連載小説
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彼女は自分の部屋に戻り、鞄を机に置いた。黒のブレザーをクローゼットのハンガーにかけ、首を絞めていたストライプのタイを緩めると、お気に入りのふかふかのソファに座り込む。テーブルの上のパソコンを起動して、音楽をかける。

「あぁあ、どうして、先輩、私のこと気づいてくれないのかな」

ソファにおいてある兎のぬいぐるみを撫でながら、ため息をつく。背中をずらして、背もたれに寄りかかると、天井を何となしに見つめる。ぐぅっと背伸びをする。視線を上げると、丸い蛍光灯が部屋を照らしていた。ふと白い蛍光灯が、野球のベースを想起させる。照りつける太陽の下、白いユニフォームを着てグラウンドを走る先輩の姿。…工藤真人。彼女が恋をしている一学年上の野球部の先輩だ。彼女は部活のマネージャーをしている。真人は一年の頃からの片想いだが、なかなかその想いを伝えられずにいた。

「こんなに、先輩の事想っているのに」

Yシャツのボタンを上から順番に外していく。体をくねらせながら乳房を両脇からもみしだく。Yシャツの前のボタンをすべて外すと、ブラジャーを下す。ブラジャーに押し上げられ、二つの乳首が露わになる。彼女を人差し指でそれをこりこりといじり始める。円を描くように撫でる。敏感な乳首が次第に固くなっていく。指先でつまむと、「あっ」と声が漏れてしまった。

「はぁ…はぁ…」

先輩を想像しながら、自分の指を咥えてみる。唾液を人差し指に絡めて、それを吸い出す。根本まで指を咥えると、ゆっくりと出したり入れたりする。ちゅぱちゅぱと音を立てて舐める。愛しい先輩の事を想いながら、時間をかけてしゃぶりだす。彼女は、スカートをめくり上げる。太ももを摩りながら、感度を高めていく。外側から内側へ。ゾクゾクともぞがゆいような感覚が走る。唾液で濡れた指で、白いパンツの上から、筋をなぞる。指が窪みにめり込む。布越しに、ぐりぐりと指を回転させる。体がびくんと反応する。左手で乳房を服の上から触る。徐々に頭の中が先輩の妄想で一杯になっていく。

「ああ、先輩、好きぃ、だいしゅきぃ♥」

指でクリトリスを虐める。触っていく内に、それは徐々に固くなり、割れ目からは透明な液体が出る。白のパンツには、うっすらと染みができてしまう。彼女はソファに、足を上げる。M字に足を開く。パンツの上から敏感な部分を擦り上げると、愛液が布越しに染み出て糸が引く。「あん♥」彼女はパンツの中に手を入れ、中をまさぐる。手の形にパンツが張り出す。柔らかい肉を蹂躙する。

「やだ、こんなに…ねっとねと…先輩、厭らしい私の事、見て?」

息を乱しながら、淫靡な妄想をする。中指と薬指を割れ目に入り込ませる。優しく根本まで入れるとぐるんと回転させる。ぐちゅぐちゅと厭らしい音がする。指を引き上げると、ねっとりとした糸が絡みついてきた。彼女は指を何度も出し入れする。パンツが邪魔になり、片足を上げて脱ぐ。

「…はぁ…はぁ…先輩、先輩ぃぃ…もっと、虐めてぇ」

腰を諤諤と震わせながら、彼女は先輩の名前を呼ぶ。腰を浮かせながら、自慰に耽る。中指を奥まで入れて、指先を動かす。感じる部分に指が当たる。彼女は中をこねくり回す。にちゃにちゃと音がする。口をすぼめ、唾液を溜める。それを陰部に垂らす。白く濁った塊が入口に垂れる。それを指に絡めるようにして、再び中を犯す。肉に馴染ませるように塗りたくる。

「…先輩、工藤先輩ぃぃ、駄目ぇぇぇ、そんなにされたら、私…私ぃぃ」

小刻みに指の先を動かすと、背中に快感が走る。びくんと、彼女の体が脈打つ。大きな波の後に、小さな波が何度もやってくる。汗まみれになった彼女は呆けた顔で放心している。どくんどくんと全身が脈打ち、体が火照ってくる。指で何度も中を小突く。

すると、彼女の頭から青い湯気のようなものが出てくる。もやもやとまるで霧のようだ。それは、彼女を取り囲むように広がる。やがて青い炎のようになったそれは彼女が自慰をすればするほど燃え盛り、勢いを増していく。とはいえ、本物の火ではないらしい。その証拠にソファにも火は燃え移らない。彼女自身も自身の変化には気が付いていないようだ。頭から噴き出たそのオーラは、次第にある形をとっていく。

「…はぁはぁ…あ…もっと、奥までずんずんしてぇ♥」

耳に生えた、その形は獣のもののようであった。ピンと上を向いた二つの耳が、彼女の喘ぎ声を聴いている。彼女の感情に合わせて、炎がその勢いを増していく。メラメラと燃えるその形はまるで彼女の欲望を具現化しているようだった。彼女の耳元で声がする。

(ふふ、可愛らしい。そなたの想いを叶えてやろう。すべてを忘れ、その男と結ばれよ)

彼女にその声は届いているのだろうか。心ここにあらずといった様で、彼女は自慰を続ける。滝のように汗をかき、ひたすらに、妄想の中の彼と交わっていく。指の動きが早くなり、中をほじる度に、ジュポジュポと音を立てる。彼女はたまらなくなり、指を奥まで突っ込むと、中を淫らにかき回す。指が届くところまで深く。先輩に犯されている事を想像して。

「…はぁ…はぁ…深い、ダメェ、先輩、そんなに愛さないでぇ♥」

びくんと彼女の体が再び波を打つ。駄目押しに指でぐりぐりと中を泡立てる。意識とは関係なく、腰が小刻みに震え、びゅっと陰部から潮が噴き出る。どうやら絶頂を迎えたらしい。指を中に付きたてたままの彼女は、腰をがくがくと揺らしながら、恍惚の表情をしていた。彼女の口元からは唾液が零れ落ちている。うっとりとした顔で彼方を見つめる。


「…へへ、やりすぎちゃった。さてと、シャワー浴びなきゃな」

しばらくソファに座っていた彼女だが、流石に汗まみれでは気持ちが悪くなったのだろう。自室のドアを開け、浴室に向かった。

がらんとした部屋に音楽だけが鳴っていた。部屋は綺麗に片付いているが、先ほど乱暴に置いた鞄だけが、机から落ちそうに傾いていた。その鞄のファスナーについたストラップが揺れている。どれも女の子らしい代物だが、その中に、赤い小袋が混じっていた。どこかのお守りらしい。そこには、金文字で「恋愛成就」の文字が刺繍されていた。
12/05/21 21:36更新 / やまなし
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