喉が鳴った。
ああ…私の一部が彼の中に入っちゃった……。
幸せに感じるがもちろんそれだけでは終わらない。
私はダークスライムになって簡単な魔法の使い方も分かった。
胃の中の私を媒介にして………。
うわー、魔法ってずいぶん効果あるのね。
さっきまで嫌がっていた彼が自分からズボンを脱ぐぐらいなんだから。
彼のちんぽは見事に勃起している。なんて美味しそう……。
じゃ、いただきまーす。
今の私に性器はないので女性形の股間辺りから彼を飲み込む。
私のゼリー状の体を穿ちながら進むちんぽ。
んっ…! これが男の人のちんぽっ…! もっと中に入れたい…っ!
彼を根元まで深く呑み込み、そこでいったん止まる。
膣に挿入される感覚と舌で舐めしゃぶり味わう感覚。
二つが混ざり合った快感にブルリと震え、一瞬女性形がゆらいだ。
さて、動いてあげないとねっ……。
腰を上げ彼の男性器を私の体から抜き始める。
そして抜けかかるとまた腰を下ろす。
そんな事を繰り返していたら、股間周辺の粘体の制御がきかなくなってきた。
腰をぶつけあうたびに液体のように、ビチャッビチャッと飛び散るのだ。
でもそれが潤滑液のようで私と彼の間に強いヌルヌル感を発生させる。
彼が何かを言っている。ん? なぁに?
え? 射精しそう? いいわよぅ、遠慮しないで中に出しちゃってね。
彼のモノがビクビク震える。もうすぐだ、もうすぐ出る。
そして彼がひときわ強く突き上げた瞬間私の中に白い液体が混ざってきた。
あはっ! 来てるよっ、あなたの精液っ!
熱くてドロドロの液体が私の体に注がれる。
私の中に壁は無いので出た端から紫の粘液と混ざり合い拡散していく。
…体全体で彼を味わう。精液はちょっと苦味があるけどおいしい。
たった一度の交わりで彼はもう私に夢中になった。
私ってそんなに魅力的?
そう思いもしたけど、周りの皆も似たようなものだったからこれが普通なんだろう。
私と彼はレスカティエ貧民街の適当な空き家に住み付いた。
さすがに野宿ってのは嫌だものねぇ。
.
.
.
そして今日も私と彼はまぐわう。
スライムの体は変形自由。
彼は大きめの胸が好きとのことで、ちょっとばかりサイズアップしている。
そのおかげで彼は毎回喜んで私の胸にしゃぶりついてくれる。
ちゅうちゅうと私の胸を吸う彼。今日も飲ませてあげるね。
そう思うと私の両乳首から紫色の液体が零れ出した。
私たちスライムには子宮どころか内臓そのものが無い。
だから妊娠することはできない。
私は熱心に胸を吸う彼を見ながら、母乳は出ないんだよね…と寂しく思っていた。
そんなある日、母乳の代わりというように、乳首から液状になった私の体が漏れるようになったのだ。
正直驚いたがこれは好都合。彼が私を飲むことで快楽強化の魔法などがかけやすくなった。
今となっては彼は毎回私のジュースを飲んでいる。
さらに飲んだ後は胸を噛みちぎってゼリーのように食べるようにまでなった。
別に痛くもかゆくもないし、彼が食べた分は精になって返ってくるのだから身を削ることにもならない。
それどころか胃の中で消化され、腸で吸収され、彼の体の一部に…と考えると胸が幸せでいっぱいになる。
おっと、あまり浸ってちゃダメだ。彼を気持ち良くしないと。
彼の腰全体を私の中に沈め、グチュリグチュリと動く。
こんなことはサキュバスでもできない、スライムだけの特権だ。
ああ、このまま彼の体全部を埋めてしまいたい。
そう思っていたら彼が胸から手を沈めてコアを握りしめた。
ひぃっ! ちょ、直接触らないでぇ!
コアはダークスライムの本体にして唯一の弱点だ。
ちんぽがちょっとぶつかるだけでも雷に打たれたような快感が走る。
そんなものを撫で回されたら……。
しっ、死ぬっ! 死んじゃうっ! 弄るのやめてぇ!
私が懇願しても彼は止めてくれない。
しかし体に力が入らないのにちんぽ周辺だけはより強く彼をしごき立てる。
彼は掴んだコアをちんぽにこすりつけるようにしている。
男性器がじかに擦り付けられる感覚。その快感に私はもう形を保てない。
かろうじて人型と分かる程度の姿になり、彼の上にベチャリと倒れこむ。
ああん、こんな泥人形みたいじゃ彼が欲情してくれないよぉ…。
女の姿に戻ろうとするが紫の粘液は腑抜けていて全然反応してくれない。
そんな私に彼が言ってくれた。
いつも良くしてもらってばかりだから、たまには自分が。
え、そんな。嬉しいけどあなたも――。
彼も気持ち良くなってくれないと、私は満足できない。
そう思ったけど、彼はいいから任せてくれと主張する。
……うん、じゃあ頼もうかな。
動きやすいように体内の粘性を下げる。
すると彼は一気に速度を上げ私のコアを弄り始めた。
両手でプニプニ、さわさわ。ちんぽでツンツン、ぐにぐに。
余すところなく彼は私のコアを愛撫する。
もう気持ち良すぎて私は人型でさえなくなり、彼にのしかかる粘液塊のようになってしまった。
でも彼のちんぽは硬いまま。私を愛してくれているのを感じる。
擦り付ける速度がさらに上がる。もう彼も限界なのかな?
私は今か今かと彼の射精を待ち望む。
そしてついにその瞬間が訪れた。
あ! かかってるっ! 私のコアにあなたの精液がかかってるよっ!
彼の粘つく精液がコアにまとわりつき、私の中に染み込む。
体が熱い。スライムなのにこの精液で孕んでしまいそうだ。
彼の射精はまだ止まらない。コアの口のような部分にまで入ってくる。
……美味しい。舌なんてないのに、彼の味をより強く感じた。
彼も放出し終わり、やっと落ち着いた頃。
私は女性形へと姿を戻す。
今日のセックスはすごかったねー。
でもあなたが任せてくれなんて珍しいじゃない?
彼はどちらかというと受け身タイプで、気持ち良くしてくれという方だった。
そんな私の疑問に彼は一言で答えてくれた。
あ、そうか。今日は私たちの一周年記念日だったんだ。
他国での任務が終わりレスカティエへ帰還しようとしていた私が聞かされたされたのはその知らせだった。
詳しいことは分からないがある日突然魔界と化し、レスカティエは魔物ひしめく忌まわしい土地へと変貌したという。
私は物心ついたときから暗殺者としての訓練を受けてきた。
司令部が無くなったので好きに生きろといわれても正直困る。
どうしたものかと途方に暮れる私に、ある話が舞い込んだ。
現在のレスカティエは内部が一切不明である。
生存者はいるのか、何者が統治しているのか。
非常に危険だが直に潜入して調べるしかもはや手は無い。
殺しでは無いが優秀な暗殺者である君に潜入調査を頼みたい。
どうか引き受けてもらえないだろうか。
一も二もない。私は現在のレスカティエを探るための潜入依頼に首を縦に振った。
そして今現在レスカティエの街のはずれに私はいる。
魔物たちの目から身を隠しながら、なんとかここまでたどり着いた。
ここから先は人口密度が高くなり、身を隠しやすい自然の遮蔽物も無い。
いっそうの注意を払って進まねば。
……そう思うのに。
先ほどから私の体は熱く、呼吸が乱れて止まらない。
一体どうしたというのか。この空気には毒が含まれてでもいるのか。
街へ近づくにつれ肌にまとわりつく異様な感覚。
一呼吸するたびに肺の中がべたつく何かに汚染されていくよう。
目立った危機感を感じていないのに、早くなる心臓の鼓動。
そして私の体液で湿る下着。
まるで今の私は発情しているようだ。
人気の無い建物の陰でいったん落ち着く。
深呼吸。息を整えろ。こんなに息を荒げていては、素人にも気付かれるぞ。
そう思うが私の体は一向に静まってくれない。
くそっ、どうする……?
私が一人焦っていると。
「あらー? まだ人間がいたの?」
上から間延びした声。
それと同時にベチャリと屋根から何かが落ちてきた。
体にまとわりつく紫色の粘性体。
なんだ? スライムか?!
まさかスライムごときに発見されるとは。
急いでこいつを始末して移動しなければ……!
ナイフではスライムにたいしたダメージは与えられない。
壁に体をぶつけ、こすり引き剥がす。
「暴れちゃダメよぅ。あなたもすぐ良くしてあげるからさぁ……」
だめだ! 張り付いたように離れない!
紫のスライムは私を包み込むように、体の中へと沈めていく。
どうにか、どうにか引き剥がさないとっ!
「んふふー、じゃあまずねぇ……」
ひっ! なに今の!? 電撃に打たれたように体に快感が走る。
「ねー? 気持ちいでしょ?」
スライムは服の隙間から入りこみ直接私の体を刺激する。
やめろ…! 離せ…っ!
「ちょっとあなたの中入るねー」
あっ、あ、あ……!
スライムが私の穴……性器や肛門から体内へ侵入してくる。
液状の体が私の中をなぞり快感がこみ上げる。
ひぃっ…溶けちゃうよぉっ…!
私は今だかってない情けない声をあげた。
「まだ溶けてないよー? これは準備運動ねー」
のんきなスライムの声。そして視界が紫色に染まる。
どうやら私は完全に飲み込まれてしまったらしい。
「じゃあ始めるよー。一回体が無くなっちゃうけど痛くないから安心してねー?」
その声とともに私の穴という穴にスライムは侵入してきた。
下半身の穴は言うに及ばず。
叫ぼうとした口からは胃の中まで粘液が入りこみ、耳の穴から入った液で外の音も聞こえなくなった。
口がふさがり反射的に呼吸しようとした鼻からも紫の液体が注ぎ込まれる。
あ、熱いっ……! しかも気持ちいいっ!
全ての穴が性器になってしまったような感覚。
耳に挿入され、肺でシゴかれ、全身の毛穴に射精されるような快感。
いや、実際に私の体を満たした粘液が動いているのだろう。
ここに至って、私の頭から自分の任務などどこかへ飛んでいってしまった。
その代わりにスライムへねだる。
ねえ、もっとして…。私の体どうなってもいいから…。
「おけー、じゃあ溶かすねー」
ああっ…私の体、溶かされてるぅっ…!?
見なくても分かる。私は手足の先から分解されている。
今の私を客観的に見たら酷い姿だろう。しかしそんなもの気にならない。
全身が性器になって射精を受け止めているような感覚と表現すればいいのだろうか。
この快楽の前には姿も種族もどうでもよくなる。
あっ…もう手足が無く……ぐぅっ! 次は内臓!?
ダルマになった私は次に子宮や大腸といった場所から溶かされ始めた。
同じ分解でも手足とは違う感じ。
大事なものが一つ一つ無くなっていく喪失感とそれ以上の解放感。
しっ、子宮っ! 子袋無くなっちゃっ……あ゛あ゛っ゛!
肝臓っ! 肝臓が舐めまわされてっ…!?
「うーん、やっぱこの姿は男の人には見せられないよねー」
快楽の中でもスライムの声だけは鮮明に聞こえる。
もう体もほとんど無くなって最終段階。
下あごが溶けた。ああん、これでよがることができなくなっちゃった。
あ、真っ暗。目玉も溶けちゃったのね。
えへへ、これでもう最後だ。一番大事な―――。
――――ん?
「気がついたー?」
ここはどこだろう? ふわふわして温かい。もうちょっと寝ていたいなあ。
「残念だけど、わたしがいつまでも抱えているわけにはいかないのよねー。ほら起きてー」
ペッと放り出されてコロンと地面を転がる。ああ、目が回る。
「しっかりしてよー。ちゃんと体作れるー?」
体を作る? ……ああ、そうだ。私はスライムなんだ。
ついさっきとは全く違う体の感覚。でも動かし方が分からないということはない。
地面に落ちている私のコアから紫の粘液が噴き出る。
それが大きな水溜りになって、だんだんと上へ伸びていく。
「うんうん、それでいいよー」
やがて私は人間だったころそっくりの形に変形した。服は着ていないけど。
ああ、なんて解放感。魔物になるってこんなに気持ちの良い物だったのね。
「おー、おめでとー。これであなたも立派なダークスライムよー」
ダークスライム。普通のスライムとは違ったのか。
でもそんなのどうでも良いや。
……ところでお腹が空いてるんだけど、どうしよう。
何をすればいいかは分かるんだけど、今のレスカティエにフリーの男の人なんているんだろうか?
「フリーの人は聞いたことないなあ。
でも、ハーレム作ってる人はいるから仲間に入れてもらうってのはー?」
うーん、もう奥さんがいる人かあ。できれば二人きりがいいんだけど……。
「じゃあ、自分で探すしかないねー。わたしはもう旦那さんがいるから手伝わないけど頑張ってねー」
そう言って私の恩人はどこかへ去っていった。その姿を頭を下げて見送る。
さて、どうするか。フリーの人がいないんじゃここを離れて探しに行くしか……ん?
なんだろう。どこか遠い場所から騒がしい音がする。
気になり音源へと私は向かう。
「ここは俺たちに任せて先へ行けっ!」「わかったっ! 帰ったら一杯奢るぜっ!」
なんかフラグっぽい男たちの叫び声。それに続き爆発音らしきものが聞こえた。
これは戦闘音だ。私の依頼元とは違う誰かがレスカティエを奪還しようと攻め込んできたのだろう。
……つまり、今戦場にいる男は誰のものでもない。
私はにたりと笑みを浮かべると屋根へ登り、高所を移動し始めた。
ついに戦闘現場に到着。おお、いるいる。
魔物に包囲されて、あとどれだけ持ち堪えられるかといった感じの絶望的な状況。
しかしリーダーらしき男が的確に指示を飛ばしているおかげでまだもっているようだ。
だがそれでも一人また一人と魔物にやられ倒れていく。
あのリーダーを倒しちゃえばすぐ戦闘は終わるかな?
そう考え身をかがめ飛びかかる準備。
タイミングをはかって―――いまっ!
うふふ、やったー!
ねんがんのおとこをてにいれたぞ!
リーダーを失ったあと彼らは一気に崩れて、皆お持ち帰りされてしまった。
捕まえられなかった人は残念がっていたけどね。
暴れる男を連れて道の端へ。
今のレスカティエでは通行の邪魔にならなければ、表通りで堂々とまぐわっても良いようだ。
私以外に男を捕まえた魔物も始めてるし。
足元を地面に薄く広げベッドにする。その上に彼を寝かせ圧し掛かった。
もう、大人しくしてよぉ。良くしてあげるからさぁ。
やめろーだの、しにたくなーいだのと叫んでばっかなのでキスして口を封じる。
そして口をこじ開けて舌を――あ、噛み切られた。
コアから離れた粘液が張力を失って液状に戻る。
しかし私が口をふさいだままなので彼は吐き出せない。
…よし、飲ませちゃおう。
えーと、確かこうするんだっけな。手で服の上から彼の肺を圧迫する。
肺から空気が吐き出され口の中が撹拌された。
そして窒息状態になった肺は口の中の空気を再び取り込もうと喉の奥へ向かう。
彼の口の中は溶けた私と自分の唾液のミックスジュースでいっぱいだ。
肺の中へ液体は入れられないので、食道を通って胃の中へ落ちる。
ゴクリと彼の喉が鳴った。
ああ…私の一部が彼の中に入っちゃった……。
幸せに感じるがもちろんそれだけでは終わらない。
私はダークスライムになって簡単な魔法の使い方も分かった。
胃の中の私を媒介にして………。
うわー、魔法ってずいぶん効果あるのね。
さっきまで嫌がっていた彼が自分からズボンを脱ぐぐらいなんだから。
彼のちんぽは見事に勃起している。なんて美味しそう……。
じゃ、いただきまーす。
今の私に性器はないので女性形の股間辺りから彼を飲み込む。
私のゼリー状の体を穿ちながら進むちんぽ。
んっ…! これが男の人のちんぽっ…! もっと中に入れたい…っ!
彼を根元まで深く呑み込み、そこでいったん止まる。
膣に挿入される感覚と舌で舐めしゃぶり味わう感覚。
二つが混ざり合った快感にブルリと震え、一瞬女性形がゆらいだ。
さて、動いてあげないとねっ……。
腰を上げ彼の男性器を私の体から抜き始める。
そして抜けかかるとまた腰を下ろす。
そんな事を繰り返していたら、股間周辺の粘体の制御がきかなくなってきた。
腰をぶつけあうたびに液体のように、ビチャッビチャッと飛び散るのだ。
でもそれが潤滑液のようで私と彼の間に強いヌルヌル感を発生させる。
彼が何かを言っている。ん? なぁに?
え? 射精しそう? いいわよぅ、遠慮しないで中に出しちゃってね。
彼のモノがビクビク震える。もうすぐだ、もうすぐ出る。
そして彼がひときわ強く突き上げた瞬間私の中に白い液体が混ざってきた。
あはっ! 来てるよっ、あなたの精液っ!
熱くてドロドロの液体が私の体に注がれる。
私の中に壁は無いので出た端から紫の粘液と混ざり合い拡散していく。
…体全体で彼を味わう。精液はちょっと苦味があるけどおいしい。
たった一度の交わりで彼はもう私に夢中になった。
私ってそんなに魅力的?
そう思いもしたけど、周りの皆も似たようなものだったからこれが普通なんだろう。
私と彼はレスカティエ貧民街の適当な空き家に住み付いた。
さすがに野宿ってのは嫌だものねぇ。
.
.
.
そして今日も私と彼はまぐわう。
スライムの体は変形自由。
彼は大きめの胸が好きとのことで、ちょっとばかりサイズアップしている。
そのおかげで彼は毎回喜んで私の胸にしゃぶりついてくれる。
ちゅうちゅうと私の胸を吸う彼。今日も飲ませてあげるね。
そう思うと私の両乳首から紫色の液体が零れ出した。
私たちスライムには子宮どころか内臓そのものが無い。
だから妊娠することはできない。
私は熱心に胸を吸う彼を見ながら、母乳は出ないんだよね…と寂しく思っていた。
そんなある日、母乳の代わりというように、乳首から液状になった私の体が漏れるようになったのだ。
正直驚いたがこれは好都合。彼が私を飲むことで快楽強化の魔法などがかけやすくなった。
今となっては彼は毎回私のジュースを飲んでいる。
さらに飲んだ後は胸を噛みちぎってゼリーのように食べるようにまでなった。
別に痛くもかゆくもないし、彼が食べた分は精になって返ってくるのだから身を削ることにもならない。
それどころか胃の中で消化され、腸で吸収され、彼の体の一部に…と考えると胸が幸せでいっぱいになる。
おっと、あまり浸ってちゃダメだ。彼を気持ち良くしないと。
彼の腰全体を私の中に沈め、グチュリグチュリと動く。
こんなことはサキュバスでもできない、スライムだけの特権だ。
ああ、このまま彼の体全部を埋めてしまいたい。
そう思っていたら彼が胸から手を沈めてコアを握りしめた。
ひぃっ! ちょ、直接触らないでぇ!
コアはダークスライムの本体にして唯一の弱点だ。
ちんぽがちょっとぶつかるだけでも雷に打たれたような快感が走る。
そんなものを撫で回されたら……。
しっ、死ぬっ! 死んじゃうっ! 弄るのやめてぇ!
私が懇願しても彼は止めてくれない。
しかし体に力が入らないのにちんぽ周辺だけはより強く彼をしごき立てる。
彼は掴んだコアをちんぽにこすりつけるようにしている。
男性器がじかに擦り付けられる感覚。その快感に私はもう形を保てない。
かろうじて人型と分かる程度の姿になり、彼の上にベチャリと倒れこむ。
ああん、こんな泥人形みたいじゃ彼が欲情してくれないよぉ…。
女の姿に戻ろうとするが紫の粘液は腑抜けていて全然反応してくれない。
そんな私に彼が言ってくれた。
いつも良くしてもらってばかりだから、たまには自分が。
え、そんな。嬉しいけどあなたも――。
彼も気持ち良くなってくれないと、私は満足できない。
そう思ったけど、彼はいいから任せてくれと主張する。
……うん、じゃあ頼もうかな。
動きやすいように体内の粘性を下げる。
すると彼は一気に速度を上げ私のコアを弄り始めた。
両手でプニプニ、さわさわ。ちんぽでツンツン、ぐにぐに。
余すところなく彼は私のコアを愛撫する。
もう気持ち良すぎて私は人型でさえなくなり、彼にのしかかる粘液塊のようになってしまった。
でも彼のちんぽは硬いまま。私を愛してくれているのを感じる。
擦り付ける速度がさらに上がる。もう彼も限界なのかな?
私は今か今かと彼の射精を待ち望む。
そしてついにその瞬間が訪れた。
あ! かかってるっ! 私のコアにあなたの精液がかかってるよっ!
彼の粘つく精液がコアにまとわりつき、私の中に染み込む。
体が熱い。スライムなのにこの精液で孕んでしまいそうだ。
彼の射精はまだ止まらない。コアの口のような部分にまで入ってくる。
……美味しい。舌なんてないのに、彼の味をより強く感じた。
彼も放出し終わり、やっと落ち着いた頃。
私は女性形へと姿を戻す。
今日のセックスはすごかったねー。
でもあなたが任せてくれなんて珍しいじゃない?
彼はどちらかというと受け身タイプで、気持ち良くしてくれという方だった。
そんな私の疑問に彼は一言で答えてくれた。
あ、そうか。今日は私たちの一周年記念日だったんだ。
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